JP5401465B2 - 有機化合物 - Google Patents

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Description

本発明は、DPP−IVにより媒介される状態を処置するのに有効である、新たなジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−IV)阻害剤を提供する。DPP−IVは、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)の不活性化に関与することが発見された。GLP−1は、膵臓インスリン分泌の主要な刺激物質であって、糖処理に対して直接的な有益効果をもたらすことから、DPP−IV阻害は、インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)のような状態を処置するための魅力的な試みであると考えられる。
本発明は、遊離型または薬学的に許容され得る酸付加塩の形態での、式(IA)、(IB)、(XA)、(XB)、(YA)または(YB):
Figure 0005401465
[式中、
R'は、
Figure 0005401465
を表し;そして
R''は、水素、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイルオキシ、またはRN−CO−O−{ここで、RおよびRは独立して、置換されていないか、またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲンおよびトリフルオロメチルから選択される置換基で置換されているC−Cアルキルまたはフェニルであり、またここで、Rはさらに水素であるか;またはRおよびR一緒になって−Cアルキレンを表す。}を表す。]
の化合物(本発明の化合物)に関する。
本発明はまた、R''が水素を表す、先に記載した式(IA)、(IB)、(XA)、(XB)、(YA)または(YB)の化合物にも関する。
好ましい態様において、先に記載した式(IA)、(IB)、(XA)、(XB)、(YA)または(YB)の化合物は、実質的には純粋な形態である。
本発明の化合物は、遊離型で、または酸付加塩の形態で存在することができる。他の塩もまた、例えば、本発明の化合物を単離するまたは精製するのに有用であるが、薬学的に許容され得る(すなわち、無毒の、生理学的に許容され得る)塩が好ましい。好ましい酸付加塩は塩酸塩であるが、メタンスルホン酸、硫酸、リン酸、クエン酸、乳酸および酢酸の塩もまた利用され得る。
本発明の化合物は、光学活性異性体またはジアステレオ異性体の形態で存在し得て、クロマトグラフィーのような従来技術により、分離して回収することができる。
本発明を記載するために使用する様々な用語の定義を以下に収載する。これらの定義は、それらが本明細書中で使用される場合、具体的な例で特に限定されない限り、個々に、またはより大きな基の一部として、その用語に適用する。
“アルキル”という用語は、1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜7個の炭素原子、最も好ましくは1〜5個の炭素原子を有する、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基を示す。例となるアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル等が含まれる。
“アルカノイル”という用語は、アルキル−C(O)−を示す。
“置換アダマンチル”という用語は、アルキル、−ORまたは−NR[ここで、R、RおよびRは独立して、水素、アルキル、(C−Cアルカノイル)、カルバミル、または−CO−NR(ここで、RおよびRは独立して、アルキル、非置換または置換アリールであり、またここで、RおよびRのうち一方はさらに水素であるか、またはRおよびR一緒になって−Cアルキレンを表す。)である。]から選択される、1つまたはそれ以上の、例えば、2つの置換基で置換されているアダマンチル、すなわち、1−または2−アダマンチルを示す。
“アリール”という用語は、フェニルを表すのが好ましい。置換フェニルは、例えば、アルキル、アルコキシ、ハロゲンおよびトリフルオロメチルから選択される、1つまたはそれ以上の、例えば、2つの置換基で置換されているフェニルであるのが好ましい。
“アルコキシ”という用語は、アルキル−O−を示す。
“ハロゲン”または“ハロ”という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を示す。
“アルキレン”という用語は、2〜7個の炭素原子の、好ましくは3〜6個の炭素原子、最も好ましくは5個の炭素原子の直鎖橋を示す。
“実質的には純粋な”という用語は、本発明の文脈において、血液中に見い出されるような生体物質が実質的には含まれない、とりわけ、そのような生体物質が10%未満、好ましくは1%未満、また最も好ましくは含まれないことを意味すると理解される。
本発明の化合物は、例えば、反応性の(2−シアノピロリジノ)カルボニルメチレン化合物を適当な置換アミンと結合させることを含む工程により製造され得る;より詳しくは、式Iの化合物の製造に関して、それは、式II:
Figure 0005401465
[式中、Yは、反応基(好ましくは、臭素、塩素またはヨウ素のようなハロゲン)である。]
の化合物を、式III:
NH(CH)−R III
[式中、Rは、先に定義した通りである。]
の化合物と反応させて、得られた式(IA)、(IB)、(XA)、(XB)、(YA)または(YB)の化合物を、遊離型での、または酸付加塩の形態で回収することを含む。
式YAもしくはYBの化合物の前駆体を製造するための別の工程は、特許出願 WO 01/068603に記載されており、または式XAもしくはXBの化合物に関してはWO 05/095339に記載されている。以下に記載する工程を使用して、特許出願 WO 01/068603またはWO 05/095339に記載されており、また式中、R'が−OHである化合物のO−グルクロニド型を得ることができる。
該R'部分は、当業者に周知のいずれかの方法により、または化学式IAもしくはIBの構造に関して本明細書中で後に記載する工程により、化学構造に結合させることができる。ラット肝ホモジネートを触媒として使用する調製用生物変換によって、ビルダグリプチンのO−グルクロニドは、本明細書中で後記の通りに製造されている。
Figure 0005401465
ビルダグリプチン(NVP−LAF237−NXまたはガルバス(Galvus)(登録商標))は、現在、アメリカ合衆国の食品医薬品局(FDA)により規制再審査を受けているジペプチジルペプチダーゼ−4(DPP−4)阻害剤の群の新たな経口血糖降下(抗糖尿病)薬である。出願人は、驚いたことに、ビルダグリプチンのO−グルクロニド(図AA)がビルダグリプチンと同程度に活性なままであることを発見した。出願人は、驚いたことに、ビルダグリプチンのO−グルクロニドが、DPP−4酵素を阻害する点でビルダグリプチンと同等に強力であることに加えて、DPP−8またはDPP−9酵素を阻害する点ではあまり強力でないことを発見した。あるDPP−4阻害剤のアダマンチル基を置換することが薬理学的特性の改善を与えるであろうことは、特に予期されぬことである。ビルダグリプチンのO−グルクロニドは、さらなる薬物動態学的または薬理学的利点、例えば、より少ない副作用、より良いバイオアベイラビリティを提供することができる。
Figure 0005401465
最も好ましい態様において、ビルダグリプチンのO−グルクロニド(図AA)は、実質的には純粋な形態である。
本発明の方法は、従来方法で行われ得る。例えば、式IIの化合物を、1〜3当量、好ましくは3当量の、式IIIの一級アミンと反応させる。その反応は、塩化メチレンまたは環状エーテル(例えば、テトラヒドロフラン)のような不活性な有機溶媒の存在下に行われるのが好都合である。その温度は、約0℃〜約35℃、好ましくは約0℃〜約25℃の間であるのが好ましい。
本発明の化合物は、従来方法で、例えば、クロマトグラフィーにより、その反応混合物から単離されて精製され得る。
その出発物質はまた、従来方法でも製造され得る。式IIの化合物は、次の二段階反応スキームにより製造され得る。
Figure 0005401465
工程1は、式IVのピロリジンの、僅かにモル過剰のハロアセチルハライド(例えば、ブロモアセチルブロミドまたはクロロアセチルクロリド)および塩基(例えば、炭酸カリウムまたはトリエチルアミン)との反応を伴う。その反応は、テトラヒドロフランまたは塩素化脂肪族炭化水素(例えば、塩化メチレン)のような不活性な有機溶媒の存在下、約0℃〜約25℃の温度で、好ましくは約0℃〜約15℃の温度で行われるのが好都合である。
