JP7090472B2 - 水性インクジェットインク - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、水性インクジェットインクに関する。
インクジェット記録方法に用いられるインクジェット用インクは、水性インクと非水性
インクに大別される。水性インクは、溶媒として水を含有するため、記録媒体がインク中
の水分を吸収してカールやコックリングなどの用紙変形が生じることがあり、これにより
、印字物がインクジェットヘッドに接触するなど、記録媒体の搬送性に影響を及ぼす可能
性がある。
また、インクジェット記録方法においては、近年、高速で印刷が行えることが益々要求
されている。このような要求があるなかで、高速印刷ができるインクジェットプリンタと
して、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタが普及しつつある。しかし、高速化す
ると前述したような用紙変形に起因する問題が起こりやすくなる。
また、近年、揮発性を有し、大気中で気体状となる有機化合物であるVOC(Vola
tile Organic Compounds)による、人の健康への影響が懸念され
ている。
特許文献1及び2では、インクジェット用インクについて、用紙変形を抑制する技術が
提案されている。
特許文献3は、VOCの発生を抑制する方法を提案している。
特開2005-220296号公報 特開2015-67678号公報 特開2014-200917号公報
特許文献1及び2では、インクジェット用インクについて、用紙変形を抑制する技術が
提案されているが、低沸点溶剤が用いられ、VOCを発生させる可能性がある。
特許文献3は、VOCの発生を抑制する方法を提案しているが、用紙変形の抑制につい
ては検討されていない。
本発明の一目的は、記録された画像からのVOCの発生量及び用紙の変形を低減するこ
とができる水性インクジェットインクを提供することである。
本発明の一実施形態により、色材及び水を含み、沸点が300℃以上であり、23℃で
の粘度が20mPa・s以下である水溶性有機溶剤であって、前記水溶性有機溶剤の80
質量%以上100質量%未満の水溶液の23℃での粘度が20mPa・s以下である水溶
性有機溶剤をさらに含む、水性インクジェットインクが提供される。
本発明の他の実施形態により、色材及び水を含み、コハク酸ビスエトキシジグリコール
およびベンジルジグリコールからなる群から選択される少なくとも1種の水溶性有機溶剤
をさらに含む、水性インクジェットインクが提供される。
本発明の実施形態によれば、記録された画像からのVOCの発生量及び用紙の変形を低
減することができる水性インクジェットインクを提供することができる。
以下に、本発明の実施形態を説明するが、本発明が下記の実施形態に限定されることは
ない。
本発明の一実施形態の水性インクジェットインク(以下、「インク」という場合もある
。)は、色材及び水を含み、沸点が300℃以上であり、23℃での粘度が20mPa・
s以下である水溶性有機溶剤であって、前記水溶性有機溶剤の80質量%以上100質量
%未満の水溶液の23℃での粘度が20mPa・s以下である水溶性有機溶剤(以下、「
水溶性有機溶剤A」という場合もある)をさらに含む。
水溶性有機溶剤Aについて説明する。
水溶性有機溶剤Aの沸点は、記録された画像からのVOCの発生量の低減の観点から、
300℃以上である。
水溶性有機溶剤Aの23℃での粘度は、用紙変形の低減の観点から、20mPa・s以
下が好ましく、19mPa・s以下がより好ましく、18mPa・s以下がさらに好まし
い。
水溶性有機溶剤Aの80質量%以上100質量%未満の水溶液の23℃での粘度は、用
紙変形の低減の観点から、20mPa・s以下が好ましく、19mPa・s以下がより好
ましく、18mPa・s以下がさらに好ましい。
ここで、水溶性有機溶剤Aの80質量%以上100質量%未満の水溶液とは、水溶性有
機溶剤Aと水との混合物であって、水溶性有機溶剤Aと水との合計量に対する水溶性有機
溶剤Aの割合が80質量%以上100質量%未満である水溶液である。また、水溶性有機
溶剤Aの80質量%以上100質量%未満の水溶液の23℃での粘度が所定の範囲内であ
るとは、水溶性有機溶剤Aと水との混合物である水溶性有機溶剤Aの水溶液において、水
溶性有機溶剤Aの量が80質量%以上100質量%未満の範囲全体において、水溶液の2
3℃での粘度が、所定の範囲内であることを意味する。
また、水溶性有機溶剤Aの23℃での粘度、及び水溶性有機溶剤Aの80質量%以上1
00質量%未満の水溶液の23℃での粘度が20mPa・s以下であるとき、比較的低粘
度であることから、多量の水をインクに含ませることなく、インクを低粘度としやすい。
これにより、インクに含ませる水の量を低減することができる。このことも、用紙変形の
低減には有利に作用しうると考えられる。
水溶性有機溶剤Aの23℃での粘度は、水溶性有機溶剤Aの80質量%以上100質量
%未満の水溶液の粘度よりも高いことが好ましい。
水溶性有機溶剤Aの23℃の粘度は、10mPa・s以上が好ましく、11mPa以上
