JP2013017292A - ロータコア及びその製造方法 - Google Patents

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能成 浅野
Nobuyuki Kifuji
敦之 木藤
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Abstract

【課題】各コアシートが積層方向に直線状に短絡するのを防止しながら、すべてのコアシートの積層間に対する溶接を必要最小限の作業で効率的に行うことが可能なロータコア及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートS1を回転軸方向に積層して成るロータコアにおいて、コアシートS1は、外周又は内周の所定位置において、シート面に接する他のコアシートS1とレーザ溶接により互いに溶接された溶接部14と、コアシートS1の外周又は内周の溶接部14とは異なる位置に設けられた後退部15と、を備える。各コアシートS1において、一のコアシートS1における溶接部14及び後退部15の位相と、一のコアシートS1と回転軸方向に隣接する他のコアシートS1における溶接部14及び後退部15の位相とが、所定のピッチで周方向にずれている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ラジアルギャップ型回転電機用の一体型ロータコア及びその製造方法に関するものである。
ラジアルギャップ型回転電機は、回転軸を中心として回転可能に配設されたロータと、このロータの径方向にギャップを隔てて配設されたステータとを備える回転電機である。ロータは、電磁鋼板を所定形状に形成した多数枚のコアシートを回転軸方向に積層して成るロータコアを備えている。このロータコアを形成する際、積層された多数枚のコアシートを一体化するための方法の一つとして、回転軸方向に隣接するコアシートの積層間をレーザ溶接により溶接する方法が用いられる。
その溶接方法の一つとして、レーザ溶接により形成される溶接部が、各コアシートの積層方向に対して千鳥状に配置されるように、コアシートの積層間を溶接する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。かかる溶接方法は、特許文献1では、ステータコアを製造するため溶接方法として記載されているが、ロータコアの製造にも採用することができる。かかる溶接方法によれば、溶接時における各コアシートへの過入熱を防止し、コアシートの歪み等によるロータコアの寸法精度の低下を防ぐことができる。また、溶接により、各コアシートが積層方向に直線状に短絡するのを防止できるため、渦電流損を低減できる。これにより、回転電機の性能向上を図ることができるという利点がある。
しかしながら、上述した溶接方法を用いてロータコアを製造する際、溶接部が各コアシートの積層方向にずれて形成されてしまうと、これに起因して回転電機の性能が低下してしまう可能性がある。例えば、溶接部のずれにより複数枚のコアシートが積層方向に直線状に短絡してしまった場合、渦電流損の増加を招く。一方、コアシートの積層間が溶接されなかった場合、機械的強度が不足し、振動が発生するおそれがある。このため、各コアシートの積層間を局部的に正確且つ確実に溶接する必要がある。
特許文献1に記載されているように、各コアシートの積層間を局部的に正確且つ確実に溶接するためには、コアシートのシート厚レベルの精度が要求される。ところが、回転電機のロータコアを構成するコアシートは、一般的に、厚さ0.3〜0.5mm程度の非常に薄い電磁鋼板を打抜き形成したものが用いられる。このため、高い精度が要求される溶接を、精度レベルを一切低下させることなく、多数枚あるコアシートの全ての積層間に対して完璧に行うことが強いられる。したがって、このような溶接作業は非常に手間がかかる作業となる。
ロータコアが一体型である場合、各コアシートの積層間に対する溶接は、その外周又は内周の全周で数箇所程度行えば十分である。このため、分割型ロータコアに比べて、ロータコア全体における溶接部の数を低減できるという利点がある。
ところが、各コアシートの外周又は内周における溶接部の位置は、周方向に適度に分散させる必要がある。機械的強度に偏りが生じるためである。これと同時に、溶接部において各コアシートが積層方向に直線状に短絡するのを防止するためには、各コアシートの周方向における溶接部の位置バランスを考慮しながら、溶接位置を積層ごとに異ならせて溶接を行う必要がある。このような位置決めが非常に煩雑な溶接作業を、多数枚のコアシートのすべての積層間に対して行うことは作業効率上好ましくない。
特開平9−219941号公報
本発明は、かかる事情に鑑みて為されたものであり、各コアシートが積層方向に直線状に短絡するのを防止しながら、すべてのコアシートの積層間に対する溶接を必要最小限の作業で効率的に行うことが可能なロータコア及びその製造方法を提供することを目的としている。
本発明は、電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸方向に積層して成るロータコアであって、前記コアシートが、環状のコアシート本体に設けられた複数の磁石孔部と、該磁石孔部よりも径方向の外側又は内側において周方向に等間隔で配置された磁極部と、を有し、前記コアシートの外周又は内周の所定位置において、一のコアシートと、該一のコアシートのシート面に接する他のコアシートとが、レーザ溶接により互いに溶接された溶接部と、前記コアシートの外周又は内周の前記溶接部とは異なる位置において、レーザ溶接による前記コアシートの溶込み深さよりも長い距離だけ外周又は内周の一部をシート面方向に後退させた後退部と、を備え、前記溶接部が、一のコアシートにおいて、周方向に2以上設けられ、前記後退部が、前記溶接部において互いに溶接された二枚のコアシートのシート面に接するさらに他のコアシートのうちの一方において、該溶接部と回転軸方向に隣接する位置に配置され、各コアシートにおいて、一のコアシートにおける前記溶接部及び前記後退部の位相と、該一のコアシートと回転軸方向に隣接する他のコアシートにおける該溶接部及び該後退部の位相とが、所定のピッチで周方向にずれていることを特徴とする。
本発明のロータコアは、前記溶接部または前記後退部が、周方向に等間隔に設けられていることを特徴とする。
本発明のロータコアは、各コアシートにおいて、一のコアシートにおける前記溶接部及び前記後退部の位相と、該一のコアシートと回転軸方向に隣接する他のコアシートにおける該溶接部及び該後退部の位相とが、前記磁極部のN磁極ピッチ(Nは自然数)ずつ周方向にずれていることを特徴とする。
本発明のロータコアは、前記溶接部及び前記後退部が、周方向に二箇所ずつ交互に配置されていることを特徴とする。
本発明のロータコアは、すべての前記コアシートが、回転軸方向に隣接する二枚の前記コアシートの外周又は内周の全周で、少なくとも二箇所の前記溶接部において互いに溶接されていることを特徴とする。
本発明のロータコアは、前記溶接部及び前記後退部が、各コアシートの前記磁極部の極中心部又は周方向に隣接する該磁極部の極間部に形成されていることを特徴とする。
本発明のロータコアは、前記溶接部及び前記後退部が、前記磁極部において一極対毎に形成されていることを特徴とする。
また、本発明は、電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸方向に積層して成るロータコアの製造方法であって、前記電磁鋼板を準備する工程と、前記電磁鋼板を打ち抜いて、環状のコアシート本体と、該コアシート本体に設けられた複数の磁石孔部と、を含む前記コアシートの周縁部を形成するとともに、該周縁部の外周又は内周の一部を所定距離だけシート面方向に後退させた後退部を該外周又は内周に所定の位相で形成するコアシートの打抜き工程と、前記打抜き工程により得られた各コアシートを、一のコアシートに設けられた前記後退部の位相と、該一のコアシートと回転軸方向に隣接する他のコアシートに設けられた該後退部の位相とが、所定のピッチで周方向にずれて配置されるように積層する積層工程と、前記積層工程により積層された各コアシートを、前記後退部の各位相における外周又は内周において回転軸方向にレーザ溶接を行い、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートを外周又は内周の全周で少なくとも二箇所において溶接する溶接工程と、を備えることを特徴とする。
