JP5400261B2 - インドール化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、医農薬等の生理活性物質をはじめとする種々のファインケミカル中間体として有用なインドール化合物の製造方法に関する。
インドール化合物の製造方法として、以下の方法が知られている。
N−o−トリル−アセトアミドを360℃で酸化バリウムと反応させて2−メチルインドールを得た例がある(特許文献1)。同様にナトリウムアミド(非特許文献1)やナトリウムメトキシド(非特許文献2)を用いた例もあるが、いずれも高い反応温度を必要とし、副生成物が多く収率も高くない。
アセトンのフェニルヒドラゾンを240℃で水酸化ナトリウムと反応して2−メチルインドールを得た例があるが副生成物が多く低収率である(非特許文献3)。
2−ニトロ−1−(2−ニトロフェニル)プロペンを10%活性炭担持パラジウム触媒存在下水素と反応させて2−メチルインドールを製造しているが、収率は81%である(非特許文献4)。
アニリンをトリス(2−ヒドロキシプロピル)アミン塩酸塩と二塩化スズ、三塩化ルテニウム、トリフェニルホスフィン存在下180℃で反応させて収率64%で2−メチルインド−ルを得ているが、収率が低い(非特許文献5)。
2−ニトロベンジルカルボニル化合物からの製法としては、例えば2−ニトロフェニルアセトンを酢酸、酢酸ナトリウム存在下鉄で還元して2−メチルインドールを収率68%で得た記載(非特許文献6)があるが、収率が低い。4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトンを酢酸水溶液中亜鉛と反応させて95%の収率で6−フルオロ−2−メチルインドールを得た記載(特許文献2)等があるが、反応後処理時大量の酸化亜鉛が廃棄物として排出され、環境面での影響が大きい。また、パラジウム、ラネーニッケル、白金などの触媒存在下の接触還元でも同様な生成物が得られるという記載もあるが(特許文献2)、それに対応する実施例の記載がない。
担持貴金属触媒等の還元触媒と水素供与体を用いる方法で、2−置換インドール化合物を1段階で収率よく製造した例はあまりない。実際に4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトンを活性炭担持パラジウム触媒存在下水素ガスで還元すると、6−フルオロ−2−メチルインドリンが副生するために6−フルオロ−2−メチルインドールの収率は約70%である。これは、反応中間体として生成する1−ヒドロキシ−2−メチルインドールが2−メチルインドレニン N−オキシドと互変異性の関係にあり、この2−メチルインドレニン N−オキシドがさらに還元されて6−フルオロ−2−メチルインドリンを生成するためである。
還元中間体の1−ヒドロキシ−2−アルキルインドールの合成例としては、2−ニトロフェニルアセトンを亜鉛と塩化アンモニウムで還元して1−ヒドロキシ−2−メチルインドールを合成した例(非特許文献7)や、電気化学的なα−(o−ヒドロキシアミノフェニル)プロペンからの合成(非特許文献8)がある。また、1−ヒドロキシ−2−メチルインドールは、2−メチルインドレニン N−オキシドと互変異性の関係にあることが知られている(非特許文献9および非特許文献10)。
ついで、そのアシル化の例としては、1−ヒドロキシ−2−フェニルインドール類から無水酢酸や塩化ベンゾイルで1−アセトキシ−2−フェニルインドール類あるいは1−ベンゾイロキシ−2−フェニルインドール類を合成した例(非特許文献11)や1−アセトキシ−2−メチルインドール(非特許文献12)の合成例がある。
さらに、そのアシル化体からの還元反応の例としては、1−ベンゾイロキシ−2−フェニルインドールあるいは1−アセトキシ−3−シアノ−2−フェニルインドールをエタノール中活性炭担持パラジウム触媒で還元して2−フェニルインドールあるいは3−シアノ−2−フェニルインドールを得た例(非特許文献13)がある。しかし、この方法は出発物質の2−ニトロベンジルカルボニル化合物から目的物のインドール化合物を得るのに多段階を要し、効率的な方法ではない。
唯一、一段階で高収率で還元したものに活性炭担持5%パラジウムと水素で酢酸ナトリウム、無水酢酸存在下に実施した例(特許文献3)がある。しかし、この方法で使用する触媒が高価で危険なため、回収再使用操作が煩雑で製造コストを引き上げる原因になっている。
以上のように安価な試剤と簡単な操作でインドールを製造できる製造法は、これまでない。
インドール環の3位ハロゲン化は一般的にハロゲンや次亜ハロゲン酸等で行われる。ハロゲンを用いた場合はトルエンやクロロベンゼン等の溶媒のハロゲン化を起こすので、塩素化を受けない溶媒を使用する必要がある。また、ハロゲンを用いた場合はジハロゲノインドールを生成しやすい(非特許文献14、非特許文献15)。一方、次亜ハロゲン酸では溶媒のハロゲン化は防げるが、ジハロゲノインドールを生成するため、収率の低下を引き起こす(非特許文献16)。そのため、ジハロゲノインドールを亜硫酸水素ナトリウムや亜硫酸ナトリウム等の還元剤で還元して目的とする3−ハロゲノインド−ルにする工程が必要になり、工業的には煩雑な製造方法となる(特許文献3)。その他、ハロゲン化トリメチルシラン、ハロゲン化スクシンイミドやハロゲン化銅を用いた例があるが(特許文献4、特許文献5、非特許文献17、非特許文献18、非特許文献19)、高価な試剤や廃棄物の大量発生という意味で問題がある。そのため、3−ハロゲノインドールの工業的な製造では、これらの問題を発生させないハロゲン化の方法が求められている。そのようなハロゲン化の例としては、ベンゼン等を用いて、ジメチルスルホキシドのようなジアルキルスルホキシドと塩酸や臭化水素酸のようなハロゲン化水素酸の組み合わせの穏やかな条件で実施された例があるが(非特許文献20、非特許文献21)、インドール化合物の製造では実施された例はない。そこで、溶媒をハロゲン化することなく、ジハロゲン化を起こさない、安価で操作の簡単なインドール化合物のハロゲン化方法が望まれている。
