JP5408417B2 - フェロニッケル製錬用電気炉の操業方法 - Google Patents
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Description
R=Ra+Rb
ここにおいて、Rは炉抵抗、Raはアーク抵抗、Rbはスラグ層の抵抗(スラグ浴抵抗)である。このような操業を行う場合、熱を発生する主要因はアーク抵抗Raとなる。
そして、操業の中では焼鉱の処理量、スラグの組成、電極の消耗状況などの変動要因をできるだけ少ない変化量となるように管理している。
Rbn=1000×Ln/(λn×π×(D/2)2)
こうした操業では、前記アーク抵抗による発熱を主熱源とする方法では必要熱量をまかなえず、あえて電極をスラグ層内に浸漬させ、スラグ浴抵抗Rbによる発熱を用いて電気炉操業を行うようになっている。
図1において、フェロニッケル製錬用電気炉は、その内部は耐火物により構成され、該電気炉内底部に溶融状態のメタル1層、溶融状態のスラグ2層が存在し、スラグ2層表面を焼鉱4が層状に覆っている。焼鉱4は、焼鉱シュートから電気炉内のスラグ層上部に装入されている。
炉の内部に、スラグ2層内浸漬するように層状の焼鉱4を貫通して炭素電極3が挿入され、交流電力が投入され、電流がスラグ2層とメタル1層を介して電極間を流れ、発熱してメタル温度を1300〜1400℃、スラグ温度を1500〜1600℃に維持し、これにより焼鉱を還元溶融してメタル1とスラグ2とを形成し、比重差によりメタル1層とスラグ2層とに分離している。
生成したメタル1はメタルタップホール6から、スラグ2はスラグタップホール5から適宜抜き出し、次工程に供している。そして、メタルからはフェロニッケル製品、スラグからは骨材等を得ている。
電力(MW)=電圧(V)×電流(kA)×√3
=電流(kA)2×炉抵抗R(mΩ)×3/1000
こうした操作を繰り返して炉抵抗一定になるように操業を行った場合、コーチング層の厚さの代替特性として測定される側壁温度は、例えば、図2に示すように激しく変動し、適切な温度範囲とされる200〜350℃の範囲を逸脱する。
このように、高負荷での操業条件において電気炉操業を行う場合に、処理量の増減、スラグ組成変動等の操業要因の変動に応じて、炉抵抗Rを最適値になるように電極位置を調節し、炉体への熱負荷を一定に維持し、コーチング厚さを一定に維持して電気炉内の耐火物を保護することが可能なフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法が求められている。
Rb=1000×Ln/(λn×π×(D/2)2)
R(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(35−0.3×電力(MW))2
炉抵抗(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35+A+B)2
補正項A=(スラグ中の鉄品位(質量%)−7.0)×a
ここにおいて、式中のaは、単位鉄品位(質量%)当たりの電流変化量(kA)を表し、スラグ中の鉄品位による電気抵抗値の変化(mΩ/ΔFe%)によって決まる0.5〜1.0の範囲の定数である。
補正項B=(スラグの塩基度(MgO/SiO2質量%比)−0.63)×b
ここにおいて式中bは、単位塩基度(MgO/SiO2質量%比)当たりの電流変化量(kA)を表し、スラグの塩基度による電気抵抗値の変化(mΩ/Δ塩基度)によって決まる50〜150の範囲の定数である。
操業電流(kA)={(1000/3)×電力(MW)/炉抵抗(mΩ)}1/2
操業電圧(kV)=(1/√3)×電力(MW)/電流(kA)
1.電力負荷の増減での操業方法
本発明のフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法は、炉内温度維持のための主要熱源としてスラグ浴抵抗による発熱を用いて焼鉱を熔融するフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法において、電力負荷の増減に応じ、下記の式(11)を満足する炉抵抗Rを予め求め、実操業で得られる任意時nの炉抵抗Rnの値が該炉抵抗Rになるように電極位置を自動制御することを特徴とする。
R(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35)2
すなわち、従来の一般的な炉抵抗を固定しておこなう電気炉の操業方法に対し、操業度の増減に応じて電力負荷を高くする際には、炉体への過度の熱負荷上昇によるコーチング消失を防止するために、炉抵抗を上昇させ、すなわち、電極先端位置を上昇させて、局部加熱を志向し、逆に、電力負荷を低くする際には、熱負荷低下による過度のコーチング成長を防止するために、炉抵抗を低下させ、すなわち、電極先端位置を下降させて、全体加熱を志向することができるようにするものである。
R(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35)2
図3から、炉内が安定状態とは言え、かなりばらついた操業を繰り返していることが示されている。図3の結果を基に解析し、安定操業を図るために操業の管理基準としてその中間的な値となるように電流値と電力との関係を求めて式(13)を得た。
電流(kA)=−0.3×電力(MW)+35
電力(MW)=電流(kA)2×炉抵抗R(mΩ)×3/1000
R(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35)2
なお、式(15)と式(12)とは同じ式である。
操業電流(kA)={(1000/3)×電力(MW)/炉抵抗(mΩ)}1/2
操業電圧(kV)=(1/√3)×電力(MW)/電流(kA)
本発明のフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法は、電気炉の高負荷での操業条件において焼鉱処理を行い、炉内温度維持のための主熱源としてスラグ浴抵抗による発熱を用いる電気炉操業について、電力負荷の増減及びスラグ組成の変動に応じ、式15の右辺分母である(−0.3×電力(MW)+35)2の代わりに、スラグ中の鉄品位による補正項Aとスラグの塩基度による補正項Bとを含む(−0.3×電力(MW)+35+A+B)2を用いて以下の式(18)得る。
