JP5404237B2 - 繊維処理剤および合成繊維の製造方法 - Google Patents

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本発明は、繊維処理剤および合成繊維の製造方法に関する。本発明は、さらに詳しくは、短繊維、特に紡績に用いられる合成短繊維を製造するための少なくとも1つの工程で使用される繊維処理剤およびこれを用いた合成繊維の製造方法に関する。
合成繊維紡績用繊維処理剤としては、従来から、各種のアルキル燐酸エステル塩を主成分とし、ノニオン活性剤を配合したものが広く用いられている。なかでも、平均炭素数16〜22のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルカリウム塩を主成分とした繊維処理剤が主流である。
上記繊維処理剤は高温多湿条件下であっても粘着性が小さいため、紡績工程においてローラー巻付や脱落スカムの発生が少ないという特性を有している。また、適正な配合成分を用いることに高速紡績に適応するという特性がある(特許文献1〜4等参照)。
特許第3222215号公報 特開2002−020971号公報 特開2004−204363号公報 特開2008−063713号公報
これらの特許文献の繊維処理剤は、平均炭素数16〜22のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルカリウム塩を主成分としており、その1重量%水性液のpHは約10であるので、かなりアルカリ性が強い。したがって、これらの処理剤は、アルカリによって黄変や脆化する繊維や、その最終製品が肌に直接触れる繊維の処理剤としては好ましくない。
この問題を解決するために、平均炭素数16〜22のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルカリウム塩のpHを現状より下げると、製品状態や溶解性が著しく悪くなり、さらに付与された繊維の制電性およびカード通過性が著しく低下する。
一方、以前から繊維処理剤に使用されていた平均炭素数12程度のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルカリウム塩主体の繊維処理剤は、ほぼ中性である。しかし、高温多湿条件下では粘着性が大きく、ローラー巻付や脱落スカムの発生が多いため、高温多湿条件下では使用できない。
また、液状ノニオン活性剤主体の繊維処理剤もほぼ中性であり、高温多湿条件下での粘着性も比較的小さい。しかし、アルキル燐酸エステルカリウム塩主体の繊維処理剤に比べるとカード通過性が劣り、精紡時の糸切れが多いという問題がある。
本発明の目的は、カード通過性が良好で、高温多湿条件下でもカード・練条・粗紡・精紡等の紡績工程においてローラー巻付や脱落スカムの発生が少ない短繊維を製造するために使用でき、pHが弱酸性〜弱アルカリ性域にある繊維処理剤、および、この繊維処理剤を用いて行われる合成繊維の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、非弗素系アクリル樹脂と、特定の炭素数を有するアルキル基を含むアルキル燐酸エステルカリウム塩および/またはポリオキシアルキレンアルキル燐酸エステルカリウム塩とを必須成分とし、それぞれの量が最適化された繊維処理剤であれば、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかる繊維処理剤は、非弗素系アクリル樹脂からなるA成分と、炭素数6〜8のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルカリウム塩および/またはポリオキシアルキレンアルキル燐酸エステルカリウム塩からなるB成分を必須成分として含むものであり、A成分を100重量%としたときに、B成分の配合割合が5〜100重量%である。
本発明の繊維処理剤では、以下に示す(1)〜(3)から選ばれるいずれかの構成要件をさらに満足すると好ましい。
(1)ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルおよびポリアルキレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種のC成分をさらに含有する。
(2)上記(1)において、A成分を100重量%としたときに、B成分の配合割合が5〜50重量%であり、C成分の配合割合が5〜50重量%である。
(3)繊維処理剤が水をさらに含む水性液となっており、A成分およびB成分の合計量の繊維処理剤全体に占める配合割合が0.05〜20重量%である。
本発明にかかる合成繊維の製造方法は、紡糸工程、延伸工程および仕上工程から選ばれる少なくとも1つの工程で、上記繊維処理剤を原料合成繊維に付与する製造方法である。ここで、合成繊維に付着したA成分およびB成分の合計量が合成繊維の0.08〜2.0重量%となるように調整されると好ましく、合成繊維がポリエステル繊維であるとより効果を発揮し、なかでもポリエチレンテレフタレート繊維であるとさらに効果を発揮する。
本発明の繊維処理剤は、カード通過性が良好で、高温多湿条件下でもカード・練条・粗紡・精紡等の紡績工程においてローラー巻付や脱落スカムの発生が少ない短繊維を製造するためのいずれかの工程で使用することができる。特に、オープンエンド精紡において最適であり、糸切れおよびロータースカムが少ないという優れた特性が発揮される。
また、この繊維処理剤は、pHが弱酸性〜弱アルカリ性域にあるので、アルカリによって黄変や脆化する繊維や、その最終製品が肌に直接触れる繊維の処理剤として適用できる。
また、たとえば、本発明の製造方法を経て得られたポリエステル短繊維では、高温多湿条件下であってもカード・練条・粗紡・精紡等の紡績工程においてローラー巻付や脱落スカムの発生が少ない。特に、オープンエンド精紡において糸切れおよびロータースカムが少なく、このポリエステル短繊維からは品質良好な紡績糸が得られる。
U%の定義を示す模式図
〔繊維処理剤〕
本発明の繊維処理剤は、A成分およびB成分を必須成分とする繊維処理剤であり、好ましくはC成分をさらに含有する。
本発明の繊維処理剤は、合成繊維製造においては、紡糸工程、延伸工程および仕上工程から選ばれる少なくとも1つの工程で使用される。したがって、本発明の繊維処理剤は、紡糸工程、延伸工程および仕上工程のいずれか1つの工程で使用されていてもよいが、仕上工程で使用されるのが好ましい。
以下、本発明の繊維処理剤を構成する各成分を説明する。
<A成分>
A成分は、非弗素系アクリル樹脂である(以下では、「非弗素系アクリル樹脂」を、簡単のために「アクリル樹脂」ということがある)。A成分は繊維に対して高い接圧下での油膜強度と若干の平滑性を付与し、さらに粘着性を低減させローラー巻付を防止する成分である。なお、弗素系アクリル樹脂はA成分ではなく、これを含有した繊維処理剤では、紡績工程、特にカード・練条工程において、静電気障害が発生する等の問題がある。
