JP5416422B2 - レーザ・アーク複合溶接法 - Google Patents

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本発明は、レーザ溶接と、MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接により複合接合するためのレーザ・アーク複合溶接法に関し、特に一対の被溶接部材間に大きな隙間が存在しても、良好な溶接継手が形成できるレーザ・アーク複合溶接法に関するものである。
切断後の加工履歴をうけた鋼板等の被溶接部材では、溶接接合部(例えば、鋼板の突合せ溶接では鋼板の端面)全長に亘って隙間のない若しくは隙間が一定であるということは殆ど無く、2mm以下の大きな隙間(以下、「ギャップ」と呼ぶことがある)が存在するのが通常である。大きなギャップが存在する状態のままで溶接を行うと、溶湯垂れや引け等により未溶着隙間となり、溶接欠陥の原因となる。こうしたことから、比較的大きなギャップが存在しても、溶接欠陥を発生させることなく良好な特性の溶接継手が得られるような(以下、このような特性を「耐ギャップ性に優れる」と称する)溶接方法が望まれているのが実情である。
MIGアーク溶接(Metal Inert−gas arc welding)のような消耗電極式アーク溶接のみで、溶接ワイヤ径(例えば、φ1.2mm)よりも大きなギャップが存在する状態の溶接を行う際には、図1に示すように、裏当て材を溶接線全長に亘って取り付けると共に、複数回溶接(図1では4ビード、3層)するのが通常である。しかしながら、消耗電極式アーク溶接のみで上記のような溶接を行なうことは、手間がかかると同時に生産性に支障を来すという問題がある。また、板厚が比較的薄い(例えば、厚さt:5mm以下)鋼板を被溶接部材として用いた場合には、アークによる熱影響によって、鋼板が変形するという問題がある。
消耗電極式アーク溶接法としては、シールドガスを不活性ガス(例えば、Ar若しくはHe:100容量%)とする上記のようなMIGアーク溶接が代表的な方法として挙げられるが、シールドガスとして一部にCO2ガスを含んだ雰囲気で行うMAGアーク溶接(Metal active−gas shilded arc welding)が広く適用されている。また、こうしたMAGアーク溶接を適用する際のシールドガスとしてはArとCO2の混合ガス(一般的には80%Ar+20%CO2:「%」は容量%を示す)が挙げられる。尚、上記したMIGアーク溶接の場合であっても、少量のCO2を混合したシールドガスを用いることがあることも知られている。
近年では、レーザ溶接とアーク溶接(MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接)とを組合せたレーザ・アーク複合溶接法が適用されつつある。こうしたレーザ・アーク複合溶接法は、エネルギー密度が相互に異なる2つの熱源を利用しているため、溶接速度の高速化、開先寸法精度の緩和、溶込み深さの向上、継手部の強度向上および溶接欠陥の抑制等の効果があることが知られている。また、溶接速度の高速化が達成されることにより、板厚が比較的薄い鋼板を被溶接部材として用いた場合であっても、熱量が小さくなることによって、アークの熱影響による鋼板変形も発生することがないという利点もある。
図2は、2枚の鋼板(被溶接材)をレーザ・アーク複合溶接によって突合せ溶接するときの状況例を示す説明図であり、1a,1bは鋼板、2はレーザヘッド、3はレーザ光、4はアークトーチ、5は溶接ワイヤ、6は溶着金属、7は開先、8はルートギャップを夫々示している。溶接方向前方に、レーザヘッド2を、後方にアークトーチ4を夫々配置し、アーク溶接により鋼板1a,1bの溶接部に溶着金属6を生成させる前に、レーザ光3を開先7のルートギャップ8に照射して、そのルートフェイス面をレーザ光3によって溶融させた後、アーク溶接によって開先7間のルートギャップ8内に、溶接ワイヤ5の溶滴を流入させて溶着金属6を形成するものである。
こうしたレーザ・アーク複合溶接では、上記した利点を有するものの、耐ギャップ性が依然として良好でない場合があることが指摘されている。即ち、上記の溶接方法は、レーザ溶接を先行させるものであるが、レーザ溶接機と被溶接部材との相対位置の変動によって、レーザ光の焦点位置が溶接過程で変動してしまい、溶込み深さの変動要因となり、こうしたことが比較的大きなギャップが存在しているときに対応できないという問題が生じる。
こうした問題を解決するための技術として、例えば特許文献1に示されるようなレーザ・アーク複合溶接方法も提案されている。この技術では、レーザ溶接とMAGアーク溶接を併用する複合溶接方法において、MAGアーク溶接を先行させ、レーザ溶接を後行させ、レーザとアークを同一溶接線上に配置させながら溶接するものである。