インドール化合物と1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−クロロスルホニル−1,2,4−トリアゾールとを反応させることによりスルファモイルトリアゾール化合物を製造する方法が知られているが(特許文献4)、高価なカリウム ターシャリーブトキシドや水素化ナトリウムの使用(特許文献4、特許文献5)が必要である。また、一旦インドール化合物のナトリウム塩を生成した後1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−クロロスルホニル−1,2,4−トリアゾールと反応させる例があるが(特許文献3)、前工程からの反応溶媒を一度留去してからジグライム等のエーテル系溶媒中で反応させ、反応終了後にエーテル系溶媒を留去して再度別の溶媒で抽出を行うといった操作を必要とするため、安価な工業的製法とはいえない。一方、インドール化合物とベンゼンスルホニルクロライド化合物との反応では、安価な水酸化ナトリウムを使用して1段階で実施する例が多く知られている(非特許文献15、非特許文献22)。このような、より簡単な操作で収率の高い方法がインドール化合物と1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−クロロスルホニル−1,2,4−トリアゾールの反応でも求められている。また、ほかにもいくつかの製造方法が知られている(特許文献6、7及び8)。
DE262327 特開昭47−38963号公報 特開2004−083559 特開2000−302781 特開2001−187786 特開2001−247567 特開2002−241364 国際公開第99/21851号パンフレット ブルチン・デ・ラ・オブ・ソサイエテ・チミケ・デ・フランス(Bull.Soc.Chim.Fr.),4,1039(1924) オーガニックシンセセス(Org.Syn.),27,94(1942) ケミカル・ベリヒテ(Chem.Ber.),81,266,270(1948) ヘテロサイクルス(Heterocycles),55,95(2001) テトラヘドロン(Tetrahedron,3321(2001) ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),48,2066(1983) ブルチン・デ・ラ・オブ・ソサイエテ・チミケ・デ・フランス(Bull.Soc.Chim.Fr.),1296(1967) ブルチン・デ・ラ・オブ・ソサイエテ・チミケ・デ・フランス(Bull.Soc.Chim.Fr.),121(1974) ジャーナル・オブ・ザ・ケミカルソサイエティー(J.Chem.Soc.),1067(1970)) スペクトロチミカ・アクタ(Spectrochim.Acta),23,717(1967)) ジャーナル・オブ・ザ・ケミカルソサイエティー(J.Chem.Soc.),3466(1960) ブルチン・デ・ラ・オブ・ソサイエテ・チミケ・デ・フランス(Bull.Soc.Chim.Fr.),3040(1973) ジャーナル・オブ・ザ・ケミカルソサイエティー(J.Chem.Soc.),3466(1960) シンレット(Synlett),705(2003) シンセティック・コミニュケ−ションズ(Syn.Com.),34,1325(2004) ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),46,2054(1981) ジャーナル・オブ・ケミカル・リサ−チ,シナプシス(J.Chem.Reasearch,Synopses),6,182(1989)) テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),27、1051(1986) ジャーナル・オブ・ザ・ケミカルソサイエティー,パーキン・トランザクション・1(J.Chem.Soc.Perkin Trans.1),2305(1986) ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.),62,4321(1997) ケミカル・コミニュケ−ションズ(Chem.Com.),2679(1996) テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Letters),28、3423(1987)
本発明が解決しようとする課題は、工業的に有利な安価なインドール化合物の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、2−ニトロベンジルカルボニル化合物を金属と酸とで還元する際に、アシル化剤と塩基とを共存させることにより、インドール化合物を1段階で収率よく製造できることを見出すとともに、その3−ハロゲノ化合物およびスルファモイルトリアゾール化合物の工業的に有利な新規な製造方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、次の〔1〕から〔15〕に関する。
〔1〕式(2)
Figure 0005400261
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基またはフェニル基を表し、Rは置換されていてもよいアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、nは0から4の整数を表す。)
で表されるインドール化合物を相間移動触媒と塩基存在下直接3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールと反応させることによる式(3)
Figure 0005400261
(式中、R,R,Rおよびnは前記と同様の意味を表す)
