JP5403260B2 - アキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法に関する。
アキシャルギャップ型回転電機は、回転軸を中心として回転可能に配設されたロータと、このロータの回転軸方向にギャップを隔てて配設されたステータとを備える回転電機である。アキシャルギャップ型回転電機は、その構造から薄型化できる点や磁極面積を大きくしてトルク密度を向上できる点で他の構造の回転電機より好ましい。
下記の特許文献1には、アキシャルギャップ型回転電機の積層ステータコアの製造方法として、電磁鋼板から幅の異なる複数枚のコアシートを打抜き形成し、これら複数枚のコアシートを径方向に積層することによって、コア端面(磁極面)が台形形状を成すステータコアを製造する方法が開示されている。コア端面を台形にすることで、複数のステータコアを円形状に配列した際のコア同士の間のスペースを小さくすることができ、回転電機の効率を向上させることができる。
特開2007−252064号公報
しかしながら、従来の積層ステータコアの製造方法は、幅の異なる複数のコアシートを打抜き形成するのに、電磁鋼板に対する打抜き位置を異ならせた多数の金型を使用するか、或いは、打抜き位置を変え得る複数の可動金型を使用せざるを得ず、生産性が低下し、製造コストがかかる難点があった。
また、複数の固定金型や可動金型により切断されて廃棄される電磁鋼板の幅が変わるため、電磁鋼板のスクラップが多くなり、歩留りが悪い難点があった。
さらに、製造されたステータコアが台形形状であったため、コアの外周側の角部が鋭角となり、インシュレータを介して巻き付けられる巻線がこの鋭角部分で大きく膨らんで巻線の占積率が低下する難点があった。
本発明は、従来のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法に上記のような難点があることに鑑みて為されたもので、生産性を向上でき、低コストに積層ステータコアを製造し得るアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、巻線の占積率の高い積層ステータコアを歩留り良く製造することができるアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、電磁鋼板を打ち抜いて得た複数のコアシートを径方向に積層して成るアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法であって、
電磁鋼板に対する打抜き位置を変え得る可動切断部により一対の第一コアシート及び第二コアシートの互いに対向する各内側部を形成する一方、前記電磁鋼板に対する打抜き位置を固定した固定切断部により該第一コアシート及び該第二コアシートの各外側部を形成することによって、前記内側部と前記外側部との間隔を異ならせた複数対の第一コアシート及び第二コアシートを打抜き形成する打抜き工程と、前記打抜き工程により得られた前記間隔の異なる複数の第一コアシートを打抜き順に積層して、シート面と斜交する第一傾斜側面及び第二傾斜側面を有する複数の第一コアブロックを形成する第一積層工程と、
前記打抜き工程により得られた前記間隔の異なる複数の第二コアシートを打抜き順に積層して、シート面と斜交する第一傾斜側面及び第二傾斜側面を有する複数の第二コアブロックを形成する第二積層工程と、複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの一つを用いて或いは複数を並べてステータコアを形成するコア形成工程と、を有し、
前記第一積層工程において、複数の前記第一コアシートを前記間隔の大小の順に積層することによって、一の第一コアブロックの第一傾斜側面を形成するとともに、該一の第一コアブロックの第二傾斜側面を形成し、
前記第二積層工程において、前記一の第一コアブロックの第一傾斜側面の全部または一部を形成する前記第一コアシートと対に打抜き形成された前記第二コアシートを積層することによって、一の第二コアブロックの第一傾斜側面を形成するとともに、前記一の第一コアブロックの第二傾斜側面の全部または一部を形成する前記第一コアシートと対に打抜き形成された前記第二コアシートを積層することによって、他の第二コアブロックの第二傾斜側面を形成することを特徴としている。
また、本発明は、前記コア形成工程において、複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの二つを、それぞれの前記第一傾斜側面を互いに離反させ、且つ、周方向の幅が内周側より外周側で大きくなるように周方向に並べることを特徴としている。
また、本発明は、前記第一積層工程において、前記第一コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面との間に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい複数の第一コアシートを積層して成るシート面と直交する垂直側面を形成し、前記第二積層工程において、前記第二コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面との間に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい複数の第二コアシートを積層して成るシート面と直交する垂直側面を形成することを特徴としている。
また、本発明は、前記コア形成工程において、複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの二つを、それぞれの前記第一傾斜側面を互いに接近させ、且つ、周方向の幅が内周側より外周側で大きくなるように周方向に並べることを特徴としている。
また、本発明は、前記第一積層工程において、前記第一コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを直交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第一コアシートを積層し、前記第二積層工程において、前記第二コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを直交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第二コアシートを積層することを特徴としている。
また、本発明は、前記第一積層工程において、前記第一コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを鋭角で斜交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第一コアシートを積層し、前記第二積層工程において、前記第二コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを鋭角で斜交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第二コアシートを積層することを特徴としている。
