ところが、上記のプローブカード検査装置には、以下の解決すべき課題がある。すなわち、このプローブカード検査装置によれば、検査者は、端子の画像またはプローブピンの画像と端子名およびテスタのピン番号を表示装置の画面上で同時に見ることができ、接触不良の虞のある端子の画像、またはこの端子に接触するプローブピンの画像を画面上において容易に特定することが可能となっている。しかしながら、近年の検査対象となる基板の高密度化に伴ってプローブピンも高密度に配設されているため、接触不良の虞のあるプローブピンのピン番号やこのピンの位置を画像に基づいて画面上で特定できたとしても、高密度に配設された複数のプローブピンの実物の中から、接触不良の虞のあるプローブピンを正確に、かつ迅速に特定する作業は容易ではないという解決すべき課題が存在している。
この課題を解決するために本願発明者は、複数のプローブピンを備えた基板検査装置に基準電位に規定されると共に複数のプローブピンのうちの任意の1つに接触可能なテストプローブを設け、接触不良の発生などの問題のあったプローブピンの実物を特定する作業中にテストプローブを接触させたプローブピンのピン番号を表示装置の画面上に表示させることが可能な基板検査装置を開発している。この基板検査装置によれば、接触不良の虞のあるプローブピン(目的のプローブピン)と思われるプローブピンにテストプローブを接触させることで、テストプローブと接触しているプローブピンのピン番号が画面上に表示されるため、テストプローブを最初に接触させたプローブピンが目的のプローブピンでない場合であっても、テストプローブを接触させたプローブピンを変えながら、表示されている2つのピン番号を一致させるようにすることにより、目的とするプローブピンにテストプローブを接触させること、つまり目的とするプローブピンの実物を正確に特定することが可能となる。
しかしながら、この本願発明者が開発している上記の基板検査装置には、テストプローブを接触させているプローブピンについて、そのピン番号のみを画面上に表示させる構成のため、プローブピンの配列について熟知していない検査者では、目的とするプローブピンにテストプローブを接触させるため、テストプローブをプローブピンの実物上においてどちらの方向にどれだけ移動させればよいのかの判別が難しく、テストプローブをプローブピンに接触させるまでに要する時間、つまり目的とするプローブピンの実物を特定するのに要する時間が長くなるという解決すべき課題が存在している。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、目的とするプローブピンの実物を正確かつ迅速に特定し得る基板検査装置を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の基板検査装置は、検査対象基板に規定された複数の接触ポイントに対応させて配設された複数のプローブピンと、当該プローブピンを介して電気的に接触した前記検査対象基板の各検査部位の電気的特性を計測する計測部と、前記各プローブピンの位置情報、当該各プローブピンの識別情報および前記電気的特性についての基準値が予め記憶された記憶部と、前記各検査部位についての前記電気的特性を前記計測部から取得して当該各検査部位に対応する前記プローブピンの識別情報と共に前記記憶部に記憶させ、かつ当該取得した電気的特性と前記基準値とに基づいて当該各検査部位に対する検査を実行する基板検査処理を実行する処理部とを備えた基板検査装置であって、表示部と、基準電位に規定されると共に前記複数のプローブピンのうちの任意の少なくとも1つに接触可能なテストプローブとを備え、前記処理部は、前記計測部に対して前記各プローブピンの電位を計測させると共に、当該計測された電位と前記基準電位とに基づいて前記テストプローブと接触している前記プローブピンを特定するピン特定処理、および前記記憶部に記憶されている前記位置情報に基づいて前記プローブピンを示す画像を前記各プローブピンの位置に対応させて前記表示部に表示させると共に、前記ピン特定処理において特定した前記プローブピンの前記画像を前記電位が前記基準電位と相違する前記プローブピンの前記画像とは異なる第1態様で表示させる表示処理を実行する。
また、請求項2記載の基板検査装置は、請求項1記載の基板検査装置において、前記処理部は、前記プローブピンに対する検査における前記表示処理において、前記電位が前記基準電位となっている前記プローブピンの前記識別情報を前記表示部に表示させる。
また、請求項3記載の基板検査装置は、請求項1または2記載の基板検査装置において、前記処理部は、前記プローブピンに対する検査における前記表示処理において、前記基板検査処理での検査結果が所定値以上の頻度で不良となる前記検査部位に接触する前記プローブピンの前記画像を他の前記プローブピンの前記画像とは異なる第2態様で表示させる。