で表されるスルファモイルトリアゾール化合物の製造方法。
〔2〕式(1)
Figure 0005400261
(式中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよいアルキル基またはフェニル基を表し、Rは置換されていてもよいアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、nは0から4の整数を表す。)
で表される2−ニトロベンジルカルボニル化合物を金属と酸とで還元する際に、アシル化剤と塩基とを共存させることにより製造した前記式(2)で表されるインドール化合物を用いる請求項1記載の製造方法。
〔3〕前記式(1)で表される2−ニトロベンジル化合物を金属と酸とで還元する際に、アシル化剤と塩基とを共存させることを特徴とする前記式(2)で表されるインドール化合物の製造方法。
〔4〕前記式(2)(但し、Rは水素原子)で表されるインドール化合物をハロゲン化水素酸とスルホキシド化合物を反応させることにより製造した前記式(2)(但し、Rはハロゲン原子)で表されるインドール化合物を用いる請求項1記載の製造方法。
〔5〕 前記式(2)(但し、Rは水素原子)で表されるインドール化合物をハロゲン化水素酸およびスルホキシド化合物と反応させることを特徴とする前記式(2)(但し、Rはハロゲン原子)で表されるインドール化合物の製造方法。
〔6〕 前記アシル化剤が有機酸無水物である請求項3記載のインドール化合物の製造方法。
〔7〕 前記アシル化剤が無水酢酸である請求項3記載のインドール化合物の製造方法。
〔8〕 前記塩基がアルカリ金属塩またはアルカリ金属水酸化物である請求項3記載のインドール化合物の製造方法。
〔9〕 前記塩基がアルカリ金属の有機酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩または水酸化物である請求項3記載のインドール化合物の製造方法。
〔10〕 前記金属が鉄である請求項3記載のインドール化合物の製造方法。
〔11〕 前記ハロゲン化水素酸が臭化水素酸である請求項5記載の製造方法。
〔12〕 前記スルホキシド化合物がジメチルスルホキシドである請求項5記載の製造方法。
〔13〕 前記式(2)で表されるインドール化合物が3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールである請求項1記載の製造方法。
〔14〕 1−(4−フルオロ−2−ニトロフェニル)アセトンを金属と酸とで還元する際に、アシル化剤と塩基とを共存させることを特徴とする2−メチル−6−フルオロインドールの製造方法。
〔15〕2−メチル−6−フルオロインドールを臭化水素酸およびスルホキシド化合物と反応させることを特徴とする3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールの製造方法。
前記式(1)で表される2−ニトロベンジルカルボニル化合物からの前記式(2)で表されるインドール化合物の製造方法についてさらに詳細に説明すれば、本発明は、式(1)
Figure 0005400261
(式中、RおよびRはそれぞれ独立して水素原子、置換されていてもよいアルキル基またはフェニル基を表し、Rは置換されていてもよいアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、nは0から4の整数を表す。)
で表される2−ニトロベンジルカルボニル化合物を金属と酸とで還元する際に、アシル化剤と塩基とを共存させることにより、中間体の式(4)
Figure 0005400261
で表される1−ヒドロキシインドールおよびその互変異性体の式(5)
Figure 0005400261
で表されるインドレニン N−オキシドをアシル化して、式(6)
Figure 0005400261
(式中、Rは上記アシル化剤のアシル基を表す。)
で表される1−アシロキシインドール類を経由させることを特徴とする、式(2)
Figure 0005400261
で表されるインドール化合物の製造方法である。この方法により、還元副生成物のインドリン化合物をほとんど副生せず、高収率でインドール化合物を製造することができる。
前記式(2)(但し、Rは水素原子)で表されるインドール化合物をハロゲン化水素酸およびスルホキシド化合物と反応させることを特徴とするハロゲン化では、ジハロゲン化物の副生等の問題が回避された結果、1段階で収率良くハロゲン化を行えるため、操作性が向上し、工業的に非常に有利な製造方法となっている。
また、前記式(2)(但し、Rはハロゲン原子)で表されるインドール化合物を相間移動触媒と塩基存在下直接3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールと反応させることによる前記式(3)で表される化合物の製造方法は、エーテル系溶媒以外の溶媒中でも行えるため、溶媒を置換する工程が不要となり、工業的に非常に有利である。
本発明の製造方法は操作的に優れているため、インドール化合物を工業的に、収率良く製造することができる。
本発明が適用される化合物としては、式(1)で表される2−ニトロベンジルカルボニル化合物および式(2)で表されるインドール化合物において、RおよびRがそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基またはフェニル基を表し、Rが置換されていてもよいアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基またはハロゲン原子を表し、nが0から4の整数を表す場合が挙げられ、RおよびRがそれぞれ独立して水素原子または置換されていてもよいアルキル基を表し、Rがハロゲン原子を表し、nが0または1の整数を表す場合が挙げられ、Rがメチル基を表し、Rが水素原子を表し、Rがフッ素原子を表し、nが0または1の整数を表す場合が挙げられる。
