JP2012197708A - 内燃機関の燃料カット制御方法 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

【課題】燃料カットを実行する際の機関温度の高低にかかわらず、トルク段差を効果的に吸収するとともに、燃費の向上を図る。
【解決手段】減速時に少なくとも機関回転数が所定回転数 以上である場合に燃料の供給を中止する内燃機関の燃料カット制御方法であって、機関温度を測定し、燃料の供給中止条件が成立しているか否かを判定し、測定した機関温度に基づいて機関温度が低いほど点火時期の遅角量を大きく設定し、前記供給中止条件が成立していると判定した場合に燃料の供給を中止するまでに設定した遅角量まで点火時期を遅角する。
【選択図】図2

Description

本発明は、減速時における内燃機関の燃料カット制御方法に関するものである。
従来、燃料の供給の中止、いわゆる燃料カットを実施する際に、その実施前後におけるトルクの変動(トルク段差)をいち早く吸収し、燃料カット実施までの遅延時間を短くすることにより、燃費を向上させることを目的として、燃料カット実施前に点火時期を遅角する制御が知られている(例えば特許文献1)。このような制御は、内燃機関の暖機後の要求で適合を実施するが、冷機時にはファーストアイドル分のアイドル回転制御のための吸入空気量が多いため、出力トルク(正のトルク)が大きいので、点火時期の遅角量の要求が暖機後と比べて大きくなる。これは、機関温度によって、燃料カット時のメカニカルロスつまり負のトルクの大きさが異なるためである。そして、このように出力トルクが大きいと、その分トルク段差も大きくなる。
このような制御の場合、上述した負のトルクが機関温度により異なることで、点火時期の遅角量を同じにすると、機関温度によってトルク段差が大きく異なるものとなる。このように、暖機後と冷却時とで点火時期の遅角量の要求が異なるものの、遅角量の適合値を変えることなくそれぞれの場合に適用している。この結果、ドライバビリティを確保するためには、暖機時の遅延時間は本来なら冷機時の遅延時間より短くできるにもかかわらず、暖機時の燃料カットの遅延時間を長く取り、つまり冷機時の遅延時間を暖機時にも適用することで、燃費を無駄に消費しているという不具合が生じた。
特開平10‐30477号公報
そこで本発明は以上の点に着目し、燃料カットを実行する際の機関温度の高低にかかわらず、トルク段差を効果的に吸収するとともに、燃費の向上を図ることを目的としている。
すなわち、本発明の内燃機関の燃料カット制御方法は、減速時に少なくとも機関回転数が所定回転数以上である場合に燃料の供給を中止する内燃機関の燃料カット制御方法であって、機関温度を測定し、燃料の供給中止条件が成立しているか否かを判定し、測定した機関温度に基づいて機関温度が低いほど点火時期の遅角量を大きく設定し、前記供給中止条件が成立していると判定した場合に燃料の供給を中止するまでに設定した遅角量まで点火時期を遅角することを特徴とする。
このような構成によれば、機関温度が低いほど、潤滑油の粘度が高いことなどから内燃機関のメカニカルロスが大きく、燃料の供給を中止した時の逆トルクが大きくなる。それゆえ、このように点火時期の遅角量を大きく設定して点火時期を遅角させることで、機関温度が低い場合ほど燃料の供給を中止する直前のトルクを大きく低下させ、機関温度の変化によらず燃料の供給を中止する時点のトルクの変化幅(トルク段差)を小さくすることが可能になる。
機関温度とは、内燃機関自体の温度、内燃機関を冷却するための冷却液、潤滑油、吸入空気の温度などを含むものである。
減速時に内燃機関がアイドル運転になる場合のトルク段差を小さくするためには、少なくともアクセル操作量が最小である場合の吸入空気量が多いほど前記遅角量を大きく設定するものが好ましい。アクセル操作量とは、吸入空気量を調整するスロットル弁の作動を制御するためのアクセルペダルやアクセルグリップの操作量を示すものであり、アクセル操作量が最小とは、アクセルペダルやアクセルグリップが操作されていない状態を指すものである。
減速時のアイドル運転における吸入空気量が多いほど、つまりアイドル回転制御のための吸入空気の流量を制御する流量制御弁を有するものでは、その流量制御弁の開度が大きいほどアクセル操作量が最小である場合の機関出力が大きくなる。このような運転状態における吸入空気量が多いほど点火時期の遅角量を大きく設定することで、燃料の供給を中止する際のトルク段差を小さくすることができる。
本発明は、以上説明したような構成であり、点火時期の遅角量を大きく設定して点火時期を遅角させることで、機関温度が低い場合ほど燃料の供給を中止する直前のトルクを大きく低下させ、機関温度の変化によらず燃料の供給を中止する時点のトルク段差を小さくすることができる。
本発明の実施形態のエンジンの概略構成説明図。 同実施形態の制御手順を示すフローチャート。 同実施形態の作用説明図。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に概略的にその一気筒の構成を示したエンジン100は自動車用のもので、その吸気系1には図示しないアクセルペダルに応動して開閉するスロットル弁2を配設するとともに、このスロットル弁2を迂回するバイパス通路3を設け、このバイパス通路3にアイドル回転数制御用の流量制御弁4を介設している。
