JP4862794B2 - スプライン部材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、円筒状のボス部にスプライン部を形成してなるスプライン部材の製造方法に関する。
例えば、自動車用の部品等に、円筒状のボス部にスプライン部を形成してなるスプライン部材が多用されている(特許文献1参照)。
このようなスプライン部材は、通常、貫通穴を設けた板状の素材をバーリング加工等によって円筒状のボス部を形成し、そのボス部の先端面から軸方向に沿ってスプライン部を形成することによって製造される。
特開2004−34037号公報
従来の製造方法では、バーリング加工等によってボス部を形成する際に、ボス部の先端面を拘束しないで自由状態で形成することから、ボス部の先端面の形状が不均一な形状となる。そのため、ボス部にスプライン部を形成した後、ボス部の先端面の形状を整えるために、ボス部の先端面を切削する切削工程を行っていた。
しかしながら、不均一な形状のボス部の先端面からスプライン部を形成すると、スプライン部の始点にもばらつきが生じる。そのため、切削工程では、ボス部の先端面を切削する際に、スプライン部の始点を所望の位置に揃えるために、スプライン部の軸方向端面を切削して新たな始点とすることが必要である。このスプライン部の軸方向端面の切削を行うと、バリが発生しまう。それ故、バリを取るバリ取り工程が必要となり、生産性の低下を招いていた。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、バリ取り工程が不要であり、生産性の向上を図ることができるスプライン部材の製造方法を提供しようとするものである。
本発明は、素材を塑性変形させる塑性加工を行い、先端面を拘束することなく自由状態で延伸させてなる円筒状のボス部を形成するボス形成工程と、
上記ボス部の先端面のうちの内周側部分又は外周側部分を軸方向に押圧して、形成しようとするスプライン部の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面を形成するスプライン基点面形成工程と、
上記ボス部の内周面又は外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って形成された山部と該山部の間に形成された谷部とを交互に設けたスプライン部を形成するスプライン形成工程と、
上記ボス部のスプライン形成領域を切削しないように、上記ボス部における上記スプライン形成領域よりも先端側の不要部を切削する切削工程とを有することを特徴とするスプライン部材の製造方法にある(請求項1)。
本発明のスプライン部材の製造方法は、上記スプライン形成工程の前に、上記スプライン基点面形成工程を行う。すなわち、上記ボス部に上記スプライン部を形成する前に、該スプライン部を形成する基点となる上記スプライン基点面を上記ボス部の先端面に予め設けておく。そして、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の上記スプライン基点面を基点として、該スプライン基点面がそのまま上記スプライン部の軸方向端面となるように、上記スプライン部を形成する。
そのため、形成する上記スプライン部の始点を該スプライン部の軸方向端面である上記スプライン基点面に揃えることができる。これにより、その後の上記切削工程において、自由形状の上記ボス部の先端面を切削する際に、上記スプライン部の軸方向端面である上記スプライン基点面よりも先端側、つまり上記スプライン形成領域よりも先端側の不要部のみを切削し、上記ボス部の先端面の形状を整えればよい。それ故、上記切削工程において、上記スプライン部を切削しなくて済む。そして、従来のように、上記スプライン部を切削することにより発生したバリを取るバリ取り工程が不要となり、生産性の向上を図ることができる。
また、上記スプライン基点面形成工程では、形成しようとする上記スプライン部の軸方向端面位置に相当する位置に上記スプライン基点面を設けておく。そのため、上記スプライン形成工程において、上記スプライン部の始点を上記スプライン基点面に揃えることができることに加えて、上記スプライン部を上記スプライン基点面から所望の長さで所望の位置に精度良く形成することができる。これにより、得られる上記スプライン部材の品質向上を図ることができる。
このように、本発明の製造方法によれば、バリ取り工程が不要であり、生産性の向上を図ることができるスプライン部材を得ることができる。
上記本発明において、上記ボス形成工程では、上記ボス部の先端面のうちの内周側部分に上記スプライン基点面を形成する場合には、該スプライン基点面をその内径が上記ボス部の先端に向かって徐々に拡径するように傾斜させることが好ましい(請求項2)。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の内周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を容易に形成することができる。
また、上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角は、45°〜60°であることが好ましい(請求項3)。
上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角が45°未満の場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン基点面側にて欠肉が生じるおそれがある。一方、60°を超える場合には、上記切削工程において、上記ボス部の不要部を切削する際にバリが発生するおそれがある。
また、上記スプライン基点面の最大内径は、上記スプライン部の上記谷部の内径と同じ又はそれより大きいことが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の内周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を精度良く確実に形成することができる。
また、上記ボス形成工程では、上記ボス部の先端面のうちの外周側部分に上記スプライン基点面を形成する場合には、該スプライン基点面をその外径が上記ボス部の先端に向かって徐々に縮径するように傾斜させることが好ましい(請求項5)。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を容易に形成することができる。
