JP5403211B2 - 触媒インクを用いて燃料電池用の触媒層を形成する製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、以下PEFCとする)を代表例とする電極触媒層用のインク(以下、触媒インクとする)を製造し、該触媒インクを電解質膜に塗布し、PEFCのような燃料電池用の触媒層を形成する製造方法に関する。
従来から、燃料電池用の触媒インクを製造する際に好適な触媒インクの分散方法が検討されてきた。例えば、特許文献1には、触媒インクの製造方法の分散工程で使う分散装置が複数種類について列挙されている。
しかし、複数種類の分散装置を採用しようとした場合、どのように選択し、どのように組み合わせるべきか、どのような順番で行うのが好適であるかについて、明確化されていなかった。
ところで、燃料電池の触媒層の材料となる触媒インクは、触媒層全体に渡り触媒能力を持つことが望ましい。よって、白金担持炭素粒子に代表される触媒担持導電性粒子と、プロトン導電性を有する電解質とを溶媒中に均一分散させなければならない。
そのために、触媒インクに触媒担持導電性粒子を均一に懸濁することが好ましい。そして、この懸濁後均一的・安定的に触媒層を形成するためには、触媒インクの粘度、濃度等が経時変化しないことが好ましい。
触媒インクを用いて形成された触媒層を含む燃料電池が好適な発電能を発揮するためには、触媒インク中で、触媒担持導電性粒子にイオン導電性樹脂を含む電解質溶液を均一に被覆させる必要がある。そのために、触媒担持導電性粒子(以下、単に「粒子」という。)を、例えば、粒子を0.1μmから1μm程度の範囲に入るように微粉化し、大きな粒子を含まないように、電解質溶液に分散することが好ましい。
特開2004−146165号公報
以上を鑑みて、発明者は、鋭意検討の結果、せん断力による分散方法(以下「せん断力分散」という。)と、キャビテーション効果(超音波)による分散方法(以下「超音波分散」という。)との組み合わせによる方法を検討した。
しかし、せん断力分散によれば、1次粒子又は2次粒子に高い分散エネルギーを与えるため、これら粒子を好適に粉砕、分散することができる一方、せん断力が強まるほど、粒子同士又は粒子とメディアが強烈かつランダムに衝突するため、触媒インク内に多くの気泡が発生する。発生した気泡は、せん断分散中に装置内で噛み込みを生じさせ、気泡がクッションのように働き、微細に粒子を分散させ難い。また、気泡の噛み込みにより、触媒インクの粘度、濃度等の変動を大きくさせるため、安定して触媒層を形成し難い。
加えて、気泡がそのまま触媒インク内に残存すると、気泡部分は触媒として機能しないばかりか、気泡部分は電子伝導性やイオン導電性を阻害し、触媒層構造としても脆くなり、ひいては燃料電池の性能や耐久性に悪影響を及ぼす可能性もある。
一方、超音波分散によれば、触媒インク内で超音波が強め合う箇所に発生する強いキャビテーション力で1次粒子及び2次粒子を粉砕し、上記の気泡を破裂させる一方、例えば粉砕初期に存在する100μm程度の大きな触媒担持導電性粒子を粉砕するのは困難であり、仮に粉砕されたとしても、粉砕までの長時間を要し、製造効率を下げる。また、粉砕されなければ、そのまま大きな粒子が残存し触媒能が触媒層内で偏在してしまう。
本発明は、斯かる実情に鑑み、触媒インクを製造するに当たり、上記の2つの分散方法を組み合わせてその順番を決定し、さらに、各分散方法における最適な固形分濃度条件を提供することを目的とする。
(発明の態様)
本発明では、超音波分散とせん断力分散の長所を活かし、短所は相互補完すべく、せん断力分散を十分行った後に、キャビテーション効果(超音波振動)による超音波分散を行って触媒インクを製造する。その結果、均一性に優れ、かつ、脱泡された触媒インクが製造できる。さらに、それぞれの分散工程間の、固形分濃度の大小関係を最適化し、さらに安定した触媒インクの分散を行うことができる。なお、本発明に係る、触媒インクを用いて燃料電池用の触媒層を形成する製造方法の各種態様、並びに、それらの作用及び効果については、以下の、発明の態様の項において詳しく説明する。
以下、特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。なお、以下の各項において、(1)項、(2)項、及び(3)項の各々が、請求項1、請求項2、及び請求項3の各々に相当する。
