JP4241422B2 - 車両用制動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用制動装置に関する。
この種の車両用制動装置としては、ブレーキペダルの踏込状態に応じた液圧を生成するマスタシリンダと、このマスタシリンダとは別に設けられてホイールシリンダに液圧を供給する液圧供給源とを具備したものが知られている。液圧供給源の正常時においては液圧供給源からホイールシリンダへブレーキペダルの踏込状態に対応した液圧を供給し、液圧供給源の異常時においてはブレーキペダルと作動的に連結したマスタシリンダからホイールシリンダに必要な液圧を供給するようになっている。このような車両用制動装置においては、液圧供給源の正常時においてブレーキペダルの踏込状態に応じたブレーキペダルストロークが発生するようにストロークシミュレータが設置され、さらにマスタシリンダとストロークシミュレータとの間に設けられて液圧供給源の正常時においては両部材を連通し異常時において両部材を遮断するシミュレータカット手段を備えている(例えば特許文献1参照)。
この車両用制動装置は、特許文献1の図1に示されるように、マスタシリンダ20の液圧はマスタ圧センサ120によって検出され、ホイールシリンダ(ブレーキシリンダ)22,24の液圧はホイール圧センサ(ブレーキ圧センサ)122によって検出される。マスタ圧センサ120は、2つの加圧室に対応してそれぞれ液通路32,34に設けられ、ホイール圧センサ122は、各ホイールシリンダに対応して設けられる。液通路32には、ストロークシミュレータ装置140が設けられ、ストロークシミュレータ装置140はストロークシミュレータ142とシミュレータ制御弁(シミュレータカット手段)144とを含むものである。
特開2002−308078号公報(第6−8頁、図1)
上述した車両用制動装置においては、マスタシリンダ20の液圧、より具体的にはマスタシリンダ20の2つの加圧室の各液圧はマスタ圧センサ120によって検出され、ホイールシリンダ22,24の液圧はホイール圧センサ122によって検出されているが、ストロークシミュレータ142の液圧は検出されていない。したがって、例えばシミュレータ制御弁144が故障して開状態のままとなったり、破損して液漏れが生じたりした場合にあっては、これら不具合を検出することができないために、液圧供給源の異常時に、マスタシリンダ20からホイールシリンダ22,24への液圧がストロークシミュレータ142に供給され制動力が不足するおそれがあった。
本発明は、上述した問題を解消するためになされたもので、車両用制動装置において、シミュレータカット手段の異常の有無を確実に検出することにより、液圧供給源の異常時における車両の制動能力の信頼性を向上することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の構成上の特徴は、ブレーキペダルの踏込状態に応じた液圧を生成するマスタシリンダと、該マスタシリンダに連通されてブレーキペダルの踏込状態に応じたブレーキペダルストロークを発生させるストロークシミュレータと、マスタシリンダとストロークシミュレータとの間に設けられて両部材を連通または遮断するシミュレータカット手段とを備えた車両用制動装置において、ストロークシミュレータの作動状態を検出するストロークシミュレータ作動状態検出手段と、マスタシリンダの作動状態を検出するマスタシリンダ作動状態検出手段と、前記ブレーキペダルの踏み込み中にシミュレータカット手段を遮断状態にした場合に、両作動状態検出手段によってそれぞれ検出されたストロークシミュレータおよびマスタシリンダの各作動状態のシミュレータカット手段遮断時からの変化を比較して、その比較結果に基づいてシミュレータカット手段の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えたことである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、ストロークシミュレータ作動状態検出手段として、ストロークシミュレータ内の油圧を検出するシミュレータ圧力センサ、およびストロークシミュレータのストロークを検出するシミュレータストロークセンサの少なくともいずれか一つを採用したことである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、マスタシリンダ作動状態検出手段として、マスタシリンダ内の油圧を検出するマスタシリンダ圧力センサ、ブレーキペダルのストロークを検出するブレーキペダルストロークセンサ、およびブレーキペダルに対する踏力を検出する踏力センサの少なくともいずれか一つを採用したことである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとの間に設けられて両部材を連通または遮断するマスタシリンダカット手段をさらに備え、このマスタシリンダカット手段を遮断状態とし、シミュレータカット手段を遮断状態としたときに、異常判定手段はシミュレータカット手段の異常の有無を判定することである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとの間に設けられて両部材を連通または遮断するマスタシリンダカット手段をさらに備え、このマスタシリンダカット手段を連通状態とし、シミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、異常判定手段はシミュレータカット手段の異常の有無を判定することである。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、マスタシリンダに少なくとも2つの出力ポートを設け、これら出力ポートに2つの油圧路をそれぞれ接続し、一方の油圧路の途中に前記ストロークシミュレータを接続し、このストロークシミュレータにストロークシミュレータ作動状態検出手段を設け、他方の油圧路にマスタシリンダ作動状態検出手段を介装したことである。
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、マスタシリンダに少なくとも1つの出力ポートを設け、この出力ポートのうちの一つの出力ポートに油圧路を接続し、この油圧路の途中にストロークシミュレータを接続し、このストロークシミュレータにストロークシミュレータ作動状態検出手段を設けるとともに、油圧路にマスタシリンダ作動状態検出手段を介装したことである。
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、シミュレータカット手段をメカ式のシミュレータカット機構により構成し、このシミュレータカット機構は、マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとが連通状態である場合に、ブレーキペダルを踏まないときにマスタシリンダとストロークシミュレータとの間を連通状態に切り換え、ブレーキペダルを踏み込んだときにマスタシリンダとストロークシミュレータとの間を遮断状態に切り換え、またマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断状態である場合に、その遮断したときのマスタシリンダとストロークシミュレータとの間の連通状態または遮断状態を維持するものであり、異常判定手段は、ブレーキペダルの踏込開始時点より所定時間だけ遅らせてマスタシリンダとホイールシリンダとの間を連通状態から遮断状態に切り換えて、シミュレータカット手段の異常の有無を判定することである。
請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項1から請求項7の何れか一項において、異常判定手段は、初回制動におけるブレーキペダルの踏み込み時にシミュレータカット手段の異常の有無を判定することである。
請求項10に係る発明の構成上の特徴は、請求項1から請求項7の何れか一項において、異常判定手段は、制動毎におけるブレーキペダルの踏み込み中にシミュレータカット手段の異常の有無を判定することである。
請求項11に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、異常判定手段は、制動毎におけるブレーキペダルの踏み込み中であって踏込当初の所定期間または踏み込み解除直前の所定期間においてシミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、シミュレータカット手段の異常の有無を判定することである。
請求項12に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、異常判定手段は、制動毎におけるブレーキペダルの踏み込み中であって踏込途中にその踏み込み深さが所定の深さ以上となったときにシミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、シミュレータカット手段の異常の有無を判定することである。
請求項13に係る発明の構成上の特徴は、請求項1から請求項12の何れか一項において、異常判定手段がシミュレータカット手段に異常有りと判定した場合に、その旨を操作者に警告する警告手段をさらに備えたことである。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、異常判定手段は、ブレーキペダルの踏み込み中にシミュレータカット手段を遮断状態にした場合に、両作動状態検出手段によってそれぞれ検出されたストロークシミュレータおよびマスタシリンダの各作動状態のシミュレータカット手段遮断時からの変化を比較して、その比較結果に基づいてシミュレータカット手段の異常の有無を判定する。これによれば、複数の作動状態に基づいてシミュレータカット手段の異常の有無を判定するので、より確実にその判定をし、シミュレータカット手段の異常の有無を確実に検出することができる。
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、請求項1に係る発明において、ストロークシミュレータ作動状態検出手段として、ストロークシミュレータ内の油圧を検出するシミュレータ圧力センサ、およびストロークシミュレータのストロークを検出するシミュレータストロークセンサの少なくともいずれか一つを採用した。これにより、ストロークシミュレータの作動状態を確実かつ正確に検出することにより、シミュレータカット手段の異常の有無を確実に検出することができる。
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、請求項1に係る発明において、マスタシリンダ作動状態検出手段として、マスタシリンダ内の油圧を検出するマスタシリンダ圧力センサ、ブレーキペダルのストロークを検出するブレーキペダルストロークセンサ、およびブレーキペダルに対する踏力を検出する踏力センサの少なくともいずれか一つを採用した。これにより、マスタシリンダの作動状態を確実かつ正確に検出することにより、シミュレータカット手段の異常の有無を確実に検出することができる。
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、請求項1に係る発明において、マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとの間に設けられて両部材を連通または遮断するマスタシリンダカット手段をさらに備え、このマスタシリンダカット手段を遮断状態とし、シミュレータカット手段を遮断状態としたときに、異常判定手段はシミュレータカット手段の異常の有無を判定する。これによれば、マスタシリンダカット手段およびシミュレータカット手段を遮断して閉回路の容積をより小さくし、これによりシミュレータカット手段に異常が生じた際に確実にその異常を検出することができる。