アクリル樹脂は、アクリル酸および/またはその誘導体を必須成分とし、弗素系単量体を含有しない重合性成分を重合して得られる重合物である。たとえば、化学式(AM1)〜(AM4)等で示される単量体を必須成分とする重合性成分を重合して得られる重合物である。重合物が共重合物の場合、それぞれの単量体同士の結合形式については特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよいが、通常はランダム状である。
アクリル酸の誘導体としては、たとえば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸、エタクリル酸等のα−置換アクリル酸;メタクリル酸メチル等のα−置換アクリル酸エステル(以上、化学式(AM1))等や、(α−置換)アクリル酸アミド(化学式(AM2))、(α−置換)アクリロニトリル(化学式(AM3))、(α−置換)アクリル酸アミドメチロール化物(化学式(AM4))等が挙げられる。
これらの単量体の比率については特に制限はないが、化学式(AM1)で示される単量体の重量割合が重合性成分の50重量%以上であるのが好ましく、70重量%以上であるとさらに好ましい。
Figure 0005404237
(但し、化学式(AM1)においてRおよびRは好ましくは水素原子または炭化水素基である)
Figure 0005404237
Figure 0005404237
Figure 0005404237
(但し、化学式(AM2)〜(AM4)においてRは好ましくは水素原子または炭化水素基である)
上記化学式(AM1)〜(AM4)において、炭化水素基の炭素数は8以下が好ましく、炭素数4以下がさらに好ましい。炭化水素基の炭素数が8より大きいと、得られたアクリル樹脂の粘着性が大きくなり、紡績工程においてカード通過性が悪くなるほか、ローラー巻付や脱落スカムの発生が多くなる。
重合性成分は、アクリル酸および/またはその誘導体以外にその他の単量体をさらに含んでいてもよい。その他の単量体としては、たとえば、マレイン酸(エステル)等のアクリル酸以外の不飽和酸(エステル)、スチレン等の不飽和炭化水素、酢酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニル等の弗化物以外のハロゲン化ビニル等を挙げることができる。なお、その他の単量体は、弗素系単量体を含有しない。
その他の単量体の炭素数については、特に限定はないが、8以下が好ましく、4以下がさらに好ましい。その他の単量体の炭素数が8を超えると、得られたアクリル樹脂の粘着性が大きくなり、紡績工程においてカード通過性が悪くなるほか、ローラー巻付や脱落スカムの発生が多くなることがある。
重合性成分がその他の単量体をさらに含む場合、その重量割合は、重合性成分の80重量%以下であるのが好ましく、60重量%以下であるのがより好ましく、40重量%以下であるとさらに好ましい。
その他の単量体をさらに含有する重合性成分を重合して得られる重合物としては、たとえば、アクリル−スチレン共重合体、アクリル−酢酸ビニル共重合体、アクリル−塩化ビニル共重合体等が挙げられる。
アクリル樹脂が(α−置換)アクリル酸を必須成分とする重合性成分を重合して得られる重合物の場合、そのカルボキシル基の全部または一部が苛性アルカリやアンモニア水等のアルカリ性物質によって中和されていてもよい。その場合、アクリル樹脂の乾燥重量当りの酸価(単位:mg/gKOH)は、50以下が好ましく、30以下であるとより好ましく、10以下であるとさらに好ましい。
アクリル樹脂は、練条、粗紡および精紡工程における巻付防止の観点から、以下の説明においてAOとして示されるオキシアルキレン基を含まない方がよい場合がある。この場合、アクリル樹脂に含まれるオキシアルキレン基の合計重量割合は、好ましくは20重量%未満、より好ましくは15重量%未満、さらに好ましくは10重量%未満、特に好ましくは5重量%未満、最も好ましくは0重量%である。オキシアルキレン基の合計重量割合が20重量%以上であると、粘着性が高まり、巻付が発生することがある。
重合性成分の重合方法については特に制限はないが、好ましくは乳化重合を挙げることができる。乳化重合であると、得られるアクリル樹脂は水性液中に乳化分散した形態となっているので乳化工程を経ずにそのまま使用することができる。
乳化重合で用いる乳化剤としては、アニオン活性剤、ノニオン活性剤、両性活性剤のいずれかが好ましい。カチオン活性剤を乳化剤に用いると、得られるアクリル樹脂を含む水性液もカチオン性となるため、各成分を配合した際に、アニオン性のB成分とコンプレックスを形成して溶液安定性が悪くなることがある。乳化剤の配合比率は、粘着性の観点から重合性成分の5重量%以下が好ましく、3重量%以下であるとさらに好ましい。
アクリル樹脂の分子量については特に制限はないが、油膜強度と取り扱い性の観点から、重量平均分子量で10万〜30万のものが好ましく、12万〜25万のものがより好ましい。アクリル樹脂の軟化点についても特に制限はないが、粘着性と油膜強度の観点から、30℃以上のものが好ましく、50℃以上のものがより好ましい。
<B成分>
B成分は炭素数6〜8のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルカリウム塩および/またはポリオキシアルキレンアルキル燐酸エステルカリウム塩である。B成分は繊維に制電性と若干の集束性および油膜強度を付与する成分である。なお、ここで、炭素数6〜8とは、アルキル燐酸エステルカリウム塩を構成するアルキル基の炭素数が6〜8であるという意味であり、ポリオキシアルキレン結合の分の炭素は含まない。
B成分としては、たとえば、n−ヘキシル燐酸カリウム、n−ヘプチル燐酸カリウム、n−オクチル燐酸カリウム、ポリオキシエチレンn−オクチル燐酸カリウム等が挙げられる。なかでも、B成分がn−ヘキシル燐酸カリウムであると、高速紡績時の制電性、巻付防止性およびスカム防止性のバランスが良いという点で好ましい。B成分は、これらのアルキル燐酸エステルカリウム塩のうちの1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。
B成分としては、たとえば、下記化学式(B1)で示されるモノアルキル燐酸ジカリウムまたはモノ(ポリオキシアルキレンアルキル)燐酸ジカリウム(B1成分)、下記化学式(B2)で示されるジアルキル燐酸モノカリウムまたはビス(ポリオキシアルキレンアルキル)燐酸モノカリウム(B2成分)、下記化学式(B3)で示されるモノアルキル燐酸水素モノカリウムまたはモノ(ポリオキシアルキレンアルキル)燐酸水素モノカリウム(B3成分)、および下記化学式(B4)で示される縮合燐酸アルキルエステルのカリウム塩または縮合燐酸ポリオキシアルキレンアルキルエステルのカリウム塩(B4成分)等を挙げることができる。下記化学式(B4)で示されるB4成分は、その1例で燐酸が縮合した2量体となった構造に基づくものであるが、さらに縮合した3量体、4量体、・・・・等となった構造に基づくものでもよい。B成分は、これらの成分のうちの1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。無論、B成分は、これらの成分の4種から構成されていてもよい。B成分は、通常、これらの成分の混合物を意味する。
Figure 0005404237
