JP3936289B2 - エアゾール組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエアゾール組成物に関する。詳しくは、皮膚に冷却感を付与するとともに、皮膚表面の溝への浸透性に優れ、古い角質や汚れを除去する皮膚洗浄効果の高いエアゾール組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、皮膚洗浄剤としては、界面活性剤により汚れ成分を除去する一般的な洗浄剤や、樹脂を高濃度に配合した樹脂溶液を皮膚に吐出して吐出物を指で擦ると樹脂が皮膚表面で析出し、古い角質や汚れを除去するゴマージュ化粧料がある。
【0003】
前記一般的な洗浄剤は、界面活性剤により皮膚表面に付着している油性の汚れ成分を化学的に除去することができるが、皮膚にこびり付いた汚れ成分を洗浄するには容易ではない。
【0004】
一方、前記ゴマージュ化粧料は析出させた樹脂により物理的に洗浄することができるため、皮膚表面の汚れ成分だけでなく不要な角質も除去することができる。前記ゴマージュ化粧料としては、たとえば、クリーム状、乳液状、ジェル状、泡沫(泡)状、など種々の吐出形態があるが、クリーム状、乳液状、ジェル状に吐出する製品の場合は樹脂が高濃度で配合されているため塗り伸ばしにくい、乾燥性が悪いため樹脂の析出が遅い、洗浄効果が弱いなどの問題があった。泡沫状に吐出する場合は、発泡により容積が膨張するため単位容積当たりの樹脂濃度が低くなって塗り伸ばしやすくなる。
【0005】
このような泡沫(泡)状のゴマージュ化粧料としては、たとえば、結晶セルロース粉、粉体成分、油質成分、エタノール、水、添加成分とからなる原液と、液化石油ガスおよび/またはジメチルエ−テルを噴出剤としたエアゾール型パック剤が開示されている(例えば、特許文献1参照)。このものは吐出直後は水分を含んだ泥または泡状であり、手のひらなどで摩擦(マッサージ)すると次第に水分が蒸散して固まりつつ、垢のようになって剥脱する特徴を有している。また、被膜性樹脂を含有する非固着性水溶液をエアゾール化したゴマージュ化粧料が開示されている(例えば、特許文献2参照)。このものは、吐出後に摩擦を加えると消しゴムのかす状に樹脂成分などが析出する特徴を有している。しかし、いずれも、水を多く配合した水性原液と少量の液化ガスとからなり、吐出物に剪断を加えても水を多く含有しているため、揮発が遅く樹脂の析出時間が長くなり、擦りすぎなどによる皮膚への刺激が強くなる傾向があった。
【0006】
また、(a)粘着性固形分とこの粘着性固形分を分散する揮発性の分散媒とからなり、分散媒が揮発したときに前記粘着性固形分が析出する析出性粘着剤と、(b)揮発性油剤とを含有するゴマージュ化粧料が開示されている(例えば、特許文献3参照)。このものは、揮発性油剤を配合することで粘着性固形分の析出速度を調整できるとともに、析出した粘着性固形物が皮膚上の水に再分散や乳化するのを防止して、除去効果を維持でき、水に濡れた肌であっても使用することができる特徴を有している。さらにフォーム状で吐出することにより、皮膚との接触面積を増大することができ、揮発性油剤の揮発速度が増大する効果がある。しかし、樹脂の析出時間を短くできる手段ではあるが、揮発性油剤の揮発速度は速くなく、効果は少ない。
【0007】
さらに、アルカリ剤を用いて特定範囲の中和度に中和し水への溶解度(水溶性)を調整した樹脂を用いたエアゾール組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照)。このものは、吐出物に剪断を加えてから樹脂が析出するまでの時間(析出時間)を短くすることが可能となり、剪断を加えることによる皮膚表面の刺激を少なくできる特徴を有している。しかし、樹脂の中和度を特定範囲とし、水への溶解度を低下させることにより樹脂の析出時間を短くすることができるが、長期間保存した場合など樹脂が析出しやすくなり、エアゾールバルブや吐出部材などで詰まりやすくなるという問題があった。
【0008】
また、前記特許文献1〜4に開示されているものは、いずれも泡状で吐出するため皮膚上で塗り伸ばしやすくなるが、液密度が小さいため皮膚表面、特に皮膚表面の溝にまで浸透しにくく、皮膚表面の溝にある汚れ成分を除去することができない。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−169619号公報(段落番号[0006])
【特許文献2】
特開2000−186029号公報(段落番号[0007])
【特許文献3】
特開2001−139426号公報(段落番号[0005])
【特許文献4】
