JP5409864B2 - 輝度信号生成装置及び輝度信号生成方法、並びに撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は輝度信号生成装置及び輝度信号生成方法並びに撮像装置に関する。本発明は特に、原色ベイヤー配列の色フィルタを用いた撮像素子により得られる信号から輝度信号を生成する装置及び方法、並びにそれらを用いる撮像装置に関する。
CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサのような、光量を検出可能な撮像素子を用いてカラー画像を生成するため、色フィルタを透過させた光を撮像素子に入射させる構成が一般に用いられている。
色フィルタには、用いる色の種類や、画素毎に割り当てる色の配列などによって様々な種類が存在するが、色の種類は原色(赤、緑、青)又は補色(シアン、マゼンタ、イエロー)が、色配列についてはベイヤー配列がそれぞれ広く用いられている。
図24は、原色ベイヤー配列の1単位を示す図である。実際には、同様の配列が撮像素子の画素数に応じて繰り返される。Rが赤、G1及びG2は緑、Bが青である。
図25は、図24に示す原色ベイヤー配列の色フィルタを用いて輝度信号を生成する従来方法のうち、緑(G)信号のみから輝度信号(OG信号)を生成するOutOfGreen方式を実現する輝度生成回路の構成例を示す図である。
まず、撮像素子の出力(2204)をデジタル化したRAW信号2200に対してZero挿入回路2201を適用して、G画素以外の値を0とする(2205)。次に、垂直方向の帯域を制限するローパスフィルタ(V-LPF)回路2202及び水平方向の帯域を制限するローパスフィルタ(H-LPF)回路2203を適用し、輝度信号を得る。以下、OutOfGreen方式で得られる輝度信号をOG信号という。
また、図24に示す原色ベイヤー配列の色フィルタを用いて輝度信号を生成する従来方法の別の例として、RGB全ての画素を用いて輝度信号(SWY信号)を生成するSWY方式がある。
図26は、SWY方式を実現する輝度生成回路の構成例を示す図である。
図25との比較から明らかなように、SWY方式は、OutOfGreen方式における、Zero挿入回路2201を用いずに輝度信号を得る方式である。以下、SWY方式で得られる輝度信号をSWY信号という。
図27は、OG信号とSWY信号の解像可能な空間周波数特性を示す図である。
x軸は被写体の水平(H)方向の周波数空間を、y軸は垂直(V)方向の周波数空間を示し、原点から遠ざかるほど空間周波数が高い。OG信号はG信号のみから輝度信号を生成するため、水平及び垂直方向の解像限界は撮像素子のナイキスト周波数(軸上、π/2)に等しい。しかし、斜め方向は画素が存在しないラインが存在するため、斜め方向の限界解像周波数は水平垂直と比較して低く、結果としてひし形上の空間周波数領域2400が解像可能な空間周波数となる。
一方、SWY信号は、全ての画素を用いて信号をつくるため、被写体が無彩色の場合、図のような正方形領域2401が解像可能な空間周波数となる。しかしながら、例えば赤い被写体においては、R画素以外からの画素からは輝度信号が出力されないため、無彩色被写体に比べ、水平及び垂直方向とも半分となる空間周波数範囲2402でしか解像しない。
特許文献1では、図27における、OG信号の斜め領域2403については、SWY信号で置換する方法を提案している。ただし、有彩色被写体はSWY信号の解像限界周波数が下がるため、斜め領域2403が無彩色被写体である場合に限り、OG信号をSWY信号で置換する。その後、生成された輝度信号を用いてエッジ強調成分を検出し、輝度信号に加算して最終輝度信号を生成する。
一方、特許文献2では、被写体の角度に応じて、予め用意した複数の補間フィルタを使い分けて輝度信号を生成し、その後エッジ強調を行なって最終輝度信号を生成する方法を提案している。
また、特許文献3では、特許文献1と同様、OG信号とSWY信号を、被写体の色相及び彩度に応じて加重加算する方法を提案している。具体的には、低彩度被写体被写体はSWY信号、高彩度被写体かつMg(マゼンタ)、G(グリーン)の被写体にはSWY信号を使用し、その他有彩色被写体についてはOG信号を使用する。その後、MIX信号でエッジ強調成分を算出し、別途生成した輝度信号に加算して最終輝度信号を生成する。
更に、特許文献4記載の方法では、OG信号を用いて第1の高周波信号を生成するとともに、全色画素の信号から、水平及び垂直方向だけではなく、斜め方向の帯域も制限した角度適応型SWY方式で生成した輝度信号を用いて第2の高周波信号を生成する。そして、信号の空間周波数に応じて第1の高周波信号と第2の高周波信号を加重加算して第3の高周波信号を生成し、OG信号と第3の高周波信号を加算して最終的な輝度信号を生成する。
特開2003−348609号公報 特開2003−196649号公報 特許第3699873号公報 特開2008−72377号公報
しかしながら、特許文献1記載の手法を原色ベイヤー配列の色フィルタを用いて得た信号に適用する場合、図26に示した輝度信号生成回路で生成したSWY信号を用いると、斜め45度及び135度付近に偽解像信号(折り返し歪み)が発生する弊害があった。これは、図26の回路では、H方向及びV方向のみ帯域制限しているため、斜め45度及び135度方向における帯域制限が十分でないことによるものと考えられる。
また、有彩色被写体についてはOG信号を用いるので、有彩色被写体についての斜め方向の解像度は向上しない。更に、OG信号の一部(斜め領域2403)をSWY信号に置換えた後の輝度信号でエッジ強調信号を生成すると、OG信号とSWY信号の切り替わり部分が強調され、不自然なテクスチャーが発生しやすい。
また、特許文献2の手法は、被写体の確度に応じた複数の補間フィルタを予め用意し、かつ保持する必要がある。色の構成を例えばNTSC−RGB空間とすると、輝度信号構成比であるR:G:B=3:6:1を維持する補間フィルタを準備する必要がある。その結果、フィルタの係数が限定され、被写体の角度に最適なフィルタ処理が行えないという問題がある。また、特許文献1と同様、複数の補間方法で算出された輝度信号を混在させてからエッジ強調を実施しているため、算出方法の異なる輝度信号の微妙な切り替わりが強調されてしまう。
また、特許文献3の手法では、OG信号の代わりにSWY信号を使用するのがMgとGの被写体であるため、有彩色被写体のうちMgとG以外の被写体の解像度は向上しない。更に、特許文献1及び特許文献2の手法と同様、複数の手法で算出された輝度信号を加重加算してからエッジ強調を実施しているため、手法の切り替わり部分が強調されてしまう。
また、特許文献4では、赤色被写体における画質劣化を抑制するため、赤色領域を検出し、その領域はOG信号から生成した第1の高周波信号を用いて最終的な輝度信号を生成していた。そのため、赤色被写体がぼける、特に赤色と区別のつきにくい金髪などがぼけるといった現象や、赤色の斜め線の折り返し歪みが除去できないという問題があった。
また、色フィルタの分光分布特性によっては青色被写体について同様の問題が発生する。
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。本発明の一目的は、赤色又は青色被写体について斜め方向成分における折り返し歪みの発生を抑制可能な輝度信号生成装置及び輝度信号生成方法を提供することにある。