R´(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35+A+B)2
A=(スラグ中の鉄品位(質量%)−7.0)×a
ここで、式中のaは、単位鉄品位(質量%)当たりの電流変化量(kA)を表し、スラグ中の鉄品位による電気抵抗値の変化(mΩ/ΔFe%)によって決まる0.5〜1.0の範囲の一定値である。
B=(スラグの塩基度(MgO/SiO2質量%比)−0.63)×b
ここで、式中bは、単位塩基度(MgO/SiO2質量%比)当たりの電流変化量(kA)を表し、スラグの塩基度による電気抵抗値の変化(mΩ/Δ塩基度)によって決まる50〜150の範囲の一定値である。)
(実施例1)
用いた焼鉱は、平均鉄品位が17.0質量%、平均Ni品位が2.71質量%、平均MgO品位が27.4質量%、平均SiO2品位が44.9質量%である。この焼鉱を、84t/hの高負荷での操業条件において前記炉内に投入し、メタル温度を1300〜1400℃、スラグ温度を1500〜1600℃となるように試験操業を行った。得られたスラグは73.2t/hで、産出粗メタルは10.3t/hであった。
なお、電気炉の操業方法として、電力負荷の増減及びスラグ組成の変動に応じ、下記の式を満足する炉抵抗Rを予め求め、この炉抵抗Rから基準となる操業電流Aと操業電圧Vとを求め、実操業の任意時nの操業電流Anと操業電圧VnとがそれぞれA、Vとなるように炭素電極位置を自動制御する方法を採用した。この間、電気炉の側壁温度を継続的に測定した。結果を図4に示す。また、用いた計算式を以下に示した。
炉抵抗(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35+A+B)2
ここで、式中Aは、A=(スラグ中の鉄品位(質量%)−7.0)×0.7、また、式中Bは、B=(スラグの塩基度(MgO/SiO2質量%比)−0.63)×120なる関係式を用いた。
図4より、側壁温度は、例えば、従来の炉抵抗を固定した場合の操業(図2参照。)と比べて、その変動幅が小さく、200〜350℃の所望の範囲内に十分制御され、安定な操業が行なわれたことが分かる。
尚、図5に、実施例1の操業時における、炉抵抗(mΩ)と電力(MW)の関係を示す。
用いた式を、補正項を使用しない下記式とした以外は実施例1と同様試験操業を行った。この間、電気炉の側壁温度を継続的に測定した。得られた結果は実施例1の結果よりも変動が多いものの、200〜350℃の範囲を逸脱することはなかった。
炉抵抗(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35)2
また、本発明の方法はフェロニッケル製錬用電気炉以外の電気炉における操業にも有効であり、産業的効果は大きい。
2 スラグ
3 電極
4 焼鉱
5 スラグタップホール
6 メタルタップホール
Claims (4)
- 炉内温度維持のための主要熱源としてスラグ浴抵抗による発熱を用いて焼鉱を熔融するフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法において、電力負荷の増減に応じ、下記の式(21)を満足する炉抵抗Rを予め求め、実操業で得られる任意時nの炉抵抗Rnの値が該炉抵抗Rになるように電極位置を自動制御することを特徴とするフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法。
式(21)
R(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(35−0.3×電力(MW))2 - 式(21)の右辺分母である(35−0.3×電力(MW))2の代わりに、スラグ中の鉄品位による補正項Aとスラグの塩基度による補正項Bとを含む(35−0.3×電力(MW)+35+A+B)2を用いた下記式(22)を用い、かつ、補正項Aと補正項Bとを以下の式(23)、(24)より求めることを特徴とする請求項1記載のフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法。
式(22)
炉抵抗(mΩ)=(1000/3)×電力(MW)/(−0.3×電力(MW)+35+A+B)2
式(23)
補正項A=(スラグ中の鉄品位(質量%)−7.0)×a
ここにおいて、式中のaは、単位鉄品位(質量%)当たりの電流変化量(kA)を表し、スラグ中の鉄品位による電気抵抗値の変化(mΩ/ΔFe%)によって決まる0.5〜1.0の範囲の定数である。
式(24)
補正項B=(スラグの塩基度(MgO/SiO2質量%比)−0.63)×b
ここにおいて式中bは、単位塩基度(MgO/SiO2質量%比)当たりの電流変化量(kA)を表し、スラグの塩基度による電気抵抗値の変化(mΩ/Δ塩基度)によって決まる50〜150の範囲の定数である。 - 前記炉抵抗Rより、下記式(25)及び下記式(26)を用いて操業電流と操業電圧を求め、それぞれを基準電流値、基準電圧値とし、操業の任意時nにおける操業電流値Anと操業電圧値Vnとがそれぞれ基準電流値、基準電圧値を維持するように電極位置を制御する特徴とする請求項1または2記載のフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法。
式(25)
操業電流(kA)={(1000/3)×電力(MW)/炉抵抗(mΩ)}1/2
式(26)
操業電圧(kV)=(1/√3)×電力(MW)/電流(kA) - 前記電力負荷は、20〜45MWであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のフェロニッケル製錬用電気炉の操業方法。
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