JP5412055B2 - リン酸銅水溶液の製造方法および脱臭材の製造方法 - Google Patents

リン酸銅水溶液の製造方法および脱臭材の製造方法 Download PDF

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本発明は、リン酸銅水溶液の製造方法および脱臭材とその製造方法に関し、さらに詳しくは、酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分の両者の吸着除去性能に優れ、しかも耐久性に優れた吸着材と、その吸着材の製造方法およびこれに用いるリン酸銅水溶液の製造方法に関する。
一般に、悪臭と感じられるガス成分は、酸性ガスと中性ガスと塩基性ガスに大きく分けられる。これらの臭気ガス成分を除去するために、活性炭やゼオライト、シリカゲル、アルミナ、活性白土などの多孔性吸着物質が利用されている。しかし、これらの多孔性吸着物質の吸着性能には、臭気ガス成分の種類に対し選択性があり、1種類の多孔性吸着物質では全ての臭気ガス成分を吸着除去することができない。また、多種類の臭気ガス成分を除去するために、複数種の多孔性吸着物質を混合して用いることが考えられるが、それぞれの多孔性吸着物質の吸着容量が小さく、実用的でない。
脱臭材の吸着速度と吸着容量を増大するため、臭気ガス成分を化学的に吸着できる化学物質を添加する方法や、マンガン、銅、コバルト、ニッケルなどの酸化物を単独または複数組み合わせて、これらの酸化力を利用して除去する方法などが提案されている。上記の化学物質としては、例えば中和反応を利用する化合物が用いられる。具体的には、例えば酢酸、酪酸、硫化水素などの酸性臭気ガス成分の除去には、アニリン、ポリエチレンイミンなどの有機アミン類や、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウムなどの塩基性化合物が挙げられる。また、アンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどの塩基性ガス成分の除去には、リン酸、硫酸などの無機酸類、酒石酸、クエン酸などの有機酸類が挙げられる。
しかしながら、有機アミンやアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物と、無機酸や有機酸とを混合すると、中和反応を生じて互いが吸着不活性となる。このため、吸着材が酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分との両者を吸着除去できるようにするには、それぞれの化合物を異なる多孔性吸着物質に添着したのち、これらの多孔性吸着物質を混合して使用することが考えられる。しかしながら、この方法は、多孔性吸着物質を混抄した紙やシートからなる吸着材には、上記の多孔性吸着物質に添着した化合物が抄紙時に抄造液中へ溶出するため、適用することができない。
鉄、銅、亜鉛、ニッケルなどの重金属イオンは、硫化水素や酢酸などの酸性ガスとの親和性が強いので、これらの金属塩を、多孔性吸着物質を混抄した脱臭材に添着して用いるものがある。例えば、活性炭が混抄された紙を硫酸銅水溶液に浸漬することにより製造した、銅イオンを添着した脱臭材が提案されている(特許文献1参照。)。しかしこの金属塩を添着した脱臭材は、アンモニアやトリメチルアミン等の、塩基性ガス成分に対する吸着除去性能が乏しい。
そこでこれを解消するため、上記の金属塩を添着した脱臭材にリン酸を再添着することが提案されている(例えば特許文献2参照、以下、従来技術という。)。
特開2001−120648号公報 特開2003−245331号公報
上記の従来技術によれば、この脱臭材のように、例えば銅イオンとリン酸イオンの両者を添着すれば、酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分の両者をともに吸着除去することができる利点がある。しかしながら、この従来技術では、例えば硫酸銅水溶液を添着したのちこれを一旦乾燥し、その後、リン酸水溶液を添着したのち再度十分に乾燥させなければならず、担持作業が複雑で長時間を要し、安価に実施できない問題がある。
