JP2014079783A - レーザ・アークハイブリッド溶接方法、ハイブリッド溶接用ヘッド、及びハイブリッド溶接装置 - Google Patents

レーザ・アークハイブリッド溶接方法、ハイブリッド溶接用ヘッド、及びハイブリッド溶接装置 Download PDF

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卓矢 池田
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智彦 石塚
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Abstract

【課題】溶接回数を増やすことなく、大きな開先の被溶接部材を溶着金属で満たすことを可能とするレーザとアークの双方を用いるハイブリッド溶接方法およびハイブリッド溶接ヘッド、ハイブリッド溶接装置を提供する。
【解決手段】アーク溶接法に正極性の消耗電極式ガスシールドアーク溶接を使用し、アーク電極を被溶接部材に対して垂直に設置し、そのアークに先行してアーク直下からレーザにより形成された溶融池と、アークにより形成された溶融池とが一体になる範囲に溶接方向に対して後退角でレーザを照射するようにした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、レーザとアークの双方を用いるハイブリッド溶接方法に関し、特に厚板を突合せ溶接する際に好適な溶接方法、及び溶接用ヘッド、溶接装置に関するものである。
レーザとアークの双方を用いるハイブリッド溶接において、溶込み深さはレーザの出力に大きく依存する。そのため、厚板を突き合せて貫通溶接する場合、2つの部材から構成される被溶接部材の板厚に対してレーザの出力が低いと、被溶接部材に開先を設ける必要がある。
例えば、突合せ面に開先を設け、この開先の形状をレーザスポット径以上のギャップのある形状にしているものがある(例えば、特許文献1参照)。そして、アークによって形成される溶融池の上にレーザを照射し、溶着金属をギャップに流入することで、低出力のレーザでも厚板の被溶接部材を貫通溶接できる。
また、突合せ面の長手方向に突出部もしくは窪み部を設置し、容易に突合せ面のギャップを確保できる開先形状を作製することで、厚板の被溶接部材を貫通溶接することを可能にしているものがある(例えば特許文献2参照)。
特許第4120408号公報(図1) 特開2011−218362号公報
上記のハイブリッド溶接方法では、開先のサイズを大きくする必要があり、このような要求を満たすためには、溶着金属の量を増やさなければならない。溶着金属の量を増やす方法として、アーク電流の増大、溶接速度の低下および溶接回数の増加が挙げられる。
しかし、高いアーク電流を使用すると、アーク圧力が大きくなり、溶落ちや垂落ちが発生する。その他の方法においても、溶接作業の長時間化や溶接変形の増大という問題が生じる。また、溶着金属の量を少なくするために、開先形状のサイズは貫通溶接できる範囲で小さくする必要がある。
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、小さいサイズの開先で貫通溶接が可能で、溶接不良を発生することなく、溶着金属の量を増大することができる。さらに、溶接作業時間の短縮および溶接変形の低減を可能とするレーザとアークの双方を用いるハイブリッド溶接方法を提供することを目的としている。
この発明にかかるレーザ・アークハイブリッド溶接方法は、
レーザとアークを用いるハイブリッド溶接法を使用して平面状の被溶接部材の対向する側面を突合せ溶接する溶接方法において、
前記レーザが前記被溶接部材を貫通して貫通溶接するように前記被溶接部材の前記対向する側面の双方に開先を設け、
前記アークを発生する溶接法として消耗電極式アーク溶接法を用い、
前記レーザを前記アークより先行して前記被溶接部材の前記開先に照射するとともに、
前記アークを発生するアーク電極を前記被溶接部材の表面に対して鉛直方向に配置し、
