JP5388794B2 - 打ち抜き加工装置および打ち抜き加工方法 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、かえりや変形を抑制できる打ち抜き加工装置および打ち抜き加工方法を提供することにある。
まず、打ち抜き加工装置の構成を説明する。
図1は、実施例1の打ち抜き加工装置の縦断面図である。
実施例1の打ち抜き加工装置は、平板状のワークAを挟んで上下に配置された第1ローラ1と第2ローラ2を備える。実施例1では、ワークAとして、排気ガス浄化用のメタル触媒担体の金属箔を用いている。金属箔は、例えば、厚さが20〜30μmのステンレスとする。
第1ローラ1は、略円柱状に形成され、回転中心O1周りに回動可能に支持されている。第1ローラ1の外周1aには、ワークAの打ち抜き用の雄型となる複数の打ち抜き刃3が放射状に突出している。打ち抜き刃3は、周方向に20°ピッチで18個並んだものが軸方向に複数配置されている。打ち抜き刃3の詳細については後述する。
図2は、実施例1の打ち抜き刃3を示す(a)斜視図、(b)平面図および(c)側面図である。
実施例1の打ち抜き刃3は、第1ローラ1の径方向外側へ延びる円柱状に形成されている。打ち抜き刃3の先端5には、打ち抜き刃3の軸方向において最も長い(以下、軸方向長さを高さという。)頂部5aを挟んで第1ローラ回転方向側に前方傾斜面6が設けられ、第1ローラ回転方向と反対側に後方傾斜面7が設けられている。前方傾斜面6および後方傾斜面7は、いずれも直線で形成された平面である。
[ワークへの切れ目発生順序について]
図3は、実施例1の打ち抜き刃3を用いて打ち抜き加工を行ったとき、ワークAに形成される切れ目の発生過程を示す模式図である。
両ローラ1,2間に送り込まれたワークAは、最初に打ち抜き刃3の頂部5aと接触する。よって、図3(a)に示すように、頂部5aの第1ローラ周方向左右両端縁と打ち抜き穴4との間に挟まれた部分が切り込み開始点11,11となる。その後、2つの切り込みはワーク進行方向に向かって延び(図3(b))、打ち抜き刃3の前端縁5bと打ち抜き穴4との間に挟まれた部分12でつながる(図3(c))。
続いて、切り込みは2つの切り込み開始点11,11からワーク進行方向と反対方向に向かって延び(図3(d))、打ち抜き刃3の後端縁5cと打ち抜き穴4との間に挟まれた部分13でつながり、ワークAからスクラップBが切り取られる。
つまり、実施例1では、穴開けをワーク進行方向前方からではなく、左右から開始している。
図4は、従来の打ち抜き加工装置において、打ち抜き刃の第1ローラ回転方向前端縁がワークと接触したときの状態を示す図である。なお、ワークの図示は省略している。図4に示すように、従来の打ち抜き刃は、打ち抜き穴と充分に接触する前にその第1ローラ回転方向前端縁がワークと接触する。したがって、前端縁と打ち抜き穴の前端縁とのワーク進行方向におけるクリアランスが大きい状態でワークが切り込まれる。このため、クリアランス分が開口のワーク進行方向周縁に生じる「かえり」および開口形状の変形が大きい。一般的、当該クリアランスは、ワークの板厚程度に抑えることが望ましいが、上記のように先端が平坦な打ち抜き刃を用いて打ち抜き加工を行った場合、クリアランスはワークの板厚の倍以上となり、大きなかえりが発生する。
なお、打ち抜き刃3の第1ローラ周方向左右と打ち抜き穴4との間のクリアランスは、打ち抜き刃3と打ち抜き穴4との相対位置にかかわらずほぼ一定であるため、打ち抜き刃3と打ち抜き穴4とが充分に接近していない状態で頂部5a付近がワークAと接触したとしても、かえりが大きくなることはない。
