JP4274774B2 - 顔料分散液及びそれを用いたインクジェット用インクの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料分散液及びインクジェット用インク液の製造方法に関するものであり、更に詳しくは顔料分散液をメディアミルを用いて分散し、インクジェット用記録用インクの製造に際し、彩度、吐出安定性、液安定性に優れた顔料分散液およびインクジェット用インクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であるためフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られる利点がある。インクジェット用インクとしては各種の水溶性染料を水、又は水と有機溶剤との混合液に溶解させた染料系インクが使用されているが、染料系インクは色調の鮮明性は優れているものの耐光性に劣る欠点があった。一方、カーボンブラックや各種の有機顔料を分散させた顔料系インクは染料系インクと比較して耐光性に優れるため盛んに研究されている。
【0003】
しかし、顔料系インクは染料系インクと比べてノズルの目詰まりが生じやすく、色域が狭い傾向がある。
顔料インクは、一般に水やアルコール類等の水生溶媒中に色材及び分散剤を予備分散させた分散物を調整した後、該分散物をサンドミル等のメディア型分散機を用いて所定の程度まで分散させる分散工程を行ない、次いで所定の濃度に希釈することにより調整されている。
一方、近年においては画像の精細性向上のためにインクの粒子径を小さくすることが望まれるが、顔料インクの分散においては分散機の方式、分散プロセス条件等の選択次第では小粒径となると液の凝集が起きやすく、吐出安定性が保証できなくなり、未だこの課題を充分解決したものはない。
【0004】
ノズルの目詰まりや色域を改善するには顔料の平均粒径を小さくする必要があるが、現在多く用いられているスチレン−アクリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体(例えば、特許文献1参照。)、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物(例えば、特許文献2参照。)等の高分子分散剤を用いたインク、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル(例えば、特許文献3参照。)、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテル硫酸塩(例えば、特許文献4参照。)、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルリン酸塩(例えば、特許文献5参照。)等の界面活性剤を用いたインク、あるいは下記一般式で表わされる化合物を使用したインク(例えば、特許文献6参照。)のいずれにおいても顔料の平均粒径が大きく、色調の鮮明性、吐出安定性や液安定性に劣るものであった。
【0005】
【化2】
(nは20以上100以下の整数を表わす。)
【0006】
【特許文献1】
特開昭56−147863号公報
【特許文献2】
特開昭61−083267号公報
【特許文献3】
特開平5−105837号公報
【特許文献4】
特開平10−168367号公報
【特許文献5】
特開平10−88050号公報
【特許文献6】
特開2001−192583号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、彩度が優れ、吐出安定性や液安定性も優れた顔料分散液及び該顔料分散液並びそれを用いた顔料系インクジェット用インクの製造方法に関連した技術を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、顔料の分散状態を特定すること及び顔料分散時にメディアミル内の顔料分散液の平均粒径変化を特定すること、及び分散時の液温度を特定すること、及び分散時の液流量を特定することにより上記課題が解決されることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「顔料分散液が少なくとも顔料と分散剤、水からなるインクジェット用顔料分散液の製造方法であって、顔料粒子の平均粒子径(D50)が100nm以下で、該顔料粒子の粒度分布における粒子径標準偏差が平均粒子径(D50)より小さく、該顔料分散液の製造をメディアミルを用いて分散する際、分散時の液流量を300ml/分以上とし、かつメディアミル内の滞留時間5分の平均粒径変化が2%未満で分散を終了することを特徴とするインクジェット用顔料分散液の製造方法」、(2)「前記顔料分散液の製造をメディアミルを用いて分散する際、分散実施時の液温度を10℃未満に保つことを特徴とする前記第(1)に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、(3)「前記顔料の内、ブラック顔料がカーボンブラックであることを特徴とする前記第(1)又は第(2)項に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、(4)「前記顔料の内、イエロー顔料がPig. Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、120、128、129、138、150、151、154、155、174、180のうち少なくとも一種であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、(5)「前記顔料の内、マゼンタ顔料がPig. Red 5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、146、168、176、184、185、202、Pig. Violet 19のうち少なくとも一種であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、(6)「前記顔料の内、シアン顔料がPig. Blue 1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、63、66のうち少なくとも一種であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」、(7)「前記分散剤が下記一般式(1)で示される化合物の、少なくとも一種を使用することを特徴とする前記第(1)項乃至第(6)項のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法;
【0010】
【化1】
(nは20以上100以下の整数を表わす。)」、(8)「前記分散剤が重量基準として顔料1に対し0.3以上2以下の割合で含まれることを特徴とする前記第(1)乃至(7)項のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法」により解決される。
【0011】
また、上記課題は、本発明の(9)「前記第(1)乃至第(8)項のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法により製造されたことを特徴とするインクジェット用顔料分散液」により解決される。
【0012】
また、上記課題は、本発明の(10)「前記第(9)項に記載のインクジェット用顔料分散液を含有してなることを特徴とするインクジェット用インク」により解決される。
【0013】
また、上記課題は、本発明の(11)「前記第(10)項に記載のインクジェット用インクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ」により解決される。
【0014】
また、上記課題は、本発明の(12)「前記第(10)項に記載のインクジェット用インクを画像支持体上に吐出させ記録を行なうことを特徴とするインクジェットプリント装置」により解決される。
【0015】
また、上記課題は、本発明の(13)「前記第(10)項に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェット方式プリント装置で印字することを特徴とする画像形成方法」により解決される。
【0016】
また、上記課題は、本発明の(14)「前記第(10)項に記載の顔料系インクジェット用インクを用いてインクジェットプリント装置で印字されたことを特徴とする画像形成物」、(15)「画像支持体が紙であることを特徴とする前記第(14)項に記載の画像形成物」により解決される。
【0017】
前記本発明の構成によれば、彩度、吐出安定性、液安定性に優れた顔料分散液、顔料系インクジェット用インク、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェットプリント装置、画像形成方法、画像形成物を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
前記のように本発明の特徴は、顔料粒子の平均粒径(D50)が100nm以下であり、且つ顔料粒子の粒度分布における粒子径標準偏差が平均粒子径(D50)より小さいことにある。
顔料粒子の平均粒子径(D50)は好ましくは70nm以下であり、さらに好ましくは50nm以下である。平均粒子径(D50)が100nmを超えると彩度が劣る。
なお、本発明における平均粒径(D50)は常法により測定することは可能であるが、たとえば日機装(株)製の粒度分析計UPA150を使用して測定することができる。また、本発明でいう粒子径標準偏差も常法により測定することは可能であるが、これも例えば日機装(株)製の粒度分析計UPA150を使用して測定して得た測定値sdであることができる。
【0019】
平均粒子径(D50)及び粒子径標準偏差は、分散機を用いて顔料を分散する際、分散機回転部周速、分散時間、分散液流量、分散液温度によって制御することが可能である。
この場合、顔料粒子の平均粒径(D50)が100nm以下であり、且つ顔料粒子の粒度分布における粒子径標準偏差を平均粒子径(D50)より小さくするには分散機回転部周速はあまり高過ぎると顔料分散液が凝集しやすく、低すぎると分散効率が悪く生産性が落ちるため、好ましくは6m/s〜13m/sである。
さらに分散時間は上記メディアミル内の分散液滞留時間5分の平均粒径の変化が2%未満で分散を終了することが望ましい。
【0020】
さらには分散液流量は300ml/分以上が好ましく、300ml/分未満では分散液温度が上昇し分散安定性に好ましくない。また、循環方式の分散は短時間分散においては粒子径標準偏差が大きくなる傾向にあり好ましくない。さらには分散液温度は分散時10℃未満が好ましく、さらに好ましくは4℃〜8℃が分散安定性が良い。
また、下記で説明する分散機としてビーズミルを用いる場合は、分散媒体(ビーズ)の大きさを調節することによって制御可能である。この場合、平均粒子径(D50)を50nm以下にするにはビーズを0.1mm〜1.0mm程度にすることが好ましく、さらに好ましくは0.1mm〜0.5mmにすれば良い。またこの手法によって本発明における粒子径標準偏差を平均粒子径(D50)より小さくすることができる。