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Figure 0005404237
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(但し、上記化学式(B1)〜(B4)において、Rは炭素数6〜8のアルキル基であり、AOはオキシアルキレン基、nはモル数であり、通常平均モル数で表記され、nは0または正数である)
としては、炭素数6〜8のアルキル基であれば特に限定はないが、直鎖のアルキル基が好ましい。たとえば、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等のアルキル基を挙げることができる。これらのうちでも、n−ヘキシル基が特に好ましい。
化学式(B1)〜(B4)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。また、化学式(B1)〜(B4)において、nはオキシアルキレン基の平均モル数を示し、一般には平均付加モル数ということもある。nは好ましくは0〜10であり、さらに好ましくは0〜4であり、特に好ましくは0である。nが10超であってもよいが、この場合は、スカム発生が紡績工程において多くなり、粘着性が増大してローラー巻付が発生することがある。
B成分の製造方法については、特に限定はないが、たとえば、炭素数6〜8のアルコールまたは前述のアルコールにエチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加させたポリオキシアルキレンアルキルエーテルを無水燐酸と反応させて酸性アルキル燐酸エステルとし、さらに水酸化カリウムで中和して製造できる。
炭素数6〜8のアルコールとしては、炭素数6〜8の直鎖の鎖式飽和第1級アルコールが好ましく、たとえば、n−ヘキシルアルコール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール等を挙げることができる。これらのアルコールを1種または2種以上使用してもよい。
上記製造方法でB成分を製造した場合、得られるB1成分〜B4成分のモル比率は、おおむね(B1成分)>(B2成分)>(B4成分)>(B3成分)を満たすが、B1成分およびB2成分の比率は同等または逆転する場合もある。
<C成分>
C成分は、本発明の繊維処理剤においてさらに含有してもよい成分である。C成分はポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレンアルキレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種であり、繊維に集束性を付与し、また繊維処理剤の繊維への濡れ性を付与する成分である。C成分は、1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、たとえば、下記化学式(C1)で表現することができる成分であり、この成分をC1成分ということがある。
Figure 0005404237
(但し、化学式(C1)において、Rはアルキル基、AOはオキシアルキレン基、nはモル数であり、通常平均モル数で表記される。)
化学式(C1)において、Rはアルキル基であれば特に制限はないが、Rが炭素数8〜14のアルキル基であるのが好ましく、Rが直鎖であるとさらに好ましい。Rの炭素数が8〜14の範囲外であってもよいが、Rの炭素数が8未満であると、濡れ性が悪くなることがある。一方、Rの炭素数が14超であると、集束性が悪くなることがある。
としては、たとえば、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、ラウリル基、n−トリデシル基、ミリスチル基、2−エチルヘキシル基、iso−ウンデシル基、iso−トリデシル基、2−ドデシル基、3−ドデシル基、2−トリデシル基、3−トリデシル基等を挙げることができる。
化学式(C1)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、制電性および濡れ性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基がオキシエチレン基を含む場合、オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
化学式(C1)において、nはオキシアルキレン基の平均モル数を示し、一般には平均付加モル数ということもある。オキシアルキレン基の平均モル数は、C1成分1モル当たりに含まれるオキシアルキレン基の総モル数を意味する。nは好ましくは3〜12である。nが3〜12の範囲外であってもよいが、nが3未満であると、濡れ性が悪くなることがある。一方、nが12超であると、スカム発生が紡績工程において多くなり、粘着性が増大してローラー巻付が発生することがある。
C1成分としては、たとえば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンミリスチルエーテル等が挙げられる。C1成分は、これらのうちの1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。
C1成分は、たとえば、n−オクチルアルコール、ラウリルアルコール等の鎖式飽和アルコールに、触媒存在下で、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加反応させて製造される。
次に、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルは、たとえば、下記化学式(C2)で表現することができる成分であり、この成分をC2成分ということがある。
Figure 0005404237
(但し、化学式(C2)において、Rはアルケニル基(炭化水素基中に二重結合1つ)、AOはオキシアルキレン基、nはモル数であり、通常平均モル数で表記される。)
C2成分について特に制限はないが、Rが炭素数8〜18のアルケニル基であるのが好ましく、Rが直鎖であるとさらに好ましい。なお、2重結合部分の結合形態は、シスおよびトランスのいずれでもよい。Rの炭素数が8〜18の範囲外であってもよいが、Rの炭素数が8未満であると、濡れ性が悪くなることがある。一方、Rの炭素数が18超であると、集束性が悪くなることがある。
としては、たとえば、3−ドデセニル基、オレイル基、エライジル基等を挙げることができる。
化学式(C2)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、制電性および濡れ性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基がオキシエチレン基を含む場合、オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
化学式(C2)において、nはオキシアルキレン基の平均モル数を示し、一般には平均付加モル数ということもある。オキシアルキレン基の平均モル数は、C2成分1モル当たりに含まれるオキシアルキレン基の総モル数を意味する。好ましくは3〜12である。nが3〜12の範囲外であってもよいが、nが3未満であると、濡れ性が低くなることがある。一方、nが12超であると、スカム発生が多くなり、粘着性が増大して紡績工程においてローラー巻付が発生することがある。