上述の目的は、原色ベイヤー配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出した画像信号から、エッジ強調された輝度信号を画素毎に生成する輝度信号生成装置であって、画像信号から輝度信号を生成する輝度信号生成手段と、撮像素子の全色の画素の画像信号を用いて第1の高周波信号を生成する第1の高周波信号生成手段と、撮像素子のうち、赤色又は青色のいずれか一方の画素の画像信号を用いて第2の高周波信号を生成する第2の高周波信号生成手段と、画像信号から、着目画素が赤色又は青色のいずれか一方に近い色かどうかの尺度を示す指標を算出する算出手段と、指標に基づき、着目画素が赤色又は青色のいずれか一方に近い色であるほど、第2の高周波信号の割合が高くなるように第1の高周波信号と第2の高周波信号を加重加算して着目画素に対する高周波信号を生成する第1の加重加算手段と、輝度信号生成手段が着目画素に対して生成した輝度信号に、着目画素に対する高周波信号を加算して、着目画素に対するエッジ強調された輝度信号を生成する加算手段を有することを特徴とする輝度信号生成装置によって達成される。
また、上述の目的は、原色ベイヤー配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出した画像信号から、エッジ強調された輝度信号を画素毎に生成する輝度信号生成方法であって、輝度信号生成手段が、画像信号から輝度信号を生成する輝度信号生成工程と、第1の高周波信号生成手段が、撮像素子の全色の画素の画像信号を用いて第1の高周波信号を生成する第1の高周波信号生成工程と、第2の高周波信号生成手段が、撮像素子のうち、赤色又は青色のいずれか一方の画素の画像信号を用いて第2の高周波信号を生成する第2の高周波信号生成工程と、算出手段が、画像信号から、着目画素が赤色又は青色のいずれか一方に近い色かどうかの尺度を示す指標を算出する算出工程と、第1の加重加算手段が、指標に基づき、着目画素が赤色又は青色のいずれか一方に近い色であるほど、第2の高周波信号の割合が高くなるように第1の高周波信号と第2の高周波信号を加重加算して着目画素に対する高周波信号を生成する第1の加重加算工程と、加算手段が、輝度信号生成工程が着目画素に対して生成した輝度信号に、着目画素に対する高周波信号を加算して、着目画素に対するエッジ強調された輝度信号を生成する加算工程を有することを特徴とする輝度信号生成方法によっても達成される。
このような構成により、本発明によれば、赤色又は青色被写体についても斜め方向成分における折り返し歪みの発生を抑制した輝度信号を生成することができる。
本発明の第1の実施形態に係る輝度信号生成装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態に係る輝度信号生成装置に用いるローパスフィルタの周波数特性の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係る輝度信号生成装置に用いる2次元空間フィルタの係数の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態における角度信号生成回路の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態における第1のHVD加重加算回路の構成例を示すブロック図である。 図5における第1の係数算出回路の入出力特性例を示す図である。 本発明の第1の実施形態における色処理回路の構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施形態における第1及び第2のGR加重加算回路の構成例を示すブロック図である。 図8における第1の赤色度算出回路の入出力特性例を示す図である。 図8における第2の赤色度算出回路の入出力特性例を示す図である。 図8における第2の係数算出回路の入出力特性例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る輝度信号生成装置の構成例を示すブロック図である。 本発明の第2の実施形態に係る輝度信号生成装置における適応補間回路の構成例を示すブロック図である。 図13におけるDiffH信号生成回路及びDiffV信号生成回路の動作を説明する図である。 図13におけるG係数算出回路の入出力特性例を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る輝度信号生成装置における斜め加重加算回路の構成例を示すブロック図である。 適応OG信号とSWY信号が解像可能な周波数空間を示す図である。 図16における第2のSWY係数算出回路の入出力特性例を示す図である。 図16における第3のSWY係数算出回路の構成例を示すブロック図である。 図19におけるCalSwyUse3の入出力特性例を示す図である。 図16における第4のSWY係数算出回路の構成例を示すブロック図である。 図21におけるCalSwyUse4の入出力特性例を示す図である。 図16における第5のSWY係数算出回路の構成例を示すブロック図である。 原色ベイヤー配列の1単位を示す図である。 OG方式による輝度信号生成回路の構成例を示すブロック図である。 SWY方式による輝度信号生成回路の構成例を示すブロック図である。 OG信号とSWY信号の解像可能な空間周波数特性を示す図である。
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して、本発明をその好適かつ例示的な実施形態に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る輝度信号生成装置の構成例を示すブロック図である。本実施形態の輝度信号生成装置は、原色ベイヤー配列の色フィルタを備える撮像素子を用いる撮像装置において、いわゆる現像処理等の信号処理を行なう信号処理回路で好適に実現可能である。
また、輝度信号生成装置は、撮像素子から読み出した画素毎の画像信号を用い、画素毎の輝度信号を生成する。従って、特に述べないが、以下の処理は着目画素を順次更新しながら、着目画素ごとに実行される。
(第1の輝度信号の算出)
原色ベイヤー配列の色フィルタを備える撮像素子(図示せず)から読み出され、デジタルデータ化及びホワイトバランス処理が行なわれた画像信号がRAW信号100として入力される。
第1のローパスフィルタとしての垂直ローパスフィルタ(V-LPF)101および水平ローパスフィルタ(H-LPF)102は、RAW信号100の水平および垂直方向の帯域を制限し、輝度信号Yhv_1を生成する。
図2は本実施形態の輝度信号生成装置に用いるローパスフィルタの周波数特性の例を示す図である。図2において、x軸が空間周波数、y軸が通過ゲインを示している。V-LPF101、V-LPF102は、撮像素子のナイキスト周波数Nでゲインが0となる周波数特性200を有している。一方、後述するように、V-LPF116、H-LPF117は、撮像素子のナイキスト周波数Nの半分の周波数(N/2)でゲインが0となる周波数特性201を有する。
通常、白黒(無彩色)被写体には、周波数特性200を有するV-LPF101及びH-LPF102を適用する。
H-LPF102から出力される輝度信号Yhv_1は、第1のHVD加重加算回路114に供給される。輝度信号Yhv_1はまた、2次元ローパスフィルタD45-LPF103及びD135-LPF106、及び垂直バンドパスフィルタ(V-LPF)109及び水平バンドパスフィルタ(H-BPF)111に供給される。