(1) 触媒インクを用いて形成される燃料電池用電極の製造方法であって、触媒インク材料にせん断力を与えて分散するせん断力分散工程と、該せん断力分散工程後の触媒インクにキャビテーション力を与えて触媒インクを分散する超音波分散工程と、該超音波分散工程後の触媒インクを電解質膜に塗布、或いは転写基材に塗布した後電解質膜に転写することで該電解質膜に触媒層を形成するインク塗布工程とを含み、前記せん断力分散工程で得られる触媒インクの固形分濃度(vol%)をX、前記超音波分散工程で得られる触媒インクの固形分濃度(vol%)をYとすると、XがYより大きくなるように、X及びYの値を設定することを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
本項の製造方法によれば、せん断力分散により、触媒インク材料中の大きな触媒担持導電性粒子の、せん断、粉砕を可能とする。これにより、従来必要とされていた分散不具合による粗大粒子を除去するためのフィルター処理工程(若しくはフィルター濾過装置)を省くことを可能とする。
また、超音波分散により、上記せん断力分散で触媒インク中に多数発生した気泡を破裂させ、かつ、触媒インクを均一化させることができる。このようにして、当該触媒インクは、超音波分散により脱泡されるため、当初より粘度が一定であり、その結果、塗布条件も一定となるため塗布条件を安定化させることができる。
好ましくは、同製造方法を実施する際、湿式ジェットミルを用いて、せん断力分散を行い、次に、その触媒層材料インクに対して、超音波振動子を用い脱泡処理、均一化処理を行うようにする。当該態様によれば、湿式ジェットミルは、メディアレスなので、固液分離処理が不要であり、かつ、メディアが削れることに起因する不純物の混入もない。また湿式ジェットミルの処理チャンバーを用い、続けて超音波処理により脱泡処理および均一化処理を行うことができる。このことは触媒インク製造時の省力化を可能とする。
しかも、本項によれば、せん断力分散工程よりも超音波分散工程では、超音波振動子からの超音波を溶媒を媒体として、触媒担持導電性粒子(粉体)とイオン導電性樹脂の固形分に伝達し、これらの固形分をキャビテーション力で溶媒中に分散し易くし、かつ、せん断力分散工程で触媒インクに内在した多数の気泡をキャビテーション力で破裂させる。固形分に関し、溶媒分を後者の工程でより多くする方が、超音波が伝達し易くなり好ましいと考えられるためである。
(2) 前記触媒インク材料は、触媒担持導電性粒子からなる粉体、イオン導電性を有する樹脂、及び溶媒を含むことを特徴とする(1)の燃料電池用電極の製造方法。
本項は、(1)の触媒インクを製造する際の基本的な出発材料として、触媒担持導電性粒子からなる粉体、イオン導電性を有する樹脂、及び溶媒を規定する。
触媒インクは、電解質膜に塗布されて触媒層を形成するため、白金担持炭素粒子のような触媒担持導電性粒子が必要となる。この触媒は、水素ガス及び空気(若しくは酸素ガス)を、それぞれ、水素イオンと電子、酸素イオンと電子に分解する。また、デュポン社のナフィオン(商品名)のようなイオン導電性を有する樹脂が必要となる。これは上記の水素イオン、酸素イオン、電子の移動を促進する。そして、水若しくはアルコール系溶剤を溶媒とする。触媒インクは液体であり、上記の触媒担持導電性粒子(粉体)やイオン導電性樹脂の固体(固形分)を、溶媒に懸濁化、分散化させる必要があるためである。
なお、触媒インクの処方に必要な他の材料、例えば、表面張力調整剤、密着性向上剤を適宜添加することができる。
(3) (1)又は(2)に記載の製造方法によって得られる燃料電池用電極
本項は、上記製造方法を好適に適用できる燃料電池用電極を規定したものであり、固体高分子形の燃料電池(PEFC)用電極に適用できる。また、ダイレクトメタノール形の燃料電池(DMFC)はPEFCと構造的に類似しているため同様に上記製造方法を好適に適用できる。ただし、上記製造方法で得られる触媒インクはこれらの燃料電池以外の電解質膜にも適用可能である。
(4)触媒インク材料にせん断力を与えて分散するせん断力分散工程と、該せん断力分散工程後の触媒インクにキャビテーション力を与えて触媒インクを分散する超音波分散工程とを含むことを特徴とする燃料電池用触媒インクの製造方法。
