JP5413528B2 - 画像形成装置および制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、画像形成装置および制御方法に関する。
画像データを処理する画像処理装置として、パーソナルコンピュータやワークステーションなどが存在する。このような画像処理装置で動作するアプリケーションソフトによって種々のオブジェクト(文字や塗り、線、写真)からなる画像データが形成される。
この画像データを画像として形成出力する画像形成装置として、プリンタやファクシミリ、複写装置、またこれらの複合機などが存在する。画像形成方法としては、例えば、インクジェット記録方式や電子写真方式などが存在し、それぞれ記録液(インク)やトナーなどの画像形成材を使用して画像を形成する。
このような画像形成装置で、インクジェット方式によりディジタル画像記録を行う装置が急速に発展および普及している。
一般に、インクジェット記録装置には、記録手段(プリントヘッド)、インクタンクを搭載するキャリッジ、記録紙を搬送する搬送手段およびこれらを制御する制御手段が具備されている。現在は、インクジェット記録方式としていわゆるシリアル方式が一般的である。
シリアル方式は、複数の吐出口からインク液滴を吐出させるプリントヘッドを記録紙の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)にシリアルスキャンさせ、一方で非記録時に記録幅に等しい量で間欠搬送するものである。
さらに、カラー対応のインクジェット記録装置の場合には、複数色のプリントヘッドから吐出されるインク液滴の重ね合わせによりカラー画像を形成している。
ところで、画像形成を速くするために主走査方向走査の往路および復路でインク液滴を吐出するいわゆる双方向印刷技術が存在する。また、多くのインクジェット記録装置は、インク節約などを目的とする単色印刷モードを備える。さらにはインクジェット記録装置のコスト低減の方法の1つとしてプリントヘッドを少なくすることが求められている。そして、これらの3点を実現した上で高速化と高画質化が求められている。以下に、高速化と高画質化についての課題を説明する。
(双方向印刷での高画質化)
双方向印刷特有の課題として、主走査方向に現れる帯ムラが存在する(ここでは双方向色差と呼ぶ)。双方向色差とは、往路での色の重ね順と復路でのインクの重ね順が変わるために、著しい色差を生じて起きる現象である。
双方向印刷特有の課題として、主走査方向に現れる帯ムラが存在する(ここでは双方向色差と呼ぶ)。双方向色差とは、往路での色の重ね順と復路でのインクの重ね順が変わるために、著しい色差を生じて起きる現象である。
例えば、赤を形成する場合、マゼンタインクとイエローインクの混色により発色させるが、マゼンタインクを吐出したところにイエローインクを吐出すると、マゼンタ色に近い赤になる。その逆順で吐出する場合はイエローに近い赤になる。すなわち、最初に着色した色が支配的となる。
インク中に溶解している染料インクと違い、粒子状の着色剤成分が分散している顔料インクまたは着色樹脂エマルジョン入りインクでは重ね順の影響が大きいため、このような現象が非常に大きな課題となる。双方向色差の課題は、各方向でのインク重ね順を統一することで解決できる。
(単色印字の高速化)
シリアルスキャン方式では、高速化のためにヘッド幅を長くする手法がある。これにより2倍での画像形成幅が広くなり、結果として画像形成終了が速くなる。このような手法を適用し、単色印字を高速化することは可能である。すなわち、特定のインク用に長いヘッドを用意する、または特定のインク用に吐出ノズル数を多くするなどの様々な手法が提案されている。
シリアルスキャン方式では、高速化のためにヘッド幅を長くする手法がある。これにより2倍での画像形成幅が広くなり、結果として画像形成終了が速くなる。このような手法を適用し、単色印字を高速化することは可能である。すなわち、特定のインク用に長いヘッドを用意する、または特定のインク用に吐出ノズル数を多くするなどの様々な手法が提案されている。
上記のような高速化と高画質化の課題を解消するために、例えば、特許文献1では、ノズル列方向にカラーノズルを配置し、カラーインクの双方向着弾順を統一することで双方向色差を低減する技術が提案されている。特許文献1の方法では、黒ノズルをカラーノズルと別に備えることで黒単色印刷の高速化を実現している。
また、特許文献2では、黒ノズルの長さをカラーノズルの長さの2倍以上にすることで双方向着弾順統一と黒単色印刷の高速化を実現する技術が提案されている。
また、特許文献3では、主走査の往路と復路で使用するヘッドを切り替えることで双方向着弾順を統一させる技術が提案されている。
また、特許文献4では、左右対称にカラーノズルを配置し、かつそれらを副走査方向に並べることで双方向着弾順統一と画像形成高速化を図る技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、独立に配置する黒ノズルも含めた着弾順の統一ができないという問題があった。また、その他の特許文献の方法では、特殊な構成のヘッドまたは複数のヘッドが必要となるという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より簡易なヘッド構成で、双方向印刷時の着弾順の統一、および、単色印刷の高速化を実現できる画像形成装置および制御方法を適用することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、予め定められた特定種類の液滴を含むp種類(pは3以上の整数)の液滴のうちいずれかを吐出する複数のノズルを記録媒体の搬送方向に配列し、前記搬送方向の直交方向に互いに隣接する第1ノズル列および第2ノズル列を有する記録ヘッドと、前記記録媒体と前記記録ヘッドとを前記直交方向に相対的に往復移動する移動手段と、前記ノズルからの前記液滴の吐出を制御する制御手段と、を備え、前記第1ノズル列および前記第2ノズル列の複数の前記ノズルは、前記搬送方向に(p−1)個のノズル群にそれぞれ分割され、前記第1ノズル列および前記第2ノズル列それぞれの前記搬送方向k番目(1≦k≦p−1)のノズル群のうち、一方が前記特定種類の前記液滴を吐出し、他方が前記特定種類以外の前記液滴を吐出し、前記特定種類以外の前記液滴を吐出する(p−1)個のノズル群は、前記特定種類の液滴以外の(p−1)種類のうち互いに異なる前記液滴をそれぞれ吐出し、前記搬送方向(p−1)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とは互いに異なるノズル列に属し、前記制御手段は、前記往復移動の方向のうち、一方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−1)番目および(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とに含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出し、他方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群に含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出すること、を特徴とする。