この流量制御弁4は、スロットル弁2がほぼ全閉となった際のアイドル回転数制御において、エンジン100の温度である冷却水温に基づく開度で開かれるものである。この場合冷却水温が低いほどその開度を大きくして、流量制御弁4は開かれる。これは、メカニカルロスの多い低温時に、回転変動に対する耐力を大きくするためである。この流量制御弁4は、スロットル弁2が開いている時、つまりアクセルペダルが操作されている時にも開かれている。
吸気系1にはさらに、燃料噴射弁5が設けてあり、この燃料噴射弁5や前記流量制御弁4を、電子制御装置6により制御するようにしている。エンジン自体は、この分野で広く知られているものを用いることができる。
電子制御装置6は、中央演算処理装置7と、記憶装置8と、入力インターフェース9と、出力インターフェース11とを具備してなるマイクロコンピュータシステムを主体に構成されている。入力インターフェース9には、サージタンク12内の圧力を検出する吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号a、エンジン回転数を検出するための回転数センサ14から出力される回転数信号b、車速を検出するための車速センサ15から出力される車速信号c、スロットル弁2の開閉状態を検出するためのアイドルスイッチ16から出力されるIDL信号d、エンジン温度であるエンジン100の冷却水温を検知するための水温センサ17から出力される水温信号e等が入力される。また、出力インターフェース11からは、燃料噴射弁5に対して、演算された燃料噴射時間に対応する駆動信号fが、また流量制御弁4に対しては、演算デューティ比に基づく制御信号gが、それぞれ出力される。
電子制御装置6には、吸気圧センサ13から出力される吸気圧信号aと回転数センサ14から出力される回転数信号bを主な情報として燃料噴射弁5の開成時間を決定し、その決定により燃料噴射弁5を制御して負荷に応じた燃料を該燃料噴射弁5から吸気系1に噴射させるためのプログラムが格納してある。また、スロットル弁2がほぼ全閉となる減速走行時に、エンジン回転数が所定回転数(以下、燃料カット回転数と称する)以上であるなどの所定条件(以下、燃料カット条件と称する)の成立を受けて燃料の供給を停止する燃料カットを実行する燃料カット制御プログラム、及び燃料カット制御を実行中に、エンジン回転数が燃料カット復帰回転数以下になった運転状態において実行する燃料カット復帰制御プログラムを格納している。
この実施形態の燃料カット制御プログラムは、減速時に少なくともエンジン回転数が燃料カット回転数以上である場合に燃料の供給を中止するものであって、冷却水温を測定し、燃料の燃料カット条件が成立しているか否かを判定し、測定した冷却水温に基づいて冷却水温が低いほど点火時期の遅角量を大きく設定し、前記燃料カット条件が成立していると判定した場合に燃料の供給を中止するまでに設定した遅角量により点火時期を遅角するように構成している。以下に、その制御手順を図2に示して、燃料カット制御プログラムの全体を説明する。
まずステップS1において、エンジン温度である冷却水温を測定する。冷却水温は、水温センサ17から出力される水温信号eに基づいて測定する。冷却水温は、燃料噴射量の補正量などを決定する際に測定したものを用いることができる。
ステップS2において、燃料カット条件が成立したか否かを判定する。燃料カット条件は、少なくとも、スロットル弁2がほぼ全閉である、及びエンジン回転数が燃料カット回転数以上である、とする。スロットル弁2がほぼ全閉になった状態にあっては、流量制御弁4をアイドル回転数が維持できる開度に保持するアイドル回転数制御を実施するものである。
ステップS3において、測定したエンジン温度に基づいて、点火時期の遅角量を設定する。遅角量は、エンジン温度に対して、マップによりその代表的なものが設定してある。遅角量は、エンジン温度が低くなるほど大きくなるようにマップに設定してある。マップを検索して、測定したエンジン温度に対応する遅角量がない場合は、補間計算により求める。
ステップS4において、設定した遅角量まで、点火時期を遅角する。点火時期の遅角は、急激な回転変動やトルク変動が生じないように、所定の少量の遅角量ずつ遅角させることを繰り返すことにより実施する。この場合、図3に示すように、エンジン100が冷機状態にある場合と暖機状態にある場合とで、上記した所定の少量の遅角量を異ならせるものである。つまり、冷機時にあっては、負のトルクが大きいので、暖機時に対して所定の少量の遅角量を大きくしている。
ステップS5において、点火時期が、設定した遅角量まで遅角したか否かを判定する。点火時期が設定した遅角量に達していない場合は、ステップS4に戻って、点火時期を、前回の所定の少量の遅角量に今回の所定の少量の遅角量を加算した遅角量により遅角する。つまり、点火時期が設定した遅角量に達するまでは、ステップS4を繰り返し実行するものとなる。
点火時期の設定した遅角量までの遅角が完了したとステップS5において判定した場合は、ステップS6おいて、燃料カットを実施する。
