JP5402681B2 - コーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディ - Google Patents

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Description

本発明は、コーヒー風味を有するノンシュガーハードキャンディに関し、さらに詳しくは、コーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディに関するものである。
ノンシュガーキャンディとは単糖と二糖類以外の糖質、または糖アルコールを使用したキャンディのことを指す。またハードキャンディとは、高温で糖質を煮詰め、硬く仕上げた飴のことを指す。
キャンディにおいて、コーヒーの風味をつける場合に問題となるのは、添加するコーヒー原料の風味が煮詰める工程で飛んでしまい残りにくいことである。また加熱後香料を添加することが出来るが、市販の缶コーヒーなどのコーヒーやコーヒー飲料の風味が十分に満足できるものではない場合が多いから分かるように、淹れたてのコーヒーの香りや味を再現することは難しく、ましてノンシュガーキャンディのような固形の形態の食品に、自然な味や風味を付けることは更に困難である。
またノンシュガーでないキャンディであれば、単糖、二糖類のメイラード反応によりカラメルが生成し、場合によってはそれがコーヒーを想像させる苦味や香ばしい風味となりうるが、ノンシュガーキャンディにおいては、その様な糖類は主原料としてほぼ使用できないため、所望のコーヒー風味を実現できない問題点がある。
キャンディなどにコーヒー風味を付与するための原料として使用される、コーヒー抽出物などのコーヒー製品としては、コーヒー生豆を焙煎することで好ましい香気を醸し出し、その後粉砕し、それを抽出して得た液(抽出液)を噴霧乾燥、凍結乾燥により水分を除去して粉末状に加工したインスタントコーヒー、同様にして得られる抽出液を真空蒸発濃縮、凍結濃縮、膜濃縮等により濃縮したコーヒーエキス、焙煎したコーヒー豆から抽出した香気成分を含んだ香料などがある。
このようなコーヒー製品に関しては、風味の向上を目的とするインスタントコーヒーの製造方法(特許文献1、2、3)、コーヒーエキスの処理方法(特許文献4、5、6)、あるいは自然な香りを添加するために添加できるコーヒー豆からの香気成分の抽出方法(特許文献7、8、9、10)が様々発明されている。
しかしインスタントコーヒーは乾燥工程が入るため単価が高く、広く食されるキャンディへの添加量をあまり増やせないという問題点がある。また、コーヒー飲料として風味が良くても、キャンディの場合コーヒー飲料製造時より高温で煮詰める工程が入るので、繊細な香りなどはキャンディに残りにくいという問題点がある。コーヒーエキスなども同様で、かつインスタントコーヒーに比べて水分値が高いので、煮詰めるため長時間熱をかけなければならず、風味に大きな影響を与えやすいという問題点がある。
また、焙煎したコーヒー豆からの香気成分の抽出や回収は、まず抽出装置や香気回収装置が高価であり、かつコーヒーの香り成分自体が、熱で揮発拡散したり分解されたりするので、満足のいく香りを回収することが難しいという問題点がある。
また、コーヒー豆は、焙煎の工程を行って初めて、コーヒー特有の香りや味を保有し、抽出することが出来るものであって、生豆自体は青臭く、焙煎後のコーヒーの香りのような好ましい風味とはかけ離れたものである。また、生豆の抽出エキスも同様に所望の焙煎後のコーヒー風味とはかけ離れたものである。
コーヒーの生豆抽出物を使用した提案としては、コーヒーの生豆あるいは浅炒りの豆から水あるいは有機溶媒で抽出し、単糖や二糖類と反応させコーヒーカラメルを生成する方法(特許文献11)があるが、ノンシュガーキャンディにおいて単糖、二糖類はほとんど使用できないため、特許文献11に記載のような効果は得られない。
また、コーヒー豆の粉砕物により風味を添加する方法として、コーヒー生豆を平均粒度が100μm以下になるように微粉砕し乾燥させ、焙煎したものを使用する方法(特許文献12)がある。しかし、ハードキャンディの場合は粒子の大きさが10μm以下でないとざらつきを感じてしまう為、コーヒーの生豆であると焙煎したものであるとを問わず、その粉砕物の大きさが10μmを超えるものを含む加工品をハードキャンディに使用することは好ましくない。また、実際のところ油脂分の多い外殻を含む生豆を10μm以下の大きさに微粉砕することは困難である。
