JP5404396B2 - 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物 - Google Patents

熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物 Download PDF

Info

Publication number
JP5404396B2
JP5404396B2 JP2009523651A JP2009523651A JP5404396B2 JP 5404396 B2 JP5404396 B2 JP 5404396B2 JP 2009523651 A JP2009523651 A JP 2009523651A JP 2009523651 A JP2009523651 A JP 2009523651A JP 5404396 B2 JP5404396 B2 JP 5404396B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
component
polyoxymethylene
spinning
heat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009523651A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2009011346A1 (ja
Inventor
義治 薄井
宏二 永井
彰彦 川中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DaiwaboPolytecCo.,Ltd.
Daiwabo Holdings Co Ltd
Original Assignee
DaiwaboPolytecCo.,Ltd.
Daiwabo Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DaiwaboPolytecCo.,Ltd., Daiwabo Holdings Co Ltd filed Critical DaiwaboPolytecCo.,Ltd.
Priority to JP2009523651A priority Critical patent/JP5404396B2/ja
Publication of JPWO2009011346A1 publication Critical patent/JPWO2009011346A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5404396B2 publication Critical patent/JP5404396B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F8/00Conjugated, i.e. bi- or multicomponent, artificial filaments or the like; Manufacture thereof
    • D01F8/04Conjugated, i.e. bi- or multicomponent, artificial filaments or the like; Manufacture thereof from synthetic polymers
    • D01F8/16Conjugated, i.e. bi- or multicomponent, artificial filaments or the like; Manufacture thereof from synthetic polymers with at least one other macromolecular compound obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds as constituent
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09JADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
    • C09J159/00Adhesives based on polyacetals; Adhesives based on derivatives of polyacetals
    • C09J159/02Polyacetals containing polyoxymethylene sequences only
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01DMECHANICAL METHODS OR APPARATUS IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS
    • D01D10/00Physical treatment of artificial filaments or the like during manufacture, i.e. during a continuous production process before the filaments have been collected
    • D01D10/02Heat treatment
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01DMECHANICAL METHODS OR APPARATUS IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS
    • D01D5/00Formation of filaments, threads, or the like
    • D01D5/12Stretch-spinning methods
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01DMECHANICAL METHODS OR APPARATUS IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS
    • D01D5/00Formation of filaments, threads, or the like
    • D01D5/28Formation of filaments, threads, or the like while mixing different spinning solutions or melts during the spinning operation; Spinnerette packs therefor
    • D01D5/30Conjugate filaments; Spinnerette packs therefor
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T428/00Stock material or miscellaneous articles
    • Y10T428/29Coated or structually defined flake, particle, cell, strand, strand portion, rod, filament, macroscopic fiber or mass thereof
    • Y10T428/2913Rod, strand, filament or fiber
    • Y10T428/2929Bicomponent, conjugate, composite or collateral fibers or filaments [i.e., coextruded sheath-core or side-by-side type]
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T442/00Fabric [woven, knitted, or nonwoven textile or cloth, etc.]
    • Y10T442/60Nonwoven fabric [i.e., nonwoven strand or fiber material]
    • Y10T442/637Including strand or fiber material which is a monofilament composed of two or more polymeric materials in physically distinct relationship [e.g., sheath-core, side-by-side, islands-in-sea, fibrils-in-matrix, etc.] or composed of physical blend of chemically different polymeric materials or a physical blend of a polymeric material and a filler material