C2成分としては、たとえば、ポリオキシエチレン3−ドデセニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンエライジルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン3−ドデセニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエライジルエーテル等が挙げられる。C2成分は、これらのうちの1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。
C2成分は、たとえば、3−ドデセン1−オール、オレイルアルコール、エライジルアルコール等の鎖式不飽和アルコールに、触媒存在下で、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加反応させて製造される。
次に、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルは、たとえば、下記化学式(C3)で表現することができる成分であり、この成分をC3成分ということがある。
Figure 0005404237
(但し、化学式(C3)において、Rはアルキル基、AOはオキシアルキレン基、nはモル数であり、通常平均モル数で表記される。)
C3成分について特に制限はないが、Rが炭素数6〜12のアルキル基であるのが好ましく、Rが直鎖であるとさらに好ましい。Rの炭素数が6〜12の範囲外であってもよいが、Rの炭素数が6未満であると、濡れ性が悪くなることがある。一方、Rの炭素数が12超であると、集束性が悪くなることがある。
としては、たとえば、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、ラウリル基、2−エチルヘキシル基、iso−ノニル基、iso−デシル基、iso−ウンデシル基、2−オクチル基、3−オクチル基、2−ノニル基、3−ノニル基、2−2−ドデシル基、3−ドデシル基等を挙げることができる。
化学式(C3)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、制電性および濡れ性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基がオキシエチレン基を含む場合、オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
化学式(C3)において、nはオキシアルキレン基の平均モル数を示し、一般には平均付加モル数ということもある。オキシアルキレン基の平均モル数は、C3成分1モル当たりに含まれるオキシアルキレン基の総モル数を意味する。nは好ましくは3〜12である。nが3〜12の範囲外であってもよいが、nが3未満であると、濡れ性が悪くなることがある。一方、nが12超であると、スカム発生が紡績工程において多くなり、粘着性が増大してローラー巻付が発生することがある。
化学式(C3)において、Cに結合するRおよびO(酸素原子)の位置関係(配向性)はオルト、メタ、パラいずれでもよい。
C3成分としては、たとえば、ポリオキシエチレンヘキシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル等が挙げられる。C3成分は、これらのうちの1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。
C3成分は、たとえば、オクチルフェノール、ノニルフェノール等の鎖式飽和アルキル基を有するフェノールに、触媒存在下で、エチレンオキシド等のアルキレンオキシドを付加反応させて製造される。
次に、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルは、たとえば、下記化学式(C4)で表現することができる成分であり、この成分をC4成分ということがある。
Figure 0005404237
(但し、化学式(C4)において、RおよびRは炭素数1以上の脂肪族アシル基または水素原子である。RおよびRは同一でも異なっても構わないが、RおよびRの両方が水素原子である場合は除かれる。また、AOはオキシアルキレン基、nは平均モル数である。なお、通常はC4成分の化学名は脂肪族アシル基とnの数値の組み合わせではなく、構成する脂肪酸とポリアルキレングリコールの分子量(MWと略すこともある)の組み合わせで表記される。)
C4成分について特に制限はないが、R、Rの一方が炭素数8〜14の飽和脂肪族アシル基または炭素数8〜18の不飽和脂肪族アシル基、もう一方が水素原子であるもの、つまりポリアルキレングリコールモノ脂肪酸エステルが好ましい。C4成分がポリアルキレングリコールジ脂肪酸エステルであると制電性・濡れ性が悪くなることがある。また、脂肪族アシル基の炭素数が8未満であると、濡れ性が悪くなることがある。一方、脂肪族アシル基の炭素数が14超(不飽和の場合は18超)であると、集束性が悪くなることがある。また、アシル基の炭化水素の部分は直鎖であればより好ましい。
およびRの例としては、たとえば、C15CO基(カプリロイル基)、C19CO基(カプロイル基)、C1123CO基(ラウロイル基)、C1327CO基(ミリストイル基)、cis−C1733CO基(オレオイル基)、trans−C1733CO基(エライジオイル基)等を挙げることができる。
化学式(C4)において、AOはオキシアルキレン基であり、たとえば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等を挙げることができる。なかでも、オキシアルキレン基としては、制電性および濡れ性の点で、オキシエチレン基が好ましい。
オキシアルキレン基がオキシエチレン基を含む場合、オキシアルキレン基全体に占めるオキシエチレン基の割合は、好ましくは75モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
オキシアルキレン基が2種以上のオキシアルキレン基から構成される場合、それぞれ種類の異なるオキシアルキレン基の結合形式については、特に限定はなく、ブロック状、ランダム状、交互状のいずれの結合形式であってもよい。
化学式(C4)において、nはオキシアルキレン基の平均モル数を示し、好ましくは6〜14、ポリアルキレングリコールの分子量に換算すると300〜600である。nが6未満であると制電性や濡れ性が悪くなることがある。一方、nが14超であると、スカム発生が紡績工程において多くなり、粘着性が増大してローラー巻付が発生することがある。
C4成分としてはポリエチレングリコール(MW=300)モノカプリル酸エステル、ポリエチレングリコール(MW=300)モノカプリン酸エステル、ポリエチレングリコール(MW=300)モノラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール(MW=400)モノラウリン酸エステル、ポリエチレングリコール(MW=400)モノオレイン酸エステル、ポリエチレングリコール(MW=600)モノオレイン酸エステル、ポリプロピレングリコール(MW=400)モノラウリン酸エステル等が挙げられる。C4成分は、これらのうちの1種から構成されていてもよく、または、2種以上から構成されていてもよい。
