JP5397304B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、要求トルクの変化に基づいてスロットル弁の開度や燃料噴射弁の開弁期間を制御することにより内燃機関のトルクを制御する内燃機関の制御装置に関し、特に要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル弁の開度を制御するディレイ制御を実行する内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の各気筒における1回の燃焼行程において燃焼に供される空気の量は、その気筒の吸気弁が閉弁し、燃焼室が密閉されたときに確定する。これに対して吸気通路に燃料噴射弁が設けられている内燃機関にあっては、吸気弁が閉弁して燃焼に供される空気の量が確定する前に燃料を噴射する必要がある。
スロットル弁の開度が一定に保持されており、吸気弁が閉弁するまで吸入空気量が変化しない状態が継続する定常状態にあっては、吸気通路に設けられたエアフロメータによって検出された吸入空気量に基づいて吸気弁が閉弁されるまでの間に燃焼室内に充填される空気の量を容易に推定することができる。そのため、定常状態にあっては、吸気弁が閉弁する前に、エアフロメータによって検出された吸入空気量に基づいて燃焼に供される空気の量を高い精度で推定することができ、推定された空気の量にあわせた量の燃料を吸気弁が閉弁する前に噴射することにより、燃焼室に充填される混合気の空燃比を理想的な値に近づけることができる。
これに対して、スロットル弁の開度が逐次変更され、吸気弁が閉弁するまでの間に吸入空気量が刻々と変化する過渡状態にあっては、吸気弁が閉弁するまでの間に燃焼室に導入される空気の量がどのように変化するのか分からない。そのため、過渡状態にあっては、吸気弁が閉弁する前に、エアフロメータによって検出される吸入空気量に基づいて燃焼室内に充填される空気の量を正確に推定することができない。したがって、過渡状態のときに、定常状態のときと同様にエアフロメータによって検出される吸入空気量に基づいて燃焼室に充填される空気の量を推定して燃料噴射弁の開弁期間を設定するようにした場合には、混合気の空燃比が理想的な値からずれてしまい、良好な排気性状を実現することができなくなってしまう。
そこで、特許文献1に記載の内燃機関の制御装置にあっては、アクセルペダルの踏み込み量に基づいてスロットル弁の目標開度を設定し、一定時間経過後に前記目標開度に基づくスロットル弁の駆動を開始して、実際のスロットル弁の開度が前記目標開度と一致するようにスロットル弁の開度を制御するようにしている。
このように、スロットル弁の開度を、要求トルクの大きさを示すアクセルペダルの踏み込み量の変化に対して一定時間遅延させて制御するディレイ制御を実行すれば、要求トルクの変化に基づいてスロットル弁の開度を変更し始めた時点で、一定時間経過後までの要求トルクの変化が分かっていることになる。そのため、スロットル弁の開度の制御を遅延させた分だけ、要求トルクの変化に基づいてその後のスロットル弁の開度の変化、ひいては吸入空気量の変化を予測することができるようになる。
すなわち、こうしたディレイ制御を実行すれば、吸気弁が閉弁する前の要求トルクの変化履歴に基づいて吸気弁が閉弁するまでの間の吸入空気量の変化を予測することができるため、吸気弁が閉弁する前に、燃焼に供される空気の量を高い精度で推定することができるようになる。したがって、その推定された空気の量にあわせて燃料噴射弁の開弁期間を設定することにより、吸気弁が閉弁する前に適切な量の燃料を噴射して燃焼室内に理想的な空燃比の混合気を導入することができるようになり、過渡状態のときであっても、良好な排気性状を実現することができるようになる。
特開2001‐098998号公報
ところが、こうしたディレイ制御を通じて要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル弁の開度を制御するようにしている場合には、失火が発生することによって機関回転速度が急に低下したときに、要求トルクを増大させたとしても速やかにトルクを増大させることができない。
そのため、機関回転速度が極めて低いアイドリング運転時等にあっては、失火が発生した場合に、速やかにトルクを増大させて機関回転速度の低下を抑制することができない。したがって、エンジンストールの発生を抑制するためには、ディレイ制御そのものが実行できないおそれがあり、結果的に良好な排気性状を実現することが困難であった。
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジンストールの発生を抑制しつつ、極力ディレイ制御を実行することにより良好な排気性状を実現することのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル弁の開度を制御するディレイ制御を実行して内燃機関のトルクを制御する内燃機関の制御装置において、前記内燃機関に作用する外部負荷の大きさに基づいて前記ディレイ制御を実行する機関回転速度の下限値である切り替え回転速度を設定し、機関回転速度が前記切り替え回転速度未満のときには、前記ディレイ制御の実行を禁止して前記ディレイ制御による遅延時間よりも短い遅延時間で要求トルクの変化に対して前記スロットル弁の開度を制御して前記内燃機関のトルクを制御することをその要旨とする。
機関運転中に失火が発生し、適切なトルクが得られなくなると、機関回転速度が低下する。そして、機関回転速度が機関運転を継続することができなくなる水準まで低下してしまうと、エンジンストールに陥ってしまう。これに対して、機関運転を継続することができなくなる水準まで機関回転速度が低下する前に、トルクを速やかに増大させて機関回転速度の低下を抑制することができれば、エンジンストールの発生を抑制することができる。
上記請求項1に記載の発明にあっては、機関回転速度が切り替え回転速度未満のときに、ディレイ制御の実行を禁止してディレイ制御による遅延時間よりも短い遅延時間で要求トルクの変化に対してスロットル弁の開度を変更するようにしている。そのため、機関回転速度が切り替え回転速度未満のときには、要求トルクの変化に伴って速やかにスロットル弁の開度を変更してトルクを変更することができるようになる。すなわち、機関回転速度が切り替え回転速度未満のときには、失火の発生により機関回転速度が低下したときに要求トルクを増大させることにより速やかにトルクを増大させてエンジンストールの発生を抑制することができるようになる。