工程2は、工程1で製造した式Vの化合物の、1〜2当量の無水トリフルオロ酢酸(TFAA)での脱水に関する。その脱水は、テトラヒドロフランまたは塩素化脂肪族炭化水素(例えば、塩化メチレン)のような不活性な有機溶媒の存在下、約0℃〜約25℃の温度で、好ましくは約0℃〜約15℃の温度で行うのが好ましい。
その製造を本明細書中に詳しく記載しない限り、出発物質として使用する化合物は、既知であるか、または既知の方法で、もしくは既知の方法に類似した方法で、もしくは実施例に記載する方法に類似した方法で、既知の化合物から製造され得る。
例えば、式IIIの一級アミン化合物は既知であって、文献、例えば、Khim. -Farm. Zh. (1986), 20(7), 810-15に記述されている手順により製造され得る。
最終的に、本発明の化合物は、遊離型で得られるか、または塩形成基が存在するなら、その塩として得られる。
塩基性基を有する本発明の化合物は、酸付加塩、とりわけ、薬学的に許容され得る酸付加塩へと転換することができる。これらは、例えば、鉱酸(例えば、硫酸、リン酸もしくはハロゲン化水素酸)のような無機酸と、または有機カルボン酸と形成される。塩酸と形成される塩が好ましい。
遊離化合物とそれらの塩の形態での化合物との密接な関係から考えて、ある化合物がこの文脈において示されるときはいつでも、もしそのようなものがその状況下に可能であるかまたは適当であるならば、対応する塩もまた意図される。
それらの塩を含め、該化合物はまた、それらの水和物の形態で得ることもでき、またはそれらの結晶化に使用する他の溶媒が含まれる。
本発明にはまた、例えば、DPP−IVを阻害するのに有用な医薬組成物であって、薬学的に許容され得る担体または希釈剤、および治療上有効な量の式Iの化合物またはその薬学的に許容され得る酸付加塩を含む医薬組成物も含まれる。
またさらに別の態様において、本発明は、DPP−IVを阻害する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る酸付加塩の治療上有効な量を投与することを含む方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、DPP−IV阻害により媒介される状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とする哺乳動物に、先の本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る酸付加塩の治療上有効な量を投与することを含む方法を提供する。
本発明はまた、例えば、DPP−IVレベルの上昇と関連のある疾患または状態の予防または処置のための薬物の製造に関する、本発明による化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用にも関する。
上述の通り、式(IA)、(IB)、(XA)、(XB)、(YA)または(YB)の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩は全て、DPP−IVを阻害するのに有用である。本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩の、DPP−IVを阻害する能力は、ヒト結腸癌細胞抽出物由来のDPP−IV活性を阻害する試験化合物の能力を測定する、Caco−2 DPP−IVアッセイを使用して実証され得る。そのヒト結腸癌細胞株 Caco−2は、American Type Culture Collection(ATCC HTB 37)から得られた。DPP−IV発現を誘発するための細胞の分化は、Reisherらにより、Proc. Natl. Acad. Sci.、第90巻、5757−5761頁(1993)において“Increased expression of intestinal cell line Caco-2”と題された論文に記載されているように達成された。細胞抽出物を、10mM トリス(Tris) HCl、0.15M NaCl、0.04 t.i.u. アプロチニン、0.5% ノニデット−P40、pH 8.0中で可溶化した細胞から調製し、これを35,000gにて4℃で30分間遠心分離して、細胞片を除去する。該アッセイは、アッセイ緩衝液(25mM トリス HCl pH 7.4、140mM NaCl、10mM KCl、1% ウシ血清アルブミン)中で最終体積125μlに希釈した、可溶化Caco−2タンパク質20μgをマイクロタイタープレートのウェルに加えることにより行われる。室温で60分間インキュベーションした後、1mM 基質(H−アラニン−プロリン−pNA;pNAは、p−ニトロアニリンである。)25μlを加えることにより、その反応を開始させる。その反応を室温で10分間行った後、25% 氷酢酸19μl体積を加えて、その反応を停止させる。試験化合物を、典型的には、添加物として30μl加えて、そのアッセイ緩衝液の体積を95μlまで減少させる。アッセイ緩衝液中の遊離pNAの0−500μM 溶液を使用して、遊離p−ニトロアニリンの標準曲線を作成する。作成した曲線は線形であって、基質消費(1分間あたりに切断された基質のナノモル(nmole)単位での触媒活性)の補間に使用される。モレキュラーデバイス社(Molecular Devices)のUV Max マイクロタイタープレートリーダーにおいて吸光度を405nmで測定することにより、終点を決定する。
IC50として表される、試験化合物のDPP−IV阻害剤としての効力は、4−パラメーターロジスティック関数を使用して、8−ポイントの用量−反応曲線から計算される。
本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩の、DPP−IVを阻害する能力はまた、Kubotaらにより、Clin. Exp. Immunol.、第89巻、192−197頁(1992)において“Involvement of dipeptidylpeptidase IV in an in vivo immune response”と題された論文に記載されているアッセイの変更版を使用して、ヒトおよびラット血漿中のDPP−IV活性に対する試験化合物の効果を測定することによっても実証され得る。簡単に言えば、血漿5μlを96ウェルの平底マイクロタイタープレート(ファルコン社(Falcon))に加えた後、インキュベーション緩衝液(25mM HEPES、140mM NaCl、1% RIA−グレードのBSA、pH 7.8)中の80mM MgCl5μlを加える。室温で60分間インキュベーションした後、0.1mM 基質(H−グリシン−プロリン−AMC;AMCは、7−アミノ−4−メチルクマリンである。)を含むインキュベーション緩衝液10μlの添加により、その反応を開始させる。そのプレートをアルミ箔で覆って(または暗所に保管して)、室温で20分間インキュベートする。20分間反応させた後、サイトフルオル(CytoFluor) 2350 蛍光光度計(励起380nm;発光460nm;感度設定4)を使用して、蛍光を測定する。試験化合物を、典型的には、添加物として2μl加えて、そのアッセイ緩衝液の体積を13μlまで減少させる。アッセイ緩衝液中のAMCの0−50μM 溶液を使用して、遊離AMCの蛍光−濃度曲線を作成する。作成した曲線は線形であって、基質消費(1分間あたりに切断された基質のナノモル(nmole)単位での触媒活性)の補間に使用される。先のアッセイと同様に、IC50として表される、試験化合物のDPP−IV阻害剤としての効力は、4−パラメーターロジスティック関数を使用して、8点の用量−反応曲線から計算される。
DPP−IVを阻害するそれらの能力から考えて、本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩は、DPP−IV阻害により媒介される状態を処置するのに有用である。先の事項および該文献における発見に基づき、本明細書中に開示する化合物は、インスリン非依存性糖尿病、関節炎、肥満、同種移植およびカルシトニン−骨粗鬆症のような状態の処置において有用であることが予期される。加えて、グルカゴン様ペプチド(例えば、GLP−1およびGLP−2)の役割およびそれらのDPP−IV阻害との関連に基づき、本明細書中に開示する化合物は、例えば、鎮静もしくは抗不安効果をもたらすのに、または手術後の異化変化およびストレスに対するホルモン応答を軽減するのに、または心筋梗塞後の死亡率および罹患率を減少させるのに、またはGLP−1および/もしくはGLP−2レベルにより媒介され得る先の効果に関係した状態の処置において有用であることが予期される。
より具体的には、例えば、本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩は、経口グルコース負荷に対する初期インスリン応答を改善し、また従って、インスリン非依存性糖尿病を処置するのに有用である。本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩の、経口グルコース負荷に対する初期インスリン応答を改善する能力は、次の方法により、インスリン抵抗性ラットにおいて測定され得る。