この技術では、レーザ照射するに先立ち、MAGアーク溶接によってシールドガス(イナートガス)をアークトーチから供給しつつ溶着金属を形成するものであり、レーザ光が確実に溶着金属に照射されることになってレーザ光の焦点位置に変動による影響が少なくなり、耐ギャップ性を良好にするものである。
MIGアーク溶接やMAGアーク溶接等のアーク溶接では、通常裏当て材を溶接線全長に亘って取り付けるものであるが(前記図1参照)、こうした状況では、裏当て材の存在によってシールドガスが溶接部裏側から抜けず、溶接部周辺のシードガスが乱れて空気の混入が避けがたい状況である。こうした空気の混入が発生すると、溶接金属部(特に溶着金属部分)にブローホールが発生し、溶接継手部において良好な靭性等の機械的特性が発揮できなくなるという問題がある。
特開2006−224130号公報
本発明は前記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、レーザ溶接およびアーク溶接(MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接)により一対の被溶接部材を溶接接合(複合溶接)するに際して、被溶接部材間に大きなギャップが存在していても、裏当て材を配置することによる不都合を回避しつつ良好な溶接継手を得ることのできるレーザ・アーク複合溶接法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明のレーザ・アーク複合溶接法とは、一対の被溶接部材を、レーザ溶接と、MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接により複合接合するレーザ・アーク複合溶接法において、溶接接合位置に裏当て材を配置し、MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させて、レーザ光照射とアーク放電を同一溶接線上に配置させながら溶接し、且つMIGアーク溶接またはMAGアーク溶接を行なう際に、CO2の混合量が5超〜15容量%である(Ar+CO2)混合ガスをシールドガスとして用いて操業する点に要旨を有するものである。
本発明方法を実施するに当たっては、下記の条件(a)〜(d)の少なくともいずれかの条件を満足させることが好ましい。
(a)前記シールドガスは、MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接のアークトーチだけから噴出されたものであること、
(b)MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置と前記レーザ光の照射位置を、一対の被溶接部材間の溶接接合位置に設置して操業を行なうこと、
(c)MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置と前記レーザ光の照射位置との間のアーク・レーザ間隔LAを3〜5mmに設定して操業を行なうこと、
(d)開先を形成することなく、鋼板同士を突合せ溶接するものであること。
本発明によれば、MIGアーク溶接またはMAGアーク溶接(以下、「MAGアーク溶接」で代表させることがある)を先行させると共にレーザ溶接を後行させるレーザ・アーク複合溶接を実施するに際し、アーク溶接を行なう際のシールドガス中のCO2混合量を低減させることによって、被溶接部材間に大きなギャップが存在していても、良好な溶接金属を高速にて形成することができた。
消耗電極式アーク溶接のみで、大きなギャップが存在する状態の溶接を行う場合の説明図である。 2枚の鋼板(被溶接材)をレーザ・アーク複合溶接によって突合せ溶接するときの状況例を示す説明図である。 本発明の溶接方法を説明するための図である。 前進角および後退角の状況を説明する図である。 実施例における溶接接合部の状況を示す説明図である。 比較材の溶接接合部の状況を示す説明図である。 溶接金属の引張試験を行なったときの試験片の形状を示す説明図である。 溶接金属のシャルピー衝撃試験を行なったときの試験片の形状を示す説明図である。
MAGアーク溶接を適用する際のシールドガスは、正常な溶接を行なうために、炭酸ガス(CO2)を含んだ混合ガス(通常80%Ar+20%CO2の混合ガス)が用いられる。シールドガス中の炭酸ガスの混合量を20%よりも多くすると、溶湯(アーク溶湯)の粘性が低下してスパッタが発生しやすい状況になる。また、シールドガス中の炭酸ガスの混合量を20%よりも少なくすると、溶湯の粘性が増大して粒状となって、正常な溶接ができないものと考えられていた。
本発明者らは、溶接金属部(特に溶着金属部分)にブローホールが発生することを防止するための条件について、様々な角度から検討した。その結果、先行させるMAGアーク溶接を行なう際に、シールドガス中のCO2の混合量を低下させてやれば、ブローホールの発生を抑制しつつ、健全な溶接金属部が実現できることを見出し、本発明を完成した。