また、請求項4記載の基板検査装置は、請求項1から3のいずれかに記載の基板検査装置において、入力した情報を音声で出力する音声出力部を備え、前記処理部は、前記ピン特定処理において特定した前記プローブピンの前記識別情報を前記音声出力部に出力して、当該識別情報を当該音声出力部から音声で出力させる音声出力処理を実行する。
また、請求項5記載の基板検査装置は、請求項4記載の基板検査装置において、前記処理部は、前記音声出力処理において、前記特定した前記プローブピンの前記識別情報と共に、当該特定したプローブピンが前記基板検査処理での検査結果が所定値以上の頻度で不良となる前記検査部位に接触するプローブピンであるか否かの検査情報を前記音声出力部に出力して、当該識別情報および当該検査情報を当該音声出力部から音声で出力させる。
請求項1記載の基板検査装置では、基準電位に規定されたテストプローブを備え、処理部が、計測部に対して各プローブピンの電位を計測させると共に、計測された電位と基準電位とに基づいてテストプローブと接触しているプローブピンを特定するピン特定処理、および記憶部に記憶されている位置情報に基づいてプローブピンを示す画像を各プローブピンの位置に対応させて表示部に表示させると共に、ピン特定処理において特定したプローブピンの画像を電位が基準電位と相違するプローブピンの画像とは異なる第1態様で表示させる表示処理を実行する。
したがって、この基板検査装置によれば、検査者は、表示部に表示されている画像に基づいて、テストプローブを接触させているプローブピンの位置を確実に認識することができ、この結果、接触不良の発生している虞のあるプローブピンの実物を正確かつ迅速に特定することができる。
また、請求項2記載の基板検査装置によれば、電位が基準電位となっているプローブピンの識別情報(ピン番号など)についても表示部に表示されるため、検査者がテストプローブを接触させているプローブピンの識別情報を認識することができると共に、テストプローブを目的のプローブピンに接触させたときには、接触不良の虞のあるプローブピンの識別情報についても認識することができる。
また、請求項3記載の基板検査装置によれば、基板検査処理での検査結果が所定値以上の頻度で不良となる検査部位(不良となる頻度の高い検査部位)に接触するプローブピンの画像について他のプローブピンの画像とは異なる第2態様で表示されるため、テストプローブを接触させているプローブピンの画像(第1態様で表示されている画像)と、目的のプローブピン(検査結果が不良となる頻度の高い検査部位に接触するプローブピン)の画像との位置関係から、テストプローブを移動させるべき方向および距離を認識することができ、これによってテストプローブを目的のプローブピンに正確かつ迅速に接触させることができる。また、テストプローブを目的のプローブピンに接触したときには、目的のプローブピンの画像が第2態様から他のプローブピンの画像とは異なる第1態様に変更されて表示されるため、テストプローブが目的のプローブピンに接触していることを確実に認識することができる。
また、請求項4記載の基板検査装置によれば、検査者は、表示部に表示されている画像を見ることができない状況下においても、音声出力部から出力される音声を聞き取ることにより、テストプローブを接触させているプローブピンのピン番号に基づいてその位置を確実に認識することができ、この結果、接触不良の発生している虞のあるプローブピンの実物を正確かつ迅速に特定することができる。
また、請求項5記載の基板検査装置によれば、検査者は、音声出力部から出力される音声を聞き取ることにより、テストプローブを接触させているプローブピンの位置を認識できると共に、このプローブピンが基板検査処理での検査結果が所定値以上の頻度で不良となる検査部位(不良となる頻度の高い検査部位)に接触するプローブピンであるか否か(つまり、接触不良の虞のあるプローブピンであるか否か)についても、表示部を見ることなく認識することができる。
以下、本発明に係る基板検査装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、基板検査装置1の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す基板検査装置1は、ピンボード2、テストヘッド3、載置台4、スキャナ部5、計測部6、処理部7、記憶部8、表示部9およびテストプローブ10を備え、載置台4上に固定された検査対象基板(以下、「基板」ともいう)11に規定された検査部位(本例では一例として、図2に示すように基板11に形成された配線パターンW1〜W40(以下、特に区別しないときには「配線パターンW」ともいう))に対する検査を実行可能に構成されている。
