JP4284191B2 - R−鉄合金の製造法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、鉄製の陰極と黒鉛製の陽極と電解炉とを備えた電解装置を用い、フッ化物溶融電解浴中でディスプロシウム化合物及び/又はテルビウム化合物を電解還元するディスプロシウム−鉄合金、テルビウム鉄合金、ディスプロシウム−テルビウム鉄合金等のR−鉄合金の製造法に関し、特に、磁石用途としての希土類−鉄系合金への添加材として好適な、高品位なR−鉄合金の製造法に関する。
背景技術
ディスプロシウム及びテルビウムは、希土類−鉄系磁石の保磁力を高めるための添加材として近年需要が高まっている。ディスプロシウムは、通常、フッ化ディスプロシウムを金属カルシウムで還元することにより単体金属又は鉄との合金として製造されている。しかし、該カルシウム還元法による製造は、バッチ処理により行われるためにコストが高く、また得られる金属又は合金にカルシウムや酸素等の不純物が多く含まれるので、煩雑な精製工程が必要となる。
一方、連続製造が可能なディスプロシウム−鉄合金の電解製造法として、特公平5−61357号公報には、鉄陰極と黒鉛陽極とを用いた消耗電極式の電解炉を用いて、フッ化ディスプロシウムを原料とし、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム等の混合電解浴を870〜1000℃の温度範囲に保持し、陽極電流密度を0.05〜4A/cm、陰極電流密度を0.5〜80A/cmにしてディスプロシウム含有量80%以上のディスプロシウム−鉄合金を製造する方法が開示されている。
しかし、該方法では、ディスプロシウム−鉄合金をある程度の期間連続製造することは可能であるが、長期的に合金の組成を安定して高効率に製造することができない。
ところで、鉄製の陰極と黒鉛製の陽極とからなる直流電極を備えた電解装置を用い、フッ化物溶融電解浴中でディスプロシウム化合物を電解還元する従来の実操業レベルにおいては、電極間で発生するジュール熱により電解浴自体の温度を略一定に保持することができると認識されている。このため、電解浴の操業温度制御には、通常、前記ジュール熱による管理が主に行われているにすぎず、該電解浴の温度以外に得られる合金の温度を制御する点等については考慮されていない。
また、テルビウム鉄合金やディスプロシウム−テルビウム鉄合金を、フッ化テルビウムを原料として製造する方法については知られていない。
発明の開示
本発明の目的は、実装レベルにおいて、得られる合金の組成変動を抑制し、炭素等の不純物の含有割合を抑えた高品位なディスプロシウム−鉄合金、テルビウム鉄合金やディスプロシウム−テルビウム鉄合金を、安定して長期間連続的に得ることができるR−鉄合金の製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した。まず、従来の実装レベルにおいて長期間連続的に安定した組成のディスプロシウム−鉄合金等が得られない要因を見出すために、電解操業における、電解原料、原料の供給方法、電極の構成、電解浴組成、電極電位、及び操業温度等と、操業安定性及び生成した合金組成との関係について鋭意検討した。その結果、一般に、電解浴を加熱するジュール熱は電極間で発生するため、電解炉上方から陽極と陰極を挿入する方式では、発熱部位が電解浴上方に偏っているため、実際に電解の行われる電極近傍ではジュール熱により温度が高く、析出した合金が貯留される電解炉下方の電解浴は電極近傍に比べて温度が低くなることが判った。このような傾向は、電解浴の温度を均一に保持するような操作を行った場合でもその温度差が異なるのみで同様であった。
通常、消耗電極である鉄陰極を用いた電解によるディスプロシウム−鉄合金、テルビウム鉄合金やディスプロシウム−テルビウム鉄合金からなるR−鉄合金の製造においては、ディスプロシウムの融点が1407℃、テルビウムの融点が1356℃と一般的な操業温度よりも高いため、鉄陰極表面で還元されたディスプロシウムやテルビウムは直ちに鉄との合金を生成する。電解の初期段階において生成した合金は、ディスプロシウムやテルビウム含有量が少なく、融点が高いため固体状態で陰極表面に存在する。還元反応が進むにつれて生成する合金のディスプロシウムやテルビウム含有量が増大し、それに伴い生成するR−鉄合金の融点も低下する。そして電極の温度とR−鉄合金の融点とが等しくなった時点でR−鉄合金は融解し、電解浴との比重差によって電解炉底部へと沈降する。このように、電極温度がR−鉄合金の組成を決定するため、電極間における電解浴の温度を一定に保つことは安定した組成のR−鉄合金を製造するために重要である。