また、本発明は、予め定められた特定種類を含むp種類(pは3以上の整数)の液滴のうちいずれかを吐出する複数のノズルを記録媒体の搬送方向に配列し、前記搬送方向の直交方向に互いに隣接する第1ノズル列および第2ノズル列を有する記録ヘッドを備える画像形成装置で実行される制御方法であって、前記第1ノズル列および前記第2ノズル列の複数の前記ノズルは、前記搬送方向に(p−1)個のノズル群にそれぞれ分割され、前記第1ノズル列および前記第2ノズル列それぞれの前記搬送方向k番目(1≦k≦p−1)のノズル群のうち、一方が前記特定種類の前記液滴を吐出し、他方が前記特定種類以外の前記液滴を吐出し、前記特定種類以外の前記液滴を吐出する(p−1)個のノズル群は、前記特定種類の液滴以外の(p−1)種類のうち互いに異なる前記液滴をそれぞれ吐出し、前記搬送方向(p−1)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とは互いに異なるノズル列に属し、前記記録媒体と前記記録ヘッドとを前記直交方向に相対的に往復移動する移動ステップと、前記往復移動の方向のうち、一方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−1)番目および(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とに含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出し、他方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群に含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出する制御ステップとを含むことを特徴とする。
本発明によれば、より簡易なヘッド構成で、双方向印刷時の着弾順の統一、および、単色印刷の高速化を実現できるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置および制御方法の一実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態の画像形成装置は、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録方式に適用され、以下の機能を実現する。
(1)双方向印刷時の着弾順の統一
ノズル配置とプリントヘッド移動動作および搬送動作により着弾順を統一する。カラー印刷時には黒ノズルを片方向走査時に駆動し、カラーノズルを双方向走査時に駆動する。さらに搬送量を駆動したカラーノズル幅にすることで、少なくとも3回の走査で画像を形成する。
(2)高速な単色印刷
少なくともカラーノズルの3倍幅のノズル群を1つ備えたプリントヘッド構成とする。このノズル群のみを使う印刷モードを設けることで全色ノズルを使った画像形成の約3倍で単色印刷が可能となる。
(3)簡単なヘッド・ノズル構成
2列以上のノズル列と、ノズル列方向に少なくとも2つのノズル群を設けるプリントヘッド構成とする。また、ノズル孔への色剤供給路のレイアウト上、異なる色剤間で使用不可となるノズルが生じた場合にも対応可能である。
第1の実施の形態の画像形成装置は、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録方式に適用され、以下の機能を実現する。
(1)双方向印刷時の着弾順の統一
ノズル配置とプリントヘッド移動動作および搬送動作により着弾順を統一する。カラー印刷時には黒ノズルを片方向走査時に駆動し、カラーノズルを双方向走査時に駆動する。さらに搬送量を駆動したカラーノズル幅にすることで、少なくとも3回の走査で画像を形成する。
(2)高速な単色印刷
少なくともカラーノズルの3倍幅のノズル群を1つ備えたプリントヘッド構成とする。このノズル群のみを使う印刷モードを設けることで全色ノズルを使った画像形成の約3倍で単色印刷が可能となる。
(3)簡単なヘッド・ノズル構成
2列以上のノズル列と、ノズル列方向に少なくとも2つのノズル群を設けるプリントヘッド構成とする。また、ノズル孔への色剤供給路のレイアウト上、異なる色剤間で使用不可となるノズルが生じた場合にも対応可能である。
まず、第1の実施の形態の画像形成装置としてのインクジェット記録装置の一例について図1から図4を参照して説明する。図1は、インクジェット記録装置1の機構部全体の概略構成図である。図2は、インクジェット記録装置1の要部平面説明図である。図3は、インクジェット記録装置1のヘッド構成を説明する斜視説明図である。図4は、インクジェット記録装置1の搬送ベルトの模式的断面説明図である。
インクジェット記録装置1は、装置本体の内部に画像形成部2等を有し、装置本体の下方側に多数枚の記録媒体(以下「用紙」という。)3を積載可能な給紙トレイ4を備え、この給紙トレイ4から給紙される用紙3を取り込み、搬送機構5によって用紙3を搬送しながら画像形成部2によって所要の画像を記録した後、装置本体の側方に装着された排紙トレイ6に用紙3を排紙する。
また、インクジェット記録装置1は、装置本体に対して着脱可能な両面ユニット7を備え、両面印刷を行うときには、一面(表面)印刷終了後、搬送機構5によって用紙3を逆方向に搬送しながら両面ユニット7内に取り込み、反転させて他面(裏面)を印刷可能面として再度搬送機構5に送り込み、他面(裏面)印刷終了後排紙トレイ6に用紙3を排紙する。
ここで、画像形成部2は、ガイドシャフト11、12にキャリッジ13を摺動可能に保持し、図示しない主走査モータでキャリッジ13を用紙3の搬送方向と直交する方向に移動(主走査)させる。このキャリッジ13には、液滴を吐出する複数の吐出口であるノズル孔14n(図3参照)を配列した液滴吐出ヘッドで構成した記録ヘッド14を搭載し、また、この記録ヘッド14に液体を供給するインクカートリッジ15を着脱自在に搭載している。なお、インクカートリッジ15に代えてサブタンクを搭載し、メインタンクからインクをサブタンクに補充供給する構成とすることもできる。
ここで、記録ヘッド14としては、例えば、図2および図3に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドである独立した4個の記録ヘッド14y、14m、14c、14kとしているが、各色のインク滴を吐出する複数のノズル列を有する1または複数のヘッドを用いる構成とすることもできる。なお、色の数および配列順序はこれに限るものではない。