Description

本発明は、芯成分および鞘成分がともに、ポリオキシメチレン系重合体から成り、鞘成分が熱接着性を有する、熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびにそれを含む繊維集合物に関する。
ポリオキシメチレンは、ポリアセタールとも呼ばれ、電気絶縁性、耐熱性および耐薬品性に優れたエンジニアリングプラスチックとして知られており、その成形品は、自動車の部品等として、広く使用されている。ポリオキシメチレンは、結晶性に優れ、結晶化速度が速く、また結晶化度も大きいことから、繊維化は困難であるとされている。それにもかかわらず、その優れた特性を利用するべく、i)特定のポリオキシメチレンの樹脂を選択する、ii)ポリオキシメチレンに特定の添加剤を混合する、またはiii)特定のポリマーと組み合わせて複合紡糸する等して、繊維化が試みられてきた(特許文献1〜5)。さらに、断面構造が少なくとも2層を有し、いずれの層も繊維表面に露出した構造であるオキシメチレン共重合体の多層繊維であって、各層を構成する共重合体のコモノマーの量を規定したオキシメチレン共重合体多層繊維も提案されている。
特開平1−272821号公報 特開平8−144128号公報 特開平11−293523号公報 特開2003−268627号公報 特開2006−9205号公報 特開2008−138331号公報
ポリオキシメチレンを繊維化し、これを不織布、織物または編物等にして、製品(例えば、土木建築用資材、芯地、クッション、マット等)を製造するとき、ポリオキシメチレン以外の成分が製品に含まれていなければ、ポリオキシメチレンの特性を最大限に利用することができる。即ち、繊維を不織布等にする際に、他のバインダー成分が含まれていると、バインダーの種類によっては、繊維それ自体がポリオキシメチレンであっても、製品全体としては耐薬品性に劣る場合がある。同様のことは、ポリオキシメチレンと他のポリマーとから成る複合繊維にもあてはまる。本発明者らは、このような不都合を避けるためには、繊維をポリオキシメチレンのみで構成し、かつ繊維それ自体をバインダーとしても機能させればよいと考えた。より具体的には、融点の異なる2種類のポリオキシメチレンを複合繊維として、一方を熱接着成分とすれば、特に、不織布を作製する際に、他のバインダー成分を用いることなく、繊維同士が接着された一体のシートを得ることができる。
2種類のポリオキシメチレンを用いた、芯鞘型の複合繊維は、特許文献5において開示されている。特許文献5に記載の複合繊維は、高い結節強度保持率を得ることを目的として提案されたものであるところ、熱接着性繊維として使用することを指向するものではない。また、特許文献5に記載の製造方法を用いて製造した複合繊維は、熱接着性繊維として必ずしも満足できる特性を有するものでなかった。さらに、特許文献5に記載の製造方法で複合繊維を製造したところ、細い繊維を得ることができなかった。特許文献6に記載の多層繊維は、良好な捲縮性を有することを目的としている。そのため、この繊維を用いて、例えば熱接着不織布を得ようとする場合には、繊維の捲縮によって、熱処理前後の不織布の面積の差が大きくなり、所定寸法の不織布を得ることが難しくなる。本発明は、これらの実情に鑑みてなされたものであり、ポリオキシメチレンから主として成る、熱接着性複合繊維を提供することを目的とする。
特許文献5に記載の製造方法で、ポリオキシメチレンのみを用いて芯鞘型の複合繊維を構成し、鞘成分を熱接着性成分として溶融または軟化させると、芯成分が著しく収縮して、シート状の製品を得ることが困難であった。そこで、本発明者らが、芯成分の収縮を抑えるために、ポリオキシメチレンの種類および製造条件を種々検討した結果、特定の温度差を有するポリオキシメチレンを使用し、鞘成分のポリオキシメチレンを高いメルトインデックスを有するものとし、かつ繊維製造時の延伸条件および乾燥条件を特定のものとすることにより、熱接着性複合繊維として、良好に機能する繊維が得られることを見出した。さらに、本発明者らは、芯成分の150℃ 1/2結晶化時間、および/またはMz(Z平均分子量)が、複合繊維の紡糸性に影響を及ぼすことを見出し、特に細い繊維を製造するときに、これらの変数を適切に選択することが重要であることを見出した。
本発明は、第一の要旨において、ポリオキシメチレン系重合体Aを含む熱接着成分としての第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを含み、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AのJIS K 7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定されるメルトインデックス(g/10min)を、MIとしたとき、30<MIを満たし、
紡糸後のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれTfおよびTfとしたときに、Tf>Tf+10を満たす、熱接着性複合繊維を提供する。
二種類のポリオキシメチレン系重合体を、MI、ならびにTfおよびTfが上記関係を満たすように、選択することによって、第1成分を加熱して熱接着性成分として機能させるときに、第2成分の収縮が抑えられて、良好に繊維同士が接着される。
本発明はまた、第二の要旨において、ポリオキシメチレン系重合体Aを含む熱接着成分としての第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを含み、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒〜100秒であり、
紡糸後のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれTfおよびTfとしたときに、Tf>Tf+10を満たす、熱接着性複合繊維を提供する。
結晶化時間は、溶融された樹脂が固化するまでの時間と関係する。第2成分であるポリオキシメチレン系重合体の150℃ 1/2結晶化時間を上記の範囲に限定すると、溶融された樹脂がノズルから吐出されて、所定のドラフト倍率で延伸されている間に、結晶化が促進されて、ある程度固化が進む。このことが、複合繊維の紡糸性を向上させ、特に、細い繊度の紡糸フィラメントを得ることを可能にする。
第二の要旨は、第一の要旨と組み合わせてよい。そのような組み合わせは、より良好な紡糸性をもたらし、より細い繊度の繊維を得ることを可能にする。
本発明の熱接着性複合繊維のいずれの要旨においても(あるいは、別の要旨において)、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体BのZ平均分子量(Mz)は50万以下であることが好ましい。また、本発明の熱接着性複合繊維は、いずれの要旨においても、紡糸後のポリオキシメチレン系重合体BのZ平均分子量が35万以下であることが好ましい。
Mzは、重合体の高分子量成分と関係する変数であり、この値が大きいほど、結晶化速度が大きくなる。本発明においては、ポリオキシメチレン系重合体Bの紡糸前および/または紡糸後のMzの上限値を規定することによって、芯の結晶化速度を調整し、ひいては複合繊維全体の紡糸性を向上させる。
本発明の熱接着性複合繊維は、いずれの要旨においても、第1成分と第2成分とから成り、第1成分が鞘成分であり、第2成分が芯成分である、芯鞘型複合繊維であることが好ましい。芯鞘型の構造においては、第1成分が繊維の周面の長さを全部占めるため、そのような構造の繊維は、より良好な熱接着性を示す。
本発明の熱接着性複合繊維が上記芯鞘型複合繊維である場合、第2成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型断面を有してよい。そのような断面構造を有する複合繊維は立体捲縮を発現しやすく、例えば、これを用いて作製した不織布に、伸縮性、嵩高性、および/または柔軟な風合いを付与する。
本発明はまた、第三の要旨において、上記本発明の第一の要旨の熱接着性複合繊維を製造する方法であって、
二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBであって、
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AのJIS K 7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定されるメルトインデックス(g/10min)を、MIとしたとき、30<MIを満たし、
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれ、TおよびTとしたときに、 +10を満たす、二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBを用意し、
ポリオキシメチレン系重合体Aを含む第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出するように複合紡糸し、
紡糸した繊維を延伸処理に付し、
延伸処理した繊維を、温度60℃〜110℃にて、アニーリング処理に付すこと
を含む製造方法を提供する。
この製造方法は、二種類のポリオキシメチレン系重合体を、MI、ならびにTおよびTが上記関係を満たすように選択し、かつ紡糸した後に、温度60℃〜110℃にて、アニーリング処理に付すことを特徴とする。この特徴により、カード通過性が良好であり、かつ第1成分の熱接着時に第2成分の収縮が小さい、熱接着性複合繊維を得ることができる。より好ましいアニーリング処理温度は、60℃〜90℃である。
本発明は、第四の要旨において、上記本発明の第二の要旨の熱接着性複合繊維を製造する方法であって、
二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBであって、
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒〜100秒であり、
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれ、TおよびTとしたときに、 +10を満たす、二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBを用意し、
ポリオキシメチレン系重合体Aを含む第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出するように複合紡糸し、
紡糸した繊維を延伸処理に付し、
延伸処理した繊維を、温度60℃〜110℃にて、アニーリング処理に付すこと
を含む、熱接着性複合繊維の製造方法を提供する。
この製造方法は、二種類のポリオキシメチレン系重合体を、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間、ならびにTおよびTが上記関係を満たすように選択し、かつ紡糸した後に、温度60℃〜110℃にて、アニーリング処理に付すことを特徴とする。この特徴により、カード通過性が良好であり、かつ繊度の小さい、熱接着性複合繊維を得ることができる。より好ましいアニーリング処理温度は、60℃〜90℃である。
第四の要旨は、第三の要旨と組み合わせてよい。そのような組み合わせは、カード通過性が良好であり、繊度が小さく、かつ熱接着時の熱収縮が小さい、熱接着性複合繊維の製造を可能にする。
本発明のいずれの要旨の製造方法においても、紡糸を、ドラフト倍率が100〜1000倍となるように実施し、延伸処理を、延伸倍率が4〜10倍となるように実施することが好ましい。ドラフト倍率および延伸倍率をこの範囲に設定することで、カード通過性がより良好で、熱接着時の第2成分の収縮がより抑えられた熱接着性複合繊維を得ることができる。また、ドラフト倍率および延伸倍率をこの範囲に設定することにより、繊度を、例えば0.1〜3dtex程度と小さくすることができる。
本発明はさらに、第五の要旨において、第一の要旨または第二の要旨の熱接着性複合繊維を10質量%以上含む、繊維集合物を提供する。この繊維集合物は、例えば、不織布であってよく、あるいは成形体であってよい。
本発明の熱接着性複合繊維は、低融点の熱接着成分および高融点成分ともに、ポリオキシメチレン系重合体で構成されたものである。よって、この繊維を用いて、不織布等のシート状物を作製するときに、他のバインダー成分を必要とせずに、低融点のポリオキシメチレン系重合体で一体化することができる。そのようなシート状物は、特にシート状物が本発明の熱接着性複合繊維のみから成る場合には、ポリオキシメチレン系重合体の耐熱性および耐薬品性を十分に発揮し得る。また、本発明の熱接着性複合繊維を含む繊維集合物は、高い保水性、滑り性(slippablity)、防しわ性、および嵩回復性、ならびに/または良好な拭き取り性を有するので、そのような特性が要求される用途に適している。
発明を実施するための形態
本発明の熱接着性複合繊維は、ポリオキシメチレン系重合体を含む成分を、少なくとも2つ含んでいる。本明細書において、ポリオキシメチレン系重合体とは、オキシメチレン単位を主たる繰り返し単位とするポリマーである。ポリオキシメチレン系重合体は、ホルムアルデヒドまたはトリオキサンを主原料として、重合反応によって得られる、いわゆるPOMホモポリマーであってよく、あるいは主としてオキシメチレン単位からなり、主鎖中に2〜8個の隣接する炭素原子を有し、置換基を有してよいオキシアルキレン単位、好ましくはCHCHOをエチレンオキサイド換算値として10質量%以下、より好ましくは0.5〜8質量%含有する、いわゆるPOMコポリマーであってもよい。オキシアルキレン基に結合し得る置換基は、例えば、アルキル基、フェニル基、または他の有機基である。また、ポリオキシメチレン系重合体は、他の構成単位を含有するコポリマー、即ち、ブロックコポリマー、ターポリマー、および架橋ポリマーのいずれであってもよい。
本発明の第一の要旨に係る熱接着性複合繊維は、ポリオキシメチレン系重合体Aを含む第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを含んで成る。ポリオキシメチレン系重合体Aとポリオキシメチレン系重合体Bは、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AのJIS K 7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定されるメルトインデックス(g/10min)を、MIとしたとき、30<MIを満たし、
紡糸後のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれTfおよびTfとしたときに、Tf>Tf+10を満たす。
MI、ならびにTfおよびTfが上記式を満たすために、ポリオキシメチレン系重合体AおよびBは、分子量、オキシメチレン単位と共重合しているコモノマーの種類および割合のうち、少なくとも1つにおいて、互いに異なっている。
具体的には、例えば、ポリオキシメチレン系重合体Aは、MIが好ましくは40〜75、より好ましくは50〜70であって、紡糸前の融点Tが好ましくは140〜160℃、より好ましくは150〜158℃である重合体である。そのようなポリオキシメチレン系重合体は、例えば、CHCHOをエチレンオキサイド換算値として3〜10質量%、好ましくは5〜9質量%含むものである。ポリオキシメチレン系重合体Bは、その紡糸前のメルトインデックスMI(g/10min)が好ましくは20〜80、より好ましくは50〜70であって、紡糸前の融解ピーク温度Tが好ましくは160〜174℃、より好ましくは165〜172℃である重合体である。そのようなポリオキシメチレン系重合体は、例えば、CHCHOをエチレンオキサイド換算値として0.5〜3質量%、好ましくは0.5〜1.5質量%含むものである。
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AのメルトインデックスMI(g/10min)が、30<MIを満たすことは、鞘成分の樹脂が高い流動性を有することを意味する。そのため、本発明の熱接着性複合繊維を不織布等に加工し、加熱して、熱接着させると、第1成分が広い範囲に広がり、接着強力が高くなり、不織布強力が増大する傾向にある。また、細い繊度とする場合、紡糸時に引取速度を大きくする(すなわちドラフト倍率を大きくする)こととなるので、鞘成分の樹脂が30<MIを満たすと、高い流動性を有し、それにより、紡糸時に樹脂が溶融変形しやすくなる点で有利である。
また、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体BのメルトインデックスMI(g/10min)を、20〜80にすることによって、紡糸時のドラフト倍率及び延伸処理時の延伸倍率を高くして、細い繊維を得ることが可能となる。その結果、繊維の結晶配向を促進することができ、それにより繊維の収縮の抑制が期待され、ひいては、不織布加工した時の不織布収縮性を抑制することが可能となる。
ポリオキシメチレン系重合体Bを規定する物性として、さらに、150℃ 1/2結晶化時間を挙げることができる。本発明の複合繊維において、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bは、下記の条件で測定した150℃ 1/2結晶化時間が、10秒〜100秒であることが好ましい。