かつ、前記アーク電極の軸の延長線を含む領域であって、前記レーザで形成された前記被溶接部材の溶融金属のたまりである溶融池と前記アークで形成された溶融池とが一体となる範囲に、前記突合せ溶接が進行する方向に対して鋭角となるよう前記レーザを前記被溶接部材に照射するものである。
溶接される材料の突合せ面に開先を設けることで、厚さ6mm以上の厚板を貫通溶接するのが困難である3kW以下の低出力のレーザを有したレーザとアークの双方を用いたハイブリッド溶接でも貫通溶接が可能になる。
また、本発明方法によりハイブリッド溶接することで、レーザが溶着金属およびレーザを照射した際に発生するプルームの影響を受けない。そのため、安定した裏波ビードが形成できる。また、同じ出力の前記レーザで厚板を貫通溶接できるため、前記開先のサイズを小さくすることが可能である。
本発明の実施の形態1に示す溶接方法の概念図である。 本発明の実施の形態1に示す溶接方法の模式図である。 本発明の溶接方法と対比される溶接方法の模式図である。 本発明の溶接方法と対比される溶接方法の別の模式図である。 本発明の溶接方法と対比される溶接方法の別の模式図である。 本発明の実施の形態1に示す溶接方法の要部を示す斜視図である。 本発明の実施の形態1に示す溶接方法のうちアーク溶接の説明図である。 本発明の実施の形態1の溶接部を溶接方向に対して垂直な方向からみた断面図である。 突合せ溶接の消耗電極式アーク溶接の極性の影響を示した模式図である。 実施の形態2のレーザとアークのハイブリッド溶接方法の模式図である。 実施の形態3に示すレーザとアークのハイブリッド溶接方法において、スパッタとヒュームの影響を防止するために用いる装置構成の一例を示す図である。 実施の形態3に示すハイブリッド溶接ヘッドの空気の流れを説明する図である。 被溶接部材の開先形状を示す模式図である。 従来の溶接方法の模式図である。
実施の形態1.
以下に、この発明の実施例を図に基づき詳細に説明する。図1はレーザ9とアーク5のレーザ・アークハイブリッド溶接を用いた溶接方法の概念図である。図1において、被溶接部材1は2つの部材1a、1bから構成され、各々の表面と突合せ面を繋ぐように開先2が形成されている。突合せ面には、アークトーチ3に取付けられたアーク電極4からアーク5が照射されるとともに、この照射位置には集光レンズ7、保護レンズ8を有するレーザヘッド6からレーザがアーク5に向けて集光して出射され、図中の矢印方向に溶接が進められる。
また、図2は本発明の溶接方法を被溶接部材の突合せ面断面から見た場合の模式図である。本溶接システムは、被溶接部材1と、被溶接部材1の表面に対して鉛直方向にその中心軸が設置されたアーク電極4を有するアークトーチ3と、レーザ9を後退角で照射できるように配置されたレーザヘッド6を備えたレーザとアークの双方を用いるレーザ・アークハイブリッド溶接システムである。
この溶接方法は、被溶接部材1の開先2を、レーザ・アークハイブリッド溶接を用いて突合せ溶接する方法であり、溶接進行方向は図中に矢印で示す方向である。レーザ9が貫通できるように適宜、傾斜角をもたせて開先2を設け、このレーザを用いたレーザ溶接によって被溶接部材1を裏面(詳細は後述する)まで溶接し、前記開先2を消耗電極式アーク溶接による溶着金属12で満たすことで貫通溶接する。
レーザ9は、集光レンズ7によって収束され、アーク5が照射される範囲内(図2中、被溶接部材の表面上におけるアーク5の広がり幅の領域内。以下同様)に照射する。ここでLAは、被溶接部材の表面におけるアークの中心軸とレーザの収束点との距離を示す。また、上記の被溶接部材1の表面に対して垂直に設置したアークトーチ3から溶接部(ここでは溶接金属及び熱影響部分を含んだ部分の総称を意味する。以下同様。JIS Z 3001参照)にシールドガスを供給している。
なお、レーザ発振器はプラズマの影響を受けにくい波長1064nm程度のレーザを使用し、レーザ9の焦点を被溶接部材1の表面もしくは内部に設定することが望ましい。また、溶接時に発生するスパッタが集光レンズ7に付着するのを防止するために、集光レンズ7と溶接部の間に保護レンズ8を設置している。
