JP5407575B2 - トルクセンサ及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

トルクセンサ及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、トーションバーの両端に設けられた一対のレゾルバを備えてなるトルクセンサ及びこれを用いる電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)がある。通常、このようなEPSにおいて、その操舵系に付与するアシスト力の制御は、トルクセンサを用いてステアリングシャフトを介して伝達される操舵トルクを検出することにより行なわれる。そして、従来、そのトルクセンサとしては、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーとその両端に設けられた一対のレゾルバとを備えてなる所謂ツインレゾルバ型のものが広く採用されている(例えば、特許文献1参照)。
即ち、レゾルバには、測定精度及び耐環境性が高いという特徴があり、特に、その回転に応じて正弦波状に振幅が変化する正弦信号及び余弦波状に振幅が変化する余弦信号を出力する(一相励磁)二相出力型のレゾルバは、(二相励磁)一相出力型のレゾルバと比較して、温度や配線インピーダンスの影響を受け難いという利点を有している。このため、その高い検出精度と信頼性が要求されるEPS用のトルクセンサには、こうした二相出力型のレゾルバを用いるのが一般的となっている。
さて、このような二相出力型のレゾルバを用いたトルクセンサでは、先ず、各レゾルバが出力する正弦信号及び余弦信号の振幅に基づいて、トーションバーを介して連結された各軸の回転角が演算される。そして、その二軸間の回転角差、即ちトーションバーの捻れ角に基づいて、当該トーションバーを介して伝達されるトルクを検出する構成となっている。
また、その各出力信号の振幅間には三平方の定理が成立する。即ち、温度等の影響がない場合、正弦信号及び余弦信号の二乗和は「1」となることから、これを利用してレゾルバの異常を判定することができる(例えば、特許文献2参照)。そして、何れかのレゾルバに異常が生じたものと判定され、トルクセンサによる操舵トルクの検出が不能となった場合には、速やかにパワーアシスト制御を停止してフェールセーフを図ることにより、その安全性を高めることが可能になる。
特開2004−294265号公報 特開2005−351848号公報
しかしながら、近年、運転者の負荷を軽減して、その利便性の更なる向上を図るべく、何らかの異常が発生した場合でも、その安全性が確保される限りにおいて、そのアシスト力付与の継続が求められるようになっている。そして、この点を考慮した場合、上記のような故障判定及びその判定結果に基づくフェールセーフ制御の実行に関しては、なお改善の余地を残すものとなっており、その対策が求められていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、各レゾルバの出力信号の何れか一つに異常が発生した場合においても高精度のトルク検出が可能なトルクセンサ、及びその安全性を確保しつつアシスト力付与を継続することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、トーションバーを介して連結された第1軸及び第2軸と、前記第1軸の回転に応じて正弦波状に振幅が変化する正弦信号及び余弦波状に振幅が変化する余弦信号を出力する第1レゾルバと、前記第2軸の回転に応じて正弦波状に振幅が変化する正弦信号及び余弦波状に振幅が変化する余弦信号を出力する第2レゾルバと、前記各正弦信号及び余弦信号の各振幅に基づき前記第1軸及び第2軸の回転角を演算し、その回転角差に基づき前記トーションバーを介して伝達されるトルクを検出するトルク検出手段とを備えたトルクセンサにおいて、前記第1レゾルバの各出力信号のうちの何れか一つが異常となる信号故障が生じた場合に、前記第2軸の前記回転角に基づき前記第1レゾルバの概算電気角を概算する概算手段と、前記第1レゾルバの正常な出力信号の振幅に基づき前記異常と判定された出力信号に該異常がないとした場合における該出力信号の振幅を推定する推定手段と、前記概算電気角において推定された出力信号の振幅の符号が、前記第1軸及び第2軸間の回転角差によっても真の電気角における出力信号の振幅の符号と逆転しない適合範囲内に、前記概算電気角があるか否かを判定する適合判定手段とを備え、前記トルク検出手段は、前記概算電気角が前記適合範囲内にある場合には、前記推定手段により推定された振幅及び前記正常な出力信号の振幅に基づいて、前記第1軸の前記回転角を演算すること、を要旨とする。
即ち、一相励磁二相出力型のレゾルバでは、その二相の出力信号の振幅間、つまり正弦信号の振幅と余弦信号の振幅との間には、三平方の定理が成立する。従って、その二相の出力信号の何れか一方が異常と判定された場合であっても、正弦信号及び余弦信号の各振幅についての二乗和の式を解くことにより、他方の正常な出力信号の振幅に基づいて、その異常と判定された出力信号(異常相)に当該異常がないとした場合の振幅(の絶対値)を推定することが可能である。しかしながら、その二乗和の式を解くことで得られる値は、あくまで絶対値のみである。
この点、上記構成によれば、信号故障の生じたレゾルバの電気角が、その符号の逆転が生じない範囲(電気角範囲)、即ち異常相の振幅の符号を特定することが可能な範囲においてのみ、その異常相の振幅推定を実行することが可能になる。その結果、各レゾルバの何れか一つの出力信号に異常が発生した場合においても高精度なトルク検出を行なうことができる。
請求項2に記載の発明は、前記適合範囲は、前記異常と判定された出力信号に該異常がないとした場合における該出力信号の振幅変化が、前記正常な出力信号の振幅変化よりも小さな範囲に設定されること、を要旨とする。