上記のように構成した請求項5に係る発明においては、請求項1に係る発明において、マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとの間に設けられて両部材を連通または遮断するマスタシリンダカット手段をさらに備え、このマスタシリンダカット手段を連通状態とし、シミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、異常判定手段はシミュレータカット手段の異常の有無を判定する。これによれば、シミュレータカット手段の遮断のみ実施した場合であってもその異常の有無を判定することができるので、より広範囲にその判定をすることができる。
上記のように構成した請求項6に係る発明においては、請求項1に係る発明において、マスタシリンダに少なくとも2つの出力ポートを設け、これら出力ポートに2つの油圧路をそれぞれ接続し、一方の油圧路の途中に前記ストロークシミュレータを接続し、このストロークシミュレータにストロークシミュレータ作動状態検出手段を設け、他方の油圧路にマスタシリンダ作動状態検出手段を介装した。これによれば、一方の油圧路に異常(例えば漏れ)が発生した場合、ストロークシミュレータ作動状態検出手段によってその異常を検出することができ、また、他方の油圧路に異常(例えば漏れ)が発生した場合、マスタシリンダ作動状態検出手段によってその異常を検出することができる。
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、請求項1に係る発明において、マスタシリンダに少なくとも1つの出力ポートを設け、この出力ポートのうちの一つの出力ポートに油圧路を接続し、この油圧路の途中にストロークシミュレータを接続し、このストロークシミュレータにストロークシミュレータ作動状態検出手段を設けるとともに、油圧路にマスタシリンダ作動状態検出手段を介装した。これによれば、同一油圧路に設けたストロークシミュレータ作動状態検出手段およびマスタシリンダ作動状態検出手段の検出結果に基づいてシミュレータカット手段の異常の有無を判定するので、その判定精度を向上させ、また判定時間を短縮することができる。
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、請求項1に係る発明において、シミュレータカット手段をメカ式のシミュレータカット機構により構成し、このシミュレータカット機構は、マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとが連通状態である場合に、ブレーキペダルを踏まないときにマスタシリンダとストロークシミュレータとの間を連通状態に切り換え、ブレーキペダルを踏み込んだときにマスタシリンダとストロークシミュレータとの間を遮断状態に切り換え、またマスタシリンダとホイールシリンダとが遮断状態である場合に、その遮断したときのマスタシリンダとストロークシミュレータとの間の連通状態または遮断状態を維持するものであり、異常判定手段は、ブレーキペダルの踏込開始時点より所定時間だけ遅らせてマスタシリンダとホイールシリンダとの間を連通状態から遮断状態に切り換えて、シミュレータカット手段の異常の有無を判定する。これによれば、ブレーキペダルの踏込開始時点より所定時間だけ遅らせてマスタシリンダカット手段を連通状態から遮断状態に切り換えることにより、ブレーキペダルの踏み込み中全般においてシミュレータカット機構を閉状態とすることができるので、シミュレータカット手段がメカ式のシミュレータカット機構にて構成されている場合であっても、その異常の有無を確実に検出することができる。
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、請求項1から請求項7の何れか一項に係る発明において、異常判定手段は、初回制動におけるブレーキペダルの踏み込み時にシミュレータカット手段の異常の有無を判定するので、車両のイグニッションスイッチがオンされた後であって始めてブレーキペダルが踏まれたときにシミュレータカット手段の異常の有無が判定される。したがって、車両始動時の早い時期にシミュレータカット手段の異常を判定することができるので、液圧供給源の異常時における車両の制動能力の信頼性を向上することができる。
上記のように構成した請求項10に係る発明においては、請求項1から請求項7の何れか一項に係る発明において、異常判定手段は、制動毎におけるブレーキペダルの踏み込み中にシミュレータカット手段の異常の有無を判定するので、ブレーキペダルが踏まれる度にシミュレータカット手段の異常の有無が判定される。したがって、頻繁にシミュレータカット手段の異常を判定することができるので、液圧供給源の異常時における車両の制動能力の信頼性を向上することができる。
上記のように構成した請求項11に係る発明においては、請求項1において、異常判定手段は、制動毎におけるブレーキペダルの踏み込み中であって踏込当初の所定期間または踏み込み解除直前の所定期間においてシミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、シミュレータカット手段の異常の有無を判定する。これによれば、ブレーキペダルの踏み込み中であって踏込当初の所定期間または踏み込み解除直前の所定期間においてシミュレータカット手段の異常の有無を確実に検出することができる。
上記のように構成した請求項12に係る発明においては、請求項1において、異常判定手段は、制動毎におけるブレーキペダルの踏み込み中であって踏込途中にその踏み込み深さが所定の深さ以上となったときにシミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、シミュレータカット手段の異常の有無を判定する。これによれば、ブレーキペダルの踏み込み中であって踏込途中にその踏み込み深さが所定の深さ以上となったときに、シミュレータカット手段の異常の有無を確実に検出することができる。
上記のように構成した請求項13に係る発明においては、請求項1から請求項12の何れか一項に係る発明において、異常判定手段がシミュレータカット手段に異常有りと判定した場合に、その旨を操作者に警告する警告手段をさらに備えたので、シミュレータカット手段の異常の有無を確実に操作者に報知することにより、液圧供給源の異常時における車両の制動能力の信頼性を向上することができる。

1)第1の実施の形態
以下、本発明による車両用制動装置の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。この車両用制動装置Aは、図1に示すように、いわゆるブレーキバイワイヤタイプのものであり、ブレーキペダル11の踏込状態に応じた液圧を生成するマスタシリンダ10と、このマスタシリンダ10とは別に設けられて車両の左右前後輪FL,FR,RL,RRの回転をそれぞれ規制する各ホイールシリンダWC1,WC2,WC3,WC4に液圧を供給する液圧供給源20とを具備している。この液圧供給源20の正常時においては液圧供給源20から車両の左右前後輪FL,FR,RL,RRの各ホイールシリンダWC1〜WC4へブレーキペダル踏力に対応した液圧を供給し、液圧供給源20の異常時においてはブレーキペダル11と作動的に連結したマスタシリンダ10から車両の左右前輪FL,FRの各ホイールシリンダWC1,WC2に必要な液圧を供給するように構成されている。そして、このように構成された車両用制動装置Aにおいては、液圧供給源20の正常時においてブレーキペダル11の操作状態に応じた大きさのストロークをブレーキペダル11に発生させるためのストロークシミュレータ30が設置されている。
車両用制動装置Aは、ブレーキペダル11の踏込操作に応じて第1及び第2出力ポート10a,10bからほとんど同一の油圧(液圧)のブレーキ油(液体)を圧送するマスタシリンダ10を備えている。マスタシリンダ10の第1出力ポート10aは油圧路L1を介してホイールシリンダWC1に接続されている。油圧路L1には電磁弁41が設けられており、第1出力ポート10aは電磁弁41が非通電状態(図示状態)にあるとき電磁弁41を介して左前輪FL用のホイールシリンダWC1に連通している。マスタシリンダ10の第2出力ポート10bは油圧路L2を介してホイールシリンダWC2に接続されている。油圧路L2には電磁弁42が設けられており、第2出力ポート10bは電磁弁42が非通電状態(図示状態)にあるとき電磁弁42を介して右前輪FR用のホイールシリンダWC2に連通している。
電磁弁41,42は、通電により開閉を切り換え制御されて、ホイールシリンダWC1,WC2に対してマスタシリンダ10をそれぞれ連通および遮断するものである。すなわちこれら電磁弁41,42は、液圧供給源20の正常時において通電されて閉じられマスタシリンダ10と両ホイールシリンダWC1,WC2との間を遮断し、異常時において非通電されて開かれマスタシリンダ10と両ホイールシリンダWC1,WC2とを連通するマスタシリンダカット手段であるマスタシリンダカット弁として機能する。なお、車両用制動装置Aは、ブレーキペダル11に連結されてブレーキペダル11の移動量(ストローク量すなわちペダルストローク)を検出するペダルストロークセンサ11aを備えている。
油圧路L1上であってマスタシリンダ10と電磁弁41との間には、ストロークシミュレータ30が連通可能に接続されており、マスタシリンダ10とストロークシミュレータ30の間には、電磁弁43が設けられている。ストロークシミュレータ30は、例えば特開2002−293229号公報に示されているような周知のメカ式のストロークシミュレータであり、マスタシリンダ10の第1出力ポート10aから供給された油圧(液圧)を吸収するものである。ストロークシミュレータ30内には、ピストン31が液密かつ摺動可能に配設されており、このピストン31によって区画された第1および第2油圧室32,33が形成されている。第1油圧室32には電磁弁43を介してマスタシリンダ10の第1出力ポート10aに連通する入力ポート30aが設けられており、ストロークシミュレータ30にはこの入力ポート30aを介してマスタシリンダ10からブレーキ油が供給される。第2油圧室33にはリザーバタンク12の入力ポート12aに連通する出力ポート30bが設けられており、第2油圧室33から溢れたブレーキ油が出力ポート30bを介してリザーバタンク12に戻るようになっている。また、第2油圧室33には、マスタシリンダ10と連通状態においてマスタシリンダ10から供給される油圧に対抗するようにピストン31を付勢するスプリング34が配設されている。なお、第2油圧室33は大気室とすることも可能である。
電磁弁43は、非通電状態(図示状態)にあるときマスタシリンダ10の第1出力ポート10aとストロークシミュレータ30の入力ポート30aとを遮断し、通電状態にあるとき両ポート10a,30aを連通するものである。そして、この電磁弁43は、液圧供給源20の正常時において通電されて開かれマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30を連通し、異常時において非通電されて閉じられマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30との間を遮断するシミュレータカット手段であるストロークシミュレータカット弁として機能する。
電磁弁43とストロークシミュレータ30との間にはシミュレータ圧力センサとしての油圧計61が設けられている。油圧計61は、ストロークシミュレータ30内の油圧すなわちストロークシミュレータ30に供給される油圧を検出するものである。この油圧計61は、ストロークシミュレータ30の作動状態を検出するストロークシミュレータ作動状態検出手段である。
液圧供給源20は、電動モータ21、ポンプ22およびアキュムレータ23から構成されている。ポンプ22は、電動モータ21によって駆動されて、リザーバタンク12の入力ポート12aに連通する吸入ポート22aから吸い込んだリザーバタンク12のブレーキ油を吐出ポート22bから圧送する。アキュムレータ23は、ポンプ22の吐出ポート22bに連通しており、ポンプ22から供給される高圧のブレーキ油を常に一定の油圧に保って貯蔵し必要に応じて各ホイールシリンダWC1〜WC4に供給するようになっている。ポンプ22の吸入および吐出ポート22a,22bの間にはリリーフ弁24が介装されており、このリリーフ弁24はポンプ22から吐出されるブレーキ油の圧力が所定値未満である場合には閉じられ、所定値以上となった場合には開かれるものである。これらにより、液圧供給源20は、各ホイールシリンダWC1〜WC4に所定の高圧ブレーキ液を供給する。
