JP5413900B2 - 手指用外用剤 - Google Patents

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Description

本発明は手指の荒れ防止、汚れ付着防止、荒れた手指の保護における新たなケア剤であり、耐水性及びアルカリ可溶性の被膜を形成し得る手指用外用剤に関する。
従来、被膜を形成する手指用外用剤としては、手荒れの結果できるあかぎれ、さかむけ等の創傷用に皮膚上に透明で均一な被膜を形成する保護剤が知られている。セルロース硝酸エステルのピロキシリンを酢酸エチルなどの有機溶媒で溶解しているものが代表的である。これは液体絆創膏として市販されており、被膜で覆うことにより薬剤の浸透効果を高め、患部を水や汚れから保護するものであるが、アセトンと低級アルコールの混合溶媒を用いて改良したもの(例えば、特許文献1参照。)がある。このような部分的に塗布し患部を保護するものとしては、親水性コロイド状の水溶性高分子と液状炭化水素化合物を組み合わせたもの(例えば、特許文献2参照。)や、硬質エマルジョンポリマーと軟質エマルジョンポリマーを組み合わせたもの(例えば、特許文献3参照。)がある。
また従来、創傷用に使用されてきた被膜剤を用いて、最近新たな剤として予防用保護剤が提案されている。このような皮膜剤として、アクリル系共重合体を用いたもの(例えば、特許文献4参照。)や、エチルセルロースを用いたもの(例えば、特許文献5参照。)や、アクリル系ポリマーとセルロース誘導体を組み合わせたもの(例えば、特許文献6参照。)などがある。これらは、手指全体に塗布するものである。しかしながら、被膜の柔軟性に伴う使用感や、塗膜の形成面で未だ十分とは言えない。
前記の液体絆創膏タイプの手指用外用剤は患部を部分的に守るという点で優れるが、これらを使用した場合、炊事、洗濯、掃除、洗髪等の日常しばしばある動作の場面で、水に接触することにより塗布部以外の部分で新たに荒れが発生し、予防という面では不足していた。
また、酢酸エチルなどの有機溶媒に溶解させているため、有機溶媒の揮発に伴って、強い有機溶媒臭が生じる上、刺激性も高い。さらに、形成された被膜は耐水性を有しており、皮膚を有効に保護できる反面、創傷が完治した後に、被膜を除去しようと物理的に引き剥がすと、痛みを伴うことがあり、また角層の一部を同時に剥離してしまう。
一方、ヒトの手は器用な動作も可能であり、関節も多く、関節可動域も広い。一般的に中手指節関節で屈曲0−90°、伸展0−30°、指節間関節で屈曲0−120°伸展120−0°、遠位指節間関節で屈曲0−80°、伸展80−0°と広い可動域を持つ。被膜を形成する外用剤が指全体を被う場合には、このような動きにも対応できる柔軟な被膜であることが必須である。被膜の柔軟性が優れていれば、動きに伴う不快な違和感もなく、皮膚に滑らかな風合いを与える。被膜の柔軟性が乏しい場合は、ごわつきがでたり、被膜に亀裂が入ったりして、亀裂部分から剥離していく。
被膜は手指全体に均一に形成できるように塗布することが必要であるが、そのためには、噴霧塗布よりもクリームを塗布するがごとく、液状〜粘性液状の製剤を、両手をこすり合わせて塗布することが好ましく、均一な塗膜形成性と共に速乾性が必要である。また塗布中手をこすり合わせると、物理的な摩擦により、フレーキングが起こると均一性に欠ける皮膜が形成されてしまう。特に被膜の渇き際、または重ね塗りの場合にフレーキングは発生しやすいが、フレーキングの発生がなく、均一な被膜を形成することが重要である。
その他の点として、物理的な刺激に耐えうる十分な強度の被膜であることや、被膜が無色透明であり、手指の外観を損ねないことが品質として優位である。
特開平5−58914号公報 特開2001−97848号公報 特開2006−212426号公報 特開平5−32535号公報 特開2000−53553号公報 特開2008−100966号公報
本発明は前記背景技術に鑑みなされたものであり、手指全体に塗布すると柔軟な被膜を形成し、しかも速乾性、皮膚への密着性に優れ、使用後は皮膚に刺激を与えずおだやかに洗い流せる手指用外用剤を得ることを目的とする。
前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、アクリル系樹脂を被膜形成剤とし、一価アルコールをある程度以上配合することにより速乾性を持たせ、塗布時の被膜に違和感がないよう油剤を可溶化させることにより被膜に柔軟性を与える組成を見出した。さらに、塗布後に形成された被膜がアルカリ性溶液で溶解することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の手指用外用剤は、(A)共重合体中のカルボキシル基の中和率が30〜60モル%であるアクリル酸アルキル共重合体エマルジョンを固形分換算で0.5〜15質量%、(B)エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールから選ばれる1種または2種以上の一価アルコール20〜70質量%、(C)油剤0.005〜1質量%及び(D)非イオン界面活性剤を含有することを特徴とするものである。前記(C)非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンテトラデシルエーテルが好ましい。また本発明の手指用外用剤の洗浄方法は、手指に塗布して形成された被膜をpH9以上のアルカリ性溶液で洗い流すことを特徴とするものである。