また、本発明は、前記コア形成工程において、複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの二つを、一方の前記第一傾斜側面のみを接近させ、且つ、周方向の幅が内周側よりも外周側で大きくなるように周方向に並べることを特徴としている。
また、本発明は、前記第一積層工程において、前記第一コアブロックの積層方向両端に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい第一コアシートを積層し、前記第二積層工程において、前記第二コアブロックの積層方向両端に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい第二コアシートを積層することを特徴としている。
本発明に係るアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法によれば、第一コアブロック及び第二コアブロックを形成する、間隔を異ならせた複数の第一コアシートと複数の第二コアシートとを、打抜き位置を変え得る一つの可動切断部と打抜き位置を固定した固定切断部とによって容易に打抜き形成することができる。したがって、従来のように、打抜き位置を異ならせた多数の金型を使用したり、打抜き位置を変え得る複数の可動金型を使用しなくても良く、生産性を向上させることができ、低コストで積層ステータコアを製造することができる。
また、従来では、可動切断部により切断されて廃棄される電磁鋼板の幅が変わるため、電磁鋼板のスクラップが多くなったが、本発明では、可動切断部により切断されて廃棄される電磁鋼板の幅を一定にすることができるため、電磁鋼板のスクラップを大幅に減らすことができ、歩留りを向上させることができる。
しかも、本発明に係る製造方法によれば、一の第一コアブロックの第一傾斜側面を形成する複数の第一コアシートとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシートを積層することによって、一の第二コアブロックの第一傾斜側面を形成し、また、該一の第一コアブロックの第二傾斜側面を形成する複数の第一コアシートとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシートを積層することによって、他の第二コアブロックの第二傾斜側面を形成するようにしているので、第一コアブロック及び第二コアブロックの第一傾斜側面のみならず、第二傾斜側面についても、一つの可動切断部を往復移動させて形成することができ、このことによっても電磁鋼板のスクラップを減らすことができ、歩留りを向上させることができる。
また、本発明に係る製造方法により製造されたステータコアは、第一傾斜側面、第二傾斜側面を有しているので、従来の台形形状のステータコアのように、コアの外周側の鋭角部分で巻線の膨らみが大きくなって巻線の占積率が低下する難点がない。本発明の製造方法によれば、巻線の占積率の高いステータコアを歩留り良く製造することができる。
本実施形態のステータコアの製造方法の打抜き工程を説明する概略平面図である。 本実施形態の製造方法の積層工程を説明する図であって、図1中のCS1−CS1線の矢視断面図である。 本実施形態の製造方法の積層工程を説明する斜視図である。 本実施形態の製造方法のコア形成工程を説明する斜視図である。 本実施形態の製造方法により製造されたステータコアを用いたステータの分解斜視図である。 本実施形態の製造方法により製造されたステータコアを用いたアキシャルギャップ型回転電機の概略断面図である。 本発明に係る第一変形例の打抜き工程を説明する概略平面図である。 本発明に係る第一変形例の積層工程を説明する図であって、図7中のCS2−CS2線の矢視断面図である。 本発明に係る第一変形例の積層工程を説明する斜視図である。 本発明に係る第一変形例のコア形成工程を説明する斜視図である。 本発明に係る第一変形例により製造されたステータコアを説明する平面図である。 本発明に係る第二変形例のコア形成工程を説明する平面図である。 本発明に係る第三変形例のステータコアを説明する平面図である。 本発明に係る第四変形例のコア形成工程を説明する平面図である。 本発明に係る第五変形例のステータコアを説明する平面図である。 本発明に係る第五変形例の積層工程を説明する断面図である。 本発明に係る第六変形例の打抜き工程を説明する概略平面図である。 本発明に係る第六変形例の積層工程を説明する斜視図である。 本発明に係る第六変形例のコア形成工程を説明する斜視図である。 本発明に係る第七変形例の打抜き工程を説明する概略平面図である。 本発明に係る第七変形例の積層工程を説明する斜視図である。 本発明に係る第七変形例のコア形成工程を説明する斜視図である。 本発明に係る第八変形例の打抜き工程を説明する概略平面図である。 本発明に係る第八変形例の積層工程を説明する斜視図である。 本発明に係る第八変形例のコア形成工程を説明する斜視図である。
本発明は、アキシャルギャップ型回転電機に用いる積層ステータコアの製造方法に関するものである。図6の概略断面図に示すように、アキシャルギャップ型回転電機10は、回転軸1(回転軸心A)を中心として回転可能に配設されたロータ2と、このロータ2の回転軸方向の両側に所定のギャップを隔てて配設された第一ステータ3及び第二ステータ4とを備えている。
ロータ2は、回転軸1に固定され、回転軸心Aを中心に回転可能な非磁性体から成るフレーム2aと、フレーム2aの回転軸心Aの周りに配設され、軸方向端面に磁極面を有する複数の界磁部2bと、これら複数の界磁部2bをフレーム2aに固定する押さえ部材2c、2dとから構成されている。界磁部2bは、第一ステータ3側からみて、軟磁性体コア、永久磁石の順に積層されて成る。軟磁性体コアは、圧粉磁心や径方向に積層された電磁鋼板等、永久磁石より導電率が低い材料により構成され、永久磁石の減磁を防ぎ、永久磁石内部に発生する渦電流を低減するが、必須ではない。また、永久磁石を省き、リラクタンストルクのみで回転するモータとしてもよい。押さえ部材2cは、第一ステータ3のステータコア30との対向を避け、外周と内周に分割されたリング状の非磁性体金属から構成されている。一方、押さえ部材2dは、界磁部2bの全てを覆う磁性体の鋼板から構成されている。第二ステータ4側はトルクを発生しないため、界磁部2bからの磁束の一部を短絡しても問題はないからである。押さえ部材の構成についても、本実施形態は一例であり、任意に選択可能である。
第一ステータ3は、バックヨーク3aと、支持部材3bと、バックヨーク3a及び支持部材3bに固定された複数のステータコア30と、各ステータコア30に不図示のインシュレータを介して巻き付けられた巻線3cと、から構成されており、第二ステータ4は、バックヨーク4aから構成されている。これら第一ステータ3及び第二ステータ4は、不図示のケーシングに固定され、このケーシングを回転軸1が回転可能に貫通している。なお、ケーシングは必須ではない。このアキシャルギャップ型回転電機10の構成はあくまでも一例であり、第二ステータにもコイルを有していてもよく、ステータが一つでその両側にロータがあってもよい。
以下、図1〜図5を参照しながら、本実施形態のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコア30の製造方法について説明する。