ここで一般的なレーザ・アークハイブリッド溶接について以下、図14を用いて説明する。レーザ・アークハイブリッド溶接には、大別して、1)レーザ9を照射したのち、アーク5を照射する溶接方法と、2)アーク5を照射したのちレーザ9を照射する方法、の2つの方法がある。後者の場合、すなわち、アーク5を先行して照射した場合、レーザ9が溶着金属12の上に照射されることになる。そのため、溶着金属12によって盛り上がった部位にレーザ9が照射されるため、溶込みが浅くなってしまう。
また、溶着金属12の量は、溶接後の位置と時間によって変化する。そのため、アーク5を先行にしたハイブリッド溶接は、被溶接部材1の裏面に形成される溶接ビードである裏波ビードが不安定になり、被溶接部材1の裏面(溶接部のうち電極と反対側の面のこと。以下同様)に未溶着部分が発生したり、被溶接部材の裏面に生じる溶融金属の表面張力が低下することで溶落ちなどの不良が発生する。
また、被溶接部材1にレーザ9を照射すると、通常、プルーム(金属蒸気)10が発生する(例えば図3参照)。レーザがプルーム10を通過すると、レーザ9がプルーム10に吸収され、被溶接部材1に到達するレーザ9のエネルギーが低下する。また、プルーム10によってレーザ9が屈折し、焦点位置が変化する。このように、プルーム10がレーザ9に悪影響を及ぼし、溶着金属12と同様に溶接不良を引き起こす。そのため、レーザ9を用いる際はレーザ9がプルーム10を通過しないようにする必要がある。
上述のように、レーザ9とアーク5のハイブリッド溶接において、溶着金属12およびプルーム10が溶込みに悪影響を与える。本発明は、余分な装置を必要とせず、溶着金属12およびプルーム10の影響を最小限に抑えることができるハイブリッド溶接方法を提供するものである。
また、レーザ・アークハイブリッド溶接において、レーザ9とアーク5の配置も、溶接の性能に大きく影響を与える。レーザ9とアーク5の配置によるハイブリッド溶接の特徴を以下に説明する。
図3はレーザ9を被溶接部材1に対して垂直に照射し、アーク5を溶接方向に対して後退角でレーザ9より先に照射するレーザ9とアーク5の配置である。この配置のハイブリッド溶接は、アーク5を先行して照射しているため、レーザ9が溶着金属12に照射される。
本発明では、消耗電極式アーク溶接を用いているので、アーク5のアーク電流の値によって溶着金属12の量が変化する。また、レーザ9とアーク5を照射する距離間隔(離間距離)の大小によっても、レーザ9が照射される位置における溶着金属12の量が異なる。アーク5を先行して照射するハイブリッド溶接では、アーク電流の値や、レーザ9とアーク5を照射する距離の間隔が1mm以上離れることによっても、レーザ9が照射される溶着金属12の量が変化する。そのため、ビード幅が広くなったり、狭くなったりする不安定な裏波ビードが形成される。ビード幅が狭くなった場合、溶接部材の裏面に生じる溶融金属の表面張力が低下し、溶落ちや垂落ちが発生する可能性がある。
図5はレーザ9を被溶接部材1に対して垂直に照射し、アーク5を溶接方向に対して前進角でレーザ9の後に照射するレーザ9とアーク5の配置である。この配置のハイブリッド溶接は、レーザ9が溶着金属12の影響を受けない。本方式では、アーク5を溶接方向に対して前進角で照射するので、溶接方向の前方に溶着金属12が流される。そのため、レーザ9がプルーム10の影響を大きく受け、裏波ビードが不安定になる。
図4はアーク5を被溶接部材1に対して垂直に照射し、レーザ9を溶接方向に対して前進角でアーク5の後に照射するレーザ9とアーク5の配置である。この配置は、レーザ9が溶着金属12の影響を受ける。また、レーザ9を溶接方向に対して前進角で照射すると、プルーム10に向かってレーザ9が進んでいることとなり、プルーム10の影響も大きく受ける。
図2は本発明のレーザ9とアーク5のハイブリッド溶接方法の模式図であり、アーク5を被溶接部材に対して垂直に照射し、レーザ9を溶接方向に対して後退角でアーク5より先に照射するレーザ9とアーク5の配置である。この配置は、レーザ9が溶着金属12の影響を受けずにハイブリッド溶接ができる。また、レーザ9が溶接方向に対して後退角で照射されるため、プルーム10から逃げる方向にレーザ9が進み、レーザ9がプルーム10の影響を受けにくい。