したがって、上記請求項1に記載の発明によれば、要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル弁の開度を変更するディレイ制御を実行する一方で、エンジンストールの発生を抑制することができるようになる。
尚、ディレイ制御の実行を禁止してディレイ制御による遅延時間よりも短い遅延時間で要求トルクの変化に対してスロットル弁の開度を変更することは、ディレイ制御の実行を禁止して要求トルクの変化に対して意図的に遅延させることを行わずにスロットル弁の開度を変更することであり、遅延時間が全くない場合もこれに含まれている。
また、失火が発生したときの機関回転速度の低下速度は、内燃機関に作用している外部負荷が大きいときほど大きくなる。そのため、等しい機関回転速度のときに失火が生じた場合には、内燃機関に作用している外部負荷が大きいときほど、失火が生じて機関回転速度が低下し始めてからエンジンストールに至るまでの時間が短くなり、トルクを増大させてエンジンストールの発生を回避することが困難になる。
これに対して、上記請求項1に記載の発明にあっては、内燃機関に作用する外部負荷の大きさに基づいてディレイ制御を実行する機関回転速度の下限値である切り替え回転速度を設定するようにしている。これにより、上記請求項1に記載の発明によれば、失火による機関回転速度の低下速度に応じて、すなわちエンジンストールの回避し難さに応じてディレイ制御の実行を禁止する回転速度の範囲を可変設定することができるようになり、エンジンストールの発生を抑制しつつ、極力ディレイ制御を実行することにより良好な排気性状を実現することができるようになる。
尚、上述したように、内燃機関に作用している外部負荷が大きいときほど、失火が発生して機関回転速度が低下し始めてからエンジンストールに至るまでの時間が短くなり、トルクを増大させるための時間的余裕が小さくなる。そのため、内燃機関に作用している外部負荷が大きいときほど、エンジンストールを回避し難くなり、エンジンストールに陥る可能性が高くなる。そこで具体的には、請求項2に記載されているように、内燃機関に作用する外部負荷が大きいときほど、切り替え回転速度が大きくなるように、外部負荷の大きさに応じて切り替え回転速度の大きさを設定することが望ましい。
こうした構成を採用すれば、失火の発生に伴う機関回転速度の低下速度が大きいときほど、機関回転速度が高いときからディレイ制御が禁止されるようになるため、トルクを増大させるための時間的余裕を確保し、エンジンストールの発生をより的確に抑制することができるようになる。
また、逆に外部負荷が小さく、失火の発生に伴う機関回転速度の低下速度が小さいときには、機関回転速度がより低くなるまでディレイ制御の実行が継続されるようになる。したがって、外部負荷が小さく、エンジンストールを回避するためにトルクを増大させるための時間的余裕が大きいときには、機関回転速度がより低くなるまでディレイ制御を通じてトルクを制御することができるようになる。
そのため、請求項2に記載の発明によれば、ディレイ制御の実行を禁止することによってエンジンストールの発生を抑制する一方、極力長い間ディレイ制御を実行して混合気の空燃比を的確に調整し続け、ディレイ制御の実行を禁止することによる排気性状の悪化を極力抑制することができるようになる。
また、請求項3に記載されているように、アイドリング運転時に機関回転速度を一定の水準に保持するために必要なトルクとして、内燃機関自体の駆動負荷と外部負荷とに基づいてアイドル要求トルクを算出し、算出されたアイドル要求トルクに基づいて内燃機関のトルクを制御することによってアイドリング運転時の機関回転速度を制御する内燃機関の制御装置にあっては、アイドル要求トルクが大きいときほど、切り替え回転速度が大きくなるように、アイドル要求トルクの大きさに応じて切り替え回転速度を設定することによっても、外部負荷の大きさに基づいて切り替え回転速度を設定する構成を実現することができる。
アイドル要求トルクは、外部負荷が大きいときほど大きくなる。そのため、上記のように、アイドル要求トルクが大きいときほど、切り替え回転速度が大きくなるようにアイドル要求トルクの大きさに基づいて切り替え回転速度を設定するようにした場合にも、請求項2に記載の発明と同様に、内燃機関に作用する外部負荷が大きいときほど、切り替え回転速度が大きくされる。
したがって、請求項3に記載の発明によっても、請求項2に記載の発明と同様に、ディレイ制御の実行を禁止することによってエンジンストールの発生を抑制する一方、極力長い間ディレイ制御を実行して混合気の空燃比を的確に調整し続け、ディレイ制御の実行を禁止することによる排気性状の悪化を極力抑制することができるようになる。
また、内燃機関の駆動力を利用して駆動されるエアコンユニットが稼働している場合には、エアコンユニットを駆動するために必要な駆動力の分だけ、内燃機関に作用する外部負荷が大きくなる。そのため、内燃機関に作用する外部負荷の大きさは、請求項4に記載されているように、エアコンユニットが稼働しているか否かに基づいて推定することができる。
また、オルタネータに大きなフィールド電流を供給している場合には、小さなフィールド電流を供給しているときと比較してオルタネータによる発電量が大きくなり、オルタネータを駆動するために必要な駆動力も大きくなる。そのため、内燃機関に作用する外部負荷の大きさは、請求項5に記載されているように、オルタネータに供給されているフィールド電流の大きさに基づいて推定することもできる。
この発明の一実施形態にかかる電子制御装置と、同電子制御装置の制御対象である内燃機関の概略構成を示す模式図。 ディレイ制御を通じたトルク制御における要求トルクの変化とスロットル開度の変化との関係、並びに燃料噴射弁の開閉タイミングの関係を示すタイミングチャート。 ディレイ制御を禁止する処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 アイドル要求トルクに基づいて切り替え回転速度を設定するための演算マップ。 外部負荷が大きいときほどエンジンストールが回避し難くなることを説明する説明図。