高脂肪食(飽和脂肪=カロリー57%)を2−3週間摂食させた雄のスプラーグ−ドーリー(Sprague-Dawley)ラットを、試験日に約2時間絶食させ、8−10のグループに分けて、CMC中の試験化合物を10μmol/kgで経口投与した。その試験化合物の30分後、1g/kgの経口グルコースボーラスを試験動物の胃に直接投与した。慢性頸静脈カテーテルから様々な時点で得た血液試料を、血漿グルコースおよび免疫反応性インスリン(IRI)濃度、並びに血漿DPP−IV活性に関して分析した。リンコリサーチ社(Linco Research)(セントルイス、ミズーリ州)製の特異的抗ラットインスリン抗体を使用する二重抗体ラジオイムノアッセイ(RIA)法により、血漿インスリンレベルをアッセイした。そのRIAは、5%未満のアッセイ内およびアッセイ間変動で0.5μU/mLの検出下限を有する。データは、対照動物の平均の増加%として表される。経口投与では、試験した各々の化合物が初期インスリン応答を増幅し、これがインスリン抵抗性試験動物における耐糖能の改善をもたらした。次の結果が得られた。
DPP−IV阻害により媒介される状態を処置するために使用されるべき、本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩の正確な投与量は、宿主、処置される状態の性質および重症度、投与方法、並びに使用する特定の化合物を含め、幾つかの要素に依存する。しかしながら、一般に、本発明の化合物、または対応する薬学的に許容され得る酸付加塩が、0.002−5、好ましくは0.02−2.5mg/kg(体重)の一日投与量で、または大部分のより大きな霊長類に関しては、0.1−250、好ましくは1−100mgの1日投与量で、経腸的に、例えば、経口的に、または非経口的に、例えば、静脈内に、好ましくは経口的に投与される場合、DPP−IV阻害により媒介される状態は有効に処置される。典型的な経口投与量単位は、1日1〜3回、0.01−0.75mg/kgである。通常、小用量を最初に投与して、処置中の宿主にとって最適な投与量が決定されるまで、その投与量を徐々に増加させる。投与量の上限は、副作用により課せられるものであって、処置される宿主に対しての試験により決定することができる。
本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩は、1つまたはそれ以上の薬学的に許容され得る担体、また場合により、1つまたはそれ以上の他の従来的な医薬アジュバントと組み合わせて、錠剤、カプセル剤、カプレット剤等の形態で、経腸的に、例えば、経口的に、または無菌注射溶液剤もしくは懸濁液剤の形態で、非経口的に、例えば、静脈内に投与され得る。経腸および非経口組成物は、従来的な方法により製造され得る。本発明の化合物を含む適当な製剤の例は、特許出願 WO 2005/067976またはWO 2006/078593に記載されている。
従って、本発明はまた、少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体または希釈剤と共に、遊離型または薬学的に許容され得る酸付加塩の形態での、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、または本明細書中に記載する化合物を含む医薬組成物にも関する。
本発明による医薬組成物は、DPP4活性により媒介される状態の処置のための、人間を含め、哺乳動物への、経口または直腸のような経腸;経皮および非経腸投与に適当なものである。そのような状態には、耐糖能異常、2型糖尿病および肥満が含まれる。
従って、本発明の薬理学的に活性な化合物は、経腸または非経腸適用のいずれかに適当な賦形剤または担体と併用または混合して、その有効量を含む医薬組成物の製造において使用され得る。
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウムもしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;
錠剤に関してはまた、
c)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン糊、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;
所望により、
d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;および/または
e)吸収剤(absorbant)、着色料、香料および甘味料;
と共に、活性成分を含む錠剤およびゼラチンカプセル剤が好ましい。
注射用組成物は、水性等張溶液剤または懸濁液剤であるのが好ましく、そして坐剤は、脂肪乳濁剤または懸濁液剤から有利に製造される。
該組成物は、無菌化され得、そして/または保存剤、安定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤のようなアジュバント、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝液を含み得る。加えて、それらはまた、他の治療上有益な物質も含み得る。該組成物は、各々、従来的な混合法、造粒法またはコーティング法により製造されて、活性成分を約0.1−75%、好ましくは約1−50%含む。
経皮適用に適当な製剤には、治療上有効な量の本発明の化合物が担体と共に含まれる。有利な担体には、宿主の皮膚への通過を補助するために、吸収性の薬理学的に許容され得る溶媒が含まれる。特徴的に、経皮デバイスは、裏打ち材、化合物を場合により担体と共に含む貯蔵部、場合により、化合物を、制御された、また予定された速度で、長時間にわたり、宿主の皮膚へ送達するための速度制御バリア、およびそのデバイスを皮膚に固定するための手段を含むバンデージの形態である。
従って、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害により媒介される状態、好ましくは、耐糖能異常、2型糖尿病および肥満の処置のための、先に記載した医薬組成物を提供する。
本発明はまた、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害により媒介される状態、好ましくは、耐糖能異常、2型糖尿病および肥満の処置のための、先に記載した医薬組成物の使用も提供し、ここで、(請求項1〜4のいずれかに定義するような)本発明の化合物は、別の治療薬、例えば、以下に記載するような1つまたは2つの追加薬と組み合わせて投与される。
該医薬組成物は、治療上有効な量の、本明細書中に(例えば、請求項1〜4に)定義するような本発明の化合物を、単独で、または別の治療薬と組み合わせて、例えば、各々、当業界で報告されているような有効な治療用量で含み得る。そのような治療薬には、
a)インスリン、インスリン誘導体および模倣薬のような抗糖尿病薬;スルホニル尿素、例えば、グリピジド、グリブリドおよびアマリール(Amaryl)のようなインスリン分泌促進物質;メグリチニド、例えば、ナテグリニドおよびレパグリニドのようなインスリン分泌促進スルホニル尿素受容体リガンド;PTP−112のようなタンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;SB−517955、SB−4195052、SB−216763、NN−57−05441およびNN−57−05445のようなGSK3(グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3)阻害剤;GW−0791およびAGN−194204のようなRXRリガンド;T−1095のようなナトリウム依存性グルコース共輸送体阻害剤;BAY R3401のようなグリコーゲンホスホリラーゼA阻害剤;メトホルミンのようなビグアニド;
アカルボースのようなα−グルコシダーゼ阻害剤;GLP−1(グルカゴン様ペプチド−1)、エキセンディン−4のようなGLP−1類似体およびGLP−1模倣薬;並びにビルダグリプチンのようなDPPIV(ジペプチジルペプチダーゼIV)阻害剤;
b)3−ヒドロキシ−3−メチル−グルタリル補酵素A(HMG−CoA)還元酵素阻害剤、例えば、ロバスタチン、ピタバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、メバスタチン、ベロスタチン、フルバスタチン、ダルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチンおよびリバスタチンのような抗高脂血症薬;スクアレン合成酵素阻害剤;FXR(ファルネソイドX受容体)およびLXR(肝臓X受容体)リガンド;コレスチラミン;フィブラート系薬剤;コレスチラミンのようなニコチン酸胆汁酸結合樹脂;フィブラート系薬剤;ニコチン酸および他のGPR109アゴニスト;エゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤;CETP阻害剤(コレステロールエステル転送タンパク質阻害剤);並びにアスピリン;