図3および図4で、レーザ9が溶着金属12の影響を受けないように、レーザ9を先行で溶接するためには、レーザ9とアーク電極4を交差するか、レーザ9とアーク5の溶接位置を溶接方向に対して左右にずらす必要がある。レーザ9とアーク電極4を交差する方法は、レーザ9がアーク電極4に干渉してしまうため、溶込みが浅くなり、貫通溶接ができなくなる。また、レーザ9とアーク5の溶接位置を溶接方向に対して左右にずらす方法では、溶込み形状が不均一となるため、この配置でレーザを先行して照射するハイブリッド溶接は不適切である。
以上のことから、本発明におけるレーザ9とアーク5の配置を用いてハイブリッド溶接することで、溶着金属12およびプルーム10の影響を受けず、安定した裏波ビードが形成される。そのため、未溶着や溶落ちを防止でき、同じ出力のレーザで厚板を貫通応接が可能となる。その結果、貫通溶接に必要な開先2のサイズを小さくできるため、必要な溶着金属12の量を少なくすることが可能である。ただし、レーザ9に傾斜をつけ過ぎると、溶込みが浅くなってしまうため、レーザ9の傾斜角度はアークトーチ3に干渉しない程度で、できるだけ垂直に近づけることが望ましい。
また、被溶接部材1にギャップがある場合、レーザ9がギャップを通過し、溶接ができないことがある。そのため、被溶接部材1のギャップがレーザ9のスポット径より広い場合は、アークの真下の領域であって、アーク5によって形成された溶融池11の範囲内にレーザ9を照射することが望ましい。また、本発明のレーザ9とアーク5の配置にすると、レーザ9を照射できる溶着金属12の量が増加し、レーザ9が通り抜けにくくなる効果もある。
以上実施の形態1で説明した溶接方法においては、低出力のレーザを用いたハイブリッド溶接でも、厚板の貫通溶接が可能になるため、開先形状を小さくでき、溶接変形の低減が可能になる。また、また本溶接方法によれば、用いるレーザはYAGレーザ、COレーザ、光ファイバレーザなど、どのような種類のレーザであっても同様の効果を得られる。
実施の形態2.
図6はレーザ9とアーク5のハイブリッド溶接を用いた突合せ溶接の概略図、図7は溶接部を溶接方向に対して垂直な方向からみた断面図、図8は溶接部の中心を溶接線方向に対して平行な方向からみた断面図である。
貫通溶接する際にレーザ9の出力が低い場合、開先2の形状を工夫する必要がある。例えば、突合せ部の長さ(図13に示すRの値)を短くする方法や、突合せ部のギャップ(図13に示すGの値)を大きくする方法がある。しかし、いずれの方法においても、開先2を埋めるために、溶着金属12の量を増やさなければならない。溶着金属12を増やす方法として、アーク電流の増大、溶接速度の低下、溶接回数の増加が挙げられる。はじめに、アーク電流を増大する方法は、アーク圧力が増加することによって、溶落ちや垂落ちが発生し、溶接ができなくなる。続いて、溶接速度を低下する方法および溶接回数を増やす方法は、溶接時間が長くなることと、入熱量の増加によって溶接変形が大きくなるという欠点が生じる。
本発明は、アーク溶接にアーク電極4をマイナス極とした正極性の消耗電極式ガスシールドアーク溶接を使用する。正極性の消耗電極式ガスシールドアーク溶接を用いることで、アーク電流を増大することなく、溶着金属12の量を増やすことができる。正極性の消耗電極式ガスシールドアーク溶接は、アーク5が不安定になりやすいという問題があるが、レーザ9とアーク5のハイブリッド溶接においては、レーザ9によって生成されるプルーム10がアーク5を誘導するため、アーク5が安定する。
また、アーク電極をマイナス極とした正極性の消耗電極式ガスシールドアーク溶接を用いることで、アーク電流の増加および溶接速度の低下を招来することなく、溶着金属量を増やすことができる。アーク圧力は前記アーク電流に依存するため、前記アーク圧力による溶落ちや垂落ちを発生することなく、溶着金属の量を増大できる。
さらにこの発明によれば、アーク電流の増大や溶接速度を低下することなく、少ない溶接回数で開先を溶着金属で満たすことが可能となるため、溶接作業時間の短縮および溶接変形の低減が可能になる。また、低出力の前記レーザで厚板の溶接ができるようになるため、装置のコストを低減することが可能である。
