JP5397831B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
燃料電池システムは、他の電源システムに比べて起動性が低く、特に低温下での起動性の低さに問題がある。具体的には、燃料電池システムを低温下で起動させると、燃料電池が十分に温まるまでは、燃料電池からの出力が不足して、燃料電池に対する出力要求通りに負荷を駆動させることができない場合があり、この様な場合には、使用者に違和感を与えてしまうことになる。したがって、従来の燃料電池システムでは、低温下起動時に暖機処理を実行し、燃料電池が十分に温まった後に燃料電池システムを始動できるように制御している(例えば、下記特許文献1参照)。
特開2007−305346号公報
ところが、一般に、燃料電池システムで行われる暖機処理には数分以上の時間を要することがある。したがって、上述した従来の燃料電池システムでは、低温下起動時に暖機処理が終了するまで使用者が数分以上待機しなければならない事態も生じ得る。
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、使用者に違和感を与えることなく、低温下起動時の始動性を向上させることができる燃料電池システムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る燃料電池システムは、反応ガスの供給を受けて当該反応ガスの電気化学反応により電力を発生する燃料電池と、前記燃料電池の温度を検出する温度センサと、前記燃料電池の起動時に前記温度センサによって検出された温度が、暖機処理を実行することなく起動可能な温度よりも低い場合に、暖機処理を実行させる暖機処理実行部と、前記暖機処理実行部によって暖機処理が実行されている最中に、前記燃料電池で発電を継続することが可能な発電継続可能状態に移行したときに、前記燃料電池からの出力を許可する出力許可部と、前記出力許可部によって前記燃料電池からの出力が許可された場合に、前記燃料電池からの出力が許可された状態であることを示すための出力許可状態表示を、前記燃料電池の発電可能電力に応じて表示部に表示させる表示制御部と、を備えることを特徴とする。
この発明によれば、暖機処理が実行されている最中であっても、燃料電池で発電を継続することが可能な発電継続可能状態に移行したときには、燃料電池からの出力を許可することができるため、暖機処理が終了するまで待機することなく、燃料電池からの出力が可能となる。また、燃料電池の発電可能電力に応じて出力が許可された状態であることを示す出力許可状態表示を表示部に表示させることができるため、使用者の違和感を低減させることが可能となる。
上記燃料電池システムにおいて、上記暖機処理実行部は、前記燃料電池の発電可能電力が、当該発電可能電力として取り得る値の最大値に到達したときに暖機処理を終了することとしてもよい。
これにより、燃料電池の暖機を短時間で行うことができるため、発電効率が良好な状態に短時間で移行させることが可能となる。
上記燃料電池システムにおいて、上記発電継続可能状態は、前記燃料電池の発電時に生成される生成水が凍結しない状態であることとしてもよい。
これにより、生成水の凍結により燃料電池の発電が不能となる事態を回避することが可能となる。
上記燃料電池システムにおいて、上記表示制御部は、前記出力可能状態表示を、前記燃料電池の発電可能電力に応じて段階的に変化させながら表示部に表示させることとしてもよい。
これにより、使用者の違和感をさらに低減させることが可能となる。
上記燃料電池システムにおいて、上記表示制御部は、現時点における前記燃料電池の出力電力および発電可能電力に基づいて、前記燃料電池の出力状態および出力可能状態を表示部に表示させることとしてもよい。
これにより、現時点の出力状態にどの程度の余裕があるのかを使用者に認識させることが可能となる。
上記燃料電池システムにおいて、上記表示制御部は、前記温度センサによって検出された温度に基づいて、前記燃料電池の発電可能電力を算出することとしてもよい。具体的には、上記燃料電池システムにおいて、上記燃料電池の温度と前記燃料電池の発電可能電力とを対応付けて記憶する記憶部をさらに備え、前記表示制御部は、前記温度センサによって検出された温度に対応付けて前記記憶部に記憶されている前記燃料電池の発電可能電力を読み出すことで、前記燃料電池の発電可能電力を算出することとしてもよい。
本発明によれば、使用者に違和感を与えることなく、低温下起動時の始動性を向上させることができる。