一方、融解して電解炉底部へ沈降するR−鉄合金は、融点直上の温度であるため、電解炉底部の温度が電極近傍の温度よりも低いと、極端な場合は沈降途上で凝固点に達し、電解浴を巻き込んだ形で固化し、ゲル状の析出物となってしまう。このような析出物は、沈澱した合金と電解浴との界面に堆積する。そのため電解浴上部で発生するジュール熱が析出した堆積物により遮断され、沈澱した合金と電解浴との温度差が更に大きくなり、析出物を増大させる。また、この析出物は比重が合金と非常に近いため、合金を取り出す際に合金との分離性が悪く、合金収率をも悪化させる。
更に、析出物が発生しない場合、即ち、電解炉底部に沈澱する合金を液状とするために、通常の電解浴温度管理によって電解浴全体の温度をなるべく均一に保持した場合であっても、不純成分が合金に多く含有され、長期操業を妨げる現象が生じることが判った。
このような現象が生じる理由は明らかでないが、電解浴温度をなるべく均一に保持するような操作を行った場合でも、電解炉底部に沈澱する合金の温度は、電解浴の温度よりも低くなることが多く、長期操業では、電解浴温度よりも100℃以上低くなる場合もあることが判った。そして、該沈澱した合金温度がある程度低くなった場合には、該合金が液状であっても上述のような現象の生じる確率が高いことが判った。その理由を推測すると、陰極において電解還元により生成した前記合金は、電解炉底部に沈澱するに際して、必ず電解浴を巻込みながら落下する。この際、既に沈澱している液状の合金温度がある程度高い場合には、電解浴と該合金との界面において前記巻込まれた電解浴が分離されるが、合金温度がある程度低くなるとこのような分離が生じない確率が高くなるためと考えられる。このような傾向は、長期連続操業において特に発生し易い。
そこで、上述の推測に基づいて、従来においては行われていない、沈澱した合金温度の制御をある特定範囲において試みた。その結果、沈澱した合金温度を制御することによって電解操業の長期安定化が図れることが判った。更に、電解還元時における直流電極間の電解浴の温度と、沈澱した合金の温度との両方を検知しながら、これら温度の差がある特定温度範囲となるように制御することによって、より電解操業の長期安定化が図れることが判った。
すなわち本発明によれば、鉄製の陰極、及び黒鉛製の陽極からなる直流電極と、少なくとも炉底面を加温する加温手段を備えた電解炉とを備えた電解装置を準備する工程(A)と、前記電解炉に、前記直流電極と、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも1種の希土類フッ化物、フッ化リチウム及びフッ化バリウムからなるフッ化物溶融電解浴とを導入する工程(B)と、R−鉄合金(Rはディスプロシウム、テルビウム又はディスプロシウム−テルビウムを示す)を生成させ、前記電解炉の炉底部に該合金を沈澱させるために、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも一方を原料として電解還元する工程(C)と、工程(C)により沈澱したR−鉄合金を回収する工程(D)とを含み、工程(C)の電解還元を、前記直流電極間における電解浴の温度を900〜970℃に保持する条件で、且つ電解炉に設けた前記加温手段により、沈澱した合金の温度を850〜1000℃の範囲に加温制御しながら実施する、R−鉄合金の製造法が提供される。
発明の好ましい実施の態様
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、特定の電解炉を備えた電解装置を用い、フッ化物溶融電解浴中でフッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも一方を原料とし、電解浴温度と生成・沈澱する合金の温度とを特定範囲に制御しながら電解還元して、ディスプロシウム−鉄合金、テルビウム鉄合金又はディスプロシウム−テルビウム鉄合金からなるR−鉄合金を製造する方法である。