[150℃ 1/2結晶化時間の測定方法]
示差走査熱量測定装置を用いて、サンプル10mgをアルミニウム製容器に入れ、窒素雰囲気下において、10℃/分の昇温速度で、20℃から200℃まで昇温し、2分間保持した後、50℃/分の降温速度で、降温し、150℃で等温保持を行い、等温保持開始時間から、結晶化発熱ピーク(150℃付近で現れるピーク)が観察されるまでの時間を、150℃ 1/2結晶化時間とした。
測定条件の詳細は次のとおりである。
示差走査熱量測定装置:SEIKO Instruments社製、商品名DSC 6200
雰囲気:窒素流(50mL/分)
温度校正:純水、高純度インジウム、高純度スズの各融点
感度校正:高純度インジウム(ΔHm=6.86cal/g)
温度範囲:20〜220℃
紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、上記の範囲内にあると、溶融された樹脂がノズルから吐出されて、所定のドラフト倍率で延伸されている間に、結晶化が促進されて、ある程度固化が進む。このことが、複合繊維の紡糸性を向上させ、特に、細い繊度の紡糸フィラメントを得ることを可能にする。特に、複合繊維が、後述する芯鞘型複合繊維であると、一般に、溶融紡糸中、鞘成分はチムニー等の冷却により固化しやすいのに対し、芯成分は十分に冷却されないことがあり、固化しにくい傾向にある。この傾向もまた、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が上記範囲内にあることが好ましい理由である。
ポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒未満であると、溶融紡糸されたフィラメントにおいて、第2成分が早く固化されるため、紡糸中のドラフトが行われず、ノズル直下で糸切れが発生し、ブロックが多発する傾向にある。ポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、100秒を超えると、紡糸中の冷却が十分でなく、溶融張力が不足してドラフト時に破断することがある。
ポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が上記範囲内にある場合、この重合体Bの紡糸前のメルトインデックスMI(g/10min)と、ポリオキシメチレン系重合体AのMIの差を小さくすることが好ましい。具体的には、その比(紡糸前MI/紡糸前MI)は、0.8〜1.2であることが好ましい。紡糸ドラフト時に両成分の流動性が互いにより近似していると、ドラフトがスムースに行われるからである。
繊度が約1.7dtex以下である複合繊維を製造する場合には、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間は、15秒〜50秒であることが好ましく、より好ましくは、20秒〜50秒であり、さらにより好ましくは20秒以上30秒未満である。
あるいは、ポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間は、紡糸後に測定されてよい。その場合、好ましい範囲は10秒〜100秒である。紡糸後のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間は、複合繊維をサンプルとして、上記測定方法に従って、昇温および等温保持することにより、測定される。繊度が約1.7dtex以下である複合繊維において、紡糸後のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間は、好ましくは15秒〜50秒であり、より好ましくは20秒〜50秒である。複合繊維の状態でポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間を測定している間、ポリオキシメチレン系重合体Aは、溶けた又は軟化した状態にあり、ポリオキシメチレン系重合体Bの測定に影響を及ぼさない。
上記範囲内の紡糸前または紡糸後の150℃ 1/2結晶化時間を有するポリオキシメチレン系重合体Bを使用することは、ポリオキシメチレン系重合体Aが上記範囲内の紡糸前のMIを有することと、必ず組み合わされなければならないものではない。即ち、ポリオキシメチレン系重合体Bの紡糸前または紡糸後の150℃ 1/2結晶化時間が上記範囲内にある限りにおいて、ポリオキシメチレン系重合体Aの紡糸前の溶融特性を限定しなくても、良好に紡糸され、かつ良好な熱接着性を示す、熱接着性複合繊維を得ることが可能である。
ポリオキシメチレン系重合体Bを規定する物性として、さらに、Z平均分子量(Mz)を挙げることができる。本発明の複合繊維において、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体BのMzは、下記の条件で測定したときに、50万以下であることが好ましい。
<Mzの測定条件>
手法:GPC(Gel Permeation Chromatography法)
条件:
装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC(Waters社製)
検出器:示差屈折率検出器 RI(2414型、感度256、Waters社製)
カラム:Shodex HFIP-806M 2本(S/N A406246、A406247)(φ8.0mm×30cm、理論段数約14000段/2本、昭和電工(株)製)
溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP、NaTFA5mM添加、セントラル硝子(株)製)
流速:0.5mL/分
試料:(溶解)室温で緩やかに撹拌
(溶解性)目視良好
(濃度)0.05w/v%
(濾過)メンブレンフィルター 孔径0.45μm(H−13−5、東ソー(株)製)
注入量:0.200mL
標準試料:ポリメチルメタクリレート(昭和電工(株)製)
ジメチルテレフタレート(東京化成工業(株)製)
Mzの決定:分子量校正曲線を介して得られたGPC曲線の溶出位置の分子量をMiとし、分子数をNiとして、下記式より算出する。
Mz=Σ(Ni・Mi)/Σ(Ni・Mi
本発明者らは、種々のポリオキシメチレン系重合体を第2成分として使用して紡糸した。その結果、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体BのMIが同じであっても、分子量分布の相違が紡糸性に影響を及ぼすことを見出した。さらに、重合体の高分子量成分と関係する変数であるMzが大きいほど、結晶化速度が大きくなることを見出した。具体的には、ポリオキシメチレン系重合体BのMzが50万以下であると、良好な紡糸性が得られる。繊度が2.0dtex未満、特に1.8dtex以下、より特には1.6dtex以下、さらにより特には1.4dtexである複合繊維を製造する場合には、ポリオキシメチレン系重合体BのMzは、39万以下であることが好ましく、38万以下であることがより好ましく、36万以下であることがさらにより好ましい。ポリオキシメチレン系重合体BのMzが50万を超えると、結晶化速度が速くなり、紡糸性が悪くなる。また、押出機で溶融する際に未溶融物が発生し、紡糸での糸切れの原因になる。
あるいは、ポリオキシメチレン系重合体BのMzは、紡糸後に測定されてよく、その場合に、Mzは、50万以下であることが好ましい。複合繊維をサンプルとして、上記測定方法に従って測定されるMzは、ポリオキシメチレン系重合体Aとポリオキシメチレン系重合体BのそれぞれのMzがひとつとなって測定される。ただし、測定されるMzの大部分は、ポリオキシメチレン系重合体Bによって占められると考えられる。繊度が約1.7dtex以下である複合繊維において、Mzは、好ましくは35万以下であり、より好ましくは30万以下である。
第1成分が、ポリオキシメチレン系重合体A以外の成分を含む場合には、第1成分は、ポリオキシメチレン系重合体Aを少なくとも50質量%以上含むことが好ましい。ポリオキシメチレン系重合体の割合が50質量%未満であると、ポリオキシメチレン系重合体の特性(例えば、耐薬品性)を発揮する繊維が得られない。好ましくは、第1成分は、実質的にポリオキシメチレン系重合体Aのみから成ることが好ましい。ここで、「実質的に」という用語は、安定剤等の添加剤が含まれる場合には、ポリオキシメチレン系重合体Aの割合が完全には100質量%とならないことを考慮して使用している。ポリオキシメチレン系重合体A以外に含まれる成分は、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、またはポリプロピレンであることが好ましい。
上記のことは、第2成分についてもあてはまる。
紡糸後のTfは、好ましくは138〜160℃の範囲内にあることが好ましく、148〜156℃の範囲内にあることがより好ましい。
紡糸後のTfは、Tfよりも10℃以上、好ましくは13℃以上、より好ましくは15℃以上高いことが好ましい。TfとTfとの差が小さいと、熱接着時に第2成分の収縮が生じ、繊維の形態が崩れ、例えば不織布を作製するときに、形のあるものを形成できない。
本発明の熱接着性複合繊維は、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出している断面構造を有する。そのような構造として、第1成分が鞘成分、第2成分が芯成分である、芯鞘型複合繊維構造が好ましい。芯鞘構造によれば、熱接着成分である第1成分が繊維表面全体に存在することとなるので、良好な熱接着性が発揮される。芯鞘型複合繊維は、第2成分(芯成分)の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型断面を有してよい。そのような断面を有する繊維は、立体捲縮を発現しやすく、例えば、この繊維で不織布を構成する場合には、不織布に伸縮性、嵩高性、および/または柔軟な風合いを付与する。また、偏心芯鞘型断面を有する熱接着性複合繊維は、熱処理を施すことにより、立体捲縮を発現する繊維として得ることも可能である。
芯鞘構造の複合繊維において、前記第1成分と前記第2成分の複合比率は、容積比で3:7〜7:3の範囲であることが好ましい。より好ましい容積比の範囲は、4:6〜6:4である。第1成分の割合が3未満であると、熱接着性が不十分となる場合があり、第1成分の割合が7を超えると、カード通過性が悪くなるおそれがあり、また、不織布に加工した際に不織布の嵩が出難い(即ち、嵩高さに欠ける)傾向にあり、風合いが損なわれるおそれがある。
本発明の熱接着性複合繊維は、あるいは、第1成分、第2成分、および場合により他のポリオキシメチレン系重合体を含む第3成分を含み、各成分が同心状に配置された構成を有してよく、あるいは、各成分が並列的に配置された並列構造を有してよい。本発明の熱接着性複合繊維が、第1成分および第2成分以外の他の成分を含む場合、当該他の成分もまた他のポリオキシメチレン系重合体を含み、当該他のポリオキシメチレン系重合体とポリオキシメチレン系重合体Aとが、紡糸後の融解ピーク温度において、ポリオキシメチレン系重合体Bとポリオキシメチレン系重合体Aと同様の関係を満たすことが好ましい。
本発明の熱接着性複合繊維は、繊度0.1〜3dtex程度の細い繊維として得ることができる。このような繊度は、例えば、不織布(紙(湿式不織布)を含む)製造用の繊維として、汎用されているポリプロピレン繊維およびポリエステル繊維の繊度と同等のものであり、これらの汎用繊維を用いる場合に採用されている手法により、繊維集合物(特に不織布)を製造することを可能にする。
本発明の熱接着性複合繊維は、上述の通り、特定のポリオキシメチレン系重合体を使用することによって、熱接着時の第2成分の収縮が抑えられたものとなる。そのことは、JIS L 1015(乾熱収縮率)に準じて、温度140℃、時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)で測定される単繊維乾熱収縮率で示される。本発明の熱接着性複合繊維は、その断面において第2成分の重心位置が繊維の重心位置とほぼ一致する、即ち同心芯鞘型複合繊維である場合において、そのような条件で測定される単繊維乾熱収縮率が、好ましくは15%以下であり、より好ましくは12%以下である。
さらに、本発明の熱接着性複合繊維は、高い結節強度保持率を有する傾向にある。具体的には、本発明の熱接着性複合繊維は、その断面において第2成分の重心位置が繊維の重心位置と一致する、即ち同心芯鞘型複合繊維である場合において、90%以上の結節強度保持率を有し、より具体的には、96%〜98%程度の結節強度保持率を有する。本発明の熱接着性複合繊維が高い結節強度保持率を有する理由は定かではないが、1つの理由として、本発明の繊維の表面の平滑度が高いこと、および及び延伸により配向結晶し、固くなることが挙げられる。結節強度保持率は、繊維を結ぶときに、繊維同士が擦れあって傷つくと、低下する傾向にあると考えられるところ、本発明の熱接着性複合繊維は、表面の平滑度が高くて、また固いため、摩擦による損傷が少なく、ゆえに結節強度保持率が高いものと推察される。
もう1つの理由としては、本発明の熱接着性複合繊維は、比較的高い倍率で十分に延伸する方法で製造することができる繊維であり、細い繊維として得られやすいことが挙げられる。特に0.1〜3dtex程度の細い繊維は一般的にしなやかであるため、その結果、結節強度保持率が高くなるものと推察される。
本発明の熱接着性複合繊維は、後述するように、紡糸時および延伸処理時に比較的高い倍率で十分に延伸する製造方法によって好ましくは製造されるため、各成分の結晶化が進み、繊維全体が固くなると推定される。繊維が固いと、繊維に機械捲縮を付与した後、捲縮状態が長い間、維持されやすく、繊維同士の絡み合いも良好となり、例えばカードを通過させて得られるウェブの地合いが良好になる傾向にある。
次に本発明の熱接着性複合繊維の製造方法を説明する。まず、二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBであって、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AのJIS K 7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定されるメルトインデックス(g/10min)を、MIとしたとき、30<MIを満たし、紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれ、TおよびTとしたときに、T>T+10を満たす、二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBを用意する。そのようなポリオキシメチレン系重合体AおよびBは、先に説明したとおりである。
あるいは、ポリオキシメチレン系重合体Bは、上記範囲のMIに加えて、またはこれに代えて、1秒〜100秒の範囲内にある、150℃ 1/2結晶化時間を有するものであってよい。あるいはまた、ポリオキシメチレン系重合体Bは、上記範囲のMIおよび/または上記範囲の150℃ 1/2結晶化時間に加えて、50万以下のZ平均分子量を有するものであってよい。そのようなポリオキシメチレン系重合体Bは、先に説明したとおりである。
次いで、ポリオキシメチレン系重合体Aを含む第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出するように複合紡糸する。紡糸温度は、180〜200℃であることが好ましい。このとき、引取繊度が2〜15dtexの範囲内にある紡糸フィラメントを作製する。最終的に繊度2.0dtex未満の繊維を得ようとする場合には、引取繊度を8dtex以下とする。紡糸フィラメントの引取繊度が2dtex未満であると、糸切れ等が生じて繊維生産性が低下する。紡糸フィラメントの引取繊度が15dtexを越えると十分な延伸ができず、ネッキングにより均質な繊度の繊維が得られない。この範囲の繊度の紡糸フィラメントを得るために、例えば、紡糸口金の孔径が0.3〜1mmである場合において、紡糸時のドラフト倍率(延伸倍率)を、例えば、好ましくは100〜1000倍程度、より好ましくは300〜900倍、さらにより好ましくは400〜800倍とする。紡糸時に比較的高い倍率で延伸することにより、後の延伸処理と相俟って、熱接着時の第2成分の収縮がより抑えられた熱接着性複合繊維を得ることができる。紡糸ノズルの孔径は、上記ドラフト倍率を達成するために、適宜選択してよく、上記孔径に限定されない。
次いで、紡糸フィラメントを公知の延伸処理機を用いて延伸処理して、延伸フィラメントを得る。延伸処理は、ポリオキシメチレン系重合体Aの融解ピーク温度未満の温度で実施することが好ましく、具体的には、延伸温度を130℃以上150℃以下の範囲内にある温度に設定して実施することが好ましい。延伸倍率は、4〜10倍とすることが好ましく、4.2〜7倍とすることがより好ましい。延伸方法は、乾式延伸法であることが好ましい。あるいは、延伸は、湿式延伸法で実施してもよい。
