JP5398694B2 - (メタ)アクリル酸系共重合体、その製造方法及びその用途 - Google Patents
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Description
以下に本発明を詳述する。
上記共重合体(1)を構成する構成単位(a)としては、上記一般式(1)においてXが水素原子である(メタ)アクリル酸;Xが金属原子等である(メタ)アクリル酸塩等の1種又は2種以上が好適である。
上記単量体(a)としては、アクリル酸、アクリル酸ナトリウムが好ましく、アクリル酸がより好ましい。
上記R2、R3及びR4としては、R2、R3、R4の全てが水素原子、R2、R3が水素原子でR4がメチル基であることが好ましく、R2、R3、R4の全てが水素原子であることがより好ましい。
上記R5としては、−CH2−O−CH2−、−C(CH3)=CH−であることが好ましく、−CH2−O−CH2−であることがより好ましい。
上記R6及びR7としては、同一若しくは異なって、−OH、−SO3Mであることが好ましく、より好ましくは、R6が−OH、R7が−SO3Mである。Mとしては、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましく、ナトリウム原子がより好ましい。
上記Mとしては、上述した一般式(1)のXにおいて例示したものと同様のものが好適である。これらの中でも、ナトリウム原子、カリウム原子が好ましく、ナトリウム原子がより好ましい。
上記AOとしては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましい。より好ましくは、オキシエチレン基である。上記nとしては、3〜100が好ましく、より好ましくは、5〜50である。
上記R8の炭素数1〜30の炭化水素基としては、メチル基、エチル基等のアルキル基やフェニル基等のアリール基が好適である。好ましくは、メチル基、エチル基、フェニル基であり、より好ましくは、メチル基、フェニル基である。
上記Mwの測定条件は、以下のとおりである。
(1)GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。測定に用いたカラムはGF−7M HQ(昭和電工株式会社製)であり、移動相はリン酸水素二ナトリウム12水和物34.5g及びリン酸二水素ナトリウム2水和物46.2g(何れも試薬特級、以下測定に用いる試薬は全て特級を使用)に純水を加えて全量を5000gとし、その後0.45ミクロンのメンブランフィルターで濾過した水溶液を用いた。
(3)更に検量線としては、ポリアクリル酸ナトリウム標準サンプル(創和科学株式会社製)を用いた。
(4)サンプルを移動相の溶媒で希釈し0.1質量%サンプル溶液を調製した。
(5)解析ソフトには、sic480II(昭和電工株式会社製)を用いた。これらにより共重合体の重量平均分子量を測定した。
このように、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸系単量体由来の構成単位(a)、及び、上記一般式(2)で表される不飽和単量体由来の構成単位(b)を有する共重合体であって、上記共重合体は、構成単位(a)と構成単位(b)との割合が、構成単位(a)70〜95モル%、構成単位(b)5〜30モル%であり、重量平均分子量(Mw)が、6万〜100万であり、構成単位(b)の(モル%)×(Mw)の式により求められる値が、100万以上であり、分子量分布(Mw/Mn)が、25未満である共重合体もまた、本発明の好ましい形態の一つである。
上記割合として好ましくは、構成単位(a)72〜88モル%、構成単位(b)12〜28モル%であり、より好ましくは、構成単位(a)74〜86モル%、構成単位(b)14〜26モル%である。なお、上記割合は、(a)+(b)=100モル%とする場合のものであり、共重合体(1)が構成単位(a)及び構成単位(b)以外の構成単位を含んでいてもよい。
上記その他の構成単位の含有割合としては、全構成単位中、0〜20モル%であることが好適である。好ましくは、0〜10モル%であり、より好ましくは、0モル%である。
上記共重合体(2)はまた、(iv)残存単量体が、固形分100質量%に対し、2質量%未満である。残存単量体が2質量%以上であると、例えば、スケール防止剤や洗浄剤添加物等に使用した際に、残存単量体は不純物となることからコストパフォーマンスの低下を招くおそれがあり、更に、場合によっては性能に悪影響を及ぼすおそれがある。好ましくは、1.5質量%未満であり、より好ましくは、1.0質量%未満である。