以下、この発明にかかる内燃機関の制御装置を、車両に搭載される内燃機関を統括的に制御する電子制御装置として具体化した一実施形態について、図1〜5を参照して説明する。
尚、図1は本実施形態にかかる電子制御装置100と、その制御対象である内燃機関10の概略構成を示す模式図である。図1に示されるように内燃機関10の気筒11には、ピストン12が摺動可能に収容されている。ピストン12には、コネクティングロッド13を介して内燃機関10の出力軸であるクランク軸14が連結されている。
このようにピストン12が気筒11内に収容されていることにより、気筒11の内周面とピストン12の頂面及びシリンダヘッド15の底面によって燃焼室16が区画形成されている。尚、内燃機関10は複数の気筒11を有する多気筒内燃機関であるが、図1にあっては複数の気筒11のうちの1つのみを図示している。
シリンダヘッド15には、各気筒11に収容されたピストン12と対向するように点火プラグ20が取り付けられている。そして、各気筒11内に区画形成された各燃焼室16には、吸気通路30及び排気通路40がそれぞれ接続されている。また、吸気通路30には図1に示されるように各燃焼室16に向かって燃料を噴射する燃料噴射弁19が各気筒11に対して1つずつ設けられている。
図1に示されるようにシリンダヘッド15には吸気通路30と燃焼室16とを連通したり、遮断したりするように開閉する吸気弁17と、排気通路40と燃焼室16とを連通したり、遮断したりするように開閉する排気弁18とが設けられている。尚、吸気弁17は図示しないタイミングチェーンを介してクランク軸14に連結された吸気カムシャフトによって開閉駆動され、排気弁18はタイミングチェーンを介してクランク軸14に連結された排気カムシャフトによって開閉駆動される。
図1の左側に示されるように吸気通路30の最上流部には、エアクリーナ31が設けられている。このエアクリーナ31の内部には、吸入される空気に含まれる塵や埃を捕集するフィルタ32が設けられている。これにより、エアクリーナ31を通じて塵や埃が取り除かれた空気が吸気通路30を通じて内燃機関10の燃焼室16に導入されるようになっている。
吸気通路30のエアクリーナ31よりも下流側の部分には、サージタンク33が設けられている。図1に示されるように、サージタンク33は吸気通路30の他の部分よりも流路断面積が大きくなっており、吸気通路30を通過する空気の脈動を平準化させる機能を有している。
また、図1に示されるように吸気通路30におけるエアクリーナ31よりも下流側であり且つサージタンク33よりも上流側の部分には、モータ34によって駆動され、その開度であるスロットル開度Thが制御されるスロットル弁35が設けられている。
スロットル弁35の開度制御や、燃料噴射弁19の開弁期間Tfを制御することによる燃料噴射量制御、そして点火プラグ20による点火時期制御等を通じて行われるトルク制御は、内燃機関10を統括的に制御する電子制御装置100によって実行される。
電子制御装置100は、上記のようなトルク制御にかかる各種の制御を実行するために各種演算処理を実行する中央演算処理装置(CPU)、演算プログラムや演算マップ、各種データが記憶された読み出し専用メモリ(ROM)、演算の結果等を一時的に記憶しておくランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。
電子制御装置100には、下記のような各種のセンサが接続されている。
アクセル開度センサ50は運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を示すアクセル操作量ACCPを検出する。エアフロメータ51はエアクリーナ31を通じて吸気通路30に導入された空気の温度Ta及びその量である吸入空気量GAを検出する。クランク角度センサ52はクランク軸14の単位時間当りの回転角を検出する。そして、電子制御装置100は検出されたクランク軸14の回転角に基づいて単位時間当りのクランク軸14の回転速度を示す機関回転速度NEを算出する。スロットル開度センサ53はスロットル弁35の開度であるスロットル開度Thを検出する。水温センサ54は機関冷却水の温度である機関冷却水温THWを検出する。また、カム角度センサ55は吸気カムシャフトの回転角を検出する。
電子制御装置100は、これらの各種センサ50〜55からの検出信号を読み込み、トルク制御にかかる各種の制御を実行する。
また、電子制御装置100は、内燃機関10の駆動力を利用して駆動される補機、例えばエアコンユニット200やオルタネータ300の稼働状態に応じて内燃機関10のトルクを増減させることにより、補機の稼働状態の変化に伴う外部負荷の変動に起因する機関回転速度NEの変動を抑制する。
そのため、電子制御装置100には、各種補機の稼働状態を把握することができるように、各種補機が接続されている。例えば、電子制御装置100には、図1に破線で示されるようにクランク軸14に連結されたエアコンユニット200が接続されており、エアコンユニット200が稼働しているか否かを示す信号が入力されている。
尚、エアコンユニット200は稼働していないときにコンプレッサとクランク軸14との間に配設されたクラッチを開放することにより、内燃機関10に作用する外部負荷を低減するように構成されている。そこで、本実施形態の電子制御装置100にあっては、エアコンユニット200が稼働しているか否かに基づいて内燃機関10に作用する外部負荷の大きさを推定するようにしている。すなわち、エアコンユニット200が稼働しているときには内燃機関10に少なくともエアコンユニット200の駆動負荷に相当する外部負荷が作用していることを推定する一方、エアコンユニット200が稼働していないときには、内燃機関10にエアコンユニット200の駆動負荷に相当する外部負荷が作用していないことを推定する。