さらにこの従来技術では、添着した硫酸銅にリン酸が作用すると、次式(1)の反応により硫酸が一部生成される問題がある。
CuSO4 + H3PO4 →(Cu)n(H2PO4)m + CuSO4 + H2SO4 …(1)
この硫酸を生じる反応は、例えば硫酸銅水溶液にリン酸水溶液を加えると、いずれの水溶液よりも混合水溶液のpHが低くなることで実証される。そして、上記の反応で生じた硫酸は、リン酸に比べて酸としての強度が著しく強いため、例えば混抄紙を形成する天然繊維やバインダーが早期に劣化するなど、脱臭材の耐久性が低下して、長期間の使用ができなくなる問題がある。
強酸を生成することなく、銅イオンとリン酸イオンを1工程で脱臭材へ添着するには、リン酸銅水溶液を添着するのが理想的である。しかしリン酸第二銅[Cu3(PO4)2・3H2O]は水に不溶である。また、水酸化銅や酸化銅にリン酸を作用させても、溶解する銅はリン酸1モルに対して0.167モル以下である。このため、このように調製したリン酸銅水溶液を脱臭材に添着しても、リン酸イオンに対し銅イオンが極端に少ないので、アンモニアやトリメチルアミンなどの塩基性臭気ガス成分の吸着除去性能に比べて、硫化水素などの酸性臭気ガス成分の吸着除去性能が著しく低い脱臭材しかできない問題がある。
本発明の技術的課題は、上記の問題点を解消し、酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分の両者の吸着除去性能に優れ、しかも耐久性に優れた吸着材と、その吸着材の製造方法およびこれに用いるリン酸銅水溶液の製造方法を提供することにある。
本発明者らはリン酸銅水溶液について種々検討した結果、銅塩の水溶液とアルカリ性水溶液を反応させて沈殿させた水酸化銅は、水和水を含んだ状態で固液分離したのちリン酸を加えると、沈殿物中の銅成分が良好に溶解することを見出して、本発明を完成した。即ち、本発明は上記の課題を解決するために、次のように構成したものである。
本発明1はリン酸銅水溶液の製造方法に関し、銅塩の水溶液にアルカリ性水溶液を添加して水酸化銅の沈殿物を生成させ、沈殿物から液体を分離させたのち、水和水を含んだ状態の沈殿物にリン酸水溶液を添加してこの沈殿物に含まれる銅成分を溶解させたことを特徴とする。
本発明2は脱臭材の製造方法に関し、多孔性吸着物質を含有する基材に、上記の発明1の製造方法で製造したリン酸銅水溶液を担持させたのち、水分を除去することを特徴とする。
上記の本発明1によれば、沈殿物にリン酸を加えると、沈殿物の水酸化銅は水和しているので容易にリン酸に溶解し、例えばリン酸1モルに対し0.25〜0.5モル程度の、高濃度に銅イオンを含むリン酸銅水溶液が得られる。
即ち、例えば硫酸銅水溶液に水酸化ナトリウムを添加すると、次式(2)により水酸化銅を沈殿する。
CuSO + 2NaOH → Cu(OH) + Na SO …(2)
そして得られた沈殿物を固液分離し、必要に応じて水洗し、硫酸ナトリウムを十分に除去したのち、水和水を含んだ状態でリン酸を添加すると、次式(3)によりリン酸銅水溶液が得られる。
Cu(OH) + H PO → (Cu) (H PO ) + H O …(3)
上記の沈殿物中の銅成分は、リン酸水溶液へ良好に溶解することができるので、リン酸イオン1モルに対し、0.25モル以上の銅イオンを含むリン酸銅水溶液を製造することができる。また、沈殿物に対するリン酸の添加量を調整することにより、例えばリン酸1モルに対し0.5モルの銅イオンを含む水溶液など、所望の濃度のリン酸銅水溶液を調製することができる。
上記の本発明2によれば、本発明1により製造したリン酸銅水溶液を基材に担持させるので、1回の担持工程と乾燥工程により、多孔性吸着物質を含有する基材に、リン酸イオンと銅イオンとがバランスよく担持される。
