JP5411464B2 - 電子線描画装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子線描画装置に関し、特に、試料面の高さを高精度に測定可能な電子線描画装置に関する。
電子線描画装置の代表例である電子ビーム露光装置では、スループットの向上を図るために、ステンシルマスクに可変矩形開口又は複数のステンシルマスクパターンを用意し、ビーム偏向によりそれらを選択してウエハに転写露光している。
このような露光装置として、例えば特許文献1には部分一括露光をする電子ビーム露光装置が開示されている。部分一括露光とは、マスク上に配置した複数個、例えば100個のステンシルパターンからビーム偏向により選択した一つのパターン領域、例えば20×20μmの領域にビームを照射し、ビーム断面をステンシルパターンの形状に成形し、さらにマスクを通過したビームを後段の偏向器で偏向振り戻し、電子光学系で決まる一定の縮小率、例えば1/10に縮小し、試料面に転写する。一度に照射される試料面の領域は、例えば2×2μmである。露光するデバイスパターンに応じてマスク上のステンシルパターンを適切に用意すれば、可変矩形開口だけの場合より、必要な露光ショット数が大幅に減少し、スループットが向上する。
さらに、このような露光装置のコラム一つ一つの大きさを小さくしたもの(以下、コラムセルと呼ぶ)を複数個集め、ウエハ上に並べて並列して露光処理するマルチコラム電子ビーム露光装置が提案されている。各コラムセルはシングルコラムの電子ビーム露光装置のコラムと同等であるが、マルチコラム全体では並列して処理するため、コラム数倍の露光スループットの増加が可能である。
このような電子ビーム露光装置では、試料のどの位置にどのようなパターンを露光するかを定義する露光データを有しており、露光データに従ってパターンを露光するために偏向器や焦点補正器に印加する信号が決定される。電子ビーム露光装置による露光処理のスループットの向上を図るためには、前提として露光データに従って精度良く電子ビームを照射することが要求される。
しかし、半導体ウエハ等の被露光試料の厚さにはばらつきや反りなどがあり、またステージの移動に伴い高さが変化する場合があるため、被露光試料の高さは一定ではなくばらつきがある。そのため、露光データに従って偏向器や焦点補正器に印加する信号を決定して電子ビームを照射した場合であっても、所望のパターンが形成されないという不都合が発生する。
このような不都合を解消するためには、被露光試料の高さを測定して、電子ビームがその高さに収束するように焦点距離を合わせる必要がある。この被露光試料の高さの測定に関する技術として、特許文献2では、2つの偏向器を用いて簡単かつ高精度に被露光試料の高さを測定する手法が記載されている。
特開2004−88071号公報 特開2000−150355号公報
上記したように、被露光試料の高さを測定し、測定結果に応じて電子ビームの焦点距離を調整すれば、露光データに従って所望のパターンを形成することが可能である。
しかし、露光位置に電子ビームを照射する度に、その露光位置の高さを測定すると、パターン形成を正確に実行できるものの、処理時間がかかってしまう。そのため、一般に被露光試料の表面を関数で近似し、近似した関数を用いて露光位置の高さ補正を行っている。被露光試料の表面を近似した関数を決定するに際して、測定点を指定するが、この測定点の位置によっては近似関数を一意に決定できない場合がある。この場合には精度の良い近似関数が採用されない場合もあり得るため、被露光試料の高さ補正を高精度に行えず、パターン形成の精度を劣化させてしまうという不都合がある。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたものであり、目的は、試料の高さ補正を高精度に行うことが可能な電子線描画装置を提供することである。
上記した課題は、電子線を放出する電子銃と、前記電子線によりパターンが描画される被描画試料を保持するホルダーと、前記試料の高さに応じて描画位置を補正する制御部と、を有し、前記制御部は、前記試料の表面を線形結合により近似する正規直交関数系の各関数について次式で定義される内積を求め、各関数の中で自身との内積がゼロ又はゼロに近い所定のしきい値以下の関数を除去した上で、グラム・シュミット法により新たな正規直交関数系に変換し、当該新たな正規直交関数系の各関数に対するN個の高さ測定点のデータの射影を係数としてそれぞれ求め、前記係数による前記新たな正規直交系の各関数の線形結合を試料の近似曲面とすることを特徴とする電子線描画装置により解決する。