また、電子制御装置100には、図1に破線で示されるようにクランク軸14に連結されているオルタネータ300が接続されている。電子制御装置100は、オルタネータ300に供給するフィールド電流の大きさを調整することにより、オルタネータ300の発電量を制御している。そのため、オルタネータ300に大きなフィールド電流が供給されており、発電量が大きくされているときほど、内燃機関10に作用する外部負荷は大きくなる。そこで、本実施形態の電子制御装置100は、オルタネータ300に供給しているフィールド電流の大きさに基づいてオルタネータ300による外部負荷の大きさを推定するようにしている。具体的にはフィールド電流が大きいときほどオルタネータ300の駆動負荷に相当する外部負荷が大きくなっていることを推定する。
ところで、内燃機関10の各気筒11における1回の燃焼行程において燃焼に供される空気の量は、その気筒11の吸気弁17が閉弁し、燃焼室16が密閉されたときに確定する。これに対して吸気通路30に燃料噴射弁19が設けられている内燃機関10にあっては、吸気弁17が閉弁して燃焼に供される空気の量が確定する前に燃料を噴射する必要がある。
スロットル開度Thが一定に保持されており、吸気弁17が閉弁するまで吸入空気量GAが変化しない状態が継続する定常状態にあっては、吸気弁17が閉弁されるまでの間に燃焼室16内に充填される空気の量をエアフロメータ51によって検出された吸入空気量GAに基づいて容易に推定することができる。
そのため、定常状態にあっては、吸気弁17が閉弁する前に、エアフロメータ51によって検出された吸入空気量GAに基づいて燃焼に供される空気の量を高い精度で推定することができる。そのため、推定された空気の量にあわせた量の燃料を吸気弁17が閉弁する前に噴射することにより、燃焼室16に充填される混合気の空燃比を理想的な値に近づけることができる。
これに対して、スロットル開度Thが逐次変更され、吸気弁17が閉弁するまでの間に吸入空気量GAが刻々と変化する過渡状態にあっては、吸気弁17が閉弁するまでの間に吸入空気量GAがどのように変化し、燃焼室16に導入される空気の量がどのように変化するのか分からない。
そのため、過渡状態にあっては、吸気弁17が閉弁するまでの間に、エアフロメータ51によって検出される吸入空気量GAに基づいて燃焼室16内に充填される空気の量を正確に推定することができない。したがって、過渡状態のときに、定常状態のときと同様にエアフロメータ51によって検出される吸入空気量GAに基づいて燃焼室16に充填される空気の量を推定して燃料噴射弁19の開弁期間Tfを設定するようにした場合には、混合気の空燃比が理想的な値からずれてしまい、良好な排気性状を実現することができなくなってしまう。
そこで、本実施形態の内燃機関10にあっては、アクセル操作量ACCPが変更されて要求トルクが変化してから一定時間経過した後にスロットル開度Thを変更するディレイ制御を実行するようにしている。
具体的には、アクセル操作量ACCPに基づいて要求トルクを算出し、算出された要求トルクの値を一定の遅延時間Tdlyが経過したときに目標トルクに反映させる。これにより、本実施形態にあっては、図2の上部に示されるように要求トルクの変化に対して遅延時間Tdlyの分だけ遅延して目標トルクが変化するようになっている。そして、電子制御装置100は、実際のトルクをこの目標トルクに一致させるようにスロットル開度Thを制御する。
このように、スロットル開度Thを、要求トルクの変化に対して遅延時間Tdlyの分だけ遅延させて制御するディレイ制御を実行すれば、スロットル開度Thを変更するときには、その時点からそのあと遅延時間Tdlyに相当する期間が経過するまでの間の目標トルクの変化が既に分かっていることになる。
そこで、本実施形態の電子制御装置100は、スロットル弁35を通過した空気がサージタンク33を通過して燃焼室16に導入されるまでの間に輸送遅れが生じることを考慮して実際のトルクの変化を目標トルクの変化に追従させることができるように、要求トルクの変化履歴に基づいてスロットル開度Thを制御する。
すなわち、電子制御装置100は、その時点までの要求トルクの変化履歴を参照することによって、その時点からそのあと遅延時間Tdlyに相当する期間が経過するまでの間の目標トルクの変化を予測し、図2に示されるように目標トルクの変化に先立ってスロットル開度Thを変化させることにより、空気の輸送遅れを補償するようにしている。
こうして輸送遅れを補償するようにスロットル開度Thを変更することにより、吸入空気量GAが目標トルクの変化に追従して変化し、図2の下方に示されるように実際のトルクが目標トルクの変化に追従して変化するようになる。
また、ディレイ制御を実行すれば、吸気弁17が閉弁するまでの間の要求トルクの変化履歴に基づいて吸気弁17が閉弁するまでの間の吸入空気量GAの変化を予測することができる。そのため、吸気弁17が閉弁するまでの間の吸入空気量GAの変化の予測値に基づいて、吸気弁17が閉弁する前に、燃焼に供される空気の量を高い精度で推定することができる。
例えば、図2に示されるように時刻t1の時点においてそれ以前の要求トルクの変化履歴を参照すれば、時刻t1から時刻t3までの吸入空気量GAの変化を予測することができる。尚、時刻t3は、図2の下方に示されるように時刻t1から遅延時間Tdlyに相当する期間経過したときの時刻である。
ここで、時刻t2において吸気弁17が閉弁する場合には、上述したように、時刻t2以前に吸気弁17が閉弁されるまでの間に燃焼室16に充填される空気の量を推定し、推定される空気の量にあわせた量の燃料を吸気弁17が閉弁する前に噴射しておく必要がある。
これに対して、上記のように時刻t1の時点において時刻t3までの吸入空気量GAの変化を予測することができれば、予測された吸入空気量GAの変化に基づいて時刻t2以前に燃焼室16に充填される空気の量を高い精度で推定することができる。
そのため、その推定された空気の量にあわせて燃料噴射弁19の開弁期間Tfを設定し、図2に示されるように吸気弁17が閉弁する時刻t2以前に燃料噴射弁19を駆動して適切な量の燃料を噴射することができるようになる。
このようにディレイ制御を実行すれば、燃焼室16内に理想的な空燃比に調整した混合気を導入することができるようになり、過渡状態のときであっても、良好な排気性状を実現することができるようになる。
すなわち、ディレイ制御を実行すれば、図2の下段に示されるように、目標トルクの変化にあわせてトルクを制御するとともに、燃焼室16に導入される混合気の空燃比を理想的な値に調整することができるため、良好な排気性状を実現することができるようになる。