まず、図1に示すように、電磁鋼板S1に対する打抜き工程を行うことにより複数対の第一コアシート11及び第二コアシート12を打抜き形成する。この打抜き工程は、帯状の電磁鋼板S1を長手方向へ一定距離ずつ間欠的に送りながら(送り方向F)、上型に配設されたパンチと下型に配設されたダイとから成る複数の切断部によって、所定形状のコアシートを段階的に打抜き形成する順送型プレス機を用いて行う。
即ち、図1(a)に示すように、電磁鋼板S1に対する打抜き位置を変え得る可動切断部P1を打抜き作動させることによって、互いに対向する第一コアシート11の内側部111及びつば部112と、第二コアシート12の内側部121及びつば部122とを同時に形成する。次いで、電磁鋼板S1を一定距離だけ送った後、電磁鋼板S1に対する打抜き位置を固定した一の固定切断部P2を打抜き作動させることによって、第一コアシート11のバックヨーク埋込部113及びコア支持部114を形成すると同時に、第二コアシート12のバックヨーク埋込部123及びコア支持部124を形成する。そして、さらに電磁鋼板S1を一定距離だけ送った後、電磁鋼板S1に対する打抜き位置を固定した他の固定切断部P3を打抜き作動させることによって、第一コアシート11の外側部115、上側部116及び下側部117を形成すると同時に、第二コアシート12の外側部125、上側部126及び下側部127を形成する。
こうして電磁鋼板S1を間欠的に送りながら、打抜き作動毎に可動切断部P1だけを帯状の電磁鋼板S1の幅方向へ所定距離ずつ往復移動させることによって、図1(b)に示すように、内側部111と外側部115との間隔(D11・D12・D13…)が異なる複数の第一コアシート11・11…が打抜き形成されるとともに、内側部121と外側部125との間隔(D21・D22・D23…)が異なる複数の第二コアシート12・12…が打抜き形成される。固定切断部P2、P3によって打抜き形成されるバックヨーク埋込部(113、123)及びコア支持部(114、124)のそれぞれの幅は、複数の第一コアシート11及び複数の第二コアシート21において一定となる。
なお、本実施形態では、固定切断部P2によって、第一コアシート11のバックヨーク埋込部113及びコア支持部114を同時に形成し、固定切断部P3によって、第一コアシート11の外側部115、上側部116及び下側部117を同時に形成しているが、これらを複数の固定切断部を用いて複数段階に分けて形成することもできる。第二コアシート12についても同様である。また、可動切断部P1及び固定切断部P2、P3の打抜き順の前後関係も不問である。
次に、図2及び図3に示すように、積層工程を行うことによって、上記打抜き工程により得られた複数の第一コアシート11・11…を打抜き順に積層して第一コアブロック21を形成するとともに、複数の第二コアシート12・12…を打抜き順に積層して第二コアブロック22を形成する。一対の第一コアシート11及び第二コアシート12を打ち抜くたびに、金型内部で積層して第一コアブロック21及び第二コアブロック22を形成する。
即ち、図2(a)に示すように、第一積層工程として、複数の第一コアシート11を、各外側部115を揃えながら打抜き順に上記間隔(D11・D12・D13…)の大小の順に積層することによって、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面211及び第二傾斜側面212と、シート面Lに対し直交する垂直側面213とを内側部111側に有する第一コアブロック21を形成する。また同様に、第二積層工程として、複数の第二コアシート12を、各外側部125を揃えながら打抜き順に上記間隔(D21・D22・D23…)の大小の順に積層することによって、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面221及び第二傾斜側面222と、シート面Lに対し直交する垂直側面223とを内側部121側に有する第二コアブロック22を形成する。
図3(a)に示すように、この積層工程により得られる第一コアブロック21の第一傾斜側面211及び第二傾斜側面212がそれぞれシート面Lと斜交する角度は、上記打抜き工程において可動切断部P1を打抜き作動毎に電磁鋼板S1の幅方向へ移動させる距離を変更することにより適宜設定することができる。また、第一コアブロック21の垂直側面213は、可動切断部P1を所定の打抜き回数だけ移動させずに打抜き形成された前記間隔の等しい複数の第一コアシート11を積層することによって形成することができる。第二コアブロック22においても同様である。なお、図3(a)では、第一傾斜側面211を平面として描いているが、実際は、電磁鋼板の板厚毎の階段状になっている。不図示の第二傾斜側面212においても同様である。
また、これら積層工程においては、図2(a)に示すように、一の第一コアブロック21Aの第一傾斜側面211を形成する複数の第一コアシート11Aとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート12Aを積層することによって、一の第二コアブロック22Aの第一傾斜側面221を形成し、また、この一の第一コアブロック21Aの第二傾斜側面212を形成する複数の第一コアシート11Aとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート12Bを積層することによって、他の第二コアブロック22Bの第二傾斜側面222を形成している。このことで、複数の第一コアブロック21(21A)及び複数の第二コアブロック22(22A、22B)を連続的に形成する際に、複数の切断部P1〜P3により切断されて廃棄される電磁鋼板の幅を一定にすることができ、電磁鋼板のスクラップを大幅に減らすことができる。こうして得られた第一コアブロック21と第二コアブロック22とは同一形状となる。
なお、図2中の点線に示すように、第一コアブロック21の垂直側面213を形成する複数の第一コアシート11とそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート12Cは、第二コアブロック22の形成には使用されない。また同様に、第二コアブロック22の垂直側面223を形成する複数の第二コアシート12とそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第一コアシート11Cは、第一コアブロック21の形成には使用されない。
また、本実施形態では、図2(b)に示すように、打抜き工程において可動切断部P1の往復移動の移動パターンを、図2(a)の移動パターンと左右対称にすることによって、複数対の第一コアシート11´及び第二コアシート12´を打抜き形成し、そして、複数の第一コアシート11´を打抜き順に積層して複数の第一コアブロック21´を形成するとともに、複数の第二コアシート12´を打抜き順に積層して複数の第二コアブロック22´を形成している(図3(b)参照)。