上記のように、シールドガス中の炭酸ガスの混合量を20%よりも少なくすると、アーク溶湯の粘性が低下して正常な溶接ができないものと考えられていたのである。しかしながら、本発明者らが実験によって確認したところ、MAGアーク溶接とレーザ溶接を併用する複合溶接の場合には、アーク溶湯へのレーザ光照射によるエネルギー補充復熱による溶け込みによって、溶接接合が行なわれるものであるために、CO2混合量を低減しても(即ち、Arガス混合量を増大させても)、ブローホールの発生を抑制しつつ正常な溶接が行なえることが判明したのである。また、CO2の低減は、Arの混合量を増大することを意味し、Arの混合量を増大させることによって、溶接接合部での冷却速度が速くなり、その結果として溶接金属(特に、溶着金属部分)の強度が向上できるという効果も発揮する。
こうした効果を発揮させるためには、シールドガス中のCO2混合量(混合割合)は15%以下とする必要がある。しかしながら、シールドガス中のCO2混合量(混合割合)が少なくなり過ぎて5%以下となると、アーク溶湯の粘性が高くなり過ぎ、溶湯の溶接接合部(ギャップ)への溶込みが悪くなって、その後レーザ光照射を行なったとしても、溶込み不足が発生したり、溶接金属の靭性が低下することがある。尚、シールドガス(混合ガス)の流量は20〜25L/min程度が適切である。
図3[図3(a)は上面図、図3(b)は側面図]、本発明の複合溶接方法を説明するための図であり、その基本的な構成は前記図2と類似し、対応する部分には同一の参照符号を付してある。尚、図3中、LAはアーク放電狙い位置とレーザ照射位置との間隔(アーク・レーザ間距離)を示し、10は溶接ワイヤ突出長を示している。
前記図2では開先7を形成したもの(開先加工したもの)を示したが、本発明方法によれば、基本的に開先7を形成せずと実施できるものである。但し、溶接速度やギャップ量によって、アーク溶湯量が確保できないことや、レーザ光照射能力が不足する場合には、開先7を形成しても良い。
本発明方法は、基本的な構成として、MAGアーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させて、レーザとアークを同一溶接線上に配置させながら溶接するものである。溶接線を含み一方の被溶接部材表面と直交する面内でアーク放電線を傾斜させることは、従来からも行われていることであるが(例えば、前記特許文献1)、本発明においてもこのような傾斜角度を設けても良い。この傾斜角度が適切でないと、良好なビードが形成されず、或いはアンダーカットやアンダーフィルが発生する原因となる。こうした観点から、本発明においても前記傾斜角度θ1(以下、「トーチ角度θ1」と呼ぶことがある)を適切な範囲(例えば10〜40°程度)にすることができる。
MAGアーク溶接のトーチ角度θ1を前進角(前進角については、後記図4参照)とし、且つアーク溶接をレーザ溶接に先行させるためには、アークトーチをレーザヘッドよりも溶接方向後方に配置する必要があるが(前記図3参照)、このような場合には、アーク溶接の溶接ワイヤとレーザ照射との干渉を避ける必要がある。こうしたことから、本発明の溶接方法においては、アーク放電線(即ち、アークトーチ)に図3(a)に示すようなθ2を形成することもできる。この角度θ2は、図3(a)に示すように、一方の被溶接部材の表面にアーク放電線を投影したときに、この投影線と溶接線とのなす角度である。この角度θ2(以下、「ベベル角度θ2」と呼ぶことがある)を設ける場合には、その範囲も適切(例えば、10〜45°程度)に設定することが好ましい。ベベル角度θ2が大きくなり過ぎると、溶着金属の溶込みが悪くなったり、スパッタ発生の原因となるので、60°以下とする必要がある。
前記トーチ角度θ1は、(a)溶接方向の反対側に開いた前進角、(b)溶接方向の開いた後退角のいずれも採用できる(前記図3は、前進角を示している)。
図4は、前進角および後退角の状況を説明する図であり、図4(a)は前進角、図4(b)は後退角を夫々示している。即ち、前進角とは、トーチ角度θ1が溶接方向の反対側に開いた状態[図4(a)]を意味し、後退角とはトーチ角度θ1が溶接方向に開いた状態[図4(b)]を意味する。このうち前進角を採用する場合には、後退角を用いる場合に比べて、浅溶け込みで広幅は扁平ビードとなり易いが、こうした点はアーク溶接に続いて実施されるレーザ溶接によって補うことができる。
本発明方法では、先行させるMAGアーク溶接を行なう際のシールドガスの組成を上記のように制御するものであるが、MAGアーク溶接に引き続いて行われるレーザ溶接の際に、レーザ照射雰囲気をレーザ側からも流すと、溶接接合部周辺で乱流が発生し、シールド性が悪くなる。また、空気の流入は、ブローホールの原因ともなる。こうしたことから、発明方法を実施するに当たっては、その雰囲気を形成するシールドガスは、消耗電極式アーク溶接のアークトーチだけから噴出されたものを使用することが好ましい。