本発明の手指用外用剤によれば、エタノール等の溶媒に安定に配合した、油剤や非イオン界面活性剤を含むアクリル酸アルキル共重合体エマルジョンは、速乾性に優れ、違和感の無い被膜で手指を水や汚れから守り、手荒れをケアすることができる。また使用後に被膜が石鹸水等のアルカリ水溶液で皮膚におだやかに水洗できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の手指用外用剤に用いる成分(A)は、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンの共重合体中のカルボキシル基の中和率を30〜60モル%に調整したものである。上記アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選ばれる1種または2種以上のモノマー類から生成されるアクリル酸アルキル共重合体を水に分散させたものである。共重合体としては、通常のランダム共重合体であっても、グラフト共重合体であっても、ブロック共重合体であっても、コア・シェル型共重合体であってもかまわ
ない。これらの市販品としては、例えば日本NSC社製のDERMACRYL AQF(固形分45%)、大成化工社製のポリジョイントJN(固形分50%)、ローム アンド
ハース社製のアキュリン33A(固形分28%)等が挙げられる。
上記アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンの一部を中和し、成分(A)として用いるが、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン中のカルボキシル基の中和率を30〜60モル%に調整することが必要である。30モル%より低いと沈殿が生じ製剤中に安定に配合することが難しく、また60モル%より高いと形成された被膜は耐水性が弱く、使用時に水と接触すると被膜が膨潤したり溶解してしまう。中和に用いる中和塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなどの無機塩基、アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチルプロパンジオール等のアルカノールアミン、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸等が挙げられる。これら中和塩基の1種または2種以上を適量用いて上記アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンの中和率を調整する。
本発明の手指用外用剤において成分(A)の配合量は、組成物全量中、固形分換算で0.5〜15質量%が必要であり、好ましくは5〜10質量%である。ここで固形分換算とは、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンの手指用外用剤における配合量に、当該エマルジョンの固形分割合を乗じた値のことである。配合量が0.5質量%未満であると均一な被膜ができにくく、15質量%を超えると被膜が厚くごわつきを感じる。
本発明の手指用外用剤に用いる成分(B)一価アルコールとしては、エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等が挙げられるが、このうち速乾性と被膜感がより良好であることから特にエチルアルコールが好ましい。これら一価アルコールは1種または2種以上を混合して配合できるが、その配合量は組成物全量中20〜70質量%が必要であり、好ましくは30〜60質量%である。一価アルコールの配合量が20質量%未満では塗布時に乾燥が遅く塗布に時間がかかり、また乾くまでの間べたつきを感じ不快である。70質量%を超えると塗布時に乾燥が早過ぎて塗布むらができ、均一な厚さに延ばし難い。