液圧供給源20は、電磁弁45が通電状態にあるとき電磁弁45を介して左前輪FL用のホイールシリンダWC1に連通している。電磁弁45は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、非通電状態(図示状態)にあるときホイールシリンダWC1に対して液圧供給源20を遮断する。また、ホイールシリンダWC1は、電磁弁46が通電状態にあるとき電磁弁46を介してリザーバタンク12に連通している。電磁弁46は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、非通電状態(図示状態)にあるときリザーバタンク12に対してホイールシリンダWC1を遮断する。
さらに液圧供給源20は、電磁弁47が通電状態にあるとき電磁弁47を介して右前輪FR用のホイールシリンダWC2に連通している。電磁弁47は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、非通電状態(図示状態)にあるときホイールシリンダWC2に対して液圧供給源20を遮断する。また、ホイールシリンダWC2は、電磁弁48が通電状態にあるとき電磁弁48を介してリザーバタンク12に連通している。電磁弁48は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、非通電状態(図示状態)にあるときリザーバタンク12に対してホイールシリンダWC2を遮断する。
さらに液圧供給源20は、電磁弁51が通電状態にあるとき電磁弁51を介して左後輪RL用のホイールシリンダWC3に連通している。電磁弁51は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、非通電状態(図示状態)にあるときホイールシリンダWC3に対して液圧供給源20を遮断する。また、ホイールシリンダWC3は、電磁弁52が非通電状態(図示状態)にあるとき電磁弁52を介してリザーバタンク12に連通している。電磁弁52は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、通電状態にあるときリザーバタンク12に対してホイールシリンダWC3を遮断する。
さらに液圧供給源20は、電磁弁53が通電状態にあるとき電磁弁53を介して右後輪RR用のホイールシリンダWC4に連通している。電磁弁53は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、非通電状態(図示状態)にあるときホイールシリンダWC4に対して液圧供給源20を遮断する。また、ホイールシリンダWC4は、電磁弁54が非通電状態(図示状態)にあるとき電磁弁54を介してリザーバタンク12に連通している。電磁弁54は、通電により開閉を切り換え制御されるものであり、通電状態にあるときリザーバタンク12に対してホイールシリンダWC4を遮断する。
また、車両用制動装置Aは油圧計62〜67を備えている。油圧計62は、マスタシリンダ10の第2出力ポート10bから供給される油圧路L2内のブレーキ油の油圧を検出するものであり、すなわちマスタシリンダ10の圧力(マスタシリンダ圧)を検出するものである。この油圧計62は、マスタシリンダ10の作動状態を検出するマスタシリンダ作動状態検出手段である。油圧計63は、液圧供給源20から供給されるブレーキ油の油圧を検出するものである。そして、油圧計64〜67は、各ホイールシリンダWC1〜WC4に給排されるブレーキ油の油圧をそれぞれ検出するものである。
そして、車両用制動装置Aは、上述したペダルストロークセンサ11a、電動モータ21、各電磁弁41〜43,45〜48,51〜54および油圧計61〜67に接続されたECU(電子制御ユニット)70を備えている。ECU70には、車両の車体速度を検出する車速センサ、車両の操舵角を検出するステアリングセンサ、シフトレバーに組み付けられて車両のシフト位置を検出するシフトスイッチ、図示しないアクセルペダルに組み付けられて車両のアクセル開度を検出するアクセルセンサ、および車両の実際のヨーレートYを検出するヨーレートセンサも接続されている(いずれも図示省略)。ECU70は、これら各センサによる検出及びシフトスイッチの状態に基づき、車両用制動装置Aの各電磁弁41〜43,45〜48,51〜54の開閉を切り換え制御しホイールシリンダWC1〜WC4に付与する油圧すなわち各車輪FL,FR,RL,RRに付与する制動力を制御する。さらに、ECU70は、図2に示したフローチャートに対応したプログラムを実行して、ブレーキペダル11の踏み込み中においてシミュレータカット手段である電磁弁43を遮断状態にした場合に、ストロークシミュレータ作動状態検出手段およびマスタシリンダ作動状態検出手段によってそれぞれ検出されたストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の各作動状態を比較して、その比較結果に基づいて電磁弁43の異常の有無を判定し、電磁弁43に異常有りと判定した場合にその旨を操作者に警告する。
次に、上記のように構成した車両用制動装置の全般的な動作を簡単に説明する。液圧供給源20の正常時においては、ブレーキペダル11が踏まれると、開状態であった電磁弁41,42が閉じられてマスタシリンダ10から各ホイールシリンダWC1,WC2へのブレーキ油の供給が遮断される。このとき、閉状態であった電磁弁43が開かれてマスタシリンダ10からのブレーキ油はストロークシミュレータ30に供給される。また、各ホイールシリンダWC1〜WC4には、ペダルストロークセンサ11aによって検出されたペダルストロークに応じた油圧のブレーキ油が供給される。具体的には、電磁弁52,54が閉じられ電磁弁46,48の閉状態が維持されるとともに電磁弁45,47,51,53が開かれて液圧供給源20からの高圧のブレーキ油が各ホイールシリンダWC1〜WC4に供給される。
一方、踏み込まれていたブレーキペダル11が解放されると、ストロークシミュレータ30の第1油圧室32内のブレーキ油は電磁弁43を通ってマスタシリンダ10に戻る。また、各ホイールシリンダWC1〜WC4内のブレーキ油は、電磁弁46,48,52,54が開かれるとともに電磁弁45,47,51,53が閉じられるので電磁弁46,48,52,54を通ってリザーバタンク12に戻る。
また、液圧供給源20の異常時においては、電磁弁41〜43,45〜48,51〜54はすべて非通電状態に制御される。すなわち、電磁弁43はマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30を遮断し、電磁弁41,42はマスタシリンダ10の第1および第2出力ポート10a,10bとホイールシリンダWC1,WC2をそれぞれ連通し、電磁弁45〜48は閉じたままである。これにより、ブレーキペダル11が踏まれると、マスタシリンダ10内のブレーキ油は、電磁弁41,42を通ってホイールシリンダWC1,WC2に供給される。一方、踏み込まれていたブレーキペダル11が解放されると、ホイールシリンダWC1,WC2内のブレーキ油は、電磁弁41,42を通ってマスタシリンダ10に圧送される。
次に、上記のように構成した車両用制動装置Aの動作を図2のフローチャートに沿って詳述する。図示しない車両のイグニションスイッチがオン状態にあるとき、ECU70は、上記フローチャートに対応したプログラムを実行する。ECU70は、図2のステップ100にてプログラムの実行を開始する毎に、ステップ102にて、操作者(運転者)によってブレーキペダル11が踏まれたか否かを判定する。具体的には、ペダルストロークセンサ11a(または圧力計62)によってブレーキペダル11の移動量(ストローク量、ペダルストローク)(またはマスタシリンダ圧)を検出し、移動量(またはマスタシリンダ圧)が所定値より大きければブレーキペダル11が踏まれたと判定し、そうでなければ踏まれていないと判定する。ECU70はブレーキペダル11が踏まれるまで「NO」と判定しステップ102の処理を繰り返し実行する。
図3に示すタイムチャートにて時刻t1に操作者によってブレーキペダル11が踏まれると、ECU70は、ステップ102にて「YES」と判定しプログラムをステップ104に進め、ステップ104にてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を閉じる。そして、電磁弁41,42を閉じた時点(時刻t1)から所定時間T1が経過するまで(またはマスタシリンダ圧が所定圧に到達するまで)ステップ108,110の処理を繰り返し実行する。ステップ108において、油圧計61によってストロークシミュレータ30内の油圧を検出する(ストロークシミュレータ作動状態検出手段)とともに油圧計62によって油圧路L2内すなわちマスタシリンダ10内の油圧を検出する(マスタシリンダ作動状態検出手段)。検出されたストロークシミュレータ30内およびマスタシリンダ10内の各油圧はストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の作動状態をそれぞれ示すものである。
ステップ110において、ステップ108にて検出されたストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の各油圧を比較して、その比較結果に基づいて電磁弁43の異常の有無を判定する(異常判定手段)。このとき、マスタシリンダ10内の油圧は、ブレーキペダル11が踏まれているので図3のM/C圧に示すようにペダル踏力に応じて徐々に増圧される。またストロークシミュレータ30内の油圧は、電磁弁43に異常(例えば漏れ)がない場合には、電磁弁43は閉じられているので、図3のシミュレータ圧において実線に示すように所定時間T1経過時点(時刻t2)までは0のままである。しかし、電磁弁43に異常(例えば漏れ)がある場合には、電磁弁43を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30内の油圧はマスタシリンダ10内の油圧と同様に図3のシミュレータ圧において破線に示すように所定時間T1経過時点(時刻t2)まではペダル踏力に応じて徐々に増圧される。したがって、ECU70は、所定時間T1内において、マスタシリンダ10内およびストロークシミュレータ30内の両油圧が同じであれば電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。なおマスタシリンダ10内およびストロークシミュレータ30内の両油圧が同じであるとは、同一はいうまでもなく、両油圧の差が所定値以内である場合も含む。
そして、ECU70は、ステップ110にて電磁弁43に異常があると判定した場合には、「YES」と判定しプログラムをステップ112に進め、ステップ112にて電磁弁43に異常がある旨を操作者に警告する(警告手段)。具体的には、表示装置(例えばCRT、液晶)に警告メッセージを表示したり、警告灯(LED、ランプなど)を点灯させたり、スピーカから警告メッセージを報知したり、警告ブザーを鳴動させたりすればよい。また、ステップ110にて電磁弁43に異常がないと判定した場合には、所定時間T1が経過するまで(またはマスタシリンダ圧が所定圧に到達するまで)ステップ108,110の処理を繰り返し実行する。