上記構成によれば、確実に、符号の逆転が生じない範囲にあるか否かを判定することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、前記適合範囲は、前記異常と判定された出力信号の振幅が該異常のない場合に最大となる電気角を基準として、その基準電気角から前記異常と判定された出力信号の振幅波形と前記正常な出力信号の振幅波形とが交差する交差電気角までの範囲、及び前記基準電気角から該基準電気角を挟んで前記交差電気角と対称の位置関係にある対称電気角までの範囲に設定されること、を要旨とする。
即ち、このように設定される範囲内では、その異常と判定された出力信号に当該異常がないとした場合におけるその振幅変化は、正常な出力信号の振幅変化よりも小さな値をとる。従って、上記構成によれば、より確実に、符号の逆転が生じない範囲にあるか否かを判定することができるようになる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のトルクセンサを備えた電動パワーステアリング装置であること、を要旨とする。
上記構成によれば、トルクセンサを構成する各レゾルバの出力信号の何れか一つに異常が発生した場合においても高精度な操舵トルクの推定を可能として、そのアシスト力付与を継続することができるとともに、併せて高い安全性を確保することができる。
本発明によれば、各レゾルバの出力信号の何れか一つに異常が発生した場合においても高精度のトルク検出が可能なトルクセンサ、及びその安全性を確保しつつアシスト力付与を継続することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 トルクセンサの概略構成図。 EPSの制御ブロック図。 (a)(b)トルクセンサを構成する各レゾルバの正弦信号及び余弦信号の各振幅に関する出力波形を示す波形図。 トルクセンサの異常判定の処理手順を示すフローチャート。 正弦信号及び余弦信号の各振幅に関する出力波形と異常相に応じた適合範囲との関係を示す説明図。 概算電気角の演算及び異常相の振幅推定に関する適合判定の処理手順を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のEPS1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリングホイール(ステアリング)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角が変更されるようになっている。
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、その駆動源であるモータ12がラック5と同軸に配置された所謂ラック型のEPSアクチュエータであり、モータ12が発生するアシストトルクは、ボールねじ機構(図示略)を介してラック5に伝達される。尚、本実施形態のモータ12は、ブラシレスモータであり、ECU11から三相(U,V,W)の駆動電力の供給を受けることにより回転する。そして、モータ制御装置としてのECU11は、このモータ12が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
本実施形態では、ECU11には、トルクセンサ14及び車速センサ15が接続されている。そして、ECU11は、これらトルクセンサ14及び車速センサ15によりそれぞれ検出される操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、EPSアクチュエータ10の作動、即ちパワーアシスト制御を実行する。
次に、本実施形態におけるトルクセンサの構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態のトルクセンサ14は、ステアリングシャフト3の途中に設けられたトーションバー20とその両端に設けられた一対のレゾルバ21,22とを備えてなる所謂ツインレゾルバ型のトルクセンサとして構成されている。
詳述すると、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなり(図1参照)、トーションバー20は、そのピニオンシャフト3cの途中に設けられている。そして、各レゾルバ21,22は、それぞれ、このトーションバー20を介して連結されることによりピニオンシャフト3cを構成するインプットシャフト23及びロアシャフト24に設けられている。
即ち、本実施形態では、これらインプットシャフト23及びロアシャフト24により第1軸及び第2軸が構成されている。そして、以下、説明の便宜のため、トーションバー20を挟んでステアリング2側に位置するインプットシャフト23側(同図中、上側)を「イン側」、同じく転舵輪6側に位置するロアシャフト24側(同図中、下側)を「ロア側」と省略して記載する。
各レゾルバ21,22は、それぞれ、その対応するインプットシャフト23及びロアシャフト24とともに一体回転するロータコア25,26と、各ロータコア25,26を囲むように各ロータコア25,26の外側に配置された環状のステータコア27,28とを備えている。そして、各ステータコア27,28は、トルクセンサ14のハウジング29に回転不能に固定されている。
本実施形態の各レゾルバ21,22は、巻線軸が互いに直交する二相(sin相,cos相)のセンサコイルを備えた一相励磁二相出力型のレゾルバであり、各ステータコア27,28には、それぞれ、各一組のセンサコイルWSIs,WSIc、及びWSLs,WSLcが巻装されている。そして、各ロータコア25,26には、それぞれ、ロータコイルWRI,WRLが巻装されている。
また、本実施形態では、各ステータコア27,28には、各ロータコイルWRI,WRLを励磁するための励磁コイルWEI,WELが巻装されており、各ロータコイルWRI,WRLは、この各励磁コイルWEI,WELに、所定の振幅を有する励磁信号V_ex(正弦波交流信号)が入力されることより励磁される。そして、各ロータコイルWRI,WRLが励磁されることで、各センサコイルWSIs,WSIc、及びWSLs,WSLcに励磁信号V_exの振幅に比例した振幅を有する電圧(出力信号)が誘起される。