本発明のロータコアの製造方法は、前記打抜き工程において、前記電磁鋼板に対する打抜き位置を変え得る可動切断手段により、各コアシートに対する打抜き位置を異ならせて、前記後退部を各コアシートの外周又は内周に所定の位相で形成することを特徴とする。
あるいは、本発明のロータコアの製造方法は、前記積層工程において、前記打抜き工程により打抜き形成された同一形状のコアシートを、既に積層されたコアシートに対して、所定のピッチだけ周方向に相対的に回転させて積層することを特徴とする。
本発明に係るロータコアによれば、外周又は内周に後退部が設けられた一体型のコアシートを採用することにより、各コアシートが積層方向に直線状に短絡するのを防止しながら、すべてのコアシートの積層間に対する溶接を必要最小限の作業で効率的に行うことが可能となる。即ち、後退部ではレーザ溶接の際に照射されるレーザの焦点が合わないため、仮に後退部にレーザが照射されてもコアシートは溶接されない。これを利用すれば、積層ごとに所定のピッチで周方向にずれて配置された後退部を基準として回転軸方向に直線状に連続溶接を行うことが可能となる。これにより、コアシートが積層方向に連続して直線状に短絡するのを確実に防止できると同時に、煩雑な位置決めを要することなく溶接作業を行うことができる。このため、短絡に起因する渦電流損を低減することができるとともに、溶接作業の手間を大幅に省くことができる。
本発明において、前記溶接部または前記後退部を、周方向に等間隔に設ければ、ロータコアの機械的強度のバランスに偏りが生じるのを回避することができる。これにより、ロータコアの剛性を高めることができる。
本発明において、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートにおける溶接部及び後退部それぞれの位相が、N磁極ピッチ(Nは自然数)ずつ周方向にずれるように構成すれば、溶接部及び後退部が磁気特性に与える影響を周方向にバランスよく配置することができる。これにより、コギングトルクの増大等を防止することができる。
本発明において、溶接部及び後退部を、周方向に二箇所ずつ交互に配置すれば、上述のように積層された各コアシートの外周又は内周には、溶接部及び後退部が、回転軸方向に隣接する二枚のコアシート毎に交互に、且つ、回転軸方向に直線状に配置される。これにより、上述のような溶接作業を行った際、一の溶接部において互いに溶接されるコアシートを必要最小限の枚数(即ち、二枚)に抑えることができる。これにより、渦電流損を更に効果的に低減することができる。
本発明において、すべてのコアシートが、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートの外周又は内周の全周で、少なくとも二箇所の溶接部において互いに溶接されるように構成すれば、必要最小限の作業による溶接でありながら、ロータコアに十分な機械的強度を付与することができる。また、各コアシートの積層間毎に溶接部が規則的に分散した配置で形成されるため、ロータコアの機械的強度に偏りが生じるのを防止することができる。さらに、溶接時における熱の影響を分散させることができるため、溶接熱による歪みが発生し難くなり、ロータコアの寸法精度を高めることができる。
本発明において、前記溶接部及び前記後退部を、各コアシートの前記磁極部の極中心部に形成すれば、コアシートの外周から磁石孔部までの距離が長いため、溶接時の熱が磁石に与える影響を抑えることができる。これと同時に、磁束密度が高い極中心部における渦電流の発生を効果的に防止することができる。また、前記溶接部及び前記後退部を、周方向に隣接する該磁極部の極間部に形成すれば、磁束密度が高い部分を避けて溶接することができるため、短絡に起因する渦電流損をより効果的に低減することができる。
本発明において、前記溶接部及び前記後退部を、前記磁極部において一極対毎に形成すれば、その間を通過する磁束量が一定であるため、渦電流の発生をさらに低減することができる。これにより、渦電流損がさらに低減され、回転電機の性能をさらに向上させることができる。
また、本発明に係るロータコアの製造方法によれば、上述した打抜き工程、積層工程、及び溶接工程を採用することで、本発明に係るロータコアを効率よく生産することができる。即ち、溶接工程において、直線状の連続溶接を採用可能であるため、溶接の作業精度を緩和することができる。具体的には、連続溶接を採用しても、溶接部において各コアシートが積層方向に直線状に短絡するのを回避しながら、コアシートの外周又は内周における溶接部の位置を、周方向に適度に分散させて形成することができる。このため、各コアシートの周方向における溶接部の位置バランスを考慮しながら、溶接位置を積層ごとに異ならせて溶接を行う必要がない。このように、溶接の作業精度を緩和しても品質精度を保つことができるため、溶接作業の大幅な効率化を実現することができる。
また、前記打抜き工程において、後退部を形成する手段として可動切断手段を採用すれば、積層工程を大幅に簡略化することができる。つまり、可動切断手段によれば、各コアシートに対する打抜き位置を異ならせて、後退部を各コアシートの外周又は内周の所定位置に形成することができる。したがって、打抜き位置を予め設定しておけば、各コアシートを単純に打抜き順に積層するだけで、後退部を、積層ごとに所定のピッチずつ周方向にずれた位置に配置することができる。これにより、本発明のロータコアの生産効率を大幅に向上させることができる。
あるいは、同一形状に打ち抜かれたコアシートを、既に積層されたコアシートに対して、所定のピッチだけ周方向に相対的に回転させて積層するように前記積層工程を構成すれば、打抜き工程を大幅に簡略化することができる。つまり、打抜き工程において、同一形状のコアシートを形成すればよいため、金型の位置決めや金型の選択などの工程を省略又は簡略化することができる。また、各コアシートの外周又は内周に後退部を一の金型で打抜き形成することができるため、設備コストを低減することができる。
第一実施形態に係るロータコアを示す平面図である。 第一実施形態に係るロータコアに設けられた一の磁極に形成された積層面を示す概略図である。 第一実施形態に係るロータコアに設けられた各磁極に形成された各積層面を示す概略図である。 第一実施形態に係るコアシートを示す斜視図である。 第一実施形態に係る積層体を示す斜視図である。 第一実施形態に係るロータコアの変形例を示す平面図である。 第二実施形態に係るロータコアを示す平面図である。 第二実施形態に係るロータコアに設けられた各磁極及び内周に形成された各積層面を示す概略図である。 第二実施形態に係るコアシートを示す斜視図である。 第二実施形態に係る積層体を示す斜視図である。 第三実施形態に係るロータコアを示す平面図である。 第三実施形態に係るロータコアに設けられた各磁極に形成された各積層面を示す概略図である。 第三実施形態に係るコアシートを示す斜視図である。 第三実施形態に係る積層体を示す斜視図である。 本発明に係るロータコアを備えたラジアルギャップ型回転電機を示す平面図である。 第四実施形態に係るロータコアを示す平面図である。
以下、本発明に係るロータコアの実施形態について図面を用いて説明する。本明細書において、同一の符号で示されている場合は同一の構成を示すものとする。
図1に示すように、第一実施形態に係るロータコア10は、回転軸1を中心として周方向に並ぶ複数の磁極11が、円筒状のコア本体12の外周に配置された一体型のインナロータコアである。コア本体12には、複数の磁石孔13が形成されており、この磁石孔13に収容された磁石19(図15参照)によりコア本体12が磁化され、磁極11が形成される。本実施形態では、コア本体12の外周面とステータ3(図15参照)とがギャップを隔てて対向するため、各磁極11は、対応する磁石孔13よりも径方向の外側に配置される。磁極11の数は偶数であれば特に限定されず、例えば、ステータコア30(図15参照)のスロット数や磁石19の磁力の大きさ、回転電機100(図15参照)の用途等に応じて適宜設計変更することができる。本実施形態では、平面視略凹形状に形成された8個の磁石孔13に対応して、8極の磁極11が設けられている。
また、図2に示すように、ロータコア10は、表面を絶縁処理された、厚さ0.3〜0.5mm程度の電磁鋼板を所定形状に形成した多数枚のコアシートS1を回転軸方向に積層して成る。本実施形態では、環状のコアシート本体CRの内周と外周の間に形成された複数(本実施形態では8個)の磁石孔部Hと、コアシート本体CRの磁石孔部Hよりも径方向の外側に位置する磁極部Pと、を有する一体型のコアシートS1(図4参照)が用いられている。したがって、磁極11及びコア本体12は、磁極部P及びコアシート本体CRがそれぞれ回転軸方向に積層されて形成されている。また、磁石孔13は、磁石孔部Hが回転軸方向に連通して成る。