所定時間T1が経過した時点(またはマスタシリンダ圧が所定圧に到達した時点)(時刻t2)において、ECU70はステップ106にて「YES」と判定しプログラムをステップ114に進め、ステップ114にてシミュレータカット弁である電磁弁43を開く。これにより、マスタシリンダ10とストロークシミュレータ30は連通するので、時刻t2以降においてストロークシミュレータ30内の油圧は、マスタシリンダ10内の油圧と同様に図3のシミュレータ圧において実線に示すようにペダル踏力に応じて変化する。例えば、ブレーキペダル11を所定の深さまで徐々に踏み込み、所定の深さにて暫く保持し、その後ブレーキペダル11の踏み込みを徐々に解除する場合にあっては、マスタシリンダ10内の油圧は図3のM/C圧に示すようにペダル11が踏み込まれる際にはペダル踏力に応じて徐々に増圧され、保持される際には所定の油圧にて維持され、その後踏み込みが解除される際にはペダル踏力に応じて徐々に減圧されて0となる。このように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、時刻t2以降においてストロークシミュレータ30内の油圧は、マスタシリンダ10内の油圧と同様に図3のシミュレータ圧において実線に示すようにペダル踏力に応じて変化する。
そして、時刻t3において、操作者によるブレーキペダル11の踏み込みが解除されると、ECU70は、ステップ116にて「YES」と判定しプログラムをステップ118に進め、ステップ118にてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を開くとともにシミュレータカット弁である電磁弁43を閉じる。
上述した説明から理解できるように、この第1の実施の形態においては、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中において電磁弁43(シミュレータカット手段)および電磁弁41(マスタシリンダカット手段)を遮断状態にした場合に、油圧計61(ストロークシミュレータ作動状態検出手段)および油圧計62(マスタシリンダ作動状態検出手段)によってそれぞれ検出されたストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の各作動状態を示す油圧を比較して、その比較結果に基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定する(ステップ108,110)。これによれば、シミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無をより確実に検出することができる。
また、ECU70がシミュレータカット手段(電磁弁43)に異常有りと判定した場合に、その旨を操作者に警告する(ステップ108〜112)ので、シミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を確実に操作者に報知することにより、液圧供給源20の異常時における車両の制動能力の信頼性を向上することができる。
また、ストロークシミュレータ作動状態検出手段としてストロークシミュレータ30内の油圧を検出するシミュレータ圧力センサとしての油圧計61を採用したので、正確かつ確実にストロークシミュレータ30の作動状態を検出することができる。また、マスタシリンダ作動状態検出手段としてマスタシリンダ10内の油圧を検出するマスタシリンダ圧力センサとしての油圧計62を採用したので、正確かつ確実にマスタシリンダ10の作動状態を検出することができる。
また、マスタシリンダ10に少なくとも2つの出力ポート10a,10bを設け、これら出力ポート10a,10bに2つの油圧路LI,L2をそれぞれ接続し、一方の油圧路L1の途中にストロークシミュレータ30を接続し、このストロークシミュレータ30にストロークシミュレータ作動状態検出手段(油圧計61)を設け、他方の油圧路L2にマスタシリンダ作動状態検出手段(油圧計62)を介装する。これによれば、一方の油圧路L1に異常(例えば漏れ)が発生した場合、ストロークシミュレータ作動状態検出手段によってその異常を検出することができ、また、他方の油圧路L2に異常(例えば漏れ)が発生した場合、マスタシリンダ作動状態検出手段によってその異常を検出することができる。
また、ECU70は、制動毎におけるブレーキペダル11の踏み込み中にシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定するので、ブレーキペダル11が踏まれる度にシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無が判定される。したがって、頻繁にシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常を判定することができるので、液圧供給源20の異常時における車両の制動能力の信頼性を向上することができる。
なお、上記第1の実施の形態において、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中においてマスタシリンダカット手段(電磁弁41)の開閉状態によらずシミュレータカット手段(電磁弁43)を遮断状態にした場合に、ストロークシミュレータ作動状態検出手段(油圧計61)およびマスタシリンダ作動状態検出手段(油圧計62)によってそれぞれ検出されたストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の各作動状態を比較して、その比較結果に基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定するようにしてもよい。これによっても、シミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を確実に検出することができる。
1−1)第1の実施の形態に係る制御の第1変形例
また、上記第1の実施の形態において、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中においてシミュレータカット手段(電磁弁43)およびマスタシリンダカット手段(電磁弁41)を遮断状態にした場合に、ストロークシミュレータ作動状態検出手段(油圧計61)およびマスタシリンダ作動状態検出手段(油圧計62)によってそれぞれ検出されたストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の各作動状態(油圧)を比較して、その比較結果に基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定したが、これに代えて、ブレーキペダル11の踏み込み中においてシミュレータカット手段(電磁弁43)およびマスタシリンダカット手段(電磁弁41)を遮断状態にした場合に、ストロークシミュレータ作動状態検出手段(油圧計61)によって検出されたストロークシミュレータの作動状態(油圧)の変化度合いに基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定するようにしてもよい。
この場合、ECU70は、図2のステップ108〜112の処理に代えて、図4のフローチャートに示すステップ150〜156の処理を実行する。具体的には、ECU70は、ステップ150において、油圧計61によってストロークシミュレータ30内の油圧を検出し(ストロークシミュレータ作動状態検出手段)、検出する度に油圧を記憶する。ステップ152において、ステップ150にて記憶された各油圧に基づいてシミュレータ30内の油圧の変化率を導出する。ステップ154において、ステップ152にて導出された変化率(変化度合い)に基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定する(異常判定手段)。このとき、マスタシリンダ10内の油圧は、ブレーキペダル11が踏まれているので図3のM/C圧に示すようにペダル踏力に応じて徐々に増圧される。またストロークシミュレータ30内の油圧は、電磁弁43に異常(例えば漏れ)がない場合には、電磁弁43は閉じられているので、図3のシミュレータ圧において実線に示すように所定時間T1経過時点(時刻t2)までは0のままである。しかし、電磁弁43に異常(例えば漏れ)がある場合には、電磁弁43を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30内の油圧はマスタシリンダ10内の油圧と同様に図3のシミュレータ圧において破線に示すように所定時間T1経過時点(時刻t2)まではペダル踏力に応じて徐々に増圧される。したがって、ECU70は、所定時間T1内において、シミュレータ30内の油圧の変化率が所定値より大きければ電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。
そして、ECU70は、ステップ154にて電磁弁43に異常があると判定した場合には、「YES」と判定しプログラムをステップ156に進め、ステップ156にて電磁弁43に異常がある旨を操作者に警告する(警告手段)。また、ステップ154にて電磁弁43に異常がないと判定した場合には、所定時間T1が経過するまでステップ150〜154の処理を繰り返し実行する。
これによれば、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中において電磁弁43(シミュレータカット手段)および電磁弁41(マスタシリンダカット手段)を遮断状態にした場合に、油圧計61(ストロークシミュレータ作動状態検出手段)によって検出されたストロークシミュレータ30の作動状態を示す油圧の変化度合いに基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定する(ステップ150〜154)。したがって、シミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を確実に検出することができる。
また、上記第1の実施の形態に係る制御の第1変形例において、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中においてマスタシリンダカット手段(電磁弁41)の開閉状態によらずシミュレータカット手段(電磁弁43)を遮断状態にした場合に、油圧計61(ストロークシミュレータ作動状態検出手段)によって検出されたストロークシミュレータ30の作動状態を示す油圧の変化度合いに基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定するようにしてもよい。これによっても、シミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を確実に検出することができる。
1−2)第1の実施の形態に係る制御の第2変形例
また、上記第1の実施の形態において、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中であって踏込当初においてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定したが、これに代えて、ブレーキペダル11の踏み込み中であって踏込途中においてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定するようにしてもよい。
この場合、ECU70は、図2のステップ104の処理に代えて、図5のフローチャートに示すステップ160〜164の処理を実行する。具体的には、ECU70は、図6に示すタイムチャートにて時刻t4に操作者によってブレーキペダル11が踏まれると、プログラムをステップ160に進め、ステップ160にてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を閉じるとともにシミュレータカット弁である電磁弁43を開く。そして、所定時間T2経過した時点(またはマスタシリンダ圧が所定圧に到達した時点)(時刻t5)にてシミュレータカット弁(電磁弁43)を閉じる(ステップ162,164)。そして、時刻t5から所定時間T3が経過するまで(またはマスタシリンダ圧が所定圧まで低下するまで)上述と同様にステップ108,110の処理を繰り返し実行する。