特開2002−104954号公報(段落番号[0009])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
皮膚表面への浸透性に優れ、皮膚表面の溝に入り込んだ汚れ成分をも除去することができる皮膚洗浄剤を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ポリウレタン、界面活性剤および水を含有する樹脂溶液10〜50重量%と、液化ガス50〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、
ポリウレタンの含有量が、樹脂溶液中5〜30重量%であり、
界面活性剤の含有量が、樹脂溶液中0.1〜10重量%であり、
樹脂溶液と液化ガスとが乳化しており、
冷却能を有するペースト状に吐出されるあるいは付着する、ゴマージュ化粧料用のエアゾール組成物に関する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、樹脂を5〜30重量%含有する樹脂溶液10〜60重量%と、液化ガス40〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、冷却能を有するペースト状に吐出されるあるいは付着するエアゾール組成物に関する。
【0013】
樹脂溶液を含むエアゾール組成物をペースト状に吐出するあるいは付着することで高濃度の樹脂溶液を皮膚表面の溝へ深く浸透させることができ、またペースト中に液化ガスを保持できるためペースト自体が冷却されて冷却感を付与することができると共に、ペースト中の液化ガスがゆっくりと気化して皮膚表面の溝に浸透したペーストが徐々に発泡し、溝内に付着している汚れ成分まで除去することができる。
【0014】
樹脂は、吐出物をペースト状にするための、また、吐出物に指などで剪断が加えられると析出し、皮膚の古い角質や汚れ成分を除去するための成分である。樹脂としては、たとえばポリウレタン、アクリル酸エチルなどのアクリル酸アルキル共重合体(エマルジョン)、アクリル酸アルキル−スチレン共重合体(エマルジョン)、クロトン酸−酢酸ビニル−ネオデカン酸ビニル共重合体、アクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸アルキルエステル−ジアセトンアクリルアミド−メタクリル酸共重合体などがあげられる。なかでも、ペースト状になりやすく皮膚の洗浄効果に優れる点、また樹脂の析出時間が短く、使用時に皮膚表面を傷付けない点で、ポリウレタン、アクリル酸アルキル共重合体(エマルジョン)、アクリル酸アルキル−スチレン共重合体(エマルジョン)が好ましい。
【0015】
樹脂の含有量は、樹脂溶液中5〜30重量%(固形分)である。含有量は8〜25重量%であることが好ましく、10〜20重量%であることがより好ましい。樹脂の含有量が樹脂溶液中に5重量%未満の場合は、ペースト状とはならずに泡状になりやすく、また吐出物からの樹脂の析出量が少なくなるため充分な洗浄効果が得られない。30重量%をこえる場合は、樹脂溶液やエアゾール組成物の粘度が高くなり取り扱いにくく、またエアゾールバルブなどで詰まり易くなる。
【0016】
また樹脂は、水に溶解しやすくするために、樹脂溶液調整時もしくは予めアルカリ剤で中和され、水溶性を有するものを用いることが好ましい。
【0017】
アルカリ剤としては、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、水酸化カリウムなどがあげられる。
【0018】
なお、吐出物から析出する樹脂の性状(強度やねばりなど)を調整するために、補助成分としての樹脂を含有してもよい。補助成分としての樹脂としては、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸オクチルアミド−アクリル酸ヒドロキシプロピル−メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸ヒドロキシエチル−アクリル酸ブチル−アクリル酸メトイシエチル共重合体、アクリル酸アルカノールアミン、ビニルピロリドン−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体硫酸塩、ヒドロキシエチルセルロース・ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルアルコールなどがあげられる。
【0019】
樹脂溶液は、樹脂を必須成分として含有するが、樹脂を溶解あるいは分散させる溶媒として水が用いられる。水としては特に限定がなく、精製水、イオン交換水、生理食塩水などがあげられる。
