JP5416237B2 - 低粘度野菜汁及び/又は果汁の製造方法 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明の目的は、舌触りがなめらかで喉越しに優れ、かつ食物繊維の浮上がなく、見た目が良い低粘度野菜汁及び/又は果汁を製造する方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、原料野菜汁及び/又は果汁に、下記の工程(A)及び(B):
(A)2枚以上の刃又は多層櫛歯を備えた回転カッター式装置を用い、周速12〜80m/sにて循環式により0.1〜2.5秒の破砕処理を行う工程、及び
(B)ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びセルラーゼから選ばれる1種以上の植物組織崩壊酵素であって、原料野菜汁及び/又は果汁に対し0.01〜2重量%の植物組織崩壊酵素存在下に、温度20〜50℃、pH3〜6、周速0.1〜4.0m/sにて循環式により10〜300秒の攪拌処理を行う工程
を交互に、工程(A)及び(B)の各処理時間に各々の繰り返し回数を乗じた時間の合計を工程(A)及び(B)の総処理時間として30〜300分行う、低粘度野菜汁及び/又は果汁の製造方法を提供するものである。
このうち、トマト、人参、セロリ、ほうれん草、小松菜、パセリ、ケール、クレソン、モロヘイヤ、レタス、白菜、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、赤ピーマン、アスパラガス、大根、たまねぎ、かぼちゃ、ビート、しょうが、紫芋、あしたば、なす、牛蒡から選ばれる1種以上を含有する野菜汁及び/又は果汁に適用するのが好ましく、トマト及び人参から選ばれる1種以上を含有する野菜汁及び/又は果汁が特に好ましい。
一方、循環式における工程(A)及び(B)の各処理時間は、工程(A)における処理時間をTaとするとき、Taは0.1〜2.5秒の範囲がよい。一方、工程(B)における処理時間をTbとするとき、Tbは10〜300秒がよい。ここで工程(A)の処理時間Taとは、高周速の破砕処理が行われる部分の容積を流量で割った値とし、工程(B)の処理時間Tbとは、工程(B)の低周速の攪拌処理を行う反応器容積を流量で割った値とする。
ここで、工程(A)及び(B)の処理時間とは、各工程で処理を開始してから終了するまでの時間とする。工程(A)及び/又は(B)を繰り返した場合には、TaとTbのに工程(A)及び(B)の各処理時間にそれぞれを繰り返した回数を掛けた時間の合計を工程(A)及び(B)の総処理時間とする。総処理時間は30〜300分が好ましい。
この時間範囲で工程(A)の高周速の破砕処理及び(B)の低周速の攪拌処理を行うと、効率的に粘度を下げることができるので好ましい。理由は明らかではないが、効率良く食物繊維の切断が行われるため、食物繊維分の膨潤が抑制され酵素を食物繊維の内部まで浸透させることができるものと思われる。
また、本発明法により得られる低粘度野菜汁及び/又は果汁の粘度は、のど越しの点から、150mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以下がより好ましく、70mPa・s以下がさらに好ましい。
試料を内径36mmのガラス容器に投入し、B型粘度計「(株)トキメック」を用いて、液温度20℃、回転数60rpm、保持時間60秒で測定した。
(粒径の測定方法)
粒径は、粒径分布測定装置SALD−2100((株)島津製作所製)を用いて、フローセルを使用し、個数基準の平均粒径を測定した。
パネラー3人で評価し、平均スコアを評価結果として採用した(小数以下は四捨五入した)。
・のど越し
5.さらさらとしており、喉に全く引っかからず、後味が全く残らない
4.さらさらとしており、喉に引っかからず、後味が残らない
3.さらさらとしているが、喉に少し残り、後味が僅かに残る
2.ドロドロとしており、喉に引っかかり、後味が残る
1.ドロドロとしており、喉を通りづらく、後味が極めて残る
・舌触り
5.舌にざらつきは全く感じず、口に残らない
4.舌にざらつきは感じないが、わずかに口に残る
3.舌にざらつきはあまり感じないが、口に残る
2.舌にざらつきを感じ、口に残る
1.舌にざらつきを感じ、極めて口に残る
・外観(不溶性固形分の浮き具合)
5.不溶性固形分が浮上せず、清澄液がない
4.不溶性固形分がわずかに浮上し、清澄液が5%未満存在する
3.不溶性固形分が浮上し、清澄液が5%以上10%未満存在する
2.不溶性固形分が浮上し、清澄液が10%以上15%未満存在する
1.不溶性固形分が浮上し、清澄液が15%以上存在する
Brix27のトマトペーストにイオン交換水を加え、Brix12で粘度1123mPa・s、個数基準の粒径が155μmの原料トマト汁を調整した。このトマト汁970gにセルラーゼ(ノボザイムズ社(株)製セルクラスト 1.5LFG)の10%水溶液を30g添加し、25℃でジューサーミキサー(松下電器産業(株)製ミキサーMX−152S)を用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。10分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/sにて攪拌しながら工程(B)である低周速な酵素処理を行った。110分処理後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1と同様にして、但し、25℃でジューサーミキサーを用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を10分間行い、30℃で4枚プロペラ翼を用いて、周速1.5m/sにて攪拌しながら50分間工程(B)である低周速な酵素処理を行った。この操作を2回繰返し行った後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整した原料トマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、30℃でホモミクサー(プライミクス(株)製T.K.