JP5407107B2 - ブレーキ装置 - Google Patents
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本発明は前述の点に鑑みてなされたものであり、その課題は、例えば、ストロークシミュレータが正常に作動しないときにも、運転者の意思を反映させて十分な制動効果を得ることである。
[第1実施形態]
(構成)
図1は、第1実施形態に係るブレーキ装置の概略構成図を示しており、図中符号1はブレーキペダル、符号2はブレーキペダル1の踏込に応じて昇圧されるマスタシリンダである。マスタシリンダ2は、2つの液圧系統を持つタンデムマスタシリンダであり、プライマリ側ピストン2c及びセカンダリ側ピストン2dが直列に配されて、2つの圧力発生室2a,2bを形成している。そして、プライマリ側の圧力発生室2aは、遮断弁(待機時開)3aを介して車輪5aに制動力を発生させるホイルシリンダ6aに連通し、セカンダリ側の圧力発生室2bは、遮断弁(待機時開)3bを介して車輪5bに制動力を発生させるホイルシリンダ6bに連通しており、これらのホイルシリンダ6a,6bに液圧が供給される。また、圧力発生室2a内にはスプリング2eが設置され、圧力発生室2bにはスプリング2fが設置されており、これらに付勢されて、前進したピストン2c,2dがノーマル位置に後退する。
また、マスタシリンダ2に並設されたリザーバ8には、液圧発生装置9が接続されている。この液圧発生装置9は、電動モータ9aと当該電動モータ9aによって回転駆動されるポンプ9bとで構成される。
また、常閉型電磁弁11a〜11dを非励磁のノーマル位置にしたまま、遮断弁3a,3b及び常開型電磁弁4a〜4dを励磁して夫々を閉じることで、ホイルシリンダ6a〜6dからリザーバ8及び液圧発生装置9への各流路を遮断し、ホイルシリンダ6a〜6dの液圧を保持することができる。
さらに、遮断弁3a,3b、常開型電磁弁4a〜4d及び常閉型電磁弁11a〜11dの全てを非励磁のノーマル位置にすることで、マスタシリンダ2からの液圧がホイルシリンダ6a,6bに供給され、通常ブレーキとなる。
コントロールユニット30は、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理装置を備えて構成されている。そして、通常時には、後述する図2の制動力制御処理を実行することにより、遮断弁3a,3bを閉じた状態で、ストロークセンサ18で検出したペダルストロークSsと、マスタシリンダ圧センサ7a,7bで検出したマスタシリンダ圧Pmとに基づいてブレーキバイワイヤを実行する。このとき、ストロークシミュレータカット弁13は開いた状態とし、ストロークシミュレータ12を作動させる。また、ポンプ故障等のフェールセーフ時には、遮断弁3a,3bを開き、マスタシリンダ2からの液圧をホイルシリンダ6a,6bに伝達して通常ブレーキとする。このとき、ストロークシミュレータカット弁13を閉じることでストロークシミュレータ12にブレーキ液が流入しない構造とする。
まず、ステップS1で各種データを読み込む。具体的には、マスタシリンダ圧センサ7a,7b及びストロークセンサ18の検出値を読込む。
続くステップS3で、図4の制御マップを参照し、ペダルストロークSsに基づき目標減速度Gsを算出する。この制御マップは、横軸をペダルストロークSs、縦軸を目標減速度Gsとし、ペダルストロークSsが0から増加するときに目標減速度Gsが0から増加し、ペダルストロークSsが大きいほど目標減速度Gsの増加率が大きくなるように設定されている。
ところで、ブレーキバイワイヤを実行しているときは、ストロークシミュレータカット弁13を開いてストロークシミュレータ12を作動状態とするが、ストロークシミュレータ12に閉故障(ストロークシミュレータカット弁13が閉じたままの状態)が起きることがある。例えば、ストロークシミュレータカット弁13でソレノイドに電流を供給する配線に断線が起こった場合などは、コントロールユニット30から開状態とするための制御信号を出しているにもかかわらず、ストロークシミュレータカット弁13は閉じたままの状態となってしまう。また、ブレーキバイワイヤが実行されている状態では、上述のように遮断弁3a,3bも閉鎖されている。