【0021】
また、本発明の顔料分散液は分散剤が重量基準として顔料1に対し0.3以上2以下の割合で含まれるのが好ましい。さらに好ましくは、前記割合は顔料1に対し0.5〜2である。このような分散剤の使用量を採用することにより、平均粒径(D50)が小さく、かつ粒子径標準偏差も小さくすることができ、これにより彩度、吐出安定性、液安定性に一層優れた顔料分散液を提供することができる。
なお、前記分散剤の使用量が0.3未満では前記効果が達成されにくいほか、顔料分散液及びインクの保存安定性が劣り、その結果、ノズルの目詰まりが発生しやすい傾向があり、2より大きいと顔料分散液およびインクの粘度が高すぎてインクジェット方式での印字が困難になる傾向がある。
【0022】
本発明の顔料分散液に使用される分散剤は、特に制限されないが、下記一般式(1)で示される化合物の少なくとも一種を使用することにより平均粒径(D50)及び粒子径標準偏差のいずれも小さい顔料分散液を得ることができ好ましい。
【0023】
【化4】
(nは20以上100以下の整数を表わす。)
前記一般式(1)において、nは好ましくは20以上100以下、さらに好ましくは30以上50以下である。nが20未満では分散安定性が低下する傾向があり、nが100より大きいと分散液及びインクの粘度が高くなる傾向がある。中でもnが40である、POE(n=40)βナフチルエーテルが更に好ましい。
【0024】
本発明の顔料分散液に使用されている顔料としては、例えばブラック顔料としてはファーネス法あるいはチャネル法で製造されたカーボンブラック等が挙げられる。
また、イエロー顔料としては、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー2、ピグメントイエロー3、ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー16、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー73、ピグメントイエロー74、ピグメントイエロー75、ピグメントイエロー83、ピグメントイエロー93、ピグメントイエロー95、ピグメントイエロー97、ピグメントイエロー98、ピグメントイエロー114、ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー128、ピグメントイエロー129、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー151、ピグメントイエロー154、ピグメントイエロー155、ピグメントイエロー174、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
【0025】
また、マゼンタ顔料としては、ピグメントレッド5、ピグメントレッド7、ピグメントレッド12、ピグメントレッド48(Ca)、ピグメントレッド48(Mn)、ピグメントレッド57(Ca)、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド112、ピグメントレッド122、ピグメントレッド123、ピグメントレッド168、ピグメントレッド176、ピグメントレッド184、ピグメントレッド185、ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
【0026】
また、シアン顔料としては、ピグメントブルー1、ピグメントブルー2、ピグメントブルー3、ピグメントブルー15、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー16、ピグメントブルー22、ピグメントブルー60、ピグメントブルー63、ピグメントブルー66、バットブルー4、バットブルー60等が挙げられる。
中でも、イエロー顔料としてピグメントイエロー138、マゼンタ顔料としてピグメントレッド122、シアン顔料としてピグメントブルー15:3を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクジェットインク用インクを得ることができる。
本発明の顔料分散において顔料濃度は5重量%以上30重量%以下が好ましい。5重量%未満では生産性が劣り、30重量%より多いと顔料分散液の粘度が高すぎて分散が困難になる傾向がある。
【0027】
また、本発明の顔料分散液には、水の他に各種添加剤を配合することができる。例えば、水溶性有機媒体としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン誘導体、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等、またノニオン、アニオン、カチオン、両性の各種の界面活性剤、防腐剤等が挙げられる。
【0028】
本発明の顔料分散液は、前記顔料、分散剤、水、必要に応じて各種添加剤をサンドミル、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、ナノマイザー、ホモジナイザー等の公知の分散機で分散することによって得られる。