本発明の出発原料である式(1)で表される2−ニトロベンジルカルボニル化合物は、既知の方法で製造される。たとえば、1−(2−ニトロフェニル)アセトン(テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.),42,1387(2001))、1−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アセトン(ケミカル・アンド・ファーマソイティカル・ブルチン(Chem.Pharm.Bull.),17,p.605(1969))、1−(4−フルオロ−2−ニトロフェニル)アセトン(特開昭47−38947号公報)が挙げられる。
2−ニトロベンジルカルボニル化合物を還元する際に使用する試剤および反応条件は以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
アシル化剤としては、反応活性なアシル基を持つ有機酸無水物が有効であり、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水カプロン酸、無水クロトン酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水コハク酸等あるいは無水酢酸と蟻酸から合成した混合酸無水物等が好ましく、これらの混合物も使用できる。この内、特に無水酢酸が経済性の面から好ましい。
アシル化剤の使用量は、2−ニトロベンジルカルボニル化合物に対して通常0.01〜10モル、好ましくは0.5〜5モルである。
塩基としては、アミンやピリジン等の有機塩基や、アルカリ金属の有機酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及び亜硫酸塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属の有機酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及び亜硫酸塩等のアルカリ土類金属塩、アルカリ金属の水酸化物、酸化物並びにアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物等の無機塩基が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属塩及びアルカリ金属の水酸化物が挙げられ、また好ましくはアルカリ金属の有機酸塩や反応液中で有機酸無水物あるいは有機酸と反応してアルカリ金属の有機酸塩を生成するアルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化物等の塩基が挙げられる。このうち特に蟻酸ナトリウム、蟻酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カルシウム等が好ましい。これらの塩基の混合使用も可能である。
塩基の使用量としては、2−ニトロベンジルカルボニル化合物に対して0.01〜5モルが好ましく、0.1〜2モルが更に好ましい。
金属としては、通常還元に使用される鉄、亜鉛、スズ、マグネシウム等の金属が好ましく、さらに安価で環境に対する影響の小さい鉄が経済性の面から好ましい。また、硫酸鉄や塩化第一スズ等の金属化合物も使用できる。
金属の使用量は、2−ニトロベンジルカルボニル化合物に対して、好ましくは1モルから10モル、更に好ましくは1.5モルから5モルである。
金属の形状や粒子の大きさは反応速度に影響する可能性があり、鉄でいえば、通常の鉄粉の他に還元鉄、電解鉄等の鉄粉があるが、本反応では粒子の大きさによらず使用することができる。
酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸等の有機酸や塩酸、硫酸等の無機酸が挙げられるが、その内特に水を含まない酢酸が経済性の面からも好ましい。水を含む場合、アシル化剤の加水分解が起こり、所望の効果が得られない場合がある。
酸の使用量としては、2−ニトロベンジルカルボニル化合物に対して1〜20モルであり、好ましくは3〜10モルである。
溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限はないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の炭化水素類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒が挙げられ、これらの混合溶媒でも使用できる。
溶媒の使用量としては、2−ニトロベンジルカルボニル化合物に対して1〜20倍量が好ましく、3〜10倍量が更に好ましい。
2−ニトロベンジルカルボニル化合物からインドール化合物を製造する反応は、2−ニトロベンジルカルボニル化合物、アシル化剤、塩基、金属、酸および溶媒の混合物を反応させることで行う。工業的に好ましい方法としては、例えば、2−ニトロベンジルカルボニル化合物、アシル化剤、塩基、金属および溶媒の混合物に反応温度で酸を反応に影響しない速度で加える方法が挙げられる。
反応温度は、通常、室温以下の低温から数百度の範囲であり、好ましくは室温から反応溶媒の沸点以下の温度である。
反応時の圧力としては、常圧から100kg/cm等の高圧下あるいは減圧下でも行うことができるが、好ましくは常圧である。
反応後の反応液の処理法としては、金属酸化物や未反応金属をろ過により除いた後反応液の水洗浄を行い、インドール化合物を含む溶液を得ることができる。ろ過性が悪い場合は、塩酸や硫酸などを加えて金属酸化物を溶解してろ過しやすくすることができる。また、必要に応じて、水酸化ナトリウム等のアルカリ性水溶液や、硫酸、塩酸等の酸性水溶液で反応液を洗浄することで反応に使用した試剤や副生成物等を除くことができる。
式(2)(但し、Rは水素原子)で表されるインドール化合物をハロゲン化水素酸とスルホキシド化合物と反応させる際に使用する試剤および反応条件は以下の通りであるが、これらに限定されるものではない。