得られた延伸フィラメントには、所定量の繊維処理剤が付着させられる。さらに、カードで開繊されてウェブを形成する繊維およびエアレイウェブを形成する繊維には、クリンパー(捲縮付与装置)で機械捲縮が与えられる。捲縮数は、12山/25mm以上19山/25mm以下の範囲内にあることが好ましい。捲縮数が12山/25mm未満であると、カードでのシリンダーへの巻き付き及び風綿が発生しやすいために、カード通過性が悪くなる。さらに、繊維同士の交絡度合いを示すウェブ強力も低く、カード工程でのトラブルが発生し易い傾向にある。捲縮数が19山/25mmを超えると、カード工程での開繊不良によるネップ、クラウディなど地合いムラが発生しやすくなる。捲縮数は、14山/25mm以上16山/25mm以下の範囲内にあることがより好ましい。複合繊維を繊維長10mm未満の短繊維(特に抄紙用短繊維)として得ようとする場合、機械捲縮は付与しなくてもよい。
捲縮付与後(又は捲縮が付与されていない繊維処理剤付与後)のフィラメントに60℃〜110℃の範囲内にある温度で数秒〜約30分間、アニーリング処理を施す。繊維処理剤を付着させた後でアニーリング処理を実施する場合、アニーリング処理温度を60℃〜110℃の範囲内にある温度とし、処理時間を5分以上として、アニーリング処理を実施すると同時に繊維処理剤を乾燥させることがより好ましい。アニーリング処理を上記温度範囲に設定して実施することにより、捲縮形状が安定し、例えば、不織布を作製するときに、不織布のへたりを小さくすることができ、嵩高で反発性のある不織布を得ることができる。また、この比較的低い温度で、アニーリング処理を実施することにより、得られる繊維の単繊維乾熱収縮率を抑えることができる。アニーリング処理は、抄紙用短繊維を製造する場合には、省略してよい。
前記アニーリング処理終了後(抄紙用短繊維の場合には繊維処理剤付与後)、フィラメントは用途等に応じて、繊維長が3〜100mmとなるように切断される。本発明の熱接着性複合繊維は、必要に応じて長繊維の形態で使用してよい。第1成分及び第2成分を構成するために、上記特定のポリオキシメチレン系重合体を使用する限りにおいて、メルトブローン法およびスパンボンド法によって、本発明の熱接着性複合繊維を製造することは可能である。
本発明はまた、以上において説明した本発明の熱接着性複合繊維を、10質量%以上含む繊維集合物を提供する。繊維集合物は、第1成分により繊維同士が熱接着されたものであることが好ましい。繊維集合物としては、織編物および不織布などが挙げられる。繊維集合物は、本発明の熱接着性複合繊維を、より好ましくは50質量%以上含み、最も好ましくは100質量%含む。
続いて、本発明の繊維集合物の具体的な一例として不織布を、その製造方法とともに説明する。不織布は、本発明の熱接着性複合繊維を10質量%以上含有するようにウェブを作製し、前記ウェブを熱処理し、熱接着性複合繊維の第1成分を溶融または軟化させて、繊維同士を接着させることにより得られる。不織布は、熱接着性複合繊維と他の繊維とを混合したウェブから成っていてよく、あるいは他の繊維から成るウェブが熱接着性複合繊維から成るウェブに積層されたものであってよい。当該他の繊維として、例えば、コットン、シルク、ウール、麻、パルプなどの天然繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、およびアクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系などの合成繊維から1種または複数種の繊維を用途などに応じて選択するとよい。
混合する繊維は、2以上の樹脂成分から成る分割型複合繊維であってよい。分割型複合繊維は、具体的には、繊維断面において構成成分のうち少なくとも1成分が2個以上に区分されてなり、構成成分の少なくとも一部が繊維表面に露出し、その露出部分が繊維の長さ方向に連続的に形成されている繊維断面構造を有する。分割型複合繊維を構成するポリマーの好ましい組み合わせは、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ナイロンなどである。
前記不織布を製造するに際して用いられるウェブとしては、パラレルウェブ、セミランダムウェブ、ランダムウェブ、クロスウェブ、クリスクロスウェブなどのカードウェブ、湿式抄紙ウェブ、およびエアレイウェブが挙げられ、異なる種類の繊維ウェブを2種類以上積層してもよい。また、繊維間を絡合させるために、繊維ウェブには必要に応じて熱処理前および/または熱処理後にニードルパンチ処理や水流交絡処理等の二次加工を施してもよい。
前記繊維ウェブには、公知の熱処理手段により熱処理を施す。熱処理手段としては、熱風吹き付け法および熱圧着法から選ばれた少なくとも1種の熱処理方法を用いることが好ましい。熱処理方法における熱処理温度等の熱処理条件は、採用する熱処理方法に応じて適宜設定される。例えば、熱風吹き付け法(エアースルー法)を採用する場合、熱処理温度は、熱接着性複合繊維の第1成分が溶融または軟化する温度に設定するとよいが、好ましくは、145〜170℃の範囲、より好ましくは150〜165℃の範囲、さらにより好ましくは155〜165℃の範囲内にある温度に設定される。この熱処理温度は、他の形態の繊維集合物(例えば、織編物)を製造する際にも好ましく用いられる。
不織布の目付は特に限定されず、例えば、10g/m〜5000g/mの範囲から、用途等に応じて選択してよい。また、不織布の密度は、0.01g/cm〜1.0g/cmの範囲から、用途等に応じて選択してよい。
得られた不織布は、熱接着性複合繊維の表面の平滑性が高いために、滑り性がよく、また、嵩高で、クッション性を有する。さらに、この不織布は、高い保水性、高い嵩回復性、および高い防しわ性を示す。よって、この不織布は、衛生材料(生理用品および紙おむつ等)、紙、ワイパー、ウェットティッシュ、マスク、芯地、ブラジャーパッド、土木建築資材、緩衝材(クッション材を含む)、包装材料、衣服、マットおよびスポンジ状不織布材料等の用途に好適である。また、同様の用途に、他の形態の繊維集合物(例えば、織編物)を、使用することができる。
特にワイパー用の不織布を作製する場合には、本発明の熱接着性複合繊維と分割型複合繊維とを組み合わせて使用することが好ましい。分割型複合繊維を使用すると、例えば、水流交絡処理によって、当該繊維の分割により極細繊維が形成され、表面に本発明の繊維と極細繊維が存在する構成の不織布を得ることができる。そのような不織布は、本発明の繊維が付与する高い滑り性を有し、また、拭き取り性においても優れている。あるいは、分割型複合繊維に代えて、ワイパーを構成する繊維として汎用されている繊維を使用してよい。いずれの繊維と組み合わせる場合にも、本発明の複合繊維は、20質量%〜70質量%の割合で含まれることが好ましく、30質量%〜50質量%の割合で、ワイパーに含まれることがより好ましい。
本発明の熱接着性複合繊維は、繊維集合物において、必ずしも繊維同士を接着させるために用いる必要はない。特に、繊維集合物を、例えばワイパー用不織布とする場合には、より柔軟で、より良好な風合いを得るために、熱接着処理を施さず、繊維同士の交絡(例えば、水流交絡)によって繊維集合物を一体化させてよい。
本発明の繊維集合物は、型内に繊維または繊維ウェブが存在する状態で、熱処理を施すことにより製造される、成形体であってよい。例えば、成形体は、簡便には、本発明の熱接着性複合繊維を含む繊維ウェブを、カードにより作成し、それを型内に入れて、熱処理することにより、形成できる。カードの種類は、先に説明したとおりである。熱処理は、熱風吹き付け法(エアースルー法)を用いて実施してよい。繊維ウェブは、水流交絡処理に付してから、型内に入れてよい。厚さの大きい成形体は、繊維ウェブをクロスレイヤー装置を用いて積層し、積層したウェブを型内に入れて製造してよい。積層ウェブには、必要に応じて、ニードルパンチ処理および/または水流交絡処理を施してよい。
いずれの方法で成形体を製造する場合も、成形体の密度は、用途に応じて適宜選択される。具体的には、成形体の密度は、0.01g/cm〜1.0g/cmであることが好ましく、0.02g/cm〜0.8g/cmであることがより好ましく、0.04g/cm〜0.6g/cmであることがさらにより好ましい。成形体の目付もまた、用途に応じて適宜選択され、具体的には、10g/m〜5000g/mであることが好ましい。
成形加工は、熱処理温度を、繊維ウェブの目付および得ようとする成形体の密度に応じて、140℃〜180℃の範囲内とし、熱処理時間を5秒〜120分として、実施する。具体的には、熱処理温度は、本発明の熱接着性複合繊維の第1成分の融点以上、(第2成分の融点−5℃)以下の温度とすることが好ましい。より具体的には、目付が100g/m以下である場合には、コンベアー式エアスルー熱処理機を用いて、熱処理時間を5秒〜20分間として、熱処理することが好ましい。目付が100g/mを超える場合には、バッチ式エアスルー熱処理機を用いて、熱処理時間を1分〜120分間として、熱処理することが好ましい。
成形加工は、エアスルー熱処理機を使用したときに、繊維ウェブの厚さ方向において熱処理が均一に行われるよう、金属金網または樹脂メッシュシートのような通気性材料から成る型を用いて行うことが好ましい。例えば、成形加工は、繊維ウェブを入れる前に、通気性を有するシートを所定の形状に加工して型を作製し、この型に繊維ウェブを入れる方法で行ってよい。あるいは、繊維ウェブを2枚の通気性シート(例えば、金網)で挟んでから所望の形状にして、熱処理する方法で成形加工をしてよい。成形品の形状は特に限定されず、平板形状、曲面を有する形状、箱形状、凸形状、帽子(hat)形状、コップ形状、カップ形状、円柱形状および球形状のいずれであってよい。
以下、本発明の内容について実施例により具体的に説明する。なお、繊維の製造において使用した第1成分および第2成分であるポリオキシメチレン系重合体AおよびBの融点TおよびT、紡糸後の第1成分および第2成分の融点TfおよびTf、単繊維強伸度、捲縮数、捲縮率、結節強さ、結節強度保持率、単繊維乾熱収縮率、カード通過性、不織布の面積収縮率、厚み、引張強さは、以下のように測定した。
(TおよびTの測定)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、サンプル量を5.0mgとして、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/minの降温スピードで冷却した後、10℃/minの昇温スピードで融解させて、第1および第2成分それぞれについて融解熱量曲線を得、得られた融解熱量曲線より、融点として融解ピーク温度TおよびTをそれぞれ求めた。
(TfおよびTfの測定)
示差走査熱量計(セイコーインスツルメンツ(株)製)を使用し、サンプル量を6.0mgとして、10℃/minの昇温スピードで常温から200℃まで昇温して、繊維を融解させて、得られた融解熱量曲線からTfおよびTfを求めた。
(Mzおよび150℃ 1/2結晶化時間)
「発明を実施するための形態」の欄で説明した方法に従って、測定した。
(紡糸性)
紡糸性は下記の基準で判断した。
○ 1時間紡糸したが、糸切れが全くない
△ 糸切れがあっても、引き取りはできる
× 糸切れが多発し、引き取り不可
(強度、伸度)
JIS L 1015に準じ、引張試験機を用いて、試料のつかみ間隔を20mmとしたときの繊維切断時の荷重値および伸びを測定し、それぞれ単繊維強度、単繊維伸度とした。
(結節強さ、結節強度保持率)
JIS L 1013に準じて、フィラメント単糸での結節強さを測定し、フィラメント強度(繊維強度)に対する結節強度の割合である、結節強度保持率を算出した。
(捲縮数、捲縮率)
JIS L 1015に準じて測定した。
(単繊維乾熱収縮率)
JIS L 1015に準じ、つかみ間隔を100mmとし、処理温度140℃、処理時間15分間、初荷重0.018mN/dtex(2mg/d)における乾熱収縮率を測定した。
(カード通過性)
パラレルカード機を用い、ライン速度10m/minで、目付約30g/mのカードウェブを排出したときのカードウェブの地合、風綿の発生(フライ)の有無、およびウェブの渡り性(ウェブがカード機のローラ間を移動するときの連続性)を確認し、下記の基準で判断した。
○:カードウェブの地合い、風綿の発生、およびウェブの渡り性のいずれも良好。
△:カードウェブの地合い、風綿の発生、およびウェブの渡り性のうち、1つが不良。
×:カードウェブの地合い、風綿の発生、およびウェブの渡り性のうち、2つ以上が不良。
(不織布面積収縮率:試料1〜9,11〜16)
不織布面積収縮率を以下の方法で測定した。
(1)パラレルカード機で、表1〜4に示す目付のカードウェブを作製し、タテ20cm×ヨコ20cm角の大きさに切断する。収縮処理前のウェブの寸法(cm)を測定する。
(2)エアスルー熱処理機を用い、表1〜4に示す熱処理温度、風速1.5m/sec(上吹き)の条件下で、カードウェブをフリー状態で熱処理して収縮させる。熱処理時間は、12秒に設定した。
(3)収縮後の不織布の寸法(cm)を測定する。
(4)面積収縮率を下記式から算出する。
Figure 0005404396
(不織布面積収縮率:試料10)
不織布面積収縮率を以下の方法で測定した。
(1)家庭用のミキサーに2リットルの水を入れ、さらに4.4gの繊維を入れて、1分間撹拌した後、25cm×25cmの手漉き抄紙器を用いて、目付70g/mの湿式ウェブを得た。このウェブの寸法を測定する。
(2)ヤンキードライヤーを用い、表3示す熱処理温度(150℃)にて、熱処理した。熱処理時間は、45秒に設定した。
(3)熱処理後の不織布の寸法(cm)を測定する。
(4)面積収縮率を上記式から算出する。
(不織布の厚み)
熱処理後の不織布の厚みを、厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデルCR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cmあたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
(不織布の引張強さ)
JIS L 1096 6.12.1 A法(ストリップ法)に準じて、定速緊張形引張試験機を用いて、試料片の幅5cm、つかみ間隔10cm、引張速度30±2cm/分の条件で引張試験に付し、切断時の荷重値を測定し、引張強さとした。引張試験は、不織布のタテ方向(Machine Direction)およびヨコ方向(Cross Direction)のそれぞれについて実施した。但し、試料10の繊維で作製した不織布の引張試験は、一方向のみについて実施した。
実験例1:繊維の物性と不織布加工性の評価
(試料1)
が156.0℃、MIが51であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として7.1質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名V40EX−1)を第1成分(鞘成分)として用意した。Tが169.0℃、MIが28であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として0.9質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名A30EX−1)を第2成分として用意した。これらの2つの成分を、芯鞘型複合ノズル(孔径0.6mm:以下の試料の作製においても同じ)を用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を50/50として、第1成分の紡糸温度を190℃、第2成分の紡糸温度を200℃として溶融押出し、延伸倍率(紡糸ドラフト)を440倍として、繊度9dtexの紡糸フィラメントを得た。
前記紡糸フィラメントを140℃の熱風中で、4.7倍に乾式延伸し、繊度約2dtexの延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤を付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を付与した。そして、110℃に設定したエアスルー熱処理機にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施し、フィラメントを51mmの繊維長に切断して、熱接着性複合繊維を短繊維の形態で得た。
(試料2)
エアスルー熱処理機の設定温度(即ち、アニーリング処理と乾燥処理の温度)を90℃にしたこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料3)
エアスルー熱処理機の設定温度(即ち、アニーリング処理と乾燥処理の温度)を60℃にしたこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料4)
紡糸フィラメントを140℃の熱風中で、5.7倍に乾式延伸し、繊度約1.7dtexの延伸フィラメントとしたこと、およびエアスルー熱処理機の設定温度(即ち、アニーリング処理と乾燥処理の温度)を60℃にしたこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料5)
偏心芯鞘型複合ノズルを用い、偏心率が40%程度である、偏心芯鞘構造としたこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料6)
