JP5389595B2 - 金属−セラミックス接合基板及びその製造方法 - Google Patents
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Description
さらに、半導体チップから発生した熱は、金属−セラミックス接合基板と半田とベース板を介して放熱フィンや冷却ジャケットにより空気や冷却水に逃がされるため、半田付けの際にベース板の反りが生じると、放熱フィンや冷却ジャケットをベース板に取り付けたときのクリアランスが大きくなり、放熱性が極端に低下する。
また、実質的に反りのない金属−セラミックス接合基板が得られたとしても、熱衝撃が繰り返された場合、反りが大きくなっていくことも知られている。
これらの問題を解決するため、窒化アルミニウム基板の一方の面にAl又はAl合金の回路が、また他方の面には必要に応じて放熱板が形成されてなる回路基板において、上記窒化アルミニウム基板が、Al板又Al合金板を介して接合された窒化アルミニウム基板の多層構造体である回路基板が提案されている。これにより、機械的、熱的かつ絶縁的に高信頼性があり、パワーモジュール用として好適な回路基板が提供されるとの開示がある。(例えば、特許文献1参照)。
また、回路板、第1のセラミックス板、熱拡散板、第2のセラミックス板および放熱(ベース)板の積層体により形成したことを特徴とする絶縁回路基板が提案されている。この熱拡散板の効果は回路板上に実装した半導体パワー素子の熱を熱拡散板で横方向に広げることにあり回路基板自体の熱抵抗を低減でき、且つ半導体パワー素子の通電路とするものである。また、前記第2のセラミックス板は熱拡散板と放熱板で完全に覆うようにしても良いとの開示がある。また、セラミックス板と熱拡散板或いは放熱板を、接合材(ろう材など)を使用せず、最初に金型内の所定の位置へ第1のセラミックス板と第2のセラミックス板をセットし、次に回路板、熱拡散板及び放熱板となる溶融Alあるいは溶融Al合金を金型内に高圧注入した後冷却し固体化して接合し、金型から取り出すことによって、回路基板を得ることが開示されている(例えば特許文献2参照)。
また、鋳型内に第1のセラミックス基板と第2のセラミックス基板をセットし、溶融Alまたは溶融Al合金を金型内に高圧で注入して金属−セラミックス接合基板を作製する方法は、金型内でのセラミックス基板の保持が困難で、適正な位置にセラミックス基板が形成できない恐れがある。よって、第2のセラミックス基板を熱拡散板と放熱板で完全に位置精度良く覆うようにするのは困難であり、よって反りの制御も困難でばらつきが伴い信頼性が低下するおそれがある。
また、前記金属ベース板の一方の面から厚さ方向に垂直に透過してみたときの前記金属ベース板の一方の面の面積における前記強化材の占める部分の面積が、前記金属ベース板の一方の面の面積よりも小さいことが好ましく、前記セラミックス基板の一方の面から厚さ方向に垂直に透過してみたときの前記セラミックス基板の一方の面の面積における前記強化材の占める部分の面積が、前記セラミックス基板の一方の面の面積よりも小さいことが好ましい。
また、前記強化材が複数個あり、それぞれの前記強化材の一部が前記金属ベース板から露出していることが好ましく、前記強化材が板状または棒状であることが好ましく、前記強化材が複数個あり、前記金属ベース板の一方の面から厚さ方向に垂直に透過して見たとき、前記強化材が格子状をなしていることが好ましい。
さらに、前記金属ベース板がアルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましく、前記強化材の材質がセラミックスであることが好ましく、前記強化材の材質がアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素から選ばれる少なくとも1つの原料からなるセラミックスであることが好ましく、前記金属板がアルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましく、前記セラミックス基板がアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素から選ばれる少なくとも1つの原料からなるセラミックスであることが好ましい。
さらに、前記強化材が複数個あり、それらが略同一平面上に接合されていることが好ましく、前記強化材が複数個あり、それらが略平行に接合されていることが好ましい。
前記支持が挟持によるものであることが好ましく、前記セラミックス基板に前記金属板と前記金属ベース板を接合した金属−セラミックス接合基板を鋳型から取り出し、前記強化材の一部を除去することがさらに好ましい。
前記金属溶湯がアルミニウムまたはアルミニウム合金であることが好ましく、注湯する前記金属溶湯は、酸化皮膜を除去したものであることが好ましく、前記金属溶湯は1〜100kPaの圧力で注湯されることがさらに好ましい。