この場合においても、図2(b)に示すように、一の第一コアブロック21A´の第二傾斜側面212を形成する複数の第一コアシート11A´とそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート12A´を積層することによって、一の第二コアブロック22A´の第二傾斜側面222を形成し、また、この一の第一コアブロック21A´の第一傾斜側面211を形成する複数の第一コアシート11A´とそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート12B´を積層することによって、他の第二コアブロック22B´の第一傾斜側面221を形成している。したがって、複数の第一コアブロック21´(21A´)及び複数の第二コアブロック22´(22A´、22B´)を連続形成する際にも、電磁鋼板のスクラップを大幅に減らすことができる。こうして得られた第一コアブロック21´と第二コアブロック22´とについても同一形状となる。
図3に示すように、これら積層工程によって得られた第一コアブロック21(21´)には、第一コアシート11(11´)のつば部112が複数積層されてつば状突起214が形成され、バックヨーク埋込部113が複数積層されてバックヨーク埋込突起215が形成され、コア支持部114が複数積層されてコア支持突起216が形成される。また同様に、第二コアブロック22(22´)には、第二コアシート12(12´)のつば部122が複数積層されてつば状突起224が形成され、バックヨーク埋込部123が複数積層されてバックヨーク埋込突起225が形成され、コア支持部124が複数積層されてコア支持突起226が形成される。
これら積層工程において、複数のコアシートの固定は、例えば、プレスカシメ、ワニス含浸、レーザ溶接、樹脂モールド、或いはこれらを併用して行うことができる。
次に、図4に示すように、コア形成工程を行うことによって、上記積層工程により得られた第一コアブロック21と第二コアブロック22´とを、両者の第一傾斜側面211、221を互いに離反させ、且つ、周方向の幅Wが内周側(W1)よりも外周側(W2)で大きくなるように組み合わせて周方向に並べる。第一コアブロック21と第二コアブロック22´との固定は、例えば、レーザ溶接、接着剤、樹脂モールド、或いはこれらを併用して行うことができる。また、互いに組み合う複数の分割式インシュレータを嵌合してブロック同士を固定しても良い。さらに、樹脂モールドにより、第一コアブロック21と第二コアブロック22´との固定と同時にインシュレータを兼ねるようにしても良い。
こうして本実施形態のステータコア30を製造することができる。なお、第一コアブロック21の代わりに第二コアブロック22を選択することもできる。また、第二コアブロック22´の代わりに第一コアブロック21´を選択することもできる。
その後、ステータコア30の第一傾斜側面(211、221)、垂直側面(213、223)、第二傾斜側面(212、222)、バックヨーク埋込突起(215、225)のエアギャップ側の面、及びつば状突起(214、224)の反エアギャップ側の面に亘って、不図示のインシュレータを介して巻線が巻き付けられる。ステータコア30は、コア内周側においてシート面Lと鈍角を成して斜交する第一傾斜側面(211、221)が形成されているとともに、コア外周側においてシート面Lと鈍角を成して斜交する第二傾斜側面(212、222)が形成されており、さらに、これら第一傾斜側面と第二傾斜側面との間に両者と鈍角を成して斜交する垂直側面(213、223)が形成されているので、インシュレータを介して巻き付けられる巻線の膨らみを小さくして巻線の占積率を高めることができる。また、ステータコア30を構成する電磁鋼板(第一コアシート及び第二コアシート)が周方向に二分割されているので、積層方向に流れる磁束に対する渦電流損を低減することが可能となる。
こうして製造されたステータコア30を複数準備し、図5に示すように、各ステータコア30のコア支持突起(216、226)を第一ステータ3の支持部材3bに形成された支持孔3dに挿嵌し固定するとともに、バックヨーク埋込突起(215、225)を、バックヨーク3aに形成された埋込凹部3eに嵌合することによって、アキシャルギャップ型回転電機用のステータ3が構成される。
各ステータコア30の上部には、つば状突起(214、224)が形成されているので、コア端面の磁極面積を大きくすることができる。また、各ステータコア30の下部にはバックヨーク埋込突起(215、225)が形成されているので、各ステータコア30とバックヨーク3aとの境界部Bを、磁束密度が比較的に高いコーナー部Cを避けて位置させることができ、磁気抵抗を低減して回転電機の効率を向上させることができる。また、バックヨーク埋込突起(215、225)の下方にコア支持突起(216、226)が形成されているので、支持部材3bとの固定を確実に行うことができる。
このように本実施形態のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法によれば、ステータコアを第一コアブロックと第二コアブロックとを組み合わせて構成するようにしているので、これら第一コアブロック及び第二コアブロックを形成する、間隔を異ならせた複数の第一コアシートと複数の第二コアシートとを、打抜き位置を変え得る一つの可動切断部と打抜き位置を固定した固定切断部とによって容易に打抜き形成することができる。したがって、従来のように、打抜き位置を異ならせた多数の金型を使用したり、打抜き位置を変え得る複数の可動金型を使用しなくても良く、生産性を向上させることができ、低コストで積層ステータコアを製造することができる。
また、従来では、可動切断部により切断されて廃棄される電磁鋼板の幅が変わるため、電磁鋼板のスクラップが多くなったが、本実施形態では、可動切断部により切断されて廃棄される電磁鋼板の幅を一定にすることができるため、電磁鋼板のスクラップを大幅に減らすことができ、歩留りを向上させることができる。
しかも、本実施形態の製造方法によれば、一の第一コアブロックの第一傾斜側面を形成する複数の第一コアシートとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシートを積層することによって、一の第二コアブロックの第一傾斜側面を形成し、また、該一の第一コアブロックの第二傾斜側面を形成する複数の第一コアシートとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシートを積層することによって、他の第二コアブロックの第二傾斜側面を形成するようにしているので、第一コアブロック及び第二コアブロックの第一傾斜側面のみならず、第二傾斜側面についても、一つの可動切断部を往復移動させて形成することができ、このことによっても電磁鋼板のスクラップを減らすことができ、歩留りを向上させることができる。
また、本実施形態の製造方法により製造されたステータコアは、第一傾斜側面、第二傾斜側面、及び垂直側面を有しているので、従来の台形形状のステータコアのように、コアの外周側の鋭角部分で巻線の膨らみが大きくなって巻線の占積率が低下する難点がない。即ち、本実施形態の製造方法によれば、巻線の占積率の高い積層ステータコアを歩留り良く製造することができる。なお、上記第一コアシート及び第二コアシートをそれぞれ複数列、一の電磁鋼板から同時に打抜き形成してもよい。
以上、本実施形態のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法について説明したが、本発明はその他の変形例でも実施することができる。