まず、ステップS41で、ストロークシミュレータカット弁13から状態検知信号を取得する。ここでは、ストロークシミュレータカット弁13のソレノイドに流れるソレノイド通過電流波形(あるいはこのソレノイド通過電流波形に応じた電圧波形)を取得する。
β=1−α ・・・(1)
以上のようにして寄与度α及びβを決定すると、図2のステップS5に移行する。ステップS5では、下記(2)式に示すように、目標減速度Gp及びGsと、寄与度α及びβとに基づき最終目標減速度Gtを算出する。
Gt=α・Gp+β・Gs ・・・(2)
続くステップS6では、最終目標減速度Gtを達成するのに必要な制動力が発生するように、常開型電磁弁4a〜4d、常閉型電磁弁11a〜11d及び液圧発生装置9を駆動制御して、所定のメインプログラムに復帰する。
以上より、図2の制動力制御処理が「制御手段」に対応し、最終目標減速度Gtが「最終的な目標制動力」に対応している。
次に、第1実施形態の動作や作用効果について説明する。
今、通常のブレーキバイワイヤを行っているとする。すなわち、遮断弁3a,3bを閉鎖した状態で、常開型電磁弁4a〜4d、常閉型電磁弁11a〜11d及び液圧発生装置9を駆動制御し、ホイルシリンダ6a〜6dにより運転者のブレーキ操作に基づき算出された最終目標減速度Gtを実現するための制動力を発生させる。
この最終目標減速度Gtは、前述したように、マスタシリンダ圧Pmに基づいた目標減速度GpとペダルストロークSsに基づいた目標減速度Gsとを算出し(ステップS2,S3)、目標減速度Gpの寄与度α及び目標減速度Gsの寄与度βを算出し、これら寄与度α及びβにより目標減速度Gs及びGpに重み付けを行って算出する(ステップS4)。
その他、前記の第1実施形態では、ステップS43の処理で、マスタシリンダ圧Pmのみに基づき寄与度αを算出しているが、これに限定されるものではない。すなわち、ペダルストロークSsのみに基づき寄与度βを算出したり、ペダルストロークSsとマスタシリンダ圧Pmの双方に基づき寄与度α,βを夫々算出したりしてもよい。また、図6の制御マップ関数では、連続的に寄与度αを変化させているが、これに限定されるものではなく、マスタシリンダ圧Pmに基づきステップ状に寄与度αを変化させてもよい。
また、前記の第1実施形態では、流体圧を利用したブレーキバイワイヤを行っているが、これに限定されるものではない。ブレーキバイワイヤに関しては制動力制御を行うことができればよいので、電動アクチュエータを駆動制御することで、ディスクロータをブレーキパッドで挟圧したり、ブレーキドラムの内周面にブレーキシューを押圧したりする電動ブレーキや、回生モータブレーキ等、電子制御可能なエネルギー源を備えていれば、如何なるブレーキでもよい。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
(構成)
第2実施形態に係るブレーキ装置の構成は、図1に示したものと同様であり、コントロールユニット30の動作も図2のフローチャートに示す通りであるが、ステップS4の処理で、ブレーキペダル1踏み込み初期のロスストローク領域を考慮した補正を行っている点で第1実施形態と異なっている。
Gt=Gp+Gs ・・・(3)
そして、ステップS5により算出された最終目標減速度Gtを実現するように、常開型電磁弁4a〜4d、常閉型電磁弁11a〜11d及び液圧発生装置9が駆動制御される(ステップS6)。
次に、第2実施形態を前記のように構成した効果について、図9をさらに参照して説明する。図9は、前記構成のブレーキ装置において、ブレーキバイワイヤを行いかつストロークシミュレータ12に閉故障が生じている状態で、ブレーキペダル1が踏み込まれたときのマスタシリンダ圧Pmに応じた目標減速度Gp、ペダルストロークSsに応じた目標減速度Gs、及び、最終目標減速度Gtを時間変化の例を示したグラフである。
12 ストロークシミュレータ
12a ピストン
12b コイルスプリング
13 ストロークシミュレータカット弁
17 インプットロッド
18 ストロークセンサ
2 マスタシリンダ
2a,2b 圧力発生室
2c,2d ピストン
2e,2f スプリング
2g,2h ピストンカップ
2i、2j リターン・ポート
3a,3b 遮断弁
4a〜4d 常開型電磁弁
11a〜11d常閉型電磁弁
5a〜5d 車輪
6a〜6d ホイルシリンダ
7a,7b マスタシリンダ圧センサ