が156.0℃、MIが51であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として7.1質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名V40EX−1)を第1成分(鞘成分)として用意した。Tが169.4℃、MIが53であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として0.9質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名A40EX−1)を第2成分として用意した。これらの2つの成分を、芯鞘型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を50/50として、第1成分の紡糸温度を190℃、第2成分の紡糸温度を200℃として溶融押出し、延伸倍率(紡糸ドラフト)を495倍として、繊度8dtexの紡糸フィラメントを得た。
前記紡糸フィラメントを140℃の熱板上で4.7倍に乾式延伸し、繊度約1.7dtexの延伸フィラメントとした。次で、繊維処理剤を付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を付与した。そして、60℃に設定したエアスルー熱処理機にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施し、フィラメントを51mmの繊維長に切断して、熱接着性複合繊維を短繊維の形態で得た。
(試料7)
エアスルー熱処理機の設定温度(即ち、アニーリング処理と乾燥処理の温度)を80℃にしたこと以外は、試料6を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料8)
エアスルー熱処理機の設定温度(即ち、アニーリング処理と乾燥処理の温度)を100℃にしたこと以外は、試料6を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料9:比較)
が164℃、MIが51であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として2.6質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名F40−73R−1)を第2成分として用意したこと、およびエアスルー熱処理機の設定温度(即ち、アニーリング処理と乾燥処理の温度)を60℃にしたこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
試料1〜9として得た短繊維の物性を表1および表2に示す。表中、「−」は、その項目について測定しなかったことを示し、欄全体に「/」を記載している項目は、紡糸できなかった、または不織布を作製することができなかったために、測定できなかったことを示す。
Figure 0005404396
Figure 0005404396
試料2〜4、6、7の複合繊維は、カード通過性が良好で、熱接着処理に付したときの繊維の収縮も小さく、加工性の良好なものであった。これに対し、試料1、5、8の複合繊維は、カード通過性がやや劣るものであった。これは、試料1、5、8の複合繊維のアニーリング温度がやや高いためであると考えられる。試料6〜8について、結節強さおよび結節強度保持率を測定したところ、高い結節強度保持率を示した。
試料9の繊維は、繊維化は可能であったものの、熱接着処理に付したときに、繊維が収縮して、不織布を得ることができなかった。
(試料10)
が155.4℃、MIが55であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として7.1質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名V40−EX1)を第1成分(鞘成分)として用意した。Tが170.4℃、MIが55、Mzが320000、150℃ 1/2結晶化時間が25秒であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として0.9質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名A40−EX1)を第2成分として用意した。これらの2つの成分を、芯鞘型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を50/50として、第1成分の紡糸温度を185℃、第2成分の紡糸温度を190℃として溶融押出し、延伸倍率(紡糸ドラフト)を705倍として、繊度4.7dtexの紡糸フィラメントを得た。
前記紡糸フィラメントを140℃の熱風中で、6.5倍に乾式延伸し、繊度約0.8dtexの延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤を付与し、フィラメントを5mmの繊維長に切断して、熱接着性複合繊維を短繊維の形態で得た。
(試料11)
が155.0℃、MIが58であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として7.1質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名V40−EF)を第1成分(鞘成分)として用意した。Tが170.5℃、MIが58、Mzが349000、150℃ 1/2結晶化時間が19秒であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として0.9質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名A40−EF)を第2成分として用意した。これらの2つの成分を、芯鞘型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を50/50として、第1成分の紡糸温度を185℃、第2成分の紡糸温度を190℃として溶融押出し、延伸倍率(紡糸ドラフト)を417倍として、繊度8.0dtexの紡糸フィラメントを得た。
前記紡糸フィラメントを140℃の熱風中で、5.0倍に乾式延伸し、繊度約1.8dtexの延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤を付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を付与した。そして、60℃に設定したエアスルー熱処理機にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施し、フィラメントを51mmの繊維長に切断して、熱接着性複合繊維を短繊維の形態で得た。
(試料12)
第2成分の紡糸温度を200℃としたこと、紡糸フィラメントの延伸倍率を4.3倍としたこと、延伸フィラメントの繊度を約1.9dtexとしたこと以外は、試料11を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料13)
溶融押出中の延伸倍率(紡糸ドラフト)を、572倍として、紡糸フィラメントの繊度を5.8dtexとしたこと、紡糸フィラメントを乾式延伸した後の繊度を約1.3dtexとしたこと以外は、試料11を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料14)
溶融押出中の延伸倍率(紡糸ドラフト)を、572倍として、紡糸フィラメントの繊度を5.8dtexとしたこと、紡糸フィラメントの延伸倍率を6.5倍としたこと、延伸フィラメントの繊度を約1.0dtexとしたこと以外は、試料11を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料15)
第2成分として、Tが170.8℃、MIが59、Mzが357000、150℃ 1/2結晶化時間が10秒であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として0.9質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名A40−EF)を第2成分として用意したこと、溶融押出中の延伸倍率(紡糸ドラフト)を、572倍として、紡糸フィラメントの繊度を5.8dtexとしたこと、紡糸フィラメントの延伸倍率を4.3倍としたこと、延伸フィラメントの繊度を約1.3dtexとしたこと以外は、試料11を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料16)
第2成分として、Tが170.8℃、MIが59、Mzが357000、150℃ 1/2結晶化時間が10秒であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として0.9質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名A40−EF)を第2成分として用意したこと、溶融押出中の延伸倍率(紡糸ドラフト)を、370倍として、紡糸フィラメントの繊度を9.0dtexとしたこと、紡糸フィラメントの延伸倍率を4.7倍としたこと、延伸フィラメントの繊度を約2.0dtexとしたこと以外は、試料11を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料17)
が155.0℃、MIが61であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として7.1質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名V40−EF)を第1成分(鞘成分)として用意した。Tが171.0℃、MIが40、Mzが400000、150℃ 1/2結晶化時間が18秒であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として0.9質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名A40−EF−L)を第2成分として用意した。これらの2つの成分を、芯鞘型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を50/50として、第1成分の紡糸温度を185℃、第2成分の紡糸温度を190℃として溶融押出し、延伸倍率(紡糸ドラフト)を396倍として、繊度8.4dtexの紡糸フィラメントを得た。
前記紡糸フィラメントを140℃の熱風中で、4.7倍に乾式延伸し、繊度約1.8dtexの延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤を付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を付与した。そして、60℃に設定したエアスルー熱処理機にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施し、フィラメントを51mmの繊維長に切断して、熱接着性複合繊維を短繊維の形態で得た。
(試料18)
延伸倍率(紡糸ドラフト)を370倍として、繊度9.0dtexの紡糸フィラメントを得て、最終的に繊度約2.0dtexの繊維を得たこと以外は、試料17を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料19)
が155.8℃、MIが29であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として7.1質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名V30−EF)を第1成分(鞘成分)として用意した。試料15の作製で第2成分として使用したポリオキシメチレン系重合体を第2成分(芯成分)として用意した。これらの2つの成分を、芯鞘型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を50/50として、第1成分の紡糸温度を185℃、第2成分の紡糸温度を190℃として溶融押出し、延伸倍率(紡糸ドラフト)を370倍として、繊度9.0dtexの紡糸フィラメントを得た。
前記紡糸フィラメントを140℃の熱風中で、4.7倍に乾式延伸し、繊度約2.0dtexの延伸フィラメントとした。次いで、繊維処理剤を付与した後、延伸フィラメントにスタッフィングボックス型クリンパーにて機械捲縮を付与した。そして、60℃に設定したエアスルー熱処理機にて約15分間、弛緩した状態でアニーリング処理と乾燥処理を同時に施し、フィラメントを51mmの繊維長に切断して、熱接着性複合繊維を短繊維の形態で得た。
(試料20)
延伸倍率(紡糸ドラフト)を417倍として、繊度8.0dtexの紡糸フィラメントを得て、最終的に繊度約1.7dtexの繊維を得たこと以外は、試料19を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着性複合繊維を得た。
(試料21)
延伸倍率(紡糸ドラフト)を572倍として、繊度5.8dtexの紡糸フィラメントを得ようとしたところ、紡糸できなかった。
(試料22)
試料19の作製において第1成分として使用した、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名V30−EF)を第1成分(鞘成分)として用意した。Tが161.9℃、MIが31、150℃ 1/2結晶化時間が353秒であって、コモノマーであるCHCHO含有量がエチレンオキサイド換算値として2.6質量%である、ポリオキシメチレン系重合体(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製、商品名F30−EF)を第2成分として用意した。これらの2つの成分を、芯鞘型複合ノズルを用い、第1成分/第2成分の複合比(容積比)を50/50として、第1成分の紡糸温度を185℃、第2成分の紡糸温度を190℃として溶融押出し、延伸倍率(紡糸ドラフト)を370倍として、繊度9.0dtexの紡糸フィラメントを得ようとしたところ、紡糸できなかった。
(試料23)
延伸倍率(紡糸ドラフト)を100倍にして、繊度33.0dtexの紡糸フィラメントを得ようとしたところ、紡糸できなかった。
試料10〜23として得た短繊維の物性を表3〜表5に示す。表中、「−」は、その項目について測定しなかったことを示す。欄全体に「/」を記載している項目は、紡糸できなかった、または不織布を作製することができなかったために、測定できなかったことを示す。
Figure 0005404396
Figure 0005404396
Figure 0005404396
試料10〜16はいずれも紡糸性が良好であり、また、単繊維乾熱処理が比較的小さいものであった。また、試料11〜16の繊維は、カード通過性が良好で、熱接着処理付したときの繊維の収縮も小さかった。試料10について、不織布の面積収縮率は、湿式不織布を作製して測定した。そのため、面積収縮率は若干大きくなったものの、十分に実用可能なレベルであった。試料17は、第2成分として、Z平均分子量が400000のものを用いた例であり、紡糸性が若干悪かった。同じ第2成分を用いた試料18は、紡糸フィラメントの繊度を9.0dtexとし、最終的に得られる繊維の繊度を2.0dtexとしたところ、良好に紡糸することができた。
試料19および20は、第1成分の紡糸前のメルトインデックスが30以下であったものの、第2成分の紡糸前の150℃ 1/2結晶化時間が24秒であったために、良好に紡糸することができた。しかし、より細い繊維を得るために、紡糸フィラメントの繊度を小さくすると、紡糸することができなかった(試料21)。試料22は、第1成分の紡糸前のメルトインデックスが30以下であり、かつ第2成分の紡糸前の150℃ 1/2結晶化時間が長かったため、紡糸フィラメントの繊度を9.0dtexとしたときに紡糸できなかった。試料23は、試料22で用いた樹脂と同じ樹脂を用い、紡糸フィラメントを相当太くして、紡糸性の改善を図ったが、やはり紡糸できなかった。
実験例2:不織布の保水性の評価
(試料NW−1)
本発明の繊維から成る不織布の保水性を評価した。上記実験例1において製造した試料12を用いて、目付約70g/mのパラレルウェブを作製し、これに水流交絡処理を施した。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、ウェブの一方の面に水圧3MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧3.5MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。次いで、水流交絡処理後のウェブを、エアスルー熱処理機を用いて、160℃で乾燥して、熱接着不織布を得た。得られた不織布を10cm×10cmの大きさにカットし、水槽の中に入れ、浮かないように、十分に水で浸し、さらに水槽内に10分間放置した。その後、不織布を取り出し、四隅のうち3点を洗濯ばさみで挟んで10分間吊り下げた後の不織布の質量を測定して、水で浸す前の不織布の質量との差から、保水率を算出した。結果を表6に示す。
(試料NW−2、比較)