ここで、Fn,Fmは正規直交系の関数、i、Nは整数、(xi,yi)は試料表面の高さを測定するサンプリング位置である。
この形態に係る電子線描画装置において、前記制御部は、前記新たな正規直交関数系に変換される前の正規直交関数系として、直交座標系上の多項式のうち、次数の低い多項式群を用いるようにしてもよく、前記制御部は、前記新たな正規直交関数系に変換される前の正規直交関数系として、ゼルニケ関数系のうち、次数の低い関数を用いるようにしてもよい。
また、この形態に係る電子線描画装置において、前記制御部は、前記新たな正規直交関数系のうち、前記サンプリング位置の自乗和が所定の閾値より小さいとき、又は前記関数群のうちの2つの関数における直交度が小さく、前記近似曲面が前記試料の高さの測定誤差よりも大きな近似誤差を含む可能性が高いとき、前記サンプリング位置の再設定を促すようにしてもよく、前記制御部は、前記関数群のうちの2つの関数における直交度が大きくなるように新たなサンプリング位置を再設定し、又は、新たなサンプリング位置を追加させる旨の指示をするようにしてもよい。
本発明では、電子線描画装置において、被描画試料の表面を近似する直交関数系に対して、サンプリング位置に依存した内積<Fn,Fm>を定義し、その内積を用いてグラム・シュミット法により新たな正規直交関数系に変換している。この新たな正規直交関数系への変換において、サンプリング位置での自乗和が所定の閾値より小さい関数や、他の関数との直交度が所定の閾値より小さい関数は表面の近似を規定する関数群からはずして近似曲面を算出している。すなわち、長さがゼロとなる関数や、直交しない関数を直交関数系からはずして、すべての関数群が一次独立になり直交するようにしている。これにより、近似曲面を一意的に決定することが可能になり、高精度な試料表面の近似曲面を算出することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、電子線描画装置の一例として、マルチコラム電子ビーム露光装置を対象として説明する。まず、図1から図3を参照して、マルチコラム電子ビーム露光装置の構成について説明をする。次に、図4から図7を参照して、試料表面を表す高精度な近似関数について説明する。次に、図8を参照して、電子線描画方法の一例として試料の高さ補正処理を含む電子ビーム露光方法について説明する。
(マルチコラム電子ビーム露光装置本体の構成)
図1は、本実施形態に係るマルチコラム電子ビーム露光装置の概略構成図である。
マルチコラム電子ビーム露光装置は、電子ビームコラム10と電子ビームコラム10を制御する制御部20に大別される。このうち、電子ビームコラム10は、同等なコラムセル11が複数、例えば16集まって、全体のコラムが構成されている。すべてのコラムセル11は後述する同じユニットで構成される。コラムセル11の下には、例えば300mmウエハ12を搭載したウエハステージ13が配置されている。
一方、制御部20は、電子銃高圧電源21、レンズ電源22、デジタル制御部23、ステージ駆動コントローラ24及びステージ位置センサ25を有する。これらのうち、電子銃高圧電源21は電子ビームコラム10内の各コラムセル11の電子銃を駆動させるための電源を供給する。レンズ電源22は電子ビームコラム10内の各コラムセル11の電磁レンズを駆動させるための電源を供給する。デジタル制御部23は、コラムセル11各部をコントロールする電気回路であり、ハイスピードの偏向出力などを出力する。デジタル制御部23はコラムセル11の数に対応する分だけ用意される。
ステージ駆動コントローラ24は、ステージ位置センサ25からの位置情報を基に、ウエハ12の所望の位置に電子ビームが照射されるようにウエハステージ13を移動させる。上記の各部21〜25は、ワークステーション等の統合制御系26によって統合的に制御される。
上述したマルチコラム電子ビーム露光装置では、すべてのコラムセル11は同じコラムユニットで構成されている。図2は、マルチコラム電子ビーム露光装置に使用される図1の各コラムセル11の概略構成図である。