記録ヘッド14を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータや発熱抵抗体などの電熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを、インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
電熱変換素子には、低い電圧が加わっても抵抗値が変化しにくく、一定以上の電圧が加わった際に抵抗値が大きく変化する非線形な特性を有する電熱変換素子を用いることができる。
線形な特性を有する電熱変換素子では、複数の発熱手段を選択的に駆動する際に、非選択の発熱手段にノイズ電圧が加わり、エネルギーを浪費したり、また駆動電圧に影響を与えてインクの吐出量が変化し、記録画像に影響を与えたりする恐れがある。特に、複数の縦配線と複数の横配線とに電圧を印加して、縦配線と横配線との交点にマトリクス状に配置された発熱手段を選択的に駆動するインクジェット記録ヘッドでは、駆動の過程で非選択の発熱手段に駆動電圧より低い電圧が印加される恐れがあり、この電圧が順方向である場合には、非選択の発熱手段に不要な発熱が生じることになる。不必要な発熱が生じて熱が蓄積されると、いざ吐出される際に加熱すると規定以上に発熱し、その結果必要以上の量のインクが吐出される。そのため、ノズル毎のインク吐出量にばらつきが生じる。
ところが、非線形な特性を有する電熱変換素子を用いれば、ノイズなどの駆動電圧よりも低い電圧が発熱手段に加わっても不要な発熱が生じないため、インクの吐出量のばらつきが抑制でき、印刷物の粒状性、階調性が良好となる。また、不必要な発熱を防ぐことができるため、エネルギーの浪費を防ぐことができる。
また、記録ヘッドの各電熱変換素子の抵抗値を測定し、その抵抗値に基づいて各電熱変換素子に印加する駆動電圧を調整することができる。特に記録ヘッドが長尺化した場合には、ノズル毎の電熱変換素子の抵抗値にばらつきが生じやすくなり、その結果、吐出されるインク量にばらつきが生じる。しかし、各電熱抵抗素子の抵抗値をフィードバックして印加電圧を調整することで、狙いの大きさのインク滴を吐出することができる。
さらに、サーマル方式の記録ヘッドを用いる場合、電熱変換素子(吐出エネルギー発生体)に保護層を設けてもよい。保護層を設けることで、インクによる浸食、コゲーション(インク成分の焦げ付き)やキャビテーション(気泡収縮時の衝撃による破壊)が直接電熱変換素子に作用しなくなる。電熱変換素子を痛めつけることがないので、電熱変換素子の寿命を長くすることができる。
給紙トレイ4の用紙3は、給紙コロ(半月コロ)21と図示しない分離パッドによって1枚ずつ分離され装置本体内に給紙され、搬送機構5に送り込まれる。
搬送機構5は、給紙された用紙3をガイド面23aに沿って上方にガイドし、また両面ユニット7から送り込まれる用紙3をガイド面23bに沿ってガイドする搬送ガイド部23と、用紙3を搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24に対して用紙3を押し付ける加圧コロ25と、用紙3を搬送ローラ24側にガイドするガイド部材26と、両面印刷時に戻される用紙3を両面ユニット7に案内するガイド部材27と、搬送ローラ24から送り出す用紙3を押圧する押し付けコロ28とを有している。
さらに、搬送機構5は、記録ヘッド14で用紙3の平面性を維持したまま搬送するために、駆動ローラ31と従動ローラ32との間に掛け渡した搬送ベルト33と、この搬送ベルト33を帯電させるための帯電ローラ34と、この帯電ローラ34に対向するガイドローラ35と、図示しないが、搬送ベルト33を画像形成部2に対向する部分で案内するガイド部材(プラテンプレート)と、搬送ベルト33に付着した記録液(インク)を除去するためのクリーニング手段である多孔質体などからなるクリーニングローラなどを有している。
ここで、搬送ベルト33は、無端状ベルトであり、駆動ローラ31と従動ローラ(テンションローラ)32との間に掛け渡されて、図1の矢示方向(用紙搬送方向)に周回するように構成している。
この搬送ベルト33は、単層構成、または図4に示すように第1層(最表層)33aと第2層(裏層)33bの2層構成または3層以上の構成とすることができる。例えば、この搬送ベルト33は、抵抗制御を行っていない純粋な厚さ40μm程度の樹脂材、例えばETFEピュア材で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とで構成する。
帯電ローラ34は、搬送ベルト33の表層に接触し、搬送ベルト33の回動に従動して回転するように配置されている。この帯電ローラ34には図示しない高圧回路(高圧電源)から高電圧が所定のパターンで印加される。
また、搬送機構5から下流側には画像が記録された用紙3を排紙トレイ6に送り出すための排紙ローラ38が備えられている。
このように構成したインクジェット記録装置1で、搬送ベルト33は矢示方向に周回し、高電位の印加電圧が印加される帯電ローラ34と接触することで正に帯電される。この場合、帯電ローラ34からは所定の時間間隔で極性を切り替えることによって、所定の帯電ピッチで帯電させる。
ここで、この高電位に帯電した搬送ベルト33上に用紙3が給送されると、用紙3内部が分極状態になり、搬送ベルト33上の電荷と逆極性の電荷が用紙3の搬送ベルト33と接触している面に誘電され、搬送ベルト33上の電荷と搬送される用紙3上に誘電された電荷同士が互いに静電的に引っ張り合い、用紙3は搬送ベルト33に静電的に吸着される。このようにして、搬送ベルト33に強力に吸着した用紙3は反りや凹凸が校正され、高度に平らな面が形成される。
そこで、搬送ベルト33を周回させて用紙3を移動させ、キャリッジ13を片方向または双方向に移動走査しながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動し、図5(a)、(b)に示すように、記録ヘッド14から液滴14iを吐出(噴射)させて、停止している用紙3に液滴であるインク滴を着弾させてドットDiを形成することにより、1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了する。なお、図5(b)は図5(a)のドットDi形成部分を拡大したものである。
このようにして、画像が記録された用紙3は排紙ローラ38によって排紙トレイ6に排紙される。