ピンボード2は、図1に示すように、その一方の面(同図中の下面)が載置台4に対向した状態でテストヘッド3に装着されている。また、ピンボード2の一方の面には、基板11に規定された複数の接触ポイント(本例では、図2に示すように、各配線パターンの両端に形成されたパッドP1〜P80(以下、特に区別しないときには「パッドP」ともいう))に対応させて位置決めされた状態で、複数のプローブピン2a,2a,・・・が配設(具体的には立設)されている。テストヘッド3は、装着されたピンボード2を載置台4上の基板11に対して接離可能に構成されている。また、テストヘッド3は、プローブピン2a,2a,・・・と同数の配線(不図示)を介してスキャナ部5と接続されると共に、装着されたピンボード2の各プローブピン2a,2a,・・・をこの配線に一対一で接続する。
スキャナ部5は、複数の切換スイッチ(不図示)で構成されている。また、スキャナ部5は、処理部7によって切換スイッチのオン・オフ状態が制御されることにより、一例として、プローブピン2a,2a,・・・に接続された配線のうちの任意の2本または任意の1本を計測部6と接続する。この構成により、プローブピン2a,2a,・・・のうちの任意の2本または任意の1本が、スキャナ部5を介して計測部6と接続される。計測部6は、処理部7によって制御されることにより、スキャナ部5を介して接続された2本のプローブピン2a,2a間に位置する配線パターンWの電気的特性(本例では一例として抵抗値R1)を計測して出力する。また、計測部6は、処理部7によって制御されることにより、スキャナ部5を介して接続された1本のプローブピン2aの電位V1を計測して出力する。
処理部7は、一例としてCPUで構成されて、記憶部8に予め記憶された動作プログラムに従って作動して、スキャナ部5および計測部6を制御する制御処理、基板11の各検査部位(各配線パターンW)に対する基板検査処理、ピン特定処理、並びに基板検査処理およびピン特定処理の各処理結果を表示部9に表示させる表示処理を実行する。記憶部8は、ROMおよびRAM等の半導体メモリで構成されている。また、記憶部8には、上記の動作プログラム、基板11の各配線パターンWを検査(例えば導通検査)する際の基準値Rref、ピン特定処理で使用される基準電位の電圧値Vref、各プローブピン2a,2a,・・・の位置情報Dp、各プローブピン2a,2a,・・・の識別情報(本例では一例としてピン番号)Dd、および配線情報(各配線パターンWの識別番号と、各配線パターンWと各プローブピン2a,2a,・・・との対応関係を示す情報)Dwが予め記憶されている。また、記憶部8には、基板検査処理およびピン特定処理の各処理結果が記憶される。
表示部9は、一例としてディスプレイ装置で構成されて、処理部7から出力される基板検査処理およびピン特定処理での各処理結果をその画面9aに表示する。テストプローブ10は、図1に示すように、配線を介して基準電位(本例では一例としてグランド電位)に接続されて、その電位(電圧値)が電圧値Vrefに規定されている。また、テストプローブ10は、検査者によって把持されて、複数のプローブピン2a,2a,・・・のうちの任意の少なくとも1つに接触可能となっている。
次に、基板検査装置1によって検査される基板11の構成について、図面を参照して説明する。なお、本例では、基板11として半導体チップが搭載される回路基板を例に挙げて説明する。
基板11は、図2に示すように、一方の面(同図中の手前側の面)には、その周縁部位にパッドP1〜P40が形成されると共に、中央部位に規定された半導体チップ(不図示)の搭載エリアA(一点鎖線で囲まれたエリア)内に半導体チップの各端子と接続されるチップ用パッドP41〜P80が形成され、かつパッドP1,P2,P3,・・・,P40とチップ用パッドP41,P42,P43,・・・,P80とを一対一で接続する配線パターンW1〜W40が形成されて構成されている。また、基板11の他方の面(同図中の奥側の面)の周縁部位における各パッドP1〜P40の対応位置には、端子(例えば、はんだボールなど)を取り付けるための端子用パッド(不図示)が形成されて、対応するパッドP1〜P40にスルーホールビア(不図示)を介して接続されている。
続いて、基板検査装置1の動作について、図1〜図3を参照して説明する。なお、載置台4上には、基板11が予め決められた位置に位置決めされた状態で配設されているものとする。