実施形態における燃料電池システムを模式的に示す構成図である。 燃料電池システムの制御部の機能構成を示す図である。 燃料電池の出力パワー状態および出力可能パワー状態の表示を例示する図である。 燃料電池の出力パワー状態および出力可能パワー状態の表示を例示する図である。 実施形態における起動時制御処理の流れを説明するためのフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る燃料電池システムの好適な実施形態について説明する。本実施形態では、本発明に係る燃料電池システムを、燃料電池車両(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)の車載発電システムとして用いた場合について説明する。
まず、図1を参照して、実施形態における燃料電池システムの構成について説明する。図1は、実施形態における燃料電池システムを模式的に示した構成図である。
同図に示すように、燃料電池システム1は、反応ガスである酸化ガスおよび燃料ガスの供給を受けて電気化学反応により電力を発生する燃料電池2と、酸化ガスとしての空気を燃料電池2に供給する酸化ガス配管系3と、燃料ガスとしての水素を燃料電池2に供給する燃料ガス配管系4と、燃料電池2に冷却水を循環供給する冷却系5と、システムの電力を充放電する電力系6と、システム全体を統括制御する制御部7とを有する。
燃料電池2は、例えば、高分子電解質型燃料電池であり、多数の単セルを積層したスタック構造となっている。単セルは、イオン交換膜からなる電解質の一方の面にカソード極(空気極)を有し、他方の面にアノード極(燃料極)を有し、さらにカソード極およびアノード極を両側から挟み込むように一対のセパレータを有する構造となっている。この場合、一方のセパレータの燃料ガス流路に燃料ガスが供給され、他方のセパレータの酸化ガス流路に酸化ガスが供給され、これらの反応ガスが化学反応することで電力が発生する。燃料電池2には、燃料電池2の出力電圧を検出する電圧センサVと、燃料電池2の出力電流を検出する電流センサAとが設けられている。
酸化ガス配管系3は、フィルタを介して取り込まれる空気を圧縮し、圧縮した空気を酸化ガスとして送出するコンプレッサ31と、酸化ガスを燃料電池2に供給するための酸化ガス供給流路32と、燃料電池2から排出された酸化オフガスを排出するための酸化オフガス排出流路33とを有する。酸化オフガス排出流路33には、燃料電池2内の酸化ガスの圧力を調整するための背圧弁34が設けられている。
燃料ガス配管系4は、高圧の燃料ガスを貯留した燃料供給源としての燃料タンク40と、燃料タンク40の燃料ガスを燃料電池2に供給するための燃料ガス供給流路41と、燃料電池2から排出された燃料オフガスを燃料ガス供給流路41に戻すための燃料循環流路42とを有する。燃料ガス供給流路41には、燃料ガスの圧力を予め設定した二次圧に調圧する調圧弁43が設けられている。燃料循環流路42には、燃料循環流路42内の燃料オフガスを加圧して燃料ガス供給流路41側へ送り出す燃料ポンプ44が設けられている。
冷却系5は、冷却水を冷却するラジエータ51およびラジエータファン52と、冷却水を燃料電池2およびラジエータ51に循環供給する冷却水循環流路53と、冷却水を冷却水循環流路53に循環させる冷却水ポンプ54とを有する。冷却水循環流路53のうち、燃料電池2の出口側には、冷却水の温度を測定する温度センサTが設けられている。本実施形態では、温度センサTによって測定される温度を、燃料電池2の温度として採用する。
電力系6は、DC/DCコンバータ61と、二次電池であるバッテリ62と、トラクションインバータ63と、トラクションモータ64と、図示しない各種の補機インバータとを有する。DC/DCコンバータ61は、直流の電圧変換器であり、バッテリ62から入力された直流電圧を調整してトラクションインバータ63側に出力する機能と、燃料電池2またはトラクションモータ64から入力された直流電圧を調整してバッテリ62に出力する機能と、を有する。
バッテリ62は、バッテリセルが積層されて一定の高電圧を端子電圧とし、図示しないバッテリコンピュータの制御によって余剰電力を充電したり補助的に電力を供給したりすることが可能になっている。トラクションインバータ63は、直流電流を三相交流に変換し、トラクションモータ64に供給する。トラクションモータ64は、例えば三相交流モータであり、燃料電池システム1が搭載される燃料電池車両の主動力源を構成する。補機インバータは、各モータの駆動を制御する電動機制御部であり、直流電流を三相交流に変換して各モータに供給する。