各コラムセル11は、露光部100と、露光部100を制御するコラムセル制御部31とに大別される。このうち、露光部100は、電子ビーム生成部130、マスク偏向部140及び基板偏向部150によって構成される。
電子ビーム生成部130では、電子銃101から生成した電子ビームEBが第1電磁レンズ102で収束作用を受けた後、ビーム整形用マスク103の矩形アパーチャ103aを透過し、電子ビームEBの断面が矩形に整形される。
その後、電子ビームEBは、マスク偏向部140の第2電磁レンズ105によって露光マスク110上に結像される。そして、電子ビームEBは、第1、第2静電偏向器104、106により、露光マスク110に形成された特定のパターンSに偏向され、その断面形状がパターンSの形状に整形される。
なお、露光マスク110はマスクステージ123に固定されるが、そのマスクステージ123は水平面内において移動可能であって、第1、第2静電偏向器104、106の偏向範囲(ビーム偏向領域)を超える部分にあるパターンSを使用する場合、マスクステージ123を移動することにより、そのパターンSをビーム偏向領域内に移動させる。
露光マスク110の上下に配された第3、第4電磁レンズ108、111は、それらの電流量を調節することにより、電子ビームEBを基板上で結像させる役割を担う。
露光マスク110を通った電子ビームEBは、第3、第4静電偏向器112、113の偏向作用によって光軸Cに振り戻された後、第5電磁レンズ114によってそのサイズが縮小される。
マスク偏向部140には、第1、第2補正コイル107、109が設けられており、それらにより、第1〜第4静電偏向器104、106、112、113で発生するビーム偏向収差が補正される。
その後、電子ビームEBは、基板偏向部150を構成する遮蔽板115のアパーチャ115aを通過し、第1、第2投影用電磁レンズ116、121によって基板上に投影される。これにより、露光マスク110のパターンの像が、所定の縮小率、例えば1/10の縮小率で基板に転写されることになる。
基板偏向部150には、第5静電偏向器119と電磁偏向器120とが設けられており、これらの偏向器119、120によって電子ビームEBが偏向され、基板の所定の位置に露光マスクのパターンの像が投影される。
更に、基板偏向部150には、基板上における電子ビームEBの偏向収差を補正するための第3、第4補正コイル117、118が設けられる。
一方、コラムセル制御部31は、電子銃制御部202、電子光学系制御部203、マスク偏向制御部204、マスクステージ制御部205、ブランキング制御部206及び基板偏向制御部207を有する。これらのうち、電子銃制御部202は電子銃101を制御して、電子ビームEBの加速電圧やビーム放射条件等を制御する。また、電子光学系制御部203は、電磁レンズ102、105、108、111、114、116及び121への電流量等を制御して、これらの電磁レンズが構成される電子光学系の倍率や焦点位置等を調節する。ブランキング制御部206は、ブランキング電極127への印加電圧を制御することにより、露光開始前から発生している電子ビームEBを遮蔽板115上に偏向し、露光前に基板上に電子ビームEBが照射されるのを防ぐ。
基板偏向制御部207は、第5静電偏向器119への印加電圧と、電磁偏向器120への電流量を制御することにより、基板の所定の位置上に電子ビームEBが偏向されるようにする。上記の各部202〜207は、ワークステーション等の統合制御系26によって統合的に制御される。
図3は、マルチコラム電子ビーム露光装置におけるコラムセル制御部31の模式図である。コラムセル制御部31はコラムセル11のそれぞれが有している。各コラムセル制御部31はマルチコラム電子ビーム露光装置の全体を制御する統合制御系26とバス34で接続される。また、統合記憶部33は、例えばハードディスクで構成され、露光データ等すべてのコラムセルで必要となるデータが格納されている。統合記憶部33も統合制御系26とバス34で接続されている。
このように構成されたマルチコラム電子ビーム露光装置において、ウエハステージ13に載置したウエハ12上に露光するパターンの露光データを統合記憶部33から各コラムセル制御部31のコラムセル記憶部35に転送する。転送された露光データは、各コラムセル制御部31の補正部36において補正され、露光データ変換部37で実際に露光処理に必要なデータに変換されて、各コラムセル11に割り当てられたウエハ上の露光領域でパターンが露光される。特に、本実施形態では、後述するように試料表面の近似関数を高精度に算出した後、露光データの補正値を算出して、偏向器などの電極に印加する信号を決定している。この決定された信号に基づいて露光処理が実施される。