このように、ノンシュガーハードキャンディに生豆自体を用いることは困難であるのが現状である。
また、アミノ酸により風味を添加するという技術においては、例えばコーヒー製品に中性アミノ酸を添加する(特許文献13)ということが提案されているが、キャンディの場合煮詰める工程で、中性アミノ酸が加熱により変化し、コーヒーと合わない風味を強く生成する場合がある。例えば、グルタミンはナッツ臭、プロリンはコーン臭などを醸し出し、所望のコーヒー風味の妨げになる場合がある。
特開2001−120185号公報 特開2003−180251号公報 特開平5−219890号公報 特開2007−117080号公報 特開2007−116981号公報 特開2009−296954号公報 特開昭61−88853号公報 特開昭47−19067号公報 特公昭50−29027号公報 特開2003−33137号公報 特開2009−219488号公報 特開2007−68498号公報 特開2009−254307号公報
上記問題点に鑑み、本発明は、低コストでかつ本格的なコーヒーの風味を楽しめるコーヒー風味が増強されたノンシュガーキャンディを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題解決のため鋭意研究を行った結果、コーヒーの生豆抽出エキスと、焙煎後のコーヒー抽出物とを含むキャンディ生地を、140℃〜200℃で加熱濃縮すると、本格的なコーヒーの風味を味わえるコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディが得られるという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第1は、10%(v/v)以上の濃度のエタノール水溶液で抽出されるコーヒーの生豆抽出エキスと、焙煎後のコーヒー抽出物とを含むキャンディ生地を、140℃〜200℃で加熱濃縮して得られることを特徴とするコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディに関する。
本発明では、前記キャンディ生地がアルギニン、シトルリン、オルニチン及びシスチンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸をさらに含むものであってもよい。また、その際の好ましい添加量としては、アルギニン、シトルリン及びオルニチンから選ばれる1種もしくは2種以上の含量がノンシュガーキャンディの固形分に対して0.001〜0.5重量%、及び/又はシスチンの含量がノンシュガーキャンディの固形分に対して0.0005〜0.05重量%である。
また、本発明の第2は、エタノール濃度が10%(v/v)以上のエタノール水溶液でコーヒーの生豆抽出エキスを得る工程、前記生豆抽出エキスと焙煎後のコーヒー抽出物とを含むキャンディ生地を140℃〜200℃で加熱濃縮する工程を含むことを特徴とする前記のコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディを製造する方法に関する。
本発明のコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディは、コーヒーの生豆抽出エキスを加えることにより、コーヒーの風味が増強される。これは、コーヒーの生豆抽出エキスが、焙煎後のコーヒー抽出物、つまりインスタントコーヒーやコーヒーエキス、あるいはコーヒー抽出物を含む香料などと一緒に加熱濃縮することにより初めて、コーヒー由来の苦味や香りが新たに醸し出されたり、顕著に増強されたりする性質を有していることによるものである。
生豆抽出エキスそのものを単独で加熱しても焙煎後のコーヒー風味は得られないことから、この性質は特徴的なものであるといえる。この特別な性質と顕著な効果により、生豆抽出エキスを原料として使用すると、原料として使用するコーヒー製品、例えばインスタントコーヒーなどの使用量を低減させることが可能となり、原料調達やコスト低減などの製造上の効率化にも寄与できることが期待できる。このように、本発明は、コーヒー風味を有するノンシュガーハードキャンディの風味改良に加えて、その製造の効率化をも図り得るという顕著な効果を奏するものである。