即ち、一相励磁二相出力型のレゾルバとして構成された各レゾルバ21,22は、上記励磁信号V_exの入力により、それぞれ、その対応するインプットシャフト23及びロアシャフト24の回転に応じて正弦波状に振幅が変化する正弦信号V_Isin,V_Lsin及び余弦波状に振幅が変化する余弦信号V_Icos,V_Lcosを出力する。
そして、本実施形態のECU11は、その励磁信号V_exを出力し、及び各レゾルバ21,22の出力信号を取得することにより、ステアリングシャフト3を介して伝達される操舵トルクτを検出するトルク検出手段として機能するように構成されている。
次に、本実施形態におけるEPSの電気的構成について説明する。
図3に示すように、操舵系にアシスト力を付与すべくEPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12の作動を制御するためのモータ制御信号を出力するパワーアシスト制御部30と、そのモータ制御信号に基づきモータ12に駆動電力を供給する駆動回路31とを備えている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ33、及びモータ12の回転角θmを検出するための回転角センサ34が接続されている。そして、パワーアシスト制御部30は、これら各センサの出力信号に基づき検出されたモータ12の実電流値I及び回転角θm、並びに上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、駆動回路31に対するモータ制御信号の出力を実行する。
詳述すると、パワーアシスト制御部30は、EPSアクチュエータ10に発生させるべき目標アシスト力に対応した電流指令値I*を演算する電流指令値演算部35を備えている。そして、同電流指令値演算部35は、上記操舵トルクτ及び車速Vに基づいて、その操舵トルクτ(の絶対値)が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きなモータトルク、即ちアシスト力を発生させるべき電流指令値I*を演算する。
この電流指令値演算部35により算出された電流指令値I*は、電流センサ33により検出された実電流値I、及び回転角センサ34により検出されたモータ12の回転角θmとともに、モータ制御信号出力部36に入力される。そして、モータ制御信号出力部36は、その目標アシスト力に対応する電流指令値I*に実電流値Iを追従させるべく電流フィードバック制御を実行することにより駆動回路31に出力するモータ制御信号を生成する。
具体的には、本実施形態では、モータ制御信号出力部36は、実電流値Iとして検出されたモータ12の相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、電流指令値I*は、q軸電流指令値としてモータ制御信号出力部36に入力される。また、モータ制御信号出力部36は、回転角センサ34により検出された回転角θmに基づいて相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換し、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
そして、本実施形態のECU11は、このようにして生成されたモータ制御信号をパワーアシスト制御部30が駆動回路31に出力し、同駆動回路31がそのモータ制御信号に基づく三相の駆動電力をモータ12に供給することにより、EPSアクチュエータ10の作動を制御する構成となっている。
次に、本実施形態のECUが備えた操舵トルク検出機能及び異常判定機能について説明する。
図3に示すように、本実施形態のECU11は、上記のようにトルクセンサ14の各レゾルバ21,22に励磁信号V_exを出力する励磁信号出力部40と、これらレゾルバ21,22が出力する各正弦信号V_Isin,V_Lsin及び各余弦信号V_Icos,V_Lcosに基づいて操舵トルクτを検出する操舵トルク検出部41とを備えている。そして、上記パワーアシスト制御部30は、この操舵トルク検出部41の出力する操舵トルクτに基づいて、そのパワーアシスト制御を実行する。
詳述すると、操舵トルク検出部41において、各レゾルバ21,22の各出力信号(V_Isin,V_Icos及びV_Lsin,V_Lcos)は、それぞれに対応して設けられた振幅演算部43〜46に入力されることにより、その振幅(A_Isin,A_Icos及びA_Lsin,A_Lcos)が演算される。具体的には、振幅演算部43,44において、イン側(図2参照)のレゾルバ21の出力する正弦信号V_Isin及び余弦信号V_Icosの各振幅A_Isin,A_Icosがそれぞれ演算され、振幅演算部45,46において、ロア側(図2参照)のレゾルバ22の出力する正弦信号V_Lsin及び余弦信号V_Lcosの各振幅A_Lsin,A_Lcosがそれぞれ演算される。そして、イン側回転角演算部47において、レゾルバ21の各出力信号の振幅A_Isin,A_Icosに基づきインプットシャフト23の回転角(機械角)θIが演算され、ロア側回転角演算部48において、レゾルバ21の各出力信号の振幅A_Lsin,A_Lcosに基づきロアシャフト24の回転角(機械角)θLが演算される。
即ち、二相出力型のトルクセンサである各レゾルバ21,22では、次の各式により、当該各レゾルバ21,22が出力する正弦信号の振幅(A_Isin,A_Lsin)及び余弦信号の振幅(A_Icos,A_Lcos)に基づいて、インプットシャフト23の電気角θIe及びロアシャフト24の電気角θLeを演算することができる。
θIe=arctan(A_Isin/A_Icos) ・・・(1)
θLe=arctan(A_Lsin/A_Lcos) ・・・(2)
ここで、本実施形態では、イン側のレゾルバ21の電気角倍率は「5倍(5X)」に設定され、ロア側のレゾルバ22の電気角倍率は「6倍(6X)」に設定されている(図4(a)(b)参照)。