上記のリン酸銅水溶液中の銅イオンとリン酸イオンとは、特定の濃度比率に限定されないが、リン酸イオン1モルに対し、0.25モル以上の銅イオンを含んでいると、酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分との両者をバランスよく吸着除去できるので好ましい。従って、上記の本発明1において、上記の沈殿物に添加するリン酸は、上記の沈殿物に含まれる水酸化銅1モルに対し4モル以下に設定すると好ましい。
また、このリン酸は、上記の沈殿物に含まれる水酸化銅1モルに対し2モル以上に設定すると、水酸化銅に含まれる殆どの銅が良好に溶解して銅イオンとなるので、一層好ましい。
なお、上記の銅塩は特定のものに限定されず、例えば、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅及び酢酸銅のグループから選ばれたいずれか1種または2種以上の銅塩を用いることができる。
また、上記の多孔性吸着物質も特定のものに限定されず、活性炭、シリカゲル、活性白土、ゼオライト及びアルミナのグループから選ばれたいずれか1種または2種以上のものを用いることができる。特に活性炭は、中性臭気ガス成分の吸着性能に優れるので、上記の多孔性吸着物質にこの活性炭を用いると、酸性臭気ガス成分と中性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分との、全ての臭気ガス成分を良好に吸着除去でき、より好ましい。
上記の本発明2において、上記の基材は特定のものに限定されないが、天然繊維や合成繊維などの繊維製基材であると、上記の多孔性吸着物質を混抄することで容易に含有できるうえ、上記のリン酸銅水溶液を容易に担持させることができ、好ましい。
上記の本発明2において、上記の基材は特定のものに限定されないが、天然繊維や合成繊維などの繊維製基材であると、上記の多孔性吸着物質を混抄することで容易に含有できるうえ、上記のリン酸銅水溶液を容易に担持させることができ、好ましい。
なお、上記のリン酸銅水溶液を基材に担持させる方法は特定の手法に限定されず、例えば浸漬、噴霧、ロール転写などの手法を単独で、或いは複数の手法を組み合わせて用いることができる。
本発明は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
(1) 本発明1によれば、例えばリン酸イオン1モルに対し0.25モル以上の、高濃度の銅イオンを含むリン酸銅水溶液を簡単に調製することができ、しかもリン酸イオンに対する銅イオンを所望の比率に容易にすることができる。
(2) 本発明2によれば、リン酸イオンと銅イオンとをそれぞれ高濃度に、多孔性吸着物質を含有する基材へ担持させてあり、しかも前記の従来技術とは異なって強酸を生成することがないので、酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分の両者の吸着除去性能が優れるうえ、基材を形成する天然繊維やバインダーを早期に劣化させる虞がなく、耐久性に優れるので長期間に亘って使用することができる。
(3) さらに本発明によれば、1回の担持工程と乾燥工程により、多孔性吸着物質を含有する基材へ、リン酸イオンと銅イオンとをバランスよく担持させることができるので、酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分の両者の吸着除去性能に優れた吸着材の製造を、簡単に且つ安価に実施することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
最初に、高濃度の銅イオンを含むリン酸銅水溶液の製造について説明する。
水溶性銅塩として、例えば硫酸銅を用いる。この硫酸銅の1モル/L水溶液に、0.1〜0.2N濃度の水酸化ナトリウムを、pH8〜10になるまで加えると、水酸化第二銅の沈殿物が生成される。沈殿した水酸化第二銅と溶液とを分離したのち、水和水を十分に含む湿潤状態の沈殿物にリン酸を加えると、この沈殿物が良好に溶解し、高濃度の銅イオンを含むリン酸銅水溶液が得られる。
次に、上記のリン酸銅水溶液を担持させた脱臭材の製造について説明する。