このような構成において、アクセルペダルが戻されてアクセルペダルの操作量が最小になり、減速状態となった場合、燃料カット条件が成立すると(ステップS2の「Yes」)、測定したエンジン温度に基づいて設定した遅角量になるまで、点火時期を漸次遅角する(ステップS3、ステップS4)。この間、燃料カットは実施せずに、点火時期が設定した遅角量になるまで、燃料カットの実施を待機、つまり燃料カット条件成立時点から燃料カットの実施を遅延させる。そして、点火時期が設定した遅角量に達した時点で(ステップS5の「Yes」)、燃料カットを実施する。
このように、エンジン温度に応じて、燃料カットを実施するまでの間に点火時期の遅角を実施することで、点火時期を遅角して燃料カット実施直前の正のトルクを低下させることができる。したがって、エンジン温度が低い場合の燃料カット実施時に逆トルクが大きくとも、エンジン温度の変化に依存することなく、燃料カット実施開始時のトルク段差を小さくすることができる。
また、エンジン温度が低い場合、つまり冷機時と、エンジン温度が高い場合、つまり暖機時とで、点火時期の遅角量を個別に設定するので、図3に示すように、燃料カット条件が成立してから実際に燃料カットを実施するまでの遅延時間が異なる。したがって、暖機時には、暖機時の要求遅延時間となり、冷機時の遅延時間より短くすることができる。この結果、ドライバビリティを損なうことなく従来に比べて暖機時の燃費を改善することができる。
以上に説明した実施形態において、点火時期の遅角量を設定するに際して、流量制御弁4の開度を加味する構成にすることができる。具体的には、燃料カット条件が成立した、上述のステップS2の次に、スロットル弁2がほぼ全閉になった状態での流量制御弁4の開度を制御信号に基づいて推定する。次に、上述の実施形態のステップS3の変形として、推定した流量制御弁4の開度及びエンジン温度に基づいて、点火時期の遅角量を設定する。この場合、エンジン温度が低くなるほど、かつ推定した流量制御弁4の開度が大きいほど、点火時期の遅角量を大きく設定する。これ以外の構成については、上述の実施形態と同じである。
このような構成とすることにより、流量制御弁4の開度が大きく、アイドル運転時の吸入空気量が多い場合の正のトルクが大きくなっていても、流量制御弁4の開度に応じて、つまり開度が大きいほど点火時期の遅角量を大きく設定して燃料カット実施直前の正のトルクを多く低下させることができる。したがって、流量制御弁4の開度に依存することなく燃料カット実施直後のトルク段差を小さくすることができる。
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。
上記実施形態では、スロットルバルブ2を迂回するバイパス通路3に設けられる流量制御弁4の開度を制御することにより、アイドル運転中の吸入空気量を調整する構成を説明したが、スロットル弁をリニアモータなどの電磁式アクチュエータにより作動させるいわゆる電子スロットルを用い、バイパス通路3及び流量制御弁4を用いない構成としてもよい。このような構成にあっては、上述の流量制御弁4のアイドル運転時の開度に相当して、アクセルペダルの操作量が最小の際に、スロットル弁はアイドル回転数が維持できる開度に保持される。したがって、このような構成の場合、アクセルペダルの操作量が最小になったことを、スロットル弁2のほぼ全閉に代えて燃料カット条件にするものである。このためには、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルセンサを設け、アクセルセンサが出力する操作量信号に基づいてアクセルペダルの操作量を検出する。
なお、このようなアクセルセンサによるアクセルペダルの操作量を検出する構成は、上述の実施形態に適用することができる。その場合、スロットル弁2の開度を燃料カット条件とするのではなく、アクセルペダルの操作量を燃料カット条件とするものである。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明の活用例として、車両などに搭載されて、減速時に燃料カットを実施する火花点火式の内燃機関に適用することができる。
2…スロットル弁
3…バイパス通路
4…流量制御弁
6…電子制御装置
7…中央演算処理装置
8…記憶装置
9…入力インターフェース
11…出力インターフェース
17…水温センサ

Claims (2)

  1. 減速時に少なくとも機関回転数が所定回転数以上である場合に燃料の供給を中止する内燃機関の燃料カット制御方法であって、
    機関温度を測定し、
    燃料の供給中止条件が成立しているか否かを判定し、
    測定した機関温度に基づいて機関温度が低いほど点火時期の遅角量を大きく設定し、
    前記供給中止条件が成立していると判定した場合に燃料の供給を中止するまでに設定した遅角量まで点火時期を遅角する内燃機関の燃料カット制御方法。
  2. 少なくともアクセル操作量が最小である場合の吸入空気量が多いほど前記遅角量を大きく設定する請求項1記載の内燃機関の燃料カット制御方法。
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