この場合においても、ブレーキペダル11が所定の深さまで徐々に踏み込まれ、所定の深さにて暫く保持され、その後ブレーキペダル11の踏み込みが徐々に解除される場合にあっては、マスタシリンダ10内の油圧は図6のM/C圧に示すようにペダル11が踏み込まれる際にはペダル踏力に応じて徐々に増圧され、保持される際には所定の油圧にて維持され、その後踏み込みが解除される際にはペダル踏力に応じて徐々に減圧されて0となる。このように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30内の油圧は、時刻t4〜t5においてはシミュレータカット弁が開かれているのでマスタシリンダ10内の油圧と同一となり、時刻t5〜t6においてはシミュレータカット弁が閉じられているので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図6のシミュレータ圧において実線に示すようにシミュレータカット弁を閉じた時点の油圧のままであり、時刻t6〜t7においてはシミュレータカット弁が再び開かれているのでマスタシリンダ10内の油圧と同一となる。
しかし、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット弁を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30内の油圧はマスタシリンダ10内の油圧と同様に図6のシミュレータ圧において破線に示すように所定時間T3の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、所定時間T3内すなわちブレーキペダル11の踏み込み中であって踏込途中において、マスタシリンダ10内およびストロークシミュレータ30内の両油圧が同じであれば電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。そして、時刻t7において、操作者によるブレーキペダル11の踏み込みが解除されると、ステップ118にてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を開くとともにシミュレータカット弁である電磁弁43を閉じる。
したがって、第1の実施の形態に係る制御の第2変形例によれば、上述した第1の実施の形態と同様な作用・効果を得ることができる。なお、本第2変形例に上述した第1変形例を適用することは可能である。
1−3)第1の実施の形態に係る制御の第3変形例
また、上記第1の実施の形態において、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中であって踏込当初においてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定したが、これに代えて、ブレーキペダル11の踏み込み解除直前においてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定するようにしてもよい。
この場合、ECU70は、図2のステップ104の処理に代えて図7のフローチャートに示すステップ170〜174の処理を実行し、図2のステップ106の処理に代えて図7のステップ176の処理を実行し、図2のステップ114〜118の処理に代えて図7のステップ178〜182の処理を実行する。具体的には、ECU70は、図8に示すタイムチャートにて時刻t8に操作者によってブレーキペダル11が踏まれると、プログラムをステップ170に進め、ステップ170にてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を閉じるとともにシミュレータカット弁である電磁弁43を開く。そして、マスタシリンダ10内の油圧を油圧計62によって検出しその油圧が減少中であって所定値以下となった時点(時刻t9)にてシミュレータカット弁(電磁弁43)を閉じる(ステップ172,174)。そして、ブレーキペダル11の踏み込みが解除される時点(時刻t10)まで上述と同様にステップ108,110の処理を繰り返し実行する。なお、所定値はブレーキペダル11の踏み込みが解除されるまでの時間を考慮して決定されるものであり、時刻t9〜t10の時間があまり長くならない程度に設定される。
この場合においても、ブレーキペダル11が所定の深さまで徐々に踏み込まれ、所定の深さにて暫く保持され、その後ブレーキペダル11の踏み込みが徐々に解除される場合にあっては、マスタシリンダ10内の油圧は図8のM/C圧に示すようにペダル11が踏み込まれる際にはペダル踏力に応じて徐々に増圧され、保持される際には所定の油圧にて維持され、その後踏み込みが解除される際にはペダル踏力に応じて徐々に減圧されて0となる。このように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30内の油圧は、時刻t8〜t9においてはシミュレータカット弁が開かれているのでマスタシリンダ10内の油圧と同一となり、時刻t9〜t10においてはシミュレータカット弁が閉じられているので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図8のシミュレータ圧において実線に示すようにシミュレータカット弁を閉じた時点の油圧のままである。
しかし、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット弁を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30からマスタシリンダ10に流入するので、ストロークシミュレータ30内の油圧はマスタシリンダ10内の油圧と同様に図8のシミュレータ圧において破線に示すように時刻t9からt10の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、時刻t9からt10の間すなわちブレーキペダル11の踏み込み中であって踏込解除直前において、マスタシリンダ10内およびストロークシミュレータ30内の両油圧が同じであれば電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。そして、時刻t10において、操作者によるブレーキペダル11の踏み込みが解除されると、ステップ178においてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を開くとともにシミュレータカット弁(電磁弁43)を開く。そして所定時間T4が経過した時点でシミュレータカット弁を閉じる(ステップ180,182)。
したがって、第1の実施の形態に係る制御の第3変形例によっても、上述した第1の実施の形態と同様な作用・効果を得ることができる。なお、本第3変形例に上述した第1変形例を適用することは可能である。
1−4)第1の実施の形態に係る制御の第4変形例
また、上記第1の実施の形態において、ECU70は、ブレーキペダル11の踏み込み中の一部分においてシミュレータカット手段およびマスタシリンダカット手段をそれぞれ遮断状態とした場合にシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定したが、これに代えて、ブレーキペダル11の踏み込み中全般においてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定するようにしてもよい。
この場合、ECU70は、図9のフローチャートに沿って制御を実行する。ECU70は、図示しない車両のイグニションスイッチがオン状態にあるとき、上記フローチャートに対応したプログラムを実行する。ECU70は、図9のステップ200にてプログラムの実行を開始する毎に、ステップ202にて、シミュレータカット弁(電磁弁43)を閉じる(閉状態を維持する)とともにマスタシリンダカット弁(電磁弁41,42)を開く(開状態を維持する)。そして、図10に示すタイムチャートにて時刻t11に操作者によってブレーキペダル11が踏まれるまで図2のステップ102と同様にステップ204の処理を繰り返し実行する。ブレーキペダル11が踏まれると、ステップ206にて図2のステップ106と同様の処理を行ってその時点(時刻t11)から所定時間T5が経過する時点(時刻t12)まで図2のステップ108,110と同様にステップ208,210の処理を繰り返し実行してステップ208にて検出されたストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の各油圧を比較して、その比較結果に基づいて電磁弁43の異常の有無を判定する。ECU70は電磁弁43に異常があると判定するとステップ212にて図2のステップ112と同様に警告を発する。そして、所定時間T5が経過した時点(時刻t12)にてマスタシリンダカット弁(電磁弁41,42)を閉じる(ステップ214)。
そして、時刻t12からブレーキペダル11の踏み込みが解除される時点(時刻t13)までステップ218〜222の処理を繰り返し実行する。ステップ218において、ペダルストロークセンサ11aによってブレーキペダル11のストロークを検出し、検出する度にストロークを記憶する。ステップ220において、ステップ218にて記憶された各ストロークに基づいてブレーキペダル11のペダルストロークの変化率を導出する。ステップ222において、ステップ220にて導出された変化率(変化度合い)に基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定する(異常判定手段)。ECU70は電磁弁43に異常があると判定するとステップ224にて図2のステップ112と同様に警告を発する。そして、時刻t13にてマスタシリンダカット弁(電磁弁41,42)を開く(ステップ226)。
この場合においても、ブレーキペダル11が所定の深さまで徐々に踏み込まれ、所定の深さにて暫く保持され、その後ブレーキペダル11の踏み込みが徐々に解除される場合にあっては、マスタシリンダ10内の油圧は図10のM/C圧に示すようにペダル11が踏み込まれる際にはペダル踏力に応じて徐々に増圧され、保持される際には所定の油圧にて維持され、その後踏み込みが解除される際にはペダル踏力に応じて徐々に減圧されて0となる。このように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30内の油圧は、時刻t11〜t13においてはシミュレータカット弁が閉じられたままであるので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図10のシミュレータ圧において実線に示すように0のままである。また、ペダルストロークは、時刻t11〜t12においては、マスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)が開かれているので、ペダル踏力に応じて増加し、時刻t12〜t13においては、マスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)が閉じられてマスタシリンダ10からの油圧はストロークシミュレータ30および各ホイールシリンダWC1,WC2に流入しないので、ブレーキペダル11の移動が規制されマスタシリンダカット手段が閉じられた時点のままである。
しかし、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット弁を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30内の油圧はマスタシリンダ10内の油圧と同様に図10のシミュレータ圧において破線に示すように時刻t11からt13の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、時刻t11からt12の間すなわちブレーキペダル11の踏み込み中においてシミュレータカット手段の遮断状態を維持するとともにマスタシリンダカット手段を連通状態とした場合において、マスタシリンダ10内およびストロークシミュレータ30内の両油圧が同じであれば電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。