c)オルリスタット、シブトラミンおよびカンナビノイド受容体1(CB1)アンタゴニスト、例えば、リモナバンのような抗肥満薬;そして
d)抗高血圧薬、例えば、エタクリン酸、フロセミドおよびトルセミドのようなループ利尿薬;ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル(perinodopril)、キナプリル、ラミプリルおよびトランドラプリルのようなアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤;ジゴキシンのようなNa−K−ATPアーゼ膜ポンプの阻害剤;中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;オマパトリラト、サムパトリラトおよびファシドトリルのようなACE/NEP阻害剤;カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタンのようなアンジオテンシンIIアンタゴニスト、特にバルサルタン;ジテキレン、ザンキレン、テルラキレン、アリスキレン、RO 66−1132およびRO 66−1168のようなレニン阻害剤;アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロールおよびチモロールのようなβ−アドレナリン受容体遮断薬;ジゴキシン、ドブタミンおよびミルリノンのような強心薬;アムロジピン、ベプリジル、ジルチアゼム、フェロジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびベラパミルのようなカルシウムチャネル遮断薬;アルドステロン受容体アンタゴニスト;並びにアルドステロン合成酵素阻害剤;
e)フェノフィブラート、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、テサグリタザル、BMS−298585、L−796449、特許出願 WO 2004/103995に具体的に記載された化合物、すなわち、実施例1〜35の化合物もしくは請求項21に具体的に記載された化合物、または特許出願 WO 03/043985に具体的に記載された化合物、すなわち、実施例1〜7の化合物もしくは請求項19に具体的に記載された化合物、またとりわけ、(R)−1−{4−[5−メチル−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−オキサゾール−4−イルメトキシ]−ベンゼンスルホニル}−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−カルボン酸またはその塩のようなペルオキシソーム増殖剤活性化受容体のアゴニスト;
が含まれる。
各々の場合において、特に、化合物クレームおよび実施例の最終生成物において、最終生成物、医薬品製剤およびクレームの内容は、これらの論文および特許出願を参照することにより、本出願に組み込まれる。
従って、本発明は、
i)請求項1〜4のいずれかに記載の化合物;および
ii)
a)抗糖尿病薬;
b)抗高脂血症薬;
c)抗肥満薬;
d)抗高血圧薬;
e)ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体のアゴニスト;
から選択される少なくとも1つの化合物;
ii)1つまたはそれ以上の薬学的に許容され得る担体;
を含む医薬組成物を包含する。
他の具体的な抗糖尿病化合物は、Patel Monaにより、Expert Opin Investig Drugs, 2003, 12(4), 623-633において図1〜7に記載されており、これらは、参照することにより本明細書中に組み込まれる。本発明の化合物は、他の活性成分と同時に、その前に、またはその後に、同じもしくは異なる投与経路により別々に、または同じ医薬品製剤で一緒に投与され得る。
コード番号、一般名または商品名により特定される治療薬の構造は、標準概論“メルクインデックス(Merck Index)”の現行版から、またはデータベース、例えば、Patents International(例えば、IMS World Publications)から取得され得る。その対応する内容は、参照することによりここに組み込まれる。
従って、本発明は、治療上有効な量の本発明の化合物を、好ましくは、抗糖尿病薬、抗高脂血症薬、抗肥満薬または抗高血圧薬から、最も好ましくは、先に記載した抗糖尿病薬または抗高脂血症薬から選択される、治療上有効な量の別の治療薬と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
本発明はさらに、薬物として使用するための、先に記載した医薬組成物に関する。
本発明はさらに、ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害により媒介される状態、好ましくは、耐糖能異常、2型糖尿病および肥満の処置のための薬物を製造するための、先に記載した医薬組成物または組み合わせの使用に関する。
本発明の化合物、およびそれらの対応する薬学的に許容され得る酸付加塩は、DPP−IV阻害により媒介される状態を処置するのに有効である活性物質量を含む経腸および非経口医薬組成物、単位投与量形態でのそのような組成物、および薬学的に許容され得る担体を含むそのような組成物へと製剤化され得る。
本発明の化合物(各々のその下位の範囲および各々の実施例のものを含む)は、鏡像異性的に純粋な形(例えば、ee>98%、好ましくは>99%)で、または鏡像異性体と一緒に、例えば、ラセミ体で投与され得る。先の投与量範囲は、本発明の化合物に基づく(鏡像異性体の量を除く)。
次の実施例は、本発明により包含される代表的化合物およびそれらの合成を示す。しかしながら、それらが説明を目的とするのみであることは明確に理解されるべきである。
I.実施例1
ピロリジン、1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−、(S)(INN:ビルダグリプチン)またはNVP−LAF237
Figure 0005401465
A.1−アミノアダマンタン−3−オール
Khim. -Farm. Zh.(1986), 20(7), 810-15に見られる合成法を僅かに変更して使用し得る。
96% 濃硫酸(210mL;3,943mmol)および65% 硝酸(21.0mL;217.0mmol)の、急速に撹拌された、透明かつ無色の、氷水で冷やした混合物に、1−アダマンチルアミン HCl(99%)21.0g(112.0mmol)を30分かけて少量ずつ加える。アダマンチルアミン塩酸塩を加えると、僅かな泡立ちが起こって、その反応は僅かに発熱性である。この泡立った黄色の溶液を氷水温度で約2時間撹拌した後、室温で30時間撹拌する。次いで、この透明な淡黄色の反応物を氷約100gへと注ぎ入れると、得られた溶液は透明な緑青色である。
その溶液を氷水浴に入れて、30分間撹拌しておく。次いで、89% 純粋なKOH約550g(8.74mol)を45分かけて少量ずつ加える。この添加の間、その反応は発熱性である;80℃に達すると、褐色のNOガスが大量に発生する。添加を終えるまでに、その反応物は、白色の固形物質(生成物と塩の両方)で濃化される。次いで、得られた白色のペーストをブフナー漏斗/セライトパッドへと注ぎ入れて、CHCl 1.2Lで洗浄する。次いで、そのCHCl層を水層から抽出して、NaSOで乾燥させる。次いで、その溶液を濾過して、濃縮して(回転蒸発器(rotovap)/ポンプ)、1−アミノアダマンタン−3−オールを白色の固形物質として得る。
B.1−クロロアセチル−2−シアノピロリジン
テトラヒドロフラン150mL中の塩化クロロアセチル20.0g(180.0mmol)および炭酸カリウム97g(0.70mmol)の機械的に撹拌した溶液に、テトラヒドロフラン500mL中のL−プロリンアミド20.0g(180.0mmol)の溶液を45分かけて滴下方式で加える。次いで、この反応物を室温でさらに2時間機械的に撹拌する。次いで、その反応物を濾過して、カリウム塩を除去して、濾液をNaSOで乾燥させる。次いで、そのNaSOを濾過によって除去して、この無色の濾液に、無水トリフルオロ酢酸(25.0mL、0.180mmol)を一度に加える。次いで、その反応物を室温で1時間機械的に撹拌して、得られた透明な黄色/橙色の溶液を回転蒸発器(rotovap)によって濃縮する。その濃縮された油状物質に酢酸エチルを加えて、回転蒸発器(rotovap)によって再濃縮することにより、過剰の無水トリフルオロ酢酸を除去する。この除去操作を3回行う。