次に、インクジェット記録装置1の制御部の概要について図6を参照して説明する。なお、図6は、制御部100の全体ブロック説明図である。制御部100は、インクジェット記録装置1全体の制御を司るCPU101と、CPU101が実行するプログラム、その他の固定データを格納するROM102と、画像データ等を一時格納するRAM103と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)104と、各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC105とを備えている。
また、制御部100は、パーソナルコンピュータ等の画像処理装置であるホスト90側とのデータや信号の送受を行うためのI/F106と記録ヘッド14を駆動制御するためのヘッド駆動制御部107およびヘッドドライバ108、主走査モータ110を駆動するための主走査モータ駆動部111、副走査モータ112を駆動するための副走査モータ駆動部113、環境温度および/または環境湿度を検出する環境センサ118、図示しない各種センサからの検知信号を入力するためのI/O116などを備えている。
主走査モータ駆動部111は、CPU101からの指示に基づいて、主走査モータ110を回転駆動させてキャリッジ13を主走査方向の往路および復路方向に移動させる。主走査モータ駆動部111が、用紙3(記録媒体)と記録ヘッド14とを相対的に往復移動する移動手段として機能する。なお、図6の構成は一例であり、用紙3(記録媒体)と記録ヘッド14とを相対的に往復移動可能な方法であれば、従来から用いられているあらゆる方法を適用できる。
また、制御部100には、インクジェット記録装置1に必要な情報の入力および表示を行うための操作パネル117が接続されている。さらに、制御部100は、帯電ローラ34に対する高電圧を印加する高圧回路(高圧電源)114のオン/オフの切り替えおよび出力極性の切り替え制御を行う。
ここで、制御部100は、パーソナルコンピュータ等のデータ処理装置、イメージスキャナなどの画像読み取り装置、デジタルカメラなどの撮像装置などのホスト90側からの画像データを含む印刷データ等をケーブル或いはネットを介してI/F106で受信する。なお、制御部100に対する印刷データの生成出力は、ホスト90側のプリンタドライバ91によって行うようにしている。
そして、CPU101は、I/F106に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC105にてデータの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部107に画像データを転送する。なお、画像出力するための印刷データのビットマップデータへの変換は、前述したようにホスト90側のプリンタドライバ91で画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしているが、例えばROM102にフォントデータを格納して行ってもよい。
ヘッド駆動制御部107は、記録ヘッド14の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を受け取ると、この1行分のドットパターンデータを、クロック信号に同期して、ヘッドドライバ108にシリアルデータで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号をヘッドドライバ108に送出する。
このヘッド駆動制御部107は、駆動波形(駆動信号)のパターンデータを格納したROM(ROM102で構成することもできる。)と、このROMから読出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路およびアンプ等で構成される駆動波形発生回路を含む。
また、ヘッドドライバ108は、ヘッド駆動制御部107からのクロック信号および画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタと、シフトレジスタのレジスト値をヘッド駆動制御部107からのラッチ信号でラッチするラッチ回路と、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)と、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含み、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動波形を選択的に記録ヘッド14のアクチュエータ手段に印加してヘッドを駆動する。
ヘッド駆動制御部107およびヘッドドライバ108が、ノズルからの液滴の吐出を制御する制御手段として機能する。
また、本実施の形態では、プリント媒体の少なくとも一部の縁部に対して余白を設けないで印刷を行うこともできる。
プリント媒体の縁部ギリギリまで印刷するようにインクを噴射しても、実際にはプリント媒体の搬送系の送り誤差、キャリッジの駆動誤差等により理想とする着弾位置にインクを着弾させることができない場合が多々ある。これにより、余白を設けない印刷を行う場合であっても余白が作成される場合がある。このため、印刷位置の誤差を加味して理想より広めに印刷することとなり、どうしてもプリント媒体外にもインクを吐出することになる。プリント媒体からはみ出すインクは記録に寄与しないため、無駄なインク消費である。そのため、はみ出しインクを極力減らすことが望ましい。
はみ出しインクを減らす方法として、例えば、プリント媒体の搬送精度を上げる方法がある。搬送精度を高めて想定するはみ出し領域を小さくすることで、無駄なはみ出しインクを減らすことができる。具体的には、プリント媒体端部を印刷する際には、プリント媒体の送りを微小にして、搬送精度を高めることが挙げられる。
次に、インクジェット記録装置1によって画像を形成するために画像データを転送するホスト側となるプリンタドライバを含む画像処理装置の例について図7を参照して説明する。プリンタドライバ91は、アプリケーションソフトなどから与えられた画像データをモニター表示用の色空間から記録装置用の色空間への変換(RGB表色系→CMY表色系)を行うCMM(Color Management Module)処理部131、CMYの値から黒生成/下色除去を行うBG/UCR(Black Generation/Under Color Removal)処理部132、記録装置の特性やユーザの嗜好を反映した入出力補正を行うγ補正部133、記録装置の解像度に合わせて拡大処理を行うズーミング(Zooming)部134、画像データを記録装置から噴射するドットのパターン配置に置き換える多値・少値マトリクスを含む中間調処理部135を含んでいる。
このように、第1の実施の形態は、いわゆるシリアル方式のインクジェット記録方式に適用される(図2)。すなわち、色剤を吐出する複数のノズルを備える少なくとも1つの記録ヘッド14を駆動する手段(ヘッド駆動制御部107およびヘッドドライバ108)と、記録ヘッド14を移動させる手段(主走査モータ駆動部111)と、記録媒体を搬送する手段(副走査モータ駆動部113)を持つ構成を想定している。