固形分(%)=〔乾燥後の蒸発残分(g)/乾燥前の重合溶液の質量(g)〕×100 (式1)
上記重合反応が終了した時点とは、例えば、上述した各成分の滴下終了後であってもよいし、また、より具体的には、上述した各成分の滴下終了後、更に30分間、反応溶液を各成分滴下時の温度に保持(熟成)した後であってもよい。
上記式(3)で表される構成単位としては、共重合体100質量%に対して、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、100質量%以上であることが更に好ましい。
上記構成単位(c)としては、構成単位(a)を構成する単量体(a)よりも単独重合の重合速度が遅い単量体(以降、単量体(c)ともいう。)に由来するものであることが好ましい。なお、単量体(c)としては、単量体(a)より単独重合の重合速度が遅い(例えば、ラジカルの安定性や立体障害等により、ラジカル重合反応性が低い)ものが好ましく、単独重合しない単量体も含まれる。
上記他の単量体(2)としては、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、これらの塩及びこれらの酸無水物等が好適である。なお、上記単量体(2)が塩の形態である場合、好適な例等については、上述と同様である。
上記共重合体において、重量平均分子量(Mw)については、共重合体(1)において上述したとおりである。
上記単量体(a)の添加速度としては、製造設備の規模等によって適宜設定することができ、添加時間中変更してもよく、一定であってもよいが、分子量分布の狭い好適な共重合体を得るためには、添加速度は一定であることが好ましい。
上記単量体(a)の添加時間としては、反応条件により適宜設定することができるが、例えば、単量体(a)の添加を開始する時点を基準として、30〜300分であることが好ましい。より好ましくは、45〜180分であり、更に好ましくは、60〜120分である。
上記希釈水の添加量としては、重合総仕込み量に対して、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。上記希釈水としては、イオン交換水、蒸留水等が好適である。
上記希釈水添加方法としては、上述の単量体(a)の添加方法と同様である。
上記攪拌装置としては、攪拌翼に代表されるモーター駆動型、シェイカー等に代表される面駆動型、噴射衝突型、超音波分散型、モーションレスミキサー等を利用することができる。中でも設備の初期投資やメンテナンスの容易さ等の点から、攪拌翼を使用することが好ましい。なお、攪拌速度は、装置の規模等によって適宜設定することができる。攪拌は、一時的に、又は、連続的にすることができるが、ゲル化物の付着の抑制、反応の促進の観点から、連続的に反応時間中継続して行うことが好ましい。
上記希釈水は、上述したものと同様である。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、例えば、全単量体成分100質量%に対し、下限が0.001質量%、上限が10質量%とすることが好適である。
上記固形分濃度が30質量%未満であると、単量体(c)として、重合反応性の低いアリル系等の単量体を用いた場合、得られる共重合体が充分には高分子量化できないおそれがあるが、固形分濃度を30質量%以上とすると、重合反応性の低いアリル系等の単量体に由来する構成単位を有する共重合体を高分子量化することができる。すなわち、重合系中の単位時間当たりの単量体濃度を高くすることでより高分子量の共重合体を製造することが可能である。より好ましくは、34質量%以上であり、更に好ましくは、38質量%以上である。
共重合反応の際の溶媒としては、特に限定されず、例えば、水や、イソプロピルアルコール等の炭素原子数1〜4の低級アルコールを用いることが好ましく、これらは単独溶媒であっても混合溶媒であってもよい。中でも、脱溶剤工程を省略できる点で、水を溶媒に用いることがより好適である。
上記(2)工程における単量体(a)等の添加速度、上記(3)の工程における水の添加速度、添加開始時点、上記(4)の工程における開始剤の添加速度の上昇時点としては、上述したものが好適である。