(実施例)
本発明の実施例をさらに詳しく図9により説明する。図9はレーザ9とアーク5のハイブリッド溶接を用いて突合せ溶接した際の結果を示している。このとき、図9(a)が逆極性のアーク溶接を用いた場合、図9(b)が正極性のアーク溶接を用いた場合をそれぞれ示している。以下に図9(a)の実験条件を示す。
(1)試験片(形状は図13参照)
材料:SS400
寸法:9mm×150mm×150mm(t×W×L)
(2)開先形状(形状は図6参照):Y型開先(G=0mm、R=4mm、θ=60°)
(3)レーザ : 3kWファイバレーザ(加工点出力2.5kW)
スポット径 : φ0.3mm
照射角度 : 30°(後退角)
(4)アーク : MAG溶接
電流・電圧 :150A、19V(逆極性)
トーチ角度 :垂直
(5)シールドガス : Ar80%-CO220% (アークトーチから供給)
(7)レーザ・アーク間距離 : 0mm(レーザとアークを同位置に照射)
(8)溶接速度 :30cm/min
上記の溶接条件で、レーザ9とアーク5のハイブリッド溶接を用いて突合せ溶接すると、1回の溶接で開先2を溶着金属12で満たすことができなかった。そのため、開先2を溶着金属12で埋めるために、もう一度、同一箇所を溶接する必要がある。しかし、複数回の溶接が必要になると、溶接作業の時間が長くなり、溶接変形も大きくなってしまう。そのため、溶着金属12の量を増やして、1回で溶接する方法が求められる。
そこで、下記3点の条件をそれぞれ変更し、溶着金属12の量を増加して突合せ溶接した。なお、その他の条件は上述の条件と同様である。
(a)アーク電流値の増加(150A → 250A)
(b)溶接速度の低下(30cm/min → 15cm/min)
(c)アーク極性の変更(逆極性 → 正極性)
(a)アーク電流値の増加
はじめに、溶着金属12の量を増やすために、アーク電流を150Aから250Aに増大した。その結果、溶接部が溶落ち、良好な突合せ溶接ができなくなった。アーク電流を増大することで、溶着金属12の量を増やすことができるが、アーク圧力が高くなりすぎ、溶落ちなどの溶接不良が発生してしまう。これらの溶接不良を抑制する方法として、突合せ面にギャップを設ける方法があるが、ギャップを設けることで、それを埋めるために必要な溶着金属12の量が増える。そのため、溶着金属12の量を増やす手段として、アーク電流を増大する方法は有効でない。
(b)溶接速度の低下
次に、溶接速度を30cm/minから15cm/minに変更することで、溶着金属12の量を増加した。溶接速度を遅くすることによって、1回で開先を溶着金属で満たすことができた。しかし、溶接時間が長くなり、単位長さ当たりの入熱量が増えたため、溶接変形が大きくなった。複数回の溶接と同様の結果となるため、溶接速度を低下することによる溶着金属12の量を増やす手段は適切でない。
(c)アーク極性の変更
最後に、アーク5の極性を変更することによって溶着金属量を増大した。図9(b)が本条件における結果を示した図である。アーク5を正極性に変更することで、アーク5の極性以外同様の溶接条件でも、1回で開先2を溶着金属12で満たすことができた。実験で使用したアーク溶接機において、アーク電流150Aで逆極性のアーク5を使用したときのワイヤ送給速度が3.7m/minであるのに対し、正極性のアーク5にすると5.4m/minとなり、極性を変更することで溶着金属12の量が約1.5倍になった。
以上により、アーク5の極性を変更する方法が、溶着金属12の量を増やす方法として最適であると判断される。開先2の大きい被溶接部材1の突合せ溶接において、レーザ9と正極性のアーク5のハイブリッド溶接を用いることで、溶接時間が短く、溶接変形の小
さい突合せ溶接が可能になる。
また、本実施の形態と実施の形態1とを組み合せることで、さらに溶接変形の小さい厚板の被溶接部材1を貫通溶接できる。
以上のように、実施の形態2に示す溶接方法により、低出力のレーザを用いたハイブリッド溶接でも、貫通溶接が可能になり、また、大きい開先を有した被溶接部材を、少ない溶接回数で突合せ溶接できるため、溶接時間の短縮および溶接変形の低減が可能になる。
実施の形態3.
