JP5396130B2 - 制振材料 - Google Patents

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Description

本発明は、振動エネルギー、衝撃エネルギー等のエネルギーを減衰させることができ、例えば自動車、内装材、建材、家電機器等に適用される制振材料に関する。
従来、制振材料としては、例えば母材に、該母材における双極子モーメントの量を増大させる活性成分を添加して得られる制振組成物が知られている。この制振組成物では、活性成分を添加し、双極子モーメントの量を増大させることにより、制振組成物における損失正接(tanδ)の値を向上させている。制振材料の減衰性能を向上させるためには、母材に適した活性成分を選択することが重要である。
この種の制振材料として、本願出願人は既にマトリックスポリマーと、繊維強化材とを有し、マトリックスポリマー中に有機系振動減衰剤を配合した制振性複合材料を提案した(特許文献1を参照)。この制振性複合材料によれば、広範な用途に用いられ、高い強度と優れた制振性とを兼ね備えることができる。
特開2003−176416号公報(第2頁及び第3頁)
しかしながら、特許文献1に記載されている制振性複合材料は、マトリックスポリマー中に有機系振動減衰剤が含まれているため制振性を向上させることはできるが、繊維強化材は制振性複合材料の強度を高める働きを示すだけであることから、制振性を発揮することができる温度領域を広げることはできなかった。
そこで、本発明の目的とするところは、高い制振性を発揮することができると共に、その高い制振性を発揮することができる温度領域を拡張することができる制振材料を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明の制振材料は、(メタ)アクリルポリマー、板状鉱物としての雲母及びカーボン繊維を含有し、前記カーボン繊維として、弾性率が200〜1000GPaであるとともに、繊維長が50〜200μm及び繊維径が5〜15μmのカーボン繊維を配合してなり、前記(メタ)アクリルポリマーの含有量は、10〜50質量%であり、前記雲母の含有量は、30〜70質量%であり、前記カーボン繊維の含有量は、10〜20質量%であることを特徴とする
請求項に記載の発明の制振材料は、請求項1に係る発明において、さらに、減衰性付与剤を含有することを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の制振材料においては、(メタ)アクリルポリマー、板状鉱物及びカーボン繊維を含有する。板状鉱物は板状で接触面積が大きいことから制振材料に外力が作用したとき、十分な擦れ合いにより熱変換量が大きくなり、損失正接(tanδ)を高めることができると共に、板状鉱物は耐熱性に優れていることから高いtanδを示す温度範囲の上限を高温側へ移行させることができる。また、カーボン繊維はほぼ円柱状をなし、粒状に比べて接触面積が大きいことから、十分な接触により熱変換を行うことができ、損失正接(tanδ)を高めることができる。
従って、本発明の制振材料によれば、板状鉱物とカーボン繊維とが相乗的に作用し、高い制振性を発揮することができると共に、その高い制振性を発揮することができる温度領域を拡張することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔制振材料〕
本実施形態の制振材料は、(メタ)アクリルポリマー、板状鉱物及びカーボン繊維を含有する。この制振材料には、制振性を高めるために減衰性付与剤を含むことが望ましい。
制振材料に加えられた振動エネルギーや衝撃エネルギーが制振材料中で熱エネルギーに変換されて制振性が発現される。この制振性は一般に損失正接(tanδ)で示され、tanδが高いほど制振材料の制振性が優れている。該損失正接(tanδ)は、下記式(1)に示すように、貯蔵弾性率(E’)と損失弾性率(E”)との比で定義され、弾性項(E’)を基準とした粘性項(E”)の割合を意味する。
tanδ=sinδ/cosδ=E”/E’ ・・・(1)
この損失正接(tanδ)の値が大きいほど、高い減衰性能すなわち優れた制振性を得ることができる。従って、tanδを高くして制振性を向上させるためには、損失弾性率(E”)の変化を貯蔵弾性率(E’)の変化より大きくすることが必要である。さらに、優れた制振性を示す温度領域は、例えばtanδ=0.8以上となる温度範囲で評価される。
制振材料は、シート状に成形することにより非拘束型制振材料として利用される。この非拘束型制振材料は、シート面を適用箇所の形状に沿うようにして適用箇所に設けることにより、適用箇所とは反対側のシート面が拘束されない状態で使用される。上記損失弾性率は、非拘束型制振材料の制振性についての指標となる。すなわち、損失弾性率が高くなれば、非拘束型制振材料としての制振性が高まるため、制振材料はシート状の非拘束型制振材料としての利用価値が極めて高い。