第1の実施の形態について図1、図2、図3を用いて説明する。
図3は本発明の金属−セラミックス基板を製造するための鋳型4であり上型、下型に分離できるようになっている。また、図3は鋳型4内にセラミックス基板5と強化材3であるセラミックス板材が設置された状態を示している。鋳型4の内部に金属ベース板1を形成するための金属ベース板1形成用の空洞部2が形成され、この空洞部2の側面の高さ方向(金属ベース板1の厚さ方向)の略中央部に強化材3である7個のセラミックス板材が空洞部2を横断してそれぞれの強化材3の一部(両端)が鋳型4の支持部9で挟持されるように形成され、さらに前記空洞部2の底面にセラミックス基板5を収容するための凹部6(ただし、図3はセラミックス基板5がすでに収容されている)が形成され、凹部6の底面に回路パターンである金属板8を形成するための凹部7(回路パターン用金属板形成用空洞部)が形成されたカーボン製の鋳型4を用意した。
なお、前記強化材3を挟持する支持部9は、金属ベース板1を形成するための空洞部2の側面(金属ベース板1の厚さ方向)の中央部に強化材3が挟持される構造、具体的には強化材3の断面の形状に略対応する穴がこの空洞部2の側面に形成されてたものであり、強化材3の数に応じて穴状の支持部9が形成されている。図3の場合は、金属ベース板1の幅方向及び厚さ方向の中央に1個の強化材3が鋳型4内に設置されるための挟持部9と、その両側に等間隔で支持部9が3個ずつ略平行に並んだものとなっている。
また、この強化材3を挟持する支持部9は鋳型4の上型鋳型と下型鋳型により形成されるようになっており、これにより、強化材3を下型の支持部9に設置した(置いた)後、上型を下型にのせることにより、強化材3が前記空洞部2を横断した状態に、所定の位置に精度良く設置(固定)することができる。なお、支持部9は上型、下型のいずれに設けてもかまわず、両方に設けてもかまわないし、適当な支持部材で形成しても良い。
また、この鋳型には、溶湯を鋳型4内に注湯するための注湯口(図示しない)が形成されているとともに、空洞部2(金属ベース板形成部)と凹部7(回路パターン用金属板形成部)との間に延びる溶湯流路(図示しない)が形成され、凹部6にセラミックス基板5を収容したときにも空洞部2(金属ベース板形成部)と凹部7(回路パターン用金属板形成部)との間が連通するようになっている。
また、例えばアルミニウムである金属溶湯を、注湯温度まで加熱して得られた予め計量された金属溶湯を、狭隘部を有するノズル(図示しない)を通して酸化皮膜を取り除きながら、窒素ガスによって10kPaの圧力で加圧して、上記注湯口より加熱した鋳型内に流し込んだ。酸化皮膜を除去しながら注湯する、いわゆる溶湯接合以外の方法では、金属とセラミックスとの間で大きな接合欠陥が発生するおそれがある。
このようにして金属溶湯を流し込んだ後、ガス加圧ノズル(図示しない)から注湯口に窒素ガスを吹き込むことによって、鋳型4内のアルミニウム合金溶湯を10kPaの圧力で加圧したまま冷却して凝固させることが好ましい。
なお、ガスの注湯時や加圧時の圧力は1〜100kPaであるのが好ましく、3〜80kPaがさらに好ましく、5〜30kPaであることが最も好ましい。圧力が低すぎると金属溶湯が鋳型内に入りづらくなり、高すぎると強化材の位置がずれるおそれがあり、また鋳型が破壊される恐れがある。特に1MPa以上の高圧な場合は、カーボン製の鋳型4が破壊したり、強化材3やセラミックス基板5が、鋳型4内の所定位置からずれる恐れがある。
この金属−セラミックス接合基板を鋳型から取り出し、金属ベース板1から飛び出した部分の強化材3(セラミックス板材)を除去した。強化材3の一部(端部)の除去は、既知の切断、ブレークなどで行えば良い。このようにして、本発明の金属−セラミックス接合基板を作製した。鋳型で強化材を支持することにより,金属ベース板1内の強化材3の位置(面方向の位置,厚さ方向の位置)を精密に制御、固定できるようになり,反りばらつきを抑制する制御ができるようになった。
図1は本発明の金属−セラミックス接合基板の中央部の断面図、図2は上面図である。なおセラミックス基板5は複数であっても良い。図4は本発明の比較例1に対応する金属−セラミックス接合基板の模式断面図、図5は本発明の比較例1に対応する金属−セラミックス接合基板の模式平面図、図6は本発明の比較例1に対応する金属−セラミックス接合基板のための鋳型の模式断面図である。
第2の実施の形態について、図7、図8、図9を用いて説明する。
第1の実施の形態とほぼ同じで、強化材3も同様のセラミックス板材であるが、セラミックス板材が立てた状態(厚さ方向である側面が底面となる)である点のみが異なる。