また、イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、その電気角回転数nI,nLをカウントする。具体的には、本実施形態のイン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、各電気角θIe,θLeが「360°から0°に移行した場合」に、各電気角回転数nI,nLのカウント値を加算(+1)し、各電気角θIe,θLeが「0°から360°に移行した場合」に、そのカウント値を減算(−1)する。尚、この場合における「360°」は、言うまでもなく、その分解能の限りにおいて、最も「360°」に近い角度を示すものである。
そして、イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、上記(1)(2)式より得られた各電気角θIe,θLe、及び各レゾルバ21,22の電気角倍率、並びにその電気角回転数nI,nLを、次の各式に代入することにより、インプットシャフト23及びロアシャフト24の各回転角(機械角)θI,θLを演算する。
θI=(θIe+2π×nI)/5 ・・・(3)
θL=(θLe+2π×nL)/6 ・・・(4)
これらイン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48において演算されたインプットシャフト23及びロアシャフト24の各回転角θI,θLは、操舵トルク演算部49に入力される。そして、操舵トルク演算部49は、次式のように、これらインプットシャフト23及びロアシャフト24の回転角差、即ち、トーションバー20の捻れ角に、そのバネ定数Kを乗ずることにより、当該トーションバー20を介して伝達されるトルク、即ち操舵トルクτを演算する構成となっている。
τ=(θI−θL)×K ・・・(5)
また、本実施形態の操舵トルク検出部41には、異常判定部50が設けられており、同異常判定部50には、各レゾルバ21,22の各出力信号(V_Isin,V_Icos及びV_Lsin,V_Lcos)が入力されるようになっている。そして、異常判定部50は、その入力される各出力信号を監視、具体的には、当該各出力信号が「正常時に取り得る範囲」にあるか否かを判定することにより、トルクセンサ14の異常判定を実行する。
詳述すると、図5のフローチャートに示すように、異常判定部50は、先ずロア側のレゾルバ22が出力する正弦信号V_Lsinが正常であるか否かを判定し(ステップ101)、同正弦信号V_Lsinが正常である場合(ステップ101:YES)には、その余弦信号V_Lcosが正常であるか否かを判定する(ステップ102)。
次に、レゾルバ22の余弦信号V_Lcosが正常である場合(ステップ102:YES)には、イン側のレゾルバ21が出力する正弦信号V_Isinが正常であるか否かを判定し(ステップ103)、同正弦信号V_Isinが正常である場合(ステップ103:YES)には、その余弦信号V_Icosが正常であるか否かを判定する(ステップ104)。
そして、レゾルバ21の余弦信号V_Icosが正常である場合(ステップ104:YES)、即ち、各レゾルバ21,22の各出力信号(V_Isin,V_Icos及びV_Lsin,V_Lcos)が全て正常である場合(ステップ101〜ステップ104:すべてYES)に、トルクセンサ14は正常であると判定する(ステップ105)。
一方、上記ステップ104において、イン側のレゾルバ21が出力する余弦信号V_Icosが異常であると判定した場合(ステップ104:NO)、本実施形態の異常判定部50は、当該レゾルバ21の余弦信号V_Icosが異常となる信号故障が発生したものと判定する(ステップ106)。
また、上記ステップ103において、イン側のレゾルバ21が出力する正弦信号V_Isinが異常であると判定した場合(ステップ103:NO)には、上記ステップ104と同様に、その余弦信号V_Icosが正常であるか否かを判定する(ステップ107)。そして、レゾルバ21の余弦信号V_Icosが正常である場合(ステップ107:YES)には、イン側のレゾルバ21が出力する正弦信号V_Isinが異常となる信号故障が発生したものと判定する(ステップ108)。
同様に、上記ステップ102において、ロア側のレゾルバ22が出力する余弦信号V_Lcosが異常であると判定した場合(ステップ102:NO)には、続いてイン側のレゾルバ21が出力する正弦信号V_Isinが正常であるか否かを判定する(ステップ109)。そして、レゾルバ21の正弦信号V_Isinが正常である場合(ステップ109:YES)には、続いてその余弦信号V_Icosが正常であるか否かを判定し(ステップ110)、同余弦信号V_Icosが正常である場合(ステップ110)には、ロア側のレゾルバ22が出力する余弦信号V_Lcosが異常となる信号故障が発生したものと判定する(ステップ111)。
更に、上記ステップ101において、ロア側のレゾルバ22が出力する正弦信号V_Lsinが異常であると判定した場合(ステップ101:NO)には、その余弦信号V_Lcosが正常であるか否かを判定する(ステップ112)。次に、レゾルバ22の余弦信号V_Lcosが正常である場合(ステップ112:YES)には、イン側のレゾルバ21が出力する正弦信号V_Isinが正常であるか否かを判定し(ステップ113)、同正弦信号V_Isinが正常である場合(ステップ113:YES)には、その余弦信号V_Icosが正常であるか否かを判定する(ステップ114)。そして、レゾルバ21の余弦信号V_Icosが正常である場合(ステップ114:YES)には、ロア側のレゾルバ22が出力する正弦信号V_Lsinが異常となる信号故障が発生したものと判定する(ステップ115)。
また、本実施形態の異常判定部50は、上記ステップ112において、ロア側のレゾルバ22が出力する余弦信号V_Lcosが異常であると判定した場合(ステップ112:NO)には、トルクセンサ14に異常が生じたものと判定する(ステップ116)。更に、上記ステップ109,113において、イン側のレゾルバ21が出力する正弦信号V_Isinが異常であると判定した場合(ステップ109:NO、又はステップ113:NO)にも、トルクセンサ14に異常が生じたものと判定する(ステップ116)。そして、上記ステップ107,110,114において、イン側のレゾルバ21が出力する余弦信号V_Icosが異常であると判定した場合(ステップ107:NO、ステップ110:NO、ステップ114:NO)にも、トルクセンサ14に異常が生じたものと判定する(ステップ116)。