本項の製造方法によれば、主にせん断力分散工程において、触媒インク材料中の触媒担持導電性粒子の粗大粒をも粉砕、せん断可能とし、もって、分散処理後の触媒インク中の粒度分布曲線を、より急峻とし単分散化することができる。また、主に超音波分散工程によれば、上記せん断力分散工程において触媒インク中に内在した多数の気泡を破裂させることで粘度を下げ、かつ、さらにより均一性の優れた触媒インクを製造することができる。
このようして得られた触媒インクは好適な容器に収納、密閉され、燃料電池用触媒インクとして製販可能とされる。
(5) 前記せん断力分散工程で得られる触媒インクの固形分濃度をX、前記超音波分散工程で得られる触媒インクの固形分濃度をYとすると、YがXより小さくなるように、X及びYの値を設定することを特徴とする(4)に記載の燃料電池用触媒インクの製造方法。
(6) (4)又は(5)のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる触媒インクを用いて製造される固体高分子形燃料電池。
(5)及び(6)の効果その他の内容は、(1)の項で述べた内容と同様なのでその説明を省略する。
本発明によれば、固形分が溶媒に効率良く単分散化し、かつ、気泡を基本的に含まない安定した粘度の触媒インクを製造することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図1を参照して説明する。
図1は、S1で示される触媒インク材料を準備する触媒インク材料準備工程、S2で示されるせん断力分散工程、S3で示される超音波分散工程、及びS4で示される触媒インクを電解質膜に塗布するインク塗布工程からなる製造フローである。以下、この製造フローの流れに沿って各工程を説明する。
触媒インク材料準備工程(S1):本工程では、出発材料(触媒インク材料)を準備する。触媒インク材料は、基本的に、触媒担持導電性粒子からなる粉体と、イオン導電性を有する樹脂と、分散媒である。
触媒担持導電性粒子は、白金担持炭素粒子、白金・ルテニウム担持炭素粒子、ニッケル担持炭素粒子等が好ましい。イオン導電性を有する樹脂は、デュポン社のナフィオン(登録商標)を代表とするパーフルオロ骨格にスルホン酸基等のイオン交換基を有する樹脂が挙げられる。分散媒は、水、又はメタノール、プロパノール、ブチルアルコール等のアルコール類が好ましい。その他インクの製造に必要な材料やインク作製方法については、目的とするインクの粘度・濃度等に応じて常法に従い決定する。
せん断力分散工程(S2):本工程では、連続式二軸混練機、バッチ式混練機、圧力式ホモジナイザー、ビーズミル、ハイシェアミル、サンドミル、湿式ジェットミル等のせん断力によって分散・粉砕を行う混練機又は粉砕機を、せん断力装置として用いる。中でも、湿式ジェットミルを用いることが好ましい。
湿式ジェットミルは、粉砕用メディアを全く用いずに、触媒担持導電性粒子同士が強大なエネルギーで衝突し合い、粉砕が行われるため、粉砕・分散効率が高い。また、湿式ジェットミルのチャンバー内で、粉砕・分散が行われるため、粉砕用メディアの材料から触媒インク材料に不純物が混入することを防ぐこともできる。
すなわち、他の粉砕機であれば、触媒インクと、せん断・粉砕用メディア、混練棒等との固液分離が必須となるが、湿式ジェットミルによれば、固液分離は不要であり、工程を簡略化・省力化でき、またメディアや混練棒の材質が触媒インクに不純物として混じることもない。
また、本工程で湿式ジェットミルのチャンバー内で触媒インク材料が処理された後、次工程で、その中に含まれる気泡を破裂させ除去する際、他の装置に触媒インクを移し替えることなく、同一チャンバー内で超音波処理をすることで実施可能である。
超音波分散工程(S3):本工程では、せん断力分散工程によって製造された触媒インクに、超音波振動を与える。この超音波振動により、せん断力分散工程で製造された触媒担持導電性粒子スラリー(触媒インク)の中に含まれる気泡を破裂し脱泡処理が行われ、二次粒子となっている触媒担持導電性粒子を一次粒子に分解することができる。
ただし、超音波振動では、超音波の波動が強め合う箇所が一定箇所(焦点)に固定されるため、処理中にチャンバーを、常時、衛星回転させるか、偏心回転させる、及び/又は、超音波振動子をチャンバー内またはチャンバー壁に沿って移動させるようにすることが好ましい。このようにして超音波振動によるキャビテーション効果(超音波分散処理)が、触媒担持導電性粒子スラリー全体に及ぶようにする。