セラミックス板材のサイズにもよるが、一般に厚さは幅に比べて小さいため、第1の実施の形態と同体積のセラミックス板材であれば、より厚さ方向の放熱に対し特に優れ、反りの抑制にもより優れる。すなわち金属−セラミックス接合基板の構造からも明らかなとおり、第1の実施の形態と比較して、厚さ方向に放熱をさえぎる強化材3の面積がより小さいことからあきらかで、また金属ベース板1の反りに対し強化材3が曲がりにくいことは厚さ方向の強化材3の寸法が大きいことからあきらかである。さらに強化材3の使用量を減らせるので、コストにも優れる。
第3の実施の形態について、図10、図11、図12を用いて説明する。
内部に金属ベース板1を形成するための空洞部2(金属ベース板形成部)が形成され、強化材3であるセラミックス板材を6本挟持する支持部9を有し、且つ図12に示すように該セラミックス板材3本が間隔をあけて配置され、残りの3本が前記3本の強化材3について、垂直(直角)な方向に間隔をあけて配置され挟持される支持部9を有するカーボン製の鋳型を用意した以外は第1の実施の形態と同じものである。
図10と図11に示す第3の実施の形態の金属−セラミックス接合基板の構造の通り、金属ベース板1の長さ方向に平行な方向(金属ベース板1の一辺に平行な方向、図11の左右方向)および幅方向(金属ベース板1の前記一辺に垂直な方向、図11の上下方向)に平行な方向のいずれにも方向にもセラミックス板材の強化材3が平行方向に接合されている。よって、金属ベース板の長さ方向に平行な方向と幅方向に平行な方向の両方向について反りを抑制する効果がある。
第4の実施の形態について、図13、図14、図15を用いて説明する。
強化材3のセラミックス板材が金属ベース板の他方の面(底面)に接合していること、強化材3が1個であること以外は、第1の実施の形態と同様の方法で、図13、図14に示す金属−セラミックス接合基板を作成することができる。鋳型4もそれに対応した図15に示すものとなる。
第5の実施の形態について、図16、図17、図18を用いて説明する。
強化材3のセラミックス板材が金属ベース板1を形成する空洞2に、図18に示されるように第1の実施の形態と同様に強化材3が7個平行に設置されているのに加え、前記強化材3の長手方向と直角方向で且つ金属ベース板1の底面に近い方に1個の強化材3が鋳型4に設置されている以外は、第1の実施の形態と同様の方法で、図16、図17に示す金属−セラミックス接合基板を作成することができる。鋳型4もそれに対応した図18に示すものとなる。
第6の実施の形態について、図19、図20.図21を用いて説明する。
強化材3のセラミックス板材が金属ベース板1の周囲に、図21に示されるようにセラミックス板材を立てた状態で金属ベース板1の周囲に設置した以外は、第2の実施の形態と同様の方法で、図19、図20に示す金属−セラミックス接合基板を作成することができる。鋳型4もそれに対応した図21に示すものとなる。なお支持部9は図示していない。
第7の実施の形態について、図22、図23、図24を用いて説明する。
強化材3のセラミックス板材が金属ベース板1の内部に、図24に示されるように1個のセラミックス板材を鋳型4で支持して配置する以外は、第1の実施の形態と同様の方法で、図22、図23に示す金属−セラミックス接合基板を作成することができる。鋳型4もそれに対応した図24に示すものとなる。
前述の通り、本発明の鋳型で強化材3を支持することにより,作製された金属−セラミックス接合基板の金属ベース板1の一部に強化材3が露出した状態となる。また、金属ベース板3内の強化材3の位置(面方向の位置,厚さ方向の位置)を精密に制御できるようになり,反り制御ができるようになった。強化材3の接合や位置のよって放熱性が妨げられるが,本発明は強化材の配置、位置を精密に制御することによって反りの制御と放熱性確保の両立が得られた。
金属−セラミックス接合基板においては、金属とセラミックスとの熱膨張係数の違いにより接合時、あるいは金属−セラミックス接合基板にパワー素子などを搭載する熱処理時、実使用時などにおいて熱応力が発生し、金属−セラミックス基板が大きく反る。この反りを抑制するために、強化材として、例えばセラミックス基板に熱膨張係数が近いセラミックスや低熱膨張金属(Moなど)を金属ベース板中に接合する。
しかしながら、強化材は金属ベース板より熱伝導率が小さいことがほとんどで、また熱伝導率が同等以上の強化材(例えば高純度窒化アルミニウム基板)などは非常に高価でありパワーモジュールなどに使用するにはコストが全く適合しない。
本発明は前記金属ベースの一方の面から厚さ方向に垂直に透過してみたときの前記金属ベース板の一方の面の面積における前記強化材の占める部分の面積が、前記金属ベース板の一方の面の面積よりも小さくし、前記セラミックス基板の一方の面から厚さ方向に垂直に透過してみたときの前記セラミックス基板の一方の面の面積における前記強化材の占める部分の面積が、前記セラミックス基板の一方の面の面積よりも小さくするように強化材を配置し接合することにより、すなわち特に板材や棒材の金属ベース板への接合する位置や大きさを正確、精密にすることで、強化材が熱伝導に劣るものでも、熱伝導率をほぼ低下させることなく且つ反りが充分に少ない金属−セラミックス接合基板を提供できる。