次に、第1の実施の形態の記録ヘッド14のノズルの配置、主走査モータ駆動部111によるヘッド移動制御および副走査モータ駆動部113による搬送制御の詳細について説明する。以下では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4種類の色剤を使用する例を説明する。また、この4色のうち、ブラック(K)が単色印刷する予め定められた特定種類の色(以下、特定色という)として用いられる場合を例に説明する。
以下に示す記録ヘッド14の構成、ヘッド移動制御および搬送制御により、双方向走査の着弾順を統一できる。さらに、第1色剤のみを使用する印刷モードを複数の色剤を使用する印刷モードよりも高速に実行することができる。
図8は、第1の実施の形態の記録ヘッド14のノズルの配置の一例を示す図である。図8に示すように、記録ヘッド14は、用紙の搬送方向と直交する方向に互いに隣接する第1ノズル列および第2ノズル列を有する。各ノズル列に含まれるノズルは、搬送方向の上流側から下流側に順に第1群から第3群の3つのノズル群に分割される。同一のノズル群に属するノズルは、互いに同一色の液滴を吐出する。
図8では、第1ノズル列の第1群、第2群、および第3群が、それぞれ第1色剤(以下、ブラック(K)とする)、第2色剤(以下、シアン(C)とする)、および第3色剤(以下、イエロー(Y)とする)のノズルを含む例が示されている。また、図8では、第2ノズル列の第1群、第2群、および第3群が、それぞれ第4色剤(以下、マゼンタ(M)とする)、第1色剤、および第1色剤のノズルを含む例が示されている。
このように、第1の実施の形態では、第1ノズル列および第2ノズル列それぞれの搬送方向k番目(kは、1≦k≦(色数−1)を満たす整数)のノズル群のうち、一方が特定色(ブラック)の液滴を吐出し、他方が特定色以外の液滴を吐出するように構成される。
また、図8に示すように各ノズル群に属するノズルは同数(図8では4)である。単色印刷する第1色剤(K)のノズル数は3群分で12ノズルである。このように各ノズル群に属するノズル数を同じにすることで、画像形成時に全てのノズルを効率よく利用できる。
なお、図8のヘッド構成は一例であり、例えば以下のようなヘッド構成としてもよい。すなわち、p種類(pは3以上の整数)の色剤を使って画像形成し、第1ノズル列を(p−1)群に分割し、第1群を第1色剤に対応させ、第k群(kは、2≦k≦(p−1)を満たす整数)を第k色剤に対応させる。また、第2ノズル列を(p−1)群に分割し、第1群を第p色剤に対応させ、第2群から第(p−1)群を第1色剤に対応させる。
次に、図8のように構成された記録ヘッド14により双方向印刷時の着弾順を統一するように制御する方法について図9および図10を用いて説明する。図9は、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図10は、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。
なお、図9および図10では、第1色剤用ノズル〜第4色剤用ノズルを、それぞれ丸、底辺が水平の四角、三角、および、底辺が水平でない四角の4つの記号で表している。また、各記号は、黒で塗りつぶされている場合に液滴が吐出され、それ以外の場合に液滴が吐出されないことを表す。また、図9および図10では、各ノズル群のノズル数を5としている。
画像の上端部から印刷を開始した場合、まず第1回目の主走査方向の往方向の走査(第1走査)で、第2ノズル列の第1群(第4色剤)と、第1ノズル列の第1群(第1色剤)が、この順で着弾するように吐出およびヘッド移動が制御される。この後、副走査モータ駆動部113が、用紙を副走査方向に5ノズル分搬送する。
そして、主走査方向の復方向の走査(第2走査)では、第1ノズル列の第2群(第2色剤)と、第2ノズル列の第1群(第4色剤)が着弾するように吐出およびヘッド移動が制御される。
同様の手順により、図9に示す第3走査、第4走査、および第5走査が実行される。なお、これ以降、画像の下端部に達するまでは、第3走査、用紙の5ノズル分の搬送、および第4走査を繰り返すことで画像が形成される。
図9の中央には、上記制御により実現される着弾順が示されている。図9では、走査の順番を示す数値として着弾順が示されている。図9に示すように、主走査方向の1ラインで、必ず第4色剤、第1色剤、第2色剤、第3色剤の着弾順となるように制御されている。
図10に示すように、画像の下端部を印刷する場合は、図9の第3走査の後の走査(第4走査)で、第1ノズル列の第2群(第2色剤)および第3群(第3色剤)が、この順で着弾するように吐出およびヘッド移動が制御される。そして、その後の走査(第5走査)で、第1ノズル列の第3群(第3色剤)が着弾するように吐出およびヘッド移動が制御される。
次に、ブラックを単色印刷する場合のヘッド移動制御および搬送制御の詳細について図11を用いて説明する。図11は、単色印刷する場合の制御の概要を説明する図である。図8で述べたように、第1色剤(ブラック(K))は他の色剤よりもノズル数が多い。このため、1回の走査で画像形成できる幅が広い。
これに対応して、単色印刷するモードが指定された場合は、ヘッド移動制御および搬送制御を変更する。すなわち、単色印刷の場合は、主走査方向の往方向および復方向の双方向で、第1色剤用ノズルのすべてを吐出するように制御する。図11の第1色剤のみの画像形成では、2倍の画像幅は、第1色剤用ノズル数分で15ノズルである。15ノズル分の搬送動作と走査を繰り返すことで画像を形成する。これにより、第1色剤のみで画像形成するモードの画像形成を高速化することができる。
(変形例1)
次に、第1の実施の形態の記録ヘッド14の変形例1について図12から図14を用いて説明する。図12は、記録ヘッド14のノズルの配置の別の例を示す図である。図13は、図12のヘッド構成で、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図14は、図12のヘッド構成で、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。
次に、第1の実施の形態の記録ヘッド14の変形例1について図12から図14を用いて説明する。図12は、記録ヘッド14のノズルの配置の別の例を示す図である。図13は、図12のヘッド構成で、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図14は、図12のヘッド構成で、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。