C4成分は、たとえば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等の脂肪酸と、ポリアルキレングリコールとを触媒存在下で脱水縮合(エステル化)反応して製造される。また、前記脂肪酸に触媒存在下でアルキレンオキシドを付加させて製造することもある。
<A成分、B成分、C成分の配合割合>
本発明の繊維処理剤は、A成分およびB成分を必須成分とする。
本発明の繊維処理剤中のB成分の配合割合は、C成分の有無にかかわらず、A成分を100重量%としたときに、5〜100重量%であり、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは6〜25重量%であり、さらに好ましくは20〜25重量%である。B成分の配合割合が5重量%未満であると、制電性および集束性が不足することがある。一方、B成分の配合割合が100重量%超であると、高温多湿時の吸湿性が強くなるので粘着性が大きくなり、スカム発生や主にそれに起因するローラー巻付が紡績工程において多くなることがある。
本発明の繊維処理剤は、好ましくは、A成分およびB成分に加えてC成分をさらに含有する。
本発明の繊維処理剤中のC成分の配合割合については特に限定はないが、A成分を100重量%としたときに、好ましくは5〜50重量%であり、より好ましくは10〜45重量%、さらに好ましくは15〜40重量%である。C成分の配合割合が5重量%未満であると、濡れ性が低くなり、また繊維の集束性が不足することがある。一方、C成分の配合割合が50重量%超であると、スカム発生や主にそれに起因するローラー巻付が紡績工程において多くなるほか、油膜強度が弱くなり高速紡績時の繊維損傷が発生しやすくなることがある。
<その他成分>
本発明の繊維処理剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記で説明したA成分、B成分およびC成分以外の成分(その他成分)を含有していてもよい。その他成分としては、たとえば、水;他の界面活性剤;消泡剤;防腐剤;防錆剤;脂肪酸アルキルエステル等の平滑剤等を挙げることができる。
なお、本発明の繊維処理剤は、その他成分として、pHが著しく高い成分を実質的に含まないことが好ましい。このような成分としては、平均炭素数16〜22のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルの塩、脂肪酸の塩、ポリオキシアルキレンアルキルアミン等が挙げられ、その繊維処理剤全体に占める配合割合は、A成分を100重量%としたときに、5重量%未満が好ましく、1重量%未満がより好ましく、0重量%がさらに好ましい。
なお、その他成分には、C成分の代わりに集束性、濡れ性を付与する他の成分(以下、擬C成分とする)も含まれる。擬C成分の具体例としてはポリエチレングリコール芳香族酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、(ポリオキシエチレン)ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンロジンエステル等が挙げられる。但し、擬C成分を使用した場合にはC成分を使用した場合に比べると制電性、スカム発生や主にそれに起因するローラー巻付等の点で紡績工程において劣る場合がある。
本発明の繊維処理剤が、その他成分として水をさらに含む水性液(エマルション)になっていると、外観安定性および流動性の点で好ましい。
本発明の繊維処理剤が水をさらに含む水性液の場合、A成分およびB成分の合計量が繊維処理剤全体に占める配合割合については、特に限定はないが、好ましくは0.05〜20重量%、さらに好ましくは0.1〜10重量%である。A成分およびB成分の合計量が繊維処理剤全体に占める配合割合が、0.05重量%未満であると、所望の性能が得られない場合があり、繊維処理剤の給油工程において高めの含液率(給油される繊維処理剤重量の繊維重量に対する比率)が必要となるため、液垂れが多くなることがある。一方、A成分およびB成分の合計量が20重量%超であると、繊維処理剤の安定性が悪くなり、沈殿が発生したり、溶液が増粘したりすることがある。
<繊維処理剤のpH>
本発明の繊維処理剤では、そのpHが弱酸性〜弱アルカリ性域にある。本発明において、繊維処理剤のpHは、繊維処理剤の不揮発分が1重量%となるように、イオン交換水を添加等して濃度を調整して得られる繊維処理剤の水性液の25℃におけるpHと定義される。なお、繊維処理剤を赤外線ランプ照射下110℃で揮発分を蒸発させ、連続する150秒間において重量変動幅が0.15%以下になった時点の重量を繊維処理剤の不揮発分の重量とした。上記pHはこの重量に基づいて測定する。
本発明の繊維処理剤のpHは、好ましくは4.0〜9.0であり、より好ましくは6.0〜8.0であり、さらに好ましくは7.0〜7.5である。繊維処理剤のpHが9.0超であると、繊維が黄変や脆化することがあり、肌に直接触れる繊維で皮膚障害が発生することがある。特に、ポリプロピレン等の特殊繊維において黄変が著しい。一方、繊維処理剤のpHが4.0未満であると溶液安定性や制電性が悪くなることがある。本発明の繊維処理剤において、A成分、B成分等の繊維処理剤を構成する個々の成分のpHが、それぞれ上記範囲外であっても、これらを配合して得られる繊維処理剤のpHが、上記範囲内であればよい。
<繊維処理剤の製造方法>
本発明の繊維処理剤は、A成分およびB成分を必須とし、必要に応じてC成分やその他成分を混合することによって製造でき、それぞれの成分の混合順序については特に限定はない。A成分は通常は乳化重合によって製造され、B成分は通常中和によって製造される。したがって、本発明の繊維処理剤は、好ましくは、A成分を含む水性液およびB成分を含む水性液を混合することによって製造される。本発明の繊維処理剤は、好ましくは、A成分を含む水性液、B成分を含む水性液、C成分を混合し、必要に応じてその他成分から選ばれる成分をさらに混合して製造してもよい。
本発明の繊維処理剤を製造するための原料を取扱、保管、運搬等する場合、A成分は、これ以外の成分(具体的には、B成分、C成分およびその他成分から選ばれる少なくとも1種)と共存させない方が好ましい。A成分にこれ以外の成分(具体的には、B成分、C成分およびその他成分から選ばれる少なくとも1種)を共存させた場合、得られる本発明の繊維処理剤の製品安定性が悪くなり、分離や増粘等の外観不良を起こすことがある。但し、A成分が低濃度品すなわち水中油型エマルションの状態になっている場合は、その他成分と共存可能な場合がある。なお、B成分およびC成分については両者を共存させても、得られる本発明の繊維処理剤の製品安定性は良好であり問題はない。この場合、B成分とC成分の配合品の高濃度品の水性液としては、具体的には90重量%以下の水性液の調製が可能である。もちろん、B成分およびC成分を混合せずに、別々に分けておいてもよい。