芯成分/鞘成分が、ポリプロピレン/高密度ポリエチレンである熱接着性複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製、商品名NBF(H))であって、繊度1.7dtex、繊維長51mmを有するものを用意した。この繊維を用いて、乾燥温度を140℃としたこと以外は、上記試料NW−1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って熱接着不織布を得た。さらに、この不織布の保水率を、試料NW−1で採用した方法と同じ方法で求めた。結果を表6に示す。
Figure 0005404396
一般に、保水率は、不織布の厚さが大きいほど、高くなる傾向にある。試料NW−1は、試料NW−2よりも薄いにもかかわらず、より高い保水率を示した。このことは、本発明の複合繊維が、優れた保水性を、繊維集合物に与え得ることを示している。このような保水率を示す不織布は、ウェットティッシュ、ワイパーおよびマスク等に適している。
実験例3:不織布の滑り性の評価
(試料NW−3)
本発明の繊維から成る不織布の滑り性を評価した。上記実験例1において製造した試料1を50質量%及びレーヨン繊維(繊度1.7dtex、繊維長40mm、ダイワボウレーヨン(株)製、商品名コロナ)を50質量%混綿して用いて、目付約60g/mのパラレルウェブを作製し、これに水流交絡処理を施した。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、ウェブの一方の面に水圧3MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧3.5MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。次いで、水流交絡処理後のウェブを、エアスルー熱処理機を用いて、160℃で乾燥して、熱接着不織布を得た。
(試料NW−4:比較)
芯成分/鞘成分がポリプロピレン/高密度ポリエチレンである熱接着性複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製、商品名NBF(H))であって、繊度1.7dtex、繊維長51mmを有するものを用意した。この繊維を用いて、乾燥温度を140℃としたこと以外は、上記試料NW−3を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、熱接着不織布を得た。
試料NW−3およびNW−4の不織布の滑り性を、次の手順で評価した。
(1)不織布を、10cm×10cmのサイズにカットした。
(2)ガラス板上に不織布を、3.5MPaの水圧を噴射した面がガラス板と接触するように置き、その上に厚さ1mmのアクリル板を置き、さらに200gのおもりを置いた。
(3)不織布とアクリル板をクリップで挟み、196cNまで測定可能なバネばかり((株)三光精衡所製)をクリップに取り付ける。
(4)ガラス板上で、不織布およびアクリル板の積層物を10cm滑らせた時の平均の荷重を読み取る。
試料NW−3について測定した、上記(4)に記載の荷重は、44.1cNであった。試料NW−4について測定した、上記(4)に記載の荷重は、53.9cNであった。この結果から、本発明の熱接着性複合繊維を用いて作製した不織布は、良好な滑り性を有し、例えば、ドライな状態で用いるワイパー等に適していることがわかった。
実験例4:対人ワイパーの作製および評価
(試料WP−1)
PET/HDPEの組み合わせから成る8分割型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製、商品名DFS(SH))であって、繊度2.2dtex、繊維長51mmを有するものを用意した。この分割型複合繊維70質量%と、実験1において製造した試料1の複合繊維30質量%とを混合し、目付50g/mのパラレルウェブを作製した。このウェブに水流交絡処理を施して、繊維を交絡させるとともに、分割型複合繊維を分割して極細繊維を形成させた。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、ウェブの一方の面に水圧3MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧3MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。次いで、水流交絡処理後のウェブを、エアスルー熱処理機を用いて、100℃で乾燥して、水流交絡不織布を得た。この不織布において、繊維同士は熱接着していなかった。
(試料WP−2:比較)
試料WP−1の製造で用いた分割型複合繊維のみから成る、目付50g/mのパラレルウェブを作製し、このウェブに水流交絡処理を施して、分割型複合繊維を分割させた。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、ウェブの一方の面に水圧3MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧3MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。次いで、水流交絡処理後のウェブを、エアスルー熱処理機を用いて100℃で乾燥して、水流交絡不織布を得た。
(試料WP−3:比較)
コットン(丸三産業(株)製、商品名MS−D)から成る目付50g/mのパラレルウェブを作製し、このウェブに水流交絡処理を施した。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、ウェブの一方の面に水圧2.5MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧2.5MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。次いで、水流交絡処理後のウェブを、エアスルー熱処理機を用いて100℃で乾燥して、水流交絡不織布を得た。
3つの試料を、人の肌に付着した汚れを落とすためのワイパーとして使用したときの性能を評価した。具体的には、次の手順で評価した。
(1)左手の内側に、口紅を3回塗りした後、3分間放置した。
(2)試料を、5cm×10cm(タテ方向(MD)×ヨコ方向(CD))のサイズにカットした。
(3)軽い力で、試料で左手を3回擦って、口紅を拭き取った。拭き取り後の基布および左手を観察して、拭き取り性を下記の基準に従って評価した。
1:ほとんど落ちていない
2:拭き残しが目立つ
3:汚れの多くは基布の表面に移行しているが、拭き残しが少しある(少し気になる)
4:汚れの多くは基布の表面に移行しており、拭き残しは少ない(気にならない)
5:汚れが基布の内部に移行しており、拭き残しが少ない(気にならない)
また、同様の拭き取り性を、左手内側にアイブローを3回塗りして評価した。
さらに、各試料の風合いを下記の基準に従って評価した。
1:硬くてざらざらする
2:硬くて少しざらつく
3:少し硬く、少しざらつく
4:柔らかいが、少しざらつく
5:柔らかく、ざらつきがない
さらにまた、各試料の剛軟度を、ハンドルオメータ(型式HOM−200 (株)大栄科学精器製作所製)を用いて、測定した。より具体的には、タテ方向(MD)×ヨコ方向(CD)の寸法が20cm×17.5cmである試験片を、幅10mmのスリット上にスリットと直角になるようにセットし、試験片の辺から6.7cm(試験幅の1/3)の位置をペネトレーターのブレードにて8mm押しこみ、このときの抵抗値を剛軟度として評価した。剛軟度は、1つの試料につき、タテ方向の剛軟度を2箇所にて、ヨコ方向の剛軟度を2箇所にて測定し、それらの4つの値の総和をした値で示している。
評価結果を表7に示す。
Figure 0005404396
化粧品を拭き取るシート等において汎用されているコットンから成る試料WP−3は、風合いおよび拭き取り性が、他の試料よりも悪く、また、剛軟度が大きく、粗硬感を有していた。これに対し、分割型複合繊維が分割して形成された極細繊維を含むWP−2は、当業者に既に知られているように、良好な風合いおよび拭き取り性を有していた。本発明の複合繊維を含む試料WP−1は、分割型複合繊維の割合(即ち、極細繊維の割合)が試料WP−2よりも小さいにもかかわらず、試料WP−2と同等の風合いおよび拭き取り性を示した。さらに、剛軟度は、3つの試料の中で最も低く、非常に柔らかであった。さらに、実験例3で示したように、本発明の複合繊維は、不織布の滑り性を向上させるので、試料WP−1は、当該試料で軽く肌を擦るだけで、さっと汚れを取ることが可能な、優れたワイパーであった。これらのことは、本発明の複合繊維がワイパーを構成するのに適していることを示す。
実験例5:対物ワイパーの評価
(試料WP−4)
PET/HDPEの組み合わせから成る8分割型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製、商品名DFS(SH))であって、繊度2.2dtex、繊維長51mmを有するものを用意した。この分割型複合繊維70質量%と、実験例1において製造した試料1の複合繊維30質量%とを混合し、目付27g/mのパラレルウェブを、2枚作製した。2枚のウェブの間に、木材パルプから成る目付17g/mのティッシュ(ハビックス(株)製)を挟んで三層構造の積層ウェブを得た。
この積層ウェブに水流交絡処理を施して、繊維を交絡させるとともに、分割型複合繊維を分割して極細繊維を形成させた。水流交絡処理は、孔径0.1mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられたノズルを用いて、ウェブの一方の面に水圧3MPaの柱状水流を1回噴射し、他方の面に水圧3.5MPaの柱状水流を1回噴射して実施した。次いで、水流交絡処理後のウェブを、エアスルー熱処理機を用いて、100℃で乾燥して、水流交絡不織布を得た。この不織布において、繊維同士は熱接着していなかった。
(試料WP−5)
PET/PPの組み合わせから成る16分割型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製、商品名DF−1)であって、繊度3.3dtex、繊維長51mmを有するものを用意した。この分割型複合繊維のみを用いて、試料WP−4を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、積層構造の水流交絡不織布を得た。
(試料WP−6)
試料WP−4の製造で用いた分割型複合繊維のみを用いて、試料WP−4を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、積層構造の水流交絡不織布を得た。
これらの試料を、物の表面に付着した汚れを落とすためのワイパーとして使用するときの性能を評価した。具体的には、次の手順で評価した。
試料を20cm×60cm(ヨコ方向(CD)×タテ方向(MD))の大きさにカットし、8ツ折りにした。それから、フクピカトリガー(商品名、(株)ソフト99コーポレーション製)を水で稀釈した50%水溶液を、試料に、試料の質量の250%の量で含浸させた。この湿潤状態の試料を、車のボディの塗装面で10往復させて、汚れを拭き取る作業を2回繰り返し、さらに、ボディの別の塗装面で試料を10往復させて、拭き取りの軽さ、液の出方、よれ、毛羽立ち、液残り、拭き取り性を、下記の基準に従って評価した。
軽さ 1 重くて作業しづらい
2 少し重いが作業には問題ない
3 軽いが少し抵抗感あり
4 軽くて、楽に拭ける
液の出方 1 一度にたくさん出て、少ししか拭けない
2 出方が少し多く、広い面積が拭けない
3 適度に出ているが、拭き取り面積は少し少ない
4 適度に出て広い面積が拭ける
よれ 1 拭いていてすぐによじれ出す
2 拭いていてしばらくすると、少しよじれる
3 拭いていて、しばらくすると少しよじれ気味になる
4 拭いていて基布の液が乾いてくるとよじれ気味になる
毛羽立ち 1 毛羽抜けする
2 使用時毛羽が少し抜け気味である
3 毛羽は立っているが使用時に抜けない
4 毛羽立ちが少ない
液残り 1 拭いた後の水滴が大きくなかなか乾かない
2 拭いた後の水滴がやや大きく、乾くのに少し時間がかかる
3 拭いた後の水滴が小さくすぐに乾く
4 拭いた後の水滴が微小ですぐに乾く
拭き取り性 1 きれいに拭き取れない
2 5〜6回往復させると、きれいに拭き取れる
3 2〜3回往復させると、きれいに拭き取れる
4 1〜2回往復させると、きれいに拭き取れる
評価の結果を表8に示す。
Figure 0005404396
試料WP−4は、上下層が分割型複合繊維でない本発明の複合繊維を含む構成であるにも拘わらず、上下層が分割型複合繊維のみから成る、試料WP−5よりも優れた拭き取り性を示した。また、試料WP−4は、「軽さ」を除いては、いずれの項目においても、試料WP−5より良好な結果を示した。試料WP−6は、WP−4を構成する分割型複合繊維のみから成り、極細繊維の割合が試料WP−4よりも多い。それにもかかわらず、試料WP−4は、試料WP−6とほぼ同じ性能を示した。これらのことは、本発明の複合繊維が、ワイパーを構成するのに適していることを示す。
実験例6:不織布の圧縮回復性の評価
(試料MA−1:比較)
高弾性PET繊維(帝人ファイバー(株)製、商品名エルク、繊度6.6dtex、繊維長64mm)30質量%と、中空PET繊維(ユニチカ(株)製、商品名H18F、繊度6.7dtex、繊維長51mm)50質量%、および潜在捲縮性PET繊維(ユニチカ(株)製、商品名C81、繊度2.8dtex、繊維長51mm)20質量%を混合して、パラレルウェブを作製した後、クロスレイヤーでウェブを積層し、目付を800g/mの積層ウェブを得た。この積層ウェブを、200℃のオーブンにて7分間加熱処理し、厚み28mmのスポンジ状の嵩高不織布を得た。
(試料MA−2)
実験1で作製した試料3の芯鞘型複合繊維から成る、パラレルウェブを作製した後、クロスレイヤーでウェブを積層し、目付800g/mの積層ウェブを得た。この積層ウェブを、156℃のオーブンにて7分間加熱処理し、厚み25mmのスポンジ状の嵩高不織布を得た。
試料を、10cm×10cmの大きさにカットし、その上に5.6kgのおもりを載せて24時間放置した。放置後、おもりを取って、不織布の厚みを経時的に測定し、嵩回復性を評価した。評価結果を表9に示す。
Figure 0005404396
比較のために作製した試料MA−1は、高弾性繊維および捲縮性繊維を含み、例えばベッドマットとして使用することができるほど、嵩高く、また、高い嵩回復性を有し、特に初期嵩回復性が高い。一方、本発明の熱接着性複合繊維は、潜在捲縮性および弾性を有するものでないにもかかわらず、除重後24時間の嵩回復率は100%であり、優れた嵩回復性を示した。このような嵩回復性を示す不織布は、クッション材およびブラジャーパッド等に適している。
実験例7:不織布の防しわ性および剛軟度の評価
(試料WR−1:比較)
芯/鞘が、PET/HDPEであり、芯:鞘(質量比)が1:1である、同心芯鞘型複合繊維(ダイワボウポリテック(株)製、商品名NBF(SH)、繊度2.2dtex,繊維長51mm)から成る、目付28.7g/mのパラレルカードウェブを作製した。このウェブを、エアスルー熱処理機を用いて、140℃で12秒間熱処理し、厚み1.45mmの熱接着不織布を得た。
(試料WR−2)
実験例1で作製した試料3の芯鞘型複合繊維から成る、目付27.4g/mのパラレルカードウェブを作製した。このウェブを、エアスルー熱処理機を用いて、156℃で12秒間熱処理し、厚み0.85mmの熱接着不織布を得た。
2つの試料について、JIS L 1085に準じて、防しわ率(針金法)を測定するとともに、JIS L 1096(45°カンチレバー法)に準じて、剛軟度を測定した。結果を表10に示す。
Figure 0005404396
一般的な熱接着性複合繊維で作製した試料WR−1は、柔らかく、しわが生じやすいものであった。これに対し、本発明の熱接着性複合繊維で作製した試料WR−2は、試料WR−1と比較して高い剛性を有していた。さらに、この試料は、折り曲げた状態から解放すると、瞬時に開いて、元のシート形状に戻り、折り目も残らず、高い防しわ性を示した。このような高い防しわ率を有する不織布は、衛生材料(生理用品、紙おむつ)の構成要素(例えば、衛生材料の形状を保持するためのシート)、および芯地に適している。
実験例8:成形体の製造
実験例1で製造した試料12の繊維から成る、パラレルカードを作製し、これをクロスレイヤーで重ねて、200g/mの目付を有する、積層ウェブを作製した。それから、積層ウェブを20cm×20cmにカットした。
金属網から成る茶こしであって、φ60mm×深さ60mmの寸法のもの、およびφ50mm×深さ55mmの寸法のものを用意した。2つの茶こしの間に積層ウェブが位置するように、2つの茶こしを重ねた。茶こしに挟まれたウェブは、バッチ式エアスルー熱処理機で、温度161℃にて、15分間、熱処理に付した。熱処理後、茶こしをとると、厚さ約5mmの底の丸い、カップ状の成形体が得られた。このような成形体は、例えばフィルター等に適している。
本発明の熱接着性複合繊維は、各成分をポリオキシメチレン系重合体のみから構成することにより、それのみで繊維同士が接着された繊維集合物(特に不織布)を作製することを可能にする。また、本発明の熱接着性複合繊維は、繊維集合物に、高い保水性、滑り性(slippablity)、防しわ性、および嵩回復性、ならびに良好な拭き取り性を付与する。よって、本発明の熱接着性複合繊維は、耐熱性及び耐薬品性が望まれる、種々の用途に適用可能な繊維集合物を製造するのに有用である。