(試料表面を表す高精度な近似関数)
次に、試料表面を表す高精度な近似関数の導出について説明する。
まず、一般的な試料の高さ測定について説明する。図4は、試料の高さ測定の一例を説明する図である。試料の表面に電子反射率の異なる物質や構造で、あらかじめマーク41を作成しておく。そして、電子ビームEBをこのマーク41上を走査しながら反射電子検出器(不図示)で反射電子信号を検出する。
図4(a)の電子ビームEBの焦点位置が試料12の表面に合っている場合には、走査に従って反射電子量は図4(b)に示すように、マーク41のエッジ部分で急激に変化する。図4(c)は、図4(b)の反射電子量の信号波形を微分したものである。図4(c)に示すようにピークの絶対値が大きくなっている。これに対し、電子ビームEBの焦点位置が試料12の表面に合っていない場合は、反射電子量はなだらかに変化し、反射電子量の信号波形を微分した信号はピークの絶対値が焦点位置が試料12に合っている場合に比べて小さくなる。そこで、試料12の表面付近で焦点位置を変えて走査を行い、反射電子量の波形を微分した信号の絶対値が最も大きくなるときの焦点位置を試料の高さとしている。
焦点位置が変化した場合に偏向器の偏向能率をどのように変化させれば焦点位置を試料に合わせることができるかを示す、試料高さと偏向能率の相関関係を予め求めておく。露光時には、試料の各点で高さを計測し、上記の相関関係から偏向能率の補正値を算出して補正を行う。
このように露光データを補正しながら電子ビームを照射するが、試料の表面が一定の高さ(つまり、高さ方向をz軸としたとき、z=c(定数))であれば上記補正値を使用して露光データに忠実に露光処理を実施できる。しかし、試料表面は一定の高さである保証はない。そこで、試料表面の形状を表す近似曲面を算出して、表面の形状に応じた補正を行うことによって、高精度な露光処理を実施する。
以下に、図5から図7を参照して、試料表面の近似曲面の算出について説明する。
試料表面の近似曲面の算出にあたり、サンプリング点の数及びその位置を決定する。サンプリング点の位置は、パターンの露光が予定される試料上の位置が含まれる箇所を選択するなど、露光パターンに依存して決定される。また、サンプリング点の数は多いほど試料表面の実際の形状との近似度を高くできるが、少ないサンプリング点であっても本実施形態の手法を使用することによって、近似度を高くすることができる。
サンプリング点の選択位置によっては近似曲面を高精度に算出することができない場合がある。図5(a)〜(c)は近似曲面の算出を説明する図である。図5(a)〜(c)の横軸は、サンプリング点のx軸方向の位置を示しており、縦軸は試料の高さを示している。図5(a)は試料表面の実際の高さを示す曲線(曲面)と、サンプリング点を指定した位置を示している。
図5(a)に示すようにサンプリング点を指定することによって、図5(b)に示すように、試料表面を実際の高さに高度に近似させることができる。これに対し、図5(c)に示すようにサンプリング点を指定すると、サンプリング点を通る曲面が一意に決定されず、図5(c)のような2次曲線(曲面)のように近似に失敗する場合がある。サンプリング点の数は図5(a)の場合と同じであるが、サンプリング点の位置を部分的に集中した不適切な指定をしたためと考えられる。
また、図6は、サンプリング点がほぼ同じ個所の場合に、高さの測定値がほとんど同じであるにも関わらず、近似結果が大きく異なる例を示している。この例では、サンプリング点の配置が不適切であるため、図6(a)、図6(b)ともに近似に失敗しているが、その近似結果自体にも大きなずれを生じてしまう。
なお、図5及び図6ではx軸方向の高さ分布について説明している。このように1次元の場合にはサンプリング点をどの位置に指定すれば適切か否かを直観的に判断することが可能であるが、2次元、かつ、高次の多項式近似の場合は、その判断が困難である。
このような近似の失敗は、不適切な近似の自由度があるために発生する。そこで、本実施形態では、曲面近似に用いる直交関数系を近似自由度の観点から制限するようにしている。