還流冷却器、攪拌機を備えた容量25LのSUS製反応容器に、40質量%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、40%HAPSと略す)6024gを装入し、攪拌下で沸点還流状態まで昇温した。次いで攪拌下、沸点還流状態の重合反応系中に、80質量%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと略す)5670gと40%HAPS:6024g、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下、15%NaPSと略す)2128g(単量体成分中の単量体1モルに対して3.8gに相当)を滴下した。80%AAの添加を開始する時点を基準(0分)として、80%AAを0分〜90分の間、40%HAPSを0分〜60分の間、それぞれ一定速度で滴下した。開始剤である15%NaPSは、添加速度9.7g/分で滴下し、開始55分で添加速度を3倍の29.1g/分に変更し、0分〜110分の間滴下した。次いで、脱イオン水(希釈水)4940gを50分〜90分の間、一定速度で滴下した。それぞれ別個のノズルから滴下し、反応液は、攪拌下、沸点還流状態に保った。なお、80%AAの滴下時間に対して56%経過時点から水の滴下を開始したことになる。
還流冷却器、攪拌機を備えた容量25LのSUS製反応容器に、酸型の40質量%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、酸型40%HAPSと略す)8372g、80%AA:4662g、開始剤である35質量%過酸化水素(以下、35%HPと略す)980g、イオン交換水:10360gを装入し、攪拌下で沸点還流状態まで昇温した。次いで4時間沸点還流状態で重合させた。
4時間後、反応容器にゲルの付着が見られ、また、重合溶液中の固形分濃度は、30質量%であった。残存単量体(残存HAPS)は、固形分100質量%に対し、15質量%であった。得られた共重合体(共重合体(B))の重量平均分子量は、102000であり、分子量分布は、35.1であった。
水の滴下を行わない他は、実施例1と同様に行った。80%AAの滴下を開始してから70分後の反応容器には、ゲルの付着が見られ、また、重合溶液中の固形分濃度は、50質量%であった。残存単量体(残存HAPS)は、固形分100質量%に対し、2.4質量%であった。得られた共重合体(共重合体(C))の重量平均分子量は、128000であり、分子量分布は、30.6であった。
下記方法により、実施例1及び比較例1、2で得られた共重合体(A)〜(C)のスケール抑制能を評価した。
〔スケール抑制能試験〕
250mlの内容積のポリプロピレン製容器にシリカ濃度=210mg/L(SiO2換算、メタケイ酸ナトリウム・9水和物で調整)、マグネシウム濃度=200mg/L(CaCO3換算、硫酸マグネシウム・7水和物で調整)、Mアルカリ度=500mg/L(CaCO3換算、炭酸水素ナトリウムで調整)の試験水と、添加濃度を固形分換算で100mg/Lとなるように共重合体とを入れ、pH8.5、全量が200mlになるように調製した。この溶液を、密閉可能な120mlの内容積のポリプロピレン製容器中に空気が混入しないように仕込んで密閉し、60℃で40時間静置した。その後、0.1μmメンブランフィルターを用いてろ過し、プラズマ発光分光分析装置(ICP)(セイコー電子工業株式会社製SPS4000)を使用して、ろ液のSi濃度を定量し、SiO2濃度に換算して、下記式によりスケール抑制率(%)を算出した。
X:試験後のろ液中のSiO2濃度(mg/L)
Y:ポリマー無添加で試験したろ液中のSiO2濃度(mg/L)
Z:試験前のSiO2濃度(mg/L)
評価結果を下表に示す。
Claims (3)
- 下記一般式(1);
該共重合体は、
重量平均分子量(Mw)が、6万〜100万であり、
構成単位(b)の(モル%)×(Mw)の式により求められる値が、100万以上であり、
残存単量体が、固形分100質量%に対し、2質量%未満であることを特徴とする共重合体。 - 下記一般式(1);
該製造方法は、(メタ)アクリル酸系単量体の全使用量のうち50質量%以上を重合溶液に逐次添加し、(メタ)アクリル酸系単量体の全逐次添加時間の45%経過時点以降に希釈水を重合溶液に添加する工程、及び、
開始剤と希釈水とを重合溶液に添加する工程を含み、
希釈水添加開始時間の15分前の時点での開始剤の添加速度を基準として、希釈水添加開始時間の15分経過以降における開始剤の添加速度を1.5〜5倍にすることを特徴とする共重合体の製造方法。 - 前記製造方法は、重合反応が終了した時点での重合溶液中の固形分濃度が30質量%以上であることを特徴とする請求項2に記載の共重合体の製造方法。
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