さらに、実施例1では、打ち抜き刃3の先端5に後方傾斜面7を設け、後端縁5cの高さを前端縁5bよりも低くした。頂部5aによって打ち抜き刃3の高さを確保したため、前端縁5bと同様に、後端縁5cの高さも必要最低限の高さまで低くできる。また、後端縁5cは前端縁5bよりも穴開けに必要な力が小さいため、前端部5bよりも高さが低くても問題ない。このように、後端縁5cを低くしたことで、打ち抜き刃3が打ち抜き穴4に進入してから離脱する際の打ち抜き刃3の抜けがよくなるため、打ち抜き刃3と打ち抜き穴4との干渉を抑制できる。
(1) 打ち抜き刃3の先端5に、前端縁5bよりも先にワークAと接触する突縁部(前方傾斜面6のうち、前端縁5bを除く部分)を設けたため、ワークAに形成される開口のワーク進行方向周縁に生じるかえりや変形を抑制でき、成形品の品質および成形性の向上を図ることができる。
(2) 打ち抜き刃3の先端5のうち、ワークAと最初に当接する頂部5aを第1ローラ周方向と直交する方向に延在させたため、打ち抜き刃3の耐久性向上を図ることができる。
(4) 打ち抜き刃3の先端5であって第1ローラ回転方向と反対側に後方傾斜面7を設けたため、打ち抜き刃3が打ち抜き穴4から離脱する際の抜け性が向上し、両者の干渉を抑制できる。
以下、実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
図6(a),(b)は他の実施例の打ち抜き刃を示す斜視図であり、図6(a)の打ち抜き刃21のように、先端22を凹形状とし、実施例1の前方傾斜面および後方傾斜面を廃止してもよい。この場合、頂部22a,22aよりも第1ローラ回転方向前方の縁部23であって、前端縁22bを除く部分となる。
図6(b)の打ち抜き刃30のように、先端31の縁部32のうち、頂部31a,31aのみを高くした形状としてもよい。
前方傾斜面6および後方傾斜面7を曲面としてもよい。また、前方傾斜面6のみを設けてもよい。
1 第1ローラ
1a 外周
2 第2ローラ
2a 外周
3 打ち抜き刃
4 打ち抜き穴
5 先端
5b 前端縁
6 前方傾斜面
7 後方傾斜面
Claims (4)
- 外周に打ち抜き刃を有する第1ローラと外周に前記打ち抜き刃と対応する打ち抜き穴を有する第2ローラとを互いに逆方向に同一速度で回転させ、両ローラ間に平板状のワークを通過させて打ち抜き加工を行う打ち抜き加工装置において、
前記打ち抜き刃の先端には、前記打ち抜き刃の軸方向において最も高い頂部と、前記頂部よりも第1ローラ回転方向側に前方傾斜面とが設けられ、
打ち抜き加工を行う際、最初に前記頂部が前記ワークと接触し、次に前記前方傾斜面において最も第1ローラ回転方向前方に位置する前端縁を除く部分である突縁部が前記ワークと接触し、最後に前記前端縁が前記ワークと接触することを特徴とする打ち抜き加工装置。 - 請求項1に記載の打ち抜き加工装置において、
前記抜き打ち刃の先端には、前記頂部よりも第1ローラ回転方向と反対側に後方傾斜面が設けられ、
前記後方傾斜面において最も第1ローラ回転方向後方に位置する後端縁の高さを、前記前端縁の高さよりも低くしたことを特徴とする打ち抜き加工装置。 - 請求項1または請求項2に記載の打ち抜き加工装置において、
前記頂部を2点以上設けたことを特徴とする打ち抜き加工装置。 - 外周に打ち抜き刃を有する第1ローラと外周に前記打ち抜き刃と対応する打ち抜き穴を有する第2ローラとを互いに逆方向に同一速度で回転させ、両ローラ間に平板状のワークを通過させて打ち抜き加工を行う打ち抜き加工方法において、
前記打ち抜き刃の先端に、前記打ち抜き刃の軸方向において最も高い頂部と、前記頂部よりも第1ローラ回転方向側に前方傾斜面とを設け、
打ち抜き加工を行う際、最初に前記頂部を前記ワークと接触させ、次に前記前方傾斜面において最も第1ローラ回転方向前方に位置する前端縁を除く部分である突縁部を前記ワークと接触させ、最後に前記前端縁を前記ワークと接触させることを特徴とする打ち抜き加工方法。
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