なお、超音波振動子(超音波振動装置)を、湿式ジェットミルのチャンバー内又はチャンバー壁に取り付けて、超音波分散を行うようにすることが望ましい。前述したように、製造の簡略化・省力化により製造コストを下げ、不純物の混入も回避できるためである。
さらに、触媒インクの製造効率を向上させるため、せん断力分散工程(S2)及び超音波分散工程(S3)、それぞれの工程で処理する前の触媒インク材料の固形分濃度(vol%)(固形分は、触媒担持導電性粒子による)を、それぞれ、X、Yとすると、X>Yとすることが好ましい。
なお、本発明に係る触媒インクを用いて燃料電池用の触媒層を形成する製造方法は、この超音波分散工程(S3)で停止し、中間生産物の当該触媒インクを密閉容器に収納し製販することが可能である。
インク塗布工程(S4):超音波分散工程(S3)で得られた触媒インクを、ドクターブレード法、スプレー法、スクリーン印刷法、グラビアコーティング法、ダイ塗工法、インクジェット法等の塗布(塗工)方法により、電解質膜に一定の厚さで塗布する。いずれの塗布方法でもよいが、塗布方法に応じて、触媒インクの溶媒を加えるか蒸発させる等により好適な粘度となるように塗布前に触媒インクの粘度調整をすることが望ましい。
以下、本発明の実施例を、比較例と対比しながら説明する。ただし、本発明は下記の実施例によって限定されるものではない。
なお、触媒インクの粘度測定は、東機産業製のB型粘度計により行い、触媒インク中に粒度分布の測定は、レーザ回折により1次粒子のみならず2次粒子も含めた粒度分布が測定可能な日機装社のマイクロトラックMT3300EX(商品名)を用いた。
<実施例1>
カーボンブラック(炭素粒子)に白金粒子を、カーボンブラックに対して50%担持させた粒子からなる粉体と、デュポン社のナフィオンからなる電解質溶液(イオン導電性を有する樹脂溶液)と、水、エタノール(分散媒)とを準備し、カーボンと電解質溶液中の電解質成分との比が1:1、固形分濃度が10.7%、炭素濃度(カーボンブラック中の炭素濃度)が3.6%になるように準備溶液を、全体量が3Lとなるように作製した。
実施例1では、準備溶液に対して、湿式ジェットミル、超音波振動の順で、分散処理を実施した。
湿式ジェットミルの分散は、3MPaの低圧力下で、15分間の粗分散処理を実施した後、150MPaの高圧力下で、30分間の分散処理を実施した。その後、20分間の超音波分散処理を実施した(以上の準備溶液の処方及び分散処理条件は、実施例2及び3でも同様に採用)。
そして、図2に示すように、分散処理の経過時間に対する準備溶液の粘度(mPa・s)を測定した。また、図3に示すように、粒径(μm)と体積頻度(%)との関係を測定した。
<比較例1>
比較例1では、準備溶液に対して、湿式ジェットミルのみによって、3MPaの低圧力下で、15分間の粗分散処理を実施した後、150MPaの高圧力下で、50分間の分散処理を実施した。そして、図2に示すように、分散処理の経過時間に対する準備溶液の粘度を、実施例と同様に粒径(μm)と体積頻度(%)との関係を測定した。
<比較例2>
比較例2では、準備溶液に対して、超音波振動子のみによって65分間の超音波分散処理を実施した。そして、図3に示すように、超音波分散処理を行った触媒インクについて、粒度分布(粒径(μm)と体積頻度(%)との関係)について測定した。
<実施例2>
せん断力分散後に、固形分濃度が9.4%となるように、水とエタノールを添加して希釈化して実施例1と同様の条件で分散処理を実施した。そして、図3に示すように、同様に粒度分布(粒径(μm)と体積頻度(%)との関係)について測定した。
<比較例3>
触媒インクの分散方法は、実施例1と同様とし、せん断力分散後に、固形分濃度が12.5%となるように、水とエタノールを添加して希釈化して超音波分散を実施した。そして、図3に示すように、同様に粒度分布(粒径(μm)と体積頻度(%)との関係)について測定した。
<評価>
図2の折れ線グラフは、実施例1と比較例1によって得られた触媒インクについて測定した粘度の経時変化を示すものである。せん断力分散処理と超音波分散処理をこの順で実施して得られた実施例1の触媒インクは、粘度測定開始時点から30時間経過しても、粘度は一定であった。一方、せん断力分散処理のみを実施して得られた比較例1の触媒インクは、その粘度が、粘度測定開始時点には、実施例1の触媒インクの3倍弱程度高かった。そして、15時間経過後に、実施例1の触媒インクの粘度とほぼ一致した。