図12では、各ノズル列に含まれるノズルが、搬送方向の下流側から上流側に順に第1群から第3群の3つのノズル群に分割される。このようなヘッド構成の場合は、図13および図14に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行う。これにより、着弾順が第3色剤、第2色剤、第1色剤、第4色剤となるように統一される。
(変形例2)
通常、ノズルに色剤を供給するための経路(色剤供給経路)が記録ヘッド14内に形成される。また、第1の実施の形態のヘッド構成では、ノズル列方向に対して異なる色剤を吐出するノズルが並ぶ。このため、色剤種類の異なるノズル同士の間に未使用ノズル領域、またはノズルが存在しない領域を設けなければならない場合がある。これは異なる色剤の供給経路が互いにレイアウト上で干渉し、その場所にノズルを配置できない場合があるためである。
通常、ノズルに色剤を供給するための経路(色剤供給経路)が記録ヘッド14内に形成される。また、第1の実施の形態のヘッド構成では、ノズル列方向に対して異なる色剤を吐出するノズルが並ぶ。このため、色剤種類の異なるノズル同士の間に未使用ノズル領域、またはノズルが存在しない領域を設けなければならない場合がある。これは異なる色剤の供給経路が互いにレイアウト上で干渉し、その場所にノズルを配置できない場合があるためである。
このような場合を考慮した、第1の実施の形態の記録ヘッド14の変形例2について図15から図18を用いて説明する。図15は、記録ヘッド14のノズルの配置のさらに別の例を示す図である。図16は、図15のヘッド構成で、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図17は、図15のヘッド構成で、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図18は、図15のヘッド構成で単色印刷する場合の制御の概要を説明する図である。
図15に示すように、変形例2の記録ヘッド14は、第1ノズル列の第3色剤用ノズル列と第2色剤用ノズル列との間、および、第2色剤用ノズル列と第1色剤用ノズル列との間に未使用ノズル列を含む。同様に、変形例2の記録ヘッド14は、第2ノズル列の第1色剤用ノズル列と第4色剤用ノズル列との間に未使用ノズル列を含む。なお、図15では未使用ノズル列に1つのノズルのみを含む例が示されているが、2つ以上のノズルを含むように構成してもよい。
図15のようなヘッド構成の場合は、例えば図16および図17に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行う。これにより、着弾順が第4色剤、第1色剤、第2色剤、第3色剤となるように統一される。また、図15のようなヘッド構成で単色印刷する場合は、例えば図18に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行う。
図15に示すように、未使用ノズル列が含まれる場合に、(1)未使用ノズル列内の未使用ノズル数が同じこと、(2)未使用ノズルが第1ノズル列と第2ノズル列とで互いに重複しないこと(未使用ノズルが各ノズル列で隣接しないこと)により、単色印刷時において2倍画像形成幅を最大限広くすることができる。
このように、互いに異なる色剤に対応するノズル群の境界に未使用ノズル列またはノズルが存在しない領域がある場合でも、上記実施の形態と同様の手法を適用可能である。
(変形例3)
これまでの実施の形態および変形例では、1つの記録ヘッド14および各ノズル列が直線上に並ぶ構成であった。変形例3では、複数の記録ヘッド14を備える例について説明する。図19は、記録ヘッド14の別の構成例を示す図である。図19に示すように、変形例3のインクジェット記録装置は、3つの記録ヘッド14a、14b、14cを備える。
これまでの実施の形態および変形例では、1つの記録ヘッド14および各ノズル列が直線上に並ぶ構成であった。変形例3では、複数の記録ヘッド14を備える例について説明する。図19は、記録ヘッド14の別の構成例を示す図である。図19に示すように、変形例3のインクジェット記録装置は、3つの記録ヘッド14a、14b、14cを備える。
記録ヘッド14a、14b、14cは、それぞれ図8の記録ヘッド14の第3群、第2群、第1群に対応する。すなわち、変形例3は、記録ヘッド14が物理的に3つに分割される点が異なるのみであり、ヘッド移動制御および搬送制御は図8の記録ヘッド14と同様の方法が適用できる。
(変形例4)
変形例4では、変形例3のように複数の記録ヘッド14を備え、さらにノズル列が千鳥状に配置される例について説明する。図20は、記録ヘッド14の別の構成例を示す図である。図20に示すように、変形例4のインクジェット記録装置は、3つの記録ヘッド14a−2、14b−2、14c−2を備える。
変形例4では、変形例3のように複数の記録ヘッド14を備え、さらにノズル列が千鳥状に配置される例について説明する。図20は、記録ヘッド14の別の構成例を示す図である。図20に示すように、変形例4のインクジェット記録装置は、3つの記録ヘッド14a−2、14b−2、14c−2を備える。
図20に示すように、変形例4は、各ノズル列内のノズルが千鳥配置されている点が変形例3と異なっている。ヘッド移動制御および搬送制御は変形例3と同様の方法が適用できる。
以上説明したように、第1の実施の形態のインクジェット記録装置では、少なくとも2列のノズル列で黒ノズルとカラーノズルを(1)ノズル列方向に並べること、(2)一部の黒ノズルとカラーノズルとでノズル列を入れ替えること、(3)黒ノズル数がカラーノズル数よりも多いこと、という条件を満たすように配置することにより、双方向印刷時の色剤着弾順を統一できる。また、このような配置により、少なくとも3回のヘッド走査により着弾順を統一した画像形成ができる。このとき、カラーノズルは往路および復路の走査時に駆動し、黒ノズルは1方向のみで駆動する。
このように、第1の実施の形態のインクジェット記録装置によれば、簡素なノズル配置によってカラー双方向印刷時の帯ムラを解消することができ、かつ黒単色印刷をカラー印刷よりも数倍高速化することができる。
なお、これまでは記録ヘッド14から吐出する液滴を、カラー画像の印刷に用いる各色のインク液滴とした場合を例に説明したが、これに限られるものではない。例えば、記録媒体への定着補助剤や光沢制御剤などの液滴でもよい。このような液滴の場合であっても、本実施の形態の方法によれば、より簡易なヘッド構成で、双方向吐出時の着弾順の統一、および、複数種類の液滴のうち特定種類の液滴の吐出の高速化を実現できる。
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、ノズル列の端部で、カラーノズルと黒ノズルとが入れ替えられる例を説明した。例えば図8のヘッド構成は、黒ノズルを配置した第2ノズル列と、カラーノズルを配置した第1ノズル列とで、搬送方向の上流側端部のノズル群(第1群)を入れ替えた構成に相当する。また、例えば図12のヘッド構成は、黒ノズルを配置した第1ノズル列と、カラーノズルを配置した第2ノズル列とで、搬送方向の下流側端部のノズル群(第1群)を入れ替えた構成に相当する。