貫通溶接時に溶接部から玉状に溶融金属が垂れ落ちる不良が発生する場合がある。これは、溶接部裏面が凝固する前に、溶融金属が流れ込んでくることで発生する。そのため、垂落ちを防止するために裏面の溶融部を速く凝固させる手法が必要になる。
図10は図8に示す溶接方法の溶接部裏面に当該裏面を冷却するための冷却ガス18を供給するための冷却ガス供給装置17を取り付けた状態を示した図である。貫通したレーザ9や、溶接部裏面から発生するスパッタを避けるために、冷却ガス供給装置17をレーザ9の光軸上からずらした位置に設置することが望ましい。冷却ガス供給装置17から、溶接部裏面に冷却ガス18を噴射することにより、裏面の溶融部が速く凝固し、垂落ちを防止できる。噴射する冷却ガス18は、酸化を防ぐために、不活性ガスを用いることが望ましいが、炭酸ガスや空気などでも効果がある。また、低温の冷却ガス18を使用する場合、溶接部が結露し、良好な溶接が困難になるため、露点温度の低いガスを同時に供給するなど、結露を防止する機構を設ける必要がある。
図10に示す発明により、レーザ9とアーク5のハイブリッド溶接を用いた突合せ溶接時に、溶接可能なアーク電流値が増大する。高いアーク電流で溶接が可能になるため、溶着金属12の量を増やすことができる。さらに、冷却ガス18の供給と、逆極性のアーク5を用いるレーザ9とアーク5のハイブリッド溶接と組み合せることで、より大きな開先2を有する被溶接部材1に対して、溶接時間の短縮や、溶接変形を低減することができる。
以上のように、実施の形態3においては、垂落ちが発生する前に、裏面の溶融部を凝固することができるため、高いアーク電流を使用できるようになる。
実施の形態4.
溶接にレーザ9を用いる場合、スパッタやヒュームが溶接時に問題となることがある。例えば、保護レンズ8にスパッタが付着すると、スパッタにレーザ9が吸収され、保護レンズ8が熱レンズ効果を生じるようになる。他にも、発生したヒュームにレーザ9が吸収され、溶接部におけるレーザ出力が低くなったり、吸収された熱によって集光レンズ7や保護レンズ8を損傷したりする。そのため、レーザ9とアーク5のハイブリッド溶接でも、スパッタとヒュームの対策が必要になる。
図11は、図8に示す溶接方法において、レーザヘッド6にスパッタが保護レンズ8に付着するのを抑制するためのエアシャッター機構13と、レーザヘッド6の先端から溶接部の間に発生したヒュームをレーザ9の光路中から除去するためのエア供給装置15を設けた状態を示した図である。
エアシャッター機構13を設けることで、保護レンズ8の手前に空気14を流してスパッタを吹き飛ばし、保護レンズ8にスパッタが付着するのを抑制することができる。溶接部から板厚の数倍程度の距離で発生するスパッタは運動エネルギーが大きく、空気14を流してもスパッタを吹き飛ばすことが困難であるため、エアシャッター機構13は溶接部
からできるだけ離れた部分に設置することが望ましい。
また、レーザヘッド6と溶接部の間に空気16を噴射することでヒュームを除去する。
このとき、アークトーチ3から供給されているシールドガスに影響を与えないように空気16を噴射する必要がある。ただし、レーザ9がヒュームに吸収され、溶接部における出力が低下してしまうため、空気16を溶接部から板厚の数倍程度の距離に噴射できるようにエア供給装置15を設置することが望ましい。なお、スパッタやヒュームの対策として流す気体は、空気以外でも問題ない。
図12に示すように、エアシャッター機構13から空気14を流すと、レーザヘッド6の内部で空気14が衝突し、レーザヘッド6から溶接部に向かって空気14の流れが生じる。この空気14の流れが溶接部まで流れると、溶接部のプルーム10が流され、アーク5が不安定になる。また、アークトーチ3から供給されるシールドガスを乱し、ブローホールが発生する。