まず、基板11に対する基板検査処理に際して、テストヘッド3を載置台4に接近させて、テストヘッド3に装着された各プローブピン2aを対応するパッドPに電気的に接触させる。この状態において基板検査装置1では、処理部7が基板検査処理を実行する。この基板検査処理では、処理部7は、まず、記憶部8から1つの配線パターンWについての配線情報Dwを読み出す。次いで、処理部7は、読み出した配線情報Dwに基づいて、この配線パターンWの両端に配設された一対のパッドPを特定する。次いで、処理部7は、スキャナ部5を制御して、特定した一対のパッドPに接触しているプローブピン2a,2aを計測部6に接続させる。続いて、処理部7は、計測部6を制御して、このプローブピン2a,2a間の抵抗値R1を測定させると共に、計測部6から出力される抵抗値R1を取得して、配線パターンWの識別番号と共に記憶部8に記憶させる。処理部7は、この処理を、記憶部8から読み出す配線パターンWを変えつつ、すべての配線パターンWについて実行する。これにより、すべての配線パターンWについての抵抗値R1が、配線パターンWの識別番号と共に記憶部8に記憶される。最後に、処理部7は、記憶部8から基準値Rrefを読み出して、この基準値Rrefと記憶部8に記憶されている各配線パターンWの抵抗値R1とを比較することにより、各配線パターンWに対する検査を実行する。この検査の結果、処理部7は、抵抗値R1が基準値Rref以下のときには、配線パターンWは良好(正常)であると判別し、抵抗値R1が基準値Rrefを超えているときには、配線パターンWは不良(断線などの異常が発生している)と判別して、その結果を配線パターンWの識別番号と共に記憶部8に検査結果として記憶させる。これにより、基板検査処理が完了する。
この基板検査装置1を用いた基板11の検査では、基板11を変えながら上記の基板検査処理が繰り返し実行される。これにより、記憶部8には、複数の基板11についての検査結果が記憶される。この場合、パッドPとの間で接触不良の発生し易いプローブピン2aが存在しているときには、このプローブピン2aが接触する配線パターンWの抵抗値R1が基準値Rrefを超える事態(配線パターンWが不良と判別される事態)が頻発することになる。ここで、頻発とは、所定値(例えば、20%)以上の頻度(つまり、高い頻度)で発生することをいうものとする。このため、処理部7は、定期的に(例えば予め決められた数の基板11に対する検査処理が完了する都度)、記憶部8に記憶されている配線パターンW毎の不良(抵抗値R1が基準値Rrefを超える状態)の発生状況を判別する不良発生判別処理を実行する。
この不良発生判別処理の結果、抵抗値R1が基準値Rrefを超える事態が頻発している配線パターンWが検出されたときには、処理部7は、接触不良の虞のあるプローブピン2aを報知するための表示処理を実行する。この表示処理では、処理部7は、記憶部8に記憶されている各プローブピン2aの位置情報Dpに基づいて、図3に示すように、各プローブピン2aを示す画像(同図中では丸形状の画像)を各プローブピン2aのピンボード2上での位置に対応させて表示部9の画面9a上に表示させる。以下、各パッドP1〜P80に接触する各プローブピン2aについての画像については、図3に示すように、符号Im1〜Im80を付して区別するものとする(なお、特に区別しないときには「画像Im」ともいう)。また、処理部7は、上記不良発生判別処理において検出された配線パターン(抵抗値R1が基準値Rrefを超える事態が頻発している配線パターン)Wに接触するプローブピン2aの画像Imについては他のプローブピン2a(抵抗値R1が基準値Rref以下となる配線パターンWに接触するプローブピン2a)の画像Imとは区別可能に異なる態様(本発明における第2態様)で表示する。
本例では、一例として、図3に示すように、抵抗値R1が基準値Rref以下となる配線パターンWに接触するプローブピン2aの画像Imについては、輪郭線が黒色で内部領域が白色の丸形状(白丸形状)という態様で表示され、抵抗値R1が基準値Rrefを超える配線パターンWに接触するプローブピン2aの画像Imについては、輪郭線が黒色で内部領域が黒色の丸形状(黒丸形状)という態様で表示される。これにより、検査者は、表示部9の画面9aに表示された画像Imに基づいて、接触不良の発生している虞のあるプローブピン2aの存否と共に、その位置を認識することが可能となる。図3では、一例として、配線パターンW21にそれぞれ接触する一対のプローブピン2a(パッドP21,P61に接触する一対のプローブピン2a,2a)についての画像Im21,Im61、および配線パターンW34にそれぞれ接触する一対のプローブピン2a(パッドP34,P74に接触する他の一対のプローブピン2a,2a)についての画像Im34,Im74が黒丸形状の態様で表示されている。