制御部7は、燃料電池車両に設けられた加速操作部材(例えば、アクセル)の操作量を検出し、加速要求値(例えばトラクションモータ64等の電力消費装置からの要求発電量)等の制御情報を受けて、システム内の各種機器の動作を制御する。なお、電力消費装置には、トラクションモータ64の他に、例えば、燃料電池2を作動させるために必要な補機装置(例えばコンプレッサ31、燃料ポンプ44、冷却水ポンプ54およびラジエータファン52のモータ等)、車両の走行に関与する各種装置(変速機、車輪制御装置、操舵装置および懸架装置等)で使用されるアクチュエータ、乗員空間の空調装置(エアコン)、照明およびオーディオ等が含まれる。
制御部7は、物理的には、例えば、CPUと、メモリと、入出力インターフェースとを有する。メモリには、例えば、CPUで処理される制御プログラムや制御データを記憶するROMと、主として制御処理のための各種作業領域として使用されるRAMとが含まれる。これらの要素は、互いにバスを介して接続されている。入出力インターフェースには、温度センサT等の各種センサが接続されているとともに、コンプレッサ31等を駆動させるための各種ドライバが接続されている。
CPUは、ROMに記憶された制御プログラムに従って、入出力インターフェースを介して各種センサでの検出結果を受信し、RAM内の各種データ等を用いて処理することで、後述する起動時制御処理等を実行する。また、CPUは、入出力インターフェースを介して各種ドライバに制御信号を出力することにより、燃料電池システム1全体を制御する。
図2に示すように、制御部7は、機能的には、暖機処理実行部71と、出力許可部72と、表示制御部73とを有する。制御部7のメモリには、表示制御部73によって参照される発電可能電力マップ79が格納されている。発電可能電力マップ79には、燃料電池2の温度と、燃料電池2の発電可能電力とが対応付けられて記憶されている。発電可能電力マップ79に格納される燃料電池2の温度と発電可能電力は、燃料電池2の温度が高くなるに従って発電可能電力が増大する関係にあり、燃料電池2の温度上昇に伴って上昇する発電可能電力が、発電可能電力として取り得る値の最大値に到達した後は、燃料電池2の温度が上昇しても発電可能電力は最大値のまま推移する関係にある。発電可能電力マップ79に格納される各値は実験等により求められる。
暖機処理実行部71は、燃料電池2の起動時に温度センサTによって検出された温度が、通常起動する際の下限温度となる通常起動許可温度以上であるか否かを判定する。この通常起動許可温度としては、例えば、暖機処理を実行することなく起動可能な燃料電池温度の下限値が該当する。なお、本実施形態では、温度センサTによって検出される冷却水の温度を、燃料電池2の温度として採用するが、これに限定されず、燃料電池2の温度を直接検出することとしてもよい。
暖機処理実行部71は、温度センサTによって検出された温度が通常起動許可温度未満であると判定した場合には、暖機処理を実行する。暖機処理としては、例えば、通常運転に比して反応ガスを不足気味にして電力損失を大きくする低効率運転、すなわち燃料電池2の発電効率を低下させて発熱量を増大させる低効率運転や、燃料電池2の出力電流を増大させて発電に伴う発熱量を増大させる運転、冷却水循環流路53にヒータを設け、このヒータで冷却水を温める処理等が該当する。暖機処理実行部71は、燃料電池2の発電可能電力が、後述する第3閾値に到達したときに暖機処理を終了する。
出力許可部72は、暖機処理実行部71によって暖機処理が実行されている最中に、燃料電池2で発電を継続することが可能な発電継続可能状態に移行したか否かを判定し、発電継続可能状態に移行した場合に、燃料電池2からの出力を許可する。これにより、運転者がアクセルを踏み込むことで燃料電池車両が走行可能な状態となる。
発電継続可能状態としては、例えば、燃料電池2の発電時に生成される生成水が凍結しない状態が該当する。これにより、生成水の凍結により燃料電池の発電が不能となる事態を回避することが可能となる。生成水が凍結しない状態としては、例えば、燃料電池2の温度が0℃以上である状態が該当するが、これに限定されない。例えば、燃料電池2の温度が0℃以下であっても燃料電池2の温度の上昇率等から推測して生成水が凍結するおそれがないと判定できる状態等が該当する。