本発明においては、電解浴の温度制御に加えて、生成・沈澱する合金の温度を、電解炉の少なくとも炉底面を加温する加温手段を備えた電解炉を用いて特定範囲温度に制御するので、例えば、磁石材料として好適な炭素含有量が500ppm以下のR−鉄合金を、組成変動を抑制し、長期間における連続操業であっても従来に比して安定して製造することができる。
本発明においては、まず、鉄製の陰極、及び黒鉛製の陽極からなる直流電極と、少なくとも炉底面を加温する加温手段を備えた電解炉とを備えた電解装置を準備する工程(A)を行う。
前記鉄製の陰極、及び黒鉛製の陽極からなる直流電極としては、公知の直流電極等が使用できる。
前記電解炉は、後述する電解炉底部に沈澱する目的の合金を加温するための加温手段を備える。このような加温手段は、少なくとも炉底面を加温し得るものであれば良く、炉底内面及び/又は炉底外面に設けた、各種ヒーター、各種発熱体等が挙げられる。加温手段は、電解浴全体の温度をなるべく均一にするために、前記炉底面以外に設けても良い。また、電解炉は、電解浴全体の温度をなるべく均一に保持するために、断熱保温層により覆われていることが好ましい。
一般的な電解炉は、炉底部が土台と接した形態で構築されるので、電解炉全体を一様な断熱保温層で保温した場合、電解炉側面部よりも電解炉底部からの放熱が多くなり、電解炉底部の温度が下がり易い状態になる。そこで、電解炉上部と低部との温度差を小さくするために、前記断熱保温層の熱通過率を低いレベルで一定にするか、若しくは放熱し易い電解炉底部に設ける断熱保温層の熱通過率を側面に設けるものに比して低くすることが好ましい。
前記熱通過率(over−all heat transfer coefficient)とは、オーム社発行の「図解 伝熱工学の学び方」(著者 北山直方)によると、熱伝導と熱伝達とが共に生ずる際の熱の伝わり易さを示す係数として定義されており次の数式で表現される。
k=1/(1/h1+Σ(δ/λ)+1/h2) 単位:W/(mK)
ここで、h1は内壁面の熱伝導率、δは断熱材の厚さ、λは断熱材の熱伝導率、h2は外壁面の熱伝導率をそれぞれ示す。
前記断熱保温層の熱通過率は、好ましくは0.5〜3.0W/(mK)、より好ましくは0.5〜2.0W/(mK)、更に好ましくは0.5〜1.0W/(mK)である。熱通過率が0.5W/(mK)未満では、断熱保温層が厚くなり、電解炉が大型化するか、装置を小型化するために熱透過率の小さな高価な材料を用いなければならず、設備コストが高くなるので好ましくない。
前記断熱保温層を構成する材料としては、例えば、不定形耐火材、耐火煉瓦、耐火断熱煉瓦、セラミックスファイバー等が挙げられる。
前記電解炉は、電解浴と接する金属層と、該金属層の外側に設けた前記断熱保温層とを少なくとも備え、該金属層及び該断熱保温層の間の金属層底面に前記加温手段が設けられていることが好ましい。
前記電解炉には、後述する電解浴を加熱するための交流電極を設けることができる。このような交流電極を設けることにより、後述する工程(B)の後であって工程(C)の前に、フッ化物溶融電解浴を900〜970℃に予め加熱する工程を行うことが可能になる。
本発明においては、前記電解炉に、前記直流電極と、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも1種の希土類フッ化物、フッ化リチウム及びフッ化バリウムからなるフッ化物溶融電解浴とを導入する工程(B)を行う。
工程(B)に用いるフッ化物溶融電解浴は、電解浴成分及び合金原料となるフッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウムと、その溶媒となり、且つジュール熱を発生させる加熱媒体としてのフッ化リチウム及びフッ化バリウムとから実質的になる。このような電解浴とすることにより、電解浴の融点を適切な温度範囲にとどめ、かつ電解時におけるジュール熱の発生を容易に制御することができる。