尚、遅延時間Tdlyの長さは、吸気弁17が閉弁する前に燃焼に供される空気の量を予測して必要な量の燃料を噴射するための時間的余裕を確保することができるように、また要求トルクの変化に対して目標トルクの変化を遅延させたとしても運転者に違和感を与えることがないように、その長さが設定されている。
本実施形態の内燃機関10にあっては、アイドリング運転時には、内燃機関10に作用する外部負荷の大きさに基づいてアイドル要求トルクを設定し、そのアイドル要求トルクを要求トルクとして内燃機関10のトルクを制御することにより、機関回転速度NEをアイドル回転速度に保持するようにしている。
具体的には、アイドリング運転時には、電子制御装置100は、まず機関冷却水温THWに基づいて内燃機関10自体の駆動負荷、すなわち摩擦や潤滑油の粘性による抵抗の大きさ等によって変化する駆動負荷を推定し、基本アイドルトルクを設定する。そして、各種補機の稼働状態に基づいて推定される外部負荷の大きさに基づいて補機を駆動するために必要な補機駆動トルクを算出し、基本アイドルトルクにこの補機駆動トルクを加算することによりアイドル要求トルクを算出する。
すなわち、補機が作動しているときにはその補機を駆動するための駆動負荷に相当する補機駆動トルクを基本アイドルトルクに加算し、アイドル要求トルクを算出する。そしてこのアイドル要求トルクを実現するように内燃機関10のトルクを制御する。
ところで、上記のようにディレイ制御を通じて要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル開度Thを制御するようにしている場合には、失火が発生することによって機関回転速度NEが急に低下したときに、要求トルクを増大させたとしても速やかにトルクを増大させることができない。
そのため、機関回転速度NEが低いアイドリング運転時等にあっては、失火が発生した場合に、速やかにトルクを増大させて機関回転速度NEの低下を抑制することができない。したがって、エンジンストールの発生を抑制するために、ディレイ制御そのものが実行できないおそれがあり、結果的に良好な排気性状を実現することが困難であった。
そこで、本実施形態の内燃機関10にあっては、エンジンストールの発生を抑制しつつ、極力ディレイ制御を実行することができるように、機関回転速度NEの大きさに基づいて、一時的にディレイ制御を禁止するようにしている。
以下、図3を参照してディレイ制御を禁止する処理について詳しく説明する。尚、図3は、ディレイ制御を禁止する処理にかかる一連の処理の流れを示すフローチャートである。
この一連の処理は、アイドリング運転時に電子制御装置100によって所定の制御周期で繰り返し実行される。
この一連の処理を開始すると、電子制御装置100はまずステップS100において、アイドル要求トルクに基づいて切り替え回転速度Aを設定する。ここでは、図4に示されるような演算マップを参照して切り替え回転速度Aを設定する。
この演算マップにあっては、図4に示されるようにアイドル要求トルクが大きいときほど、切り替え回転速度Aが大きくなるように、アイドル要求トルクの値に対する切り替え回転速度Aの値がそれぞれ設定されている。
こうしてステップS100を通じてアイドル要求トルクに基づいて切り替え回転速度Aを設定すると、ステップS110へと進み、電子制御装置100は機関回転速度NEが切り替え回転速度A未満であるか否かを判定する。
ステップS110において、機関回転速度NEが切り替え回転速度A以上である旨の判定がなされた場合(ステップS110:NO)には、ステップS120へと進み、電子制御装置100はディレイ制御の実行を許可して上述したように要求トルクの変化に対して遅延時間Tdlyだけ遅延させてトルクを制御する。
こうしてディレイ制御の実行を許可すると電子制御装置100はこの一連の処理を一旦終了する。
一方、ステップS110において、機関回転速度NEが切り替え回転速度A未満である旨の判定がなされた場合(ステップS110:YES)には、ステップS130へと進み、電子制御装置100はディレイ制御の実行を禁止して、要求トルクの変化に対して意図的に遅延させることなくスロットル開度Thを変更し、トルクを制御する。
こうしてディレイ制御の実行を禁止すると電子制御装置100はこの一連の処理を一旦終了する。
ディレイ制御の実行を禁止して要求トルクの変化に対して意図的に遅延させることなくスロットル開度Thを変更し、トルクを制御するようにすれば、ディレイ制御を実行する場合と比較して、要求トルクの変化に応じて速やかにトルクを変化させることができる。
そのため、失火の発生に伴って機関回転速度NEが急に低下したときに、要求トルクを増大させることによって速やかにトルクを増大させ、機関回転速度NEの低下を抑制してエンジンストールの発生を抑制することができるようになる。
尚、上記のようにアイドル要求トルクの大きさに基づいて切り替え回転速度Aを設定し、アイドル要求トルクが大きいときほど、切り替え回転速度Aを大きな値にするのは、以下のような理由による。
内燃機関10にあっては、各気筒11内に区画形成された燃焼室16内で混合気が燃焼される度にトルクが発生する。そのため、図5に示されるように、各燃焼室16内で燃焼が行われるタイミングにあわせてクランク軸14の回転速度は周期的に変動している。すなわち、ある気筒11において点火が行われ、混合気が燃焼された直後は混合気の燃焼に伴ってトルクが発生するためクランク軸14の回転速度が上昇する。そして、次に燃焼が行われる気筒11における点火が行われるまでの間に、クランク軸14の回転速度は次第に低下するようになり、次に燃焼行程をむかえた気筒11において混合気が燃焼されることによって、再びクランク軸14の回転速度が上昇するようになる。
このようにクランク軸14の回転速度は、各気筒11内で燃焼が行われるタイミングにあわせて上昇と下降を繰り返しており、電子制御装置100は、このように上昇と下降を繰り返すクランク軸14の回転速度の平均値を機関回転速度NEとして算出している。尚、図5にあっては電子制御装置100によって算出される機関回転速度NEを実線Xで示している。