ハロゲン化水素酸としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素およびその水溶液が挙げられるが、好ましくは臭化水素酸水溶液である。
ハロゲン化水素酸の使用量は、インドール化合物に対して通常0.1から5モル、好ましくは1から2モルである。
スルホキシド化合物としては、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、高級アルキル基を持つ長鎖の鎖状スルホキシド類、スルホラン等の環状スルホキシドが挙げられるが、ジメチルスルホキシドが経済性の面から好ましい。
スルホキシド化合物の使用量は、インドール化合物に対して通常0.01から5モル、好ましくは0.1から2モルである。
溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限はないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒および水が挙げられ、これらの混合溶媒も使用できる。
溶媒の使用量としては、インドール化合物に対して通常1から10倍量、好ましくは3から7倍量である。
反応温度としては、室温以下の低温から溶媒の沸点の範囲で行うことができる。
反応は、インドール化合物、スルホキシド類および溶媒の混合物に反応温度でハロゲン化水素酸を反応に影響しない速度で添加することによって行うことができる。
反応ではスルホキシド類が還元されたスルフィド類が副生するが、過酸化水素、有機酸の過酸、無機酸化剤等のスルフィドをスルホキシドに酸化することができる酸化剤の添加あるいは酸素酸化等でスルフィドをスルホキシドに戻すこともできる。その場合、再生したスルホキシドを再使用することができるため、スルホキシド類を大幅に削減することができ、環境に対する影響を軽減できる。
式(2)で表されるインドール化合物を相間移動触媒と塩基存在下直接3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールと反応させることにより、式(3)で表される化合物を製造することができる。
Figure 0005400261
式(3)で表される化合物は、国際公開第99/21851号パンフレット記載の殺菌剤である。
相間移動触媒としては、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、ヨウ化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、ヨウ化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム等の4級アンモニウム塩、塩化テトラブチルホスホニウム、臭化テトラブチルホスホニウム、臭化エチルトリフェニルホスホニウム、臭化ベンジルトリフェニルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム等の4級ホスホニウム塩、塩化ドデシルピリジニウム等のピリジニウム塩、15−クラウン−5−エーテル、ジベンゾ−18−クラウン−6−エーテル等のクラウンエーテル等が挙げられる。好ましくは安価で反応性が高く、反応後分離が容易な臭化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
相間移動触媒の使用量としては、インドール化合物に対して通常0.0001から1モルであり、好ましくは0.001から0.05モルである。
塩基としては、アルカリ金属の有機酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及び亜硫酸塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属等の有機酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩及び亜硫酸塩等のアルカリ土類金属塩、アルカリ金属の水酸化物、酸化物並びにアルカリ土類金属の水酸化物、酸化物等の無機塩基が挙げられるが、好ましくはアルカリ金属の水酸化物であり、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが挙げられ、水酸化ナトリウムが経済性の面から好ましく、中でも取り扱いやすい水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
塩基の使用量としては、インドール化合物に対して通常0.1から10モル、好ましくは1.0から3モルである。
3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールの使用量としては、インドール化合物に対して通常0.5から3モル、好ましくは1.0から1.5モルである。
溶媒としては、反応に不活性なものであれば特に制限はないが、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル等のエステル類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の極性溶媒、ピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、キノリン等のピリジン類等および水が挙げられ、これらの混合溶媒も使用できる。
塩基として水酸化ナトリウム水溶液を用いる場合、上記溶媒の内、水と分離する溶媒中で反応を行うことが好ましい。
溶媒の使用量としては、インドール化合物に対して通常1から20倍量、好ましくは3から10倍量である。
反応温度としては、室温以下の低温から溶媒の沸点までの範囲で行うことができる。