該電解浴の組成は、重量百分率で、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも1種の希土類フッ化物を好ましくは65〜85%、フッ化リチウムを好ましくは10〜20%、より好ましくは13〜17%、フッ化バリウムを好ましくは5〜15%、より好ましくは8〜15%の範囲である。
フッ化リチウムの含有割合が20%を超えると電解浴の電気抵抗が減少し、電解操業温度の維持に必要なジュール熱が得られない恐れがあるので好ましくない。一方、フッ化リチウムの含有割合が10%未満では、電解浴自体の融点が上昇するので好ましくない。
フッ化バリウムは、電解浴自体を凝固しにくくする目的等で添加する。フッ化バリウムを添加しない状態では電解浴は非常に凝固し易く、融点以下に温度が下がると直ちに凝固してしまう。しかし、フッ化バリウムを適量添加することにより凝固速度を低下させることができる。フッ化バリウムの含有割合が5%未満では上記添加の効果が薄く、15%を超えると電解浴の融点が上昇するので好ましくない。
前記希土類フッ化物として、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの両者を用いる場合、希土類フッ化物中のこれらの含有比は特に限定されないが、重量比で、フッ化ディスプロシウム:フッ化テルビウムを通常1〜99:99〜1、特に30〜70:70〜30とすることが好ましい。
本発明においては、次に、R−鉄合金を生成させ、前記電解炉の炉底部に該合金を沈澱させるために、フッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウムを原料として電解還元する工程(C)を行う。
工程(C)において電解還元を行うには、前記直流電極間における電解浴の温度を900〜970℃、好ましくは920〜950℃に保持するようにして行う必要がある。この温度範囲は磁石合金原料として好適な合金組成が得られる範囲であると共に、安定して電解操業を続けられる温度範囲でもある。この温度が900℃未満では晶出物量が増大し、合金採取の際に固化・回収不能等のトラブルを引き起こし、970℃を超えると陽極効果が生じ易く、電解反応の継続が困難になると共に、合金中に含有される炭素量が増加する恐れがある。
ここで、電解浴の温度とは、前記直流電極間における電解浴の特定箇所で測定した温度を意味する。該特定箇所は、電極間であれば特に限定されないが、通常、電極間の中央部である。
工程(C)においては、前記電解浴の温度を保持し、且つ電解炉に設けた前記加温手段により、生成、沈殿する合金の温度を850〜1000℃、好ましくは870〜960℃の範囲に加温制御して行う。ここで、合金の温度とは、電解炉中心部炉底より2〜4cmの部分に沈殿した合金の温度を、シース型K熱電対により測定した値を意味する。
更に、工程(C)においては、前記沈澱した合金の温度が、850〜1000℃の範囲であって、且つ前記直流電極間における電解浴の温度±50℃、特に±30℃の範囲となるように前記加温手段により制御して電解還元を行うことが好ましい。このように直流電極間の電解浴温度と、沈澱した合金の温度とを制御することにより、より安定した長期操業が可能となる。このような制御は、各々の温度を所定間隔で測定しながら、電極間の電位や、加温手段により温度制御することにより行うことができる。
工程(C)における電解還元において、直流電極間における電位は、例えば、電解炉に参照電極を設け、陽極電位をフッ化物電解電位に制御して行うことが好ましく、特に、該フッ化物電解電位を4.0〜7.0Vの範囲とすることが望ましい。陽極電位をフッ化物電解電位に制御することにより、陽極効果の発生を抑制し、より確実に長期間の連続操業を可能にする。
工程(C)における電解還元においては、電解浴中の合金原料としてのフッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウムが還元されるため、該還元反応が進行することにより電解浴中のフッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウム濃度が減少する。該フッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウム濃度が減少すると、電解浴の電気抵抗が減少し、電極間で発生するジュール熱も減少して操業温度の維持が困難になると共に、陽極効果が発生し易くなり操業の維持が困難になる。そのため、合金原料の減少に応じて該フッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウムを追加する必要がある。追加のフッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウムは、通常、粉末若しくはペレット状のものを用いることができる。