Claims (17)

  1. ポリオキシメチレン系重合体Aを含む熱接着成分としての第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを含み、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AのJIS K 7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定されるメルトインデックス(g/10min)を、MIとしたとき、30<MIを満たし、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒以上30秒未満であり、
    紡糸後のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれTfおよびTfとしたときに、Tf>Tf+10を満たす、熱接着性複合繊維。
  2. 紡糸後のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒〜100秒である、請求項1に記載の熱接着性複合繊維。
  3. ポリオキシメチレン系重合体Aを含む熱接着成分としての第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを含み、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒以上30秒未満であり、
    紡糸後のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれTfおよびTfとしたときに、Tf>Tf+10を満たす、熱接着性複合繊維。
  4. ポリオキシメチレン系重合体Aを含む熱接着成分としての第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを含み、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出しており、
    紡糸後のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒〜100秒であり、
    紡糸後のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定され
    る融解ピーク温度をそれぞれTfおよびTfとしたときに、Tf>Tf+10を満たす、熱接着性複合繊維。
  5. 紡糸前のポリオキシメチレン系重合体BのZ平均分子量が50万以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
  6. 紡糸後の複合繊維について測定されるZ平均分子量が35万以下である、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
  7. 第1成分と第2成分とから成り、第1成分が鞘成分であり、第2成分が芯成分である、芯鞘型複合繊維である、請求項1〜のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維。
  8. 第2成分の重心位置が繊維の重心位置からずれている偏心芯鞘型断面を有する、請求項に記載の熱接着性複合繊維。
  9. 二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBであって、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AのJIS K 7210(条件:190℃、荷重21.18N(2.16kg))に準じて測定されるメルトインデックス(g/10min)を、MIとしたとき、30<MIを満たし、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒以上30秒未満であり、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれ、TおよびTとしたときに、T>T+10を満たす、二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBを用意し、
    ポリオキシメチレン系重合体Aを含む第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出するように複合紡糸し、
    紡糸した繊維を延伸処理に付し、
    延伸処理した繊維を、温度60℃〜110℃にて、アニーリング処理に付すこと
    を含む、熱接着性複合繊維の製造方法。
  10. 二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBであって、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体Bの150℃ 1/2結晶化時間が、10秒以上30秒未満であり、
    紡糸前のポリオキシメチレン系重合体AおよびBのJIS K 7121に従って測定される融解ピーク温度をそれぞれ、TおよびTとしたときに、T>T+10を満たす、二種類のポリオキシメチレン系重合体AおよびBを用意し、
    ポリオキシメチレン系重合体Aを含む第1成分と、ポリオキシメチレン系重合体Bを含む第2成分とを、第1成分が繊維の周面の長さに対して20%以上の長さで露出するように複合紡糸し、
    紡糸した繊維を延伸処理に付し、
    延伸処理した繊維を、温度60℃〜110℃にて、アニーリング処理に付すこと
    を含む、熱接着性複合繊維の製造方法。
  11. アニーリング処理温度は、60℃〜90℃である、請求項または10に記載の熱接着性複合繊維の製造方法。
  12. 紡糸を、ドラフト倍率が100〜1000倍となるように実施し、延伸処理を、延伸倍率が4〜10倍となるように実施する、請求項11のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維の製造方法。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載の熱接着性複合繊維を10質量%以上含む、繊維集合物。
  14. 繊維同士が熱接着されている、請求項13に記載の繊維集合物。
  15. 不織布である、請求項13または14に記載の繊維集合物。
  16. 請求項15に記載の不織布を含む、ワイパー。
  17. 成形体である、請求項13に記載の繊維集合体。
JP2009523651A 2007-07-19 2008-07-15 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物 Active JP5404396B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009523651A JP5404396B2 (ja) 2007-07-19 2008-07-15 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007187960 2007-07-19
JP2007187960 2007-07-19
JP2009523651A JP5404396B2 (ja) 2007-07-19 2008-07-15 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物
PCT/JP2008/062760 WO2009011346A1 (ja) 2007-07-19 2008-07-15 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2009011346A1 JPWO2009011346A1 (ja) 2010-09-24
JP5404396B2 true JP5404396B2 (ja) 2014-01-29