反応は、インドール化合物、相間移動触媒、塩基および溶媒の混合物に3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールあるいはその溶液を添加することで反応させるか、インドール化合物、相間移動触媒、3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールおよび溶媒の混合物に反応温度で塩基を加えることで反応できる。
Figure 0005400261

式(3)で表される化合物は 以下の方法で結晶として単離することができる。
晶析溶媒として上記の反応時の溶媒がそのまま使用できるが、好ましくは反応で使用した溶媒をそのまま濃度調整して晶析溶媒として使用する方法であり、エタノール、1,2-ジクロロエタン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等が好ましい。
溶媒量は収率および晶析時の溶液状態から最適な量で行われ、1倍量から5倍量で晶析されるのが好ましい。
1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールの場合、結晶多形として融点が132℃のアルファ形結晶、126℃のベータ形結晶、転移温度119℃でアルファ形結晶に転移するガンマ形結晶等やトルエン含有した擬似結晶のデルタ形結晶等が存在する。
そのうち、最も高融点で安定なアルファ形結晶が目的物として望まれ、その製造法としてトルエンやクロロベンゼン等の溶媒を含有した擬似結晶を一旦得た後減圧、加熱等の条件で溶媒を除くことで得るか、溶媒を含有した擬似結晶を生成しない溶媒で晶析を行うことによって得ることができる。好ましくは、トルエン溶媒で反応後、トルエン量を目的物の2倍量から3倍量に調整後、冷却してろ過することでトルエンを含有したデルタ型結晶を得た後、40℃以上の温度で減圧下トルエンを除去してアルファ形結晶を製造することができる。
結晶化時トルエン含有のデルタ型結晶の種結晶を少量添加すれば、ベータ形結晶やガンマ形結晶を生成させずにトルエン含有のデルタ形結晶だけを確実に生成させることができる上にろ過性のよい大きなデルタ型結晶を得ることができる。
以下、実施例を挙げ本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
6−フルオロ−2−メチルインドールの製造
窒素で置換した反応フラスコに4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトン200g(1.01モル)、トルエン1060g、酢酸ナトリウム41.6g(0.507モル)、無水酢酸207.1g(2.03モル)および鉄粉170g(3.04モル)を入れ、100℃に昇温して酢酸487g(8.12モル)を3時間かけて滴下した後、1.5時間反応させた。液体クロマトグラフィーで4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトンの消失を確認した後、水1600gを投入して室温まで冷却した。97%硫酸207gを滴下した後、不溶物の酸化鉄や未反応の鉄をろ過して除いた。トルエン層を分液した後、水400gで洗浄、水400gと30%水酸化ナトリウム水溶液40gの混合溶液で洗浄、水400gで2回洗浄して6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液を得た。液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、6−フルオロ−2−メチルインドール144.4g(収率95.4%)の生成を確認した。
〔実施例2〕
6−フルオロ−2−メチルインドールの製造
窒素で置換した反応フラスコに4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトン20.0g(0.101モル)、トルエン106g、酢酸ナトリウム4.16g(0.0507モル)、無水酢酸20.7g(0.203モル)および鉄粉17.0g(0.304モル)を入れ、100℃に昇温して酢酸30.5g(0.507モル)を1時間かけて滴下した後4時間反応させた。液体クロマトグラフィーで4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトンの消失を確認した後、水160gを投入して室温まで冷却した。不溶物の酸化鉄や未反応の鉄をろ過して除いた後、トルエン層を分液し、水40gで洗浄、水40gと30%水酸化ナトリウム水溶液1.6gの混合溶液で洗浄、水40gで2回洗浄して6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液を得た。液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、6−フルオロ−2−メチルインドール14.0g(収率92.4%)の生成を確認した。70℃でトルエン量が10.5gになるまで減圧下留去した後、ヘプタン24.5gを加えた溶液を0℃まで冷却して結晶化させてろ過、ヘプタン14.0gで洗浄を経て6−フルオロ−2−メチルインドール12.1gを結晶として得た。
〔実施例3〕
3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールの製造
6−フルオロ−2−メチルインドール40.0g(0.268mol)のトルエン200g溶液にジメチルスルホキシド33.5g(0.429mol)を窒素雰囲気下で加え、温度を20℃にした。この溶液に18〜22℃で47%臭化水素73.9g(0.429mol)を1時間かけて滴下し、18〜22℃で更に7時間反応させた。目的物が生成していることをHPLCで確認したあと、5〜10℃に冷却して水120gを滴下し分液した。その後、5〜10℃で水120gで2回洗浄して、3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液を得た。
【0094】
1−2.