〔合成繊維の製造方法〕
本発明の合成繊維の製造方法は、紡糸工程、延伸工程および仕上工程から選ばれる少なくとも1つの工程で、上記で説明した繊維処理剤を原料合成繊維に付与する製造方法である。本発明の繊維処理剤は仕上工程で付与するのが特に好ましい。
(原料)合成繊維については、特に限定はなく、たとえば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維等を挙げることができる。なかでも、合成繊維がポリエステル繊維であると、繊維の耐久性や他の繊維との混紡のしやすさの点で好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維であるとさらに好ましい。また、合成繊維は紡績工程に供される場合には短繊維が好ましい。なお、ポリエステル繊維とはポリエチレンテレフタレート繊維のほかに、ポリ乳酸(PLA)繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、ポリエチレンナフタレート(PEN)繊維、ポリアリレート繊維等エステル結合を形成する反応によって縮合させた高分子からなる繊維を意味する。また、短繊維とは、延伸後に所定の長さに切断されたステープルファイバーを意味し、長繊維とは、延伸後、連続繊維の形態で巻き取って製品となるフィラメントを意味する。
以下では、合成繊維がポリエチレンテレフタレート繊維である場合において、製造工程である紡糸工程、延伸工程および仕上工程について、詳しく説明する。
<紡糸工程>
紡糸工程では、ポリエチレンテレフタレート原料が溶融紡糸され、次いで、得られた原料ポリエステル繊維のサブトウに対して集束性・平滑性を付与し、ガイド等の磨耗防止のために、繊維処理剤(以下、紡糸工程で付与される繊維処理剤を紡糸用繊維処理剤ということがある。)が原料ポリエチレンテレフタレート繊維に付与される。紡糸用繊維処理剤は、通常、A成分およびB成分の合計量が占める割合が0.05〜1.0重量%である水性液(エマルション)となっており、紡糸後のトウに浸漬法またはローラータッチ法で給油される。通常、紡糸用繊維処理剤を付与されたトウは、一旦ケンスに収容されることが多いが、繊維生産設備によってはケンスに収容することなく直ぐに延伸工程に供されることもある。したがって、紡糸工程において延伸用繊維処理剤をも併せて付与することも多い。
<延伸工程>
延伸工程では、紡糸工程で得られる紡糸用繊維処理剤を付与したトウに対して、十分な延伸性を得るために繊維処理剤(以下、延伸工程で付与される繊維処理剤を延伸用繊維処理剤ということがある。)が付与される。
延伸用繊維処理剤は、通常、A成分およびB成分の合計量が占める割合が0.05〜1.0重量%である水性液(エマルション)となっており、延伸前のトウに浸漬法またはローラータッチ法で給油される。通常、延伸用繊維処理剤は、前述の紡糸用繊維処理剤と同一のものが使用されることが多く、繊維生産設備によっては延伸工程での繊維処理剤付与は省略されることもある。
<仕上工程>
仕上工程では、カードおよび練条工程の静電気防止(制電性)、カードおよび練条工程における集束性、練条、粗紡および精紡工程の巻付防止(平滑性・低粘着性)、カードおよび精紡工程での繊維損傷防止(油膜強度)のために、(その他特殊用途において吸水性(再湿潤性)等を付与することもある)繊維処理剤(以下、仕上工程で付与される繊維処理剤を仕上用繊維処理剤ということがある。)が付与される。高速紡績用仕上用繊維処理剤では通常の紡績用仕上用繊維処理剤よりも高度な制電性、平滑性、油膜強度が要求される。本発明の繊維処理剤は前記特性を兼ね備えている。
仕上用繊維処理剤は、通常、水性液(エマルション)となっている。仕上用繊維処理剤において、A成分およびB成分の合計量が占める割合が0.05〜20重量%であると好ましく、また、A成分、B成分およびC成分の合計量が占める割合が0.05〜20重量%であると好ましい。その付与方法は巻縮工程前または巻縮工程後にトウに浸漬法またはローラータッチ法で給油してもよく、または、切断工程後にスプレー法によって給油してもよい。
本発明の合成繊維の製造方法では、紡糸工程、延伸工程および仕上工程から選ばれる少なくとも1つの工程で、本発明の繊維処理剤を、ポリエチレンテレフタレート繊維等の原料合成繊維に付与すればよいが、A成分の性質から本発明の繊維処理剤は仕上用繊維処理剤で使用するのが好ましい。本発明の仕上用繊維処理剤は、紡績用に最適である。
<繊維処理剤の付与>
本発明の製造方法において、合成繊維に付着したA成分およびB成分の合計量は、合成繊維の種類等によっても異なるが、0.08〜2.0重量%、好ましくは0.08〜0.3重量%、より好ましくは0.09〜0.14重量%、さらに好ましくは0.09〜0.12重量%となるように調整される。合成繊維に付着したA成分およびB成分の合計量が、0.08重量%未満であると、制電性が不足するほか、繊維損傷が多くなることがある。一方、合計量が、2.0重量%超であると、紡績工程においてスカム発生や主にそれに起因するローラー巻付の発生が多くなることがある。
先染綿(一旦短繊維として製造された綿を先に染色処理し、その後に仕上用繊維処理剤を付与して製造される綿)等の場合は、紡糸用繊維処理剤や延伸用繊維処理剤は染色工程にて脱落するので、A成分およびB成分の合計量について、0.15〜0.25重量%となるように調整されていると好ましい。0.15重量%未満では制電性が不足するほか、繊維損傷が多くなることがある。0.25重量%超であると、紡績工程においてスカム発生や主にそれに起因するローラー巻付の発生が多くなることがある。また、特殊繊維、たとえば、特殊なポリプロピレン繊維等ではA成分およびB成分の合計量が1.8〜2.0重量%が好ましい場合がある。
本発明の繊維処理剤は、上記の紡糸工程、延伸工程、仕上工程を経て、巻縮、切断された短繊維の繊維処理剤として使用されることが好ましい。短繊維は、紡績糸、不織布、詰綿等の製造に使用されるが、これらのなかでも、本発明の繊維処理剤が、紡績糸の製造に用いる短繊維、特にポリエチレンテレフタレート(PET)短繊維を製造するための少なくとも1つの工程で使用される繊維処理剤であるのが好ましい。
本発明の繊維処理剤によって処理された短繊維を紡績工程に供すると、高温多湿条件下であってもローラー巻付や脱落スカムの発生が少なく、カード・練条・粗紡・精紡等の各工程を高速化しても、静電気の発生、繊維損傷を抑制でき、良好なドラフト性が得られる。したがって、品質の良好な紡績糸が得られる。
ここで、本発明の繊維処理剤が処理された短繊維を使用して紡績する紡績工程の内、カード工程、練条工程、および精紡工程について簡潔に説明する。
<カード工程>
繊維処理剤が処理された短繊維は、繊維塊を解きほぐした(開繊した)後に、これを梳って超短繊維や未開繊部等を取り除き、スライバー(詰綿・不織布用の場合はウェブ)に仕上げ、スライバーをコイリング装置でケンスに収容する(詰綿・不織布用の場合はウェブの状態で次工程に進む)。当発明の繊維処理剤を用いると、発生静電気が少なく、コイラーチューブ、ガイド等にスカムが蓄積しにくい利点がある。また、できあがったスライバーまたはウェブのネップが少ない利点もある。