即ち、本実施形態の異常判定部50は、各レゾルバ21,22が出力する合計4相の信号(V_Isin,V_Icos,V_Lsin,V_Lcos)のうち、少なくとも二つ以上の信号が異常であると判定された場合に、トルクセンサ14に異常が生じたものと判定する。そして、これら各出力信号のうちの何れか一つのみが異常である場合には、即座にトルクセンサ14の異常とは判定せず、当該相の出力信号が異常となる信号故障が発生したものと判定するようになっている。尚、こうした信号故障は、例えば、信号配線の断線や地絡等により引き起こされるものである。
本実施形態では、こうした異常判定部50による異常判定の結果は、異常検出信号S_trとして上記パワーアシスト制御部30に入力される。そして、同パワーアシスト制御部30は、その異常検出信号S_trがトルクセンサ14の異常を示すものである場合には、その電流指令値I*の出力、即ちそのパワーアシスト制御の実行を停止し、速やかにフェールセーフを図る構成となっている。
(一相信号故障発生時の継続制御)
次に、本実施形態のEPSにおける一相信号故障発生時の継続制御の態様について説明する。
上述のように、上記異常判定部50は、各レゾルバ21,22が出力する合計4相の信号(V_Isin,V_Icos,V_Lsin,V_Lcos)のうちの何れか一つのみが異常である場合、即ち一相信号故障発生時には、即座にトルクセンサ14の異常とは判定しない。そして、本実施形態のEPS1は、このような場合、その信号故障の生じたレゾルバの各出力信号のうち正常な出力信号の振幅に基づいて、当該信号故障が発生したレゾルバが設けられた側の回転角を演算することにより操舵トルクτを検出し、そのパワーアシスト制御を継続する。
詳述すると、図3に示すように、異常判定部50の出力する異常検出信号S_trは、上記イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48にも入力される。そして、各イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、その対応する各レゾルバ21,22が出力する各正弦信号及び各余弦信号の何れか一方の出力信号が異常となる信号故障が発生した場合には、他方の正常な出力信号の振幅に基づいて、その対応する各軸(イン側又はロア側)の回転角を演算する。
即ち、本実施形態の各レゾルバ21,22のような一相励磁二相出力型のレゾルバでは、その二相の出力信号の振幅間(正弦信号の振幅と余弦信号の振幅との間)には、三平方の定理が成立する。
つまり、正弦信号及び余弦信号の各振幅の二乗和は「1」となることから、その二乗和の式を「(異常相の振幅の二乗)=1−(正常相の振幅の二乗)」のように整理して左辺の平方根を求めることにより、異常と判定された出力信号についても、その異常がないとした場合における振幅(の絶対値)を推定することができる。
また、更に、上記二乗和の式を解く際、その「1」の項を、信号故障の生じていない他方側のレゾルバが出力する正弦信号及び余弦信号の各振幅の二乗和とすることで、温度変化の影響を補正することができる。
そして、本実施形態のイン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、これを利用して、その異常であると判定された出力信号に応じた次の各式を解くことで、その異常と判定された出力信号に当該異常がないとした場合における振幅を推定する。
A_Icos^2=(A_Lsin^2+A_Lcos^2)−A_Isin^2 ・・・(6)
A_Isin^2=(A_Lsin^2+A_Lcos^2)−A_Icos^2 ・・・(7)
A_Lcos^2=(A_Icos^2+A_Isin^2)−A_Lsin^2 ・・・(8)
A_Lsin^2=(A_Icos^2+A_Isin^2)−A_Lcos^2 ・・・(9)
尚、上記(6)〜(9)式において、「^2」は「二乗」の意味である。また、これらの各式においては、その左辺が異常と判定された出力信号の振幅の二乗である。そして、その推定された振幅を基礎として、上記(1)(2)式により、対応するレゾルバ21,22の電気角θIe,θLeを演算し、及び上記(3)(4)式により、対応するインプットシャフト23及びロアシャフト24の各回転角(機械角)θI,θLを演算することが可能となる。
しかしながら、上記各式を解くことで得られる値は、あくまで絶対値である。そこで、本実施形態では、イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、上記のような振幅の推定に先立って、その信号故障の生じていないレゾルバが設けられた側の回転角(機械角)に基づいて、当該信号故障の生じたレゾルバの電気角を概算する。
即ち、本実施形態では、イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48により概算手段が構成されている。尚、その電気角の概算は、回転角(θI,θL)に、概算対象となるレゾルバ21,22の電気角倍率(5又は6)を乗じた値を「360°」で除した場合の余りを求めることにより実行可能である。
そして、本実施形態のイン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、その概算された電気角(概算電気角)が、上記(6)〜(9)式に基づき推定される振幅の符号を特定することが可能な範囲(電気角範囲)内にある場合にのみ、当該各式に基づく振幅の推定を実行する構成となっている。