ロータコア10は、積層されたコアシートS1の外周により形成された積層面を備える。例えば、図1に示す各磁極11の一には、図2に示すような積層面A1が形成されている。この積層面A1には、一のコアシートS1と、当該一のコアシートS1のシート面に接する他のコアシートS1とがレーザ溶接により互いに溶接された溶接部14と、溶接部14において互いに溶接された二枚のコアシートS1の回転軸方向の両側に配置されたコアシートS1に設けられた後退部15とが形成されている。
溶接部14は、コアシートS1の一部が溶融し、シート面方向に所定の距離だけ溶け込んだ部分である。溶接部14において、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1が互いに固着されている。本実施形態では、溶接部14は、各磁極11(コアシートS1の磁極部P)の極中心部に形成されている。言い換えれば、溶接部14は、各コアシートS1の外周に形成されている。ここでいう「極中心部」とは、各磁極11の周方向の中点(各コアシートS1の外周における各磁極部Pの中点)を含む、磁石19によりコアシートS1の外周に形成される磁極11の中心付近をいう。また、溶接部14は、すべてのコアシートS1において、少なくとも二箇所以上形成されている。
溶接部14は、図2に示すように、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1の積層間に形成されており、回転軸方向に直線状に形成されている。溶接部14の幅は、後退部15の周方向の幅よりも細くなるように形成される。不要な溶接部14が形成されるのを防止するためである。これにより、溶接対象となるコアシートS1が他のコアシートS1と溶接部14において短絡するのを防止することができる。
後退部15は、レーザ溶接によるコアシートS1の溶込み深さよりも長い距離だけ、コアシートS1の一部をシート面方向に後退させた凹部である。後退部15では、レーザ溶接の際に照射されるレーザの焦点が外れるため、入熱が不十分になる。このため、後退部15は非溶接部となる。本実施形態では、後退部15は、溶接部14と同様に、各磁極11(コアシートS1の磁極部P)の極中心部に形成されている。言い換えれば、溶接部14は、各コアシートS1の外周に形成されている。また、後退部15は、すべてのコアシートS1において、少なくとも一箇所以上形成されている。
後退部15は、図2に示すように、溶接部14の回転軸方向の両側に隣接して配置されており、積層面A1における回転軸方向の一端から他端にわたって直線状に配置されている。本実施形態では、後退部15は、積層面A1において、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1毎に、溶接部14と交互に配置されている。
後退部15は、コアシートS1の外周からシート面方向への最大後退距離が、レーザ溶接によるコアシートS1の溶込み深さよりも長い部分を有する形状であればよく、その形状については特に限定されない。本実施形態では、後退部15として、平面視円弧状の切欠きがコアシートS1の外周に形成されているが、例えば、楕円弧状、多角形状、その他の任意の形状であってもよい。
図1に示すように、ロータコア10に設けられた各磁極11には、積層面A1〜A8がそれぞれ形成されている。図3に示すように、各磁極11に形成された積層面A1〜A8には、溶接部14及び後退部15が、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1毎に交互に形成されており、各積層面A1〜A8上に直線状に配置されている。本実施形態のロータコア10は、積層面A1〜A8における溶接部14及び後退部15それぞれの位置関係が以下のように構成されている点に特徴がある。
即ち、本実施形態のロータコア10の主な特徴点は、各コアシートS1において、一のコアシートS1における溶接部14及び後退部15の位相と、当該一のコアシートS1と回転軸方向に隣接する他のコアシートS1における溶接部14及び後退部15の位相とが、所定のピッチで周方向にずれていることにある。本実施形態では、各コアシートS1における溶接部14及び後退部15の位相が、1磁極ピッチθずつ周方向にずれている形態を例示している。これを以下に詳細に説明する。
磁極ピッチθとは、ロータコア10の全周360度を磁極11の極数で除した角度である。本実施形態では、磁極11の数は磁石孔13の数と同じ8個であるため、1磁極ピッチθに相当する角度は45度となる。ここで、磁極11とは、ロータコア10の外周における周方向の一定範囲にある領域を指すが、一の磁極11の位置は、極中心部の位置を基準に決定される。つまり、磁極11が周方向に1磁極ピッチθ分ずれた位置とは、言い換えれば、一の磁極11の極中心部に対して周方向に相対的に45度だけずれた位置を意味する(図1参照)。
初めに、積層面A1〜A8における後退部15の位置関係について説明する。図3に示すように、第1層のコアシートS1において、後退部15は、積層面A1、A4、A5、A8にそれぞれ配置されている。これに対して、第1層のコアシートS1と回転軸方向に隣接する第2層のコアシートS1において、後退部15は、積層面A3、A4、A7、A8にそれぞれ配置されている。積層面A1と積層面A8とは、周方向に隣り合っている(図1参照)。つまり、第2層のコアシートS1における後退部15の位相は、第1層のコアシートS1における後退部15の位相に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。
また、第2層のコアシートS1と回転軸方向に隣接する第3層のコアシートS1において、後退部15は、積層面A2、A3、A6、A7にそれぞれ配置されている。上述した第2層のコアシートS1との関係に着目すると、第3層のコアシートS1における後退部15の位相は、第2層のコアシートS1における後退部15の位相に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。
これと同様に、第4層〜第8層のコアシートS1における後退部15の位相は、第3〜第7層のコアシートS1における後退部15の位相に対して、それぞれ時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。つまり、本実施形態において、第n層(以下、n≧2)のコアシートS1における後退部15の位相は、第n−1層のコアシートS1における後退部15の位相に対して、1磁極ピッチθずつ時計回りの周方向にずれている。
さらに、図示を省略しているが、第9層〜第16層のコアシートS1における後退部15の配置は、図3に示す第1層〜第8層のコアシートS1における後退部15の配置と同一になる。第17層〜第24層のコアシートS1における後退部15の配置についても同様である。つまり、本実施形態では、第1層〜第8層のコアシートS1における後退部15の配置を基本パターンとして、これが回転軸方向に繰り返し配置されている。
続いて、積層面A1〜A8における溶接部14の位置関係について説明する。第1層のコアシートS1と第2層のコアシートS1との溶接部14は、積層面A2、A6にそれぞれ形成されている。これに対して、第2層のコアシートS1と第3層のコアシートS1との溶接部14は、積層面A1、A5にそれぞれ形成されている。つまり、第1層のコアシートS1と第2層のコアシートS1との溶接部14の位相は、第2層のコアシートS1と第3層のコアシートS1との溶接部14の位相に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれた位置に配置されている。
また、第3層のコアシートS1と第4層のコアシートS1との溶接部14は、積層面A4、A8にそれぞれ形成されている。上述した第2層のコアシートS1と第3層のコアシートS1との溶接部14との関係に着目すると、第3層のコアシートS1と第4層のコアシートS1との溶接部14の位相は、第2層のコアシートS1と第3層のコアシートS1との溶接部14の位相に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。