(図1〜3参照)
まず、内部に70mm×70mm×5mmの大きさのベース板を形成するための空洞部(金属ベース板形成部)が形成され、この空洞部の側面の高さ方向(金属ベース板の厚さ方向)の中央部に80mm×5mm×0.6mmの強化材であるセラミックス板材7本が空洞部を横断してそれぞれのセラミックス板材の両端5mmが鋳型で狭持されるように形成され、さらに前記空洞部の底面に50mm×50mm×0.6mmの大きさのセラミックス基板を収容するための凹部(セラミックス基板収容部)が形成され、これらの凹部の底面に48mm×48mm×0.6mmの大きさの回路パターン用金属板を形成するための凹部(回路パターン用金属板形成部)が形成されたカーボン製の鋳型を用意した。なお、前記セラミックス板材の狭持部は、ベース板を形成するための空間の横方向(ベース板の幅方向)の中心に1本狭持される構造、すなわち略5mm幅で高さ略0.6mm、深さ略5mmの穴がこの空間部の側面に形成されており、この中心の1本から隙間5mmを空けて等間隔に略並行に、且つ同一平面状に挟持する同様の穴が形成されている。また、このセラミックス板材を挟持する穴は、鋳型が上型と下型に分離できるようになっており、上型と下型を組み合わせることで形成される。セラミックス板材をこの穴に入れて前記空間を横断した状態とすることができる。
また、この鋳型には、溶湯を鋳型内に注湯するための注湯口が形成されているとともに、金属ベース板形成部と回路パターン用金属板形成部との間に延びる溶湯流路が形成され、セラミックス基板収容部内にセラミックス基板を収容したときにもベース板形成部と回路パターン用金属板形成部との間が連通するようになっている。
セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−36μm、直角方向のときの反り量は−198μmであった。
通炉が1回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−33μm、直角方向のときの反り量は−264μmであった。
通炉が3回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−57μm、直角方向のときの反り量は−309μmであった。
通炉が5回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−69μm、直角方向のときの反り量は−342μmであった。
通炉が10回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−90μm、直角方向のときの反り量は−390μmであった。
前記金属ベース板用の空洞部の側面の高さ方向(金属ベース板の厚さ方向)と幅方向の中央部に80mm×50mm×0.6mmの強化材であるセラミックス板材1本が、空洞部を横断してセラミックス板材の両端5mmが鋳型で狭持されるように形成されたカーボン製の鋳型を用意し、すなわち略50mm幅で高さ略0.6mm、深さ略5mmの穴がこの空間部の側面に形成した以外は実施例1と同様の方法で金属−セラミックス接合基板を作成した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定したところ、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−36μm、直角方向のときの反り量は−45μmであった。
さらに実施例1と同様の通炉試験を1回、3回、5回、10回としたときの反り量を測定した。
通炉が1回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−42μm、直角方向のときの反り量は−42μmであった。
通炉が3回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−18μm、直角方向のときの反り量は−18μmであった。
通炉が5回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−30μm、直角方向のときの反り量は−27μmであった。
通炉が10回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−63μm、直角方向のときの反り量は−63μmであった。
(図4〜6参照)