【実施例4】
1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールの製造
前工程で得られた3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液に0〜5℃で30%水酸化ナトリウム53.6g(0.402mol)、テトラブチルアンモニウムブロマイド0.865g(0.00268mol)を窒素雰囲気下で加えた後、別途窒素雰囲気下50℃で溶解しておいた3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール87.2g(0.317mol)のトルエン419gの溶液を−5〜0℃で4時間かけて滴下し、0℃で更に3時間攪拌した。反応終了後、水183gを投入して、40℃まで昇温して分液後、水183gで2回洗浄して目的とする1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール118.7g(収率95.0%)を含むトルエン溶液を得た。トルエンを留去して目的物の2.5倍量までトルエン量を減らした後、−5〜0℃まで冷却して結晶を析出させた。結晶をろ過し、冷却したトルエン113gで洗浄してトルエン含有のデルタ型結晶を得た後、減圧下60℃で、乾燥後、1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールのアルファ型結晶106.4g(収率85.1%)を得た。
【実施例5】
3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールの製造
6−フルオロ−2−メチルインドール232.3g(1.558mol)のトルエン1162g溶液にジメチルスルホキシド133.9g(1.713mol)を窒素雰囲気下で加え、温度を20℃にした。この溶液に18〜22℃で47%臭化水素455.9g(2.648mol)を2時間かけて滴下し、18〜22℃で更に7時間攪拌した。目的物が生成していることをHPLCで確認したあと、5〜10℃に冷却して水604g、30%水酸化ナトリウム160gを滴下した後、分液した。その後、水604gで2回洗浄して、3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液を得た。
【0095】
【実施例6】
1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールの製造
前工程で得られた3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液に0〜5℃で30%水酸化ナトリウム311.5g(2.336モル)、テトラブチルアンモニウムブロマイド5.02g(0.0156モル)を窒素雰囲気下で加えた後、別途窒素雰囲気下50℃で溶解しておいた3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール511.2g(1.860モル)のトルエン2986g溶液を−5〜0℃で4時間かけて滴下し、0℃で更に3時間攪拌した。反応終了後、水1066gを投入して、40℃まで昇温して分液後、前工程から混入しているジメチルスルフィドを除去するために、水1066g、30%過酸化水素194.2g(1.713モル)、35%重亜硫酸ナトリウム92.6gを順次加えて処理した。分液後、水1066gで2回洗浄して目的とする1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール657.3g(収率90.5%)を含むトルエン溶液を得た。トルエンを60℃で留去して目的物の2.5倍量までトルエン量を減らした後、徐々に冷却しながら55℃からトルエン含有結晶を1℃おきに少量添加して結晶化させ、その後−5〜0℃まで冷却した。結晶をろ過し、冷却したトルエン657gで洗浄してトルエン含有のデルタ型結晶を得た後、減圧下60℃で乾燥して、1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールのアルファ型結晶598.4g(収率79.5%)を得た。
【0096】
【実施例7】
6−フルオロ−2−メチルインドールの製造
窒素で置換した反応フラスコにトルエン422g、鉄粉150g(2.68モル)および酢酸ナトリウム43.9g(1.34モル)を入れ、90℃に昇温して無水酢酸273g(2.68モル)と酢酸642g(10.7モル)を滴下して加えた。4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトン211g(1.07モル)のトルエン422gの溶液を90℃で3時間かけて滴下した。滴下後、100℃に昇温して3時間反応させた。液体クロマトグラフィーで4−フルオロ−2−ニトロフェニルアセトンの消失を確認した後、水1688gを投入して室温まで冷却した。97%硫酸223gを滴下した後、不溶物の酸化鉄や未反応の鉄をろ過して除いた。トルエン層を分液した後、水400gで洗浄、水400gと30%水酸化ナトリウム水溶液40gの混合溶液で洗浄、水400gで2回洗浄して6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液を得た。液体クロマトグラフィーで定量分析したところ、6−フルオロ−2−メチルインドール149g(収率93.2%)の生成を確認した。
【実施例8】
1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾールの製造