前記追加のフッ化ディスプロシウム及び/又はフッ化テルビウムの投入方法は特に限定されないが、原料の投入量が多いと部分的に浴温が下がり電解操業に支障をきたす恐れがあるため、通電量及び電解効率を考慮して、適切な量の原料を連続的に投入することが好ましい。また、原料の投入は、操業温度の維持に必要なジュール熱が発生し、電解浴の温度が一番高く、原料の溶解に最も適している電極間の電解浴に行うことが好ましい。原料の投入量を加減すれば、電極間以外の場所でも原料の投入は可能であるが、電解浴中の温度偏析が大きくなるため好ましくない。
本発明では、工程(C)により沈澱したR−鉄合金を回収する工程(D)を行うことにより所望のディスプロシウム−鉄合金、テルビウム鉄合金又はディスプロシウム−テルビウム鉄合金からなるR−鉄合金を得ることができる。
合金の回収は、工程(C)の途中の段階でも行うことが可能であって、常法により電解炉上部から、若しくは下部から回収することができる。
本発明では、上述の工程(A)〜(D)を行なうので、実装レベルにおいて、組成変動が少なく、炭素等の不純物の含有割合が少ない、高品位なR−鉄合金を従来より安定して長期間連続的に得ることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲、若しくは他の所望の効果を得るために、本発明の製造法では前記工程以外の他の工程が含まれていても良い。
実施例
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
図1に示す電解装置10を用いて、以下に示す方法で電解還元を行った。電解装置10は、図示するように、鉄製の陰極11、黒鉛製の陽極12、鉄製の交流極13を備え、鉄製の電解炉14の周囲に、マグネシアバックアップ15を介して断熱保温層16を備える。また、図1において、17は炉蓋を、18は電解浴を、19は生成合金をそれぞれ示す。該電解装置10は、金属層としての鉄製の電解炉14と、断熱保温層16内側に設けたマグネシアバックアップ15との間の金属層底面、即ち電解炉底部にメタル加熱用のヒータが設けられている(図示せず)。
断熱保温層16として、耐火煉瓦(ニッカトー社製、耐火断熱煉瓦)及びセラミックスファイバー(ニチアス社製、ファインフレックスハードボード)で作製した熱通過率0.55W/(mK)の断熱保温層を用い、まず、電解浴18として、DyF:LiF:BaFが重量比で75:15:10の電解浴12kgを電解炉14に投入した。次いで、交流極13に通電し電解浴18を加熱溶解後、電解浴18の温度が930℃で安定したところで交流極の通電を止め、直流電極(黒鉛製の陽極12及び鉄製の交流極13)に極間電位7.9V(陽極電位6.3V(参照電極(図示せず)を用いて測定))、電流160Aで通電し、電解還元を行った。操業は10日間行い、電解浴18の温度(黒鉛製の陽極12及び鉄製の交流極13間の温度)と、電解炉底部の生成合金19の温度を所定間隔で測定し、合金の採取が可能となる通電2時間後からは1時間おきに合金を採取し、組成分析を行い、中間生成物発生の有無及び合金組成の安定性を評価した。また操業中の陽極効果の有無についても観察した。電解条件及び各評価結果を表1に示す。尚、操業中における電解浴のDyFの減少にともない、適宜電極間の電解浴に追加のDyFを投入した。
表1に示す「合金組成安定性」は電解操業を通じて生成した合金中の鉄成分が目標組成から±3%以内であったものを「安定」とし、それ以上の変動があったものを「不安定」とした。また、表1における電解浴の平均温度とは、10日間の電解操業を通じて10分間隔で測定した電極間の電解浴温の平均値を示し、平均合金温度とは、10日間の電解操業を通じて電解炉中心部炉底より約3cmの部分に沈殿した合金の温度をシース型K熱電対により10分間隔で測定した結果の平均値を示す。更に、最大温度差は、10日間の電解操業を通じて10分間隔で測定した電極間の電解浴温と前記平均合金温度における実際の合金温度との差のうち最大であったものの値である。