図3は、本実施形態の輝度信号生成装置に用いる2次元空間フィルタの係数の例を示す図である。図3において、(a)はD45-LPF103、(b)はD135-LPF106、(c)は後述するD135-BPF104、(d)は後述するD45-BPF107の係数の例を示す。
D45-LPF103は、輝度信号Yhv_1の45度方向の帯域を制限した輝度信号Yd45_1を生成して、第1のHVD加重加算回路114に供給する。
D135-LPF106は、輝度信号Yhv_1の135度方向の帯域を制限した輝度信号Yd135_1を生成して、第1のHVD加重加算回路114に供給する。
第1のHVD加重加算回路114は、水平及び垂直方向に帯域制限された輝度信号Yhv_1、さらに45度方向または135度方向がそれぞれ帯域制限された輝度信号Yd45_1及び輝度信号Yd135_1を加重加算し、第1の輝度信号Yh_1を生成する。
次に、第1のHVD加重加算回路114での加重加算方法について説明する。
第1のHVD加重加算回路114は、被写体の角度に応じた加重加算係数により、3つの輝度信号を加重加算する。
まず、RAW信号100から、OG信号生成回路140でOG信号を生成する。OG信号生成回路140は、図25を用いて説明した方法でOG信号を生成する。角度信号生成回路150は、OG信号から被写体の角度を示す角度信号angleSigDを生成し、第1のHVD加重加算回路114に供給する。
図4は、角度信号生成回路の構成例を示すブロック図である。OG信号300は、2次元バンドパスフィルタであるD135-BPF301及びD45-BPF303へ入力される。D135-BPF301及びD45-BPF303は、それぞれ図3の(c)及び(d)に示す係数を有し、45度線及び135度線を強調する。
絶対値回路(ABS)302及び304は、D135-BPF301及びD45-BPF303の出力から、それぞれ、45度線検出信号及び135度線検出信号を生成する。
減算回路305は、ABS302からの45度線検出信号からABS304からの135度線検出信号を減算し、減算結果を角度信号(angleSigD)306とする。角度信号angleSigDは、正なら45度線、負なら135度線を意味する。また、出力信号の振幅が小さい領域は水平および垂直線を意味する。
図5は、第1の輝度信号生成手段としての第1のHVD加重加算回路114の構成例を示すブロック図である。
第1の係数算出回路1141は、角度信号angleSigDの値に基づき、加重加算係数D_UseRatioを求めて出力する。極性判別回路1142は角度信号angleSigDの極性を判別し、極性(正負)に基づいてセレクタ1143を制御することで、輝度信号Yd45_1及び輝度信号Yd135_1の一方を第1の演算回路1144へ供給する。具体的には、極性判別回路1142は、角度信号angleSigDの極性が正の場合には輝度信号Yd45_1を、負の場合には輝度信号Yd135_1を第1の演算回路1144へ供給するようにセレクタ1143を制御する。
第1の演算回路1144は、第1の係数算出回路1141からの加重加算係数D_UseRatioを用いて、輝度信号Yhv_1及び、輝度信号Yd45_1又は輝度信号Yd135_1を加重加算し、第1の輝度信号Yh_1を算出する。
図6は、第1の係数算出回路1141の入出力特性例を示す図である。
角度信号angleSigDの絶対値(振幅)が0から予め設定した閾値P1まで(0 ≦ |angleSigD| ≦ P1)は水平もしくは垂直信号であることから、第1の係数算出回路1141は、係数D_UseRatioを0とする。一方、完全な斜め信号を表す閾値P2以上の区間(P2 < |angleSigD|)は係数D_UseRatioを128とする。一方、閾値P1からP2の区間(P1 < |angleSigD| < P2)は、線形補間出力する。
このようにして、第1の係数算出回路1141は、角度信号の絶対値|angleSigD|に基づいて加重加算係数D_UseRatioを求め、第1の演算回路1144に供給する。
第1の演算回路1144は、以下の式(1−1)及び(1−2)を用いて、第1の輝度信号Yh_1を生成する。
Figure 0005409864
ここで、Yhv_1は水平及び垂直方向が帯域制限された輝度信号、Yd45_1及びYd135_1はさらに45度方向及び135度方向が帯域制限された45度輝度信号及び135度輝度信号をそれぞれ示す。
(第1の高周波信号の算出)
V-LPF101およびH-LPF102により、垂直及び水平方向の帯域が制限された輝度信号Yhv_1は、垂直バンドパスフィルタ(V-BPF)109および水平バンドパスフィルタ(H-BPF)111で垂直および水平方向のエッジ成分が検出される。それぞれのエッジ成分は垂直ゲイン回路(V-Gain)110および水平ゲイン回路(H-Gain)112で予め設定したゲインが乗じられた後、加算回路113によって加算され、第1の水平垂直エッジ信号(高周波信号)AChv_1となる。
一方、D45-LPF103によりさらに45度方向の帯域が制限された輝度信号は、135度方向のAC成分(エッジ成分もしくは高周波成分)を検出するD135-BPF104(係数は図3の(c)に示す)で45度線のエッジ成分が抽出される。その後ゲイン回路105によってゲイン調整され、45度線用エッジ信号ACd45_1が算出される。同様に、D135-LPF106でさらに135度方向の帯域が制限された輝度信号は、D45-BPF107(係数は図3の(d)に示す)で135度方向のエッジ成分が抽出される。その後、ゲイン回路108によってゲイン調整され、135度線エッジ信号Acd135_1が算出される。
第2のHVD加重加算回路115は、第1の高周波信号生成手段として機能する。第2のHVD加重加算回路115で、第1の輝度信号Yh_1の生成時に使用した加重加算係数D_UseRatioと3つのエッジ信号を以下の式(1−3)および(1−4)に従って加重加算し、第1の高周波信号AC_1を生成する。
Figure 0005409864
第2のHVD加重加算回路115は、Yhv_1, Yd45_1,Yd135_1に代えてAChv_1, ACd45_1,ACd135_1を入力とすること以外、図5に示した第1のHVD加重加算回路114と同様の構成であってよい。または、加重加算係数D_UseRatioと、角度信号angleSigDの極性情報を第1のHVD加重加算回路114から取得することもできる。この場合には、第1の係数算出回路1141と極性判別回路1142は不要である。
(第2の輝度信号(赤色被写体用)の算出)
赤色被写体用の第2の輝度信号は、第1の輝度信号と同様の処理で生成するが、処理における帯域制限フィルタの特性が異なる。
RAW信号100は、V-LPF116およびH-LPF117で水平および垂直方向の帯域が制限される。第2のローパスフィルタとしてのV-LPF116およびH-LPF117は、図2の周波数特性201を有する。すなわち、RAW信号100の帯域を、V-LPF101およびH-LPF102の周波数特性200の約半分(撮像素子のナイキスト周波数の約半分)に制限する。
これは、原色フィルタの場合、特に赤色被写体では、緑画素及び青画素からの出力信号値がほぼ0となるため、撮像素子による空間サンプリングによるナイキスト周波数が垂直方向、水平方向とも通常の無彩色被写体の半分になるからである。