前工程で6−フルオロ−2−メチルインドール7.00g(0.0469mol)から得られた3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドールのトルエン溶液に3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール14.2g(0.0516mol)のトルエン85.1gの溶液とテトラブチルアンモニウムブロマイド0.151g(0.000469mol)を加え、48%水酸化ナトリウム5.99g(0.0704mol)を−5〜0℃で4時間かけて滴下し、−5〜0℃で更に3時間攪拌した。反応終了後、水32gを投入して、40℃まで昇温して分液後、水32gで2回洗浄して目的とする1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イル)スルホニル−1,2,4−トリアゾール20.0g(収率91.2%)を含むトルエン溶液を得た。
〔参考例1〕
ビス[1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ジスルフィドの製造法
ビス[1,2,4−トリアゾール−3−イル]ジスルフィド327.1g(1.634モル)と1,2−ジクロロエタン1636gの混合物にN,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン19.0g(0.1634モル)、炭酸ナトリウム346.3g(3.268モル)を加えて30℃に昇温、28〜32℃の間でN,N−ジメチルスルファモイルクロライド492.6g(3.431モル)を2時間で滴下し、28〜32℃の間で6時間反応させた。反応後、1,2−ジクロロエタン2944gを加え、この溶液を35%塩酸340.7gと水3925gの混合物に20〜25℃の範囲で投入した。水層を分液して除きビス[1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ジスルフィド629.1gを含む1,2−ジクロロエタン溶液5548gを得た(液体クロマトグラフィーによる定量分析により、収率92.9%)。
〔参考例2〕
3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールの製造法
ビス[1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール−3−イル]ジスルフィド600g(1.45モル)を含む1,2−ジクロロエタン溶液4800gに水1800gを投入して15℃に冷却し、メタノール300gを加えた後、塩素ガス564.5g(7.96モル)を15〜20℃の範囲内で3時間かけて吹き込んだのち、15〜20℃で0.5時間反応させた。反応後、分液し、水1620gでの洗浄3回を経て、3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾール724.3g(液体クロマトグラフィーによる分析で収率91.1%)を含む1,2−ジクロロエタン溶液を得た。
〔参考例3〕
1−(4−フルオロ−2−ニトロフェニル)アセトンの製造
2,5−ジフルオロニトロベンゼン15.0g(0.0943モル)、ジメチルスルホキシド30gの混合溶液に炭酸カリウム39.1g(0.283モル)を投入して50℃に昇温し、48〜52℃の範囲で室温下、アセチルアセトン11.3g(0.113モル)を1時間かけて滴下した。48〜52℃で反応9.5時間の後、トルエン90.0g、水30.0g、メタノール30.0gを投入し、48〜52℃の範囲で9時間反応させた。反応後、室温に冷却し、水120gを投入して分液、水30gで2回洗浄して、1−(4−フルオロ−2−ニトロフェニル)アセトン16.0g(液体クロマトグラフィーによる定量分析で2,5−ジフルオロニトロベンゼンから収率86.2%)を含むトルエン溶液を得た。
本発明に従うと、従来安価な製造が困難であったインド−ル製造等の有用中間体である6−フルオロ−2−メチルインドールを2−ニトロフェニルアセトン類から容易に得ることができ、さらにインドール化合物の3−ハロゲン体や1−スルホニル体を安価で容易な方法で製造することができるため、工業的な製造方法として非常に優れている。

Claims (2)

  1. 式(2):
    Figure 0005400261
    (式中、Rはメチルを表し、Rは臭素原子を表し、Rは6−フッ素原子を表し、nは1の整数を表す。)で表されるインドール化合物を相間移動触媒と塩基存在下直接3−クロロスルホニル−1−(N,N−ジメチルスルファモイル)−1,2,4−トリアゾールと反応させることによる式(3)
    Figure 0005400261
    (式中、R,R,Rおよびnは前記と同様の意味を表す)で表されるスルファモイルトリアゾール化合物の製造方法。
  2. (4)
    Figure 0005400261
    (式中、R はメチルを表し、R は水素原子を表し、R は6−フッ素原子を表し、nは1の整数を表す。)で表されるインドール化合物を臭化水素酸とスルホキシド化合物を反応させることにより製造した前記式(2)(式中、R はメチルを表し、R は臭素原子を表し、R は6−フッ素原子を表し、nは1の整数を表す。)で表されるインドール化合物を用いる請求項1記載の製造方法。
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