なお、上述した第1の実施の形態に係る制御の第4変形例において、時刻t11からt12の間において上述した第1変形例と同様にシミュレータ圧を検出してその変化率を導出し、変化率が所定値より大きければシミュレータカット手段に異常があると判定し、そうでなければシミュレータカット手段に異常がないと判定するようにしてもよい。また、ブレーキペダル11のストロークを検出してその変化率を導出し、変化率がマスタシリンダ圧の変化率に対して所定範囲内になければシミュレータカット手段に異常があると判定し、そうでなければシミュレータカット手段に異常がないと判定するようにしてもよい。
また、上述した第1の実施の形態に係る制御の第4変形例において、時刻t12からt13の間においては、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、ブレーキペダル11が移動されるので、ペダルストロークは図10のペダルストロークにおいて破線に示すようにペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、時刻t12からt13の間において、ペダルストロークがマスタシリンダカット弁が閉じられた時点(時刻)の値を維持しなければすなわちペダルストロークの変化率が所定値より大きくなれば異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。そして、時刻t13において、操作者によるブレーキペダル11の踏み込みが解除されると、ステップ226においてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を開く。
したがって、第1の実施の形態に係る制御の第4変形例によれば、ブレーキペダル11の踏み込み中であればその全般に渡ってシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を確実に検出することができる。
2)第2の実施の形態
以下、本発明による車両用制動装置の第2の実施の形態について図11を参照して説明する。図11はこの車両用制動装置Aの概要を示す概要図である。第1の実施の形態と同一の構成部分については同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
上述した第1の実施の形態においては、別々の油圧路L1,L2にそれぞれストロークシミュレータ作動状態検出手段である油圧計61およびマスタシリンダ作動状態検出手段である油圧計62を設けるようにしたが、同一の油圧路L1(または油圧路L2)にストロークシミュレータ作動状態検出手段である油圧計61およびマスタシリンダ作動状態検出手段である油圧計62を設けるようにしてもよい。この場合、油圧計62は、油圧路L1上であってマスタシリンダ10と電磁弁41との間に介装されている。このように構成された車両用制動装置Aにおいては、上述した各制御が実行される。
上述した第2の実施の形態によれば、同一油圧路L1に設けたストロークシミュレータ作動状態検出手段およびマスタシリンダ作動状態検出手段の検出結果に基づいてシミュレータカット手段の異常の有無を判定するので、その判定精度を向上させ、また判定時間を短縮することができる。
3)第3の実施の形態
以下、本発明による車両用制動装置の第3の実施の形態について図12を参照して説明する。図12はこの車両用制動装置Aの概要を示す概要図である。第1の実施の形態と同一の構成部分については同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
上述した第1の実施の形態においては、ストロークシミュレータ作動状態検出手段として油圧計61を採用したが、これに代えて、ストロークシミュレータ30のストロークを検出するシミュレータストロークセンサ68を採用するようにしてもよい。シミュレータストロークセンサ68は、例えばストロークシミュレータ30のピストン31に連結されるものであり、ピストン31のストローク(ストロークシミュレータ30のストローク)を検出するものである。
このように構成された車両用制動装置Aにおいても、上述したようにブレーキの踏込当初(図3参照)、踏込途中(図6参照)、踏込解除直前(図8参照)および踏込全般(図10)の範囲においてシミュレータカット手段の異常の有無を判定することができる。以下各範囲における制御方法を詳述する。
まず踏込当初において異常の有無を判定する場合には、ECU70は、図2のステップ108〜112の処理に代えて、図13のフローチャートに示すステップ240〜246の処理を実行する。具体的には、ECU70は、ステップ240において、シミュレータストロークセンサ68によってストロークシミュレータ30のストロークを検出し(ストロークシミュレータ作動状態検出手段)、検出する度にストロークを記憶する。ステップ242において、ステップ240にて記憶された各ストロークに基づいてシミュレータ30のストロークの変化率を導出する。ステップ244において、ステップ242にて導出された変化率(変化度合い)に基づいてシミュレータカット手段(電磁弁43)の異常の有無を判定する(異常判定手段)。なお、ペダルストロークセンサ11aによってブレーキペダル11のストロークを検出し、このストロークの変化率に基づいてシミュレータカット手段の異常の有無を判定するようにしてもよい。また、検出されたブレーキペダル11のストロークおよびストロークシミュレータ30のストロークはマスタシリンダ10およびストロークシミュレータ30の作動状態をそれぞれ示すものである。
この場合においても、ブレーキペダル11が所定の深さまで徐々に踏み込まれ、所定の深さにて暫く保持され、その後ブレーキペダル11の踏み込みが徐々に解除される場合にあっては、マスタシリンダ10内の油圧は図3のM/C圧に示すようにペダル11が踏み込まれる際にはペダル踏力に応じて徐々に増圧され、保持される際には所定の油圧にて維持され、その後踏み込みが解除される際にはペダル踏力に応じて徐々に減圧されて0となる。このように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30のストロークは、時刻t1〜t2においてはマスタシリンダカット弁およびシミュレータカット弁が閉じられているので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図3のシミュレータのストロークにおいて実線に示すように0のままであり、時刻t2〜t3においてはシミュレータカット弁が開かれてマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30が連通するので、ペダル踏力に応じて変化する。また、ペダルストロークは、時刻t1〜t2においてはマスタシリンダカット弁およびシミュレータカット弁が閉じられているので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図3のペダルストロークにおいて実線に示すように0のままであり、時刻t2〜t3においてはシミュレータカット弁が開かれてマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30が連通するので、ペダル踏力に応じて変化する。
しかし、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット弁を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30のストロークは図3のシミュレータのストロークにおいて破線に示すように時刻t1からt2の間においてはペダル踏力に応じて変化する。また、ブレーキペダル11のストロークは図3のペダルストロークにおいて破線に示すように時刻t1からt2の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、所定時間T1内において、シミュレータ30のストローク(またはブレーキペダル11のストローク)の変化率が所定値より大きければ電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。
次に踏込途中において異常の有無を判定する場合には、前述した踏込当初の異常の有無の判定と同様に、ECU70は、図5のステップ108〜112の処理に代えて、図13のフローチャートに示すステップ240〜246の処理を実行する。この場合においても、図6に示すように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30のストロークは、時刻t4〜t5においてはシミュレータカット弁が開かれマスタシリンダカット弁が閉じられているのでペダル踏力に応じて変化し、時刻t5〜t6においてはシミュレータカット弁およびマスタシリンダカット弁が閉じられているので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図6のシミュレータのストロークにおいて実線に示すようにシミュレータカット弁を閉じた時点のストロークのままであり、時刻t6〜t7においてはシミュレータカット弁が再び開かれているのでペダル踏力に応じて変化する。また、ペダルストロークは、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、シミュレータのストロークと同様に図6に示すように変化する。
しかし、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット弁を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30のストロークは図6のシミュレータのストロークにおいて破線に示すように時刻t5からt6の間においてはペダル踏力に応じて変化する。また、ブレーキペダル11のペダルストロークは図6のペダルストロークにおいて破線に示すように時刻t5からt6の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、所定時間T3内において、シミュレータ30のストローク(またはブレーキペダル11のストローク)の変化率が所定値より大きければ(または各ストロークが変化すれば)電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。
さらに踏込解除直前において異常の有無を判定する場合には、上述した踏込当初の異常の有無の判定と同様に、ECU70は、図7のステップ108〜112の処理に代えて、図13のフローチャートに示すステップ240〜246の処理を実行する。この場合においても、図8に示すように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30のストロークは、時刻t8〜t9においてはシミュレータカット弁が開かれマスタシリンダカット弁が閉じられているのでペダル踏力に応じて変化し、時刻t9〜t10においてはシミュレータカット弁およびマスタシリンダカット弁が閉じられているので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図8のシミュレータのストロークにおいて実線に示すようにシミュレータカット弁を閉じた時点のストロークのままである。また、ペダルストロークは、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、シミュレータのストロークと同様に図8に示すように変化する。
しかし、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット弁を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30からマスタシリンダ10に流入するので、ストロークシミュレータ30のストロークは図8のシミュレータのストロークにおいて破線に示すように時刻t9からt10の間においてはペダル踏力に応じて変化する。また、ブレーキペダル11のペダルストロークは図8のペダルストロークにおいて破線に示すように時刻t9からt10の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、時刻t9からt10内において、シミュレータ30のストローク(またはブレーキペダル11のストローク)の変化率が所定値より大きければ(または各ストロークが変化すれば)電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。