本発明の手指用外用剤に用いる成分(C)油剤としては、通常化粧料に用いられるものでよく、例えば、油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油、エステル油等が挙げられるが特に限定されない。上記油剤の具体例を以下に示す。油脂としてはアボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、カカオ油、ヤシ油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリンが挙げられる。炭化水素油としては流動パラフィン、スクワレン、プリスタン、スクワラン等が挙げられる。高級脂肪酸としてはオレイン酸、トール油、イソステアリン酸等が挙げられる。高級アルコールとしてはラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。シリコーン油としてはジメチルポリシロキサン、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン等が挙げられる。エステル油としてはミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、セバチン酸イソプロピル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、2−エチルヘ
キサン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸デシル等が挙げられる。上記油剤は1種または2種以上を混合して配合できるが、その配合量は組成物全量中0.005〜1質量%が必要であり、好ましくは0.01〜0.3質量%である。油剤を配合することにより、被膜に柔らかな感触を与える。油剤の配合量が0.005質量%未満では被膜の変化が感じられない。1質量%を超えて配合すると被膜の強度が弱くなり、感触にもべたつき感がでてくる。また油剤を配合するその他の効果として、皮膚にうるおいを与えることができる。
本発明の手指用外用剤に上記油剤を安定に配合するためには成分(D)非イオン界面活性剤を配合することが必要である。非イオン界面活性剤は、親水基・疎水基ともに様々な構造を持たせることができ、構造によって、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体等を挙げることができる。
上記非イオン界面活性剤の具体的な例としては、次のものが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルとしてはモノイソステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン等が挙げられる。グリセリン脂肪酸エステルとしてはモノイソステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノパルミチン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてはモノイソステアリン酸ジグリセリン、モノステアリン酸ジグリセリン、モノオレイン酸ジグリセリン、ジイソステアリン酸ジグリセリン、ジステアリン酸ジグリセリン、ジオレイン酸ジグリセリン等が挙げられる。プロピレングリコール脂肪酸エステルとしてはモノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。ポリオキシエチレン誘導体としてはポリオキシエチレン(1モル付加)ステアレート(以下、ポリオキシエチレンをPOEと略記し、付加モル数は単に数字だけで表す。)、POE(2)ステアレート、POE(4)ステアレート、POE(2)オレエート(4.5)、POE(2)セチルアルコール、POE(2)オレイルアルコール、POE(3)ヒマシ油(3.0)、POE(5)硬化ヒマシ油(6.0)、POE(10)硬化ヒマシ油等が挙げられる。
本発明の手指用外用剤においては、上記非イオン界面活性剤のなかでも親水基としてPOE鎖及びポリオキシプロピレン鎖(以下、POP鎖と略記する。)を持った構造の化合物が、少量で油分を可溶化できる点で好ましい。特に、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンテトラデシルエーテルが好ましい。上記非イオン界面活性剤は1種または2種以上を配合でき、その配合量は油剤の配合量によるが、組成物全量中0.1〜1.5質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜1.0質量%である。非イオン界面活性剤の配合量が0.1質量%未満では油剤が溶解できずに分離する傾向があり、反対に1.0質量%を超えるとべたつき感がでる傾向がある。
本発明の手指用外用剤には、本発明の効果を損なわない限り、上記成分に加えて任意の成分を含有していてもよい。任意の成分としては、通常化粧料に用いられる上記以外の油剤、粉体(顔料、色素等)、上記以外の界面活性剤、粘剤、樹脂、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、溶媒、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分、保湿剤、有効成分、塩類、酸化防止剤、pH調整剤等の成分を適宜配合することができる。
本発明の手指用外用剤は、その剤形を特に限定することなく、一般に外用剤に用いられるあらゆる剤形に調製される。剤形として具体的には、液状、粘性液状、ジェル状、泡状、また透明タイプ、可溶化タイプ、乳化タイプ、懸濁タイプ等がある。