H-LPF117から出力される輝度信号Yhv_2は、輝度信号Yhv_1と同様に処理されて、第3及び第4の加重加算回路129及び130により第2の輝度信号Yh_2および第2の高周波信号AC_2が生成される。
具体的には、輝度信号Yhv_2は、D45-LPF118及びD135-LPF121で45度方向及び135度方向の帯域が制限され信号Yd45_2及びYd135_2として第3のHVD加重加算回路129に供給される。また、輝度信号Yhv_2は、そのままの状態でも第3のHVD加重加算回路129に供給される。
第2の輝度信号生成手段としての第3のHVD加重加算回路129は、第1のHVD加重加算回路114と同様の構成を有し、角度信号angleSigDから加重加算係数D_UseRatioを算出する。そして、第3の加重加算回路129は、以下の式(1−5)および式(1−6)を用いて、第2の輝度信号Yh_2を生成する。
Figure 0005409864
ここで、Yhv_2は水平及び垂直方向が帯域制限された輝度信号、Yd45_2及びYd135_2はさらに45度方向及び135度方向が帯域制限された45度輝度信号及び135度輝度信号をそれぞれ示す。これら信号が、垂直方向及び水平方向での帯域制限がYhv_1、Yd45_1及びYd135_1と異なることは、上述したとおりである。
(第2の高周波信号(赤色被写体用)の算出)
V-LPF116およびH-LPF117により、垂直及び水平方向の帯域が制限された輝度信号Yhv_2は、垂直バンドパスフィルタ(V-BPF)124および水平バンドパスフィルタ(H-BPF)126で垂直および水平方向のエッジ成分が検出される。それぞれのエッジ成分は垂直ゲイン回路(V-Gain)125および水平ゲイン回路(H-Gain)127で予め設定したゲインが乗じられた後、加算回路128によって加算され、第2の水平垂直エッジ信号(高周波信号)AChv_2となる。
一方、D45-LPF118によりさらに45度方向の帯域が制限された輝度信号は、135度方向のAC成分(エッジ成分もしくは高周波成分)を検出するD135-BPF119(係数は図3の(c)に示す)で45度線のエッジ成分が抽出される。その後ゲイン回路120によってゲイン調整され、45度線用エッジ信号ACd45_2が算出される。同様に、D135-LPF121でさらに135度方向の帯域が制限された輝度信号は、D45-BPF122(係数は図3の(d)に示す)で135度方向のエッジ成分が抽出される。その後、ゲイン回路123によってゲイン調整され、135度線エッジ信号Acd135_2が算出される。
第4のHVD加重加算回路130は第2の高周波信号生成手段として機能する。第4のHVD加重加算回路130で、第2の輝度信号Yh_2の生成時に使用した加重加算係数D_UseRatioと3つのエッジ信号を以下の式(1−7)および(1−8)に従って加重加算し、第2のエッジ信号AC_2を生成する。
Figure 0005409864
第4のHVD加重加算回路115は、Yhv_1, Yd45_1,Yd135_1に代えてAChv_2, ACd45_2,ACd135_2を入力とすること以外、図5に示した第1のHVD加重加算回路114と同様の構成であってよい。または、加重加算係数D_UseRatioと、角度信号angleSigDの極性情報を第3のHVD加重加算回路129から取得することもできる。この場合には、第1の係数算出回路1141と極性判別回路1142は不要である。
(第1と第2の輝度信号および高周波信号の加重加算)
第1及び第3のHVD加重加算回路114及び129で生成された第1の輝度信号Yh_1と第2の輝度信号Yh_2は、第1の加重加算手段としての第1のGR加重加算回路131で加重加算され、第3の輝度信号Yh_3となる。
本実施形態の第1のGR加重加算回路131は、赤色被写体以外の通常被写体に対しては第1の輝度信号Yh_1信号を100%使用する。また、第1のGR加重加算回路131は、赤色被写体は垂直方向及び水平方向の帯域を第1の輝度信号Yh_1の半分に制限した第2の輝度信号Yh_2信号を100%使用する。
このような加重加算を行うことで、原色フィルタを備えた撮像装置の輝度信号生成時に全画素の情報を用いる場合(例えばSWY方式を用いた場合)、赤色被写体に対しても折り返し歪みの発生を十分に抑制した輝度信号を生成することができる。
図7は、図1における色処理回路160の構成例を示すブロック図である。
色処理回路160は、RAW信号100から、被写体の赤さを判別するための信号として、位相角信号Chromaθ及び彩度信号ChromaSigを生成し、第1及び第2のGR加重加算回路131及び132に供給する。
図7において、RAW信号100は、色補間回路601において、画素毎に補間演算(ロ−パスフィルタ処理)が実施され、その後、色差信号生成回路602によって色差信号R-Y(Ry)信号及びB-Y(By)信号に変換される。
色相角検出回路603は、画素毎に生成された色差信号に、以下の式(1−9)を適用して色相角信号Chromaθを生成する。
Figure 0005409864
また、彩度算出回路604は、色差信号生成回路602で生成された色差信号に以下の式(1−10)を適用して彩度信号ChromaSigを生成する。
Figure 0005409864
色処理回路160で生成された色相角信号Chromaθ及び彩度信号ChromaSigは、第1及び第2のGR加重加算回路131及び132へ出力される。
図8は、第1及び第2のGR加重加算回路131及び132の構成例を示すブロック図である。
第1の赤色度算出回路1311は、図9に示すような入出力特性を有し、色相角信号Chromaθを、被写体の赤さを示す指標の1つとしての第1の赤色度RedSig_1に変換する。
図9に示す例では、色相角信号Chromaθの値が0から予め定めた閾値P1まで(Chromaθ≦P1)と、閾値P4以上(P4≦Chromaθ)の範囲は、赤以外の色を表すものとして、RedSig_1を0とする。一方、閾値P2からP3の範囲(P2≦Chromaθ≦P3)は、赤色を表すものとして、第1の赤色度RedSig_1を128とする。その他の範囲(P1<Chromaθ<P2,P3<Chromaθ<P4)は、128と0を線形補間した値を有する第1の赤色度RedSig_1を出力する。P1〜P4は、赤色度の閾値として予め定めておくことができる。
第2の赤色度算出回路1312は、図10に示すような入出力特性を有し、彩度信号ChromaSigを、被写体の赤さの尺度を示す指標の1つとしての第2の赤色度RedSig_2に変換する。
図10に示す例では、彩度信号ChromaSigの値が0から予め定めた閾値C1まで(ChromaSig≦C1)は、低彩度でありノイズの影響があるため、RedSig_2を0とする。閾値C2以上(C2≦ChromaSig)の範囲は赤色を表すものとして、第2の赤色度RedSig_2を128とする。その他の範囲(C1<ChromaSig<C2)は、128と0を線形補間した値を有する第2の赤色度RedSig_2を出力する。C1〜C2は、赤色度の閾値として予め定めておくことができる。
第3の赤色度算出回路1313は、第1の赤色度RedSig_1と第2の赤色度RedSig_2を以下の式(1−11)に従って乗算して、第3の赤色度RedSig_3を算出する。
Figure 0005409864
第2の係数算出回路1314は、図11に示すような入出力特性を有し、第3の赤色度RedSig_3からGR加重加算係数Yh2UseRatioを出力する。