【0020】
さらに、溶媒には、溶媒の揮発を速くし、樹脂の析出時間を短くするために、また樹脂の溶解性を高くするために、低級アルコールを含有することができる。
【0021】
低級アルコールとしては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどがあげられる。
【0022】
低級アルコールを含有する場合の含有量は、樹脂溶液中1〜50重量%、さらには3〜40重量%であることが好ましい。低級アルコールの含有量が1重量%未満の場合は、低級アルコールを含有する効果が得られにくくなり、一方50重量%をこえる場合は、液化ガスと乳化しにくくなるため、吐出物はペースト状になりにくく、また吐出後発泡しにくくなる。また皮膚の脱脂効果が強く、皮膚にダメージを与える傾向がある。
【0023】
樹脂溶液には、液化ガスと樹脂溶液を乳化させてペースト状に吐出するあるいは付着するとともに、ペースト中に液化ガスを保持して吐出後時間経過に伴いゆっくりと発泡させて皮膚上で塗り伸ばしやすくする、洗浄効果を高くするために界面活性剤を含有することが好ましい。
【0024】
界面活性剤としては、非イオン型界面活性剤、アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤、両性型界面活性剤、高分子型界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などを用いることができる。
【0025】
非イオン型界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジ・トリ・テトラ・ヘキサ・デカなどのポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド、アルキルグルコシドなどがあげられる。
【0026】
アニオン型界面活性剤としては、脂肪酸のケン化物、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸石鹸、α−オレフィンスルホン酸塩などがあげられる。
【0027】
カチオン型界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンジルアンモニウム塩などがあげられる。
【0028】
両性型界面活性剤としては、酢酸ベタイン、レシチンなどがあげられる。
【0029】
高分子型界面活性剤としては、ポリアルキルビニルピリジニウム、アルキルフェノールポリマー誘導体、スチレン・マレイン酸重合物誘導体、アルキルビニルエーテルとマレイン酸の共重合物などがあげられる。
【0030】
シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・メチルポリシロキサン共重合体などがあげられる。
【0031】
これらの界面活性剤のなかでも、液化ガスとの乳化のしやすさ、乳化安定性に優れている点で、また皮膚への刺激が少なく、配合する成分の安定性を阻害しない点で、非イオン型界面活性剤、シリコーン系界面活性剤が好ましい。
【0032】
界面活性剤の含有量は、樹脂溶液中0.1〜10重量%、さらには0.5〜5重量%であることが好ましい。界面活性剤の含有量が0.1重量%未満の場合は、後述する液化ガスを乳化しにくくペースト状に吐出あるいは付着しにくくなり、また、吐出後発泡しにくくなる傾向がある。一方10重量%をこえる場合は、べとつきや皮膚への刺激性が強くなるなど使用感が悪くなる傾向がある。
【0033】
また樹脂溶液には、後述する液化ガスと乳化しやすくするために、乳化補助剤として粉末を含有することが好ましい。
【0034】
粉末としては、タルク、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、シリカ、ゼオライト、セラミックパウダー、シリコンパウダー、ナイロンパウダーなどがあげられる。なかでも、液化ガスを乳化させる効果が高い点で、タルクが好ましい。
【0035】
粉末を含有する場合の含有量は、樹脂溶液中0.1〜10重量%、さらには0.3〜5重量%が好ましい。粉末の含有量が0.1重量%未満の場合は、粉体を含有する効果が得られにくく、10重量%をこえる場合は、指などで吐出物に剪断を加え樹脂を析出させるときに粉末により皮膚を傷つける傾向がある。さらに、容器底部で沈降した粉末がケーキングしやすくなり、均一な組成物を吐出するのが困難となったり、エアゾールバルブなどで詰まりやすくなる傾向がある。
【0036】
また樹脂溶液には、析出物のべたつき感を無くし、皮膚上で剥がれやすくするなど、使用感を向上させるためにエラストマーを含有することが好ましい。