本発明の手指用外用剤は、その容器形態を特に限定することなく、一般に用いられるあらゆる容器形態をとることができる。具体的には、ローションボトル式、ポンプ式、チューブ式、スプレー式、泡吐出式、フォーム式などが例示される。
本発明の手指用外用剤の実施容器は、必要に応じてさらに噴射剤とともに噴霧器やスプレー容器に充填して、エアゾール剤またはスプレー剤として調製することができる。
噴射剤としては、本発明で採用する基剤成分並びに薬効成分に影響を与えず、薬学的に許容されるものであれば特に制限されず、通常当業界で使用されるいずれものをも使用することができる。
本発明で用いられる噴射剤としては、フロン11、フロン12、フロン21、フロン113、フロン114、フロン134a等のフロンガス、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン等の液化石油ガス、及ジメチエルエーテル等の液化ガス等が挙げられる。また、これらに加えて炭酸ガス、窒素ガス、酸素ガス等を用いてもよい。
これらの噴射剤はそれぞれ単独で、又は2種以上を混合して使用してもよく、その配合量はエアゾールスプレー組成物の総量を基準として、好ましくは20〜80質量%であり、より好ましくは30〜70質量%である。配合量が20質量%未満では霧が粗くなり、被膜が不均一となり、80質量%を越えて配合すると霧状態が細かくなりすぎて被膜の強度が不十分な状態となる。
本発明の外用剤組成物の使用量は、一概に規定できないが、通常は1回当たり0.1g〜2g程度の範囲で用いることでき、被膜できた上に重ねて使用することもできる。
以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は実施例により限定されるものではない。また、配合量は特に指定がない限り、質量%で示す。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
・組成物の外観評価
組成物の外観を目視により確認し評価した。外観の評価基準は次の通りとした。
透明 ・・・透明かつ沈殿物がみられない
半透明・・・不透明であるが沈殿物はみられない
沈殿 ・・・透明不透明を問わず沈殿物がみられる
・組成物の安定性評価
試料を50℃、1ケ月間静置後に、目視にて外観を観察し組成物の安定性を評価した。評価基準は次の通りとした。
良好・・・試作直後の状態と比較し、変化がなく一定である
不良・・・試作直後の状態と比較し、変化が生じた
a)被膜の柔軟性試験
ガラスプレートに表1の各組成物を厚さ1mmに塗膏し、室温で1昼夜乾燥させ、できた被膜を2cm×10cmにカットしたものを試料とした。これを、中心を支点に左右対称に角度90度になるまで力を加え、柔軟性を評価した。また評価基準は次の通りとした。
A・・・90度に折り曲げることができ、元に戻すことができる
B・・・90度に折り曲げることができるが、元に戻せない
C・・・90度に折り曲げる途中で亀裂が入る
b)被膜の耐水性試験
表1の試料を直径7cmのシャーレに各5g秤量し、40℃の乾燥機にて1昼夜静置したものを試験サンプルとした。これに、水道水10gを添加し、1時間浸漬させた後、被膜の状態を観察した。また評価基準は次の通りとした。
A・・・被膜に変化なし
B・・・被膜が溶解した
c)被膜の耐洗剤性試験
表1の試料を直径7cmのシャーレに各5g秤量し、40℃の乾燥機にて1昼夜静置したものを試験サンプルとした。これに、市販の食器用洗剤としてよく使われているポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムを水道水で5質量%濃度に希釈したものを10gを添加し、1時間浸漬させた後、被膜の状態を観察した。また評価基準は次の通りとした。
A・・・被膜に変化なし
B・・・被膜に膨潤が見られ強度が弱くなっている
C・・・被膜が溶解した
d)被膜の洗浄性試験
表1の試料を直径7cmのシャーレに各5g秤量し、40℃の乾燥機にて1昼夜静置したものを試験サンプルとした。これに濃度1.5質量%のヤシカリ液(pH10.0)に1時間浸漬させた後、被膜の状態を観察した。評価基準は、次の通りとした。
A・・・被膜が溶解した
B・・・被膜に膨潤が見られるが溶解していない
C・・・被膜に変化なし
e)使用感
専門の評価者により、使用試験を実施し、速乾性、フレーキングの有無、べたつきのなさ、仕上がり感、外観を評価した。また、評価の基準を次のように設定した。
3・・・優秀 評価者の85%以上が良好と回答
2・・・良好 評価者の70%以上85%未満が良好と回答
1・・・普通 評価者の55%以上70%未満が良好と回答
0・・・不良 評価者の55%未満が良好と回答
・実施例1〜4,比較例1〜4