これは、比較例1では、せん断力分散処理で得られた触媒インクに多くの気泡が存在し、その粘度を高めていたためであり、その気泡が15時間経過後に、触媒インク中から自然に、徐々に浮上し破裂し、実施例1と同様の粘度となったためと考えられる。
この結果から、実施例1による触媒インクは、当初より一定の粘度を有するため、製造後、すぐ電解質膜に塗布し、安定した品質、優れた耐久性の触媒層を電解質膜上に形成することができることが分かった。このことは、製造時間の短縮にも貢献し、もって、製造コストを下げることをも可能とする。
図3の曲線は、実施例1と比較例2によって得られた触媒インク中の粒度分布を示すものである。比較例2の粒度分布に着目すると、二山の分布に分かれており、超音波分散のみでは、100μmに近い粒子について粉砕・分散処理が行われなかった。一方、実施例1の粒度分布には、そのような粗粒側の山は存在しなかった。
この結果から、比較例1のように超音波分散のみでは、粗粒子が残存してしまうので、この後、従来技術(特許文献1参照)のように濾過フィルター処理が必要となりうるが、本発明に係る実施例1では、不要となることが分かった。
図4の曲線は、実施例1、実施例2及び比較例3によって得られた触媒インク中の粒度分布を示すものであり、それぞれの固形分濃度は前述した通り、順に10.7%、9.4%、12.5%である。せん断力分散工程(S2)及び超音波分散工程(S3)の工程で処理する前の、触媒インク材料の固形分濃度(vol%)を、それぞれ、X=10.7%、Y=12.5%としてX≦Yと設定した比較例3では、比較例2で見られたような粗粒が存在するばかりか、粒度分布がブロードとなった。一方、X=10.7%、Y=9.4%としてX>Yと設定した実施例2は、そのような粗粒は存在せず、粒度分布は、より急峻となった。これにより、固形分濃度をX>Yと設定すると、より均一な触媒インクが製造されるものと考えられる。
尚、本発明に係る触媒層を電解質膜に形成する固体高分子形燃料電池(PEFC)用触媒層の製造方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、同製造方法は、ダイレクトメタノール形燃料電池(DMFC)の触媒層用の触媒インクに対しても適用可能である。
図1は、本発明に係る固体分子形燃料電池用の触媒インク、及び当該インクを用いて形成される触媒層の製造方法の製造工程フローである。 図2は、実施例1と比較例1で得られた触媒インクの粘度の経時変化を示すグラフである。 図3は、実施例1と比較例2で得られた触媒インク中の白金担持炭素粒子の粒度分布を示す曲線である。 図4は、実施例1、実施例2及び比較例2で得られた触媒インク中の白金担持炭素粒子の粒度分布を示す曲線である。
S1:触媒インク材料準備工程、S2:せん断力分散工程、S3:超音波分散工程、S4:触媒インク塗布工程

Claims (3)

  1. 触媒インクを用いて形成される燃料電池用電極の製造方法であって、
    触媒インク材料にせん断力を与えて分散するせん断力分散工程と、
    該せん断力分散工程後の触媒インクにキャビテーション力を与えて触媒インクを分散する超音波分散工程と、
    該超音波分散工程後の触媒インクを電解質膜に塗布、或いは転写基材に塗布した後電解質膜に転写することで該電解質膜に触媒層を形成するインク塗布工程と、を含み、
    前記せん断力分散工程で得られる触媒インクの固形分濃度(vol%)をX、前記超音波分散工程で得られる触媒インクの固形分濃度(vol%)をYとすると、XがYより大きくなるように、X及びYの値を設定することを特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
  2. 前記触媒インク材料は、触媒担持導電性粒子からなる粉体、イオン導電性を有する樹脂、及び溶媒を含むことを特徴とする請求項1の燃料電池用電極の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の製造方法によって得られる燃料電池用電極
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