多孔性吸着物質を混抄したシートを、上記の製造方法で得られたリン酸銅水溶液に浸漬する。或いはこの浸漬に代えて、噴霧や塗布など、通常用いられている担持法により、上記のリン酸銅水溶液を上記のシートに担持させてもよい。その後、この水酸化銅水溶液が担持されたシートを、自然乾燥や適度の温度に加熱して乾燥させる。これにより、リン酸イオンと銅イオンを含んでいる脱臭シートが得られる。
上記の銅塩としては、硫酸銅のほか、塩化銅や硝酸銅、酢酸銅などの、第一塩や第二塩を用いることができる。但し第一銅イオンは、水酸化銅の生成反応の際や担持工程での酸化により、第二銅イオンに変化し易い。このため、第二銅塩を用いるとより好ましい。
上記の多孔性吸着物質を混抄したシートは、基材であるシートが合成高分子繊維や天然高分子繊維とバインダーとで構成され、この基材に上記の多孔性吸着物質が保持されている。この多孔性吸着物質としては、臭気ガスが拡散して吸着物質の内部にまで到達し易いマクロポアと、表面積を大きくするミクロポアが多量に存在する物質が好ましく、活性炭やシリカゲル、活性白土、ゼオライト、アルミナなどが好ましい。上記のシートに対するこの多孔性吸着物質の含有量は、多孔性吸着物質や基材の種類などによって異なり、特定の数値範囲に限定されないが、含有量を多くすると上記のリン酸銅水溶液の担持量が増加し、シートの単位面積あたりの吸着量が増大して好ましい。但し、この含有量を過剰に多くすると多孔性吸着物質の粒子が離脱し易くなるので、具体的には混抄シート100g当たりに50〜80g程度が好ましく、より好ましくは60〜70g程度に設定される。
上記のシートを構成する合成高分子繊維としては、例えばポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維などが挙げられ、天然高分子繊維としては、例えばセルロース繊維、パルプ、綿などが挙げられる。また上記の多孔性吸着物質を捕集し固着するためのバインダーとしては、例えばポリエステル繊維バインダー、ポリオレフィン繊維バインダーなどの、熱融着性繊維バインダーと、ポリビニルアルコールなどの水溶性高分子とが好ましく用いられる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
1モル/Lの硫酸銅水溶液20mLに、0.2Nの水酸化ナトリウム128mLを少しずつ添加して水酸化銅[Cu(OH)2]の沈殿物を生成させた。このときの水溶液のpHは8.8であった。これを15分間静置したのち上澄み液をデカントで除去し、残余の液体と沈殿物とを遠心分離機で30分間2700rpmで処理して固液を分離した。この分離された沈殿物が湿潤し十分に水和水を含んでいる状態で、1モル/Lのリン酸水溶液40mLを加えたところ、沈殿物は全て溶解してリン酸銅水溶液が得られた。このリン酸銅水溶液に含まれる銅イオンとリン酸イオンとの比率は、リン酸イオン1モルに対し、銅イオン0.5モルである。その後、このリン酸銅水溶液に水を加え、全量が50mLとなるように調整した。
一方、多孔性シリカゲル70重量部、パルブ4重量部、ポリエステル繊維8重量部、ポリエステル繊維バインダー7重量部、その他11重量部の割合で混抄し、厚さ0.20mmのシリカゲル混抄シートを得た。
このシリカゲル混抄シート7.5×8.5cm2を、上記のリン酸銅水溶液中に浸漬したのち、この浸漬したシリカゲル混抄シートを室温で60分間自然乾燥させ、次いで65℃で60分間加熱して水分を除去し、さらに室温で30分間放置して、銅イオンとリン酸イオンを担持した脱臭シートを得た。
(実施例2)
活性炭70重量部、パルブ4重量部、ポリエステル繊維8重量部、ポリエステル繊維バインダー7重量部、その他11重量部の割合で混抄し、厚さ0.25mmの活性炭混抄シートを得た。
この活性炭混抄シート7.5×8.5cm2を、上記の実施例1で調製したリン酸銅水溶液中に浸漬したのち、この浸漬した活性炭混抄シートを室温で60分間自然乾燥させ、次いで65℃で60分間加熱して水分を除去し、さらに室温で30分間放置して、銅イオンとリン酸イオンを担持した脱臭シートを得た。
(実施例3)