<練条工程>
得られたカードスライバーを引き伸ばして繊維の平行度を高めることによりスライバー強度を上げ、かつスライバーの太さを均整化する。できあがったスライバーはカード工程同様にケンスに収容する。通常練条工程は2〜3回繰り返される。当発明の繊維処理剤を用いると、発生静電気が少なく、ローラー、コイラーチューブ、ガイド等にスカムが蓄積しにくく、ローラーに巻付が起こりにくい利点がある。また、ドラフト性が良好であり、精紡糸の糸斑が小さい利点もある。
<精紡工程>
紡績糸を作製する工程で代表的なものにリング精紡とオープンエンド精紡がある。リング精紡の場合は精紡に先立って練条スライバーに軽く撚りを与えて引き伸ばし、ひも状の粗糸を作製し(粗紡)、粗糸にさらに撚りを与えて引き伸ばし紡績糸とする。できあがった紡績糸はスピンドルとトラベラーの周速度の差を利用してボビンに巻き取られる。当発明の繊維処理剤を用いると、精紡ローラーへの巻付、繊維損傷、白粉発生および糸切れが少ない利点がある。また、カードネップやドラフト性不良に起因する糸斑も小さい利点もある。一方、オープンエンド精紡の場合は、練条スライバーをコーミングワイヤーで一旦解きほぐし、高速回転しているローターの遠心力を利用して繊維を結束、加撚して紡績糸とする。当発明の繊維処理剤を用いると、オープンエンド精紡工程を高速化しても繊維損傷、白粉発生および糸切れが特に少ない利点がある。
以下に本発明を実施例および比較例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における評価項目と評価方法は以下の通りである。以下では、「部」および「%」は、いずれも「重量部」および「重量%」を意味する。
まず、A成分の代表として、A1成分を以下の製造例1にしたがって製造した。
(製造例1)
撹拌装置、還流冷却器、滴下ロート1、滴下ロート2、温度計、窒素導入管を備えた反応容器に、純水250g、乳化剤(ラウリル硫酸ナトリウム)2.2gを加え、窒素雰囲気下、水浴にて80℃まで加温した。重合開始剤(過硫酸アンモニウム)1.0gを純水50gに溶解し、滴下ロート1に入れた。
次いで、メタクリル酸15.0g、アクリル酸ブチル33.7g、メタクリル酸メチル93.6g、メタクリル酸ブチル9.4g、スチレン35.6g、分子量調整剤(ラウリルメルカプタン)1.3g、乳化剤(ラウリル硫酸ナトリウム)3.4gを撹拌付き容器において混合し、滴下ロート2に移した。単量体合計(187.3g)に占めるそれぞれの単量体の重量割合を計算すると、表1に示すとおりである。
滴下ロート1および滴下ロート2の内容物を2時間かけて徐々に滴下し、重合を完了させた。重合後に得られた重合液をアンモニア水にて酸価が乾燥物換算で5付近になるように中和した。
このようにして得られたアクリル樹脂としてA1成分を含む水性液は、重量平均分子量約15万、軟化点約120℃のA1を含む水性液であり、水性液中に含まれるアクリル樹脂(A1成分)の量は、水性液全体の35重量%であった。
(製造例2〜8)
製造例1において、使用する単量体合計の量は187.3gのままで変更せずに、表1に示す単量体の種類および比率(重量%)に変更する以外は、製造例1と同様にして、A2成分〜A8成分をそれぞれ含む水性液を得た。なお、A2成分およびA4成分〜A8成分の製造に当っては、酸性を示す単量体を用いなかったので、重合後に得られた重合液の中和は行わなかった。水性液中に含まれるそれぞれのA2成分〜A8成分の量は、製造例1と同様に、水性液全体の35重量%であった。
Figure 0005404237
(実施例1〜20および比較例1〜14)
表2〜3に示す各成分を約70℃の温水を用いて、その合計の濃度が5重量%になるように(実施例ではA成分およびB成分の合計量が3.1〜4.4重量%となるように)、それぞれを手動撹拌により溶解、希釈して、繊維処理剤1〜20および比較繊維処理剤1〜14をそれぞれ調製した。表2〜3における比率の数値は、それぞれの成分の純分について、水を含まない重量比率である。
このようにして調製した繊維処理剤1〜20および比較繊維処理剤1〜14について、下記評価方法に従って物性を評価し、結果をそれぞれ表4に示した。
Figure 0005404237
Figure 0005404237
上記表2〜3において、括弧内に示す数値nはそれぞれの化合物におけるオキシエチレン基の平均モル数を示し、MWは構成するポリエチレングリコールの分子量を示す。
比較例1〜5の比較繊維処理剤は全てステアリル燐酸エステルカリウム塩を使用している。比較例1は従来公知の一般紡績用繊維処理剤である。比較例2〜5は従来公知の高速紡績用繊維処理剤である。比較例6は従来公知のラウリル燐酸エステルカリウム塩主体の繊維処理剤である。比較例7は従来公知の液状ノニオン活性剤主体の繊維処理剤である。比較例8はA成分の代わりにパラフィンワックス乳化物を用いた繊維処理剤である。比較例9はA成分の代わりに変性ポリエチレン樹脂を用いた繊維処理剤である。比較例10はA成分の代わりにノボラック型エポキシ樹脂乳化物を用いた繊維処理剤である。比較例11はA成分の代わりに水溶性ポリアミド樹脂を用いた繊維処理剤である。比較例12はA成分の代わりにポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリエーテルを用いた繊維処理剤である。比較例13はB成分の代わりにn−デシル燐酸カリウムを用いた繊維処理剤である。比較例14はB成分の代わりにポリオキシエチレン(n=10)ラウリルアミンを用いた繊維処理剤である。
[評価方法]
(1)繊維処理剤のpH
繊維処理剤の不揮発分が1重量%となるように、イオン交換水を添加等して濃度を調整して得られる繊維処理剤の水性液の25℃におけるpHを測定した。なお、繊維処理剤を赤外線ランプ照射下110℃で揮発分を蒸発させ、連続する150秒間において重量変動幅が0.15%以下になった時点の重量を繊維処理剤の不揮発分の重量とした。
(2)紡績評価用ポリエチレンテレフタレート短繊維
給油綿の作製においては、上記で作製した繊維処理剤である5重量%エマルションをさらに25℃の水で希釈して使用した。原料繊維(太さ1.45dtex、長さ38mmのポリエチレンテレフタレート短繊維)100gに対して、評価対象の繊維処理剤が付着処理後の繊維の0.13重量%になるように(すなわち、A成分およびB成分の合計量が付着処理後の繊維の0.08〜0.12重量%となるように)、スプレー処理を行い、80℃の温風乾燥機の中で2時間乾燥した。乾燥後に得られたポリエチレンテレフタレート短繊維を、それぞれ、評価環境条件下で温湿度調節させた後、下記評価方法の(3)〜(8)に従って評価した。
(3)制電性試験
上記(2)で準備したポリエチレンテレフタレート短繊維をミニチュアオープナーで開繊した後、20℃×45%RHの条件下で温湿度調節し、ミニチュアカード機に通して、ウェブを作製した。さらにそのカードウェブをミニチュア練条機に通して練条スライバーを作製した。カード工程および通過時の発生静電気量を測定し、評価した。なお、カード工程においては高速カードの苛酷なコーミングアクションを想定した条件としてシリンダー回転数970rpmで行い、これを5回繰り返して、5回目の発生静電気量(単位:kV)を測定した。