得られた油状物質を酢酸エチルと水との間に分配する。次いで、生成物を酢酸エチルへと抽出した後、水層を酢酸エチルで2回洗浄する。次いで、合わせた有機層を水およびブラインで連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して、濃縮して、1−クロロアセチル−2−シアノピロリジンを黄色の固形物質として得る。
C.ピロリジン、1−[(3−ヒドロキシ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−、(S)
CHCl(68.0mL)中のタイトルAの化合物(1−アミノアダマンタン−3−オール)(5.80g、34.7mmol)の不均一な溶液に、KCO 9.6g(69mmol)を加える。次いで、この不均一な混合物を氷水浴で冷却して、CHCl 25.0mLに溶解したタイトルBの化合物(1−クロロアセチル−2−シアノピロリジン)3.0g(17mmol)の溶液を30分間かけて滴加する。得られた混合物を0℃で2時間撹拌して、室温で6日間撹拌する。次いで、その反応物を濃縮して、黄色のペースト状物質を得て、これを、二次イオン質量分析計(SIMS)/バイオタージ社(Biotage)のフラッシュクロマトグラフィーシステムおよび溶離液として塩化メチレン中のメタノールの7% 溶液を使用するシリカゲルで精製して、タイトル化合物を白色の結晶性固形物質(融点138℃−140℃、13C NMR(ppm)=119.59)として遊離塩基型で得る。
A.D.NVP−BQS867(ビルダグリプチンのO−グルクロニド)およびNVP−BRU563(ビルダグリプチンの標識化O−グルクロニド)の生体触媒合成
ラット肝ホモジネートの触媒下でのNVP−LAF237の酵素的グルクロン酸抱合の反応スキームを図4−1に示す。
Figure 0005401465
3.1.ラット肝ホモジネートの調製
凍結させたラット肝臓の15g片2つおよび11g片1つを解凍して、小片に切り分けた。0.5体積相当の氷冷0.9% NaCl溶液を各々の肝臓片に加えて、ディスポミックス(Dispomix)ブレンダーで混合した後、氷水で冷却しながら、テフロンピスティル(pistil)を100%の撹拌機スピードで上下に3回動かすことにより、組織を“ポッターS(Potter S)”組織ホモジナイザー(ブラウンバイオテック社(Braun Biotech Inc.)、メルスンゲン、ドイツ連邦共和国)でホモジナイズした。そのホモジネートを最終重量81gまで満たして、ベックマンコールター社(Beckmann Coulter)のJA−10ローターを備えた遠心分離機(フラトン、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)型アバンティ(Avanti)J−HCにおいて10,000rpm(=17,000×g)にて4−6℃で30分間遠心分離した。上澄みは、酵素源として機能した。
4.2.調製規模での生物変換
NVP−LAF237(ビルダグリプチン)の340mg規模でのグルクロン酸抱合条件は、NVP−LAF237 5mM、UDP−グルクロン酸塩(ヤマサ醤油株式会社(Yamasa Co.)、東京都、日本国)20mM、MgCl 20mM、HEPES pH 8.5 160mM、ラット肝ホモジネート 20% v/v、総体積224ml、37℃で5時間インキュベーション、またさらに30℃で14時間インキュベーションであった。その反応を、各々、反応混合物20mlで満たした50mlのヌンク社(Nunc)のチューブで行い、これを振盪半径5cmの微生物学的実験用振盪機で170rpmにて振盪した。
アセトニトリル224mlを加えて、20℃で10分間混合することにより、その調製反応を停止させた。8000rpm(ローター JA−10)で15分間遠心分離した後、ペレットを脱イオン水中の50% v/v アセトニトリル50mlに懸濁させて、再び遠心分離した。合わせた上澄みを減圧下に25℃で50mlまで濃縮した。その混濁した濃縮物を5000rpmで遠心分離して、上澄みをガラス繊維に通して濾過した後、それを分取HPLCにかけた。
[13 15N]標識化NVP−LAF237(50mg規模)のグルクロン酸抱合に関して、生体内変換条件は、UDP−グルクロン酸塩の濃度が80mMであり、ラット肝ホモジネートの濃度が30% v/vであり、ヌンク社(Nunc)のチューブの充填量が16.5mlであり、総体積が33mlであり、反応時間が4時間であり、そして振盪速度が200rpmであったことを除き、340mg規模でのNVP−LAF237に関するものと同じであった。
各々のチューブにアセトニトリル16.5mlを加え、氷上で15分間インキュベーションした後、混合することにより、その反応を停止させた。17,000rpm(ローター JA−10)で15分間遠心分離した後、沈降物を脱イオン水中の50% v/v アセトニトリル20mlに再懸濁させて、再び遠心分離した。合わせた上澄みを減圧下に30℃で10mlまで濃縮し、最終体積25mlまで再び希釈して、最終清澄化のために遠心分離した。ペレットを脱イオン水5mlで再懸濁させて、遠心分離した後、後者2つの上澄みを合わせて、分取HPLCにかけた。
変換の測定/分析用HPLC−DAD:NVP−LAF237の340mgバッチの19時間試料50μlおよび[13 15N]標識化NVP−LAF237が入ったバッチの4時間試料25μlを、各々、水中の50% アセトニトリル200μlと混合して、シグマ社(Sigma)の4K15C 冷凍遠心分離機で遠心分離した。上澄みを分析用RP16−HPLC−DAD(アジレントテクノロジー社(Agilent Technologies)、バーゼル、スイス連邦製のHPLC−DAD 1100シリーズ;クロモリス(Chromolith) パフォーマンス RP−18e 100×4.6mm型のクロモリス(Chromolith) ガードカートリッジ RP−18e 5×4.6mm(メルク社(Merck))との2連結カラム;流量2ml/分;移動相A:3mM 水性HPO、移動相B:アセトニトリル;5分で3%から15% Bまでの勾配;200−400nmでのDAD検出)により分析した。変換は、グルクロニドおよびNVP−LAF237の205nmでのUV−吸収ピーク領域に基づいた。
5.E.代謝産物の精製
a)a)NVP−BQS867−NX−2
生物変換された原材料の一部(5mlまたは約10%)をバッチ NVP−BQS867−NX−2の調製に使用した。この体積に、水性10mM NHAc 35mlおよびメタノール8mlを加えた。そのpHを希酢酸で7に調節した。次いで、この混合物を分取液体クロマトグラフィーのための注入溶液として使用した。
その分取液体クロマトグラフィー−質量分析システムは、2525 ポンプ、2767 サンプルマネージャー、2996 フォトダイオード検出器、515 補給ポンプ、ZQ2000 質量分析計、並びにマスリンクス(MassLynx)4.0およびフラクションリンクス(FractionLynx)4.0 ソフトウェアを備えた、ウォーターズ社(Waters)の自動精製システム(ウォーターズ社(Waters Corp.)、ミルフォード、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)で構成されていた。
アトランティス(Atlantis) dC18、5μm、19mm×100mm カラム(ウォーターズ社(Waters))を使用した;流量20ml/分;移動相A:水性10mM NHAc、pH 7.0;移動相B:CHCN/CHOH 4:1、10mM NHAc;勾配プログラム:0分 5% B;2分 5% B;7分 20% B;7.1−12分 95% B;12.1−14分 5% B;注入量 1−5ml。カラム流出物を分け、ごく一部を補給液 2−プロパノール/HO/HCOOH 400:100:1とインライン混合して、質量分析計のイオン源へと導入した;残りを200−600nmで記録するDAD検出器に入れた後、画分収集のためのサンプルマネージャーに入れた。
その質量分析計は、正のESIモードで使用されるESCiインターフェースを備えていた。3kVのキャピラリー電圧および30Vのコーン電圧を適用した;質量範囲 250−550ダルトン(Da)。
目的画分を5.3−6.7分の時間基準で集めた。12回のHPLC操作から得られた目的画分を合わせ、有機溶媒を減圧下に30℃で除去して、残りの溶液を−80℃および0.2ミリバール(mbar)で凍結乾燥させて、ほぼ無色の凍結乾燥物15mgを得た。
純度をHPLC−DADおよびHPLC−MSにより決定した(2.2.2節を参照。):塩(酢酸アンモニウム)および水を除けば、バッチ NVP−BQS867−NX−2は、>97%の純度を有していた。
b)b)NVP−BRU563−NX−1(安定な標識化グルクロニド)
等体積の20mM NHAc溶液を水性抽出物に加えて、NHAc濃度を10mMとした。この混合物を希酢酸でpH 7.0に調節した後、分取液体クロマトグラフィーのための注入溶液として使用した。
その分取液体クロマトグラフィー−質量分析システムを2.1.3.1に記載した。