本発明方法を実施するに当り、MAGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置とレーザ光の照射位置を、一対の被溶接部材間の溶接接合に設置することが好ましい。本発明方法では、シールドガス(Ar+CO2混合ガス)中のCO2混合量を低減することを特徴の一つとするものであり、それによって溶湯の粘性が高くなる傾向があるが、こうした状況であっても溶湯における良好な溶込みを達成させるためには、MAGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置とレーザ光の照射位置を、一対の被溶接部材間の溶接接合に設置することが好ましい。また、耐ギャップ性を高めるために、MAGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置とレーザ光の照射位置を、溶接線の幅方向に揺動させるようにしても良い。
本発明の複合溶接を実施するに際しては、ギャップを埋めるに十分な溶湯供給量(計算によって求められる)を確保する必要があるが、そのための手段としてはアーク放電出力の増大が挙げられるが、こうした観点からしてMAGアーク溶接を行う際の装置は、アーク電流をギャップ量に応じて調整できるもの(300A程度まで)であることが好ましい。
本発明のレーザ・アーク複合溶接方法においては、MAGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置(溶接点)と前記レーザ光の照射位置との間のアーク・レーザ間隔LA(前記図3参照)も適切に設定することも重要である。即ち、レーザ照射とアーク放電が干渉することなく、両者を併用することによる効果を有効に発揮させるためには、アーク・レーザ間隔LAを3mm以上とすることが好ましい。しかしながら、アーク・レーザ間隔LAが大きくなり過ぎると、後行させるレーザ照射による効果が発揮され難くなるので、5mm以下とすることが好ましい。
MAGアーク溶接を行うに当たっては、溶接ワイヤの突出長(前記図3参照)も適切に制御することは、溶接ワイヤ溶融量や電流安定性を良好に維持する上で、重要な要件である。こうした観点から、溶接ワイヤの突出長(以下、「ワイヤ突出長」と呼ぶことがある)は15〜30mm程度にすることが好ましく、こうした要件を満足させることによって、高速下で安定したビードを先行させて形成することができる。
本発明方法は、開先を形成することなく、鋼板同士を突合せ溶接する場合に正常な溶接が行えるものであり(後記図5参照)、本発明の構成を採用することによって耐ギャップ性に優れたものとなるものであるが、必要によって開先を形成したものに適用してもよい。またギャップが形成されない状態であっても本発明を実施しても良いことは勿論である。また本発明方法は、同厚さの鋼板同士を突合せ溶接する場合に限らず、板厚の異なる鋼板(異厚材)を突合せ溶接する場合にも適用できるものである。
本発明のレーザ・アーク複合溶接法で用いるレーザ光は、溶接される鋼板(被溶接部材)に対してエネルギーを与えることができるものであれば特に限定されず、例えばCO2レーザ、YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ、半導体レーザ、ファイバーレーザ等を用いることができるが、レーザ光の移送性を考慮すれば、YAGレーザやファイバーレーザを採用するのが好ましい。
本発明方法で用いられる被溶接部材(金属板)の種類についても限定されず、上記した鋼板以外にも、例えばアルミ板等にも適用できるものである。また、こうした被溶接部材の厚さについても限定されず、板厚が3〜4mmの薄板であっても、変形を発生させることなく、溶接できるが、板厚が12mmまでの金属板についても(厚さの異同に拘わらず)適用できるものである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[実施例1]
板厚が6mm(t6)と3.2mm(t3.2)mmの鋼板[鋼種:引張強度980MPa級鋼板]を一対ずつ用意し(同厚同士)、MAGアーク溶接(溶接装置:TPS2700、MAGアーク溶接については以下同じ)とファイバーレーザ溶接との複合溶接(アーク溶接先行、レーザ溶接後行)によって突合せ溶接を行った(溶接長:200mm)。このときの溶接接合部の状況を図5に示す。上記溶接では、鋼板相互のギャップ(図中、「Gap」と記する)を0〜2.0mmで変化させたものである。
このとき下記表1に示すように溶接条件(ギャップ、シールドガス組成、レーザ条件、MAG条件)を変えて溶接を行った(MAGアーク溶接の溶接速度はレーザ溶接のときと同じとなる)。シールドガスの流量は25L/minとし、溶接ワイヤは、780MPa級(溶接後の強度が850MPa級)のMGS−80(直径:1.2mm)を使用した。尚、レーザ光の焦点距離は250mmであったが、溶接の際には、MAGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置と前記レーザ光の照射位置を、鋼板間の溶接接合位置に設置した。またアーク・レーザ間距離は5mm、ワイヤ突出長は15mmの一定に設定した。尚、表1の「トーチ角度」におけるマイナス表示は、「後退角」[図4(b)]であることを意味する。