また、アルギニン、シトルリン、オルニチン及びシスチンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸をさらにキャンディ生地に加えた場合は、コーヒーの風味をより向上させることが出来る。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明のコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディは、コーヒーの生豆抽出エキスを、焙煎後のコーヒー抽出物を含むキャンディ生地に対して添加し、140℃〜200℃で加熱濃縮して得られることを特徴としている。
本発明において、ノンシュガーハードキャンディとは、健康増進法に基づいた栄養表示基準に定義される、単糖と二糖類が食品100g中0.5gに満たない、ハードキャンディのことであり、コーヒー風味を有するノンシュガーハードキャンディとは、前記定義を満たすノンシュガーキャンディにおいて、コーヒー風味が付与されたもののことである。また、コーヒー風味が増強された、とは、従来のコーヒー風味を有するキャンディよりもコーヒー風味が増強されたことを意味する。
本発明のコーヒーの生豆抽出エキスで使用するコーヒー豆の種類に関しては特に限定されない。アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種など、種々のものを使用することが出来る。また原産国もブラジル、コロンビア、メキシコ、エチオピア、ガテマラ、インドネシア、コスタリカ、ケニア、タンザニアなど幅広い産地のものを使用することができる。
本発明において用いるコーヒーの生豆抽出エキスは、コーヒーの果肉から取り出した種子であるコーヒー豆の生豆を、エタノール濃度が10%(v/v)以上のエタノール水溶液で抽出して得られたものである。エタノール濃度が10%(v/v)未満の濃度の場合、コーヒーの風味を損なうようなナッツ臭が生成されやすく、また生豆特有の生臭い香りが残存しやすい。尚、風味増強効果の点から、エタノールの濃度としては30%(v/v)以上がより好ましい。また、本発明では、エタノール濃度が上記範囲であれば良いが、抽出効率低下による風味の低下が発生する場合があるため、エタノールの濃度が60%(v/v)以下であるのが良い場合がある。尚、上記コーヒーの生豆抽出エキスは例えば後述するような方法にて得ることができる。
本発明では、前述のコーヒー豆の生豆としては、ホール状のまま若しくは粉砕物、又はそれらの混合物を用いることができる。コーヒー豆の生豆を粉砕する方法としては、特に制限はなく、ワンダーブレンダー、ミキサーなどの公知の粉砕装置を用いて行うことができる。
本発明において用いる焙煎後のコーヒー抽出物とは、焙煎したコーヒー豆或いはコーヒー生豆の粉砕物(微粉砕、粗粉砕、いずれでもよい。)を焙煎したものを用いて得られるコーヒーの抽出物を意味する。このような抽出物としては、焙煎したコーヒー豆を粉砕し、公知の方法にて抽出した抽出液を噴霧乾燥、凍結乾燥により水分を除去して粉末状にしたもの(例えば、インスタントコーヒーなど)、前記抽出液を真空蒸発濃縮、凍結濃縮、膜濃縮等により濃縮したもの(例えば、濃縮されたコーヒーエキスなど)、焙煎したコーヒー豆から公知の方法にて香気成分を抽出したもの(例えば、香気成分を含んだ香料製剤)、などが挙げられる。また、コーヒー生豆の粉砕物を焙煎した後、前記と同様にして、粉末状にのもの、濃縮したものを得ても良いし、コーヒー豆の粉砕物を焙煎したものから公知の方法にて香気成分を抽出したものでもよい。更に、通常のドリップ抽出されたコーヒー溶液そのものであっても良い。また、豆の種類や原産国も特に指定されず、コーヒーの生豆抽出エキスの場合と同様、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種など、種々のものを使用することができ、ブラジル、コロンビア、メキシコ、エチオピア、ガテマラ、インドネシア、コスタリカ、ケニア、タンザニアなど幅広い産地のものを使用することができる。
本発明において使用するアミノ酸は、L型アミノ酸を意味し、アミノ酸はアミノ酸塩あるいはアミノ酸塩酸塩(以下、単にアミノ酸塩という)であってもよく、ナトリウム、カリウム、塩酸等の食品としての使用が問題ないアミノ酸塩であれば使用可能である。なお、本発明にいうアミノ酸は遊離のアミノ酸またはアミノ酸塩の状態のものを指すが、本発明に規定する含有量は、遊離のアミノ酸に換算した値をいう。
また、前記アミノ酸は、アルギニン、シトルリン、オルニチン及びシスチンから選ばれる少なくとも1種である。これらのアミノ酸は、塩基性アミノ酸として認識され得るものであり、これらのアミノ酸、コーヒーの生豆抽出エキスおよび焙煎後のコーヒー抽出物を含むキャンディ生地を、140℃〜200℃で加熱ないし加熱濃縮することで、中性アミノ酸が加熱により変化しコーヒーと合わない風味を強く生成するのとは異なり、コーヒーの生豆抽出エキスによる作用と相俟ってコーヒーの風味を向上し得る。