【0037】
エラストマーとしては、(シクロメチコン・ジメチコン)クロスポリマー、ジメチコンクロスポリマー、(ジメチコン・ビニルジメチコン)クロスポリマーなどのシリコーンエラストマーなどがあげられる。なかでも、特にべたつき感がなく、使用感に優れた析出物が得られる点で、(シクロメチコン・ジメチコン)クロスポリマー、ジメチコンクロスポリマーが好ましい。
【0038】
エラストマーを含有する場合の含有量は、樹脂溶液中0.1〜10重量%、さらには0.5〜5重量%であることが好ましい。エラストマーの含有量が0.1重量%未満の場合は、エラストマーを含有する効果が得られにくく、10重量%をこえる場合は、樹脂溶液中でエラストマーが分離しやすくなる傾向がある。
【0039】
さらに樹脂溶液には、用途や目的などに応じて有効成分やその他の成分を含有することができる。
【0040】
有効成分は、所望する効果や目的などに応じて適宜選択され、保湿剤、紫外線吸収剤、アミノ酸、ビタミン類、ホルモン類、各種抽出液、殺菌・防腐剤、消臭・防臭剤、各種香料などがあげられる。
【0041】
保湿剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1、3−ブチレングリコール、ジグリセリン、コラーゲン、キシリトール、ソルビトール、ヒアルロン酸、尿素、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチンなどがあげられる。
【0042】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸モノグリセリンエステル、アントラニル酸メチル、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシケイ皮酸オクチルなどがあげられる。
【0043】
アミノ酸としては、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニントリプトファン、シスチン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジンなどがあげられる。
【0044】
ビタミン類としては、レチノール、パルミチン酸レチノール、塩化ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチンなどがあげられる。
【0045】
ホルモン類としては、エラストラジオール、エチニルエストラジオールなどがあげられる。
【0046】
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどがあげられる。
【0047】
各種抽出液としては、ドクダミエキス、オウバクエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、キナエキス、クララエキス、サクラソウエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液などがあげられる。
【0048】
殺菌・防腐剤としては、メチルパラベン、エチルパラベンなどのパラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、感光素、ヘキサクロロフェン、パラクロルメタクレゾールなどがあげられる。
【0049】
消臭・防臭剤としては、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチルなどがあげられる。
【0050】
その他の成分としては多価アルコール、高級アルコール、油成分、可塑剤、PH調整剤、樹脂以外の高分子化合物などがあげられる。
【0051】
多価アルコールは、溶媒の一部として用いられたり、保湿剤、温感付与剤などとして用いられ、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコールなどがあげられる。
【0052】
高級アルコールは、発泡性、泡質、泡比重などを調整する整泡剤として用いられ、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコールなどがあげられる。
【0053】