さらに踏込中全般において異常の有無を判定する場合には、上述した踏込当初の異常の有無の判定と同様に、ECU70は、図9のステップ208〜212およびステップ218〜224の処理に代えて、図13のフローチャートに示すステップ240〜246の処理を実行する。この場合においても、図10に示すように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30のストロークは、時刻t11〜t13においてはシミュレータカット弁が閉じられたままであるので、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がない場合には、図10のシミュレータのストロークにおいて実線に示すように0のままである。また、ペダルストロークは、時刻t11〜t12においては、マスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)が開かれているので、ペダル踏力に応じて増加し、時刻t12〜t13においては、マスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)が閉じられてマスタシリンダ10からの油圧はストロークシミュレータ30および各ホイールシリンダWC1,WC2に流入しないので、ブレーキペダル11の移動が規制されマスタシリンダカット手段が閉じられた時点のストロークのままである。
しかし、シミュレータカット弁に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット弁を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30のストロークは図10のシミュレータのストロークにおいて破線に示すように時刻t11からt13の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、時刻t11からt13内において、シミュレータ30のストロークの変化率が所定値より大きければ(またはストロークが変化すれば)電磁弁43に異常があると判定し、そうでなければ電磁弁43に異常がないと判定する。
上述した第3の実施の形態によれば、シミュレータストロークセンサ68によって正確かつ確実にストロークシミュレータ30の作動状態を検出するのに加えて、さらにストロークシミュレータ30の動きを直接検出して即時にストロークシミュレータ30の作動状態を検出することができるので、検出結果に基づいて迅速に対処することができる。また、ペダルストロークセンサ11aによって正確かつ確実にマスタシリンダ10の作動状態を検出するのに加えて、さらにマスタシリンダ10の動きを直接検出して即時にマスタシリンダ10の作動状態を検出することができるので、検出結果に基づいて迅速に対処することができる。
なお、本第3の実施の形態においては、上述した第2の実施の形態と同様に同一油圧路L1に油圧計62を設けるようにしてもよい。これによれば、上述した第2の実施の形態と同様の作用・効果を得ることができる。
4)第4の実施の形態
以下、本発明による車両用制動装置の第4の実施の形態について図14を参照して説明する。図14はこの車両用制動装置Aの概要を示す概要図である。第1の実施の形態と同一の構成部分については同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
上述した第1の実施の形態においては、シミュレータカット手段を電磁弁43にて構成するようにしたが、これに代えて、メカ式のシミュレータカット機構80にて構成するようにしてもよい。シミュレータカット機構80は、特表2001−526150号公報に詳述されているように、マスタシリンダ10に設けられている。このシミュレータカット機構80は、マスタシリンダ10とホイールシリンダWC1,WC2とが連通状態である場合にブレーキペダル11を踏まないときにマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30との間を連通状態に切り換え、ブレーキペダル11を踏み込んだときにマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30との間を遮断状態に切り換え、またマスタシリンダ10とホイールシリンダWC1,WC2とが遮断状態である場合にその遮断したときのマスタシリンダ10とストロークシミュレータ30との間の連通状態または遮断状態を維持するものである。なお、シミュレータカット機構80とストロークシミュレータ30との間には、ストロークシミュレータ作動状態検出手段である油圧計61が設けられている。また、油圧路L1にマスタシリンダ作動状態検出手段である油圧計62が設けられている。
このように構成された車両用制動装置Aにおいては、ECU70は、ブレーキペダル11の踏込開始時点より所定時間だけ遅らせてマスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)を連通状態から遮断状態に切り換えて、シミュレータカット手段(シミュレータカット機構80)の異常の有無を判定する。具体的には、ECU70は、図15のフローチャートに沿って制御を実行する。ECU70は、図示しない車両のイグニションスイッチがオン状態にあるとき、上記フローチャートに対応したプログラムを実行する。ECU70は、図15のステップ300にてプログラムの実行を開始する毎に、図16に示すタイムチャートにて時刻t14に操作者によってブレーキペダル11が踏まれるまで図2のステップ102と同様にステップ302の処理を繰り返し実行する。ブレーキペダル11が踏まれると、ステップ304にて図2のステップ106と同様の処理を行ってその時点(時刻t14)から所定時間T6が経過する時点(時刻t15)まで図2のステップ108,110と同様にステップ306,308の処理を繰り返し実行してステップ306にて検出されたストロークシミュレータ30およびマスタシリンダ10の各油圧を比較して、その比較結果に基づいてシミュレータカット機構80の異常の有無を判定する。ECU70はシミュレータカット機構80に異常があると判定するとステップ310にて図2のステップ112と同様に警告を発する。そして、所定時間T6が経過した時点(時刻t15)にてマスタシリンダカット弁(電磁弁41,42)を閉じる(ステップ312)。これにより、所定時間T6においてはマスタシリンダカット弁の開状態により、ブレーキペダル11の踏み込みによりマスタシリンダ10内の油圧が上昇されてシミュレータカット機構80は開状態から閉状態となる。また、時刻t15以降にあってはマスタシリンダカット弁が閉じられるので、シミュレータカット機構80はその時点の状態すなわち閉状態が維持され、マスタシリンダカット弁が再び開かれるまで閉状態が維持される。
そして、時刻t15からブレーキペダル11の踏み込みが解除される時点(時刻t16)までステップ316〜320の処理を繰り返し実行する。ステップ316においては、図9のステップ218と同様にブレーキペダル11のストロークを検出し、検出する度にストロークを記憶する。ステップ318において、図9のステップ220と同様にステップ316にて記憶された各ストロークに基づいてブレーキペダル11のペダルストロークの変化率を導出する。ステップ320において、図9のステップ222と同様にステップ318にて導出された変化率(変化度合い)に基づいてシミュレータカット手段(シミュレータカット機構80)の異常の有無を判定する(異常判定手段)。ECU70はシミュレータカット機構80に異常があると判定するとステップ324にて図2のステップ112と同様に警告を発する。そして、時刻t16にてマスタシリンダカット弁(電磁弁41,42)を開く(ステップ326)。
この場合においても、ブレーキペダル11が所定の深さまで徐々に踏み込まれ、所定の深さにて暫く保持され、その後ブレーキペダル11の踏み込みが徐々に解除される場合にあっては、マスタシリンダ10内の油圧は図16のM/C圧に示すようにペダル11が踏み込まれる際にはペダル踏力に応じて徐々に増圧され、保持される際には所定の油圧にて維持され、その後踏み込みが解除される際にはペダル踏力に応じて徐々に減圧されて0となる。このように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30内の油圧は、時刻t14〜t16においてはシミュレータカット機構80が閉じられたままであるので、シミュレータカット機構80に異常(例えば漏れ)がない場合には、図16のシミュレータ圧において実線に示すように0のままである。また、ペダルストロークは、時刻t14〜t15においては、マスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)が開かれているので、ペダル踏力に応じて増加し、時刻t15〜t16においては、マスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)が閉じられてマスタシリンダ10からの油圧はストロークシミュレータ30および各ホイールシリンダWC1,WC2に流入しないので、ブレーキペダル11の移動が規制されマスタシリンダカット手段が閉じられた時点のままである。
しかし、シミュレータカット機構80に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット機構80を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30内の油圧はマスタシリンダ10内の油圧と同様に図16のシミュレータ圧において破線に示すように時刻t14からt16の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、時刻t14からt16の間において、マスタシリンダ10内およびストロークシミュレータ30内の両油圧が同じであればシミュレータカット機構80に異常があると判定し、そうでなければシミュレータカット機構80に異常がないと判定する。また、時刻t14から時刻t15の間において、ペダルストロークの変化率がマスタシリンダ圧の変化率に対して所定範囲内になければシミュレータカット機構80に異常があると判定し、そうでなければシミュレータカット機構80に異常がないと判定し、時刻t15から時刻t16の間において、ペダルストロークの変化率が所定値より大きければシミュレータカット機構80に異常があると判定し、そうでなければシミュレータカット機構80に異常がないと判定してもよい。そして、時刻t16において、操作者によるブレーキペダル11の踏み込みが解除されると、ステップ326においてマスタシリンダカット弁である電磁弁41,42を開く。
上述した第4の実施の形態によれば、ブレーキペダル11の踏込開始時点より所定時間T6だけ遅らせてマスタシリンダカット手段(電磁弁41,42)を連通状態から遮断状態に切り換えることにより、ブレーキペダル11の踏み込み中においてシミュレータカット機構80を閉状態とすることができるので、シミュレータカット手段がメカ式のシミュレータカット機構80にて構成されている場合であっても、その異常の有無を確実に検出することができる。
5)第5の実施の形態
以下、本発明による車両用制動装置の第5の実施の形態について図17を参照して説明する。図17はこの車両用制動装置Aの概要を示す概要図である。第4の実施の形態と同一の構成部分については同一符号を付してその説明を省略し、異なる部分について説明する。
上述した第4の実施の形態においては、ストロークシミュレータ作動状態検出手段として油圧計61を採用したが、これに代えて、上記第3の実施の形態と同様にストロークシミュレータ30のストロークを検出するシミュレータストロークセンサ68を採用するようにしてもよい。このように構成された車両用制動装置Aにおいては、上述した各制御が実行される。具体的には、ECU70は、図15のステップ306〜310の処理に代えて、図13のフローチャートに示すステップ240〜246の処理を実行する。