が好ましく、12mPa・s以上がさらに好ましい。
水溶性有機溶剤Aの80質量%以上100質量%未満の水溶液の粘度は、10mPa・
s以上が好ましく、11mPa・s以上が好ましく、12mPa・s以上がさらに好まし
い。
なお、印刷物を、ポリプロピレン(PP)を主成分として使用したクリアファイルに挟
んでおくと、時間の経過にともない、クリアファイルが波打つように変形することがある
。水溶性有機溶剤Aの23℃の粘度、及び水溶性有機溶剤Aの80質量%以上100質量
%未満の水溶液の粘度が10mPa・s以上のとき、水溶性有機溶剤Aはクリアファイル
のポリプロピレン内に入り込みにくい傾向があり、クリアファイル変形を発生させにくい
傾向もある。
水溶性有機溶剤Aの1分子中の水酸基の数は、用紙の変形の低減の観点から、1以下で
あることが好ましい。1分子中の水酸基の数が1以下であるとは、例えば、1分子中の水
酸基の数が、1であってもよく、0であってもよい。
紙がインク中の水分を吸収して用紙変形を起こす原因の1つとして、紙のセルロース分
子間の水素結合に水が入り込み、セルロース分子間水素結合を切断することが考えられる
。また、水酸基を有する水溶性有機溶剤も、水のようにセルロース分子間の水素結合に入
り込み、セルロース分子間水素結合を切断する場合があると考えられる。1分子中の水酸
基の数が1以下の場合、水溶性有機溶剤は、紙のセルロース分子間に入りにくく水素結合
を分断しにくい傾向があると考えられる。また、1分子中の水酸基の数が1以下の場合、
水溶性有機溶剤は比較的水を保持しにくい傾向があり、揮発性が比較的低い場合にも、紙
に残存した水溶性有機溶剤が保持する水による影響も少ない。このような理由により、水
溶性有機溶剤Aの1分子中の水酸基の数が1以下のとき、用紙の変形をいっそう低減させ
やすいと考えられるが、上記の理論に拘束されることはない。
水溶性有機溶剤Aの具体例としては、例えば、コハク酸ビスエトキシジグリコール、ベ
ンジルジグリコールが挙げられる。
Figure 0007090472000001
水溶性有機溶剤Aを1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
インク中の水溶性有機溶剤Aの含有量は、インク全量に対して、40質量%以上が好ま
しく、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がさらに好ましい。水溶性有機溶剤A
の含有量は、インク全量に対して、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好
ましく、75質量%以下がさらに好ましい。
インク中の水溶性有機溶剤Aと水との含有量の比率はとくに限定されないが、用紙変形
のさらなる低減の観点から、インク中の水溶性有機溶剤Aの含有量は、インク中の水の含
有量に対して、質量比で1.0倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、1.4
倍以上がさらに好ましい。また、インク中の水溶性有機溶剤Aの含有量は、インク中の水
の含有量に対して、10倍以下が好ましく、5倍以下がより好ましく、例えば、4倍以下
であってもよい。
インクには、水溶性有機溶剤Aに加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の
水溶性有機溶剤を添加してもよい。その他の水溶性有機溶剤としては、室温で液体であり
、水に溶解可能な有機化合物から適宜選択することができる。
インク中の水溶性有機溶剤Aの含有量は、インク中の水溶性有機溶剤全量に対して、6
0質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがよりこのましく、80
質量%以上であることがさらに好ましい。インク中の水溶性有機溶剤Aの含有量はインク
中の水溶性有機溶剤全量の100質量%であってもよい。
水について説明する。
水としては、イオン交換水、蒸留水などの純水、または超純水を使用することが好まし
い。
インク中の水の含有量は特に限定されない。インク中の水の含有量は、用紙変形のさら
なる低減の観点から、50質量%以下が好ましく、45質量以下がより好ましく、40質
量%以下がさらに好ましい。インク中の水の含有量は、例えば、10質量%以上、15質
量%以上、または、20質量%以上であってよい。
色材について説明する。
色材としては、顔料及び染料を単独で、または組み合わせて用いることができる。
顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系
、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチング
レッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニング
リーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛
、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、なら