これと同様に、第4層〜第7層のコアシートS1と第5層〜第8層のコアシートS1との溶接部14の位相は、第3層〜第6層のコアシートS1と第4層〜第7層のコアシートS1との溶接部14の位相に対して、それぞれ時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。つまり、本実施形態において、第n層のコアシートS1と第n+1層のコアシートS1の溶接部14の位相は、第n−1層のコアシートS1と第n層のコアシートS1の溶接部14の位相に対して、1磁極ピッチθずつ時計回りの周方向にずれている。
さらに、図示を省略しているが、第9層〜第15層のコアシートS1と第10層〜第16層のコアシートS1との溶接部14の配置は、図3に示す第1層〜第7層のコアシートS1と第2層〜第8層のコアシートS1との溶接部14の配置と同一になる。第17層〜第23層のコアシートS1と第18層〜第24層のコアシートS1との溶接部14の配置についても同様である。つまり、本実施形態では、第1層〜第7層のコアシートS1と第2層〜第8層のコアシートS1との溶接部14の配置を基本パターンとして、これが回転軸方向に繰り返し配置されている。
ここで、図3において、回転軸方向の両端に位置する第1層及び第8層を除く他のコアシートS1(即ち、第2層〜第7層のコアシートS1)に着目すると、溶接部14及び後退部15は、各コアシートS1の外周において、周方向にそれぞれ等間隔で、且つ、二箇所毎に交互に配置されている。また、図3において、積層面A3、A7では、第1層及び第8層に溶接部14が形成されていないが、上述した配置でコアシートS1が積層された場合には、溶接部14が形成されることになる。
つまり、本実施形態では、一のコアシートS1における溶接部14及び後退部15の位相と、当該一のコアシートS1と回転軸方向に隣接する他のコアシートS1における溶接部14及び後退部15の位相とが、1磁極ピッチθずつ周方向にずれて配置されている。溶接部14及び後退部15の位置関係をこのように構成すれば、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1のすべてが、各積層面A1〜A8のうち、いずれか2つの積層面上に形成された溶接部14において互いに溶接されることになる。その結果として、積層されたすべてのコアシートS1の積層間が、いずれかの溶接部14において溶接され一体化されているのである。
第一実施形態に係るロータコア10によれば、レーザ溶接の際、レーザが照射されても溶接されない後退部15が設けられた一体型のコアシートS1を採用し、上述のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
即ち、積層ごとに1磁極ピッチθずつ周方向にずれて配置された後退部15を基準として回転軸方向に直線状に連続溶接を行うことが可能となる。これにより、コアシートS1が積層方向に連続して直線状に短絡するのを確実に防止できると同時に、煩雑な位置決めを要することなく溶接作業を行うことができる。このため、短絡に起因する渦電流損を低減することができるとともに、溶接作業の手間を大幅に省くことができる。
また、溶接部14及び後退部15が、周方向にそれぞれ等間隔で、且つ、二箇所毎に交互に配置されているので、上述のように積層された各コアシートS1の内周には、溶接部14及び後退部15が、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1毎に交互に、且つ、回転軸方向に直線状に配置される。これにより、上述のような溶接作業を行った際、一の溶接部14において互いに溶接されるコアシートS1を必要最小限の枚数(即ち、二枚)に抑えることができる。これにより、渦電流損を更に効果的に低減することができる。
また、すべてのコアシートS1が、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1の外周の全周で、少なくとも二箇所の溶接部14において互いに溶接されるので、必要最小限の作業による溶接でありながら、ロータコア10に十分な機械的強度を付与することができる。このように、すべてのコアシートS1が、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1の外周の全周で、磁極数の約数箇所(ただし1を除く)で、等間隔で溶接されることが望ましい。また、各コアシートS1の積層間毎に溶接部14が規則的に分散した配置で形成されるため、ロータコア10の機械的強度に偏りが生じるのを防止することができる。さらに、溶接時における熱の影響を分散させることができるため、溶接熱による歪みが発生し難くなり、ロータコア10の寸法精度を高めることができる。
このように、第一実施形態に係るロータコア10によれば、各コアシートS1が積層方向に直線状に短絡するのを防止しながら、すべてのコアシートS1の積層間に対する溶接を必要最小限の作業で効率的に行うことが可能となるのである。
なお、上述したロータコア10では、溶接部14及び後退部15を各磁極11の極中心部に設けているが、少なくとも回転軸方向に隣接するコアシートS1間の溶接は、一周上に少なくとも二箇所以上あればよい。例えば、ロータコアの極数が12極である場合において、溶接部14及び後退部15が、磁極ピッチθの2倍のピッチで設けられていてもよい。この場合、溶接部14又は後退部15が、任意の位置にある一の磁極11を基準として奇数番目又は偶数番目に位置する各磁極11の先端に設けられ、回転軸方向に隣接するコアシートS間の溶接が、コアシートSの一周上に二箇所、180度の間隔で設けられることになる。
次に、本発明に係るロータコアの製造方法の実施形態について説明する。なお、以下の説明では、上述した第一実施形態に係るロータコア10の製造方法を一例に挙げて説明する。図1に示すように、ロータコア10は、コア本体12に分割部が形成されていない一体型ロータコアである。本実施形態に係るロータコア10の製造方法では、表面を絶縁処理された、厚さ0.3〜0.5mm程度の電磁鋼板を準備する工程を経て、打抜き工程、積層工程、及び溶接工程が行われる。
初めに、電磁鋼板を所定の形状に形成するための打抜き工程が行われる。打抜き工程では、一又は複数の打抜き用金型から成る切断手段を用いて電磁鋼板を打ち抜くことにより、図4に示すようなコアシートS1が打抜き形成される。本実施形態では、初めに、コアシートS1の周縁部を構成する環状のコアシート本体CRが形成されるとともに、このコアシート本体CRの内周と外周の間の所定位置に、複数(本実施形態では8個)の磁石孔部Hが周方向に並んで形成される。コアシート本体CRの各磁石孔部Hよりも径方向の外側に位置する部分により、複数の磁極部P(本実施形態では、8極の磁極部P1〜P8)が構成される。次に、磁極部Pの所定位置に所定のタイミングで後退部15を形成することにより、コアシートS1が形成される。
本実施形態では、後退部15が形成された磁極部Pと、後退部15が形成されていない磁極部Pとが2箇所(2極)毎に交互に配置されるように後退部15を打抜き形成する。つまり、後退部15は、任意の位置にある磁極部Pの周方向の両側に位置する二の磁極部Pのうちのいずれか一方にのみ形成される。図4に示すコアシートS1には、磁極部P1、P2、P5、P6に後退部15が形成されているが、このような位置関係を満たす限り、後退部15を形成する磁極部Pは任意である。
また、本実施形態では、後退部15は、磁極部Pの周方向の中点(即ち、極中心部)を通って径方向に延びる中心線に沿って形成される。つまり、周方向に隣り合う磁極部Pに形成された後退部15は、互いに1磁極ピッチθ分ずれた位置に形成される。かかる位置に後退部15を設ければ、コアシートS1の外周から磁石孔部Hまでの距離が最も長いため、溶接時に発生する熱が磁石19に与える影響を低減できるという利点がある。なお、後退部15は、上述のような位置関係を満たす限り、一の磁極部Pの周方向の範囲内において任意の位置に形成することが可能である。例えば、極中心部からロータ2の回転方向の反対側にずれた位置に後退部15を形成すれば、磁束密度が高い磁極11の極中心部に溶接部14が形成されるのを回避するとともに、溶接による電磁鋼板の磁気特性劣化の影響を低減することができる。
後退部15を形成する方法としては、例えば、可動切断手段を用いて所定のタイミングで、コアシートS1に対する打抜き位置を異ならせて打抜き形成する方法が挙げられる。可動切断手段は、事前の動作設定等により、コアシートS1に対する一又は複数の打抜き用金型の打抜き位置を相対的に移動させることが可能な切断手段である。かかる方法によれば、他の工程を要することなく、所望の磁極部Pに対して所望の位置に後退部15を形成できるという利点がある。本実施形態では、コアシートS1一枚毎に、上述した後退部15の位置関係を変更することなく、打抜き対象となる磁極部Pを時計回り又は反時計回りに1極ずつずらせながら後退部15の打抜き形成が行われる。