この場合においても、ブレーキペダル11が所定の深さまで徐々に踏み込まれ、所定の深さにて暫く保持され、その後ブレーキペダル11の踏み込みが徐々に解除される場合にあっては、マスタシリンダ10内の油圧は図16のM/C圧に示すようにペダル11が踏み込まれる際にはペダル踏力に応じて徐々に増圧され、保持される際には所定の油圧にて維持され、その後踏み込みが解除される際にはペダル踏力に応じて徐々に減圧されて0となる。このように変化するマスタシリンダ10内の油圧に対して、ストロークシミュレータ30のストロークは、時刻t14〜t16においてはシミュレータカット機構80が閉じられたままであるので、シミュレータカット機構80に異常(例えば漏れ)がない場合には、図16のシミュレータのストロークにおいて実線に示すように0のままである。
しかし、シミュレータカット機構80に異常(例えば漏れ)がある場合には、シミュレータカット機構80を通ってブレーキ油がストロークシミュレータ30に流入するので、ストロークシミュレータ30のストロークはマスタシリンダ10内の油圧と同様に図16のシミュレータのストロークにおいて破線に示すように時刻t14からt16の間においてはペダル踏力に応じて変化する。したがって、ECU70は、時刻t14からt16の間において、ストロークシミュレータ30のストロークの変化率が所定値より大きければシミュレータカット機構80に異常があると判定し、そうでなければシミュレータカット機構80に異常がないと判定する。
上述した第5の実施の形態によれば、シミュレータストロークセンサ68によって正確かつ確実にストロークシミュレータ30の作動状態を検出するのに加えて、さらにストロークシミュレータ30の動きを直接検出して即時にストロークシミュレータ30の作動状態を検出することができるので、検出結果に基づいて迅速に対処することができる。また、ペダルストロークセンサ11aによって正確かつ確実にマスタシリンダ10の作動状態を検出するのに加えて、さらにマスタシリンダ10の動きを直接検出して即時にマスタシリンダ10の作動状態を検出することができるので、検出結果に基づいて迅速に対処することができる。
なお、上述した各実施の形態においては、マスタシリンダ作動状態検出手段としてブレーキペダル11に対する踏力を検出する踏力センサを採用するようにしてもよい。これによっても、正確かつ確実にマスタシリンダ10の作動状態を検出することができる。
また、上述した各実施の形態においては、ECU70は、初回制動におけるブレーキペダル11の踏み込み時にシミュレータカット手段の異常の有無を判定するようにしてもよい。これによれば、車両のイグニッションスイッチがオンされた後であって始めてブレーキペダル11が踏まれたときにシミュレータカット手段の異常の有無が判定される。したがって、車両始動時の早い時期にシミュレータカット手段の異常を判定することができるので、液圧供給源20の異常時における車両の制動能力の信頼性を向上することができる。
本発明による車両用制動装置の第1の実施の形態の概要を示す図である。 図1に示すECUにて実行される制御プログラムのフローチャートである。 本発明による車両用制動装置の第1の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。 図1に示すECUにて実行される制御プログラムの第1変形例のフローチャートである。 図1に示すECUにて実行される制御プログラムの第2変形例のフローチャートである。 本発明による車両用制動装置の第1の実施の形態の第2変形例による動作を示すタイムチャートである。 図1に示すECUにて実行される制御プログラムの第3変形例のフローチャートである。 本発明による車両用制動装置の第1の実施の形態の第3変形例による動作を示すタイムチャートである。 図1に示すECUにて実行される制御プログラムの第4変形例のフローチャートである。 本発明による車両用制動装置の第1の実施の形態の第4変形例による動作を示すタイムチャートである。 本発明による車両用制動装置の第2の実施の形態の概要を示す図である。 本発明による車両用制動装置の第3の実施の形態の概要を示す図である。 図12に示すECUにて実行される制御プログラムのフローチャートである。 本発明による車両用制動装置の第4の実施の形態の概要を示す図である。 図14に示すECUにて実行される制御プログラムのフローチャートである。 本発明による車両用制動装置の第4の実施の形態の動作を示すタイムチャートである。 本発明による車両用制動装置の第5の実施の形態の概要を示す図である。
符号の説明
10…マスタシリンダ、10a…第1出力ポート、10b…第2出力ポート、11…ブレーキペダル、11a…ペダルストロークセンサ、12…リザーバタンク、12a…入力ポート、20…液圧供給源、21…電動モータ、22…ポンプ、22a…吸入ポート、22b…吐出ポート、23…アキュムレータ、24…リリーフ弁、30…ストロークシミュレータ、30a…入力ポート、30b…出力ポート、31…ピストン、32…第1油圧室、33…第2油圧室、34…スプリング、41〜43,45〜48,51〜54…電磁弁、61〜67…油圧計、68…シミュレータストロークセンサ、70…ECU、80…シミュレータカット機構、A…車両用制動装置、WC1〜WC4…ホイールシリンダ。

Claims (13)

  1. ブレーキペダルの踏込状態に応じた液圧を生成するマスタシリンダと、
    該マスタシリンダに連通されて前記ブレーキペダルの踏込状態に応じたブレーキペダルストロークを発生させるストロークシミュレータと、
    前記マスタシリンダとストロークシミュレータとの間に設けられて両部材を連通または遮断するシミュレータカット手段とを備えた車両用制動装置において、
    前記ストロークシミュレータの作動状態を検出するストロークシミュレータ作動状態検出手段と、
    前記マスタシリンダの作動状態を検出するマスタシリンダ作動状態検出手段と、
    前記ブレーキペダルの踏み込み中に前記シミュレータカット手段を遮断状態にした場合に、前記両作動状態検出手段によってそれぞれ検出されたストロークシミュレータおよびマスタシリンダの各作動状態の前記シミュレータカット手段遮断時からの変化を比較して、その比較結果に基づいて前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定する異常判定手段と、を備えたことを特徴とする車両用制動装置。
  2. 請求項1において、前記ストロークシミュレータ作動状態検出手段として、前記ストロークシミュレータ内の油圧を検出するシミュレータ圧力センサ、および前記ストロークシミュレータのストロークを検出するシミュレータストロークセンサの少なくともいずれか一つを採用したことを特徴とする車両用制動装置。
  3. 請求項1において、前記マスタシリンダ作動状態検出手段として、前記マスタシリンダ内の油圧を検出するマスタシリンダ圧力センサ、前記ブレーキペダルのストロークを検出するブレーキペダルストロークセンサ、および前記ブレーキペダルに対する踏力を検出する踏力センサの少なくともいずれか一つを採用したことを特徴とする車両用制動装置。
  4. 請求項1において、前記マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとの間に設けられて両部材を連通または遮断するマスタシリンダカット手段をさらに備え、
    このマスタシリンダカット手段を遮断状態とし、前記シミュレータカット手段を遮断状態としたときに、前記異常判定手段は前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定することを特徴とする車両用制動装置。
  5. 請求項1において、前記マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとの間に設けられて両部材を連通または遮断するマスタシリンダカット手段をさらに備え、
    このマスタシリンダカット手段を連通状態とし、前記シミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、前記異常判定手段は前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定することを特徴とする車両用制動装置。
  6. 請求項1において、前記マスタシリンダに少なくとも2つの出力ポートを設け、これら出力ポートに2つの油圧路をそれぞれ接続し、一方の油圧路の途中に前記ストロークシミュレータを接続し、該ストロークシミュレータに前記ストロークシミュレータ作動状態検出手段を設け、他方の油圧路に前記マスタシリンダ作動状態検出手段を介装したことを特徴とする車両用制動装置。
  7. 請求項1において、前記マスタシリンダに少なくとも1つの出力ポートを設け、この出力ポートのうちの一つの出力ポートに油圧路を接続し、該油圧路の途中に前記ストロークシミュレータを接続し、該ストロークシミュレータに前記ストロークシミュレータ作動状態検出手段を設けるとともに、前記油圧路に前記マスタシリンダ作動状態検出手段を介装したことを特徴とする車両用制動装置。
  8. 請求項1において、前記シミュレータカット手段をメカ式のシミュレータカット機構により構成し、
    該シミュレータカット機構は、前記マスタシリンダと車両の各車輪の回転をそれぞれ規制するブレーキのホイールシリンダとが連通状態である場合に、前記ブレーキペダルを踏まないときに前記マスタシリンダとストロークシミュレータとの間を連通状態に切り換え、前記ブレーキペダルを踏み込んだときに前記マスタシリンダとストロークシミュレータとの間を遮断状態に切り換え、
    また前記マスタシリンダとホイールシリンダとが遮断状態である場合に、その遮断したときの前記マスタシリンダとストロークシミュレータとの間の連通状態または遮断状態を維持するものであり、
    前記異常判定手段は、前記ブレーキペダルの踏込開始時点より所定時間だけ遅らせて前記マスタシリンダとホイールシリンダとの間を連通状態から遮断状態に切り換えて、前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定することを特徴とする車両用制動装置。
  9. 請求項1から請求項7の何れか一項において、前記異常判定手段は、初回制動における前記ブレーキペダルの踏み込み時に前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定することを特徴とする車両用制動装置。
  10. 請求項1から請求項7の何れか一項において、前記異常判定手段は、制動毎における前記ブレーキペダルの踏み込み中に前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定することを特徴とする車両用制動装置。
  11. 請求項1において、前記異常判定手段は、制動毎における前記ブレーキペダルの踏み込み中であって踏込当初の所定期間または踏み込み解除直前の所定期間において前記シミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定することを特徴とする車両用制動装置。
  12. 請求項1において、前記異常判定手段は、制動毎における前記ブレーキペダルの踏み込み中であって踏込途中にその踏み込み深さが所定の深さ以上となったときに前記シミュレータカット手段を遮断状態とした状態で、前記シミュレータカット手段の異常の有無を判定することを特徴とする車両用制動装置。
  13. 請求項1から請求項12の何れか一項において、前記異常判定手段が前記シミュレータカット手段に異常有りと判定した場合に、その旨を操作者に警告する警告手段をさらに備えたことを特徴とする車両用制動装置。
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