「第一変形例」
例えば、図7〜図11に示す第一変形例のように実施してもよい。即ち、図7(a)に示すように、打抜き工程において、電磁鋼板S2に対する打抜き位置を変え得る可動切断部P4を打抜き作動させることによって、互いに対向する第一コアシート13の内側部131と第二コアシート14の内側部141とを同時に形成し、そして、電磁鋼板S2を一定距離だけ送った後、電磁鋼板S2に対する打抜き位置を固定した固定切断部P5を打抜き作動させることによって、第一コアシート13の外側部132、上側部133及び下側部134を形成すると同時に、第二コアシート14の外側部142、上側部143及び下側部144を形成する。
こうして、図7(b)に示すように、内側部131と外側部132との間隔(D14・D15・D16…)が異なる複数の矩形の第一コアシート13・13…が打抜き形成されるとともに、内側部141と外側部142との間隔(D24・D25・D26…)が異なる複数の矩形の第二コアシート14・14…が打抜き形成される。
次に、図8及び図9に示すように、第一積層工程において、複数の第一コアシート13を、各外側部132を揃えながら打抜き順に上記間隔(D14・D15・D16…)の大小の順に積層することによって、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面231及び第二傾斜側面232を内側部131側に有する第一コアブロック23を形成し、また同様に、第二積層工程において、複数の第二コアシート14を、各外側部142を揃えながら打抜き順に上記間隔(D24・D25・D26…)の大小の順に積層することによって、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面241及び第二傾斜側面242を内側部141側に有する第二コアブロック24を形成する。
これら積層工程においても、図8に示すように、一の第一コアブロック23Aの第一傾斜側面231を形成する複数の第一コアシート13Aとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート14Aを積層することによって、一の第二コアブロック24Aの第一傾斜側面241を形成し、また、この一の第一コアブロック23Aの第二傾斜側面232を形成する複数の第一コアシート13Aとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート14Bを積層することによって、他の第二コアブロック24Bの第二傾斜側面242を形成する。
この変形例では、図9に示すように、第一傾斜側面(231、241)と第二傾斜側面(232、242)との間に、シート面Lと直交する垂直側面を形成していない。そしてまた、第一コアブロック23及び第二コアブロック24においてシート積層方向の両端にそれぞれ、間隔(D17、D27)の等しい第一コアシート13D及び第二コアシート14Dを積層している。このことで、電磁鋼板のスクラップを更に減らすことが可能となる。即ち、上記実施形態では、図2中の点線に示すように、第一コアブロック21の垂直側面213を形成する複数の第一コアシート11とそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート12Cは、第二コアブロック22の形成に使用されないのに対し、この変形例では、図8に示すように、全ての第一コアシート13及び第二コアシート14を第一コアブロック23及び第二コアブロック24の形成に使用することができる。
また、この変形例では、図9に示すように、第一傾斜側面(231、241)と第二傾斜側面(232、242)とを直交させている。上記実施形態と同様、これら第一傾斜側面及び第二傾斜側面がそれぞれシート面Lと斜交する角度は、打抜き工程において可動切断部P4を打抜き作動毎に電磁鋼板S2の幅方向へ往復移動させる距離を変更することにより設定することができる。
次に、図10及び図11に示すように、コア形成工程において、第一コアブロック23と第二コアブロック24とを、両者の第一傾斜側面231、241を互いに離反させ、且つ、周方向の幅Wが内周側(W3)よりも外周側(W4)で大きくなるように組み合わせて周方向に並べる。こうして、ステータコア31を製造する。
この変形例では、第一コアシート13及び第二コアシート14を上下対称の矩形に形成しているので、第一コアブロック23及び第二コアブロック24のいずれか一方を上下反転させれば、同一形状の第一コアブロック23と第二コアブロック24とからステータコア31を製造することができる。したがって、図8に示すように、打抜き工程において、可動切断部P4の移動パターンを一つで済ませることができる。
このステータコア31においても、コア内周側にシート面Lと鈍角を成す第一傾斜側面(231、241)が形成されているだけでなく、コア外周側にシート面Lと鈍角を成す第二傾斜側面(232、242)が形成されているので、従来の台形形状のステータコアのように、コア外周側の鋭角部分で巻線の膨らみが大きくなって巻線の占積率が低下する難点がない。なお、この変形例において、第一傾斜側面(231、241)と第二傾斜側面(232、242)との角度は直角に限らない。巻線の膨らみ防止からは、直角か、鈍角が望ましい。
「第二変形例」
本発明は、図12に示す第二変形例のように実施してもよい。第二変形例は、コア形成工程における第一コアブロックと第二コアブロックとの並べ方に特徴がある。
即ち、コア形成工程において、第一コアブロック23と第二コアブロック24とを、両者の第一傾斜側面231、241を互いに接触させ、且つ、周方向の幅Wが内周側(W5)よりも外周側(W6)で大きくなるように組み合わせて並べることによって、ステータコア32を製造している。
この場合、ステータコア32の外側面(234、244)は、シート面Lと直角を成しているので、従来の台形形状のステータコアのように、コア外周側の鋭角部分で巻線の膨らみが大きくなって巻線の占積率が低下する難点がない。また、これら外側面(234、244)は、電磁鋼板の板厚毎の段差がないので、各電磁鋼板の厚み方向において磁束密度の粗密がなく、鉄損を低減することができる。
しかも、ステータコア32の第一コアブロック23及び第二コアブロック24は、第一傾斜側面(231、241)と第二傾斜側面(232、242)とが直交しているので、隣接する第二傾斜側面232、242同士が一つの連続平面を形成する。したがって、コア外周側において、回転電機のケーシング等の内壁面IWとの間隔SPをより大きくすることができ、より多くの巻線を巻くことが可能となる。
「第三変形例」
本発明は、図13に示す第三変形例のように実施してもよい。つまり、ステータコア32´の第一コアブロック23´及び第二コアブロック24´において第一傾斜側面(231、241)と第二傾斜側面(232´、242´)とを鋭角で斜交させてもよい。この場合、コア横断面において、第一傾斜側面(231、241)と第二傾斜側面(232´、242´)との交点CP1を、最外周側のシート面L1と第二傾斜側面(232´、242´)との交点CP2・CP2においてシート面L1に内接する仮想円弧CA上に位置させれば、巻線をより隙間なく巻くことができる。