例えば、最初(1番目)に打抜き形成されたコアシートS1が、図4に示すように、磁極部P1、P2、P5、P6に後退部15が形成されている場合、その次(2番目)に打抜き形成されるコアシートS1は、磁極部P2、P3、P6、P7又は磁極部P8、P1、P4、P5に後退部15が形成される。つまり、n番目に打抜き形成されるコアシートS1は、n−1番目に打抜き形成されたコアシートS1に対して、後退部15の位相が、1磁極ピッチθずつ周方向にずれて形成されることになる。各コアシートS1がこのような順で打抜き形成される限り、最初に形成されるコアシートS1における後退部15の位相は任意である。
次に、上述した打抜き工程により得られた各コアシートS1を回転軸方向に積層する積層工程が行われる。本実施形態では、各コアシートS1を、前記打抜き工程において打抜き形成された順に積層することにより、図5に示すような積層体L1が得られる。なお、この積層体L1は、ロータコア10の一部を示すものであり、積層体L1を構成するコアシートS1の枚数は、例えば、ステータ3の回転軸方向の厚み、及び回転電機100の用途等に応じて適宜決定される。
本実施形態の積層工程では、コアシートS1を単純に打抜き順に積層すると同時に、後退部15が所望の位置に配置される。具体的には、積層体L1における各磁極11に形成される積層面A1〜A8上において、後退部15が形成されている部分と、後退部15が形成されていない部分とが、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS1毎に交互に配置され、且つ、各積層面A1〜A8上に後退部15が直線状に配置される。つまり、本実施形態の積層工程において積層体L1の前記積層面A1〜A8上に配置される後退部15の位置関係は、図3に示すロータコア10の積層面A1〜A8における後退部15の位置関係と同一になる。即ち、一のコアシートS1に設けられた後退部15の位相と、該一のコアシートS1と回転軸方向に隣接する他のコアシートS1に設けられた後退部15の位相とが、1磁極ピッチθずつ周方向にずれて配置される。
次に、上述した積層工程により得られた積層体L1を構成する各コアシートS1の積層間を溶接する溶接工程が行われる。本実施形態では、レーザ溶接として、積層体L1の各積層面A1〜A8の回転軸方向の一端から他端にわたって直線的に行う連続溶接が行われる。この場合、レーザが、回転軸方向に一定間隔を隔てて直線状に配置され後退部15をそれぞれ通過するように行われる。このとき、レーザは、各後退部15における、コアシートS1の外周(即ち、磁極部P)からシート面方向への後退距離が最大となる位置を通過させるのが好ましい。不要な短絡をより確実に防止するためである。
本実施形態の溶接工程では、位置決めの目安となる後退部15が、積層体L1の各積層面A1〜A8上において回転軸方向に直線状に配置されているため、溶接時における位置決め作業が極めて容易である。積層体L1を構成するすべてのコアシートS1は、レーザ溶接により一体化されるが、一の溶接部14において回転軸方向に連続して溶接されるコアシートS1は必要最小限の枚数(即ち、二枚)に抑えられる。こうして、レーザ溶接により一体化された積層体L1の各積層面A1〜A8上に形成された溶接部14及び後退部15は、図3に示す各積層面A1〜A8上に形成された溶接部14及び後退部15と同一の位置関係となる。
なお、溶接工程は、例えば、カシメ、ワニス含浸等、他の工程を含んでいても良い。また、溶接工程の後、ロータコア10(積層体L1)の回転軸方向の両端に非磁性体の端板を配して磁石19が収容された磁石孔13を塞ぐ工程が設けられる。こうして、第一実施形態に係るロータコア10が製造されるのである。
本実施形態に係るロータコアの製造方法によれば、上述した打抜き工程、積層工程、及び溶接工程を採用することで、本発明に係るロータコアを効率よく生産することができる。即ち、溶接工程において、直線状の連続溶接を採用可能であるため、溶接の作業精度を緩和することができる。
具体的には、連続溶接を採用しても、溶接部14において各コアシートS1が積層方向に直線状に短絡するのを回避しながら、コアシートS1の外周における溶接部14の位置を、周方向に適度に分散させて形成することができる。このため、各コアシートS1の周方向における溶接部14の位置バランスを考慮しながら、溶接位置を積層ごとに異ならせて溶接を行う必要がない。このように、溶接の作業精度を緩和しても品質精度を保つことができるため、溶接作業の大幅な効率化を実現することができる。
また、打抜き工程において、後退部15を形成する手段として可動切断手段を採用すれば、積層工程を大幅に簡略化することができる。つまり、可動切断手段によれば、各コアシートS1に対する打抜き位置を異ならせて、後退部15を各コアシートS1の外周(即ち、磁極部P)の所定位置に形成することができる。したがって、打抜き位置を予め設定しておけば、各コアシートS1を単純に打抜き順に積層するだけで、後退部15を、積層ごとに1磁極ピッチθずつ周方向にずれた位置に配置することができる。これにより、本発明のロータコアの生産効率を大幅に向上させることができる。
以上、本発明の第一実施形態に係るロータコア10及びその製造方法の実施形態について説明したが、本発明に係るロータコア及びその製造方法は、その他の形態で実施することができる。
例えば、第一実施形態の変形例として図6に示すロータコア10'のような形態であってもよい。ロータコア10'は、溶接部14及び後退部15が、周方向に隣接する磁極11(コアシートSの磁極部P)の極間部に形成されていることを特徴としている。ここでいう「極間部」とは、周方向に隣り合う磁極11の間(各コアシートSの外周における、周方向に隣り合う磁極部Pの極中心部の中点)を含む、磁束密度が特に低い領域をいう。なお、ロータコア10'は、かかる特徴点を除き、上述したロータコア10と共通の又は対応する構成を備えている。したがって、上述のロータコア10と共通する構成に関する詳細な説明はここでは省略する。
ロータコア10'においては、コア本体12の外周に形成された溶接部14及び後退部15の位相が、上述したロータコア10の外周に形成された溶接部14及び後退部15の位相に対して、1/2磁極ピッチθだけ周方向にずれて形成されている。つまり、ロータコア10'の外周の所定位置(即ち、周方向に隣り合う各磁極11の極間部)における各積層面B1〜B8(図6参照)上に形成された溶接部14及び後退部15それぞれの位置関係は、図3に示す各積層面A1〜A8上に形成された溶接部14及び後退部15と同一の位置関係となる。
したがって、本実施形態に係るロータコア10'においても、上述したロータコア10と同様の効果を得ることができる。これに加えて、本実施形態に係るロータコア10'によれば、溶接部14及び後退部15が、周方向に隣接する磁極11(磁極部P)の極間部に形成されるので、磁束密度が高い部分を避けて各コアシートSの積層間に対する溶接を行うことができる。このため、短絡に起因する渦電流損をより効果的に低減することができる。
また、第二実施形態として図7に示すロータコア20のような形態であってもよい。ロータコア20は、溶接部14及び後退部15が、各コアシートSの磁極部Pにおいて一極対毎に形成されていることを特徴としている。具体的には、極数がp(pは偶数)であるとき極対数はp/2となり、溶接部14及び後退部15は、720/p(°)毎に設けられる。本実施形態においては、極数p=8であるため極対数は4となり、溶接部14及び後退部15は、720/8=90°毎に設けられることになる。つまり、本実施形態では、溶接部14及び後退部15が、磁極ピッチθの2倍のピッチで設けられる。
本実施形態では、ロータコア20の外周及び内周に溶接部14及び後退部15が形成されているが、これらが形成されるのは、各磁極11(コアシートSの各磁極部P)のうちN極又はS極のいずれか一方に相当する磁極11(磁極部P)のみである。つまり、溶接部14及び後退部15が形成された磁極11(磁極部P)と、溶接部14及び後退部15が形成されていない磁極11(磁極部P)とが、1極毎に周方向に交互に配置される。