近似曲面の算出にあたり、まず正規直交関数系の候補を決定する。正規直交関数系としては、直交座標系、ゼルニケ関数系などがある。このうち、ゼルニケ関数系は光学における収差の研究等に使用されており、丸みを帯びた表面形状の場合の近似に適している。
図5(a)〜(c)を用いて説明したように、サンプリング点の指定が不適切なために試料表面の近似が失敗してしまう。その対策として、N個の高さ測定点(サンプリング点)のセットPn=(xn、yn、zn)を決定し、サンプリング点の位置に依存する内積を式(1)のように定義し、その内積で直交度の高い基底により近似を行う。これにより、一意性の高い近似曲面が決まるようにする。
Figure 0005411464
ここで、Fn,Fmは正規直交関数系の関数、i、Nは整数、(xi、yi)は試料表面上を測定するサンプリング位置である。
図7(a)に、試料71においてサンプリング点を5ヵ所(P0〜P4)指定した場合の曲面近似処理の一例を示す。正規直交関数系として直交座標系を選択し、図7(a)のように、x軸y軸の原点を試料面71の中心とした場合について説明する。
図7(a)に示したサンプリング点を、P0(0,0)、P1(0.5,0)、P2(−0.5、0)、P3(0,0.5)、P4(0、−0.5)の5点とする。直交関数系として、2次までを対象とする。すなわち、F1=1、F2=X,F3=Y,F4=X*X,F5=X*Y、F6=Y*Yの6つの関数を使用する。近似曲面は、これら6つの関数を基底とする線形結合によって表現される。
式(1)を用いて各基底の内積を算出する。その結果、図7(b)に示すように、<F1,F4>=0.5、<F1,F6>=0.5となり、その他の各基底相互の内積は0となる。よって、関数F1と関数F4、また、関数F1と関数F6とが直交していないことがわかる。また、<F5、F5>=0となり、その他の関数(F1からF4、およびF6)の長さは0ではない。よって、関数F5は長さが0になるため最適解に寄与しないことがわかる。
従って、この関数F1からF6を使用して曲面近似をすると、一意に解が決まらず、最適な近似曲面を導出することができない。そこで、グラム・シュミットの正規直交化法を用いて、基底変換を行う。グラム・シュミットの正規直交化法は、1次独立なベクトルが与えられたとき、これらの1次結合によって正規直交基底を作るアルゴリズムである。その結果得られる関数群は、以下のようになる。
G1=1(=F1)
G2=X(=F2)
G3=Y(=F3)
G4=F4−0.1F1=X*X−0.1
G5=F6−0.1F1+(2/3)G4
=Y*Y−0.1+(2/3)*((X*X)−0.1)
この基底変換により、すべての基底が直交することになり、新たな基底G1からG5を使用して曲面近似をすれば一意に解が求められる。すなわち、Z(x、y)=α+β*x+γ*y+δ*(x*x−0.1)+ε*(y*y−0.1+(2/3)*(x*x−0.1))となるα、β、γ、δ、εを最小二乗近似により決定することにより試料表面の近似曲面を一意に決定することができる。
すなわち、グラム・シュミットの正規直交化法によって得られる正規直交基底を、Gmとし、この正規直交基底Gmへの射影を計算することによって、与えられたPn=(xn、yn、zn)を近似する曲面が算出される。
K個の基底から作った近似曲面Z(x、y)は、<Pn、Gm>=znGm(xi、yi)とするとき、
Figure 0005411464
となる。
なお、上記説明では、基底の一次独立性を確保するために基底の数を6個から5個にしたが、基底の数を減らさないようにするには、サンプリング点の位置を適切な位置に変更することが必要となる。従って、サンプリング位置の自乗和が所定の閾値より小さいときや、正規直交関数系として選択した関数群のうち2つの関数における直交度が小さく、近似曲面が一意に定まらず、高さを測定するときの測定誤差よりも大きな近似誤差を含む可能性が高いとき、サンプリング点を取り直す旨をユーザに示し、再度のサンプリング点の指定を促すようにしてもよい。このとき、取り直す位置は、関数群のうち2つの関数における直交度が大きくなるように新たなサンプリング位置を再設定し、又は新たなサンプリング位置を追加させる旨の指示をするようにしてもよい。