油成分は、溶媒の一部として用いられたり、析出する樹脂の特性を調整するなど、使用感の向上させるなどの目的で用いられ、メチルポリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンなどシリコーン;ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸ブチル、乳酸セチル、オレイン酸オレイル、酢酸エチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジエトキシエチル、コハク酸ジエトキシエチル、リンゴ酸ジイソステアリルなどエステル油;ペンタン、ヘキサン、スクワラン、スクワレン、流動パラフィン、イソパラフィン、ケロシンなどの炭化水素;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸;ミツロウ、ラノリン、シリコンワックス、パラフィンワックスなどのロウ(ワックス);アボガド油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、ホホバ油、胚芽油、ヤシ油、パーム油などの油脂などがあげられる。
【0054】
可塑剤は、析出する樹脂の特性を調整する目的で用いられ、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリブチルなどのクエン酸エステル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジアミル、フタル酸ジエチルヘキシルなどのフタル酸エステル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル、イソ酪酸・酢酸スクロース、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジブチルなどのアジピン酸エステルなどがあげられる。
【0055】
PH調整剤は、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、アジピン酸、酒石酸、フタル酸、グリコール酸などの有機酸、リン酸2水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムなどがあげられる。
【0056】
樹脂以外の高分子化合物は、析出する樹脂の特性を調整するなどの目的で用いられ、寒天、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトルセルロース、結晶セルロース、変性ポテトスターチ、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウムなどがあげられる。
【0057】
樹脂溶液は、たとえば界面活性剤や必要に応じて含有されるエラストマー、粉末、有効成分などを添加した溶媒に樹脂を溶解あるいは分散させることにより調製することができる。
【0058】
本発明のエアゾール組成物は、樹脂溶液と液化ガスとをエアゾール容器に充填し、エアゾール容器を振とうするなどにより両者を乳化させることにより得られる。また予め樹脂溶液と液化ガスとを乳化させ、これをエアゾール容器に充填してもよい。
【0059】
樹脂溶液の含有量は、エアゾール組成物中10〜60重量%である。さらには15〜55重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることがより好ましい。樹脂溶液の含有量が10重量%未満の場合は、乳化が困難となり吐出物がペースト状になりにくく、また吐出物からの析出物量が少なくなり、所望の析出物量を得るには多量に吐出する必要があり経済的でない。一方60重量%をこえると、冷却能を有するペースト状に吐出あるいは付着できなくなり、皮膚表面への溝への浸透性が低下して洗浄効果が低下する。また樹脂の析出時間を短くする効果が得られにくい。ここで、冷却能とは、ペースト状吐出物が、皮膚を冷却する能力をいう。また、冷却能を有するペーストとは、吐出直後も液化ガスが樹脂溶液と乳化した状態で含まれており、冷たく粘性を有する液状物をいう。
【0060】
液化ガスは、樹脂溶液と乳化してその粘度が上昇し、樹脂溶液を含むエアゾール組成物を冷却能を有するペースト状に吐出するあるいは付着させるための、また皮膚表面の溝に浸透したペースト状の樹脂溶液を発泡させるための成分である。液化ガスとしては、ノルマルブタン、イソブタン、プロパンおよびこれらの混合物である液化石油ガス、ジメチルエーテル、およびこれらの混合物などがあげられる。なお発泡性を調整するために、ノルマルペンタンやイソペンタン、ヘキサンなどの液状の炭化水素とともに混合して用いてもよい。これらの液化ガスのなかでも、樹脂溶液と乳化しやすく、また乳化物の安定性に優れている点で、液化石油ガス、あるいは液化石油ガスを主成分とするジメチルエーテルとの混合ガス、例えば液化ガス中の液化石油ガスの割合が50重量%以上、好ましくは60重量%以上である混合ガスが好ましい。
【0061】