図11に示す例では、第3の赤色度RedSig_3の値が0から予め定めた閾値Th1まで(RedSig_3≦Th1)は、赤色でないため、GR加重加算係数Yh2UseRatioを0とする。閾値Th2以上(Th2≦RedSig_3)の範囲は赤色を表すものとして、GR加重加算係数Yh2UseRatioを128とする。その他の範囲(Th1<RedSig_3<Th2)は、128と0を線形補間した値を有するGR加重加算係数Yh2UseRatioを出力する。Th1〜Th2は、赤色度の閾値として予め定めておくことができる。
このような入出力特性により、赤色被写体には第2の輝度信号Yh_2が、赤色でない被写体には第1の輝度信号Yh_1がそれぞれ100%用いられ、中間色の被写体には第1及び第2の輝度信号Yh_1及びYh_2が赤味に応じた割合で用いられる。
最後に、第2の演算回路1315が、加重加算係数Yh2UseRatioを用い、以下の式(1−12)及び式(1−13)に従い、第1の輝度信号Yh_1と第2の輝度信号Yh_2から、第3の輝度信号Yh_3を算出する。また、第2の加重加算手段としての第2のGR加重加算回路132においても、同様にして、第1の高周波信号AC_1と第2の高周波信号AC_2を加重加算し、第3の高周波信号AC_3を生成する。
Figure 0005409864
なお、第2のGR加重加算回路132においては、第1のGR加重加算回路131から加重加算係数Yh2UseRatioを取得して用いても良い。この場合、第2のGR加重加算回路132は、図8における第2の演算回路1315のみを有すればよい。
または、第2のGR加重加算回路132が加重加算係数Yh2UseRatioを算出し、第1のGR加重加算回路131が第2のGR加重加算回路132から加重加算係数Yh2UseRatioを取得しても良い。この場合、第1のGR加重加算回路131は、図8における第2の演算回路1315のみを有すればよい。
加算回路133は、第3の輝度信号Yh_3と第3の高周波信号AC_3を加算し、加算結果を最終輝度信号として出力する。
本実施形態では、水平及び垂直方向の解像度が低下する被写体色として赤色被写体を想定して説明した。しかし、色フィルタの分光分布特性によっては青色被写体についてR画素及びG画素の出力がほぼ0になる場合がある。この場合には、赤色度の代わりに青色度を検出し、青色被写体に対して同様の処理を適用し、第2の輝度信号Yh_2を導入して輝度信号を生成することができる。また、赤色及び青色の両被写体に対して第2の輝度信号Yh_2を用いるように構成しても良い。
以上説明したように、本実施形態によれば、原色ベイヤー配列の色フィルタを用いた撮像素子から得られる画像信号から輝度信号を生成する輝度信号生成装置において、垂直方向及び水平方向の帯域を第1の範囲に制限して第1の輝度信号を生成する。また、垂直方向及び水平方向の帯域を第1の範囲よりも狭い第2の範囲に制限して第2の輝度信号を生成する。そして、被写体の色の赤さ又は青さが強いほど、第2の輝度信号の割合を高めて第1及び第2の輝度信号を加重加算して、最終的な輝度信号を生成する。そのため、赤色被写体や青色被写体に対しても、折り返し歪みの発生を十分抑制した輝度信号を生成することができる。
また、本実施形態では、高周波信号についても同様に帯域制限範囲の異なる第1の高周波信号及び第2の高周波信号を生成して、被写体の色の赤さ又は青さが強いほど、第2の高周波信号の割合を高めて第1及び第2の高周波信号を加重加算する。そして、このような高周波信号を用いて輝度信号を生成するので、赤色被写体や青色被写体に対しても、ぼけを抑制した、解像度の高い輝度信号を生成することができる。
(第2の実施形態)
図12は本発明の第2の実施形態に係る輝度信号生成装置の構成例を示すブロック図である。図12において、第1の実施形態と同様の構成には同様の参照数字を付し、重複する説明は省略する。本実施形態において、全てのLPFは帯域制限する方向について図2の200で示した周波数特性を有するものとする。
(第1の高周波信号の算出)
第1の実施形態における第1の高周波信号AC_1と同様の手法で生成する。
RAW信号100は、第1の実施形態におけるV-LPF101及びH-LPF102と同等のV-LPF1017およびH-LPF1018でそれぞれ垂直方向及び水平方向の帯域が制限される。そして、V-BPF109およびH-BPF111により、垂直および水平方向のエッジ成分が検出される。それぞれのエッジ成分はゲイン回路110および112で予め設定したゲインが乗じられ加算回路113で加算されて、第1の水平垂直エッジ信号AChv_1が算出される。
一方、第1の実施形態におけるD45-LPF103と同等のD45-LPF1019で45度方向の帯域が制限された輝度信号Yhv_1は、D135-BPF104で45度線のエッジ成分が抽出される。そして、ゲイン回路105によってゲイン調整され、第1の45度線用エッジ信号ACd45_1が算出される。
同様に、第1の実施形態におけるD135-LPF106と同等のD135-LPF1022で135度方向の帯域が制限された輝度信号Yhv_1は、D45-BPF107で135度方向のエッジ成分が抽出される。そして、ゲイン回路108によってゲイン調整され、第1の135度線エッジ信号Acd135_1が算出される。
第1のHVD加重加算回路115は、第1の実施形態で算出した加重加算係数D_UseRatioを用いて3つのエッジ信号を加重加算し、第1の高周波信号AC_1を生成する。
(第2の高周波信号(赤色被写体用)の算出)
第1の実施形態における第2の高周波信号とほぼ同様の手法で生成するが、本実施形態ではRAW信号100の全ての画素信号を用いて高周波成分を求めるのではなく、R画素以外に0挿入処理した信号を用いる点が第1の実施形態と異なる。このように、R画素以外を0とすることにより、赤色被写体撮影時に、R画素以外の色画素から微小な振幅の輝度信号への折り返し歪みを防ぐことができる。また、RAW信号の垂直方向及び水平方向の帯域を、第1の高周波信号と同等に制限する点においても第1の実施形態と異なる。
RAW信号100は、0挿入回路1001で、R画素以外の画素信号値が0に置換される。その後、V-LPF1004およびH-LPF1005で垂直方向及び水平方向の帯域がナイキスト周波数以下に制限される。また、V-BPF124およびH-BPF126で水平および垂直方向のエッジ成分が検出され、それぞれゲイン回路125、127でゲインが乗じられた後、加算回路128によって加算され、エッジ信号AChv_2が算出される。
一方、D45-LPF1006で45度方向の帯域が制限された画像信号は、D135-BPF119で45度線のエッジ成分が抽出され、ゲイン回路120によってゲイン調整されて、エッジ信号ACd45_2が算出される。同様に、D135-LPF1009で135度方向の帯域が制限された画像信号は、D45-BPF122で135度線のエッジ成分が抽出され、ゲイン回路123によってゲイン調整されて、エッジ信号ACd135_2が算出される。
第2のHVD加重加算回路130は、加重加算係数D_UseRatioを用いて3つのエッジ信号を加重加算し、第2のエッジ信号AC_2を生成する。
(第3の高周波信号の算出)
第1の実施形態ではSWY信号を用いて高周波信号を算出しているため、水平及び垂直のナイキスト周波数付近の解像度が劣化する。そこで、適応的に補間したOG信号を用いて第3の高周波信号を生成することで、ナイキスト周波数付近の解像度劣化を防ぐ。