<(メタ)アクリルポリマー>
前記(メタ)アクリルポリマーは制振材料のマトリックスポリマーとなるものであり、粘弾性を有するポリマーであって、制振性を発揮できる温度領域を常温に近づけることが容易なポリマーである。該(メタ)アクリルポリマーは、アクリル系モノマー又はメタクリル系モノマー〔本発明ではアクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称する。〕のホモポリマー又は(メタ)アクリル系モノマーを主成分とし、その他のモノマーとのコポリマーである。アクリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられ、メタクリル系モノマーとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。その他のモノマーとしては、スチレン、エチレン、酢酸ビニル等のモノマーが挙げられる。
(メタ)アクリルポリマーは塊状のもののほか、エマルジョンなどの水分散系のものであってもよい。水分散系の場合には、水を揮散させて(メタ)アクリルポリマーを固体状(塊状)として使用される。
(メタ)アクリルポリマーの含有量は、制振材料中に10〜50質量%であることが好ましい。(メタ)アクリルポリマーの含有量が10質量%を下回る場合には、(メタ)アクリルポリマーがマトリックスポリマーとしての機能を保持できず、制振材料の粘弾性が不足する。その一方、50質量%を上回る場合には、相対的に板状鉱物やカーボン繊維の含有量が低下し、tanδを高めることが難しくなる。
<板状鉱物>
板状鉱物(層状鉱物)は、板状で接触面積が大きいが故に制振材料に外力が作用したとき、十分な接触により熱変換量が大きくなり、前記損失弾性率(E”)を高め、制振性を向上させる機能を果たす成分である。また、板状鉱物は耐熱性が高いことから、高いtanδを示す温度範囲の上限を高温側へ移行させることができる。この板状鉱物としては、雲母(マイカ)、タルク、グラファイト(黒鉛)等が用いられるが、接触面積が大きく、制振性を向上させる効果が高い点から雲母が好ましい。
雲母としては、膨潤性雲母と非膨潤性雲母が挙げられる。膨潤性雲母は、水等の極性溶媒で膨潤する特性を有する親水性の雲母である。膨潤性雲母の層間に存在するイオンはリチウム、ナトリウム又はストロンチウムであり、それらのイオンが極性溶媒中のイオンとイオン交換することで膨潤性雲母は膨潤する。膨潤性雲母としては、例えばNa型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等が挙げられる。一方、非膨潤性雲母は、水中では膨潤しない特性を有する。非膨潤性雲母としては、例えばフッ素金雲母、カリウム四珪素雲母等の合成非膨潤性雲母、白雲母、金雲母、黒雲母、絹雲母等の天然非膨潤性雲母等が挙げられる。
雲母の平均粒子径は10〜100μmが好ましく、20〜60μmがより好ましい。雲母の平均粒子径が10μmより小さい場合には、十分な接触面積をとってその機能を有効に発現することが難しくなる。その一方、100μmより大きい場合には、かえって接触性が悪くなり、制振材料の制振性が低下する。
雲母のアスペクト比は10〜150が好ましく、30〜100がさらに好ましい。雲母のアスペクト比が10を下回る場合、雲母が粒状に近づいて接触性が悪くなり、制振性の向上が望めなくなる。一方、150を上回る場合、雲母が脆くなって接触性が悪くなり、制振性の向上に十分に寄与することができなくなる。
板状鉱物の含有量は、制振材料中に30〜70質量%であることが好ましい。板状鉱物の含有量が30質量%より少ない場合、tanδの十分な向上を望めなくなる。一方、70質量%より多い場合、(メタ)アクリルポリマー及びカーボン繊維の含有量とのバランスを欠き、制振材料の制振性を十分に向上させることができなくなる。
<カーボン繊維>
カーボン繊維は、ほぼ円柱状の形状を有し、粒状に比べて接触面積が大きく、十分な接触により熱変換ができ、損失弾性率(E”)を高め、制振性を向上させる成分である。このカーボン繊維としては、弾性率が200〜1000GPaであることが好ましく、800〜950GPaであることがさらに好ましい。弾性率が200GPaを下回る場合には、カーボン繊維の弾性が不足し、損失正接(tanδ)を十分に高めることができない。その一方、1000GPaを上回る場合には、カーボン繊維の弾性が高くなり過ぎ、損失正接(tanδ)のピーク値は高くなるが、高いtanδが得られる温度領域が狭くなって好ましくない。