次いで、処理部7は、ピン特定処理、およびこのピン特定処理において特定されたプローブピン2aについての表示処理を繰り返し実行する。
このピン特定処理では、処理部7は、スキャナ部5を制御して、プローブピン2aを1本ずつ計測部6に接続させつつ、計測部6を制御して、そのプローブピン2aの電位V1を計測させる。また、処理部7は、計測部6からこの電位V1を取得して、各プローブピン2aのピン番号に対応させて記憶部8に記憶させる。処理部7は、この電位V1の計測および記憶部8への記憶の各処理を、すべてのプローブピン2aに対して繰り返し実行する。この場合、各プローブピン2aについて計測された新たな電位V1については、対応するプローブピン2aについて既に記憶されている電位V1を上書きして記憶部8に記憶される(更新記憶される)。したがって、記憶部8には、すべてのプローブピン2aについて、最新の電位V1が記憶されることになる。また、処理部7は、各プローブピン2aについての電位V1を計測する都度、この電位V1と記憶部8から読み出した基準電位の電圧値Vrefとに基づいて、電位V1が電圧値Vrefと一致するプローブピン2aを特定して記憶部8に記憶させる。具体的には、処理部7は、各プローブピン2aについての電位V1を計測する都度、この電位V1と記憶部8から読み出した基準電位の電圧値Vrefとを比較して、電位V1が電圧値Vrefと一致するか否かを判別して、一致しているとき(プローブピン2aが特定できたとき)には、その結果を電位V1と共に記憶部8に記憶させる。
また、この表示処理では、処理部7は、特定されたプローブピン2a(電位V1が電圧値Vrefと一致しているプローブピン2a)の画像Imについて、電位V1が電圧値Vrefと一致していないプローブピン2aの画像Imとは区別可能に異なる態様(本発明における第1態様)で表示する。本例では一例として、処理部7は、特定されたプローブピン2aの画像Imについては、表示状態と非表示状態とを一定周期で繰り返す態様(つまりブリンクする態様)で表示させる。なお、特定されたプローブピン2aの画像Imについては、画面9aを一見することで、特定されたプローブピン2aの画像Imを認識できるように強調した状態で表示させるのが好ましい。このため、ブリンクする態様に限定されず、形状が同じで大きさを大きくする態様、形状を異ならしめる態様、および各画像Imをカラー表示させるときには、目に付きやすい表示色とする態様などの様々な態様を採用することができる。
処理部7が上記のピン特定処理および表示処理を実行している状態において、検査者は、表示部9の画面9a上に表示される各プローブピン2aの画像を見ながら、接触不良の発生している虞のあるプローブピン2aとして黒丸形状の態様で表示されているプローブピン2aの実物を特定する特定作業を実施する。この場合、検査者が少なくとも1つのプローブピン2aにテストプローブ10を接触させたときには、基準電位に規定されているテストプローブ10と接触したプローブピン2aの電位が基準電位の電圧値Vrefと一致するため、処理部7が上記したピン特定処理および表示処理を実行することにより、テストプローブ10を接触させたプローブピン2aの画像Imが表示部9の画面9a上にブリンクする態様で表示される。
例えば、図3に示すように、接触不良の虞があるとして画面9a上に黒丸形状の態様で画像Im21が表示されているプローブピン2a(目的のプローブピン2a)にテストプローブ10を接触させようとして、一例としてその隣(同図中の上隣)に画像Im17が表示されている1つのプローブピン2aにテストプローブ10を接触させたときには、図3に示すように、画像Im17がブリンクする態様で表示される。このため、検査者は、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aの画像Im17と、目的のプローブピン2aの画像Im21との位置関係から、テストプローブ10を移動させるべき方向および距離を認識することができ、テストプローブ10を目的のプローブピン2aに正確かつ迅速に接触させることが可能となる。また、テストプローブ10を目的のプローブピン2aに接触できたときには、目的のプローブピン2aの画像Im21が黒色の丸形状の態様からブリンクする態様(他のプローブピン2aの画像Imとは異なる態様)に変更されて表示されるため、テストプローブ10が目的のプローブピン2aに接触していることを確実に認識できる。なお、上記した目的のプローブピン2a(画像Im21が表示されているプローブピン2a)の左隣に画像が表示されている密集状態のプローブピン2aに対しては、複数のプローブピン2aにテストプローブ10を同時に接触させることができる。