0挿入回路1032〜加算回路1038は、緑色画素の画像信号から高周波信号を生成する第3の高周波信号生成手段として機能する。
RAW信号100は、0挿入回路1032でG画素以外の画素信号値が0に置換され、適応補間回路1033は、0挿入されたRAW信号100を適応補間して適応OG信号を生成する。
図13は、本実施形態における適応補間回路1033の構成例を示すブロック図である。
適応補間回路1033には、0挿入回路1032でG画素以外の画素信号値が0に置換されたRAW信号100と、置換前のRAW信号100の両方が入力される。
0置換されたRAW信号100は、V-LPH1102により垂直方向の帯域が制限され、Gv信号が生成される。Gv信号はG加重加算回路1105に入力される一方、H-LPF1103に入力される。H-LPF1103はGv信号の水平方向の帯域を制限し、垂直方向及び水平方向の帯域が制限されたGhv信号を生成する。Ghv信号はG加重加算回路1105に入力される。H-LPF1104は、0置換されたRAW信号100の水平方向の帯域を制限し、Gh信号を生成して、G加重加算回路1105に入力する。
このようにして、G画素以外が0とされた信号の(1)垂直方向の帯域が制限されたGv信号、(2)水平方向の帯域が制限されたGh信号、(3)垂直及び水平方向の帯域が制限されたGhv信号が生成され、いずれもG加重加算回路1105へ入力される。
一方、DiffH信号生成回路(DiffH)1106、DiffV信号生成回路(DiffV)1107は、0挿入されていないRAW信号100から、以下のようにしてDiffH信号及びDiffV信号を生成する。
図14は、DiffH信号生成回路1106及びDiffV信号生成回路1107の動作を説明する図である。着目画素をP22とした場合、DiffH信号生成回路1106及びDiffV信号生成回路1107は、以下の式(2−1)及び(2−2)に従って、DiffH信号及びDiffV信号を生成する。
DiffH = |P21-P23|+|2×P22-P20-P24| (2−1)
DiffV = |P12-P32|+|2×P22-P02-P42| (2−2)
なお、式中のP12〜P42は、図14における対応画素の信号値である。
被写体が縦縞の場合、DiffH信号が大きくなり、横縞の場合DiffV信号の値が大きくなる。減算器1108は、DiffH信号からDiffV信号を減算し、着目画素が傾いた線に対応する度合いを示すDiffHV信号を出力する。
すなわち、
DiffHV = DiffH - DiffV
である。
係数算出回路(Tsig)1109は、DiffHV信号に基づいて加重加算係数を算出し、G加重加算回路1105へ供給する。
図15は、G係数算出回路1109の入出力特性例を示す図である。
横軸がDiffHV信号、縦軸が加重加算係数Tsigの値をそれぞれ示す。DiffHV≦Th0の場合は、DiffVがDiffHより大きいため横縞領域であると判定される。この場合、G加重加算回路1105がGh信号を100%使用するTsig値(Tsig=-128)が出力される。
Th1<DiffHV<Th2の区間は、DiffVとDiffHが互いに近い値であるため、斜め領域と判定される。この区間では、G加重加算回路1105がGhv信号を100%使用するTsig値(Tsig=0)が出力される。
更に、DiffHV≧Th3の場合は、DiffHがDiffVより大きいため縦縞領域であると判定される。この場合には、Gv信号を100%使用するTsig値(Tsig=128)が出力される。
Th0<DiffHV≦Th1の区間は、−128から0まで線形的に変化するように決定されたTsigを出力する。同様に、Th2≦DiffHV<Th3の区間は、0から128まで線形的に変化するように決定されたTsigを出力する。
G加重加算回路1105は、このように決定されたTsigの値に基づいて、Gh信号、Gv信号、Ghv信号は、を以下の式(2−3)及び(2−4)を用いて加重加算し、適応OG信号を生成する。
Figure 0005409864
適応補間回路1033によって生成された適応OG信号は、V-BPF1034で垂直方向のエッジ成分が検出され、ゲイン回路1035でゲイン調整される。一方、適応OG信号は、H-BPF1036で水平方向のエッジ成分が検出され、ゲイン回路1037でゲイン調整される。ゲイン調整後の垂直及び水平エッジ成分は加算回路1038で加算され、第3の高周波信号AC_3として斜め加重加算回路1039に送られる。
(第1と第3の高周波信号の加重加算)
斜め加重加算回路1039は、全色画素(SWY信号)から生成した第1の高周波信号AC_1と、適応OG信号から生成した第3の高周波信号AC_3を、以下の式(2−5)に従って加重加算し、第4の高周波信号AC_4を生成する。
Figure 0005409864
図16は、本実施形態の斜め加重加算回路1039の構成例を示すブロック図である。
第2の加重加算手段としての斜め加重加算回路1039は、第1〜第4のSWY係数算出回路1060〜1063で第1〜第4のSWY係数SWYUseRatio_1~4を求める。そして、これら次いで第5のSWY係数算出回路1064において、第1〜第4のSWY係数SWYUseRatio_1~4から最終的な加重加算係数SWYUseRatioを求める。第3の演算回路1065は、上述の式(2−5)に従った加重加算を行い、第4の高周波信号AC_4を求める。
(1)SWYUseRatio_1(第1のSWY係数)の算出
図17は、適応OG信号とSWY信号が解像可能な周波数空間を示す図である。
ここで、第3の高周波信号AC_3が折り返し歪みの影響を受ける領域は、斜め領域1400である。よって、斜め領域1400を第1の高周波信号AC_1で置換すれば、折り返し歪みのない第4の高周波信号AC_4が生成できる。よって第1の実施形態で使用した角度信号AngleSigDを用いることで、加重加算係数を算出できる。
角度信号AngleSigDは、正なら45度線、負なら135度線となり、また信号値の絶対量が大きければ、より45度および135度線に近くなり、小さいければ0度および90度線に近くなるとなる特徴を持っている。
これにより、第1のSWY係数算出回路1060により、角度信号AngleSigDから第1のSWY係数SWYUseRatio_1を求めることができる。具体的には、第1の実施形態で使用した、第1の係数算出回路1141と同様の入出力特性(図6において、出力値D_UseRatioをSWYUseRatio_1としたもの)を第1のSWY係数算出回路1060に持たせればよい。
(2)SWYUseRatio_2(第2のSWY係数)の算出
図17における水平垂直領域1401は適応OG信号から生成されている第3の高周波信号AC_3を用いる。これは第3の高周波信号AC_3が、適応OG信号に基づくことで、水平及び垂直の両方向について必ず帯域が制限されているSWY信号から生成された第2の高周波信号AC_2より解像度が良好であることによる。
水平垂直領域1401は、図13及び図14説明したDiffH信号及びDiffV信号を用いて判別することができる。上述の通り、被写体が縦縞の場合、DiffHの値は大きくなりDiffVは0となる。また被写体が横縞の場合、DiffVの値は大きくなりDiffH0となる。