「第四変形例」
本発明は、図14に示す第四変形例のように実施してもよい。第四変形例は、コア形成工程における第一コアブロックと第二コアブロックとの並べ方に特徴がある。
即ち、コア形成工程において、第一コアブロック23と第二コアブロック24とを、一方の第一コアブロック23の第一傾斜側面231のみを他方の第二コアブロック24に接触させ、且つ、円周方向の幅Wが内周側(W7)よりも外周側(W8)で大きくなるように組み合わせて並べることによって、ステータコア33を製造している。この場合、図14に示すように、ロータの回転方向Rの回転後進側に、第一コアブロック23の外側面234を位置させるようにステータコア33を配設すれば、磁束密度が比較的に高くなるロータ対向面の外側面234側においてシート面Lをロータの回転方向に沿わせることができ、外側面234側における磁束の流れを各シート面Lに沿わせることができるため、磁気抵抗を小さくすることができる。
「第五変形例」
本発明は、図15に示す第五変形例のように実施してもよい。第五変形例は、ステータコア34の第一コアブロック25及び第二コアブロック26において、シート積層方向の両端に、間隔の異なる第一コアシート15及び第二コアシート16を積層した点に特徴がある。この変形例では、第一コアブロック25の第一コアシート15の間隔Dを、積層方向のコア最外周側(D17)よりもコア最内周側(D18)で大きくするとともに、第二コアブロック26の第二コアシート16の間隔Dを、積層方向のコア最外周側(D27)よりもコア最内周側(D28)で大きくしている。
この場合、積層工程においては、図16に示すように、第一コアブロック25Aの第一傾斜側面251の一部(コア内周側)を形成する複数の第一コアシート15Aとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート16Aを積層することによって、一の第二コアブロック26Aの第一傾斜側面261の一部(コア内周側)が形成されることになる。したがって、図16中の点線に示すように、一の第一コアブロック25Aの第一傾斜側面251の他の部分(コア外周側)を形成する複数の第一コアシート15Aとそれぞれ対を成して打抜き形成された複数の第二コアシート16Cについては、一の第二コアブロック26Aの形成には使用されず、その分歩留りが低下する。なお、第一コアシート15及び第二コアシート16の間隔Dを、コア最外周側よりもコア最内周側で小さくしてもよい。
「第六変形例」
本発明は、図17〜図19に示す第六変形例のように実施してもよい。第六変形例は、打抜き工程において、つば部(512、522)を点対称に打抜き形成した点に特徴がある。
即ち、図17(a)に示すように、打抜き工程において、電磁鋼板S3に対する打抜き位置を変え得る可動切断部P6を打抜き作動させることによって、第一コアシート51及び第二コアシート52の内側部(511、521)を互いに対向させて形成するとともに、つば部(512、522)を点対称(中心点N1)に形成している。
そして、電磁鋼板S3を一定距離だけ送った後、電磁鋼板S3に対する打抜き位置を固定した固定切断部P7を打抜き作動させることによって、第一コアシート51の外側部513、上側部514及び下側部515を形成すると同時に、第二コアシート52の外側部523、上側部524及び下側部525を形成する。こうして、図17(b)に示すように、内側部511と外側部513との間隔(D51・D52・D53…)が異なる複数の鉤形の第一コアシート51・51…が打抜き形成されるとともに、内側部521と外側部523との間隔(D61・D62・D63…)が異なる複数の鉤形の第二コアシート52・52…が打抜き形成される。
次に、上記第一変形例(図8参照)と同様の積層工程を行うことによって、複数の第一コアシート51・51…を各外側部513を揃えながら打抜き順に積層して第一コアブロック61を形成するとともに、複数の第二コアシート52・52…を各外側部523を揃えながら打抜き順に積層して第二コアブロック62を形成する。図18に示すように、得られた第一コアブロック61には、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面611及び第二傾斜側面612が形成されるとともに、第一コアシート51のつば部512が複数積層されてつば状突起613が形成される。また同様に、第二コアブロック62には、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面621及び第二傾斜側面622が形成されるとともに、第二コアシート52のつば部522が複数積層されてつば状突起623が形成される。
そして、図19に示すように、コア形成工程において、第一コアブロック61と第二コアブロック62とを、両者の第一傾斜側面611、621を互いに離反させ、且つ、周方向の幅Wが内周側(W9)よりも外周側(W10)で大きくなるように組み合わせて並べる。こうして、ステータコア35を製造する。
この変形例では、図17に示すように、第一コアシート51及び第二コアシート52のつば部(512、522)を、上記実施形態のように対向位置ではなく、点対称位置に形成しているので、可動切断部P6によって切断されて廃棄される電磁鋼板の面積をより小さくすることができる。したがって、例えばコア端面(磁極面)につば状突起を備えたステータコアを歩留り良く製造することが可能となる。また、つば部(512、522)を点対称に形成しているので、図19に示すように、コア形成工程において、一方の第二コアブロック62を上下反転させれば、ステータコア35を製造することができ、打抜き工程において可動切断部P6の移動パターンを一つで済ませることができる。
「第七変形例」
本発明は、図20〜図22に示す第七変形例のように実施してもよい。第七変形例は、打抜き工程において、つば部(532、542)及びコア支持部(533、543)を点対称に打抜き形成した点に特徴がある。
即ち、図20(a)に示すように、打抜き工程において、電磁鋼板S4に対する打抜き位置を変え得る可動切断部P8を打抜き作動させることによって、第一コアシート53及び第二コアシート54の内側部(531、541)を互いに対向させて形成するとともに、つば部(532、542)を点対称(中心点N2)に形成し、さらに、コア支持部(533、543)をつば部(542、532)に対向させて点対称(中心点N2)に形成している。
そして、電磁鋼板S4を一定距離だけ送った後、電磁鋼板S4に対する打抜き位置を固定した固定切断部P9を打抜き作動させることによって、第一コアシート53の外側部534、上側部535及び下側部536を形成すると同時に、第二コアシート54の外側部544、上側部545及び下側部546を形成する。こうして、図20(b)に示すように、内側部531と外側部534との間隔(D54・D55・D56…)が異なる複数の第一コアシート53・53…が打抜き形成されるとともに、内側部541と外側部544との間隔(D64・D65・D66…)が異なる複数の第二コアシート54・54…が打抜き形成される。