前記アミノ酸の添加量としては特に限定はないが、アルギニン、シトルリン及びオルニチンから選ばれる1種もしくは2種以上を使用する場合は、苦味やコクを向上させる観点からは、その含量がノンシュガーハードキャンディの固形分に対して、0.001〜0.5重量%、好ましくは0.005〜0.3重量%、より好ましくは0.1〜0.2重量%とすると良く、シスチンを使用する場合は、香ばしさを向上させる観点から、その含量がノンシュガーキャンディの固形分に対して0.0005〜0.05重量%、好ましくは0.001〜0.02重量%とすると良い。
本発明において使用するキャンディ生地の主原料は、単糖類と二糖類を除く糖類あるいは糖アルコール(以下、ノンシュガー糖質という場合がある。)であり、例えば還元麦芽糖水飴、還元水飴、還元パラチノース、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、マンニトール、ソルビトールのようなノンシュガー表示の出来る糖類が良い。これらの糖類は、ショ糖に比べると甘味度が低い場合が多いので、甘味料であるステビアや、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチンなどを使用しても良い。その他副原料として、乳製品、油脂、香料、着色料など栄養表示基準の定義内であれば使用することが出来る。
本発明のコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディを製造する方法は、エタノール濃度が10%(v/v)以上のエタノール水溶液でコーヒーの生豆抽出エキスを得る工程、前記コーヒーの生豆抽出エキスと焙煎後のコーヒー抽出物とを含むキャンディ生地を140℃〜200℃で加熱濃縮する工程を含むことを特徴とする。
前記のエタノール水溶液でコーヒーの生豆抽出エキスを得る工程において使用するコーヒー豆の生豆としては、前述の通り、コーヒー生豆をホール状のまま若しくはその粉砕物、又はそれらの混合物を用いることができる(以下、これらを含めて単にコーヒー生豆という場合がある。)。また、粉砕物を用いる場合の粉砕方法としては、既に述べた通り、ワンダーブレンダー、ミキサーなどの種々の公知の粉砕装置を用いて行うことができる。また粉砕物の大きさは、特に限定はなく、抽出処理を効果的に行うことができるように、適宜決定すれば良い。また、コーヒー生豆とエタノール水溶液の接触のさせ方としては、特に限定はなく、コーヒー生豆に対してエタノール水溶液を噴霧したり、コーヒー生豆をエタノール溶液に浸漬したりすること、その他の公知の方法により行うことができる。
コーヒーの生豆抽出エキスを得るための抽出条件は、70℃以下で行うことが風味増強効果の面から好ましい。70℃より高温である場合は、風味増強効果が弱まる傾向にある。抽出時間に特に制限はないが、10時間以上コーヒー生豆や生豆粉砕物をエタノール濃度が10%(v/v)以上のエタノール水溶液と接触させると良い。また、接触方法として浸漬を行う場合は、静置または攪拌し抽出することができる。その後、メッシュ、フィルタープレス、遠心濾過などのろ過工程で生豆残渣を取り除き、コーヒーの生豆抽出エキスを得ることができる。
該生豆抽出エキスは、そのままでも、濃縮しても使用できる。また、濃縮する際の方法としては、減圧濃縮、凍結乾燥等、種々の公知の方法にて適宜行うことができるが、加熱濃縮する場合は、加温しすぎないように注意が必要である。具体的には、概ね70℃未満、1〜3時間程度で行うと良い。コーヒー生豆の使用量に対するエタノール水溶液の量に特に限定はなく、作業効率や風味増強効果から適切な量比で実施すればよい。
本発明では、前述のアミノ酸を用いても良い。該アミノ酸を用いる場合、添加したアミノ酸が、最終的に溶解することが風味増強のために望ましい。アルギニン、シトルリン及びオルニチンは容易に水に溶解するが、シスチンは水に対する溶解度が0.011g/100mlと非常に低いため、事前に水に0.011g/100ml以下になるように溶解させておくことが好ましい。またシスチンは水溶液をややアルカリ側にすると溶けやすいので、pH7.5〜10の範囲に調整しておいてもよい。ただし、キャンディを加熱濃縮する過程で溶解しきれていないアミノ酸が溶解する場合もあるため、このようなシスチンの事前の溶解処理は必要に応じて行うと良い。