従って、図18に示す入出力特性を有する第2のSWY係数算出回路1061を用いることにより、DiffHV信号から第2のSWY係数SWYUseRatio_2を算出することができる。図18において、入力信号|DiffHV|の値が0からP1までは値が小さいため斜め線であり、第2のSWY係数SWYUseRatio_2を128とする。また、P2以上は完全に横縞又は縦縞であり、第2のSWY係数SWYUseRatio_2を0とする。また、P1からP2の区間は、第2のSWY係数SWYUseRatio_2の値を128と0とを線形補間した値とする。
(3)SWYUseRatio_3(第3のSWY係数)の算出
図17における水平及び垂直のナイキスト周波数付近の領域(ナイキスト領域)1402は、(2)と同じ理由から、第3の高周波信号AC_3を用いるのが好ましい。ナイキスト領域1402は、G1画素信号とG2画素信号の位相ずれを検出することで判別可能である。
図19は、第3のSWY係数算出回路1062の構成例を示すブロック図である。
0挿入回路1601及び1064は、RAW信号100のG1及びG2画素以外の画素信号値を0とした信号をそれぞれ生成する。水平及び垂直方向の補間のためのローパスフィルタ(V-LPF1602、H-LPF1603、V-LPF1605、H-LPF1066)により、0とされた画素に値が補間される。
次に、減算回路1607により、補間されたG1信号(H-LPF1063の出力)と補間されたG2信号(H-LPF1066の出力)の差分が求められ、差分の絶対値を絶対値回路(abs)1608で求め、領域判別信号sigDiffGとして出力する。
領域判別信号sigDiffGを、図20に示すような入出力特性を有するCalSwyUse3 1609を用い、第3のSWY係数SWYUseRatio_3を算出する。CalSwyUse3 1609は、演算回路であっても、テーブルであっても良い。
領域判別信号sigDiffGの値が0からP1までは値が小さいため斜め線であり、第3のSWY係数SWYUseRatio_3を128とする。またP2以上では完全に横縞又は縦縞であるため、第3のSWY係数SWYUseRatio_3を0とする。また、P1からP2の区間は、第3のSWY係数SWYUseRatio_3の値を128と0とを線形補間した値とする。
(4)SWYUseRatio_4(第4のSWY係数)の算出
図17における低周波領域1403は、第1の高周波信号AC_1を用いるのが好ましい。低周波領域1403は、RAW信号に低周波領域を検出するフィルタを適用することで検出可能である。
図21は、第4のSWY係数算出回路1063の構成例を示すブロック図である。
RAW信号100は、V-LPF1801及びH-LPF1802により、垂直方向及び水平方向の帯域が制限される。その後、さらに水平方向のバンドパスフィルタ(H-BPF)1803と垂直方向のバンドパスフィルタ(V-BPF)1804が別々に適用される。そして減算器1805によって、H-BPF1803の出力からV-BPF1804の出力を減算する。絶対値回路(abs)1806は減算結果の絶対値を算出し、低域検出用信号LowFとして出力される。
そして、図22に示すような入出力特性を有するCalSwyUse4 1807を用い、第4のSWY係数SWYUseRatio_4を算出する。CalSwyUse4 1807は、演算回路であっても、テーブルであっても良い。
低域検出用信号LowFの値が0からP1までは値が小さいため高周波領域であり、第4のSWY係数SWYUseRatio_4を128とする。また、P2以上は低周波領域であるため、第4のSWY係数SWYUseRatio_4を0とする。P1からP2の区間は、第4のSWY係数SWYUseRatio_4の値を128と0とを線形補間した値とする。
第5のSWY係数算出回路1064は、第1のSWY係数SWYUseRatio_1から第4のSWY係数SWYUseRatio_4から、最終的な加重加算係数SWYUseRatioを算出する。
図23は、第5のSWY係数算出回路1064の構成例を示すブロック図である。
乗算器2004は、第1のSWY係数SWYUseRatio_1と第2のSWY係数SWYUseRatio_2を乗算し、シフター2005により右方向に7ビットシフト演算される。シフター2005により、乗算器2004の出力は1/128倍される。
シフター2005の出力は乗算器2006により第3のSWY係数SWYUseRatio_3と乗算され、乗算結果がシフター2007により右方向に7ビットシフト演算される。最後に、シフター2007の出力は乗算器2008により第4のSWY係数SWYUseRatio_4と乗算され、乗算結果が最終の加重加算係数SWYUseRatioとして出力される。
すなわち、
SWYUseRatio=SWYUseRatio_1*SWYUseRatio_2/128*SWYUseRatio_3/128*SWYUseRatio_4*/128
である。
第3の演算回路1065は、上述の式(2−5)に従った加重加算を行い、第1及び第3の高周波信号AC_1及びAC_3から、第4の高周波信号AC_4を求める。
(第2と第4の高周波信号の加重加算)
図12における第3のGR加重加算回路1051は、第4の高周波信号AC_4と第2の高周波信号AC_2を加重加算し、以下の式(2−6)に従って第5の高周波信号AC_5を生成する。第3のGR加重加算回路1051は、AC_1がAC_4に、AC_3がAC_5に、加重加算係数の名称がAC2UseRatioとなることを除き、図8に示した第1の実施形態における第2のGR加重加算回路132と同様の構成であってよい。
Figure 0005409864
(最終輝度信号の生成)
図12に戻り、適応補間回路1033で生成された適応OG信号は、ゲイン回路1046にも供給される。ゲイン回路1046は、適応OG信号に0.6倍のゲインを乗じて出力する。
一方、RAW信号100は、0挿入回路1040でR画素以外の画素信号値が0に置換され、V-LPF1041とH-LPF1042で補間演算された後、ゲイン回路1047に供給される。ゲイン回路1047はR信号に0.3倍のゲインを乗じて出力する。
更に、RAW信号100は0挿入回路1043でB画素以外の画素信号値が0に置換され、V-LPF1044とH-LPF1045で補間演算された後、ゲイン回路1048に供給される。ゲイン回路1048はB信号に0.1倍のゲインを乗じて出力する。
ゲイン回路1047及び1048の出力信号は加算回路1049で加算され、さらに加算回路1050でゲイン回路1046の出力信号と加算されて、輝度信号Yhとなる。
その後、加算回路1052で第5の高周波信号AC_5と輝度信号Yhとが加算され、エッジ強調された最終輝度信号YhFinalが生成される。
以上説明したように、本実施形態では、G画素の信号のみから生成した第3の高周波信号の斜め領域についてはRGB全色画素の信号から生成した第1の高周波信号で置き換えるように加重加算した第4の高周波信号を生成する。そのため、従来のOG信号の斜めの解像度がSWY信号に置換され、大幅に解像度が向上する。
さらに、第4の高周波信号とは別に、R画素の信号のみを用いて第2の高周波信号を生成し、被写体が赤である尺度を示す赤色度が高いほど第2の高周波信号の重みを大きくして両者を加重加算して最終的な高周波信号を生成する。そのため、赤色被写体においても斜め領域の解像度が向上し、かつ、エッジ強調の効いた輝度信号を生成できる。