前記金属ベース板用の空洞部に強化材であるセラミックス板材を挟持される穴を前記鋳型に設けておらず、セラミックス板材の強化材を接合しなかった以外は実施例1と同様の方法で金属−セラミックス接合基板を作成した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定したところ、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−231μm、直角方向のときの反り量は−201μmであった。
さらに実施例1と同様の通炉試験を1回、3回、5回、10回としたときの反り量を測定した。
通炉が1回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−273μm、直角方向のときの反り量は−252μmであった。
通炉が3回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−321μm、直角方向のときの反り量は−294μmであった。
通炉が5回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−351μm、直角方向のときの反り量は−333μmであった。
通炉が10回終わったとき、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−399μm、直角方向のときの反り量は−393μmであった。
実施例1と同様の条件で金属−セラミックス接合基板を作製した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−45μm、直角方向のときの反り量は−201μmであった。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても測定した。金属ベース板の中央部をセラミックス板材の長手と平行方向、直角方向についてスパン60mmとしてレーザー変位計で測定し、上側に反ったもの(凸状)を正(+)とし、下側に反ったもの(凹状)を負(−)とした。その結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−84μm、直角方向のときの反り量は−336μmであった。
金属ベース板を形成するための空洞部の側面に強化材であるセラミックス板材6本が空洞部を横断し、前記セラミックス板材の挟持部は、ベース板を形成するための空間の横方向(ベース板の幅方向)の端から2.5mmの距離のところに1本挟持され、すなわち略5mm幅で高さ略0.6mm、深さ略5mmの穴がこの空間部の側面に形成されており、この1本から5mm間隔で5本のセラミックス板材に対応する穴が略並行に形成され、且つ同一平面状に狭持する同様の穴が形成され、セラミックス板材を6本鋳型に設置し、金属ベース板に接合した以外は、実施例1と同様の条件で金属−セラミックス接合基板を作製した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−51μm、直角方向のときの反り量は−219μmであった。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−84μm、直角方向のときの反り量は−381μmであった。
実施例3と同様に金属−セラミックス接合基板を作製した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−27μm、直角方向のときの反り量は−45μmであった。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−33μm、直角方向のときの反り量は−78μmであった。
セラミックス板材が金属ベース板のセラミックス基板接合側と反対の表面に露出し、その表面と略同一平面に接合されるように、鋳型の挟持する穴を設けた以外は、実施例3と同様の方法で金属−セラミックス接合基板を作製した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−33μm、直角方向のときの反り量は−264μmであった。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−39μm、直角方向のときの反り量は−447μmであった。
前記金属ベース板用の空洞部の側面の高さ方向(金属ベース板の厚さ方向)と幅方向の中央部に80mm×60mm×0.6mmの強化材であるセラミックス板材1本が、空洞部を横断してセラミックス板材の両端5mmが鋳型で挟持されるように形成されたカーボン製の鋳型を用意し、すなわち略60mm幅で高さ略0.6mm、深さ略5mmの穴がこの空間部の側面に形成した以外は実施例1と同様の方法で金属−セラミックス接合基板を作成した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−21μm、直角方向のときの反り量は−21μmであった。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−30μm、直角方向のときの反り量は−39μmであった。