8 リザーバ
9 液圧発生装置
9a 電動モータ
9b ポンプ
30 コントロールユニット
Claims (7)
- ブレーキペダルの踏み込みに応じて制動流体圧を発生するマスタシリンダと、
車輪を制動する制動力を発生するホイルシリンダと、
前記マスタシリンダに連通し、ブレーキペダルの踏み込みに応じてペダルフィーリングを発生するストロークシミュレータと、
前記マスタシリンダの流体圧及びブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき目標制動力を算出し、前記目標制動力に応じて車両の制動力を制御する制御手段と、を備えるブレーキ装置において、
前記ストロークシミュレータと前記マスタシリンダとの間を開閉するストロークシミュレータカット弁を備え、
前記制御手段は、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとを遮断している状態で、かつ、前記ストロークシミュレータカット弁が開状態であるときには、前記マスタシリンダの流体圧及び前記ブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき算出される目標制動力を最終的な目標制動力とし、
前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとを遮断している状態で、かつ、前記ストロークシミュレータカット弁が開状態にならないときには、前記マスタシリンダの流体圧に基づき算出される目標制動力を最終的な目標制動力とすることを特徴とするブレーキ装置。 - 前記制御手段は、走行中に、前記マスタシリンダと前記ホイルシリンダとを遮断している状態で、かつ、前記ストロークシミュレータカット弁が開状態にならないときにのみ、前記マスタシリンダの流体圧に基づき算出される目標制動力を最終的な目標制動力とすることを特徴とする請求項1記載のブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記ブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき算出される目標制動力で、前記最終的な目標制動力を補正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブレーキ装置。
- 前記補正は、ブレーキペダルの踏み込みに応じ前記マスタシリンダの流体圧が増加し始めるまでのロスストローク領域においては、前記マスタシリンダの流体圧に基づき算出される目標制動力に代わって、前記ブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき算出される目標制動力を、最終的な目標制動力において支配的とする補正であることを特徴とする請求項3に記載のブレーキ装置。
- 前記制御手段は、前記ブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき算出される目標制動力を、前記マスタシリンダの流体圧に基づき算出される目標制動力に加算して、前記補正を行うことを特徴とする請求項3又は4に記載のブレーキ装置。
- ブレーキペダルの踏み込み、及び、マスタシリンダの流体圧に基づき算出される目標制動力から、車両の制動力を制御するブレーキ装置において、
前記ブレーキペダルの踏み込みに応じたペダルフィーリングを発生するストロークシミュレータと前記マスタシリンダとの間を開閉するストロークシミュレータカット弁を備え、前記ストロークシミュレータカット弁が開状態であるときには、前記マスタシリンダの流体圧及び前記ブレーキペダルの踏み込みストロークに基づき算出される目標制動力を最終的な目標制動力とし、前記ストロークシミュレータカット弁が開状態にならないときには、前記マスタシリンダの流体圧に基づき算出される目標制動力を最終的な目標制動力とすることを特徴とするブレーキ装置。 - 走行中に、前記ストロークシミュレータカット弁が開状態にならないときにのみ、前記マスタシリンダの流体圧に基づき算出される目標制動力を最終的な目標制動力とすることを特徴とする請求項6記載のブレーキ装置。
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