しかし、図11に示すレーザとアークのハイブリッド溶接ヘッドは、レーザヘッドと溶接部の間に空気16を流しているため、エアシャッター機構13によって発生する空気14が溶接部方向に流れるのを防止できる。つまり、エア供給装置15は、ヒュームをレーザ9の光軸上から除去するだけでなく、アーク5を安定させる効果もある。本発明を用いることで、レーザ光学系の損傷を抑制でき、レーザ出力を低下することなく、溶接部にレーザを供給し、アークを安定して照射することが可能になる。
以上のように、実施の形態4においては、溶接時に発生するスパッタやヒュームによる不具合を解消でき、アークを安定させるためのプルームを安定してアーク電極近傍に供給できる。なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 被溶接部材、2 開先、3 アークトーチ、4 アーク電極、5 アーク、6 レーザヘッド、7 集光レンズ、8 保護レンズ、9 レーザ、10 プルーム、11 溶融池、12 溶着金属、13 エアシャッター機構、14 空気、15 エア供給装置、16 空気、17 冷却ガス供給装置、18 冷却ガス、19 プラズマ気流。

Claims (6)

  1. レーザとアークを用いるハイブリッド溶接法を使用して平面状の被溶接部材の対向する側面を突合せ溶接する溶接方法において、
    前記レーザが前記被溶接部材を貫通して貫通溶接するように前記被溶接部材の前記対向する側面の双方に開先を設け、
    前記アークを発生する溶接法として消耗電極式アーク溶接法を用い、
    前記レーザを前記アークより先行して前記被溶接部材の前記開先に照射するとともに、
    前記アークを発生するアーク電極を前記被溶接部材の表面に対して鉛直方向に配置し、
    かつ、前記アーク電極の軸の延長線を含む領域であって、前記レーザで形成された前記被溶接部材の溶融金属のたまりである溶融池と前記アークで形成された溶融池とが一体となる範囲に、前記突合せ溶接が進行する方向に対して鋭角となるよう前記レーザを前記被溶接部材に照射することを特徴とするレーザ・アークハイブリッド溶接方法。
  2. 前記アーク電極をマイナス極とした正極性の消耗電極式ガスシールドアーク溶接を用いることを特徴とした請求項1に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接方法。
  3. 前記被溶接部材の溶接部分であって熱影響部を含んだ部分である溶接部の裏面に、当該裏面を冷却するための冷却ガスを供給することを特徴とする請求項1に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接方法。
  4. 請求項1に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接方法に用いる溶接用ヘッドであって、前記被溶接部材の溶接部にシールドガスを供給するアークトーチと、
    溶接時に発生するスパッタが、前記レーザを集光する集光レンズとこの集光レンズを保護する保護レンズを含むレーザ光学系に付着するのを抑制するため、空気流を発生するエアシャッター機構を備えたレーザヘッドと、
    前記レーザを照射した際に発生するヒュームを前記レーザの集光光路中から除去するエア供給装置と、を備えたレーザ・アークハイブリッド溶接用ヘッド。
  5. 請求項1〜3の何れか1項に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接方法を用いて前記被溶接部材を溶接するレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
  6. 請求項4に記載のレーザ・アークハイブリッド溶接用ヘッドを備えたレーザ・アークハイブリッド溶接装置。
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