Figure 0005416422
上記各場合において、その溶接状況について検討したところ、次のような傾向が認められた。まず板厚が6mm(t6)同士の突合せ溶接では(試験No.1〜9)、CO2の混合量を5%まで低減したもの(試験No.7〜9)では、レーザ出力を上げたにも拘わらず、裏当て材との接合が達成されておらず、しかも裏側(図5の下側)には溶込み残りが発生していた。このような状況を回避するための手段として、レーザ出力を更に高めることも考えられるが、こうした手段では入熱量が多くなり、溶接熱影響部(HAZ)の靭性の低下を招くことが予想される。
一方、板厚が3.2mm(t3.2)同士の突合せ溶接では(試験No.10〜18)、CO2の混合量を5%まで低減したもの(試験No.16〜18)では、裏当て材の落下はなかったものの、全長に亘っての溶着は裏当て材表面に熱影響を受けた兆しがないことから、溶込み不足が生じていることが懸念された。
これに対して、CO2の混合量が20%および10%のものでは(試験No.1〜6、10〜15)では、溶込み不足が生じることなく、見かけ上、良好な溶接金属が形成されていることが確認できた。
上記のうち試験No.1、4、7のものについて、溶接金属中のガス成分の分析を行なった。その結果を、下記表2に示す。この結果から明らかなように、シールドガス中のCO2混合量を低減することによって、空気が混入することを防止でき、スパッタやブローホールの発生が抑制できることが予想できる。
Figure 0005416422
比較材として、HAZ靭性を確保させるために入熱量を低減した、MAGアーク溶接だけを実施して溶接接合した溶接継手を形成した(試験No.19)。このときのMAG溶接条件は、下記表3に示す通りであり(シールドガス:80%Ar+20%CO2、MAG電源:Panasonic 「YD−350GE2」)、溶接接合部の状況は図6に示す通りである(図6では3ビード、2層)。
Figure 0005416422
上記各方法で得られた溶接金属について(試験No.1、4、7、19)、引張試験およびシャルピー衝撃試験を下記の方法によって行なった。
[溶接金属の引張試験]
各溶接金属から、図7に示す試験片を採取し、引張試験を行なって引張強度を測定した(JIS Z 3111)。このとき、測定は2回行なった。また、引張試験を行なったときの破断位置についても確認した。
[溶接金属のシャルピー衝撃試験]
各溶接金属から、溶接線に直角方向となるように図8に示すような試験片を切り出し(切欠部分は鋼板の側面部分に相当)、各温度[−40℃、−20℃、25℃(室温)]でのシャルピー吸収エネルギー(J)を測定した(JIS Z 3112)。
その結果を、下記表4に一括して示すが、MAGアーク溶接でのシールドガスとして、90%Ar+10%CO2を用いたものでは、良好な強度および靭性が得られていることが分かる。
Figure 0005416422
1a,1b 鋼板
2 レーザヘッド
3 レーザ光
4 アークトーチ
5 溶接ワイヤ
6 溶着金属
7 開先
8 ルートギャップ

Claims (4)

  1. 一対の被溶接部材を、レーザ溶接と、MAGアーク溶接により複合接合するレーザ・アーク複合溶接法において、溶接接合位置に裏当て材を配置し、MAGアーク溶接を先行させると共にレーザ溶接を後行させて、レーザ光照射とアーク放電を同一溶接線上に配置させながら溶接し、且つMAGアーク溶接を行なう際に、CO2の混合量が5超〜15容量%である(Ar+CO2)混合ガスをシールドガスとして用い、開先を形成することなく、鋼板同士を突合せ溶接することを特徴とするレーザ・アーク複合溶接法。
  2. 前記シールドガスは、MAGアーク溶接のアークトーチだけから噴出されたものである請求項1に記載のレーザ・アーク複合溶接法。
  3. AGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置と前記レーザ光の照射位置を、一対の被溶接部材間の溶接接合位置に設置して操業を行なう請求項1または2に記載のレーザ・アーク複合溶接法。
  4. AGアーク溶接におけるアーク放電狙い位置と前記レーザ光の照射位置との間のアーク・レーザ間隔LAを3〜5mmに設定して操業を行なう請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ・アーク複合溶接法。
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