カーボン繊維は、繊維長が好ましくは50〜200μm及び繊維径が好ましくは5〜15μmである。カーボン繊維の繊維長が50μm未満又は繊維径が15μmを超えると粒状に近づき、繊維としての機能を十分に発現できなくなり、一方繊維長が200μmを超え又は繊維径が5μm未満であるとカーボン繊維の接触性がかえって低下し、制振性の向上を図ることができなくなる。
カーボン繊維の含有量は、制振材料中に10〜20質量%であることが好ましい。カーボン繊維の含有量が10質量%より少ない場合、板状鉱物との相乗作用が不十分になり、tanδの十分な向上を図ることができなくなる。一方、20質量%より多い場合、(メタ)アクリルポリマー及び板状鉱物の含有量とのバランスを欠き、制振材料の制振性を十分に向上させることができなくなる。
<減衰性付与剤>
減衰性付与剤は、制振材料の制振性を高める物質であり、具体的にはベンゾチアジル系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ジフェニルアクリレート系化合物、ベンゾフェノン系化合物のほか、正リン酸エステル系化合物、芳香族第二級アミン系化合物等が挙げられる。
ベンゾチアジル系化合物としては、例えばN,N−ジシクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DCHBSA)、2−メルカプトベンゾチアゾール(MBT)、ジベンゾチアジルスルフィド、N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(CBS)、N−tert−ブチルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(BBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(OBS)、N,N−ジイソプロピルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド(DPBS)等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えばベンゼン環にアゾール基が結合したベンゾトリアゾールを母核とし、これにフェニル基が結合した2−{2’−ハイドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラハイドロフタリミデメチル)−5’−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HPMMB)、2−{2’−ハイドロキシ−5’−メチルフェニル}−ベンゾトリアゾール(2HMPB)、2−{2’−ハイドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HBMPCB)、2−{2’−ハイドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル}−5−クロロベンゾトリアゾール(2HDBPCB)等が挙げられる。
ジフェニルアクリレート系化合物としては、例えばエチル−2−シアノ−3,3−ジ−フェニルアクリレート等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、例えば2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(HMBP)、2−ハイドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルフォニックアシド(HMBPS)等が挙げられる。
これらの減衰性付与剤を配合する場合には、上記化合物から選ばれる一種のみを用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。減衰性付与剤を選択する際には、減衰性付与剤と(メタ)アクリルポリマーとの相溶し易さ、すなわち溶解度パラメータ(SP値)を考慮し、その値の近いものを選択することが望ましい。これらの減衰性付与剤でも、tanδを増加させる作用に優れることから、ベンゾチアジル系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物及びジフェニルアクリレート系化合物から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
減衰性付与剤は制振材料中で双極子として存在し、双極子間には大きな分子間力(双極子−双極子間引力)が働き、外部から振動エネルギー、衝撃エネルギー等が伝播したとき、双極子が回転したり、その位相がずれたりし、双極子に変位が生じる。この変位が生じた双極子は、不安定な状態であるため元の安定な状態に戻ろうとし、この双極子の変位、復元作用によってtanδが増大する。