次に、上記変形例(図8参照)と同様の積層工程を行うことによって、複数の第一コアシート53・53…を各外側部534を揃えながら打抜き順に積層して第一コアブロック63を形成するとともに、複数の第二コアシート54・54…を各外側部544を揃えながら打抜き順に積層して第二コアブロック64を形成する。図21に示すように、得られた第一コアブロック63には、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面631及び第二傾斜側面632が形成されるとともに、第一コアシート53のつば部532が複数積層されてつば状突起633が形成され、コア支持部533が複数積層されてコア支持突起634が形成される。また同様に、第二コアブロック64には、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面641及び第二傾斜側面642が形成されるとともに、第二コアシート54のつば部542が複数積層されてつば状突起643が形成され、コア支持部543が複数積層されてコア支持突起644が形成される。
そして、図22に示すように、コア形成工程において、第一コアブロック63と第二コアブロック64とを、両者の第一傾斜側面631、641を互いに離反させ、且つ、周方向の幅Wが内周側(W11)よりも外周側(W12)で大きくなるように組み合わせて並べる。こうして、ステータコア36を製造する。
この変形例では、図20に示すように、第一コアシート53及び第二コアシート54のつば部(532、542)を点対称位置に形成し、しかも、内側部(531、541)よりも外側部へ後退したコア支持部(543、533)を、つば部(532、542)に対向させて形成しているので、内側部(531、541)同士の間隔をより小さくすることができ、可動切断部P8によって切断されて廃棄される電磁鋼板の面積をより小さくすることができる。したがって、例えばコア端面(磁極面)につば状突起を備え、反対側にコア支持突起やバックヨーク埋込突起を備えたステータコアを歩留り良く製造することができる。また、つば部(532、542)及びコア支持部(543、533)を点対称に形成しているので、図22に示すように、コア形成工程において、一方の第二コアブロック64を上下反転させれば、ステータコア36を製造することができ、打抜き工程において可動切断部P8の移動パターンを一つで済ませることができる。
「第八変形例」
本発明は、図23〜図25に示す第八変形例のように実施してもよい。第八変形例は、打抜き工程において、つば部(555、565)を外側部(552、562)側に形成した点に特徴がある。
即ち、図23(a)に示すように、打抜き工程において、電磁鋼板S5に対する打抜き位置を変え得る可動切断部P10を打抜き作動させることによって、第一コアシート55及び第二コアシート56の互いに対向する内側部(551、561)を形成し、次いで、電磁鋼板S5を一定距離だけ送った後、電磁鋼板S5に対する打抜き位置を固定した固定切断部P11を打抜き作動させることによって、第一コアシート55及び第二コアシート56における外側部(552、562)、上側部(553、563)及び下側部(554、564)を形成するとともに、つば部(555、565)を点対称(中心点N3)に形成している。
こうして、図23(b)に示すように、内側部551と外側部552との間隔(D57・D58・D59…)が異なる複数の第一コアシート55・55…が打抜き形成されるとともに、内側部561と外側部562との間隔(D67・D68・D69…)が異なる複数の第二コアシート56・56…が打抜き形成される。
次に、上記変形例(図8参照)と同様の積層工程を行うことによって、複数の第一コアシート55・55…を各外側部552を揃えながら打抜き順に積層して第一コアブロック65を形成するとともに、複数の第二コアシート56・56…を各外側部562を揃えながら打抜き順に積層して第二コアブロック66を形成する。図24に示すように、得られた第一コアブロック65には、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面651及び第二傾斜側面652が形成されるとともに、第一コアシート55のつば部555が複数積層されてつば状突起653が形成される。また同様に、第二コアブロック66には、シート面Lに対しそれぞれ所定角度で斜交する第一傾斜側面661及び第二傾斜側面662が形成されるとともに、第二コアシート56のつば部565が複数積層されてつば状突起663が形成される。
そして、図25に示すように、コア形成工程において、第一コアブロック65と第二コアブロック66とを、両者の第一傾斜側面651、661を互いに接触させ、且つ、周方向の幅Wが内周側(W13)よりも外周側(W14)で大きくなるように組み合わせて並べる。こうして、ステータコア37を製造する。
このように、固定切断部P11によってつば部(555、565)を第一コアシート55及び第二コアシート56の外側部(552、562)側に形成することによっても、ステータコア37のつば状突起(653、663)を形成することが可能である。また、この変形例では、固定切断部P11によって、つば部(555、565)を点対称に形成しているので、図25に示すように、コア形成工程において、一方の第二コアブロック66を上下反転させれば、ステータコア37を製造することができ、打抜き工程において可動切断部P10の移動パターンを一つで済ませることができる。
また、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得る。同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施しても良い。
例えば、上記実施形態では、複数の第一コアブロック及び複数の第二コアブロックのうちから選択した二つを周方向に並べてステータコアを製造しているが、一つのコアブロックを用いてステータコアを製造してもよい。また、上記実施形態では、二つのコアブロックを互いに接触させて並べているが、二つのコアブロックの間に、例えば径方向にコアシートを積層した直方体形状の他のコアブロックを介在させてもよい。
また、上記実施形態では、つば状突起をステータコアのロータ対向部に形成して磁極面積の拡大を図っているが、つば状突起をステータコアのバックヨーク側に形成することによってバックヨークとの抜け止めとしてもよい。また、例えば回転電機が、ステータコアの両側にロータを備える形式であれば、ステータコアの両側につば状突起を形成することも可能である。
10:アキシャルギャップ型回転電機
1:回転軸
2:ロータ
3、4:ステータ
30、31、32、32´、33、34、35、36、37:ステータコア
S1、S2、S3、S4、S5:電磁鋼板
P1、P4、P6、P8、P10:可動切断部
P2、P3、P5、P7、P9、P11:固定切断部
11、13、15、51、53、55:第一コアシート
111、131、511、531、551:内側部
115、132、513、534、552:外側部
D11〜D18、D51〜D59:第一コアシートの内側部と外側部との間隔
12、14、16、52、54、56:第二コアシート
121、141、521、541、561:内側部
125、142、523、544、562:外側部
D21〜D28、D61〜D69:第二コアシートの内側部と外側部との間隔
21、23、23´、25、61、63、65:第一コアブロック