即ち、図6に示すように、余弦信号の振幅(A_Icos,A_Lcos)の符号は、その電気角が「0°〜90°」及び「270°〜360°」の範囲において「正(+)」となり、「90°〜270°」の範囲において「負(−)」となる。尚、説明の便宜上、その振幅の値が「0」である場合の符号については、これを無視する。同様に、正弦信号の振幅(A_Isin,A_Lsin)の符号は、その電気角が「0°〜180°」の範囲において「正(+)」となり、「90°〜270°」の範囲において「負(−)」となる。従って、仮に上記概算電気角がその真の値と一致するとすれば、上記(6)〜(9)式を解くことで得られる値の符号も特定することが可能である。
ここで、当然ながら、各レゾルバ21,22が、トーションバー20を挟んで並置されることによりトルクセンサ14を構成するものである以上、概算電気角が真の値と一致するとは限らない。そのため、トーションバー20が捩れることにより生ずるインプットシャフト23とロアシャフト24と間の回転角差により、その概算電気角の符号が、真の電気角の符号と逆転してしまう可能がある。
しかし、トーションバー20の捻れ角にも限りがある(本実施形態では約1°程度)。従って、そのトーションバー20の捻れにより生ずるインプットシャフト23とロアシャフト24と間の回転角差によっても上記のような符号の逆転が生じない範囲、つまり上記(6)〜(9)式に基づき推定される振幅の符号を特定することが可能な範囲が存在する。そして、本実施形態のイン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、その概算電気角が、こうした範囲内にある場合にあるか否かに基づいて、当該各式に基づく振幅の推定についての適合判定を実行する。即ち、本実施形態では、イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48により、適合判定手段が構成されている。
具体的には、本実施形態では、その振幅の推定を行なうのに適した適合範囲、即ち上記のような符号の逆転が生じない範囲として、異常と判定された出力信号に当該異常がないとした場合におけるその振幅変化が、正常な出力信号の振幅変化よりも小さな範囲に設定される。
より具体的には、先ず、異常と判定された出力信号の振幅(の絶対値)が、当該異常のない場合に最大となる電気角を基準電気角θ0として設定する。即ち、基準電気角θ0は、異常と判定された出力信号が余弦信号(V_Icos,V_Lcos)である場合には「0°(360°)」及び「180°」となり、正弦信号(V_Isin,V_Lsin)である場合には、「90°」及び「270°」となる(図6参照)。次に、その異常と判定された出力信号の振幅波形と正常な出力信号の振幅波形とが交差する電気角を交差電気角θ1として設定するとともに、上記基準電気角θ0を挟んで当該交差電気角θ1と対称の位置関係にある電気角を対称電気角θ2として設定する。即ち、その異常と判定された出力信号の如何を問わず、交差電気角θ1は、正弦信号の振幅波形と余弦信号の振幅波形とが交差する「45°」及び「225°」となり、対称電気角θ2は、「135°」及び「315°」である。そして、本実施形態では、その交差電気角θ1から対称電気角θ2までの範囲(基準電気角θ0から交差電気角θ1までの範囲、及び基準電気角θ0から対称電気角θ2までの範囲)が、上記適合範囲として設定される。
即ち、図6に示すように、上記適合範囲は、異常と判定された出力信号が余弦信号(V_Icos,V_Lcos)である場合には「0°〜45°」「135°〜225°」及び「315°〜360°」となり、正弦信号(V_Isin,V_Lsin)である場合には、「45°〜135°」及び「225°〜315°」となる(図6参照)。
そして、本実施形態のイン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、上記の概算電気角(θer)が、これらの適合範囲内、即ち上記符号の逆転しない範囲内にある場合には、その概算電気角から符号を特定し、上記(6)〜(9)式に基づき振幅を推定する。
詳述すると、図7のフローチャートに示すように、イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、その対応するレゾルバ21,22に一相信号故障が発生した場合には、先ず、上記のように、信号故障の生じていない他方側の回転角(機械角)に基づいて、当該信号故障の生じたレゾルバの概算電気角θerを演算する(ステップ201)。
次に、イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、その異常と判定された出力信号が余弦信号(V_Icos,V_Lcos)であるか否かを判定し(ステップ202)、余弦信号である場合(ステップ202:YES)には、上記ステップ201において求めた概算電気角が上記の適合範囲内にあるか否かを判定する。
具体的には、先ず、その概算電気角θerが「0°〜45°」又は「315°〜360°」の範囲内にあるか否かを判定する(0°≦θer≦45°又は315°≦θer≦360°、ステップ203)。そして、概算電気角θerが当該ステップ203に示される範囲内にある場合(ステップ203:YES)には、その対応する上記(6)(8)式に基づき推定される振幅の符号、即ち当該各式左辺の平方根の符号を「正(+)」と特定する(ステップ204、図6参照)。
一方、概算電気角θerが上記ステップ203に示される範囲内にない場合(ステップ203:NO)には、続いて、その概算電気角θerが「135°〜225°」の範囲内にあるか否かを判定する(135°≦θer≦225°、ステップ205)。そして、概算電気角θerが当該ステップ205に示される範囲内にある場合(ステップ203:YES)には、その対応する上記(6)(8)式左辺の平方根の符号を「負(−)」と特定する(ステップ206、図6参照)。
また、上記ステップ202において、異常と判定された出力信号が正弦信号(V_Isin,V_Lsin)であると判定した場合(ステップ202:NO)には、先ず、その概算電気角θerが「45°〜135°」の範囲内にあるか否かを判定する(45°≦θer≦135°、ステップ207)。そして、概算電気角θerが当該ステップ207に示される範囲内にある場合(ステップ207:YES)には、上記ステップ204において、その対応する上記(7)(7)式左辺の平方根の符号を「正(+)」と特定する(図6参照)。