1モル/Lの硫酸銅水溶液15mLに、0.2Nの水酸化ナトリウム109mLを少しずつ添加して水酸化銅[Cu(OH)2]の沈殿物を生成させた。このときの水溶液のpHは9.6であった。これを15分間静置したのち上澄み液をデカントで除去し、残余の液体と沈殿物とを遠心分離機で30分間2700rpmで処理して固液を分離した。この分離された沈殿物が湿潤し十分に水和水を含んでいる状態で、1モル/Lのリン酸水溶液40mLを加えたところ、沈殿物は全て溶解してリン酸銅水溶液が得られた。このリン酸銅水溶液に含まれる銅イオンとリン酸イオンの比率は、リン酸イオン1モルに対し、銅イオン0.375モルである。その後、このリン酸銅水溶液に水を加え、全量が50mLとなるように調整した。
このリン酸銅水溶液中に、上記の実施例2で得た活性炭混抄シート7.5×8.5cm2を浸漬したのち、この浸漬した活性炭混抄シートを室温で60分間自然乾燥させ、次いで65℃で60分間加熱して水分を除去し、さらに室温で30分間放置して、銅イオンとリン酸イオンを担持した脱臭シートを得た。
(実施例4)
1モル/Lの硫酸銅水溶液10mLに、0.2Nの水酸化ナトリウム70mLを少しずつ添加して水酸化銅[Cu(OH)2]の沈殿物を生成させた。このときの水溶液のpHは10.9であった。これを15分間静置したのち上澄み液をデカントで除去し、残余の液体と沈殿物とを遠心分離機で30分間2700rpmで処理して固液を分離した。この分離された沈殿物が湿潤し十分に水和水を含んでいる状態で、1モル/Lのリン酸水溶液40mLを加えたところ、沈殿物は全て溶解してリン酸銅水溶液が得られた。このリン酸銅水溶液に含まれる銅イオンとリン酸イオンの比率は、リン酸イオン1モルに対し、銅イオン0.25モルである。その後、このリン酸銅水溶液に水を加え、全量が50mLとなるように調整した。
このリン酸銅水溶液中に、上記の実施例2で得た活性炭混抄シート7.5×8.5cm2を浸漬したのち、この浸漬した活性炭混抄シートを室温で60分間自然乾燥させ、次いで65℃で60分間加熱して水分を除去し、さらに室温で30分間放置して、銅イオンとリン酸イオンを担持した脱臭シートを得た。
次に、上記の各実施例で得られた脱臭材の吸着除去性能を、比較例と対比しながら説明する。対比に用いた比較例1〜4は、次のように調製した。
(比較例1)
上記の実施例2で得た活性炭混抄シートを、リン酸銅水溶液を担持させずに、比較例1の脱臭シートとして用いた。
(比較例2)
1モル/Lの硫酸銅水溶液に、上記の実施例2で得た活性炭混抄シート7.5×8.5cm2を浸漬したのち、この浸漬した活性炭混抄シートを室温で60分間自然乾燥させ、次いで65℃で60分間加熱して水分を除去し、さらに室温で30分間放置して、硫酸銅を担持した脱臭シートを得た。
(比較例3)
1モル/Lのリン酸水溶液に、上記の実施例2で得た活性炭混抄シート7.5×8.5cm2を浸漬したのち、この浸漬した活性炭混抄シートを室温で60分間自然乾燥させ、次いで65℃で60分間加熱して水分を除去し、さらに室温で30分間放置して、リン酸を担持した脱臭シートを得た。
(比較例4)
1モル/Lの硫酸銅水溶液に、上記の実施例2で得た活性炭混抄シート7.5×8.5cm2を浸漬したのち、この浸漬した活性炭混抄シートを室温で60分間自然乾燥させたのち、硫酸銅が溶出しない条件で1モル/Lのリン酸水溶液を塗布した。次いで、この塗布した活性炭混抄シートを室温で60分間自然乾燥させたのち、65℃で60分間加熱して水分を除去し、さらに室温で30分間放置して、硫酸銅とリン酸とを担持した脱臭シートを得た。
上記の各実施例と各比較例で得られた脱臭材は、16.7〜18.2cm2(0.2g)の試料を13Lの密閉容器内へ収容し、この密閉容器内へ臭気ガス成分として所定濃度の硫化水素またはアンモニアを注入したのち、24時間後の密閉容器内の臭気ガス濃度を測定して吸着性能を評価した。なお、化学物質の担持量は、担持後に乾燥した混抄シートの重量から担持前の混抄シートの重量を差し引いて化学物質の担持量を算出し、これを担持前の混抄シートの重量で除した比率を百分率で表示した。また臭気ガス濃度は、検知管を用いて検出した。それらの測定結果を吸着性能対比表として次の表1に示す。