減衰性付与剤の含有量は、(メタ)アクリルポリマー、板状鉱物及びカーボン繊維の合計量に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。減衰性付与剤の含有量が0.1質量%より少ない場合、減衰性付与剤としての機能発現が足りず、tanδの十分な向上を望めなくなる。一方、10質量%より多い場合、制振材料の成形性が低下する。
<その他の成分>
制振材料には、前記(メタ)アクリルポリマー、板状鉱物及びカーボン繊維以外に、その他の成分を常法に従って配合することができる。その他の成分としては、難燃剤、補強材、増量剤、潤滑剤、着色剤、抗菌剤、腐食防止剤、帯電防止剤、安定剤、充填剤等が挙げられる。
<制振材料の用途>
制振材料は、振動エネルギーや衝撃エネルギーの抑制が要求される分野において利用される。そのような制振材料の適用分野としては、例えば自動車、建材、家電機器、産業機械等が挙げられる。
〔実施形態により発揮される作用及び効果のまとめ〕
・ 実施形態における制振材料においては、(メタ)アクリルポリマー、板状鉱物及びカーボン繊維を含有する。板状鉱物は板状をなし、カーボン繊維はほぼ円柱状をなしていることから、制振材料が振動、衝撃等の外力を受けたとき十分な擦れ合いが生じ、その擦れ合いは粒状や粉状に比べて大きい。この場合、板状鉱物は板状で接触面積が大きいことから、十分な擦れ合いにより熱変換量が大きくなり、tanδを高めることができると共に、板状鉱物は耐熱性に優れていることから、高いtanδを示す温度範囲の特に上限を高温側へ移行させることができる。また、カーボン繊維はほぼ円柱状をなし、粒状に比べて接触面積が大きいことから、十分な接触により熱変換を行うことができ、tanδを高めることができる。これらの板状鉱物とカーボン繊維とは相乗的に作用する。
従って、本実施形態の制振材料によれば、高い制振性を発揮することができると共に、その高い制振性を発揮することができる温度領域を拡張することができる。
・ カーボン繊維は、弾性率が200〜1000GPaであることにより、tanδのピーク値を高め、そのピーク値の高い温度領域を一層拡張することができる。
・ カーボン繊維は、繊維長が50〜200μm及び繊維径が5〜15μmであることにより、カーボン繊維による前記効果を十分に発揮することができる。
・ 板状鉱物は雲母であることにより、板状鉱物としての機能を十分に果たすことができる。
・ 制振材料は減衰性付与剤を含有することにより、tanδを高め、制振性を一層向上させることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明する。
まず、制振材料を調製するための材料及び測定方法について説明する。
〔(メタ)アクリルエマルジョン〕
(メタ)アクリル系モノマーとしてメタクリル酸メチルを乳化重合して得られたエマルジョン〔サイデン化学(株)製、サイビノール X−204−936E1(固形分55質量%)〕。
(雲母)
白雲母1:アスペクト比80、平均粒子径47μm。
白雲母2:アスペクト比45、平均粒子径30μm。
(カーボン繊維)
パイロフィル:三菱レイヨン(株)製のカーボン繊維、弾性率235GPa、繊維長100μm、繊維径7μm。
HTA CNF/O160 OH:東邦テナックス(株)製のカーボン繊維、弾性率235GPa、繊維長160μm、繊維径7μm。
グラノックスXN−100−15M:日本グラファイトファイバー(株)製のカーボン繊維、弾性率900GPa、繊維長150μm、繊維径10μm。
(炭酸カルシウム)
炭酸カルシウム:平均粒子径0.9μm。
(減衰性付与剤)
CBS:N−シクロヘキシルベンゾチアジル−2−スルフェンアミド。
(動的粘弾性の測定)
制振材料をシート状に成形することによって厚さ1mmのシート材を得た。そのシート材を長さ35mm、幅3mmの寸法に切断し、動的粘弾性測定用の試験片とした。動的粘弾性測定装置(RSA−II、レオメトリック社製)を用いて試験片を加振しながら連続的に昇温した際の損失弾性率(E”)を測定した。測定条件は、周波数10Hz、測定温度範囲−40℃〜+90℃、昇温速度5℃/分とした。動的粘弾性の測定結果から温度と貯蔵弾性率(E’)との関係が得られ、損失弾性率(E”)を算出した。そして、貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比として、損失正接(tanδ)を求めた。
<実施例1>
以下の手順に従って制振材料を調製した。