ホモミクサーMARKII 2.5型)を用いて、周速22m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。5分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/sにて攪拌しながら55分間工程(B)である低周速な酵素処理を行った。この操作を2回繰返し行った後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整した原料トマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、30℃でマイルダー(太平洋機工(株)製MDN303V)を用いて、周速24m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。20分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/sにて攪拌しながら40分間工程(B)である低周速な酵素処理を行った。この操作を2回繰返し行った後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
トマト、人参、セロリ、ほうれん草、小松菜、パセリ、ケール、クレソン、モロヘイヤ、レタス、はくさい、キャベツ、メキャベツ、ブロッコリー、赤ピーマン、アスパラガス、大根、たまねぎ、かぼちゃ、ビート、しょうが、紫芋、あしたば、なす、牛蒡からなり、粘度271mPa・s、個数基準の平均粒径が100μmの原料野菜混合汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの3.3%水溶液21g、及びペクチナーゼ(ノボザイムズ社(株)製ペクチネックス ウルトラSP-L)の3.3%水溶液9gを添加し、25℃で実施例1で使用したジューサーミキサーを用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。10分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速0.5m/sにて攪拌しながら50分間工程(B)である低周速な酵素処理を行った。この操作を2回繰返し行った後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させ野菜混合汁を得た。
実施例1で調整した原料トマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて周速1.5m/sにて50分間攪拌した。攪拌終了後、25℃で実施例1で使用したジューサーミキサーを用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。20分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速2.0m/sにて攪拌しながら工程(B)である低周速な酵素処理を行った。50分処理後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
市販ニンジンを100℃で15分間ブランチングし、ジュース&パルプセパレーター((株)エフ・エム・アイ製JEX−450)で処理した後、液部とパルプ部を混合し、イオン交換水で質量を1.67倍にし、Brix5.3で粘度3840mPa・sの原料ニンジン汁を調製した。このニンジン汁を実施例1で使用したジューサーミキサーを用いて、25℃で周速57m/sで5分間処理しペースト状にした。得られたニンジン汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液21g、及び実施例5で使用したペクチナーゼの10%水溶液9gを添加し、実施例1で使用したジューサーミキサーを用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。10分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.0m/sにて攪拌しながら50分間工程(B)である低周速な酵素処理を行った。さらに10分間の工程(A)と50分間の工程(B)をそれぞれ同条件で行い、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させニンジン汁を得た。
実施例1で調整した原料トマト汁2910gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を90g添加し、工程(A)として実施例4で用いたマイルダーを用いて、30℃、周速24m/s、5.4L/min、工程(A)における処理時間Taを0.7sにて高周速な破砕処理を行い、工程(B)として反応器内では30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/s、5.4L/min、工程(B)における処理時間Tbを33sにて低周速な攪拌処理を行い、循環しながら処理した。180分間処理した後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