また、ロータコア20の各磁極11に形成された積層面C1〜C8における溶接部14及び後退部15それぞれの位置関係は、図8に示すとおりになる。即ち、積層面C1、C3、C5、C7にそれぞれ溶接部14及び後退部15が形成されており、積層面C2、C4、C6、C8には溶接部14及び後退部15は形成されていない。また、各積層面C1、C3、C5、C7上に形成された溶接部14及び後退部15それぞれの位置関係は、図3に示す各積層面A1、A2、A3、A4上に形成された溶接部14及び後退部15と同一の位置関係となる。
さらに、本実施形態では、溶接部14及び後退部15が形成された各磁極11(磁極部P)の位置におけるコア本体12(コアシート本体CR)の内周にも、溶接部14及び後退部15が形成される。この内周に形成された溶接部14及び後退部15それぞれの位置関係は、互いに対向する位置(即ち、周方向に180度ずれた位置)にある磁極11(磁極部P)に形成された溶接部14及び後退部15と同一の位置関係となる。具体的には、各積層面C1、C3、C5、C7に相当する各磁極11の位置におけるコア本体12の内周に形成された溶接部14及び後退部15それぞれの位置関係は、各積層面C5、C7、C1、C3上に形成された溶接部14及び後退部15と同一の位置関係となる。
本実施形態では、溶接部14及び後退部15が上述のように配置されていることで、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートSが、コアシート本体CRの外周で一箇所、内周で一箇所の合計二箇所において溶接される。また、一のコアシートSにおける溶接部14及び後退部15の位相と、当該一のコアシートSと回転軸方向に隣接する他のコアシートSにおける溶接部14及び後退部15の位相とが、2磁極ピッチθずつ周方向にずれて配置される。その結果として、積層されたすべてのコアシートSの積層間が、いずれかの溶接部14において溶接され一体化されるのである。
したがって、本実施形態に係るロータコア20においても、上述したロータコア10と同様の効果を得ることができる。これに加えて、本実施形態のロータコア20のように、溶接部14及び後退部15を、コアシートSの磁極部Pにおいて一極対毎に形成すれば、その間を通過する磁束量が一定であるため、渦電流の発生をさらに低減することができる。これにより、渦電流損がさらに低減され、回転電機100の性能をさらに向上させることができる。
また、本発明のロータコアの製造方法は、以下に示すような形態で実施してもよい。即ち、上述した積層工程において、打抜き工程により打抜き形成された同一形状のコアシートSを、既に積層されたコアシートSに対して、所定のピッチずつ周方向に相対的に回転させて積層するようにしてもよい。以下、第二実施形態に係るロータコア20の製造方法を例示して本実施形態の製造方法について説明するが、本実施形態の製造方法は、上述したロータコア10、10'の製造方法としても採用可能である。
初めに、打抜き工程において、図9に示すような一体型のコアシートS2が打抜き形成される。本実施形態の打抜き工程では、上述したコアシートS1の打抜き工程と同様に形成されたコアシート本体CRの外周及び内周の所定位置に対して後退部15が形成される。具体的には、任意の磁極部Pの位置を基準として、2極毎に、コアシート本体CRの外周、外周、内周、内周の順に後退部15が配置されるように打抜き形成される。なお、後退部15が、所定の位相においてコアシート本体CRの外周、外周、内周、内周の順に配置される限り、最初に形成する位置は任意である。
本実施形態では、後退部15は、各磁極部Pの周方向の中点(即ち、極中心部)を通って径方向に延びる中心線に沿って形成されているが、各磁極部Pの極間部に形成されていてもよい。こうして形成されたコアシートS2においては、後退部15が、コアシート本体CRの内周又は外周において磁極部Pの一極対毎に配置される。言い換えれば、2磁極ピッチθ(つまり、磁極ピッチθの2倍のピッチ)毎に形成される。具体的には、磁極部P1、P7の位置ではコアシート本体CRの外周に、磁極部P3、P5の位置ではコアシート本体CRの内周に、それぞれ後退部15が形成されている。
次に、打抜き工程により得られたコアシートS2を回転軸方向に積層する積層工程が行われる。本実施形態では、打抜き工程により形成された同一形状のコアシートS2を、既に積層されたコアシートS2に対して、所定のピッチずつ周方向に相対的に回転させて積層する点に特徴がある。具体的には、新たに積層されるコアシートS2に対して、既に積層されたコアシートS2を、環状のコアシート本体CRの中心点(即ち、回転軸1の軸心O)を中心として、時計回り又は反時計回りに90度ずつ回転させながら同一形状のコアシートS2を順次積層すればよい。ここで90度ずつ回転させるのは、極対ピッチ(360度を磁極部Pの極対数4で除した角度)であり、90度ずつ回転させたとしても、コアシートS2の平面形状は同一に積層されるからである。
本実施形態の積層工程を行うことにより、図10に示すような積層体L2が得られる。この積層体L2における外周及び内周の所定位置(即ち、後退部15が回転軸方向に直線状に配置された積層面C1、C3、C5、C7)に対して上述した溶接工程を行うことにより、第二実施形態に係るロータコア20が製造されるのである。
本実施形態の製造方法によれば、打抜き工程を大幅に簡略化することができる。即ち、打抜き工程において、同一形状の一体型コアシートS2を順次形成すればよいので、打抜き順は無関係である。したがって、金型の位置決めや金型の選択などの工程を省略又は簡略化することができるとともに、一の金型から成る固定切断手段を用いて後退部15を単動的に形成することができる。このため、切断手段の制御が容易であるという利点がある。また、コアシートS2の外周及び内周に後退部15を一の金型で打抜き形成することができるため、設備コストを低減することができる。
なお、本実施形態の製造方法により上述したロータコア10、10'を製造する場合は、積層工程において、コアシートS1を回転させる角度を磁極ピッチθ(即ち、45度ずつ)に変更すればよい。磁極ピッチθずる回転させたとしても、コアシートS1の平面形状を同一に積層することができるからである。このように、コアシートSを回転させる角度は、コアシートSに形成された後退部15の数や位置関係、及びロータコアの極数などに応じて適宜設定変更すればよい。
また、本発明のロータコアでは、すべてのコアシートSが、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートSの外周又は内周の全周で、少なくとも二箇所の溶接部14において互いに溶接されていればよい。このため、後退部15は、磁極ピッチθとは無関係に設けられていてもよく、あるいは、溶接部14及び後退部15は、必ずしも、コア本体12の外周又は内周において周方向に等間隔で配置されている必要はない。
例えば、第三実施形態として図11に示すロータコア30のような形態であってもよい。ロータコア30は、各コアシートS3(図13参照)が複数の後退部15を備えており、周方向に隣り合う後退部15が、少なくとも磁極ピッチθの3倍以上のピッチだけ離れた位置に形成されていることを特徴としている。本実施形態では、8極ある各コアシートS3の磁極部Pのうちの2極(磁極部P1、P5)に後退部15が形成されており、これらの後退部15は磁極ピッチθ(45度)の4倍のピッチ(180度)だけ離れた位置にそれぞれ形成されている。
次に、本実施形態に係るロータコア30の各積層面D1〜D8における溶接部14及び後退部15それぞれの位置関係について説明する。なお、以下の説明では、積層面D2及び積層面D6の位置(位相)を基準位置と仮定して説明するが、この基準位置は、例えば、ロータコアの磁極11の極数、一のコアシートSにおける後退部15の位置及びその数などに応じて適宜変更することができる。
初めに、積層面D1〜D8における後退部15の位置関係について説明する。図12に示すように、第1層のコアシートS3において、後退部15は、積層面D2、D6にそれぞれ配置されている。これに対して、第1層のコアシートS3と回転軸方向に隣接する第2層のコアシートS3において、後退部15は、積層面D1、D5にそれぞれ配置されている。つまり、第2層のコアシートS3における後退部15の位相は、第1層のコアシートS3における後退部15の位相に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。言い換えれば、基準位置となる積層面D2及び積層面D6の位置(位相)に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。