液化ガスの含有量は、エアゾール組成物中40〜90重量%である。さらには45〜85重量%であることが好ましく、50〜80重量%であることがより好ましい。液化ガスの含有量が40重量%未満の場合は、冷却能を有するペースト状になりにくく、通常の泡沫となって皮膚への浸透性が悪くなり、さらに、樹脂の析出時間を短くする効果が得られない。一方90重量%をこえると、樹脂溶液との乳化物が得られにくくなり、吐出物が泡状にならない。
【0062】
かくして得られるエアゾール組成物は吐出時に樹脂溶液と乳化している液化ガスの一部が気化して自己を冷却しペースト状とするとともに、ペースト状態では内部に液化ガスが保持されているため、ペースト内の液化ガスがゆっくりと気化して皮膚を冷却する冷却能を有する。ペースト状に吐出するあるいは付着させることにより高濃度の樹脂溶液を皮膚表面の溝へ深く浸透させることができ、さらにペースト中の液化ガスがゆっくりと気化して皮膚表面の溝に浸透したペーストが徐々に発泡し、溝内に付着している汚れ成分まで除去することができる。なお、エアゾール組成物の吐出形態としては、エアゾール容器に装着される吐出部材の吐出孔よりペースト状に吐出してもよく、霧状に噴射してペースト状に付着させてもよい。また吐出物に指などでせん断を加えたときの樹脂が析出する時間は短いため皮膚に吐出して指でこすっても皮膚表面を傷付けることがない。さらに、従来のゴマージュ化粧料に比べて製品1本当たりの樹脂量が少なくなるためコストが安くなる。
【0063】
つぎに、本発明の発泡性エアゾール組成物を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかわる実施例のみに限定されるものではない。
【0064】
【実施例】
以下の組成にて樹脂溶液1〜6を調製した。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
<樹脂溶液5>
樹脂溶液1でポリウレタンを40.0重量%とし、さらにエタノールを加える代わりに、精製水を51.3重量%加えた以外は樹脂溶液1と同様の組成で樹脂溶液を調整した。
【0069】
<樹脂溶液6>
樹脂溶液1でポリウレタンを60.0重量%とし、精製水を16.3重量%とした以外は樹脂溶液1と同様の組成で樹脂溶液を調整した。
【0070】
<エアゾール組成物の調製>
実施例1および2、比較例1および2
エアゾール容器(耐圧性ガラス容器:満注量100ml)に前記樹脂溶液1を表1記載の割合で充填し、次いで、液化ガスとして液化石油ガス(25℃での蒸気圧が0.40MPa)を、表1記載の割合でアンダーカップ充填にて充填し、バルブを取りつけた。つぎに、容器を振とうすることにより樹脂溶液および液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を調製した。ここで、前記液化石油ガスはプロパン、ノルマルブタン、イソブタンの混合物を用いた。
【0071】
実施例3および4、比較例3および4
樹脂溶液2を用いた以外は、実施例1および2、比較例1および2と同様にして、エアゾール組成物を調製した。
【0072】
実施例5および6、比較例5および6
樹脂溶液3を用いた以外は、実施例1および2、比較例1および2と同様にして、エアゾール組成物を調製した。
【0073】
実施例7および8、比較例7および8
樹脂溶液4を用いた以外は、実施例1および2、比較例1および2と同様にして、エアゾール組成物を調製した。
【0074】
実施例9
エアゾール容器(耐圧性ガラス容器:満注量100ml)に樹脂溶液1を30重量%充填し、次いで、液化ガスとして液化石油ガス(25℃での蒸気圧が0.2MPa)とジメチルエーテルとの混合ガス(重量比:液化石油ガス/ジメチルエーテル=80/20)70重量%をアンダーカップ充填にて充填し、バルブを取りつけた。つぎに、容器を振とうすることにより樹脂溶液および液化ガスを乳化させてエアゾール組成物を調製した。ここで、前記液化石油ガスはノルマルブタン、イソブタンの混合物を用いた。
【0075】
実施例10
樹脂溶液1を40重量%充填し、液化ガスとして液化石油ガス(25℃での蒸気圧が0.2MPa)とジメチルエーテルとの混合ガス(重量比:液化石油ガス/ジメチルエーテル=70/30)を60重量%充填した他は実施例9と同様にしてエアゾール組成物を調製した。
【0076】
実施例11
樹脂溶液5を40重量%充填し、液化ガスとして液化石油ガス(25℃での蒸気圧が0.2MPa)とジメチルエーテルとの混合ガス(重量比:液化石油ガス/ジメチルエーテル=80/20)を60重量%充填した他は実施例9と同様にしてエアゾール組成物を調製した。
【0077】
実施例12