この場合には、図示はしないが、テストプローブ10と接触する複数のプローブピン2aについての画像Imがブリンクする態様で表示されるため、やはり、上記した例(1つのプローブピン2aにテストプローブ10を接触させた例)と同様にして、ブリンクしている画像Imと、目的のプローブピン2aの画像Im21との位置関係から、テストプローブ10を移動させるべき方向および距離を認識することができ、テストプローブ10を目的のプローブピン2aに正確かつ迅速に接触させることが可能となる。また、複数の画像Imがまとまって(かたまって)ブリンクする態様で表示されるため、1つの画像Imだけがブリンクする態様で表示されている状態と比較して、テストプローブ10と接触しているプローブピン2aを画面9a内で容易に特定可能となる。
このように、この基板検査装置1では、基準電位の電圧値Vrefに規定されたテストプローブ10を備え、処理部7が、計測部6に対して各プローブピン2aの電位V1を計測させると共に、計測された電位V1が電圧値Vrefと一致するか否かを判別してテストプローブ10と接触しているプローブピン2aを特定するピン特定処理、および記憶部8に記憶されている各プローブピン2aの位置情報Dpに基づいてプローブピン2aを示す画像Imを各プローブピン2aの位置に対応させて表示部9の画面9a上に表示させると共に、ピン特定処理において特定したプローブピン2aの画像Imを電位V1が電圧値Vrefと相違するプローブピン2aの画像Imとは異なるブリンクする態様(第1態様)で表示させる表示処理を実行する。
したがって、この基板検査装置1によれば、検査者は、画面9a上に表示されている画像Imに基づいて、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aの位置を確実に認識することができ、この結果、接触不良の発生している虞のあるプローブピン2aの実物を正確かつ迅速に特定することができる。
また、この基板検査装置1によれば、処理部7が、テストプローブ10と接触しているプローブピン2aの上記の画像Im(ブリンクする態様で表示される画像Im)と同時に、基板検査処理での検査結果が不良となる頻度の高い、つまり接触不良の発生している虞のある配線パターンWに接触するプローブピン2aの画像Imを他のプローブピン2a(接触不良の虞のないプローブピン2a)の画像Imとは異なる黒丸形状の態様(第2態様)で表示させることにより、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aの画像Imと、目的のプローブピン2aの画像Imとの位置関係から、テストプローブ10を移動させるべき方向および距離を認識することができるため、テストプローブ10を目的のプローブピン2aに正確かつ迅速に接触させることができる。また、テストプローブ10を目的のプローブピン2aに接触したときには、目的のプローブピン2aの画像Imが黒色の丸形状の態様からブリンクする態様(他のプローブピン2aの画像Imとは異なる態様)に変更されて表示されるため、テストプローブ10が目的のプローブピン2aに接触していることを確実に認識することができる。
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、各プローブピン2aの画像Imだけでなく、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aの識別情報Dd(本例ではピン番号)を表示部9の画面9a上に表示させる構成を採用することもできる。この場合、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aの画像Imの近傍に、このプローブピン2aのピン番号を表示させる構成(図4に示す構成)を採用することもできるし、画面9a内に規定された専用の表示エリアB内にプローブピン2aのピン番号を表示させる構成(図5に示す構成)を採用することもできる。なお、図5では、一例として、ピン番号が「17」のプローブピン2aにテストプローブ10が接触しているときの表示状態を示している。なお、複数のプローブピン2aにテストプローブ10を接触させているときには、これら複数のプローブピン2aの識別情報Dd(例えばピン番号)が表示される。この構成によれば、検査者がテストプローブ10を接触させているプローブピン2aのピン番号を認識することができると共に、テストプローブ10を目的のプローブピン2aに接触させたときには、接触不良の虞のあるプローブピン2aのピン番号についても認識することができる。