ここで、燃焼に伴ってクランク軸14の回転速度が上昇し、下降に転じた後の回転速度の低下速度は、内燃機関10に作用する外部負荷の大きさによって変化する。すなわち、たくさんの補機が内燃機関10の駆動力を利用して駆動されており、内燃機関10に作用する外部負荷が大きいときには、その外部負荷の分だけクランク軸14の回転速度が低下しやすくなり、その低下速度は大きくなる。
そのため、図5に示されるように機関回転速度NE(実線X)が等しい場合であっても、実線で示されるように外部負荷が大きい場合のクランク軸14の回転速度の変化と、一点鎖線で示されるように外部負荷が小さい場合のクランク軸14の回転速度の変化とは異なったものになる。
ここで、ある気筒11で失火が発生した場合について考えると、外部負荷が小さい場合には、図5に破線aで示されるように、失火が発生したあと、クランク軸14の回転速度が比較的小さな低下速度で低下するようになる。一方、外部負荷が大きい場合には、図5に破線bで示されるように、失火が発生したあと、クランク軸14の回転速度が比較的大きな低下速度で低下するようになる。
図5に示される実線Yは、機関運転を継続させるために最低限必要なクランク軸14の回転速度の水準を示す線であり、この実線Yで示される水準までクランク軸14の回転速度が低下すると、エンジンストールが発生することを示している。
図5に示されるように、等しい機関回転速度NEのときに失火が生じた場合には、内燃機関10に作用している外部負荷が大きいときほど、失火が生じて機関回転速度NEが低下し始めてからエンジンストールに至るまでの時間が短くなる。そのため、内燃機関10に作用している外部負荷が大きいときほど、エンジンストールが発生する前にトルクを増大させてエンジンストールの発生を回避することが困難になる。
そのため、失火の発生に伴って機関回転速度NEが低下したときには、内燃機関10に作用している外部負荷が大きいときほど、機関回転速度NEがより高いときからトルクを増大させる必要がある。
これに対して、本実施形態の電子制御装置100は、内燃機関10に作用する外部負荷が大きく、アイドル要求トルクが大きいときほど、ディレイ制御を実行する機関回転速度NEの下限値である切り替え回転速度Aが大きくなるように、アイドル要求トルクに基づいて切り替え回転速度Aを設定するようにしている。そのため、失火による機関回転速度NEの低下速度が大きいときほど、すなわちエンジンストールが回避し難いときほどディレイ制御の実行を禁止する機関回転速度NEの範囲が高回転側に広くなるようになっている。
要するに、失火の発生に伴う機関回転速度NEの低下速度が大きいときほど、機関回転速度NEが高いときからディレイ制御が禁止されるようになり、トルクを増大させるための時間的余裕を確保することができるようになっている。
また、逆に外部負荷が小さく、失火の発生に伴う機関回転速度NEの低下速度が小さいときには、機関回転速度NEがより低くなるまでディレイ制御の実行が継続されるようになる。したがって、外部負荷が小さく、エンジンストールを回避するためにトルクを増大させるための時間的余裕が大きいときには、機関回転速度NEがより低くなるまでディレイ制御を通じてトルクを制御することができる。
尚、図4の演算マップは、予め行う実験等の結果に基づいて、この演算マップを参照して設定される切り替え回転速度Aが、失火の発生に伴って機関回転速度NEが低下したときにスロットル開度Thを増大させれば、エンジンストールを回避できる機関回転速度NEの下限値に基づいて設定されている。すなわち、エンジンストールの発生を的確に回避することができる一方で、極力低い機関回転速度NEまでディレイ制御の実行を継続することができるように、その値の大きさがアイドル要求トルクの大きさに応じて設定されている。
以上説明した上記の実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)上述したように、機関運転中に失火が発生し、適切なトルクが得られなくなると、機関回転速度NEが低下する。そして、機関回転速度NEが機関運転を継続することができなくなる水準まで低下してしまうと、エンジンストールに陥ってしまう。これに対して、機関運転を継続することができなくなる水準まで機関回転速度NEが低下する前に、トルクを速やかに増大させて機関回転速度NEの低下を抑制することができれば、エンジンストールの発生を抑制することができる。
上記実施形態にあっては、機関回転速度NEが切り替え回転速度A未満のときに、ディレイ制御の実行を禁止して要求トルクの変化に対して意図的に遅延させずにスロットル開度Thを変更するようにしている。そのため、機関回転速度NEが切り替え回転速度A未満のときには、ディレイ制御による遅延時間Tdlyよりも短い遅延時間で要求トルクの変化に対してスロットル開度Thを変更することができるようになり、要求トルクの変化に伴って速やかにスロットル開度Thを変更してトルクを変更することができるようになる。すなわち、機関回転速度NEが切り替え回転速度A未満のときには、失火の発生により機関回転速度NEが低下したときに要求トルクを増大させることにより速やかにトルクを増大させてエンジンストールの発生を抑制することができるようになる。
したがって、要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル開度Thを変更するディレイ制御を実行する一方で、エンジンストールの発生を抑制することができるようになる。
(2)尚、失火が発生したときの機関回転速度NEの低下速度は、図5を参照して説明したように、内燃機関10に作用している外部負荷が大きいときほど大きくなる。そのため、等しい機関回転速度NEのときに失火が生じた場合には、内燃機関10に作用している外部負荷が大きいときほど、失火が生じて機関回転速度NEが低下し始めてからエンジンストールに至るまでの時間が短くなり、トルクを増大させてエンジンストールの発生を回避することが困難になる。
これに対して、上記実施形態では、内燃機関10に作用する外部負荷の大きさに基づいてディレイ制御を実行する機関回転速度NEの下限値である切り替え回転速度Aを設定するようにしている。これにより、失火による機関回転速度NEの低下速度に応じて、すなわちエンジンストールの回避し難さに応じてディレイ制御の実行を禁止する機関回転速度NEの範囲を可変設定することができるようになり、エンジンストールの発生を抑制しつつ、極力ディレイ制御を実行し、良好な排気性状を実現することができるようになる。
