JP5403313B2 - インクジェット用顔料分散液の製造方法 - Google Patents
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インクジェット用インクとしては各種の水溶性染料を水、又は水と有機溶剤との混合液に溶解させた染料系インクが使用されているが、染料系インクは色調の鮮明性は優れているものの耐光性に劣る欠点があった。一方、カーボンブラックや各種の有機顔料を分散させた顔料系インクは染料系インクと比較して耐光性に優れるため盛んに研究されている。
しかし、顔料系インクは染料系インクと比べてノズルの目詰まりが生じやすい傾向がある。
顔料インクは、一般に水やアルコール類等の水性溶媒中に色材及び分散剤を予備分散させた分散物を調整したのち、該分散物をサンドミル等のメディア型分散機を用いて所定の程度まで分散させる分散工程を行ない、次いで所定の濃度に希釈することにより調整されている。
また、インクジェット記録液における分散粒子の体積平均粒子径が、30〜200nmであることを特徴とするインクジェット記録液(特開2000−144028号公報…特許文献14)が開示されている。
しかし、上記従来のインク液ではカラー顔料インクに関しては高い画像濃度は得られるものの黒色顔料インクに関してはいまだ十分ではなく満足するものではなかった。
また、特許第3625595号公報(特許文献18)では分散剤にアニオン系界面活性剤が使用されているが、分子量は1000≦m≦30000の範囲が好ましいとされているが、いずれも分散安定性の面では十分ではなく、分散時における強い衝撃に弱い顔料種は分散後の安定性に欠け、インク液での吐出安定性等課題となっていた。
(1)「少なくともカーボンブラック、分散剤、及び水を含む混合物を分散するインクジェット用顔料分散液の製造方法であって、
ビーズ径が0.05mmφ以下のビーズのみでビーズミル分散するものであり、
前記カーボンブラックは、平均一次粒子径が10nm〜30nmであるチャンネルブラック及び又はガスブラックであり、顔料分散液中での平均粒子径(D50)が70nmから180nm、かつ、粒度分布の粒子径標準偏差が平均粒子径の1/2以下であり、前記分散剤がナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物であることを特徴とするインクジェット用顔料分散液の製造方法」、
(2)「前記分散剤のナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物のナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有量が20%から80%であることを特徴とする前記第(1)項に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、
(3)「前記カーボンブラックのBET比表面積が100m2/gから400m2/gであることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、
(4)「前記分散剤が重量基準で前記カーボンブラック1に対し0.1以上2以下の割合で含まれることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、
(5)「カーボンブラックの含有量が5重量%から50重量%であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、
(6)「前記第(1)項乃至第(5)項のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とするインクジェット用顔料分散液」、
(7)「前記第(6)項に記載のインクジェット用顔料分散液を使用することを特徴とするインクジェット用インク」、
(8)「前記第(7)項に記載のインクジェット用インクのカーボンブラックの含有量が1重量%から20重量%であることを特徴とするインクジェット用インク」、
(9)「前記第(7)項又は第(8)項に記載のインクジェットインクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ」、
(10)「前記第(7)項又は第(8)項に記載のインクジェット用インクを画像支持体上に吐出させ記録を行なうことを特徴とするインクジェットプリント装置」、
(11)「前記第(10)項に記載のインクジェットプリント装置がピエゾ方式であることを特徴とするインクジェットプリント装置」、
(12)「前記第(10)項に記載のインクジェットプリント装置がサーマル方式であることを特徴とするインクジェットプリント装置」、
(13)「前記第(7)項又は第(8)項に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェット方式プリント装置で印字することを特徴とする画像形成方法」、
(14)「前記第(7)項又は第(8)項に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェットプリント装置で印字されたことを特徴とする画像形成物」、
(15)「前記第(14)項に記載の画像形成物の画像支持体が紙であることを特徴とする画像形成物」。
本発明は少なくともカーボンブラックと分散剤、水からなり、前記カーボンブラックがチャンネルブラック及び又はガスブラックであり、製造方法がビーズミル分散であり、そのビーズ径は0.05mmφ以下であることを特徴とするインクジェット用顔料分散液の製造方法である。
カーボンブラックの製造方法はガスブラック方式であり、得られたカーボンブラッの平均一次粒子径は10.0nm〜30.0nmで、BET表面積は100m2/g〜400m2/gである。
好ましくはカーボンブラックの平均一次粒子径は15.0nm〜20.0nmで、BET表面積は150m2/g〜300m2/gである。