びに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、ア
セチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。
インク中に顔料が含まれる場合、顔料をインク中に安定して分散させるために、顔料分
散剤を添加することができる。顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫
酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレン
スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポ
リオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレ
ングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ア
ミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいは、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタ
レン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン
酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からな
るブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩を挙げることができる。
顔料として自己分散性顔料を用いてもよい。自己分散性顔料としては、顔料表面にイオ
ン性を有する親水性官能基が導入されたものであることが好ましく、顔料表面をアニオン
性またはカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定
に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシ基、
カルボニル基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基、リン酸基等が好ましい。カチオン性官能基
としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基などが好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結
合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基など
が挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ
化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理などが挙げ
られる。
また、例えば、四級アンモニウムイオンをカウンターイオンとして備える自己分散性顔
料も好ましい。例えば、アニオン性基を有し、かつ、四級アンモニウムイオンをカウンタ
ーイオンとして備える自己分散性顔料を好ましく用いることができる。四級アンモニウム
イオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、
テトラプロピルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンが好ましく、テ
トラプロピルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオンがより好ましく、
テトラブチルアンモニウムイオンが特に好ましい。
自己分散性顔料の市販品としては、キャボット社製CAB-O-JET300、CAB
-O-JET400、オリヱント化学工業株式会社製BONJET BLACK CW-
1、同CW-1S、同CW-2、東海カーボン株式会社製Aqua-Black 162
等を例示できる。また、例えば、これら市販の自己分散性顔料のカウンターイオンを四級
アンモニウムイオンなどに変換したものを用いてもよい。
染料としては、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、
媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられ、これらのうち、水溶性染料が
好ましい。より具体的には、染料としては、アゾ染料、メチン染料、アゾメチン染料、キ
サンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニル
メタン染料等を挙げることができる。
これらの顔料及び染料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可
能である。
インク中の色材(色材固形分)の含有量は、0.1~25質量%程度であることが好ま
しく、1~20質量%がより好ましく、3~15質量%がさらに好ましく、5~15質量