第1の実施の形態では、ノズル列の端部で、カラーノズルと黒ノズルとが入れ替えられる例を説明した。例えば図8のヘッド構成は、黒ノズルを配置した第2ノズル列と、カラーノズルを配置した第1ノズル列とで、搬送方向の上流側端部のノズル群(第1群)を入れ替えた構成に相当する。また、例えば図12のヘッド構成は、黒ノズルを配置した第1ノズル列と、カラーノズルを配置した第2ノズル列とで、搬送方向の下流側端部のノズル群(第1群)を入れ替えた構成に相当する。
第2の実施の形態では、カラーノズルが千鳥状に配置されるようなヘッド構成の場合の双方向印刷時の着弾順の統一、および、高速な単色印刷の制御について説明する。なお、第2の実施の形態のインクジェット記録装置の機構部全体の構成、制御部の構成は、図1〜図7と同様であるため説明を省略する。
図21は、第2の実施の形態の記録ヘッド214のノズルの配置の一例を示す図である。図21では、第1ノズル列の第1群、第2群、および第3群が、それぞれ第1色剤、第2色剤、および第1色剤のノズルを含む例が示されている。また、図21では、第2ノズル列の第1群、第2群、および第3群が、それぞれ第4色剤、第1色剤、および第3色剤のノズルを含む例が示されている。
図21のヘッド構成は一例であり、例えば以下のようなヘッド構成としてもよい。すなわち、p種類(pは3以上の整数)の色剤を使って画像形成し、第1ノズル列を(p−1)群に分割し、第m群(mは、1≦m≦(p−1)を満たす奇数)を第1色剤に対応させ、第n群(nは、2≦n≦(p−1)を満たす偶数)を第n色剤に対応させる。また、第2ノズル列を(p−1)群に分割し、第h群(hは、1≦h≦(p−1)を満たす奇数)を第h色剤に対応させ、第i群(iは、2≦i≦(p−1)を満たす偶数)を第1色剤に対応させる。なお、第n群および第h群の各色はp種類の色剤のうち互いに異なる種類の色剤とする。
次に、図21のように構成された記録ヘッド214により双方向印刷時の着弾順を統一するように制御する方法について図22から図24を用いて説明する。図22は、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図23は、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図24は、図21のヘッド構成で単色印刷する場合の制御の概要を説明する図である。
図21のようなヘッド構成の場合は、図22および図23に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行うことにより、着弾順が第4色剤、第1色剤、第2色剤、第3色剤となるように統一される。また、図21のようなヘッド構成で単色印刷する場合は、例えば図24に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行う。
(変形例1)
次に、第2の実施の形態の記録ヘッド214の変形例1について図25から図27を用いて説明する。図25は、記録ヘッド214のノズルの配置の別の例を示す図である。図26は、図25のヘッド構成で、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図27は、図25のヘッド構成で、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。
次に、第2の実施の形態の記録ヘッド214の変形例1について図25から図27を用いて説明する。図25は、記録ヘッド214のノズルの配置の別の例を示す図である。図26は、図25のヘッド構成で、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図27は、図25のヘッド構成で、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。
図25のようなヘッド構成の場合は、図26および図27に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行うことにより、着弾順が第3色剤、第2色剤、第1色剤、第4色剤となるように統一される。
(変形例2)
次に、第2の実施の形態の記録ヘッド214の変形例2について図28から図31を用いて説明する。図28は、記録ヘッド214のノズルの配置のさらに別の例を示す図である。図29は、図28のヘッド構成で、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図30は、図28のヘッド構成で、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図31は、図28のヘッド構成で単色印刷する場合の制御の概要を説明する図である。
次に、第2の実施の形態の記録ヘッド214の変形例2について図28から図31を用いて説明する。図28は、記録ヘッド214のノズルの配置のさらに別の例を示す図である。図29は、図28のヘッド構成で、画像の上端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図30は、図28のヘッド構成で、画像の下端部の印刷時に着弾順を統一する制御の概要を説明する図である。図31は、図28のヘッド構成で単色印刷する場合の制御の概要を説明する図である。
図28に示すように、変形例2の記録ヘッド214は、第1ノズル列の第1色剤用ノズル列と第2色剤用ノズル列との間に未使用ノズル列を含む。同様に、変形例2の記録ヘッド214は、第2ノズル列の第3色剤用ノズル列と第1色剤用ノズル列との間、および、第1色剤用ノズル列と第4色剤用ノズル列との間に未使用ノズル列を含む。
図28のようなヘッド構成の場合は、例えば図29および図30に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行う。これにより、着弾順が第4色剤、第1色剤、第2色剤、第3色剤となるように統一される。また、図28のようなヘッド構成で単色印刷する場合は、例えば図31に示すようにヘッド移動制御および搬送制御を行う。
以上のように、第2の実施の形態の記録ヘッド214の場合にも、第1の実施の形態と同様の制御により、簡素なノズル配置によってカラー双方向印刷時の帯ムラを解消することができ、かつ黒単色印刷をカラー印刷よりも高速化することができる。
1 インクジェット記録装置
3 用紙
4 給紙トレイ
5 搬送機構
14、214 記録ヘッド
33 搬送ベルト
100 制御部
107 ヘッド駆動制御部
108 ヘッドドライバ
110 主走査モータ
111 主走査モータ駆動部