また、図5に示すように、画面9a内における表示エリアBとは異なる位置に表示エリアCを規定して、上記の不良発生判別処理において検出された配線パターン(抵抗値R1が基準値Rrefを超える事態が頻発している配線パターン)Wに接触する各プローブピン2aのピン番号をこの表示エリアC内に表示させる構成を採用することもできる。なお、図5では、一例として、ピン番号が「21」,「34」,「61」,「74」のプローブピン2aが該当しているときの表示状態を示している。この構成によれば、検査者が接触不良の虞のあるプローブピン2aのピン番号を直接的に認識することができる。また、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aのピン番号についても同時に表示される構成においては、各プローブピン2aの画像Imの位置関係のみならず、ピン番号も考慮して、目的のプローブピン2aにテストプローブ10を移動させることができるため、目的のプローブピン2aにテストプローブ10を一層迅速に接触させることができる。
また、図1において破線で示すように、音声出力部12を追加して、処理部7がテストプローブ10を接触させているプローブピン2aの識別情報(一例としてピン番号)を音声出力部12から音声で出力させる音声出力処理を実行する構成を採用することもできる。この場合、すべてのプローブピン2aの番号を示す音声情報Dvが記憶部8に予め記憶されており、音声出力部12は、一例としてD/A変換部、アンプおよびスピーカを備えて構成されている。この構成において、音声出力処理では、処理部7は、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aに対応する音声情報Dvを記憶部8から読み出して、音声出力部12に出力する。音声出力部12では、D/A変換部が処理部7から入力した音声情報Dvをアナログ信号に変換し、アンプがこのアナログ信号を増幅してスピーカを駆動する。これにより、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aのピン番号が音声出力部12から音声で出力される。
この構成によれば、検査者は、表示部9の画像を見ることができない状況下においても、音声出力部12から出力される音声を聞き取ることにより、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aのピン番号を認識でき、ひいてはピン番号からこのプローブピン2aの位置を確実に認識することができ、接触不良の発生している虞のあるプローブピン2aの実物を正確かつ迅速に特定することができる。
さらに、音声出力処理において、処理部7が、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aの識別情報(一例としてピン番号)を音声出力部12から音声で出力させると共に、このプローブピン2aが基板検査処理での検査結果が不良となる頻度の高い検査部位に接触するプローブピン2aであるか否か(つまり、接触不良の虞のあるプローブピン2aであるか否か)の検査情報を音声出力部12から音声で出力させる構成を採用することもできる。この場合、例えば、「不良」を示す音声情報についても、プローブピン2aの番号を示す音声情報と共に音声情報Dvとして記憶部8に予め記憶されている。この構成において、音声出力処理では、処理部7は、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aに対応する音声情報Dvと共に、このプローブピン2aが接触不良の虞のあるプローブピンである場合には、「不良」を示す音声情報についても記憶部8から読み出して、音声出力部12に出力する。これにより、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aのピン番号を示す音声に続いて、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aが接触不良の虞のあるプローブピンである場合には、「不良」を示す音声が音声出力部12から出力される。
この構成によれば、検査者は、表示部9の画像を見ることができない状況下においても、音声出力部12から出力される音声を聞き取ることにより、テストプローブ10を接触させているプローブピン2aの位置を確実に認識することができ、しかも接触不良の発生している虞のあるプローブピン2aの実物を特定した際には、「不良」を示す音声が出力されるため、接触不良の虞のあるプローブピン2aであることを確実に認識することができる。