%がさらに好ましい。
インクには、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通
常用いられている各種添加剤を含ませることができる。
具体的には、顔料分散剤、消泡剤、表面張力低下剤等として、アニオン界面活性剤、カ
チオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン
系、フッ素系の界面活性剤をインクに含有させることができる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール系界面活性
剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレン脂肪酸エステルなどが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤と
しては、例えば、サーフィノール465、サーフィノール104(Air Produc
ts and Chemical社製)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(日
信化学工業株式会社製)を例示することができる。
インクの保存安定性を調整するために、インクに電解質を配合することができる。電解
質としては、たとえば、硫酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒
石酸カリウム、ホウ酸ナトリウム等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。
インクのpHを調整するために、公知のpH調整剤を添加することもできる。硫酸、硝
酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールア
ミン等は、pH調整剤として、あるいはインクの増粘助剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インク成分の酸化を防止し、インクの保存安定性を
向上させることができる。酸化防止剤としては、たとえば、L-アスコルビン酸、L-ア
スコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナト
リウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等を用い
ることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して保存安定性を向上させることが
できる。防腐剤としては、たとえば、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3
-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチア
ゾリン-3-オン、1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン等のイソチアゾロン系防腐
剤;ヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン等の
トリアジン系防腐剤;2-ピリジンチオールナトリウム-1-オキシド、8-オキシキノ
リン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチ
オカルバメート系防腐剤;2,2-ジブロモ-3-ニトリロプロピオンアミド、2-ブロ
モ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール、2,2-ジブロモ-2-ニトロエタノール
、1,2-ジブロモ-2,4-ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p-ヒドロキシ安
息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナト
リウム、サリチル酸等を用いることができる。
インクは、各成分を一括または分割して混合して、適宜分散機にて分散することによっ
て調整することができる。
インクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが
、一般に、23℃において1~30mPa・sであることが好ましい。
一実施形態であるインクジェット記録方法または印刷物の製造方法について説明する。
このインクジェット記録方法または印刷物の製造方法は、上述のインクを、インクジェッ
ト記録法によって記録媒体に付与することを含む。
インクジェット記録法としては、サーマルインクジェット方式、ピエゾインクジェット
方式、静電吸引方式など、いずれの方式のものであってもよく、例えば、デジタル信号に
基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたイン
ク液滴を記録媒体に付着させるようにする。
記録媒体としては、特に限定されず、普通紙、更紙、上質普通紙、インクジェット(I