まず、ロール混練機に(メタ)アクリルエマルジョンE1を29.3質量部、雲母としてA−41Sを50.9質量部及びCS−325DCを5.7質量部、カーボン繊維としてパイロフィルを14.1質量部及び減衰性付与剤としてCBSを0.92質量部投入し、230℃で10分間混練した。混練して得られたものをプレス成形機にて230℃で加熱プレスした後、直ちに冷却プレスにて20℃で1.5分間冷却した。このように、制振材料として厚さ1mmのシートを作製した。その後、得られたシートからカッターナイフで幅3mm、長さ35mmの短冊状に試験片を切り出した。
その試験片を動的粘弾性測定装置〔レオメトリック製、RSA−II〕に取り付けて、周波数10Hz、昇温速度5℃/分で−40〜90℃の範囲で測定した。その結果、損失正接(tanδ)が得られた。そして、tanδのピーク値及びピーク温度を読み取った。さらに、tanδ=0.8以上となる温度範囲を読み取った。それらの結果を表1に示した。
<実施例2及び3>
実施例1において、カーボン繊維を実施例2ではHTA CNF/O160 OHに変更し、実施例3ではグラノックスXN−100−15Mに変更した以外は、実施例1と同様にして制振材料のシートを調製し、試験片を作製した。その試験片について、実施例1と同様にtanδのピーク値及びピーク温度を読み取り、さらにtanδ=0.8以上となる温度範囲を読み取った。それらの結果を表1に示した。
<比較例1>
実施例1において、カーボン繊維を炭酸カルシウムに変更した以外は、実施例1と同様にして制振材料のシートを調製し、試験片を作製した。その試験片について、実施例1と同様にtanδのピーク値及びピーク温度を読み取り、さらにtanδ=0.8以上となる温度範囲を読み取った。それらの結果を表1に示した。
<実施例4>
実施例3において、減衰性付与剤(CBS)を省略した以外は、実施例3と同様にして制振材料のシートを調製し、試験片を作製した。その試験片について、実施例3と同様にtanδのピーク値及びピーク温度を読み取り、さらにtanδ=0.8以上となる温度範囲を読み取った。それらの結果を表1に示した。
<比較例2>
実施例4において、カーボン繊維を炭酸カルシウムに変更した以外は、実施例4と同様にして制振材料のシートを調製し、試験片を作製した。その試験片について、実施例4と同様にtanδのピーク値及びピーク温度を読み取り、さらにtanδ=0.8以上となる温度範囲を読み取った。それらの結果を表1に示した。
なお、表1における配合量は質量部を表す。
Figure 0005396130
表1に示したように、実施例1〜3の制振材料は、カーボン繊維が含まれていることから、カーボン繊維に代えて炭酸カルシウムが含まれている比較例1に比べてtanδのピーク値を若干高くすることができ、かつtanδ=0.8以上となる温度範囲を十分に拡張することができた。なお、tanδのピーク値を示す温度は高温側へ移行し、前記温度範囲も特に上限側を高温側へ拡張することができた。
また、実施例4に示したように、制振材料に減衰性付与剤が含まれていない場合でも、カーボン繊維を用いることにより、炭酸カルシウムを用いた比較例2に比べてtanδのピーク値は同等であるものの、tanδ=0.8以上となる温度範囲を十分に拡張することが可能であった。
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ カーボン繊維として、弾性率の異なるものを複数組合せて使用し、tanδを高めて制振性を向上させるように構成することもできる。
・ 雲母の平均粒子径とカーボン繊維の繊維長とを近づけて、相互の擦れ合いによる熱変換量を増大させ、tanδを高めるように構成することもできる。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想を以下に記載する。
〇 前記板状鉱物は、アスペクト比又は平均粒子径の異なる複数の板状鉱物で構成されている制振材料。この場合、板状鉱物の擦れ合いにより一層熱変換量を大きくすることができ、tanδを一層高めることができる。
〇 前記板状鉱物は、非膨潤性雲母である制振材料。この場合、制振性を向上させる効果を一層向上させることができる。

Claims (2)

  1. (メタ)アクリルポリマー、板状鉱物としての雲母及びカーボン繊維を含有し、
    前記カーボン繊維として、弾性率が200〜1000GPaであるとともに、繊維長が50〜200μm及び繊維径が5〜15μmのカーボン繊維を配合してなり、
    前記(メタ)アクリルポリマーの含有量は、10〜50質量%であり、
    前記雲母の含有量は、30〜70質量%であり、
    前記カーボン繊維の含有量は、10〜20質量%であることを特徴とする制振材料。
  2. さらに、減衰性付与剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の制振材料。
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