一方、概算電気角θerが上記ステップ207に示される範囲内にない場合(ステップ207:NO)には、続いて、その概算電気角θerが「225°〜315°」の範囲内にあるか否かを判定する(225°≦θer≦315°、ステップ208)。そして、概算電気角θerが当該ステップ208に示される範囲内にある場合(ステップ208:YES)には、上記ステップ206において、その対応する上記(7)(9)式左辺の平方根の符号を「負(−)」と特定する(図6参照)。
そして、上記ステップ204又はステップ206において、対応する上記(6)〜(9)式左辺の平方根の符号が特定した後、その対応する式及び特定した符号を用いて、異常と判定された出力信号(異常相)の振幅を推定する(ステップ209)。
尚、上記ステップ203及びステップ205に示される範囲内にない場合(ステップ203,205:何れもNO)、又は上記ステップ207及びステップ208に示される範囲内にない場合(ステップ207,208:何れもNO)には、異常相の振幅推定には適合しないものと判定し、その推定を行なわない(ステップ210)。
本実施形態のイン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、このようにして、上記概算電気角θerの演算、及び異常相の振幅推定に関する適合判定を実行する。そして、その異常と判定された出力信号に当該異常がないとした場合の振幅が推定可能である場合には、その振幅を用いて対応するレゾルバ21,22の電気角θIe,θLeを演算し、及び対応するインプットシャフト23及びロアシャフト24の各回転角(機械角)θI,θLを演算する構成となっている。
尚、本実施形態では、上記のような異常相の振幅推定に関する適合判定において、概算電気角θerが上記適合範囲内になく、その振幅推定が行なわれなかった場合、操舵トルク検出部41(操舵トルク演算部49)は、パワーアシスト制御部30に対して操舵トルクτを出力しない。
そして、本実施形態では、これにより、そのレゾルバ21,22の何れか一つの出力信号に異常が発生した場合においても高精度な操舵トルク検出を可能として、そのアシスト力付与の継続を図るとともに、併せて高い安全性を確保することが可能な構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)イン側回転角演算部47及びロア側回転角演算部48は、対応する各レゾルバ21,22が出力する各正弦信号及び各余弦信号の何れか一方の出力信号が異常となる信号故障が発生した場合には、信号故障の生じていないレゾルバが設けられた側の回転角(機械角)に基づいて、当該信号故障の生じたレゾルバの電気角を概算する。次に、その概算電気角θerが、トーションバー20が捩れることにより生ずるインプットシャフト23とロアシャフト24と間の回転角差により、真の電気角と符号が逆転しない範囲にあるか否かを判定する。そして、当該符号の逆転が生じない範囲内にある場合には、同概算電気角θerから符号を特定した上で、他方の正常な出力信号の振幅に基づいて、その異常と判定された出力信号に当該異常がないとした場合の振幅を推定することにより、対応する各軸の回転角を演算する。
即ち、一相励磁二相出力型のレゾルバでは、その二相の出力信号の振幅間、つまり正弦信号の振幅と余弦信号の振幅との間には、三平方の定理が成立する。従って、その二相の出力信号の何れか一方が異常と判定された場合であっても、正弦信号及び余弦信号の各振幅についての二乗和の式を解くことにより、他方の正常な出力信号の振幅に基づいて、その異常と判定された出力信号(異常相)に当該異常がないとした場合の振幅を推定することが可能である。しかしながら、その二乗和の式を解くことで得られる値は、あくまで絶対値のみである。
この点、上記構成によれば、信号故障の生じたレゾルバの電気角が、その符号の逆転が生じない範囲(電気角範囲)、即ち異常相の振幅の符号を特定することが可能な範囲においてのみ、その異常相の振幅推定を実行することが可能になる。その結果、トルクセンサ14を構成する各レゾルバ21,22の何れか一つの出力信号に異常が発生した場合においても高精度な操舵トルク検出を可能として、そのアシスト力付与を継続することができるとともに、併せて高い安全性を確保することができる。
(2)符号の逆転が生じない範囲、即ち概算電気角θerが、異常相の振幅推定を行なうのに適した範囲にあるか否かを判定する際の判定基準となる適合範囲は、その異常と判定された出力信号に当該異常がないとした場合におけるその振幅変化が、正常な出力信号の振幅変化よりも小さな範囲に設定される。このように設定することで、確実に、符号の逆転が生じない範囲にあるか否かを判定することができるようになる。
(3)適合範囲の設定は、先ず、異常と判定された出力信号の振幅(の絶対値)が、当該異常のない場合に最大となる電気角を基準電気角θ0として設定する。次に、その異常と判定された出力信号の振幅波形と正常な出力信号の振幅波形とが交差する電気角を交差電気角θ1として設定するとともに、上記基準電気角θ0を挟んで当該交差電気角θ1と対称の位置関係にある電気角を対称電気角θ2として設定する。そして、その交差電気角θ1から対称電気角θ2までの範囲(基準電気角θ0から交差電気角θ1までの範囲、及び基準電気角θ0から対称電気角θ2までの範囲)が、上記適合範囲として設定される。
即ち、この設定範囲内では、その異常と判定された出力信号に当該異常がないとした場合におけるその振幅変化は、正常な出力信号の振幅変化よりも小さな値をとる。従って、上記構成によれば、より確実に、符号の逆転が生じない範囲にあるか否かを判定することができるようになる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本発明をEPS1のトルクセンサ14に具体化したが、本発明は、EPS以外の用途に用いられるトルクセンサに具体化してもよい。また、EPSに適用する場合であっても、所謂ラックアシスト型に限らず所謂ピニオン型や所謂コラム型のEPSであってもよい。そして、そのトーションバー20が配置される位置については、ピニオンシャフト3cに限らず、コラムシャフト3aやインターミディエイトシャフト3bであってもよい。