また、第2層のコアシートS3と回転軸方向に隣接する第3層のコアシートS3において、後退部15は、積層面D3、D7にそれぞれ配置されている。ここで、基準位置となる第1層のコアシートS3との関係に着目すると、第3層のコアシートS3における後退部15の位相は、第1層のコアシートS3における後退部15の位相に対して、反時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。そして、本実施形態では、第1層〜第3層のコアシートS3における後退部15の配置を基本パターンとして、これが回転軸方向に繰り返し配置されている。
続いて、積層面D1〜D8における溶接部14の位置関係について説明する。第1層のコアシートS3と第2層のコアシートS3との溶接部14は、積層面D3、D7にそれぞれ形成されている。これに対して、第2層のコアシートS3と第3層のコアシートS3との溶接部14は、積層面D2、D6にそれぞれ形成されている。つまり、第1層のコアシートS3と第2層のコアシートS3との溶接部14の位相は、第2層のコアシートS3と第3層のコアシートS3との溶接部14の位相に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれた位置に配置されている。言い換えれば、基準位置となる積層面D2及び積層面D6の位置(位相)に対して、時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。
また、第3層のコアシートS3と第4層のコアシートS3との溶接部14は、積層面D1、D5にそれぞれ形成されている。ここで、基準位置となる第2層のコアシートS3と第3層のコアシートS3との溶接部14との関係に着目すると、第3層のコアシートS3と第4層のコアシートS3との溶接部14の位相は、第2層のコアシートS3と第3層のコアシートS3との溶接部14の位相に対して、反時計回りの周方向に1磁極ピッチθ分ずれている。そして、本実施形態では、第1層〜第3層のコアシートS3と第2層〜第4層のコアシートS3との溶接部14の配置を基本パターンとして、これが回転軸方向に繰り返し配置されている。
ここで、図12において、回転軸方向の両端に位置する第1層及び第9層を除く他のコアシートS3(即ち、第2層〜第8層のコアシートS3)に着目すると、溶接部14及び後退部15は、各コアシートS3の外周において、基準位置となる積層面D2及び積層面D6の位置(位相)に対して時計回り及び反時計回りの周方向に、それぞれ1磁極ピッチθだけずれた位置にのみ形成されている。また、図12において、積層面D1、D5では、第1層及び第9層に溶接部14が形成されていないが、上述した配置でコアシートS3が積層された場合には、溶接部14が形成されることになる。
つまり、本実施形態では、一のコアシートS3において、溶接部14及び後退部15が、基準位置に対して時計回り及び反時計回りの周方向に所定のピッチだけずれた位置にのみ形成されることとなり、且つ、溶接部14及び後退部15は上述のような位置関係で回転軸方向に配置される。溶接部14及び後退部15の位置関係をこのように構成した場合にも、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS3のすべてが、各積層面D1〜D8のうち、いずれか2つの積層面上に形成された溶接部14において互いに溶接されることになる。その結果として、積層されたすべてのコアシートS3の積層間が、いずれかの溶接部14において溶接され一体化される。したがって、本実施形態のロータコア30においても、本発明の課題を解決することができる。
なお、上述したロータコア30では、溶接部14及び後退部15が周方向にアンバランスに配置されているが、例えば、ロータコアの磁極部11の極数が6極である場合は、このようなアンバランスは生じない。あるいは、ロータコアの磁極部11の極数が12極である場合において、後退部15が周方向に90度ずつずれた位置に四箇所形成されたコアシートSを用いれば、同様のことが言える。このような形態で実施すれば、溶接部14及び後退部15による磁気特性上の影響(例えば、磁気特性の劣化など)が、周方向にバランスよく配置されるため、磁気特性のアンバランスによるコギングトルクの増大等を防止することができる。また、後退部15を周方向に等間隔に設けることで、溶接箇所が等間隔に配置され、ロータコアの機械的強度が確保しやすいという利点がある。
本実施形態のロータコア30は、上述したロータコア20と同様の製造方法により製造することができる。具体的には、積層工程において、打抜き工程により形成された図13に示すコアシートS3を、第1層となるコアシートS3に形成された後退部15の位置(位相)を基準位置として、時計回り方向、反時計回り方向、の順に所定のピッチ(本実施形態では45度)ずつ基準位置に対して周方向に相対的に回転させてコアシートS3を積層すればよい。このように積層された三枚のコアシートS3を基本パターンとして、これを三枚ずつ回転軸方向に繰り返して積層すれば、後退部15は、各コアシートS3における3つの位相(つまり、基準位置、時計回り方向に所定のピッチだけずれた位置、反時計回り方向に所定のピッチだけずれた位置)において、それぞれ三枚毎に回転軸方向に直線状に配置される。各コアシートS3をこのように回転させたとしてもコアシートS3の平面形状は同一に積層される。
なお、後退部15が、図12に示すような配置で積層される限り、基準位置をどこに設定するかは任意である。例えば、積層面D1、D5を基準位置とした場合、基準位置に対して反時計回りに、基準位置、1磁極ピッチθ(45度)、2磁極ピッチθ(90度)、基準位置、...の順に後退部15の位相をずらせて積層すればよい。
このような積層工程を行うことにより、図14に示すような積層体L3が得られる。この積層体L3における外周の所定位置(即ち、後退部15が回転軸方向に直線状に配置された積層面D1、D2、D3、D5、D6、D7)に対して上述した溶接工程を行うことにより、第三実施形態に係るロータコア30を製造することができる。
本発明の各実施形態に係るロータコア10、10'、20、30は、図15に示すような回転電機100に用いることができる。本実施形態の回転電機100は、回転軸1を中心として回転可能に配設されたロータ2と、このロータ2の径方向にギャップを隔てて配設されたステータ3とを備えた、いわゆるラジアルギャップ型の回転電機である。
ロータ2は、電磁鋼板を所定形状に形成した複数のロータ用コアシートSを回転軸方向に積層して成り、軸心Oを中心に回転可能なように回転軸1に固定されたロータコア2aを備える。ロータ2として、例えば、図19に示すような、ロータコア2aの所定位置に設けられた磁石孔13に磁石19が埋設される、埋込み磁石型(IPM型)、又は、シンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)等の構成を採用してもよい。
ステータ3は、電磁鋼板を所定形状に形成した複数のステータ用コアシート(図示省略)を回転軸方向に積層して成り、回転軸1を中心として周方向に並ぶ複数のティース31を有するステータコア30と、各ティース31に不図示の絶縁物を介して巻装された巻線32とを備える。図15に示すステータ3は、三相交流における一の相の巻線32が一のティース31に巻装される集中巻きで構成されているが、ステータ3として、周方向に隣接するティース31の間に形成されたスロット33に異なる相の巻線32が配置される分布巻きで構成されていてもよい。
本実施形態に係る回転電機100は、ロータ2を構成するロータコア2aとして、上述した各実施形態に係るロータコア10、10'、20、30のいずれかを備えている。したがって、本実施形態の回転電機100によれば、渦電流損を大幅に低減することができるため、回転電機としての性能を向上させることができる。
図15に示すように、ロータコア2aにおいて、ギャップを隔ててステータ3と対向している外周には磁極11(コアシートSの磁極部P)(図1参照)が形成されるため、短絡による影響が特に大きい。しかし、本発明の各実施形態に係るロータコア10、10'、20、30によれば、渦電流が発生しやすい磁極11(コアシートSの磁極部P)で各コアシートSが回転軸方向に直線状に短絡するのを確実に防止することができるので、渦電流損を効果的に低減することができる。
尚、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
例えば、上述した各実施形態のロータコア10、10'、20、30は、いずれも一体型インナロータコアであるが、本発明は、いわゆる一体型アウタロータコアに採用することもできる。