(3)上記実施形態にあっては、アイドル要求トルクが大きいときほど、切り替え回転速度Aが大きくなるように、アイドル要求トルクの大きさに応じて切り替え回転速度Aを設定することにより、外部負荷の大きさに基づいて切り替え回転速度を設定する構成を実現している。
そして、アイドル要求トルクが大きく、内燃機関10に作用する外部負荷が大きいときほど、切り替え回転速度Aが大きくなるように、外部負荷の大きさに応じて切り替え回転速度Aの大きさを設定するようにしている。
そのため、失火の発生に伴う機関回転速度NEの低下速度が大きいときほど、機関回転速度NEが高いときからディレイ制御が禁止されるようになり、トルクを増大させるための時間的余裕を確保し、エンジンストールの発生をより的確に抑制することができる。
また、逆に外部負荷が小さく、失火の発生に伴う機関回転速度NEの低下速度が小さいときには、機関回転速度NEがより低くなるまでディレイ制御の実行が継続されるようになる。したがって、外部負荷が小さく、エンジンストールを回避するためにトルクを増大させるための時間的余裕が大きいときには、機関回転速度NEがより低くなるまでディレイ制御を通じてトルクを制御することができる。そのため、ディレイ制御の実行を禁止することによってエンジンストールの発生を抑制する一方、極力長い間ディレイ制御を実行して混合気の空燃比を的確に調整し続け、ディレイ制御の実行を禁止することによる排気性状の悪化を極力抑制することができる。
(4)上記実施形態のように輸送遅れを補償して目標トルクを実現するようにスロットル開度Thを制御する場合には、アクセル操作量ACCPに比例させてスロットル開度Thを変更する場合と比較して素早く且つ大きくスロットル開度Thが変化することとなる。そのため、輸送遅れを補償して目標トルクを実現するようにスロットル開度Thを制御する場合には、燃焼に供される空気の量を正確に推定することが特に難しい。
したがって、輸送遅れを補償するようにスロットル開度Thを制御する場合には、極力ディレイ制御を実行し、要求トルクの変化履歴に基づいて正確に燃焼に供される空気の量を推定することが望ましい。
これに対して上記実施形態のようにアイドル要求トルクが大きく、内燃機関10に作用する外部負荷が大きいときほど、切り替え回転速度Aが大きくなるように、外部負荷の大きさに応じて切り替え回転速度Aの大きさを設定する構成を採用すれば、極力長い間ディレイ制御を実行して混合気の空燃比を的確に調整し続けることができるようになる。
(5)内燃機関10の駆動力を利用して駆動されるエアコンユニット200が稼働している場合には、エアコンユニット200を駆動するために必要な駆動力の分だけ、内燃機関10に作用する外部負荷が大きくなる。これに対して、上記実施形態にあっては、エアコンユニット200が稼働しているか否かに基づいて内燃機関10に作用する外部負荷の大きさを推定するようにしている。そのため、エアコンユニット200が稼働しているか否かを参照することによって内燃機関10に作用する外部負荷の大きさを推定することができる。
(6)オルタネータ300に大きなフィールド電流を供給している場合には、小さなフィールド電流を供給しているときと比較してオルタネータ300による発電量が大きくなり、オルタネータ300を駆動するために必要な駆動力も大きくなる。これに対して、上記実施形態にあっては、オルタネータ300に供給されているフィールド電流の大きさに基づいて内燃機関10に作用する外部負荷の大きさを推定するようにしている。そのため、オルタネータ300に供給されているフィールド電流の大きさを参照することによって内燃機関10に作用する外部負荷の大きさを推定することができる。
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記実施形態にあっては、エアコンユニット200が稼働しているか否かに応じて内燃機関10に作用する外部負荷の大きさを推定する構成を示したが、内燃機関10に作用する外部負荷の大きさを推定する方法は適宜変更することができる。
例えば、可変容量型のコンプレッサを備えるエアコンユニットを搭載した車両に搭載される内燃機関の制御装置の場合には、コンプレッサの容量に応じて外部負荷の大きさを推定するようにしてもよい。
・また、上記実施形態にあっては、オルタネータ300に供給するフィールド電流の大きさに基づいてオルタネータ300による外部負荷の大きさを推定する構成を示した。これに対して、クランク軸14とオルタネータ300との間にクラッチを備える車両に搭載される内燃機関の制御装置にあっては、そのクラッチの断接状態に応じて外部負荷の大きさを推定するようにしてもよい。
すなわち、クラッチを備え、クランク軸14とオルタネータ300とを断接する車両にあっては、クラッチの断接状態に応じて内燃機関10に作用する外部負荷の大きさが変化する。そのため、クラッチの断接状態を監視して、クラッチの断接状態に応じて外部負荷の大きさを推定することが望ましい。
・また、オルタネータ300の発電量が多いときほど、オルタネータ300の駆動負荷は大きくなる。そのため、オルタネータ300による発電量を監視し、オルタネータ300による発電量に基づいて外部負荷を推定する構成を採用することもできる。
・更に、消費電力の大きさに応じてオルタネータ300の発電量を制御する場合には、消費電力の大きさを監視して消費電力の大きさに基づいて外部負荷を推定することもできる。
・尚、消費電力の大きさは、車両のライトが点灯しているか否か、また、オーディオが稼働しているか否か等によって変化するため、車両のライトが点灯しているか否か、また、オーディオが稼働しているか否か等に基づいて外部負荷の大きさを推定することもできる。
・上記実施形態にあっては、図4に示した演算マップを参照してアイドル要求トルクに基づいて切り替え回転速度Aを設定する構成を示したが、演算マップを参照して切り替え回転速度Aを設定する構成に替えて、アイドル要求トルクに基づいてその都度、切り替え回転速度Aを算出するようにしてもよい。
すなわち、アイドル要求トルクが大きいときほど、切り替え回転速度Aを大きな値に設定する構成を採用すれば、上記実施形態と同様に、エンジンストールの発生を抑制する一方、極力長い間ディレイ制御を実行して混合気の空燃比を的確に調整し続け、ディレイ制御の実行を禁止することによる排気性状の悪化を極力抑制することができるようになる。