211、231、251、611、631、651:第一傾斜側面
212、232、252、612、632、652:第二傾斜側面
213:垂直側面
22、24、24´、26、62、64、66:第二コアブロック
221、241、261、621、641、661:第一傾斜側面
222、242、262、622、642、662:第二傾斜側面
223:垂直側面
L:シート面

Claims (8)

  1. 電磁鋼板を打ち抜いて得た複数のコアシートを径方向に積層して成るアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法であって、
    電磁鋼板に対する打抜き位置を変え得る可動切断部により一対の第一コアシート及び第二コアシートの互いに対向する各内側部を形成する一方、前記電磁鋼板に対する打抜き位置を固定した固定切断部により該第一コアシート及び該第二コアシートの各外側部を形成することによって、前記内側部と前記外側部との間隔を異ならせた複数対の第一コアシート及び第二コアシートを打抜き形成する打抜き工程と、
    前記打抜き工程により得られた前記間隔の異なる複数の第一コアシートを打抜き順に積層して、シート面と斜交する第一傾斜側面及び第二傾斜側面を有する複数の第一コアブロックを形成する第一積層工程と、
    前記打抜き工程により得られた前記間隔の異なる複数の第二コアシートを打抜き順に積層して、シート面と斜交する第一傾斜側面及び第二傾斜側面を有する複数の第二コアブロックを形成する第二積層工程と、
    複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの一つを用いて或いは複数を並べてステータコアを形成するコア形成工程と、
    を有し、
    前記第一積層工程において、
    複数の前記第一コアシートを前記間隔の大小の順に積層することによって、一の第一コアブロックの第一傾斜側面を形成するとともに、該一の第一コアブロックの第二傾斜側面を形成し、
    前記第二積層工程において、
    前記一の第一コアブロックの第一傾斜側面の全部または一部を形成する前記第一コアシートと対に打抜き形成された前記第二コアシートを積層することによって、一の第二コアブロックの第一傾斜側面を形成するとともに、
    前記一の第一コアブロックの第二傾斜側面の全部または一部を形成する前記第一コアシートと対に打抜き形成された前記第二コアシートを積層することによって、他の第二コアブロックの第二傾斜側面を形成する、
    ことを特徴としたアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
  2. 前記コア形成工程において、
    複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの二つを、それぞれの前記第一傾斜側面を互いに離反させ、且つ、周方向の幅が内周側より外周側で大きくなるように周方向に並べることを特徴とした請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
  3. 前記第一積層工程において、
    前記第一コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面との間に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい複数の第一コアシートを積層して成るシート面と直交する垂直側面を形成し、
    前記第二積層工程において、
    前記第二コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面との間に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい複数の第二コアシートを積層して成るシート面と直交する垂直側面を形成する、
    ことを特徴とした請求項2に記載のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
  4. 前記コア形成工程において、
    複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの二つを、それぞれの前記第一傾斜側面を互いに接近させ、且つ、周方向の幅が内周側より外周側で大きくなるように周方向に並べることを特徴とした請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
  5. 前記第一積層工程において、
    前記第一コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを直交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第一コアシートを積層し、
    前記第二積層工程において、
    前記第二コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを直交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第二コアシートを積層する、
    ことを特徴とした請求項4に記載のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
  6. 前記第一積層工程において、
    前記第一コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを鋭角で斜交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第一コアシートを積層し、
    前記第二積層工程において、
    前記第二コアブロックの第一傾斜側面と第二傾斜側面とを鋭角で斜交させるように前記打抜き工程により得られた複数の第二コアシートを積層する、
    ことを特徴とした請求項4に記載のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
  7. 前記コア形成工程において、
    複数の前記第一コアブロック及び複数の前記第二コアブロックのうちの二つを、一方の前記第一傾斜側面のみを接近させ、且つ、周方向の幅が内周側より外周側で大きくなるように周方向に並べることを特徴とした請求項1に記載のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
  8. 前記第一積層工程において、
    前記第一コアブロックの積層方向両端に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい第一コアシートを積層し、
    前記第二積層工程において、
    前記第二コアブロックの積層方向両端に、前記打抜き工程により得られた前記間隔の等しい第二コアシートを積層する、
    ことを特徴とした請求項1〜請求項7のいずれか一つに記載のアキシャルギャップ型回転電機用ステータコアの製造方法。
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