また、グラム・シュミット法による新たな正規直交関数系への変換において、サンプリング位置での自乗和(長さ)がゼロの関数や、他の関数との直交度(内積)がゼロでない関数を除外するようにしたが、サンプリング位置での自乗和が、十分ゼロに近い所定の閾値より小さい関数や、他の関数との直交度が十分ゼロに近い所定の閾値より小さい関数を直交関数系からはずすようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態では、電子ビーム露光装置において、被描画試料の表面を近似する直交関数系に対して、サンプリング位置に依存した内積<Fn,Fm>を定義し、その内積を用いてグラム・シュミット法により新たな正規直交関数系に変換している。この新たな正規直交関数系への変換において、サンプリング位置での自乗和が所定の閾値より小さい関数や、他の関数との直交度が所定の閾値より小さい関数は表面の近似を規定する関数群からはずして近似曲面を算出している。すなわち、長さがゼロとなる関数や、直交しない関数を直交関数系からはずして、すべての関数群が一次独立になり直交するようにしている。これにより、近似曲面を一意的に決定することが可能になり、高精度な試料表面の近似曲面を算出することが可能になる。
なお、上記説明では、マルチコラム露光装置の複数のコラムセルのうちの一つについて説明したが、マルチコラム電子ビーム露光装置に限らず、シングルコラムの電子ビーム露光装置にも適用可能なことは勿論である。
(電子ビーム露光方法)
次に、上記した電子ビーム露光装置における試料表面の高精度な近似曲面の算出を含む露光方法について説明する。
図8は、電子ビーム露光処理の一例を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、高さ補正係数を測定する。一般に、電子ビームは試料面に対して垂直に入射しておらず傾きを持っている。従って、試料の高さに応じて照射の位置ずれが生じてしまう。この位置ずれを補正するために試料の高さを測定した際に使用する、偏向量に比例した電子ビームの傾きに対する照射の位置ずれを高さ補正係数として測定する。
次のステップS12から、試料毎に行う。
ステップS12において、正規直交関数系の候補を決定する。正規直交関数系は、デカルト直交座標系やゼルニケ関数系などがある。試料表面が完全な平坦に近い場合はデカルト直交座標系が適しており、試料表面が凸レンズのような形状の場合にはゼルニケ関数系が適している。どの正規直交関数系を適用するかは、ユーザが指定するようにしてもよいし、装置側で予め決定しておくようにしてもよい。
次のステップS13において、試料表面上のサンプリング点の位置を決定する。このサンプリング点の位置は試料表面の形状の近似曲面を決定する際に使用する位置データである。サンプリング点の数は多ければ多いほど近似曲面の形成には有利であるが、本実施形態では少数のサンプリング点であっても精度良く近似曲面を算出するようにしている。
次のステップS14において、直交関数系の取り直しを行う。ステップS13で指定されたサンプリング点から決まる式(1)の内積を定義し、この内積を用いてグラム・シュミットの正規直交化法により、新たな直交関数系の関数群を算出する。この新たな正規直交関数系への変換において、サンプリング位置での自乗和が所定の閾値より小さい関数や、他の関数との直交度が所定の閾値より小さい関数は表面の近似を規定する関数群からはずしている。
ステップS13で指定されたサンプリング点の位置によっては直交関数系の関数と関数とが直交しない場合が起こりうる。例えば、複数のサンプリング点を指定してもそれらが一直線に並んでいる場合や、x軸、y軸上にサンプリング点を指定した場合である。
このような不適切なサンプリング点の位置が指定されると、近似曲面の解が一意には決定されない場合が発生し、高精度な近似曲面を算出することができない。
グラム・シュミットの正規直交化法を用いて基底を変換することにより関数群の一次独立性が保証され、一意に近似曲面を算出することが可能になる。
次のステップS15において、試料表面の近似曲面式を決定する。ステップS14において決定された正規直交関数系の関数群から、係数が未定の試料表面の近似曲面の式が得られる。サンプリング点における試料の高さを測定し、例えば、最小二乗近似により係数を決定する。
次のステップS16において、露光位置毎の補正値を算出する。ステップS15において決定された近似曲面の式を用いて露光位置毎に高さを計算し、ステップS11で求めた高さ補正係数を考慮して露光データに対する補正値を算出する。