112 副走査モータ
113 副走査モータ駆動部
3 用紙
4 給紙トレイ
5 搬送機構
14、214 記録ヘッド
33 搬送ベルト
100 制御部
107 ヘッド駆動制御部
108 ヘッドドライバ
110 主走査モータ
111 主走査モータ駆動部
112 副走査モータ
113 副走査モータ駆動部
Claims (9)
- 予め定められた特定種類の液滴を含むp種類(pは3以上の整数)の液滴のうちいずれかを吐出する複数のノズルを記録媒体の搬送方向に配列し、前記搬送方向の直交方向に互いに隣接する第1ノズル列および第2ノズル列を有する記録ヘッドと、
前記記録媒体と前記記録ヘッドとを前記直交方向に相対的に往復移動する移動手段と、
前記ノズルからの前記液滴の吐出を制御する制御手段と、を備え、
前記第1ノズル列および前記第2ノズル列の複数の前記ノズルは、前記搬送方向に(p−1)個のノズル群にそれぞれ分割され、
前記第1ノズル列および前記第2ノズル列それぞれの前記搬送方向k番目(1≦k≦p−1)のノズル群のうち、一方が前記特定種類の前記液滴を吐出し、他方が前記特定種類以外の前記液滴を吐出し、
前記特定種類以外の前記液滴を吐出する(p−1)個のノズル群は、前記特定種類の液滴以外の(p−1)種類のうち互いに異なる前記液滴をそれぞれ吐出し、
前記搬送方向(p−1)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とは互いに異なるノズル列に属し、
前記制御手段は、前記往復移動の方向のうち、一方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−1)番目および(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とに含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出し、他方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群に含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出すること、
を特徴とする画像形成装置。 - 前記第1ノズル列および前記第2ノズル列は、前記往復移動の往方向の上流側から下流側に向けてこの順序で配置され、
前記搬送方向(p−1)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群は、前記第1ノズル列に属し、前記搬送方向(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群は、前記第2ノズル列に属し、
前記制御手段は、前記往復移動の往方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−1)番目および(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とに含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出し、復方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群に含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記第1ノズル列の前記搬送方向(p−1)番目のノズル群、および、前記第2ノズル列の前記搬送方向(p−2)番目から1番目のノズル群が前記特定種類の前記液滴を吐出すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記第1ノズル列の前記搬送方向奇数番目のノズル群、および、前記第2ノズル列の前記搬送方向偶数番目のノズル群が前記特定種類の前記液滴を吐出すること、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記ノズル群は、それぞれ同数の前記ノズルを含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記ノズル群は、同一のノズル列で隣接する他の前記ノズル群が異なる種類の前記液滴を吐出する場合に、隣接する前記ノズル群との境界に前記液滴を吐出しないノズルを含むこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記液滴を吐出しない前記ノズルを含む前記ノズル群は、それぞれ同数の前記液滴を吐出する前記ノズルを含むこと、
を特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。 - 前記第1ノズル列に属する前記ノズル群の前記液滴を吐出しない前記ノズルは、前記第2ノズル列に属する前記ノズル群の前記液滴を吐出しない前記ノズルに対して、前記直交方向に隣接しない位置に配置されること、
を特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。 - 予め定められた特定種類を含むp種類(pは3以上の整数)の液滴のうちいずれかを吐出する複数のノズルを記録媒体の搬送方向に配列し、前記搬送方向の直交方向に互いに隣接する第1ノズル列および第2ノズル列を有する記録ヘッドを備える画像形成装置で実行される制御方法であって、
前記第1ノズル列および前記第2ノズル列の複数の前記ノズルは、前記搬送方向に(p−1)個のノズル群にそれぞれ分割され、
前記第1ノズル列および前記第2ノズル列それぞれの前記搬送方向k番目(1≦k≦p−1)のノズル群のうち、一方が前記特定種類の前記液滴を吐出し、他方が前記特定種類以外の前記液滴を吐出し、
前記特定種類以外の前記液滴を吐出する(p−1)個のノズル群は、前記特定種類の液滴以外の(p−1)種類のうち互いに異なる前記液滴をそれぞれ吐出し、
前記搬送方向(p−1)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とは互いに異なるノズル列に属し、
前記記録媒体と前記記録ヘッドとを前記直交方向に相対的に往復移動する移動ステップと、
前記往復移動の方向のうち、一方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群と、前記搬送方向(p−1)番目および(p−2)番目に前記特定種類の前記液滴を吐出するノズル群とに含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出し、他方の方向で、前記特定種類以外の前記液滴を吐出するノズル群に含まれる前記ノズルから前記液滴を吐出する制御ステップと
を含むことを特徴とする制御方法。
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