前記工程において得られたコーヒーの生豆抽出エキス、焙煎後のコーヒー抽出物、ノンシュガー糖質、必要に応じて添加するアミノ酸等の原材料を混合溶解し、キャンディ生地を調製する。これらの各原材料の添加量としては特に限定はないが、焙煎後のコーヒー抽出物の添加量としては、ノンシュガー糖質(固形分)1000重量部に対して、焙煎後のコーヒー抽出物(固形分)が概ね5〜60重量部であると良い。また、コーヒーの生豆抽出エキスの添加量についても特に限定はなく、目的とする風味を十分に得られる適切な量を添加すれば良いが、ノンシュガー糖質(固形分)1000重量部に対して、コーヒーの生豆抽出エキス(固形分)が概ね0.1〜2.0重量部であると良い。コーヒーの生豆抽出エキスや必要により用いるアミノ酸の添加方法としては、特に限定はなく、生地を加熱濃縮する前に他の原材料と共に全て同時に添加・混合することが、作業効率の面からは望ましいが、前記原材料の一部、例えばコーヒーの生豆抽出エキスや必要により用いるアミノ酸を焙煎後のコーヒー抽出物と共に140℃〜200℃であらかじめ反応させた調製物を得、この調製物を残りの原材料に添加・混合し、140℃〜200℃で加熱濃縮しても良い。この場合、全ての原材料を同時に添加・混合して加熱濃縮する場合よりコーヒー風味が増強されることがある。
キャンディ生地を加熱濃縮する条件としては、陰圧、常圧のどちらでも良い。加熱温度は、コーヒー風味を増強する面から、140℃〜200℃が好ましく、最終製品の品質とコーヒーの風味を考慮して設定するのが良いが、コーヒー風味をより増強する観点からは、155℃〜195℃がより好ましく、155℃〜190℃が特に好ましい。200℃より温度が高くなると、ノンシュガーキャンディの主原料に使用される糖アルコールやその他原料が焦げるなどの原因で異臭発生が起こりやすく、140℃未満であれば所望のコーヒー風味が得られない上に、生豆特有の生臭い風味が残存する。
以上のようにして得られたキャンディ生地の加熱濃縮物を、所望の成形型に流し込み、固化した後、脱型する(流し込み成形)、あるいは、前記加熱濃縮物を所望の成形型に挟み込み、プレスして成形する(スタンピング成形)などの公知の方法にて成形し、コーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディを得ることができる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)コーヒーの生豆抽出エキスの作製例
ブラジルのサントス原産のコーヒー豆を、大阪ケミカル社のワンダーブレンダーで微粉砕し、その粉砕物200gに対して1000mlの50%(v/v)エタノール溶液を加えて、室温で16時間攪拌抽出を行った。その後さらしでおおまかな生豆の粕を取り除き、遠心分離を3500rpm5分の条件で行い、上澄みを回収し、コーヒーの生豆抽出エキスを得た。
(2)コーヒー風味のノンシュガーハードキャンディの作製例
(実施例1)
還元麦芽糖水飴1000g、インスタントコーヒー(ネスレ社CAFELIA SD−R ソリュブルコーヒー)12g、(1)で作製したコーヒーの生豆抽出エキス10ml(固形分0.5g)を混合溶解(100℃、以下の実施例、比較例でも同じ)し、真空釜にて大気圧に対して−300mmHg(−40.0kPa)、160℃の条件下で加熱濃縮し、金属製のキャンディ型により成形し、水分値1.5重量%のノンシュガーハードキャンディを得た。尚、水分値は、減圧乾燥法による重量差からを求めた(以下の実施例、対照例についても同様である。)。
(実施例2)
還元麦芽糖水飴1000g、インスタントコーヒー(ネスレ社CAFELIA SD−R ソリュブルコーヒー)12g、(1)で作製したコーヒーの生豆抽出エキス10ml(固形分0.5g)を銅製の鍋に入れて、直火にて混合溶解させ、常圧、180℃の条件下で加熱濃縮し、金属製のキャンディ型により成形し、水分値2.0重量%のノンシュガーハードキャンディを得た。
(対照例1)
還元麦芽糖水飴1000g、インスタントコーヒー(ネスレ社CAFELIA SD−R ソリュブルコーヒー)12gを混合溶解し、真空釜にて大気圧に対して−300mmHg(−40.0kPa)、160℃の条件下で加熱濃縮し、金属製のキャンディ型により成形し、水分値1.5重量%のノンシュガーハードキャンディを得た。
(対照例2)
還元麦芽糖水飴1000g、インスタントコーヒー(ネスレ社CAFELIA SD−R ソリュブルコーヒー)12gを銅製の鍋に入れて、直火にて混合溶解し、常圧、180℃の条件下で加熱濃縮し、金属製のキャンディ型により成形し、水分値2.0重量%のノンシュガーハードキャンディを得た。