尚、この実施例及び後述する実施例2〜8において、測定した電極間の電解浴温は全て900〜970℃の範囲内であり、また、測定した合金温度は全て850〜1000℃の範囲内であった。
実施例2〜8及び比較例1〜4
断熱保温層16及び電解浴18として、表1に示すものを用い、表1に示す電解条件、浴組成とした以外は、実施例1と同様に電解還元を行い各評価を行った。結果を表1に示す。ここで、浴組成としてTbFを含む場合は、電解還元と共に減少したTbFを実施例1におけるDyFの追加と同様に適宜追加して電解還元を行った。表1中の断熱保温層材質は、不定形耐火材としてハリマセラミックス社製のキャスタブル耐火物(以下、耐火物という)を、耐火煉瓦としてニッカトー社製の耐火断熱煉瓦(以下、煉瓦という)を、セラミックスファイバーとしてニチアス社製のファインフレックスハードボード(以下、ボードという)をそれぞれ用いた。
Figure 0004284191

【図面の簡単な説明】
図1は、実施例及び比較例で用いた電解装置を示す概略図である。

Claims (7)

  1. 鉄製の陰極、及び黒鉛製の陽極からなる直流電極と、少なくとも炉底面を加温する加温手段を備えた電解炉とを備えた電解装置を準備する工程(A)と、
    前記電解炉に、前記直流電極と、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも1種の希土類フッ化物、フッ化リチウム及びフッ化バリウムからなるフッ化物溶融電解浴とを導入する工程(B)と、
    R−鉄合金(Rはディスプロシウム、テルビウム又はディスプロシウム−テルビウムを示す)を生成させ、前記電解炉の炉底部に該合金を沈澱させるために、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも一方を原料として電解還元する工程(C)と、
    工程(C)により沈澱したR−鉄合金を回収する工程(D)とを含み、
    工程(C)の電解還元を、前記直流電極間における電解浴の温度を900〜970℃に保持する条件で、且つ電解炉に設けた前記加温手段により、沈澱した合金の温度を850〜1000℃の範囲に加温制御し、参照電極を用いて陽極電位をフッ化物電解電位4.0〜7.0Vに制御して実施する、R−鉄合金の製造法。
  2. 工程(C)の電解還元を、前記沈澱した合金の温度が、850〜1000℃の範囲であって、且つ前記直流電極間における電解浴の温度±50℃の範囲となるように前記加温手段により制御して行う請求項1の製造法。
  3. 工程(A)において準備する電解炉が、電解浴と接する金属層と、該金属層の外側に設けた断熱保温層とを少なくとも備え、該金属層及び該断熱保温層の間の金属層底面に前記加温手段が設けられている請求項1の製造法。
  4. 工程(A)において準備する電解炉が、電解浴と接する金属層と、該金属層の外側に設けた断熱保温層とを備え、該断熱保温層の熱通過率が0.5〜3.0W/(m2K)である請求項1の製造法。
  5. 工程(A)において準備する電解炉が、電解浴加熱用の交流電極を備え、工程(B)の後であって工程(C)の前に、前記交流電極によりフッ化物溶融電解浴を900〜970℃に加熱する工程を行う請求項1の製造方法。
  6. 工程(B)において電解炉に導入する前記電解浴の組成が、重量百分率でフッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムの少なくとも一方からなるフッ化希土類65〜85%、フッ化リチウム10〜20%及びフッ化バリウム5〜15%である請求項1の製造法。
  7. 前記希土類フッ化物が、フッ化ディスプロシウム及びフッ化テルビウムであり、且つ希土類フッ化物中のこれらの含有比が重量比で、フッ化ディスプロシウム:フッ化テルビウム=1〜99:99〜1である請求項6の製造法。
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