次のステップS17において、ステップS16で算出した補正値を基に、偏向器に信号を送信し、この信号に従って露光処理を行う。
上記処理を、露光対象の試料すべてに対して実施する。
以上説明したように、本実施形態の電子ビーム露光方法では、被描画試料の表面を近似する直交関数系に対して、サンプリング位置に依存した内積を定義し、その内積を用いてグラム・シュミット法により新たな正規直交関数系に変換している。この新たな正規直交関数系への変換において、サンプリング位置での自乗和が所定の閾値より小さい関数や、他の関数との直交度が所定の閾値より小さい関数は表面の近似を規定する関数群からはずして近似曲面を算出している。これにより、近似曲面を一意的に決定でき、高精度な試料表面の近似曲面を算出することが可能になる。
図1は、マルチコラム電子ビーム露光装置の構成図である。 図2は、図1に係る露光装置における1つのコラムセルの構成図である。 図3は、図1に係る露光装置のコラムセル制御部の模式図である。 図4は、試料の高さ検出の一例を説明する図である。 図5は、試料のサンプリング位置と高さとの関係を示す図(その1)である。 図6は、試料のサンプリング位置と高さとの関係を示す図(その2)である。 図7は、試料表面の近似曲面の導出を説明する図である。 図8は、試料表面の近似曲面の導出を含んだ露光処理の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
10…電子ビームコラム、11…コラムセル、12、71…ウエハ(試料)、13…ウエハステージ、20…制御部、21…電子銃高圧電源、22…レンズ電源、23…デジタル制御部、24…ステージ駆動コントローラ、25…ステージ位置センサ、26…統合制御部、31…コラムセル制御部、33…統合記憶部、34…バス、35…コラムセル記憶部、36…補正部、37…露光データ変換部、41…マーク、P0〜P4…サンプリング点。

Claims (5)

  1. 電子線を放出する電子銃と、
    前記電子線によりパターンが描画される被描画試料を保持するホルダーと、
    前記試料の高さに応じて描画位置を補正する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記試料の表面を線形結合により近似する正規直交関数系の各関数について次式で定義される内積を求め、各関数の中で自身との内積がゼロ又はゼロに近い所定のしきい値以下の関数を除去した上で、グラム・シュミット法により新たな正規直交関数系に変換し、当該新たな正規直交関数系の各関数に対するN個の高さ測定点のデータの射影を係数としてそれぞれ求め、前記係数による前記新たな正規直交系の各関数の線形結合を試料の近似曲面とすることを特徴とする電子線描画装置。
    Figure 0005411464
    ここで、Fn,Fmは正規直交系の関数、i、Nは整数、(xi,yi)は試料表面の高さを測定するサンプリング位置である。
  2. 前記制御部は、前記新たな正規直交関数系に変換される前の正規直交関数系として、直交座標上の多項式のうち、次数の低い多項式群を用いることを特徴とする請求項1に記載の電子線描画装置。
  3. 前記制御部は、前記新たな正規直交関数系に変換される前の正規直交関数系として、ゼルニケ関数系のうち、次数の低い関数を用いることを特徴とする請求項1に記載の電子線描画装置。
  4. 前記制御部は、前記試料の表面を線形結合により近似する正規直交関数系の各関数のうち、前記式に基づいて求めた自身との内積がゼロ又はゼロに近いものがある場合、又はグラム・シュミット法により求めた前記新たな正規直交関数系の各関数のうち2つの関数における直交度が小さく、前記近似曲面が前記試料の高さの測定誤差よりも大きな近似誤差を含む可能性が高いとき、前記サンプリング位置の再設定を促すことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の電子線描画装置。
  5. 前記制御部は、グラム・シュミット法により求めた前記新たな正規直交関数系の各関数のうち2つの関数における直交度が大きくなるように新たなサンプリング位置を再設定し、又は、新たなサンプリング位置を追加させる旨の指示をすることを特徴とする請求項4に記載の電子線描画装置。
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