・上記実施形態では、異常相の振幅を推定すべく、正弦信号及び余弦信号の各振幅についての二乗和の式を解く際、その「1」の項を、信号故障の生じていない他方側のレゾルバが出力する正弦信号及び余弦信号の各振幅の二乗和とすることで、温度変化の影響を補正することとした。しかし、これに限らず、当該項は「1」のまま、或いは、その他の方法で求められた適当な補正値を用いる構成としてもよい。
・上記実施形態では、イン側のレゾルバ21の電気角倍率は「5倍(5X)」に設定され、ロア側のレゾルバ22の電気角倍率は「6倍(6X)」に設定されることとした。しかし、これに限らず、本発明は、イン側及びロア側の電気角倍率が等しいもの(例えば、ともに「8倍(8X)」等)に適用してもよい。
・上記実施形態では、異常相の振幅推定に関する適合判定において、概算電気角θerが上記適合範囲内になく、その振幅推定が行なわれなかった場合、操舵トルク検出部41(操舵トルク演算部49)は、パワーアシスト制御部30に対して操舵トルクτを出力しないこととした。しかし、これに限らず、例えば、ステアリングシャフト3が連続回転している場合、即ち各レゾルバ21,22の回転が連続している場合には、概算電気角θerが上記適合範囲内にない場合でも、直前に当該適合範囲内に概算電気角θerがあった時点の符号を引き継いで、その異常相の振幅推定を実行する構成としてもよい。これにより、一相信号故障時においても、連続的にアシスト力を付与することが可能となり、その結果、優れた操舵フィーリングを実現することができる。
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を効果とともに記載する。
(イ)請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のトルクセンサにおいて、
前記トルク検出手段は、前記異常と判定された出力信号に該異常がないとした場合における出力信号の振幅を推定する際に、前記信号故障の生じていないレゾルバの各出力信号に基づいて、その推定される振幅を補正すること、を特徴とするトルクセンサ。これにより、より高精度のトルク検出ができるようになる。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、3…ステアリングシャフト、3c…ピニオンシャフト、6…転舵輪、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、14…トルクセンサ、20…トーションバー、21,22…レゾルバ、23…インプットシャフト、24…ロアシャフト、30…パワーアシスト制御部、31…駆動回路、41…操舵トルク検出部、43〜46…振幅演算部、47…イン側回転角演算部、48…ロア側回転角演算部、50…異常判定部、τ…操舵トルク、V_Isin,V_Lsin…正弦信号、A_Isin,A_Lsin…振幅、V_Icos,V_Lcos…余弦信号、A_Icos,A_Lcos…振幅、θI,θL…回転角(機械角)、θIe,θLe…電気角、θer…概算電気角、θ0…基準電気角、θ1…交差電気角、θ2…対称電気角。

Claims (4)

  1. トーションバーを介して連結された第1軸及び第2軸と、
    前記第1軸の回転に応じて正弦波状に振幅が変化する正弦信号及び余弦波状に振幅が変化する余弦信号を出力する第1レゾルバと、
    前記第2軸の回転に応じて正弦波状に振幅が変化する正弦信号及び余弦波状に振幅が変化する余弦信号を出力する第2レゾルバと、
    前記各正弦信号及び余弦信号の各振幅に基づき前記第1軸及び第2軸の回転角を演算し、その回転角差に基づき前記トーションバーを介して伝達されるトルクを検出するトルク検出手段とを備えたトルクセンサにおいて、
    前記第1レゾルバの各出力信号のうちの何れか一つが異常となる信号故障が生じた場合に、前記第2軸の前記回転角に基づき前記第1レゾルバの概算電気角を概算する概算手段と、
    前記第1レゾルバの正常な出力信号の振幅に基づき前記異常と判定された出力信号に該異常がないとした場合における該出力信号の振幅を推定する推定手段と、
    前記概算電気角において推定された出力信号の振幅の符号が、前記第1軸及び第2軸間の回転角差によっても真の電気角における出力信号の振幅の符号と逆転しない適合範囲内に、前記概算電気角があるか否かを判定する適合判定手段とを備え、
    前記トルク検出手段は、前記概算電気角が前記適合範囲内にある場合には、前記推定手段により推定された振幅及び前記正常な出力信号の振幅に基づいて、前記第1軸の前記回転角を演算すること、を特徴とするトルクセンサ。
  2. 請求項1に記載のトルクセンサにおいて、
    前記適合範囲は、前記異常と判定された出力信号に該異常がないとした場合における該出力信号の振幅変化が、前記正常な出力信号の振幅変化よりも小さな範囲に設定されること、を特徴とするトルクセンサ。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のトルクセンサにおいて、
    前記適合範囲は、前記異常と判定された出力信号の振幅が該異常のない場合に最大となる電気角を基準として、その基準電気角から前記異常と判定された出力信号の振幅波形と前記正常な出力信号の振幅波形とが交差する交差電気角までの範囲、及び前記基準電気角から該基準電気角を挟んで前記交差電気角と対称の位置関係にある対称電気角までの範囲に設定されること、を特徴とするトルクセンサ。
  4. 請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載のトルクセンサを備えた電動パワーステアリング装置。
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