(図13〜15参照)
セラミックス板材が金属ベース板のセラミックス基板接合側と反対の表面に露出し、その表面と略同一平面に接合されるように、鋳型の狭持する穴を設けた以外は、実施例7と同様の方法で金属−セラミックス接合基板を作製した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−45μm、直角方向のときの反り量は−15μmであった。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−72μm、直角方向のときの反り量は−42μmであった。
比較例1と同様に金属−セラミックス接合基板を作製した。
この金属−セラミックス接合基板の回路用金属板の表面の反り量を、実施例1と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−213μm、直角方向のときの反り量は−177μmであった。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−387μm、直角方向のときの反り量は−345μmであった。
内部に70mm×70mm×4mmの大きさのベース板を形成するための空洞部(金属ベース板形成部)が形成され、この空洞部の側面の高さ方向(金属ベース板の厚さ方向)の中央部に80mm×10mm×0.6mmの強化材であるセラミックス板材3本が空洞部を横断してそれぞれのセラミックス板材の両端5mmが鋳型で狭持されるように形成されたカーボン製の鋳型を用意した以外は実施例1と同様に金属−セラミックス接合基板を作製した。
これにより70mm×70mm×4mmの大きさのアルミニウムからなる金属ベース板上に、50mm×50mm×0.6mmの大きさの窒化アルミニウム基板が接合し、これらの窒化アルミニウム基板上にそれぞれ48mm×48mm×0.4mmの大きさの回路パターン用アルミニウム金属板が接合した金属−セラミックス接合体が得られた。また、この金属ベース板の内部には強化材である80mm×10mm×0.6mmのセラミックス板材3本が形成されている。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−30μmであった。
金属ベース板を形成するための空洞部の側面の高さ方向(金属ベース板の厚さ方向)の中央部に80mm×3mm×0.6mmの強化材であるセラミックス板材3本が空洞部を横断してそれぞれのセラミックス板材の両端5mmが鋳型で挟持されるように形成され、前記セラミックス板材の挟持部は、ベース板を形成するための空間の横方向(ベース板の幅方向)の中心に1本挟持される構造、すなわち略0.6mm幅で高さ略3mm、深さ略5mmの穴がこの空間部の側面に形成されており、この中心の1本から20mm間隔に略並行に、且つ同一平面状に挟持する同様の穴が形成されたカーボン製の鋳型を用意した以外は実施例1と同様に金属−セラミックス接合基板を作製した。
これにより70mm×70mm×4mmの大きさのアルミニウムからなる金属ベース板上に、50mm×50mm×0.6mmの大きさの窒化アルミニウム基板が接合し、これらの窒化アルミニウム基板上にそれぞれ48mm×48mm×0.4mmの大きさの回路パターン用アルミニウム金属板が接合した金属−セラミックス接合体が得られた。また、この金属ベース板の内部には強化材である80mm×3mm×0.6mmのセラミックス板材3本が、80mm×0.6mmの面を上にした状態で(セラミックス基板を立てた状態)形成されている。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−25μmであった。
内部に70mm×70mm×8mmの大きさのベース板を形成するための空洞部(金属ベース板形成部)が形成されたカーボン製の鋳型を用意した以外は実施例9と同様に金属−セラミックス接合基板を作製した。
これにより70mm×70mm×8mmの大きさのアルミニウムからなる金属ベース板上に、50mm×50mm×0.6mmの大きさの窒化アルミニウム基板が接合し、これらの窒化アルミニウム基板上にそれぞれ48mm×48mm×0.4mmの大きさの回路パターン用アルミニウム金属板が接合した金属−セラミックス接合体が得られた。また、この金属ベース板の内部には強化材である80mm×10mm×0.6mmのセラミックス板材3本が形成されている。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−35μmであった。
(図7〜9参照)