表示制御部73は、温度センサTによって検出された温度に基づいて、燃料電池2の発電可能電力を算出する。燃料電池2の発電可能電力は、例えば以下のようにして算出することができる。表示制御部73は、温度センサTによって検出された温度を用いて発電可能電力マップ79を参照し、温度センサTによって検出された温度に対応付けて記憶されている発電可能電力を、発電可能電力マップ79から読み出すことで、燃料電池2の発電可能電力を算出する。
表示制御部73は、出力許可部72によって燃料電池2からの出力が許可された場合に、燃料電池2からの出力が許可された状態であることを示すための出力許可状態表示を、燃料電池2の発電可能電力に応じて段階的に変化させながら表示装置8(表示部)に表示させる。これにより、運転者の違和感を低減させることが可能となる。
出力許可状態表示としては、例えば、運転席のメータパネル内に設けられた「Ready ON」表示が該当する。また、この出力許可状態表示を、燃料電池2の発電可能電力に応じて段階的に変化させる方法としては、例えば以下の方法がある。
一つめの方法は、燃料電池2の発電可能電力に応じて「Ready ON」表示の点灯状態を変化させて表示させる方法である。具体的には、例えば、発電可能電力が小さい場合には、「Ready ON」表示を低速で点滅(以下、「第1パターン表示」という。)させ、発電可能電力が中程度の場合には、「Ready ON」表示を高速で点滅(以下、「第2パターン表示」という。)させ、発電可能電力が大きい場合には、「Ready ON」表示を点灯(以下、「第3パターン表示」という。)させる。なお、点灯状態の変化は、3パターンであることには限定されず、任意に設定することができる。
発電可能電力の大小は、発電可能電力が、発電可能電力の最大値からどの程度不足しているかの度合いに応じて設定することができる。例えば、発電可能電力の取り得る範囲のうち、所定の設定下限値から最大値までの範囲を三つの連続する範囲に分割し、設定下限値を含む範囲を発電可能電力が小さい場合の範囲とし、最大値を含む範囲を発電可能電力が大きい場合の範囲とし、残りの範囲を発電可能電力が中程度の場合の範囲とすることができる。設定下限値としては、例えば、燃料電池車両の走行を継続可能な発電可能電力の下限値が該当する。
表示制御部73は、発電可能電力に基づいて、以下のように「Ready ON」表示の点灯状態を変化させることができる。表示制御部73は、発電可能電力が第1閾値未満である場合には、「Ready ON」表示を不点灯のままとする。第1閾値としては、例えば、上記設定下限値を採用することができる。
表示制御部73は、発電可能電力が第1閾値以上、かつ第2閾値未満である場合には、「Ready ON」の第1パターン表示を選択し、「Ready ON」を低速で点滅させる。第2閾値としては、例えば、上記発電可能電力が中程度の場合の範囲の下限値を採用することができる。
表示制御部73は、発電可能電力が第2閾値以上、かつ第3閾値未満である場合には、「Ready ON」の第2パターン表示を選択し、「Ready ON」を高速で点滅させる。第3閾値としては、例えば、上記発電可能電力が大きい場合の範囲の下限値を採用することができる。
表示制御部73は、発電可能電力が第3閾値以上である場合には、「Ready ON」の第3パターン表示を選択し、「Ready ON」を点灯させる。
二つめの方法は、燃料電池2の発電可能電力に応じて「Ready ON」表示の点灯色を変化させて表示させる方法である。具体的には、例えば、発電可能電力が小さい場合には、「Ready ON」表示を赤色で点灯させ、発電可能電力が中程度の場合には、「Ready ON」表示を黄色で点灯させ、発電可能電力が大きい場合には、「Ready ON」表示を緑色で点灯させる。発電可能電力の大小や、点灯色を変化させる手法は、上記一つめの方法で説明したものと同様であるため、その説明を省略する。なお、点灯色の変化は、3パターンであることには限定されず、任意に設定することができる。また、「Ready ON」の点灯色は、上記に各色には限定されず、他の色であっても良い。
表示制御部73は、現時点における燃料電池2の出力電力および発電可能電力に基づいて、燃料電池2の出力パワー状態および出力可能パワー状態を表示装置8に表示させる。これにより、現時点の出力パワー状態にどの程度の余裕があるのかを運転者に認識させることが可能となる。
具体的には、例えば、図3および図4に示すように、運転席のメータパネル内に設けられた表示領域に、燃料電池2の出力パワー状態PW1と、出力可能パワー状態PW2とを表示させることができる。出力パワー状態PW1は、現時点における燃料電池2の出力電力に応じた燃料電池2の実際の出力パワーをグラフ表示したものである。出力可能パワー状態PW2は、現時点における燃料電池2の出力可能電力に応じた燃料電池2の出力可能パワーをグラフ表示したものである。暖機処理が終了した後の出力可能パワーPW2は、出力可能状態の最大値に相当するMAX値を指し示すこととなる。