Brix5.0のニンジンペーストにイオン交換水を加え、Brix2.6、粘度492、個数基準の平均粒径が89μmの原料ニンジン汁を調整した。このニンジン汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、工程(A)として実施例4で用いたマイルダーを用いて、30℃、周速24m/s、5.4L/min、工程(A)における処理時間Taを0.7sにて高周速な破砕処理を行い、工程(B)として反応器内では30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/s、5.4L/min、工程(B)における処理時間Tbを11sにて低周速な攪拌処理を行い、循環しながら処理した。120分間処理した後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整した原料トマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、工程(A)として実施例4で用いたマイルダーを用いて、30℃、周速13m/s、1.8L/min、工程(A)における処理時間Taを2.2sにて高周速な破砕処理を行い、工程(B)として反応器内では30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.0m/s、1.8L/min、工程(B)における処理時間Tbを67sにて低周速な攪拌処理を行い、循環しながら処理した。120分間処理した後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整したトマト汁970gに酵素を加えず、25℃で実施例1で使用したジューサーミキサーを用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。10分処理後、トマト汁を得た。
実施例1で調整したトマト汁970gに酵素を加えず、工程(A)として実施例4で用いたマイルダーを用いて、30℃、周速13m/s、1.8L/min、工程(A)における処理時間Taを2.2sにて高周速な破砕処理を行い、工程(B)として酵素を加えず、反応器内では30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.0m/s、1.8L/min、工程(B)における処理時間Tbを67sにて低周速な攪拌処理を行い、循環しながら処理した。120分間処理後、トマト汁を得た。
実施例1で調整したトマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、25℃で実施例1で使用したジューサーミキサーを用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。10分処理後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整したトマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、25℃で実施例1で使用したジューサーミキサーを用いて、周速57m/sで工程(A)である高周速な破砕処理を行った。30分処理後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整したトマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/sにて攪拌しながら工程(B)である低周速な酵素処理を行った。120分処理後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整したトマト汁970gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を30g添加し、30℃で実施例3で使用したホモミクサーを用いて、周速4.4m/sで破砕処理を行った。10分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/sにて攪拌しながら50分間工程(B)である低周速な酵素処理を行った。この操作を2回繰返し行った後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
実施例1で調整したトマト汁7275gに実施例1で使用したセルラーゼの10%水溶液を225g添加し、磨砕型の装置である渦流ポンプ((株)ニクニ製M20ND07)を用いて、30℃、周速10m/s、流速23L/minにて、磨砕処理を行った。15分処理後、30℃で4枚プロペラ翼(φ70mm)を用いて、周速1.5m/sにて攪拌しながら工程(B)である低周速な酵素処理を行った。105分処理後、95℃において3分間保持することにより、酵素を完全に失活させトマト汁を得た。
これらに対し、本発明の条件を満たす実施例1〜10においては、粘度の低下と不溶性固形分の微細化の両者を満足し、のど越しが良好で、かつ舌触りの滑らかな低粘度野菜汁及び/又は果汁が得られた。
Claims (4)
- 原料野菜汁及び/又は果汁に、下記の工程(A)及び(B):
(A)2枚以上の刃又は多層櫛歯を備えた回転カッター式装置を用い、周速12〜80m/sにて循環式により0.1〜2.5秒の破砕処理を行う工程、及び
(B)ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びセルラーゼから選ばれる1種以上の植物組織崩壊酵素であって、原料野菜汁及び/又は果汁に対し0.01〜2重量%の植物組織崩壊酵素存在下に、温度20〜50℃、pH3〜6、周速0.1〜4.0m/sにて循環式により10〜300秒の攪拌処理を行う工程
を交互に、工程(A)及び(B)の各処理時間に各々の繰り返し回数を乗じた時間の合計を工程(A)及び(B)の総処理時間として30〜300分行う、低粘度野菜汁及び/又は果汁の製造方法。 - 工程(A)を、ペクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びセルラーゼから選ばれる1種以上の植物組織崩壊酵素であって、原料野菜汁及び/又は果汁に対し0.01〜2重量%の植物組織崩壊酵素存在下に、温度20〜50℃、pH3〜6にて行う、請求項1記載の低粘度野菜汁及び/又は果汁の製造方法。
- 原料野菜汁及び/又は果汁の20℃における粘度が100〜3000mPa・sの範囲である、請求項1又は2記載の低粘度野菜汁及び/又は果汁の製造方法。
- 野菜汁及び/又は果汁がトマト及び人参から選ばれる1種以上を含有する野菜汁及び/又は果汁である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の低粘度野菜汁及び/又は果汁の製造方法。
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