内部に70mm×70mm×8mmの大きさのベース板を形成するための空洞部(金属ベース板形成部)が形成されたカーボン製の鋳型を用意した以外は実施例10と同様に金属−セラミックス接合基板を作製した。
これにより70mm×70mm×8mmの大きさのアルミニウムからなる金属ベース板上に、50mm×50mm×0.6mmの大きさの窒化アルミニウム基板が接合し、これらの窒化アルミニウム基板上にそれぞれ48mm×48mm×0.4mmの大きさの回路パターン用アルミニウム金属板が接合した金属−セラミックス接合体が得られた。また、この金属ベース板の内部には強化材である80mm×3mm×0.6mmのセラミックス板材3本が、80mm×0.6mmの面を上にした状態で(セラミックス基板を立てた状態)形成されている。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−38μmであった。
(図10〜12参照)
内部に70mm×70mm×8mmの大きさのベース板を形成するための空洞部(金属ベース板形成部)が形成され、強化材である80mm×3mm×0.6mmのセラミックス板材を6本狭持する穴を有し、且つ該セラミックス板材3本が20mmの間隔をあけて配置され、残りの3本が前記3本のセラミックス板材3本に垂直な方向に20mmの間隔を開けて配置され狭持される穴を有するカーボン製の鋳型を用意した以外は実施例12と同様に金属−セラミックス接合基板を作製した。
これにより70mm×70mm×8mmの大きさのアルミニウムからなる金属ベース板上に、50mm×50mm×0.6mmの大きさの窒化アルミニウム基板が接合し、これらの窒化アルミニウム基板上にそれぞれ48mm×48mm×0.4mmの大きさの回路パターン用アルミニウム金属板が接合した金属−セラミックス接合体が得られた。また、この金属ベース板の内部には強化材である80mm×3mm×0.6mmのセラミックス板材3本が、80mm×0.6mmの面を上にした状態で(セラミックス基板を立てた状態)セラミックス基板の下部に形成され、且つ前記3本に垂直な方向でベース板表面に近い側にセラミックス板材3本が形成されている。
また、金属−セラミックス基板の金属ベース板の表面の反り量についても実施例3と同様に測定した結果、セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−36μmであり、直角方向のときの反り量は−38μmであった。
金属ベース板の表面に高さ10mm、ピッチ7mmのフィンを形成する空洞部を設けた鋳型を用意した以外は実施例1と同様の方法で金属−セラミックス接合基板を作製した。
この結果セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−30μm、直角方向のときの反り量は−80μmであった。
強化材の50mm×80mm×0.6mmのセラミックス板材(窒化アルミニウム板材)が金属ベース板の他方の面(底面)に接合していること、強化材が1個であること以外は、第1の実施の形態と同様の方法で、図13、図14に示す金属−セラミックス接合基板を作成した。
この結果セラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−25μm、直角方向のときの反り量は−35μmであった。
(図16〜18参照)
強化材3のセラミックス板材が金属ベース板を形成する空洞2に、図18に示されるように第1の実施の形態と同様に7個平行に設置されているのに加え、前記強化材3の長手方向と直角方向で且つ金属−ベース板の底面に近い方に50mm×80mm×0.6mmのセラミックス板材(窒化アルミニウム板材)が設置されている以外は、第1の実施の形態と同様の方法で、図16、図17に示す金属−セラミックス接合基板を作成することができる。
この結果、細いセラミックス板材の長手と平行方向のときの反り量は−32μm、直角方向のときの反り量は−22μmであった。
(図19〜21参照)
強化材3の80mm×4mm×0.6mmのセラミックス板材(アルミナ基板)が金属ベース板の周囲に、図21に示されるようにセラミックス板材を立てた状態で金属ベース板の周囲に設置した以外は、第2の実施の形態と同様の方法で、図19、図20に示す金属−セラミックス接合基板を作成することができる。
この結果、一個のセラミックス板材と平行方向のときの反り量は−43μm、直角方向のときの反り量は−38μmであった。
(図22〜24参照)
強化材3のセラミックス板材が金属ベース板の内部に、図24に示されるように1個のセラミックス板材を鋳型4で支持して配置する以外は、第1の実施の形態と同様の方法で、図22、図23に示す金属−セラミックス接合基板を作成することができる。
この結果、一個のセラミックス板材と平行方向のときの反り量は−30μm、直角方向のときの反り量は−36μmであった。