Family

ID=40259679

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009523651A Active JP5404396B2 (ja) 2007-07-19 2008-07-15 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物

Country Status (4)

Country Link
US (1) US20100190406A1 (ja)
JP (1) JP5404396B2 (ja)
TW (1) TWI467069B (ja)
WO (1) WO2009011346A1 (ja)

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5261207B2 (ja) * 2009-01-19 2013-08-14 ダイワボウホールディングス株式会社 成形フィルターおよび筒状フィルターとその製造方法
US9356272B2 (en) * 2010-03-30 2016-05-31 Daiwabo Holdings Co., Ltd. Polyolefin-based split-type conjugate fiber, fiber assembly and battery separator using the same and method for producing the same
FR2997146B1 (fr) * 2012-10-22 2014-11-21 Hydromecanique & Frottement Element d'articulation autolubrifiant fonctionnant sous fortes charges en regime dynamique
CA2832794C (en) * 2012-11-07 2016-03-22 2266170 Ontario Inc. Beverage capsule with moldable filter
JP6241072B2 (ja) * 2013-05-29 2017-12-06 東レ株式会社 海島型複合繊維
TWI704259B (zh) * 2015-03-18 2020-09-11 日商三菱瓦斯化學股份有限公司 纖維之用途
MY189735A (en) 2015-09-18 2022-02-28 Mitsubishi Gas Chemical Co Cloth having excellent contact cold sensation and colorfastness
EP3351662A4 (en) * 2015-09-18 2018-10-24 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Fiber for cool contact sensation and fiber product in which same is used
CN107805850B (zh) * 2017-10-16 2020-06-19 唐山开滦化工科技有限公司 一种高强高模聚甲醛纤维及其制备方法
CN110720664B (zh) * 2019-10-15 2021-11-05 南通醋酸纤维有限公司 一种气溶胶生成结构、制备方法及应用

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003089925A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Polyplastics Co ポリオキシメチレン繊維及びその製造方法
JP2006009205A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Polyplastics Co ポリオキシメチレン樹脂製複合繊維
JP2008138331A (ja) * 2006-12-04 2008-06-19 Mitsubishi Gas Chem Co Inc オキシメチレン共重合体多層繊維
JP2008163505A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Mitsubishi Gas Chem Co Inc オキシメチレン複合繊維

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0717133B1 (de) * 1994-12-16 2001-03-21 Hoechst Trevira GmbH & Co. KG Hybridgarn und daraus hergestelltes schrumpffähiges und geschrumpftes, permanent verformbares Textilmaterial, seine Herstellung und Verwendung
US7465684B2 (en) * 2005-01-06 2008-12-16 Buckeye Technologies Inc. High strength and high elongation wipe

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003089925A (ja) * 2001-09-18 2003-03-28 Polyplastics Co ポリオキシメチレン繊維及びその製造方法
JP2006009205A (ja) * 2004-06-28 2006-01-12 Polyplastics Co ポリオキシメチレン樹脂製複合繊維
JP2008138331A (ja) * 2006-12-04 2008-06-19 Mitsubishi Gas Chem Co Inc オキシメチレン共重合体多層繊維
JP2008163505A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Mitsubishi Gas Chem Co Inc オキシメチレン複合繊維

Also Published As

Publication number Publication date
WO2009011346A1 (ja) 2009-01-22
JPWO2009011346A1 (ja) 2010-09-24
TWI467069B (zh) 2015-01-01
TW200914659A (en) 2009-04-01
US20100190406A1 (en) 2010-07-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5404396B2 (ja) 熱接着性複合繊維およびその製造方法、ならびに繊維集合物
JP6651849B2 (ja) 海島複合繊維、複合極細繊維および繊維製品
JP2003003334A (ja) 捲縮性複合繊維とその製造方法およびこれを用いた不織布
JP7241279B2 (ja) 芯鞘型複合繊維、その製造方法、およびそれを含む繊維集合物
TWI776814B (zh) 熱熔接性複合纖維和使用其的不織布、製品
JP2909164B2 (ja) 吸水性能の優れた複合繊維および不織布
JP7001901B2 (ja) 水流交絡不織布
JPS63243324A (ja) 熱接着繊維及びその不織布
JP3017507B2 (ja) 積層不織布
JP7447090B2 (ja) 複合繊維、その製造方法、熱接着不織布、吸収性物品用表面シート、および吸収性物品
JPH10331063A (ja) 複合不織布およびその製造方法
JP3725716B2 (ja) 極細繊維発生可能繊維、これから発生した極細繊維及びこの極細繊維を用いた繊維シート
JP4015831B2 (ja) 極細繊維不織布およびその製造方法
JP7395101B2 (ja) 分割型複合繊維、それを用いた短繊維不織布及びその製造方法
JP3967848B2 (ja) 清掃用不織布およびその製造方法
JP4728160B2 (ja) 分割型複合繊維、繊維集合物および不織布
JP3145067B2 (ja) 不織布およびその製造方法
JP2011202302A (ja) 詰め綿用混合原綿及び詰め綿
JPH0913257A (ja) ドライ感を有する繊維構造物
JP5248832B2 (ja) ポリカーボネート分割型複合繊維、それを用いた繊維集合物及び不織布
JP2013170340A (ja) エアレイド不織布用繊維および該繊維を用いたエアレイド不織布
KR102183245B1 (ko) 밀착성이 우수한 혼섬부직포
JPH10158968A (ja) 不織布およびその製造方法
JP4922232B2 (ja) ポリ乳酸繊維およびそれを用いてなる繊維製品
JP7032780B2 (ja) 連続繊維不織布およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110711

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130924

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131022

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131029

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5404396

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350