このとき、分散剤の使用量を前記のように重量基準として顔料1に対し0.3以上2以下の割合にするとともに、湿式分散処理を採用するのが好適である。なお、本発明で言う湿式分散処理とは顔料、分散剤、水、必要に応じて水溶性有機溶剤の混合物を前記サンドミル、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、ナノマイザー、ホモジナイザー等により、いわゆる湿式分散方式で微粉砕・分散する処理のことである。
【0029】
このようにして得られた本発明の顔料分散液は、特に顔料系インクジェット用インクとして好適に使用することができる。
顔料系インクジェット用インクは、公知の方法、例えば本発明の顔料分散液、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を攪拌混合し、フィルター、遠心分離装置等で粗大粒子をろ過し、脱気することによって得られる。なお、インクの顔料濃度は1重量%以上7重量以下が好ましい。1重量%未満では画像濃度が低いため印字の鮮明さに欠け、7重量%より多いとインクの粘度が高くなる傾向があるばかりでなくノズルの目詰まりが発生しやすくなる。また、インクには前記顔料分散液への添加剤で記した材料と同等の材料を必要に応じて配合することができる。たとえば水溶性有機溶剤の含有量としては、インク全量に対して0重量%以上50重量%以下、好ましくは5重量%〜40重量%、さらに好ましくは10重量%〜35重量である。
【0030】
このようにして得られた本発明の顔料系インクジェット用インクは、例えばカラー画像を形成するために複数の異なる色相のインクを重ねて画像支持体に画像形成するインクジェット記録用インクセット、これを収容するインクカートリッジに好適に用いることができる。
また、本発明の顔料系インクジェットインクは、これを例えば紙のような画像支持体に吐出させ記録(印字)を行なって画像形成するインクジェットプリント装置により、画像形成することができる。
印字する方法としては連続噴射型あるいはオンデマンド型が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、静電方式等が挙げられる。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお例中の部は重量基準である。
実施例1
処方1
ピグメントレッド122
(大日本インキ社製、FASTOGEN SUPER MAGENTA RG) 150部
一般式(1)の化合物(n=40) 110部
パイオニンA−51−B(竹本油脂社製) 2部
蒸留水 738部
上記の混合物をプレミックス後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL型)で0.3mmジルコニアビーズを用いて周速10m/s、液温8℃で180分循環分散し、顔料分散液(A)を得た。
このとき、メディアミル内滞留時間175分での平均粒径(D50)は18.2nmであり、メディアミル内滞留時間180分での平均粒径(D50)は18.0nmであった。
【0032】
実施例2〜6
実施例1と同様に分散を開始し、表1に示すような条件で分散を開始し、サンプリングのタイミングを変えて平均粒径を測定し、さらにメディアミル内滞留時間5分後に分散を終了した。それぞれ実施例2〜6の顔料分散液(B)、(C)、(D)、(E)、(F)を得た。
分散液分散終了時の平均粒径を測定し、平均粒径の変化率を算出した。結果は表1に示す。
【0033】
実施例7
実施例1においてピグメントレッド122を下記の材料に変更した他は実施例1と同様にして顔料分散液(G)を得た。
ピグメントブルー15:3
(東洋インキ製造社製、LIONOL BLUE FG-7351) 150部
【0034】
実施例8
実施例1においてピグメントレッド122を下記の材料に変更した他は実施例1と同様にして顔料分散液(H)を得た。
ピグメントイエロー138
(東洋インキ製造社製、LIONOGEN YELLOW 1010) 150部
比較例11
実施例1においてビーズミル周速を12m/分にする以外は同様にして分散液の最終平均粒径(D50)が80nm付近になった時点で分散を終了し、実施例1と同様にして顔料分散液(I)を得た。
【0035】
比較例12
実施例1においてビーズミル周速を12m/分にする以外は同様にして分散液の最終平均粒径(D50)が95nm付近になった時点で分散を終了し、実施例1と同様にして顔料分散液(J)を得た。
【0036】
比較例1
実施例1において分散機周速を12m/sに変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(K)を得た。
【0037】
比較例2
実施例1において分散機周速を14m/sに変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(L)を得た。
【0038】
比較例3
実施例1において液循環量を100mlに変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(M)を得た。
【0039】
比較例4
実施例1において液循環量を280mlに変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(N)を得た。
【0040】
比較例5
実施例1において分散実施時の液温度を20℃に変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(O)を得た。
【0041】
比較例6
実施例1において分散実施時の液温度を60℃にに変更する他は実施例1と同様にして顔料分散液(P)を得た。
【0042】
比較例7