次に、図5に示すフローチャートを参照して、実施形態における燃料電池システムで実行される起動時制御処理の流れについて説明する。
最初に、制御部7は、イグニッションキーがONされたことを検出する(ステップS101)と、温度センサTで検出されている温度を、燃料電池2の温度として取得する(ステップS102)。
続いて、制御部7の暖機処理実行部71は、燃料電池2の温度が通常起動許可温度以上であるか否かを判定する(ステップS103)。この判定がYESである場合(ステップS103;YES)に、制御部7は、処理を後述するステップS112に移行させる。
一方、上記ステップS103の判定で、燃料電池2の温度が通常起動許可温度未満であると判定された場合(ステップS103;NO)に、暖機処理実行部71は、暖機処理を開始させる(ステップS104)。
続いて、制御部7の表示制御部73は、温度センサTによって検出された温度に基づいて、燃料電池2の発電可能電力を算出する(ステップS105)。
続いて、表示制御部73は、上記ステップS105で算出した発電可能電力が第1閾値未満であるか否かを判定する(ステップS106)。この判定がYESである場合(ステップS106;YES)に、制御部7は、処理を上述したステップS105に移行させる。
一方、上記ステップS106の判定で、発電可能電力が第1閾値以上であると判定された場合(ステップS106;NO)に、表示制御部73は、発電可能電力が第2閾値未満であるか否かを判定する(ステップS107)。この判定がYESである場合(ステップS107;YES)に、制御部7の出力許可部72は燃料電池2からの出力を許可し、表示制御部73は出力許可状態表示として「Ready ON」の第1パターン表示を表示装置8に表示させる(ステップS108)。そして、制御部7は、処理を上述したステップS105に移行させる。
一方、上記ステップS107の判定で、発電可能電力が第2閾値以上であると判定された場合(ステップS107;NO)に、表示制御部73は、発電可能電力が第3閾値未満であるか否かを判定する(ステップS109)。この判定がYESである場合(ステップS109;YES)に、出力許可部72は、燃料電池2からの出力がまだ許可されていないときには出力を許可し、表示制御部73は、出力許可状態表示として「Ready ON」の第2パターン表示を表示装置8に表示させる(ステップS110)。そして、制御部7は、処理を上述したステップS105に移行させる。
一方、上記ステップS109の判定で、発電可能電力が第3閾値以上であると判定された場合(ステップS109;NO)に、暖機処理実行部71は、暖機処理を終了させる(ステップS111)。
続いて、出力許可部72は、燃料電池2からの出力がまだ許可されていないときには出力を許可し、表示制御部73は、出力許可状態表示として「Ready ON」の第3パターン表示を表示装置8に表示させる(ステップS112)。これにより、起動時処理は終了する。
上述してきたように、本実施形態における燃料電池システム1によれば、暖機処理が実行されている最中であっても、燃料電池2で発電を継続することが可能な発電継続可能状態に移行したときには、燃料電池2からの出力を許可することができるため、暖機処理が終了するまで待機することなく、燃料電池車両の走行を開始させることが可能となる。
また、燃料電池2の発電可能電力に応じて出力が許可された状態であることを示す出力許可状態表示を表示装置8に表示させることができるため、運転者の違和感を低減させることが可能となる。
それゆえに、本実施形態における燃料電池システム1によれば、運転者に違和感を与えることなく、低温下起動時の始動性を向上させることが可能となる。
なお、上述した実施形態における暖機処理実行部71は、発電可能電力が第3閾値以上に到達したときに、暖機処理を終了させているが、暖機処理を終了させるタイミングは、これに限定されない。例えば、発電可能電力が最大値に到達したときに、暖機処理を終了させることとしてもよい。これにより、燃料電池2の暖機を短時間で行うことができるため、発電効率が良好な状態に短時間で移行させることが可能となる。一方、暖機処理中に走行が可能となり、燃料電池車両が走行を開始した場合には、燃料電池2の発電により発生する熱で燃料電池2自体が温められる。したがって、発電可能電力が第3閾値未満であっても、燃料電池車両が走行を開始した場合には、暖機処理を終了させることとしてもよい。