アトランティス分取(Atlantis Prep) dC18 OBD、5μm、30mm×150mm カラム(ウォーターズ社(Waters))を使用した;流量40ml/分;移動相A:水性10mM NHAc;移動相B:CHCN/CHOH 4:1+10mM NHAc、pH 7.0;勾配プログラム:0分 5% B;2分 5% B;7分 20% B;7.1−12分 95% B;12.1−14分 5% B;注入量 2−6ml。カラム流出物を2.1.3.1に記載した方法と同じ方法で分けた。
その質量分析計は、正のESIモードで使用されるESCiインターフェースを備えていた。3kVのキャピラリー電圧および30Vのコーン電圧を適用した;質量範囲 100−1000ダルトン(Da)。
目的画分を7.0−9.0分の時間基準で集めた。12回のHPLC操作から得られた目的画分を合わせ、有機溶媒を減圧下に30℃で除去して、残りの溶液を−80℃および0.2ミリバール(mbar)で凍結乾燥させて、ほぼ無色の凍結乾燥物63mgを得た。
純度をHPLC−DADおよびHPLC−MSにより決定した(2.2.2節を参照。):塩(酢酸アンモニウム)および水を除けば、バッチ NVP−BRU563−NX−1は、>98%の純度を有していた。
B.F.構造同定に関する分析論
1.NMR分光法
化合物をDMSO−d 5μlに溶解して、直径1mmのNMRチューブを満たした。NVP−BQS867から、1D−H スペクトルおよび2D 等核スペクトルおよび異核スペクトル(COSY、HSQC、HMBC、ROESY)を得た。NVP−BRU563から、H スペクトルを測定した。H{13C、15N}マイクロリットルプローブ(Microliterprobe)を使用して、全てのスペクトルをブルカー社(Bruker)のDRX600 分光計にて300°Kで記録した。NVP−BQS867から、5mmの13C{H}クライオプローブ(Cryoprobe)を使用して、13C スペクトルをブルカー社(BRUKER)のDRX600 分光計にて測定した。
2.2.HPLC−質量分析法
その液体クロマトグラフィーは、ウォーターズ社(Waters)のアキュイティ(Acquity)2996 PDA 検出器を備えた、ウォーターズ社(Waters)のUPLC アキュイティ(Acquity)(ウォーターズ社(Waters))で構成されていた。カラム:アキュイティ(Acquity) UPLC BEH C18;1.7μm;1.0×150mm(ウォーターズ社(Waters));流量0.1ml/分;溶離液A:HO/TFA 100:0.1;溶離液B:アセトニトリル/TFA 100:0.1;勾配:0分 5% B;1分 5% B;11分 40% B;13−16分 95% B;30℃;UV−検出:200−350nm、分解能 2.4nm;注入量 5μl。物質を約0.3mg/mlの濃度で水/アセトニトリル 9:1に溶解した。純度の評価を所望のピークの領域−%としてUVにより210nmで行った。カラム流出物をMSのイオン源へと直接導入した。
正のモードでのエレクトロスプレーインターフェイスを備えたTSQ クウォンタム(Quantum) AM 質量分析計(サーモ社(Thermo)、サンホゼ、カリフォルニア州、アメリカ合衆国)を使用した。それをエクスカリバー(Xcalibur) ソフトウェア バージョン2.0で操作した。25単位のシースガス設定および5単位の補助ガスを使用して、3kVのスプレー電圧を適用した。加熱した金属キャピラリーを300℃で維持した;質量範囲 200〜800ダルトン(Da)。MS/MS パラメーター:衝突ガス 1.5ミリトル(mTorr) アルゴン;衝突エネルギー 25V。
II.G.結果
A.1.生体触媒合成
2つの調製反応に関して、分析用HPLC−DADは、次の変換値を与えた:NVP−LAF237 340mgが入ったバッチに関しては66%、そして[13 15N]標識化NVP−LAF237(50mg)が入ったバッチに関しては94%。
2.グルクロニドの精製
先の節に記載したように、O−グルクロニド NVP−BQS867−NX−2 15mgを、生体内変換で得られた水性培養抽出物5mlから分取HPLC−MSにより得た。NVP−LAF237 340mgでの全調製反応から、NVP−BQS867−NXの4つのバッチ(NX−1〜NX−4)を、総量295mgのO−グルクロニドと共に単離した。
3.構造解明
NVP−BQS867−NX−2の質量スペクトルは、480.1の[M+H]を示し、分子量が479であることを示唆する。これは、NVP−LAF237のグルクロニドと一致する。MS/MS プロダクトイオンスペクトルは、グルクロニド(m/z 304)、さらにはまた、グルクロン酸(m/z 286)の喪失を示す。
NVP−BQS867−NX−2の構造(図3−1)は、NMR分光法に基づいて明確に解明された。NVP−LAF237と比較してのNVP−BQS867のNMRスペクトルにおける主要な相違は、主に、グルクロニド部分から得られる共鳴である。グルクロン酸のアノマー1'共鳴のH シフト(4.42ppm)および13C シフト(96.4ppm)は、後者が酸素に結合して、窒素には結合していないことを示した。H−1'からC−3までのHMBC相関、並びにH−1'からH−2およびH−4までのROESY相関は、図3−1に示す構造を明確に裏付けた。
全てのNMRデータおよび相関の解釈は、MS結果(分子量(MW)=479、m/z MH=480.1)と一致する1つの構造のみをもたらす。全てのH シフトおよび13C シフト、並びに関連のある等核相関および異核相関の要約を表3−1に示す。
[U−ピロリジン、シアノ−13、ピロリジン−15N]標識化NVP−LAF237から生合成された化合物 NVP−BRU563−NX−3は、安定な標識に関して予期される例外と共に、NVP−BQS867−NXと同一のスペクトル特性を示した:486.2のMHは、NVP−BQS867−NXのものより6ダルトン(Da)高く、またMS/MS プロダクトイオンスペクトルにおいて、幾つかのフラグメントもまたシフトする。
(i)図II−1 表3−1において使用するナンバリングスキームでのNVP−BQS867の構造およびH スペクトル
Figure 0005401465
Figure 0005401465
別の好ましい化合物は、
Figure 0005401465
である。
最も好ましい態様において、図BBの化合物は、実質的には純粋な形態である。
このO−グルクロニド化合物(図BB)は、本明細書中に記載する工程を適応させることにより得ることができる。R'が−OHであるものから出発化合物を得るための工程は、特許出願 WO 01/068603またはWO 05/095339に記載されている。
塩は、HCL塩であり得る。(HCl)=塩酸塩として。最終生成物のHCl塩は全て、溶液が明らかに酸性となるまで、HClガスをテトラヒドロフラン中の遊離塩基の0.1モル濃度溶液に通した後、その溶媒を除去する(回転蒸発器(rotovap)/ポンプ)ことにより製造される。
アミノ−アダマンタン出発物質は、文献(literatrue)において知られており、または次のように製造することができる。
3,5−ジメチル−1−アダマンチルアミンの製造は、J. Med. Chem,25;1;1982;51-56に記載されている。
3−エチル−1−アダマンチルアミンの製造は、J. Med. Chem,25;1;1982;51-56に記載されている。
3−メトキシ−1−アダマンチルアミンは、次のように製造することができる:
テトラヒドロフラン15.0ml中の水素化カリウム(0.680gm;5.95mmol)の、撹拌されて、氷水で冷やした懸濁液に、1−アミノアダマンタン−3−オール(1.00g;5.95mmol)およびテトラヒドロフラン15.0mlの混合物を30分かけて滴加する。次いで、得られた混合物をさらに30分間撹拌した後、ヨードメタン(0.370ml;5.95mmol)を1分かけて滴加する。次いで、得られた乳白色の反応物を室温で18時間撹拌する。次いで、その混合物を塩化メチレン50mlで希釈して、濾過して、無機不純物を除去する。次いで、濾液を濃縮して、二次イオン質量分析計(SIMS)/バイオタージ(Biotage)装置、並びに溶離液として塩化メチレン中の19% メタノールおよび1% 水酸化アンモニウムを使用するシリカゲルで精製して、3−メトキシ−1−アダマンチルアミンを不透明な油状物質として得る。
3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの合成:
テトラヒドロフラン150ml中の1−アミノアダマンタン−3−オール(5.00g;30.0mmol)および炭酸カリウム(6.20g;45mmol)の混合物に、クロロギ酸ベンジル(4.70g、33.0mmol)を10分間かけて滴下方式で加える。次いで、その混合物を室温で2時間撹拌した後、酢酸エチルと水との間に分配する。次いで、生成物を酢酸エチルへと抽出して、水層を酢酸エチル(100ml)で2回洗浄する。次いで、合わせた有機層を、2N 水酸化ナトリウム水溶液100ml、水およびブラインで連続的に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過して、濃縮して(回転蒸発器(rotovap)/ポンプ)、1−ベンジルカルバモイルアダマンタン−3−オールを収率85%で白色の固形物質として得る。