表1及び表2に示す組成の手指用外用剤を調製した。調製方法としては、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンに、エタノールと中和剤として水酸化カリウムを加えて所定の中和率に調整後、更にスクワランとポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を加え、精製水にて100質量%とした。得られた各組成物の外観及び安定性、被膜の耐洗剤性及び洗浄性の4項目について評価した。結果を表1及び表2に示す。
Figure 0005413900
Figure 0005413900
表1及び表2から明らかなように、中和率は30〜60モル%が最適であることが確認された。中和率20モル%以下では組成物の外観、安定性、被膜の洗浄性が劣り、中和率70モル%以上では被膜の耐洗浄性が劣り、本発明の目的を達成できなかった。
・実施例5〜12,比較例5〜14
表3,4に記載の配合組成よりなる手指用外用剤を常法により調製し、被膜の柔軟性、被膜の耐水性、被膜の耐洗剤性、被膜の洗浄性、使用試験(速乾性、フレーキング、べたつきのなさ、仕上がり感)を評価し、その結果を表3,4に示した。
Figure 0005413900
表3より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例5〜12の手指用外用剤はいずれも優れた性能を示していた。
Figure 0005413900
一方表4に示すように、比較例5〜14を常法により調製したが、比較例6,8については被膜が形成されなかった。比較例6,8以外に関し、被膜の柔軟性、被膜の耐水性、被膜の耐洗剤性、速乾性、フレーキング、べたつきのなさ、仕上がり感のいずれかの特性が劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
その他の処方例を以下に示す。
実施例13(ハンドローション)
(成 分) (%)
・ダーマクリルAQF 20.0
(水酸化カリウムにて中和率45モル%に調整)
・エタノール 50.0
・グリセリン 1.0
・スクワラン 0.05
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンテトラデシルエーテル 0.5
・アロエエキス 2.0
・香料 0.04
・フェノキシエタノール 0.3
・精製水 残 部
上記成分を均一に混合して調製した上記組成のハンドローションは、被膜の柔軟性、被膜の耐水性、被膜の耐洗剤性、被膜の洗浄性、使用試験(速乾性、フレーキング、べたつきのなさ、仕上がり感)のいずれにおいても、良好な結果を得た。
実施例14(ハンドスプレー)
(成 分) (%)
・ダーマクリルAQF 5.0
(水酸化ナトリウムにて中和率50モル%に調整)
・3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート・ポリテトラメチレングリコール・N,N−アルキルメチルジエタノールアンモニウムモノアルキルサルフェート共重合体エマルション 0.2
・エタノール 60.0
・1,3−ブチレングリコール 1.0
・グリチルレチン酸ステアリル 0.02
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンテトラデシルエーテル 0.5
・ヒアルロン酸ナトリウム 2.0
・香料 0.04
・精製水 残 部
上記成分を均一に混合して調製した上記組成のハンドスプレーは、被膜の柔軟性、被膜の耐水性、被膜の耐洗剤性、被膜の洗浄性、使用試験(速乾性、フレーキング、べたつきのなさ、仕上がり感)のいずれにおいても、良好な結果を得た。

Claims (3)

  1. (A)共重合体中のカルボキシル基の中和率が30〜60モル%であるアクリル酸アルキル共重合体エマルジョンを固形分換算で0.5〜15質量%、(B)エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールから選ばれる1種または2種以上の一価アルコール20〜70質量%、(C)油剤0.005〜1質量%及び(D)非イオン界面活性剤を含有することを特徴とする手指用外用剤。
  2. 非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンテトラデシルエーテルである請求項1に記載の手指用外用剤。
  3. (A)共重合体中のカルボキシル基の中和率が30〜60モル%であるアクリル酸アルキル共重合体エマルジョンを固形分換算で0.5〜15質量%、(B)エチルアルコール、メチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールから選ばれる1種または2種以上の一価アルコール20〜70質量%、(C)油剤0.005〜1質量%及び(D)非イオン界面活性剤を含有する手指用外用剤を洗浄する方法であって、手指に塗布して形成された被膜をpH9以上のアルカリ性溶液で洗い流すことを特徴とする手指用外用剤の洗浄方法。
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