本発明のカーボンブラックは平均一次粒子径が小さく、ハイストラクチャーである為、分散時の衝撃に弱く、ビーズ径が0.05mmを超えるようなビーズであるとビーズ同士の衝突エネルギーが強くストラキチャーの破壊が発生し、その結果得られたカーボンブラック分散液の安定性が損なわれる。
したがって、ビーズ径は0.05mm以下が好ましい。
本発明で好適裡に用いることができるガスブラックは、一般的にはカーボンの1類である。後述の実施例及び比較例の結果からも理解されるように、ファーネスブラックに比べ小粒子でストラクチャーが大きく画像濃度の点で特にインクジェットに向いており、特にその中でもインクの安定性、信頼性等を考慮すると、一次粒子径、BET比表面積、等も重要と思われ、また、分散方式もこの範囲のカーボンにおいては微小ビーズ分散が適していると思われる。さらに、本発明のカーボンブラックとの相性の点で前記第(2)項記載の分散剤は、少なくとも各種分散剤について可能な範囲で検討した結果によれば、最適のものであった。
なお、前記分散剤の使用量が0.1未満では前記効果が達成されにくいことのほか、顔料分散液及びインクの保存安定性が劣り、その結果ノズルの目詰まりが発生しやすい傾向があり、2より大きいと顔料分散液およびインクの粘度が高すぎてインクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
また、ナフタレンスルホン酸の2量体から4量体の含有率が80%を超えると粘度が高くなり、分散が困難になる。
このとき、分散剤の使用量を前記のように重量基準として顔料1に対し0.1以上2以下の割合にするとともに、湿式分散処理を採用するのが好適である。なお、本発明で言う湿式分散処理とは顔料、分散剤、水、必要に応じて水溶性有機溶剤の混合物を前記ビーズミルにより、いわゆる湿式分散方式で微粉砕・分散する処理のことである。
また、前記分散機の前工程でホモジナイザー等で粗大粒子を前処理することにより、寄りいっそう粒度分布をシャープにすることができ、画像濃度、吐出安定性等の改善に繋がる。
顔料系インクジェット用インクは公知の方法、例えば本発明の顔料分散液、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を攪拌混合し、フィルター、遠心分離装置等で粗大粒子をろ過し、必要に応じて脱気することによって得られる。なお、インクに於けるカーボンブラックの濃度は全量に対して1重量%以上20重量%以下が好ましい。1重量%未満では画像濃度が低いため印字の鮮明さに欠け、20重量%より多いとインクの粘度が高くなる傾向があるばかりでなくノズルの目詰まりが発生しやすくなる。またインクには前記顔料分散液への添加剤で記した材料と同等の材料を必要に応じて配合することができる。
たとえば水溶性有機溶剤の含有量としては、インク全量に対して0重量%以上50重量%以下、好ましくは5重量%〜40重量%、さらに好ましくは10重量%〜35重量である。
印字する方法としては連続噴射型あるいはオンデマンド型が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
定されるものではない。なお実施例中の部は重量基準である。
・処方1
カーボンブラック NIPEX160-IQ(degussa社製:ガスブラック) 150部
ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物 38部
(パイオニンA-45-PN竹本油脂(株))
(ナフタレンスルホン酸2量体、3量体、4量体の合計含有量:49%)
蒸留水 812部
上記の混合物をプレミックス後ビーズミル分散機(寿工業社製 UAM-015)を用い0.05mmジルコニアビーズ(密度6.03×10−6g/m2)で周速10m/s、液温32℃で12分間分散した後、遠心分離機(久保田商事(株)製Model-3600)で粗大粒子を遠心分離し、カーボンブラック分散液の平均粒子径121.4nm、標準偏差48.3nmの表1の分散液(A)を得た。
実施例1のカーボンブラックを順次、NIPEX150、(degussa社製:ガスブラック)、COLOR BLACK S170、color Black FW18、(degussa社製:チャンネルブラック)、にする以外は同様にして顔料分散液(B)、(C)、(D)を得た。
実施例1のナフタレンスルホン酸2量体、3量体、4量体の合計含有量を変え、更にジルコニアビーズ径を0.03mmにし、分散時間を8分にする以外は同様にして表1の顔料分散液(E)、(F)を得た。
実施例1のジルコニアビーズ径を0.03mmにし分散時間を5分にする以外は同様にして表1の顔料分散液(G)を得た。
実施例1のカーボンブラックを順次、Printex95、Printex85、Printex75、(degussa社製:ファーネスブラック)、にし、ジルコニアビーズ径を0.1mmにする以外は同様にして各顔料分散液を表1の顔料分散液(H)、(I)、(J)を得た。
実施例1のカーボンブラックを順次、#850、#44(三菱化学社製:ファーネスブラック)にし、ジルコニアビーズ径を0.3mmする以外は同様にして表1の顔料分散液(K)、(L)を得た。
・インク処方1
顔料分散液(顔料濃度15%) 100.0部
グリセリン 7.5部
ジエチレングリコール 22.5部
2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 3.0部
2−ピロリドン 3.0部
ポリオキシエチレン(3)アルキル(C13)エーテル酢酸ナトリウム 0.45部
蒸留水 13.55部
上記のインク液(a)〜(l)に含まれる顔料の平均粒径を測定した。またEPSON社製インクジェットプリンタMJ−930Cでゼロックス(株)社製PPC用紙4024に印字し、吐出安定性及び印字画像をXrite濃度計にて測定した。また、インク液保存性についても下記試験法により評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中のカーボンブラックのBET比表面積、及び平均一次粒子径はメーカー保証値(カタログ値)である。また、分散液、インクの平均粒子径(D50)、標準偏差値測定法はつぎのとおりである。