実施例1においてピグメントレッド122を下記の材料に変更し、分散機周速を14m/sにした他は実施例1と同様にして顔料分散液(Q)を得た。
ピグメントブルー15:3
(東洋インキ製造社製、LIONOL BLUE FG-7351) 150部
【0043】
比較例8
実施例1においてピグメントレッド122を下記の材料に変更し、分散機周速を14m/sにした他は実施例1と同様にして顔料分散液(R)を得た。
ピグメントイエロー138
(東洋インキ製造社製、LIONOGEN YELLOW 1010) 150部
【0044】
比較例9
実施例1において分散液の最終平均粒径(D50)が70nm付近になった時点で分散を終了し、実施例1と同様にして顔料分散液(S)を得た。
【0045】
比較例10
実施例1においてビーズミル周速を14m/分にする以外は同様にして分散液の最終平均粒径(D50)が110nm付近になった時点で分散を終了し、実施例1と同様にして顔料分散液(T)を得た。
【0046】
上記の方法で得られた顔料分散液(A)〜(J)を用いて下記インク処方1によりインク液を調整し、30分攪拌後孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過、真空脱気して(a)〜(j)の実施例のインク液を得た。同様に顔料分散液(K)〜(T)にインク処方1によりインクを調製し、30分攪拌後孔径0.8μmのメンブランフィルターでろ過、真空脱気して(k)〜(t)の比較例のインク液を得た。
【0047】
上記のインク液(a)〜(t)に含まれる顔料の平均粒径を測定した。またEPSON社製インクジェットプリンタMJ−930Cで印字し、吐出安定性及び印字画像をXrite濃度計にて測定した。
【0048】
【表1】
画像の鮮明性(彩度)とは、画像サンプルのベタ画像の測色をXrite濃度計にて行ない、色度図上にプロットし、色度図上の原点からの距離を言う。より詳しくは色度図上のa値、b値について、
【0049】
【数1】
を言う。
【0050】
吐出安定性
吐出安定性については、印刷物を印刷した後、プリンタヘッドにキャップした状態でプリンタを40℃の環境下で1ヶ月放置した。放置後のプリンタの吐出状態が初期の吐出状態に回復するか否かを下記のクリーニング動作回数によって評価した。
評価基準
○:1回の動作により回復した。
△:2回〜3回の動作により回復した。
×:3回以上の動作によっても回復がみられなかった。
【0051】
インク保存性
各インクをポリエチレン容器に入れ密封し、70℃で3週間保存した後の粒径、表面張力、粘度を測定し初期物性との変化率により下記の様に評価した。
○:10%以内(粒径、表面張力、粘度の全て項目)
△:30%以内(粒径、表面張力、粘度の全て項目)
×:50%を超える(粒径、粘度)
【0052】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明の顔料分散液及びインクの製造方法は、画像の鮮明性(彩度)、画像濃度に優れ、吐出安定性、インク保存性においても従来のものより優れるものである。
Claims (11)
- 顔料分散液が少なくとも顔料と分散剤、水からなるインクジェット用顔料分散液の製造方法であって、顔料粒子の平均粒子径(D50)が100nm以下で、該顔料粒子の粒度分布における粒子径標準偏差が平均粒子径(D50)より小さく、該顔料分散液の製造をメディアミルを用いて分散する際、分散時の液流量を300ml/分以上とし、かつメディアミル内の滞留時間5分の平均粒径変化が2%未満で分散を終了することを特徴とするインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- 前記顔料分散液の製造をメディアミルを用いて分散する際、分散実施時の液温度を10℃未満に保つことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- 前記顔料の内、ブラック顔料がカーボンブラックであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- 前記分散剤が重量基準として顔料1に対し0.3以上2以下の割合で含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット用顔料分散液の製造方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の製造方法を用いて製造されたことを特徴とするインクジェット用顔料分散液。
- 請求項5に記載のインクジェット用顔料分散液を含有してなることを特徴とするインクジェット用インク。
- 請求項6に記載のインクジェット用インクを収容したことを特徴とするインクカートリッジ。
- 請求項6に記載のインクジェット用インクを画像支持体上に吐出させ記録を行なうことを特徴とするインクジェットプリント装置。
- 請求項6に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェット方式プリント装置で印字することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項6に記載のインクジェット用インクを用いてインクジェットプリント装置で印字されたことを特徴とする画像形成物。
- 画像支持体が紙であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成物。
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