塩化メチレン30ml中の1−ベンジルカルバモイルアダマンタン−3−オール(1.00g:3.32mmol)およびtert−ブチルイソシアネート(380μl、3.32mmol)の透明な溶液に、塩化トリメチルシリル(20.0μl、0.17mmol)を注射器で加える。次いで、この反応物を室温で18時間撹拌し、濃縮して(回転蒸発器(rotovap))、二次イオン質量分析計(SIMS)/バイオタージ(Biotage)装置、並びに溶離液としてヘキサン中の20% 酢酸エチルを使用するシリカゲルで精製して、3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−ベンジルカルバモイルアダマンタンを定量的収率で白色の固形物質として得る。
1リットルのパー(parr)の水素化フラスコにおいて、エタノール(150ml)中の3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−ベンジルカルバモイルアダマンタン(1.50g、3.75mmol)および10% パラジウム炭素(400mg)の混合物に、水素(50psi)を加える。次いで、この不透明な黒色の混合物を24時間振盪する。次いで、その反応物をセライトに通して濾過して、パラジウム触媒を除去して、濃縮して(回転蒸発器(rotovap)/ポンプ)、3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンを収率99%で透明な油状物質として得る。
4−[[[(メトキシフェニル)アミノ]カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの合成に関する手順は、第二段階において、tert−ブチルイソシアネートを等量の4−メトキシフェニルイソシアネートに代替し、塩化メチレンの代わりに1,2−ジクロロエタンを溶媒として使用し、そして反応物を50℃で18時間撹拌することを除き、基本的には、3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの手順である。最終アミン中間体を油状物質として得る。
3−[[(フェニルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの合成に関する手順は、第二段階において、tert−ブチルイソシアネートを等量のイソシアン酸フェニルに代替し、塩化メチレンの代わりに1,2−ジクロロエタンを溶媒として使用し、そして反応物を50℃で18時間撹拌することを除き、基本的には、3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの手順である。最終アミン中間体を透明な油状物質として得る。
2−アミノアダマンタン−5−オールを製造するための手順は、出発物質が1−アミノアダマンタンの代わりに2−アミノアダマンタンであることを除き、実施例1と同じである。
求核試薬である3−アセトキシ−1−アミノアダマンタンの合成に関する手順は、1.2当量の塩化アセチル、3.0当量のピリジン、0.1当量の4−ジメチルアミノピリジンおよび1,2−ジクロロメタンを使用し、これらを全て室温で24時間撹拌する、1−ベンジルカルバモイルアダマンタン−3−オールの標準的アシル化を除き、基本的には、3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの手順である。最終アミンを濃厚な油状物質として得る。
3−[[[(ジイソプロピル)アミノ]カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの合成に関する手順は、第二段階において、tert−ブチルイソシアネートを等量の塩化ジイソプロピルカルバモイルに代替し、塩化メチレンの代わりに1,2−ジクロロエタンを溶媒として使用し、そして反応物を85℃で18時間撹拌することを除き、基本的には、3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの手順である。最終アミン中間体を灰色の固形物質として得る。
3−[[[(シクロヘキシル)アミノ]カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの合成に関する手順は、第二段階において、tert−ブチルイソシアネートを等量のイソシアン酸シクロヘキシルに代替し、塩化メチレンの代わりに1,2−ジクロロエタンを溶媒として使用し、そして反応物を50℃で18時間撹拌することを除き、基本的には、3−[[(tert−ブチルアミノ)カルボニル]オキシ]−1−アミノアダマンタンの手順である。最終アミン中間体を濃厚で透明な油状物質として得る。
3−エトキシ−1−アダマンチルアミン(透明な油状物質)を製造するための手順は、ヨードメタンの代わりにヨードエタン(1.3当量)を使用することを除き、3−メトキシ−1−アダマンチルアミンに関するものと同じである。
製剤例:
活性成分であるNVP−BQS867を各々50mg含む錠剤は、次のように製造することができる:
Figure 0005401465
活性成分をラクトースおよびジャガイモデンプン292gと混合して、ゼラチンのアルコール溶液を使用して、その混合物を湿らせて、篩を用いて造粒する。乾燥させた後、残りのジャガイモデンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび高度に分散するシリカを混合して、その混合物を圧縮して、重量が各々145.0mgで活性成分含有量が50.0mgの錠剤を得て、所望により、これに、その用量をより細かく調節するための割線を付けることができる。
III.実施例2:生物学的実験
略語リスト
Figure 0005401465
IV.物質および方法
A.A.器具使用
タンパク質およびペプチドを含む溶液は全て、シリコン処理したチューブ(ライフシステムズデザイン(Life Systems Design)、メレンシュヴァント、スイス連邦)で扱った。サイビ−ウェル(CyBi-Well) 96−チャンネルピペッター(サイビオ社(CyBio AG)、イェーナ、ドイツ連邦共和国)を用いて、化合物溶液、さらにはまた、酵素および基質溶液を384ウェルのプレート(ブラッククリニプレート(black Cliniplate);カタログ番号 95040020 ラブシステムズ・オユ(Labsystems Oy)、フィンランド共和国)に移した。
1.1.FI測定のための器具使用
色素としてAMCを用いる蛍光強度(FI)測定に関して、ウルトラエボルーション(Ultra Evolution)リーダー(テカン社(TECAN)、メンネドルフ、スイス連邦)を使用した。その装置は、蛍光励起および発光捕捉のための、各々、350nm(バンド幅20nm)および500nm(バンド幅25nm)のバンドパスフィルターの組み合わせを備えていた。シグナル:バックグラウンド比を増加させるために、適当なダイクロイックミラーを使用した。フィルターおよびダイクロイックミラーは全て、テカン社(TECAN)から購入した。
Rh110色素を使用するFI測定は、サフィイア2(Safire2)リーダー(テカン社(TECAN)、メンネドルフ、スイス連邦)を用いて行った。そのサフィイア2(Safire2)は、モノクロメーター(monochomator)を搭載した装置であって、蛍光励起および発光捕捉のために、各々、485nmおよび535nmの波長を採用した。励起と発光パスの両方において、バンド幅を20nmに設定した。
各々のウェルにおけるフルオロフォアを1回の測定につき3回のフラッシュにより励起した。
2.平均データからのIC 50 値の計算
個別のアッセイ操作から得られたデータを平均して、オリジン(Origin) 7.5SR6(オリジンラブ社((OriginLab Corporation)、ノーサンプトン、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)のプログラムを使用してプロットした。オリジン(Origin)の内蔵型の非線形回帰ルーチンを使用して、平均したデータを“ロジスティック”関数に当てはめた。
y=A2+(A1−A2)/(1+(x/IC50)^p) (方程式1)
[式中、yは、阻害剤濃度xでの%阻害である。A1は、最低阻害値、すなわち、0%であり、そしてA2は、最大阻害値、すなわち、100%である。指数pは、ヒル(Hill)係数である。]
B.IC 50 値の決定