J)紙、IJマット紙、記録媒体上にインク吸収溶液がコートされたコート紙、コート紙
よりもインク吸収層の厚みが薄い微コート紙、光沢紙(フォト光沢用紙)、特殊紙、布等
を用いることができる。
このインクジェット記録方法または印刷物の製造方法によれば、カール等の用紙変形を
低減することができるため、用紙搬送性が良好であり、高速印刷にも対応することができ
る。このため、本実施形態によるインクは、ラインヘッドを搭載したラインヘッド方式の
インクジェットプリンタに好ましく使用することができる。
本発明の実施形態は、下記を含むが、本発明は下記の実施形態に限定されない。
<1> 色材及び水を含み、
沸点が300℃以上であり、23℃での粘度が20mPa・s以下である水溶性有機溶
剤であって、前記水溶性有機溶剤の80質量%以上100質量%未満の水溶液の23℃で
の粘度が20mPa・s以下である水溶性有機溶剤をさらに含む、
水性インクジェットインク。
<2> 前記水溶性有機溶剤の23℃での粘度が10mPa・s以上であり、かつ、前記
水溶性有機溶剤の80質量%以上100質量%未満の水溶液の23℃での粘度が10mP
a・s以上である、<1>に記載の水性インクジェットインク。
<3> 前記水溶性有機溶剤の1分子中の水酸基の数が0又は1である、<1>又は<2
>に記載の水性インクジェットインク。
<4> 色材及び水を含み、
コハク酸ビスエトキシジグリコールおよびベンジルジグリコールからなる群から選択さ
れる少なくとも1種の水溶性有機溶剤をさらに含む、
水性インクジェットインク。
<5> 前記水の含有量が前記水性インクジェットインク全量に対し、50質量%以下で
ある、<1>~<4>のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
<6> 前記水溶性有機溶剤の含有量が前記水性インクジェットインク全量に対し、40
質量%以上である、<1>~<5>のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
<インクの調製>
表1及び表2に実施例及び比較例のインク処方を示す。表1及び表2に示す原材料を、
表に示す割合となるように混合し、スリーワンモーターを用いて60rpmの回転速度で
10分間撹拌し、撹拌後、孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過して各実施例及
び比較例のインクを得た。
表1及び表2に示す顔料A及び顔料Bは水を含む分散液であり、染料Bは、水を含む液である。表1及び2において、「顔料」及び「染料」の量は、いずれも、顔料または染料固形分としての量を示す。また、表1及び2において、「水」の量は、顔料A、顔料B及び染料Bの水を含めたインク全体の水の含有量である。
使用した材料を、下記に示す。
1.顔料
・顔料A:キャボット社製自己分散カーボンブラック分散体「Cab-O-JET300
(商品名)」を、テトラブチルアンモニウムイオンを吸着させたイオン交換樹脂(商品名
:アンバーライト、Sigma-Aldrich社製)で処理し、この分散体がカウンタ
ーイオンとして含有していたナトリウムイオンをテトラブチルアンモニウムイオンに変換
して、顔料Aとした。顔料固形分量15質量%。
・顔料B:キャボット社製自己分散カーボンブラック分散体「Cab-O-JET400
(商品名)」を、テトラブチルアンモニウムイオンを吸着させたイオン交換樹脂(商品名
:アンバーライト、Sigma-Aldrich社製)で処理し、この分散体がカウンタ
ーイオンとして含有していたナトリウムイオンをテトラブチルアンモニウムイオンに変換
して顔料Bとした。顔料固形分量15質量%。
2.染料
・染料A:ダイワ化成株式会社製「Food Black 2」、染料固形分量100質
量%
・染料B:オリヱント化学工業株式会社製「WATER BLACK 256-L」、染料固形分量14質量%
3.有機溶剤
・ベンジルジグリコール:日本乳化剤株式会社製、沸点302℃、1分子中の水酸基の数

・コハク酸ビスエトキシジグリコール:高級アルコール工業株式会社製「ハイアクオスタ
ーDCS」、沸点330℃、1分子中の水酸基の数0
・トリエチレングリコールモノメチルエーテル:関東化学株式会社製、沸点245℃、1
分子中の水酸基の数1
・ポリエチレングリコールジメチルエーテル:東邦化学工業株式会社製、沸点264-2
94℃、1分子中の水酸基の数0
・ジエチレングリコール:和光純薬工業株式会社製、沸点244℃、1分子中の水酸基の
数2
・トリエチレングリコール:関東化学株式会社製、沸点285℃、1分子中の水酸基の数

・テトラエチレングリコール:関東化学株式会社製、沸点327℃、1分子中の水酸基の
数2
4.水
・イオン交換水
<水溶性有機溶剤及びその水溶液の粘度>
各インクの作製に使用した水溶性有機溶剤の23℃の粘度を測定した。また、各水溶性
有機溶剤と水とを混合して、水溶性有機溶剤の濃度が90質量%及び80質量%の水溶液
をそれぞれ作製し、23℃の粘度を測定した。粘度の測定には、ティー・エー・インスト