(4)カード通過性試験
上記(2)で準備したポリエチレンテレフタレート短繊維をミニチュアオープナーで開繊した後、20℃×65%RHの条件下で温湿度調節し、(3)の試験の場合の1.5倍の密度、(3)の場合の2分の1のシリンダー回転数で、ミニチュアカード機に通して、3分後にカード機を止め、シリンダー巻付の有無を確認した。判定基準は下記の通りである。
○:この条件ではシリンダー巻付は発生しない
×:この条件ではシリンダー巻付が発生する
(5)精紡ローラー巻付試験(粘着性の判断)
上記(3)の制電性試験で作製した練条スライバーを用い、30℃×65%RHに温湿度調節して、リング精紡機を用いて、糸を切断してニューマーに吸引させた状態で精紡を行い、ローラーに巻付くごとにピンセットで除去してその回数を数える。測定時間は15分間である。
(6)リング精紡試験
それぞれの繊維処理剤で処理したポリエチレンテレフタレート短繊維をミニチュア紡機で開繊、カード、練条、粗紡の各工程を経て粗糸を作製し、下記条件にて高速リング精紡を行なった。
精紡機 :RX−240NEW−EST/E(豊田自動織機)
スピンドル回転数:18000rpm
リング径 :38mm
トータルドラフト:80倍
糸番手 :30番
温湿度 :20℃×45%RH
精紡時間 :45分
リング精紡可否の判定基準は下記の通りである。
○:上記精紡時間内に糸切れは発生しない。
×:糸切れが頻発し、円滑に精紡できない。
(7)オープンエンド精紡評価
(2)と同条件で給油ポリエチレンテレフタレート綿を3kg作製し、開繊後、実機カード機・練条機を用いて評価用スライバーを作製し、下記条件にて高速ローター式オープンエンド精紡を行った。
精紡機 :オートコロSE−8、シュラフホルスト社製
ローター回転数 :90000rpm
ローター径 :36mm
コーミングローラー回転数:10000rpm
トータルドラフト :120倍
糸番手 :20番
温湿度 :20℃×45%RH
精紡時間 :糸切れが発生するまで
(8)オープンエンド精紡時のロータースカム発生量
(7)のオープンエンド精紡評価で糸切れが発生した時点で精紡を止め、ローター内に堆積したスカムを採取してその重量を測定した。
(9)オープンエンド精紡糸の糸質
(7)のオープンエンド精紡評価で作製したオープンエンド精紡糸について自動糸斑試験機を用いてU%を測定した。U%とは図1に示すようにある測定長(L)を選び、その区間内の糸太さの平均値(X)、−100%、起点(A)、終点(B)で囲われる面積をFとし、区間内の糸の太さの変動(むら曲線)と(X)で囲われる面積をfとすると、U(%)=(f/F)×100で表される。この値が小さいほど糸斑が少なく、糸質が良好であると判断される。
Figure 0005404237
表4で下線を示した部分は、問題ありと判定される。また、(障)は静電気による障害が発生したことを意味する。
表4からも明らかなように、本発明の繊維処理剤(実施例1〜20)のエマルションのpHは4.0〜9.0の範囲内である。これらの繊維処理剤は、ステアリル燐酸カリウムを用いた比較例1〜6と同等またはそれ以上の紡績性が得られており、特にオープンエンド精紡において優位性が明らかである。
それに対して、ステアリル燐酸エステルカリウム塩を用いた比較例1〜5はいずれもエマルションのpHは9.0超でアルカリ性が強い。ラウリル燐酸エステルカリウム塩主体の比較例6では精紡巻付が著しく多い。液状ノニオン活性剤主体の比較例7ではカードシリンダー巻付が起こりやすく、リング精紡およびオープンエンド精紡で糸切れが起こりやすい。A成分の代わりにパラフィンワックス乳化物を用いた比較例8、変性ポリエチレン樹脂を用いた比較例9、ノボラック型エポキシ樹脂を用いた比較例10および水溶性ポリアミド樹脂を用いた比較例11、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンブロックポリエーテルを用いた比較例12では精紡巻付が著しく多くなる。B成分の代わりにn−デシル燐酸カリウムを用いた比較例13およびポリオキシエチレン(n=10)ラウリルアミンを用いた比較例14ではカード・練条時の発生静電気量が多く障害が発生している。比較例14ではエマルションのpHも9.0超である。
本発明の繊維処理剤は、pHが弱酸性〜弱アルカリ性域にあるのでアルカリで黄変や脆化する繊維や、人肌に直接接触する繊維の処理剤として、有用である。
また、本発明の繊維処理剤によって処理されたポリエステル短繊維は、従来のステアリル燐酸エステルカリウム塩を主体とした繊維処理剤で処理されたポリエステル短繊維と同様に、紡績工程においてカード通過性が良好であり、高温多湿条件下であってもローラー巻付や脱落スカムの発生が少ない上に、ステアリル燐酸エステルカリウム塩を主体とした繊維処理剤の場合と比較して、オープンエンド精紡において糸切れおよびロータースカムが少ないという特性がある。したがって、本発明の繊維処理剤によって処理されたポリエステル短繊維は、オープンエンド精紡に最適である。

Claims (8)

  1. 紡績糸の製造に用いる短繊維用の繊維処理剤(但し、炭素数8〜18の脂肪酸カリウム塩及び炭素数16〜22のアルキル燐酸エステルカリウム塩を含む場合を除く)であって、
    非弗素系アクリル樹脂からなるA成分と、炭素数6〜8のアルキル基を有するアルキル燐酸エステルカリウム塩および/またはポリオキシアルキレンアルキル燐酸エステルカリウム塩からなるB成分とを必須成分として含み、
    前記非弗素系アクリル樹脂が、α−置換アクリル酸エステルを必須成分とし弗素系単量体を含有しない重合性成分を重合して得られる重合物であり、
    A成分を100重量%としたときに、B成分の配合割合が5〜100重量%である、繊維処理剤。
  2. ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルおよびポリアルキレングリコール脂肪酸エステルから選ばれる少なくとも1種のC成分をさらに含有する、請求項1に記載の繊維処理剤。
  3. A成分を100重量%としたときに、B成分の配合割合が5〜50重量%であり、C成分の配合割合が5〜50重量%である、請求項2に記載の繊維処理剤。
  4. 前記繊維処理剤が水をさらに含む水性液となっており、A成分およびB成分の合計量の繊維処理剤全体に占める配合割合が0.05〜20重量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の繊維処理剤。
  5. 前記非弗素系アクリル樹脂の重量平均分子量が10万〜30万である、請求項1〜4のいずれかに記載の繊維処理剤。
  6. 紡糸工程、延伸工程および仕上工程から選ばれる少なくとも1つの工程で、請求項1〜のいずれかに記載の繊維処理剤を原料合成繊維に付与する、合成繊維の製造方法。
  7. 合成繊維に付着したA成分およびB成分の合計量が合成繊維の0.08〜2.0重量%となるように調整される、請求項に記載の合成繊維の製造方法。
  8. 合成繊維がポリエステル繊維である、請求項またはに記載の合成繊維の製造方法。
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