Figure 0005412055
上記の吸着性能対比表から明らかなように、比較例1の化学物質を担持させていない活性炭では、塩基性臭気ガス成分のアンモニアと酸性臭気ガス成分の硫化水素との両者に対し、いずれも吸着性能が劣っており、硫酸銅(銅イオン)を担持させた比較例2では、硫化水素に対する吸着性能は優れるが、アンモニアに対する吸着性能は劣っており、リン酸を担持させた比較例3では、アンモニアに対する吸着性能は優れているが、硫化水素に対する吸着性能は劣っていた。
これに対し、本発明のリン酸銅を担持させた上記の実施例1〜4では、アンモニアと硫化水素との両者に対し、いずれも優れた吸着性能を発揮することができた。
この場合、多孔性吸着物質がシリカゲルであると、臭気ガス成分の初期濃度が低い場合は良好な吸着性能を示すが、初期濃度が高くなると吸着性能の低下が見られた。これに対し、多孔性吸着物質が活性炭であると、臭気ガス成分の初期濃度が高い場合にあっても、優れた吸着性能を発揮することができた。
上記の多孔性吸着物質への銅イオンの担持は、実施例4のように、リン酸イオンに対するモル比が0.25であっても、酸性臭気ガス成分の硫化水素を良好に吸着除去することができ、硫酸銅とリン酸とを2段階の工程で担持させた比較例4と比べて、遜色のない吸着除去性能を発揮することができた。
上記の実施形態で説明したリン酸銅水溶液の製造方法や脱臭材とその製造方法は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであって、銅塩やアルカリ性水溶液の種類、濃度、リン酸水溶液の濃度、添加量、多孔性吸着物質や基材の材質、種類、担持量などは、この実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
例えば上記の実施形態ではシート状の脱臭材について説明したが、本発明の脱臭材はハニカム構造体など、他の形状や構造の脱臭材に適用できることは、いうまでもない。
本発明の製法で製造したリン酸銅水溶液は高濃度の銅イオンを含んでおり、これを担持させて製造した本発明の脱臭材は、酸性臭気ガス成分と塩基性臭気ガス成分の両者の吸着除去性能に優れるうえ、耐久性に優れるので、空気清浄機や換気装置をはじめ様々な分野での臭気ガス成分の除去に好適である。

Claims (8)

  1. 銅塩の水溶液にアルカリ性水溶液を添加して水酸化銅の沈殿物を生成させ、沈殿物から液体を分離させたのち、水和水を含んだ状態の沈殿物にリン酸水溶液を添加してこの沈殿物に含まれる銅成分を溶解させたことを特徴とする、リン酸銅水溶液の製造方法。
  2. 上記のリン酸水溶液に含まれるリン酸は、上記の沈殿物に含まれる水酸化銅1モルに対し4モル以下である、請求項1に記載のリン酸銅水溶液の製造方法。
  3. 上記の銅塩は、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅及び酢酸銅のグループから選ばれたいずれか1種または2種以上の銅塩である、請求項1または請求項2に記載のリン酸銅水溶液の製造方法。
  4. 多孔性吸着物質を含有する基材に、上記の請求項1から3のいずれか1項に記載の製造方法で製造したリン酸銅水溶液を担持させたのち、水分を除去することを特徴とする、脱臭材の製造方法。
  5. 上記のリン酸銅水溶液は、リン酸1モルに対し0.25モル以上の銅イオンを含んでいる、請求項4に記載の脱臭材の製造方法。
  6. 上記の多孔性吸着物質が活性炭、シリカゲル、活性白土、ゼオライト及びアルミナのグループから選ばれたいずれか1種または2種以上からなる、請求項4または請求項5に記載の脱臭材の製造方法。
  7. 上記の多孔性吸着物質を繊維製基材に混抄してある、請求項4から6のいずれか1項に記載の脱臭材の製造方法。
  8. 上記のリン酸銅水溶液を、浸漬、噴霧、ロール転写の少なくともいずれかの手法により担持させた、請求項4から7のいずれか1項に記載の脱臭材の製造方法。
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