また、上述した実施形態では、燃料電池2の温度が通常起動許可温度以上である場合には、暖機処理を実行することなく、燃料電池2の出力を許可させて、「Ready ON」を点灯表示させているが、これに限定されない。例えば、燃料電池2の温度が通常起動許可温度以上である場合であっても、発電可能電力が第3閾値未満である場合には、暖機処理を開始させるとともに、出力許可状態表示を燃料電池2の発電可能電力に応じて段階的に変化させながら表示装置8に表示させることとしてもよい。
また、上述した実施形態では、発電可能電力マップ79を参照して発電可能電力を算出しているが、発電可能電力を算出する方法は、これに限定されない。例えば、燃料電池のIV特性(出力電流・出力電圧特性)マップを参照して、発電可能電力を算出することとしてもよい。この場合のIV特性マップに格納される各値は、予め実験等によって燃料電池2の温度ごとに求められる。具体的には、表示制御部73は、温度センサTによって検出された温度を用いてIV特性マップを参照し、温度センサTによって検出された温度に対応付けて記憶されている電流と電圧とを用いて燃料電池2の発電可能電力を算出する。
また、上述した実施形態においては、本発明に係る燃料電池システムを燃料電池車両に搭載した場合について説明しているが、燃料電池車両以外の各種移動体(ロボット、船舶、航空機等)にも本発明に係る燃料電池システムを適用することができる。また、本発明に係る燃料電池システムを、建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムに適用することもできる。
1…燃料電池システム、2…燃料電池、3…酸化ガス配管系、4…燃料ガス配管系、5…冷却系、6…電力系、7…制御部、8…表示装置、53…冷却水循環流路、71…暖機処理実行部、72…出力許可部、73…表示制御部、79…発電可能電力マップ、T…温度センサ。

Claims (4)

  1. 反応ガスの供給を受けて当該反応ガスの電気化学反応により電力を発生する燃料電池と、
    前記燃料電池の温度を検出する温度センサと、
    前記燃料電池の起動時に前記温度センサによって検出された温度が、暖機処理を実行することなく起動可能な温度よりも低い場合に、暖機処理を実行させる暖機処理実行部と、
    前記暖機処理実行部によって暖機処理が実行されている最中に、前記燃料電池で発電を継続することが可能な発電継続可能状態に移行したときに、前記燃料電池からの出力を許可する出力許可部と、
    前記出力許可部によって前記燃料電池からの出力が許可された場合に、前記燃料電池からの出力が許可された状態であることを示すための出力許可状態表示を、前記燃料電池の発電可能電力に応じて表示部に表示させる表示制御部と、
    前記燃料電池の温度と前記燃料電池の発電可能電力とを対応付けて記憶する記憶部と、を備え、
    前記表示制御部は、前記温度センサによって検出された温度に対応付けて前記記憶部に記憶されている前記燃料電池の発電可能電力を読み出すことで、前記燃料電池の発電可能電力を算出し、
    前記暖機処理実行部は、前記表示制御部によって前記出力許可状態表示が表示された後に、前記表示制御部によって算出された前記燃料電池の発電可能電力が、当該発電可能電力として取り得る値の最大値からの不足の度合いが小さいと判定可能な閾値以上に達したときに前記暖機処理を終了する、ことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記発電継続可能状態は、前記燃料電池の発電時に生成される生成水が凍結しない状態であることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記表示制御部は、前記出力許可状態表示を、前記燃料電池の発電可能電力に応じて段階的に変化させながら表示部に表示させることを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池システム。
  4. 前記表示制御部は、現時点における前記燃料電池の出力電力および発電可能電力に基づいて、前記燃料電池の出力状態および出力可能状態を表示部に表示させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
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