IC50値の決定に関して、アッセイを384ウェルのプレートにて室温で行った。最終アッセイ体積は全て、30μlであった。試験化合物を90%(v/v)DMSO/水に溶解して、所望のアッセイ濃度の3倍となるまで水(0.05%(w/v)CHAPSを含む)中に希釈した。各々のアッセイに関して、1ウェルにつき水/CHAPS(±試験化合物)10μlを加えた後、プロテアーゼ溶液(アッセイ緩衝液で希釈した;最終アッセイ濃度に関しては、アッセイ条件の節を参照。)10μlを加えた。室温で1時間インキュベーションした後、基質溶液(最終濃度に関しては、アッセイ条件の節を参照。)10μlの添加により、その反応を開始させた。11の最終化合物濃度は、0.9nM、3nM、9nM、30nM、90nM、300nM、900nM、3μM、9μM、30μMおよび90μM、または3nM、10nM、30nM、100nM、300nM、1μM、3μM、10μM、30μM、100μMおよび300μMのいずれかであった。酵素活性に対する該化合物の効果を線形プログレス曲線から得て、2つの読み取り(1つ目は、基質添加直後(t=0分)に取ったもの、そして2つ目は、1時間後(t=60分)に取ったもの)から決定した。非線形回帰分析ソフトウェア(エックスエルフィット((XLfit)、バージョン4.0;アイディービジネスソリューション社(ID Business Solution Ltd)、ギルドフォード、サリー州、イギリス)を使用して、IC50値を阻害 対 阻害剤濃度のパーセンテージのプロットから計算した。
C.アッセイ条件
酵素、基質および緩衝液に関する条件は全て、個々のアッセイに関して以下に記載する。
1.DPP−2(ジペプチジルペプチダーゼ2)
酵素:ヒトDPP−2被覆アミノ酸 30−492;昆虫細胞(バキュロウイルス発現系)において発現され、またそれから精製された。
基質:Nle−Pro−AMC、バイオシンタン社(Biosyntan)(www.biosyntan.de)から購入した、製品番号 4572。
酵素濃度:0.03nM。
基質濃度:2μM。
アッセイ緩衝液:100mM クエン酸ナトリウム、pH 5.5、0.05%(w/v)CHAPS。
2.DPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼIV)
酵素:ヒトDPP−IV被覆アミノ酸 39−766;昆虫細胞(バキュロウイルス発現系)において発現され、またそれから精製された。
基質:Gly−Pro−AMC、バッケム社(Bachem)(www.bachem.com)から購入した、カタログ番号 I−1225。
酵素濃度:0.01nM。
基質濃度:10μM。
アッセイ緩衝液:25mM トリス(Tris)、pH 7.4、140mM NaCl、10mM KCl、0.05%(w/v)CHAPS。
3.ヒト血漿DPP−IV(ヒト血漿中の内因性ジペプチジルペプチダーゼIV)
酵素:男性ドナーの血漿試料から得られた内因性ヒトDPP−IV。
基質:(H−Ala−Pro)−Rh110、社内合成。
酵素濃度:約5nM。
基質濃度:10μM。
アッセイ溶液:ヒト血漿、緩衝液(25mM トリス(Tris)、pH 7.4、140mM NaCl、10mM KCl、0.05%(w/v)CHAPS)で血漿含有量50%まで希釈した。
4.DPP−8(ジペプチジルペプチダーゼ8)
酵素:ヒトDPP−8被覆アミノ酸 1−882;昆虫細胞(バキュロウイルス発現系)において発現され、またそれから精製された。
基質:Gly−Pro−AMC、バッケム社(Bachem)(www.bachem.com)から購入した、カタログ番号 I−1225。
酵素濃度:0.05nM。
基質濃度:10μM。
アッセイ緩衝液:25mM トリス(Tris)、pH 7.4、140mM NaCl、10mM KCl、0.05%(w/v)CHAPS。
5.DPP−9(ジペプチジルペプチダーゼ9)
酵素:ヒトDPP−9被覆アミノ酸 1−863;ピキアパストリス(Pichia pastoris)において発現され、またそれから精製された。
基質:Gly−Pro−AMC、バッケム社(Bachem)(www.bachem.com)から購入した、カタログ番号 I−1225。
酵素濃度:1nM。
基質濃度:10μM。
アッセイ緩衝液:25mM トリス(Tris)、pH 7.4、140mM NaCl、10mM KCl、0.05%(w/v)CHAPS。
6.FAP(線維芽細胞活性化タンパク質、α)
酵素:細胞質ドメインおよび膜貫通(transmebrane)ドメインを除く、ヒトFAPα被覆アミノ酸 27−760;昆虫細胞(バキュロウイルス発現系)において発現され、またそれから精製された。
基質:Z−Gly−Pro−AMC、バッケム社(Bachem)(www.bachem.com)から購入した、カタログ番号 I−1145。
酵素濃度:0.1nM。
基質濃度:8μM。
アッセイ緩衝液:100mM トリス(Tris)、pH 7.4、100mM NaCl、1mM EDTA、0.05%(w/v)CHAPS。
7.PEP(プロリル−エンドペプチダーゼ)
酵素:ヒトPEP被覆アミノ酸 1−710;ピキアパストリス(Pichia pastoris)において発現され、またそれから精製された。
基質:Z−Gly−Pro−AMC、バッケム社(Bachem)(www.bachem.com)から購入した、カタログ番号 I−1145。
酵素濃度:0.03nM。
基質濃度:10μM。
アッセイ緩衝液:100mM トリス(Tris)、pH 7.4、100mM NaCl、1mM EDTA、0.05%(w/v)CHAPS、0.1%(w/v)BSA。
V.D.結果
化合物 NVP−BQS867に関する全てのIC50測定結果を以下の表3−1〜3−7に要約する。hDPP−IV、ヒト血漿中の内因性DPP−IV、hDPP−8、hDPP−9、hFAPおよびhPEPに関して。
Figure 0005401465
Figure 0005401465
Figure 0005401465
Figure 0005401465
Figure 0005401465
Figure 0005401465
Figure 0005401465

Claims (11)

  1. 遊離型または薬学的に許容され得る酸付加塩の形態での、式(IA)、(IB)、(XA)、(XB)、(YA)または(YB):
    Figure 0005401465
    [式中、
    R'は、
    Figure 0005401465
    を表し;そして
    R''は、水素、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルカノイルオキシ、またはRN−CO−O−{ここで、RおよびRは独立して、置換されていないか、またはC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ハロゲンおよびトリフルオロメチルから選択される置換基で置換されているC−Cアルキルまたはフェニルであり、またここで、Rはさらに水素であるか;またはRおよびR一緒になって−Cアルキレンを表す。}を表す。]
    の化合物。
  2. R''が水素を表す、請求項1に記載の式(IA)、(IB)、(XA)、(XB)、(YA)または(YB)の化合物。
  3. Figure 0005401465
    よりなる群、または、その薬学的に許容され得る酸付加塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
  4. Figure 0005401465
    またはその薬学的に許容され得る塩である、請求項1に記載の化合物。
  5. ジペプチジルペプチダーゼ−IVを阻害するための薬物の製造のための、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、もしくはその薬学的に許容され得る酸付加塩の使用。
  6. 該薬物を、ジペプチジルペプチダーゼ−IVにより媒介される状態を処置するために使用する、請求項5に記載の使用。
  7. ジペプチジルペプチダーゼ−IVにより媒介される状態がインスリン非依存性糖尿病である、請求項6に記載の使用。
  8. 少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体または希釈剤と共に、遊離型または薬学的に許容され得る酸付加塩の形態での、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物を含む医薬組成物。
  9. ジペプチジルペプチダーゼ−IVを阻害するための、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. ジペプチジルペプチダーゼ−IVにより媒介される状態を処置するための、請求項8に記載の医薬組成物。
  11. ジペプチジルペプチダーゼ−IVにより媒介される状態がインスリン非依存性糖尿病である、請求項10に記載の医薬組成物。
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