・また、上記実施形態にあっては、アイドル要求トルクに基づいて切り替え回転速度Aを設定し、機関回転速度NEが切り替え回転速度A未満のときにディレイ制御を禁止する構成を示したが、外部負荷の大きさに基づいて切り替え回転速度Aを設定する構成を採用することもできる。尚、その場合には、外部負荷が大きいときほど切り替え回転速度Aが大きくなるようにすればよい。
・また、外部負荷の大きさに基づいて切り替え回転速度Aを設定し、機関回転速度NEが切り替え回転速度A未満のときにディレイ制御を禁止する構成を採用する場合には、図3を参照して説明したディレイ制御を禁止する処理にかかる一連の処理をアイドル運転時のみならず、機関運転中に常に繰り返し実行するようにしてもよい。
・上記実施形態では、目標トルクに追従して実際のトルクが変化するように、目標トルクの変化に先立ってスロットル開度Thを変更する構成を示した。これに対して、図2に破線で示されるように、目標トルクに比例してスロットル開度Thが変化するように、目標トルクの大きさに対応させてスロットル開度Thを変更するようにスロットル開度Thを制御する内燃機関に、本発明を適用することもできる。
このように目標トルクの大きさに対応させてスロットル開度Thを制御する内燃機関にあっては、図2に破線で示されるように、スロットル開度Thの変化に対して空気の輸送遅れの分だけ吸入空気量GA及びトルクが遅れて変化するようにはなってしまう。しかし、このように目標トルクの大きさに対応させてスロットル開度Thを制御する場合であっても、ディレイ制御を実行して要求トルクの変化に対して一定の期間遅延させてスロットル開度Thを変更することにより、要求トルクの変化に基づいて吸入空気量GAの変化を予測することができるようになる。そのため、上記実施形態と同様に、吸気弁17が閉弁する前に吸気弁17が閉弁するまでの間に燃焼室16に導入される空気の量を高い精度で推定することができ、吸気弁17が閉弁する前に推定された空気の量にあわせた量の燃料を噴射することができるようになる。したがって、このように目標トルクの大きさに対応させてスロットル開度Thを制御する場合であっても、上記実施形態と同様に、良好な排気性状を実現することができる。
尚、このように目標トルクの大きさに対応させてスロットル開度Thを制御する場合には、輸送遅れの影響を予め考慮して吸入空気量GAの変化を予測する必要がある。
・また、目標トルクを設定せずに、要求トルクに基づいて直接目標スロットル開度を設定し、スロットル開度Thを目標スロットル開度に一致させるようにスロットル開度Thを制御する内燃機関の制御装置に本発明を適用することもできる。すなわち、本発明は、要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル開度Thを制御するディレイ制御を実行する内燃機関の制御装置であれば、上記実施形態で示した構成を適宜変更して適用することができる。
10…内燃機関、11…気筒、12…ピストン、13…コネクティングロッド、14…クランク軸、15…シリンダヘッド、16…燃焼室、17…吸気弁、18…排気弁、19…燃料噴射弁、20…点火プラグ、30…吸気通路、31…エアクリーナ、32…フィルタ、33…サージタンク、34…モータ、35…スロットル弁、40…排気通路、50…アクセル開度センサ、51…エアフロメータ、52…クランク角度センサ、53…スロットル開度センサ、54…水温センサ、55…カム角度センサ、100…電子制御装置、200…エアコンユニット、300…オルタネータ。

Claims (5)

  1. 要求トルクの変化に対して一定時間遅延させてスロットル弁の開度を制御するディレイ制御を実行して内燃機関のトルクを制御する内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関に作用する外部負荷の大きさに基づいて前記ディレイ制御を実行する機関回転速度の下限値である切り替え回転速度を設定し、
    機関回転速度が前記切り替え回転速度未満のときには、前記ディレイ制御の実行を禁止して前記ディレイ制御による遅延時間よりも短い遅延時間で要求トルクの変化に対して前記スロットル弁の開度を制御して前記内燃機関のトルクを制御する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記外部負荷が大きいときほど、前記切り替え回転速度が大きくなるように、前記外部負荷の大きさに応じて前記切り替え回転速度の大きさを設定する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. アイドリング運転時に機関回転速度を一定の水準に保持するために必要なトルクとして、前記内燃機関自体の駆動負荷と前記外部負荷とに基づいてアイドル要求トルクを算出し、
    アイドリング運転時には、前記アイドル要求トルクに基づいて前記スロットル弁の開度を制御して前記内燃機関のトルクを制御する内燃機関の制御装置であり、
    前記アイドル要求トルクが大きいときほど、前記切り替え回転速度が大きくなるように、前記アイドル要求トルクの大きさに応じて前記切り替え回転速度を設定する
    請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記外部負荷は、前記内燃機関の駆動力を利用して駆動されるエアコンユニットを駆動するための駆動負荷を含み、
    同エアコンユニットが稼働しているか否かに基づいて前記外部負荷の大きさを推定する
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記外部負荷は、前記内燃機関の駆動力を利用して駆動されるオルタネータを駆動するための駆動負荷を含み、
    同オルタネータに供給しているフィールド電流の大きさに基づいて前記外部負荷の大きさを推定する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の制御装置。
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