JP5400366B2 - Pt被覆線及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、接触燃焼式ガスセンサ用のヒータコイルとして、Pt線を用いることが開示されている。特許文献2によれば、ワイドレンジ型サーミスタのリード線として、Irを20重量%以下合金化したPtIr線が提案されている。特許文献3によれば、温度センサのリード線として、Pt被覆NiCr合金線が提案されている。この提案によれば、750℃までの温度域では、NiCr系合金の心材とPt被覆層の拡散が防止され、使用に耐えるという。又、特許文献4には、低消耗のスパークプラグの放電電極として75〜86%のPt、12〜20%のIr、0.5〜5%のWからなるPtIr合金線が提案されている。
このほか、高強度化、高融点化又はその他の目的で、Pd、Rh、Ru、Ni、W、Reなどの元素を25mass%程度まで添加したPtIr合金線が、高温用途に広く利用されている。
一方、前記特許文献3に代表されるような非貴金属の心材を用いたPt被覆線は、材料費が安価で、比較的高温まで使用できる利点がある一方、例えば、750℃以上の高温域では、耐久性が劣る。
Pt被覆層のコーティング手段は特に限定されず、電気めっき、無電解めっき、溶融めっき、溶融塩めっきなどのウェットプロセス、及び、真空蒸着、スパッタ、電子ビーム蒸着などのドライプロセスを含む公知のコーティング方法を採用することができる。いずれの方法によっても、心材に上記厚さのPt被覆層をコーティングできればよい。Pt被覆層を貫通する欠陥とは、ピンホールや割れなどである。第1の発明における心材の合金は、2元系のPtIr合金であって、Pt及びIrが上記範囲内であればよい。
ここで、減径のための加工とは、スウェージング、溝圧延、伸線など公知の方法である。
図1をもって、第1の発明の実施の形態を説明する。
第1の発明に係るPt被覆線は、Irを5〜50mass%含み、Ptを50mass%以上含む2元系合金からなる心材1と、厚さ1μm以上のPt被覆層2とから構成される。
第2の発明の実施の形態は、Pt被覆線に関するものであって、心材1が、Irを5〜49.9mass%、Niを0.1〜25mass%、Ptを50mass%以上含む3元系のPtIr合金からなることを特徴とする。
第3の発明の実施の形態は、第1又は第2の発明に係るPt被覆線の製造方法に関する。製造にあたっては、長さ10m以上の心材1に連続めっき法によってPt被覆層2をコーティングし、次いで300〜1200℃に加熱する熱処理を施し、さらに、所望の線径まで熱間又は冷間で加工して減径させる。なお、減径のための加工方法は特に限定されず、例えばスウェージング、溝圧延、伸線など公知の方法を採用できる。
第4の発明の実施の形態は、第3の発明に関し、図2をもって説明する。
長さ10m以上の心材1にめっき厚さ15μm未満の第1のPt被覆層2aを形成し、次いで300〜1200℃に加熱する熱処理を施す。次に、第1の被覆層2a上に、第2のPt被覆層2bを第1のPt被覆層2aと同様に形成し、次いで第1のPt被覆層2aと同様に300〜1200℃に加熱する熱処理を施す。以降は同様に、さらに多くの被覆層を形成してもよい。Pt被覆層2の形成後に、第3の発明と同様の手段によって加工する。
実施例及び比較例の心材組成、Pt被覆層厚さ及び試験結果を、表1及び表2に示す。
最終的に形成されたPt被覆層厚さを表1及び表2に示す。
すべての実施例及び比較例の試験片の作製には、φ0.3mmの心材を洗浄・脱脂して用いた。Pt被覆層の形成は、電気めっき法によった。Ptめっき浴には、Pt濃度50g/Lのジニトロジアンミン白金(II)硫酸溶液を用いた。
なお、実施例4〜6については、第4の発明に従ってコーティング工程と熱処理工程とを複数回繰り返した。実施例4については、1回あたりのPt被覆層厚さを7.5μmとし、前記工程を2回繰返した。実施例5については、1回あたりのPt被覆層厚さを10μmとし、前記工程を2回繰返した。実施例6については、1回あたりのPt被覆層厚さを10μmとし、前記工程を3回繰返した。
比較例1、比較例4及び比較例5は、Pt被覆層を形成しなかった。
すべての実施例及び比較例について、前記めっき処理の後、室温から1000℃まで1.5時間かけて加熱し、その後炉内放冷した。
実施例4〜6における2回目以降のPt被覆層の熱処理も同条件とした。
なお、Pt被覆層を形成しなかった比較例1、4、5についても、同様に熱処理した。
すべての実施例及び比較例について、前記熱処理の後、伸線機によって冷間加工し、φ0.25mmまで減径した。
試験は、耐熱試験後の外観、引張強さ及び伸びによって、効果の有無を判定した。
試験には、前記方法によって加工したφ0.25の線材を、長さ100mmに切断して用いた。
耐熱試験後の外観観察は、SEM(日本電子製)によりPt被覆線表面を観察し、欠陥の有無をしらべた。
耐熱試験後の引張試験は、オートグラフ(島津製作所製)を用い、室温中で、クロスヘッドスピード2.5mm/min、標点距離50mmとし、試験片が破断するまで引っ張った。引張試験には、5本の試験片を用いた。
試験結果を表1及び表2に示す。
心材のみの比較例は、上記耐熱試験によってIrが酸化・消耗し、破断応力及び伸びが低下した。
すべての実施例は、破断応力及び伸びが心材のみの比較例より向上した。
比較例2は、Pt被覆層を備えるにもかかわらず、強度及び伸びの向上がなかった。
比較例3は、伸びの向上を見たが、引張強さは低下したため、Pt被覆層による効果が不十分とみなした。
2 Pt被覆層
2a 第1のPt被覆層
2b 第2のPt被覆層
3 欠陥
3a 第1のPt被覆層の欠陥
3b 第2のPt被覆層の欠陥
Claims (4)
- PtがコーティングされたPt被覆線において、心材がIrを5〜50mass%含み、Ptを50mass%以上含む2元系のPtIr合金からなり、Pt被覆層の厚さが1μm以上であって、かつ、該Pt被覆層を貫通する欠陥がないことを特徴とするPt被覆線。
- PtがコーティングされたPt被覆線において、心材がIrを5〜49.9mass%、Niを0.1〜25mass%、Ptを50mass%以上含む3元系のPtIr合金からなり、Pt被覆層の厚さが1μm以上であって、かつ、該Pt被覆層を貫通する欠陥がないことを特徴とするPt被覆線。
- 請求項1又は2に記載のPt被覆線の製造方法であって、心材にめっき法によってPtをコーティングする工程と、300〜1200℃に加熱する熱処理工程と、所望の線径に減径する加工工程とからなることを特徴とするPt被覆線の製造方法。
- 心材にめっき厚さ15μm未満のPt被覆層をコーティングする工程と300〜1200℃に加熱する熱処理工程とを2回以上繰り返すことを特徴とする請求項3に記載のPt被覆線の製造方法。
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