ルメンツ社製レオメータ「AR-G2」(コーン角度2°、直径40mm)を用いた。
結果を表1及び2に示す。表中「100質量%」は各水溶性有機溶剤、「90質量%」
及び「80質量%」はそれぞれ、各水溶性有機溶剤が90質量%及び80質量%の水溶液
を表す。
<評価>
各インクについて、以下の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
1.インク粘度
各インクの23℃の粘度を、ティー・エー・インストルメンツ社製レオメータ「AR-
G2」(コーン角度2°、直径40mm)を用いて測定した。
2.VOC
各インクの製造で用いられた水溶性有機溶剤(ベンジルジグリコール、コハク酸ビスエ
トキシジグリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びテトラエチ
レングリコール)について、株式会社島津製作所製「TD-20」により、ガスクロマト
グラフにおける分析を行い、VOCの指標となるn-ヘキサンからn-ヘキサデカン間に
ピークが検出されるかどうかを調べた。その結果、これら有機溶剤のうち、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル及びポリエチレングリコールジメ
チルエーテルに、n-ヘキサンからn-ヘキサデカン間にピークが検出されたが、それ以
外の水溶性有機溶剤では、n-ヘキサンからn-ヘキサデカン間にピークは検出されなか
った。
表1及び2において、n-ヘキサンからn-ヘキサデカン間にピークが検出された有機
溶剤を使用していない場合をA、n-ヘキサンからn-ヘキサデカン間にピークが検出さ
れる有機溶剤を使用している場合をCとした。
3.用紙の変形
記録媒体として、50mm×100mmに断裁した普通紙(理想科学工業株式会社製「
理想用紙薄口」)を用い、印刷試験機K202コントロールコータ(松尾産業株式会社製
)にワイヤーバーP0.08H5S(オーエスジープロダクツシステム株式会社製)をセ
ットし、これを用いて、スピード10で、各インクをそれぞれ記録媒体に塗工した。イン
クを塗工した面を上にして水平面に静置し、インク塗工10秒後の用紙の変形量を測定し
た。
用紙の変形量は、インク塗工面を上にして水平面に静置された用紙において、用紙が変
形して持ち上がった部分の水平面からの最大高さを測定したものである。インク塗工面が
凸面となるように凸型に変形するマイナスカール、インク塗工面が凹面となるように凹型
に変形するプラスカールのいずれにおいても、用紙の変形量の絶対値をもとに、用紙変形
を下記の評価基準で評価した。
A:用紙変形量の絶対値が10mm未満
B:用紙変形量の絶対値が10mm以上15mm未満
C:用紙変形量の絶対値が15mm以上
4.クリアファイル変形
記録媒体として、普通紙(理想科学工業株式会社製「理想用紙薄口」)を用い、ワイヤ
ーバーP0.08H5S(オーエスジープロダクツシステム株式会社製)を用いて、記録
媒体の全体にインクを塗布して印刷物を得た。得られた印刷物をポリプロピレン製クリア
ファイルに挟み、室温環境に1週間放置した。1週間放置後のクリアファイルの変形を目
視で評価し、変形が観察されなかったものをA、変形が観察されたものをCとした。
Figure 0007090472000002
Figure 0007090472000003
実施例1~10のいずれにおいても、用紙の変形量の絶対値は10mm未満であった。
また、実施例1~10で用いられた水溶性有機溶剤は、VOCの指標となる、n-ヘキサ
ンからn-ヘキサデカン間のピークは検出されなかった。

Claims (5)

  1. 色材及び水を含み、
    沸点が300℃以上であり、23℃での粘度が20mPa・s以下である水溶性有機溶剤であって、前記水溶性有機溶剤の80質量%以上100質量%未満の水溶液の23℃での粘度が20mPa・s以下である水溶性有機溶剤をさらに含み、
    前記水溶性有機溶剤の含有量が水性インクジェットインク全量に対し、40質量%以上である、
    水性インクジェットインク。
  2. 前記水溶性有機溶剤の23℃での粘度が10mPa・s以上であり、かつ、前記水溶性有機溶剤の80質量%以上100質量%未満の水溶液の23℃での粘度が10mPa・s以上である、請求項1に記載の水性インクジェットインク。
  3. 前記水溶性有機溶剤の1分子中の水酸基の数が0又は1である、請求項1又は2に記載の水性インクジェットインク。
  4. 色材及び水を含み、
    コハク酸ビスエトキシジグリコールおよびベンジルジグリコールからなる群から選択される少なくとも1種の水溶性有機溶剤をさらに含み、
    前記水溶性有機溶剤の含有量が水性インクジェットインク全量に対し、40質量%以上である、
    水性インクジェットインク。
  5. 前記水の含有量が前記水性インクジェットインク全量に対し、50質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の水性インクジェットインク。
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