なお、強化材を接合する位置によって、実施例のように一方向のみの反りを抑制することも、全方向の反りを抑制することも可能であり、製品の要望にあわせて強化材の配置などを決定すれば良い。また、本発明の金属セラミックス接合基板はパワーモジュールに用いられるのが好ましい。
2 空洞部(金属ベース板形成用)
3 強化材
4 鋳型
5 セラミックス基板
6 凹部(セラミックス基板収容部)
7 凹部(金属板形成用空洞部)
8 金属板(回路パターン用)
9 支持部
Claims (12)
- 絶縁性のセラミックス基板の一方の面に回路用の金属板の一方の面が接合されているとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属ベース板の一方の面が直接接合した金属−セラミックス接合基板において、前記セラミックス基板によって回路用の前記金属板と前記金属ベース板が絶縁され、前記金属ベース板に少なくとも1個以上の強化材が接合され、且つ前記強化材の一部が前記金属ベース板から露出しており、前記金属ベース板の一方の面から厚さ方向に垂直に透過してみたときの前記金属ベース板の一方の面の面積における前記強化材の占める部分の面積が、前記金属ベース板の一方の面の面積よりも小さく、前記金属ベース板がアルミニウムまたはアルミニウム合金であり、前記強化材の材質がセラミックスであることを特徴とする、金属−セラミックス接合基板。
- 前記セラミックス基板の一方の面から厚さ方向に垂直に透過してみたときの前記セラミックス基板の一方の面の面積における前記強化材の占める部分の面積が、前記セラミックス基板の一方の面の面積よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の金属−セラミックス接合基板。
- 前記強化材が複数個あり、前記金属ベース板の一方の面から厚さ方向に垂直に透過して見たとき、前記強化材が格子状をなしていることを特徴とする、請求項1または2に記載の金属−セラミックス接合基板。
- 前記強化材が板状または棒状であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
- 前記強化材の材質がアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素から選ばれる少なくとも1つの原料からなるセラミックスであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
- 前記金属板がアルミニウムまたはアルミニウム合金であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
- 前記セラミックス基板がアルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭化珪素から選ばれる少なくとも1つの原料からなるセラミックスであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
- 前記強化材が複数個あり、それらが略同一平面上に接合されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
- 前記強化材が複数個あり、それらが略平行に接合されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板。
- 注湯口を備えた鋳型内に絶縁性のセラミックス基板と1個以上のセラミックスである強化材を設置した後、前記セラミックス基板および前記強化材に接触するようにアルミニウムまたはアルミニウム合金である金属溶湯を注湯口から鋳型内に注湯し、鋳型を冷却して溶湯を固化させることにより、前記セラミックス基板の一方の面に金属板の一方の面を接合し、前記セラミックス基板の他方の面に金属ベース板の一方の面を接合する金属−セラミックス接合基板の製造方法において、前記強化材の一部が鋳型に支持されるように設置され、前記セラミックス基板に前記金属板と前記金属ベース板を接合した前記金属−セラミックス接合基板を鋳型から取り出し、前記強化材の一部を除去することを特徴とする請求項1〜9記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
- 注湯する前記金属溶湯は、酸化皮膜を除去したものであることを特徴とする、請求項10に記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
- 前記金属溶湯は1〜100kPaの圧力で注湯されることを特徴とする、請求項10と11のいずれかに記載の金属−セラミックス接合基板の製造方法。
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