[分散液、インク液粒径測定条件]
測定器:日機装株式会社製 粒度分布計UPA150
測定条件
1)測定液固形分濃度 :0.1重量%水溶媒
2)Trasparent Paricles :Yes
3)Spherical Paricles :No
4)Part.Refractive Index :1.86
5)Part.Density :1.86(gm/cm3)
6)Fluid :Default Fluid
7)Fluid Refractive Index :1.33
8)Viscosity High 30℃ :0.797cp
9)Viscosity Low 20℃ :1.002cp
10)表示形式 :体積分布
表1には、以上の条件下で測定した結果得られた平均粒子径(D50)と標準偏差(sd)が記載される。
装置:LC-10vp(島津製作所)
カラム:ZORBAX BP-ODS(4.6id.×150mm)GLサイエンス)
ガードカラム:ZORBAX BP-ODS(4.0id.×10mm)GLサイエンス)
検出機:UV(237nm)
移動相:CH3CN/0.005M PIC水溶液=25/75
流速:1mL/min
サンプル調整:200ppm soln
注入量:20μL
<画像濃度>
画像濃度は画像サンプルのベタ画像の測色をXrite濃度計にて測定を行なう。
<吐出安定性>
吐出安定性については、印刷物を印刷した後、プリンタヘッドにキャップした状態でプリンタを40℃の環境下で1ヶ月放置した。放置後のプリンタの吐出状態が初期の吐出状態に回復するか否かを下記のクリーニング動作回数によって評価した。
○:1回の動作により回復した。
△:2回〜3回の動作により回復した。
×:3回以上の動作によっても回復がみられなかった。
<インク保存性>
各インクをポリエチレン容器に入れ密封し、70℃3週間保存した後の粒径、表面張力、粘度を測定し初期物性との変化率により下記の様に評価した。
◎:粒径、表面張力、粘度の全て項目で変化率が5%未満である。
○:粒径、表面張力、粘度の全て項目で変化率が10%未満である。
△:粒径、表面張力、粘度の全て項目で変化率が30%未満である。
×:粒径、表面張力、粘度の少なくとも一つの項目で変化率が30%以上である。
Claims (15)
- 少なくともカーボンブラック、分散剤、及び水を含む混合物を分散するインクジェット用顔料分散液の製造方法であって、
ビーズ径が0.05mmφ以下のビーズのみでビーズミル分散するものであり、
前記カーボンブラックは、平均一次粒子径が10nm〜30nmであるチャンネルブラック及び又はガスブラックであり、顔料分散液中での平均粒子径(D50)が70nmから180nm、かつ、粒度分布の粒子径標準偏差が平均粒子径の1/2以下であり、前記分散剤がナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物であることを特徴とするインクジェット用顔料分散液の製造方法。 - 前記分散剤のナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物のナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有量が20%から80%であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- 前記カーボンブラックのBET比表面積が100m2/gから400m2/gであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- 前記分散剤が重量基準で前記カーボンブラック1に対し0.1以上2以下の割合で含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- カーボンブラックの含有量が5重量%から50重量%であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の方法で製造されたことを特徴とするインクジェット用顔料分散液。
- 請求項6に記載のインクジェット用顔料分散液を使用することを特徴とするインクジェット用インク。
- 請求項7に記載のインクジェット用インクのカーボンブラックの含有量が1重量%から20重量%であることを特徴とするインクジェット用インク。
- 請求項7又は8に記載のインクジェットインクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項7又は8に記載のインクジェット用インクを画像支持体上に吐出させ記録を行なうことを特徴とするインクジェットプリント装置。
- 請求項10に記載のインクジェットプリント装置がピエゾ方式であることを特徴とするインクジェットプリント装置。
- 請求項10に記載のインクジェットプリント装置がサーマル方式であることを特徴とするインクジェットプリント装置。
- 請求項7又は8に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェット方式プリント装置で印字することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項7又は8に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェットプリント装置で印字されたことを特徴とする画像形成物。
- 請求項14に記載の画像形成物の画像支持体が紙であることを特徴とする画像形成物。
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