実施例1、2と対照例1、2をキャンディ開発に携わる5人のパネラーによって、香り、苦味、焙煎感について、官能評価を行った。その結果を表1に示す。香り、苦味、焙煎感のそれぞれに関して、コーヒーキャンディとして優良なものを5、良いものを4、平凡なものを3、やや劣るものを2、劣るものを1とする。結果を表1に示す。尚、評価項目のうち2つ以上について、評価結果が4以上であって、評価結果が2以下のものを含まないものが、コーヒー風味が増強されたものとする(以下、同じ)。
Figure 0005402681
(実施例3〜16)
還元麦芽糖水飴1000g、インスタントコーヒー(ネスレ社CAFELIA SD−R ソリュブルコーヒー)12g、(1)で作製したコーヒーの生豆抽出エキス10ml(固形分0.5g)を銅製の鍋に入れて混合し、別にアルギニン、シトルリン、オルニチン、シスチンを1種類または2種以上組み合わせて溶解させアミノ酸水溶液を作製し、それを銅製の鍋に入れて、直火にて混合溶解させる。それを直火にて常圧、180℃の条件下で加熱濃縮し、金属製のキャンディ型により成形し、水分値2.0重量%のノンシュガーハードキャンディを得た。アミノ酸の組合せ、およびその添加量(固形分)は表2に示す。尚、得られたノンシュガーハードキャンディのアミノ酸を除く重量(固形分)は762gであった。
Figure 0005402681
実施例3〜16ついて、キャンディ開発に携わる5人のパネラーによって、実施例1等の場合と同様にして官能評価を行い、アミノ酸添加の効果を確認した。コーヒーキャンディとして優良なものを5、良いものを4、平凡なものを3、やや劣るものを2、劣るものを1とする。その結果を表3に示す。
Figure 0005402681
(対照例3〜10)
還元麦芽糖水飴1000g、インスタントコーヒー(ネスレ社CAFELIA SD−R ソリュブルコーヒー)12g、(1)で作製したコーヒーの生豆抽出エキス10ml(固形分0.5g)を銅製の鍋に入れて混合し、表4に示す各アミノ酸を溶解させアミノ酸水溶液を作製し、それを銅製の鍋に入れて混合させる。それを直火にて165℃の条件下で加熱濃縮し、金属製のキャンディ型により成形し、水分値2.0重量%のノンシュガーハードキャンディを得た。各アミノ酸とその添加量(固形分)は表4に示す。尚、得られたノンシュガーハードキャンディのアミノ酸を除く重量(固形分)は762gであった。
Figure 0005402681
対照例3〜10をキャンディ開発に携わる5人のパネラーによって、実施例1等の場合と同様にして官能評価を行い、アミノ酸添加の効果を確認した。コーヒーキャンディとして優良なものを5、良いものを4、平凡なものを3、やや劣るものを2、劣るものを1とする。結果を表5に示す。
Figure 0005402681

Claims (4)

  1. 10%(v/v)以上の濃度のエタノール水溶液で抽出されるコーヒーの生豆抽出エキスと、焙煎後のコーヒー抽出物とを含むキャンディ生地を、140℃〜200℃で加熱濃縮して得られることを特徴とするコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディ。
  2. 前記キャンディ生地がアルギニン、シトルリン、オルニチン及びシスチンから選ばれる少なくとも1種のアミノ酸をさらに含む請求項1記載のコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディ。
  3. アルギニン、シトルリン及びオルニチンから選ばれる1種もしくは2種以上の含量がノンシュガーキャンディの固形分に対して0.001〜0.5重量%、及び/又はシスチンの含量がノンシュガーキャンディの固形分に対して0.0005〜0.05重量%である請求項1又は2に記載のコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディ。
  4. エタノール濃度が10%(v/v)以上のエタノール水溶液でコーヒーの生豆抽出エキスを得る工程、前記生豆抽出エキスと焙煎後のコーヒー抽出物とを含むキャンディ生地を140℃〜200℃で加熱濃縮する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコーヒー風味が増強されたノンシュガーハードキャンディを製造する方法。

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