具体的には、第四実施形態として図16に示すロータコア40a、40bのような形態であってもよい。ロータコア40a、40bは、コア本体22の内周側に各磁極21が形成されたアウタロータコアである。本実施形態では、円筒状のコア本体22に設けられた磁石孔23を10個備えており、各磁石孔23に対応する10極の磁極21が、各磁石孔23よりも径方向の内側において周方向に等間隔で配置されている。
本実施形態において、溶接部14及び後退部15は、図16(a)に示すロータコア40aのように、各コアシートS4の磁極部Pの極中心部に形成されていてもよく、あるいは、図16(b)に示すロータコア40bのように、周方向に隣接する磁極部201の極間部に形成されていてもよい。さらには、溶接部14及び後退部15は、ロータコア40a、40bのコア本体22の内周又は外周のいずれか一方に、あるいはその両方に形成されていてもよい。
ロータコア40aでは、各コアシートS4において、後退部15が設けられた磁極部Pの両側には、後退部15が設けられていない磁極部Pが配置されている。また、後退部15が設けられていない磁極部Pが周方向に連続して配置されている一組の磁極部Pが複数組(本実施形態では二組、合計4極の磁極部P)存在し、これらの磁極部Pは、それぞれが互いに対向する位置関係(即ち、それぞれ周方向に180度ずれた位置)にある。なお、ロータコア40bでは、このような相対的な位置関係を保ちながら、各後退部15の位相が1/2磁極ピッチθだけ周方向にずれた位置に配置されている。
本実施形態では、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートS4が、時計回り又は反時計回りの周方向に1磁極ピッチθずつずれて積層されている。このため、これら二枚のコアシートS4を互いに溶接する溶接部14は、周方向に180度ずれた位置において全周で二箇所に形成される。そして、これら二の溶接部14は、積層毎に周方向に1磁極ピッチθずつずれて配置されることとなり、結果として、すべてのコアシートS4が、いずれかの溶接部14において溶接され、一体化されている。
あるいは、上述したロータコア30と同様の構成とすることもできる。この場合、溶接部14及び後退部15は、図12に示す各積層面と同様の位置関係に配置されることとなる。製造方法に関しても同様の方法を採用可能である。
したがって、本実施形態のロータコア40a、40bにおいても、上述した本発明に係るロータコア製造方法を用いて製造することが可能であり、また上述と同様の作用及び効果が得られるとともに、本発明の目的を達成することができる。
また、本発明において、後退部15は、レーザ溶接の際にレーザが照射されたとしても隣接するコアシートSが溶接されないようにするために設けられている。したがって、後退部15は、溶接部14に対して所定の距離だけ後退していればよい。つまり、溶接部14が径方向に突出した凸部に形成され、後退部15が各コアシートSの外周又は内周に形成された平坦部の一部又は円弧状の外周又は内周の一部で構成されていてもよい。あるいは、後退部15に替えて、レーザの焦点を外すために各コアシートの外周又は内周の一部をシート面方向に前進させた前進部を、後退部15に対応する位置に設けてもよい。
このような形態であっても、コアシートSが回転軸方向に直線状に短絡することを防止できるため、上述と同様の作用及び効果が得られるとともに、本発明の目的を達成することができる。
1:回転軸
2:ロータ
2a:ロータコア
3:ステータ
10、10'、20、30、40:ロータコア
11、21:磁極
12、22:コア本体
13、23:磁石孔
14:溶接部
15:後退部
100:回転電機
1、S2、S3、S4:コアシート
CR:コアシート本体
P:磁極部
H:磁石孔部
θ:磁極ピッチ
1〜A8、B1〜B8、C1〜C8、D1〜D8:積層面
1、L2、L3:積層体
O:軸心

Claims (10)

  1. 電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸方向に積層して成るロータコアであって、
    前記コアシートが、環状のコアシート本体に設けられた複数の磁石孔部と、該磁石孔部よりも径方向の外側又は内側において周方向に等間隔で配置された磁極部と、を有し、
    前記コアシートの外周又は内周の所定位置において、一のコアシートと、該一のコアシートのシート面に接する他のコアシートとが、レーザ溶接により互いに溶接された溶接部と、
    前記コアシートの外周又は内周の前記溶接部とは異なる位置において、レーザ溶接による前記コアシートの溶込み深さよりも長い距離だけ外周又は内周の一部をシート面方向に後退させた後退部と、を備え、
    前記溶接部が、一のコアシートにおいて、周方向に2以上設けられ、
    前記後退部が、前記溶接部において互いに溶接された二枚のコアシートのシート面に接するさらに他のコアシートのうちの一方において、該溶接部と回転軸方向に隣接する位置に配置され、
    各コアシートにおいて、一のコアシートにおける前記溶接部及び前記後退部の位相と、該一のコアシートと回転軸方向に隣接する他のコアシートにおける該溶接部及び該後退部の位相とが、所定のピッチで周方向にずれていることを特徴とするロータコア。
  2. 前記溶接部または前記後退部が、周方向に等間隔に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のロータコア。
  3. 各コアシートにおいて、一のコアシートにおける前記溶接部及び前記後退部の位相と、該一のコアシートと回転軸方向に隣接する他のコアシートにおける該溶接部及び該後退部の位相とが、前記磁極部のN磁極ピッチ(Nは自然数)ずつ周方向にずれていることを特徴とする、請求項2に記載のロータコア。
  4. 前記溶接部及び前記後退部が、周方向に二箇所ずつ交互に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載のロータコア。
  5. すべての前記コアシートが、回転軸方向に隣接する二枚の前記コアシートの外周又は内周の全周で、少なくとも二箇所の前記溶接部において互いに溶接されていることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載のロータコア。
  6. 前記溶接部及び前記後退部が、各コアシートの前記磁極部の極中心部又は周方向に隣接する該磁極部の極間部に形成されていることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のロータコア。
  7. 前記溶接部及び前記後退部が、前記磁極部において一極対毎に形成されていることを特徴とする、請求項6に記載のロータコア。
  8. 電磁鋼板を所定形状に形成した複数のコアシートを回転軸方向に積層して成るロータコアの製造方法であって、
    前記電磁鋼板を準備する工程と、
    前記電磁鋼板を打ち抜いて、環状のコアシート本体と、該コアシート本体に設けられた複数の磁石孔部と、を含む前記コアシートの周縁部を形成するとともに、該周縁部の外周又は内周の一部を所定距離だけシート面方向に後退させた後退部を該外周又は内周に所定の位相で形成するコアシートの打抜き工程と、
    前記打抜き工程により得られた各コアシートを、一のコアシートに設けられた前記後退部の位相と、該一のコアシートと回転軸方向に隣接する他のコアシートに設けられた該後退部の位相とが、所定のピッチで周方向にずれて配置されるように積層する積層工程と、
    前記積層工程により積層された各コアシートを、前記後退部の各位相における外周又は内周において回転軸方向にレーザ溶接を行い、回転軸方向に隣接する二枚のコアシートを外周又は内周の全周で少なくとも二箇所において溶接する溶接工程と、
    を備えることを特徴とするロータコアの製造方法。
  9. 前記打抜き工程において、
    前記電磁鋼板に対する打抜き位置を変え得る可動切断手段により、各コアシートに対する打抜き位置を異ならせて、前記後退部を各コアシートの外周又は内周に所定の位相で形成することを特徴とする、請求項8に記載のロータコアの製造方法。
  10. 前記積層工程において、
    前記打抜き工程により打抜き形成された同一形状のコアシートを、既に積層されたコアシートに対して、所定のピッチだけ周方向に相対的に回転させて積層することを特徴とする、請求項8に記載のロータコアの製造方法。
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