樹脂溶液6を30重量%充填し、液化ガスとして液化石油ガス(25℃での蒸気圧が0.2MPa)とジメチルエーテルとの混合ガス(重量比:液化石油ガス/ジメチルエーテル=70/30)を70重量%充填した他は実施例9と同様にしてエアゾール組成物を調製した。
【0078】
評価方法および評価結果
1.吐出物の状態
実施例1〜8および比較例1〜8については倒立用スパウトを、実施例9〜12については吐出孔がストレート形状であり吐出孔径が0.9mmである噴射ボタンを装着してエアゾール組成物を手のひらに吐出し、吐出物の状態を評価した。評価結果を表1〜5に示した。
評価基準
◎1:非常に冷たいペースト状で吐出され、時間経過と共にゆっくりと発泡した。
◎2:霧状に噴射されて非常に冷たいペースト状に付着し、時間経過と共にゆっくりと発泡した。
○1:一部発泡しているが、冷たいペースト状で吐出され、時間経過と共に泡が増大した。
○2:霧状に噴射されて一部が発泡した冷たいペースト状に付着し、時間経過と共に泡が増大した。
×:冷たさを感じない泡状で吐出され、時間経過しても泡の大きさに変化は見られなかった。
【0079】
2.樹脂の析出時間
実施例1〜12および比較例1〜8のエアゾール組成物を手のひらに吐出し、吐出物を指で円を描くように塗り伸ばしてから樹脂が析出するまでの時間を測定した。樹脂が析出するまでの時間を表1〜5に示した。
【0080】
3.洗浄性
手の甲に市販のファンデーションを塗り、実施例1〜12および比較例1〜8のエアゾール組成物を吐出した。吐出物にせん断を加えたのち水洗いし、ファンデーションが除去されている様子を評価した。結果を表1〜5に示した。
◎:溝内にもファンデーションの残留は認められない。
○:わずかに溝内にファンデーションが残留しているが、問題ない。
×:溝内にファンデーションが残留しており、溝にそって線状に付着している。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
以上のように、樹脂溶液に液化ガス(液化石油ガス)を10%程度含有した場合、吐出物は吐出直後から泡状であり、泡は冷たくなくまたその泡の形状はほとんど変化しなかった。30重量%でも余り変化はみられなかった。50重量%含有の場合は、吐出直後はわずかに発泡しているが、冷たいペースト状であり、時間経過と共に泡の大きさが増大した。70重量%含有の場合は、吐出直後は非常に冷たいペースト状であり、さらに時間経過と共に泡状となり、その容積はゆっくりと増大しまた樹脂の析出時間も、液化ガス量を多く配合すると短くなることがわかる。また、液化ガスとして液化石油ガスとジメチルエーテルの混合ガスを用い、所定量配合した場合は、霧状で噴射すると非常に冷たいペースト状態で付着し、さらに時間経過と共に泡状となり、その容積はゆっくりと増大した。さらに、ペースト状で吐出あるいは付着した場合、皮膚の溝内に浸透しやすく溝内のファンデーションも除去することができ、洗浄効果が非常に高いことがわかる。
【0087】
【発明の効果】
樹脂を5〜30重量%含有する樹脂溶液10〜60重量%と、液化ガス40〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、冷却能を有するペースト状に吐出されるあるいは付着するエアゾール組成物により、皮膚表面への浸透性に優れ、汚れ成分を除去する効果が高くなる。該吐出物に剪断を加えることにより樹脂が析出するが、樹脂溶液と液化ガスとを特定の配合比とすることにより樹脂の析出時間が短くなり、皮膚への刺激を抑えることができる。
Claims (5)
- ポリウレタン、界面活性剤および水を含有する樹脂溶液10〜50重量%と、液化ガス50〜90重量%とからなるエアゾール組成物であって、
ポリウレタンの含有量が、樹脂溶液中5〜30重量%であり、
界面活性剤の含有量が、樹脂溶液中0.1〜10重量%であり、
樹脂溶液と液化ガスとが乳化しており、
冷却能を有するペースト状に吐出されるあるいは付着する、ゴマージュ化粧料用のエアゾール組成物。 - さらに、樹脂溶液中にエラストマー0.1〜10重量%を含有する請求項1記載のエアゾール組成物。
- 樹脂溶液の含有量が10〜40重量%、液化ガスの含有量が60〜90重量%である請求項1または2記載のエアゾール組成物。
- 液化ガスが、液化石油ガス、あるいは液化石油ガスとジメチルエーテルとの混合ガスである請求項1〜3のいずれかに記載のエアゾール組成物。
- 液化ガスが、液化石油ガスとジメチルエーテルとの混合ガスであり、液化ガス中の液化石油ガスの割合が60重量%以上である請求項4記載のエアゾール組成物。
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