なお、第2の高周波信号と第4の高周波信号を加重加算する方法は、上記の方法に限られるものではない。被写体が赤である尺度を示す赤色度が高いほど第2の高周波信号に対して高いゲインをかけ、第4の高周波信号に、このゲインをかけた第2の高周波信号を加算することで、第2の高周波信号と第4の高周波信号を加重加算する構成としても構わない。赤い被写体であってもG画素からある程度の出力が得られるような分光特性の色フィルタを備えた撮像素子の出力からは、このような加重加算のほうが良好な輝度信号を生成できることがある。
(他の実施形態)
上述の実施形態は、システム或は装置のコンピュータ(或いはCPU、MPU等)によりソフトウェア的に実現することも可能である。
従って、上述の実施形態をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給されるコンピュータプログラム自体も本発明を実現するものである。つまり、上述の実施形態の機能を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明の一つである。
なお、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、コンピュータで読み取り可能であれば、どのような形態であってもよい。例えば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等で構成することができるが、これらに限るものではない。
上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、記憶媒体又は有線/無線通信によりコンピュータに供給される。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記憶媒体、MO、CD、DVD等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
有線/無線通信を用いたコンピュータプログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバを利用する方法がある。この場合、本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムファイル)をサーバに記憶しておく。プログラムファイルとしては、実行形式のものであっても、ソースコードであっても良い。
そして、このサーバにアクセスしたクライアントコンピュータに、プログラムファイルをダウンロードすることによって供給する。この場合、プログラムファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに分散して配置することも可能である。
つまり、上述の実施形態を実現するためのプログラムファイルをクライアントコンピュータに提供するサーバ装置も本発明の一つである。
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを暗号化して格納した記憶媒体を配布し、所定の条件を満たしたユーザに、暗号化を解く鍵情報を供給し、ユーザの有するコンピュータへのインストールを許可してもよい。鍵情報は、例えばインターネットを介してホームページからダウンロードさせることによって供給することができる。
また、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、すでにコンピュータ上で稼働するOSの機能を利用するものであってもよい。
さらに、上述の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムは、その一部をコンピュータに装着される拡張ボード等のファームウェアで構成してもよいし、拡張ボード等が備えるCPUで実行するようにしてもよい。

Claims (5)

  1. 原色ベイヤー配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出した画像信号から、エッジ強調された輝度信号を画素毎に生成する輝度信号生成装置であって、
    前記画像信号から輝度信号を生成する輝度信号生成手段と、
    前記撮像素子の全色の画素の画像信号を用いて第1の高周波信号を生成する第1の高周波信号生成手段と、
    前記撮像素子のうち、赤色又は青色のいずれか一方の画素の画像信号を用いて第2の高周波信号を生成する第2の高周波信号生成手段と、
    前記画像信号から、着目画素が前記赤色又は青色のいずれか一方に近い色かどうかの尺度を示す指標を算出する算出手段と、
    前記指標に基づき、前記着目画素が前記赤色又は青色のいずれか一方に近い色であるほど、前記第2の高周波信号の割合が高くなるように前記第1の高周波信号と前記第2の高周波信号を加重加算して前記着目画素に対する高周波信号を生成する第1の加重加算手段と、
    前記輝度信号生成手段が前記着目画素に対して生成した輝度信号に、前記着目画素に対する高周波信号を加算して、前記着目画素に対するエッジ強調された輝度信号を生成する加算手段を有することを特徴とする輝度信号生成装置。
  2. さらに、前記撮像素子の緑色画素の画像信号から第3の高周波信号を生成する第3の高周波信号生成手段と、
    前記着目画素が傾いた線に対応する度合いを検出する傾き検出手段と、
    前記着目画素が傾いた線に対応する度合いが高いほど、前記第3の高周波信号の割合が高くなるように前記第1の高周波信号と前記第3の高周波信号とを加重加算して第4の高周波信号を生成する第2の加重加算手段とをさらに有し、
    前記第1の加重加算手段が、前記第1の高周波信号に代えて前記第4の高周波信号と前記第2の高周波信号とを加重加算して前記着目画素に対する高周波信号を生成することを特徴とする請求項1記載の輝度信号生成装置。
  3. 原色ベイヤー配列の色フィルタを備えた撮像素子と、
    請求項1又は請求項2に記載の輝度信号生成装置とを有することを特徴とする撮像装置。
  4. 原色ベイヤー配列の色フィルタを備えた撮像素子から読み出した画像信号から、エッジ強調された輝度信号を画素毎に生成する輝度信号生成方法であって、
    輝度信号生成手段が、前記画像信号から輝度信号を生成する輝度信号生成工程と、
    第1の高周波信号生成手段が、前記撮像素子の全色の画素の画像信号を用いて第1の高周波信号を生成する第1の高周波信号生成工程と、
    第2の高周波信号生成手段が、前記撮像素子のうち、赤色又は青色のいずれか一方の画素の画像信号を用いて第2の高周波信号を生成する第2の高周波信号生成工程と、
    算出手段が、前記画像信号から、着目画素が前記赤色又は青色のいずれか一方に近い色かどうかの尺度を示す指標を算出する算出工程と、
    第1の加重加算手段が、前記指標に基づき、前記着目画素が前記赤色又は青色のいずれか一方に近い色であるほど、前記第2の高周波信号の割合が高くなるように前記第1の高周波信号と前記第2の高周波信号を加重加算して前記着目画素に対する高周波信号を生成する第1の加重加算工程と、
    加算手段が、前記輝度信号生成工程が前記着目画素に対して生成した輝度信号に、前記着目画素に対する高周波信号を加算して、前記着目画素に対するエッジ強調された輝度信号を生成する加算工程を有することを特徴とする輝度信号生成方法。
  5. コンピュータに、請求項4記載の輝度信号生成方法の各工程を実行させるためのプログラム。
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