また、上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角は、45°〜60°であることが好ましい(請求項6)。
上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角が45°未満の場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン基点面側にて穴肉が生じるおそれがある。一方、60°を超える場合には、上記切削工程において、上記ボス部の不要部を切削する際にバリが発生するおそれがある。
また、上記スプライン基点面の最小外径は、上記スプライン部の上記谷部の外径と同じ又はそれより小さいことが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記スプライン形成工程において、上記ボス部の外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って上記スプライン部を精度良く確実に形成することができる。
また、上記スプライン基点面の径方向の幅は、1〜3mmであることが好ましい(請求項8)。
上記スプライン基点面の径方向の幅が1mm未満の場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン部を形成する際に肉のまくれ込みが生じるおそれがある。一方、3mmを超える場合には、上記スプライン形成工程において、上記スプライン部の長さのばらつきが大きくなる。そのため、上記切削工程において、上記ボス部の不要部を切削する際にバリが発生するおそれがある。
また、上記ボス形成工程では、貫通穴を設けた板状の上記素材を準備し、該素材の上記貫通穴近傍における該貫通穴の周囲を円筒状に塑性変形させるバーリング加工を行い、上記ボス部を板状の基板部から突出するように形成することが好ましい(請求項9)。
この場合には、例えば上記素材の板厚が薄い場合であっても、上記ボス部を容易に形成することができる。
また、上記ボス形成工程では、上記以外の加工方法を用いてボス部を形成することもできる。例えば、前方押出し工法、後方押出し工法、又はこれらを同時に行う複合押出し工法等を用いることができる。
また、この場合には、単なる塊状の素材を用いて加工を行ってもよいし、上記バーリング加工のように貫通穴を設けた素材を用いて加工を行ってもよい。また、貫通穴を設けた素材を用いた場合には、所定の位置に金型(マンドレル)を差し込むことで実施することができる。
また、上記スプライン部材は、自動変速機のプラネタリギア用のキャリアカバーであることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記キャリアカバーの生産性の向上を図ることができる。
なお、上記スプライン部材は、上記スプライン部を有するその他の様々な部品に適用することができる。
(実施例1)
本発明の実施例にかかるスプライン部材の製造方法について、図を用いて説明する。
本例において製造するスプライン部材1は、図1に示すごとく、自動変速機のプラネタリギア用のキャリアカバーである。
スプライン部材1は、基板部11と基板部11から突出して設けられた円筒状のボス部2とを有している。そして、ボス部2の内周面201には、軸方向に沿って形成された山部31と山部31の間に形成された谷部32とを交互に設けたスプライン部3が形成されている。
本例では、上記スプライン部材1を製造するに当たっては、図2〜図13に示すごとく、少なくとも、ボス形成工程、スプライン基点面形成工程、スプライン形成工程、切削工程を順に行う。
ボス形成工程では、素材100を塑性変形させる塑性加工を行い、先端面21を拘束することなく自由状態で延伸させてなる円筒状のボス部2を形成する。
スプライン基点面形成工程では、ボス部2の先端面21のうちの内周側部分を軸方向に押圧して、形成しようとするスプライン部3の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面22を形成する。
スプライン形成工程では、ボス部2の内周面201に、スプライン基点面22から軸方向に沿って形成された山部31と山部31の間に形成された谷部32とを交互に設けたスプライン部3を形成する。
切削工程では、ボス部2のスプライン形成領域30を切削しないように、ボス部2におけるスプライン形成領域30よりも先端側の不要部200を切削する。
以下、これを詳説する。
まず、図2に示すごとく、中央部に貫通穴19を設けた板状の素材100を準備し、予備成形を行う。なお、本例では、素材100として、鋼(SAPH440)を用いた。
次いで、ボス形成工程を行う。
本工程は、図3、図4に示すごとく、ボス形成装置4を用いてバーリング加工により行う。ボス形成装置4は、同図に示すごとく、素材100にボス部2を形成するためのボス形成用パンチ41及びボス形成用ダイス42と、ボス形成用パンチ41の外周側に設けられたボス形成用板押え43と、ボス形成用ダイス42の内周側に設けられたノックアウト部材44とを有する。
また、ボス形成用パンチ41、ボス形成用ダイス42、ボス形成用板押え43及びノックアウト部材44は、同軸上に配置されている。また、ボス形成用パンチ41は、ボス形成用ダイス42に対して相対的に軸方向に移動可能に設けられている。
上記ボス形成装置4を用いてボス部2を形成するに当たっては、図3に示すごとく、素材100における基板部11の第1表面111をボス形成用ダイス42によって支持し、基板部11の第2表面112をボス形成用板押え43によって支持する。これにより、素材100をボス形成用ダイス42とボス形成用板押え43とによって挟持する。
そして、図4に示すごとく、ボス形成用パンチ41を相対的に前進させ、素材100の貫通穴19近傍における該貫通穴19の周囲をボス形成用パンチ41の前進方向に円筒状に塑性変形させると共にその先端面21を拘束することなく自由状態で延伸させてなるボス部2を形成する。
その後、図示を省略したが、ボス形成用パンチ41とボス形成用板押え43とを後退させ、ノックアウト部材44をボス形成用パンチ41の後退方向に前進させることにより、ボス形成用ダイス42の支持を解除し、ボス形成装置4から第1中間体101(図4)を取り出す。
これにより、図5(a)、(b)に示すごとく、先端面21が自由形状のボス部2を板状の基板部11の第1表面111から突出するように形成した第1中間体101を得る。
次いで、本例では、図6(a)、(b)に示すごとく、第1中間体101の基板部11に4つの第1貫通穴12を形成するための穴抜き加工を行う。そして、第1中間体101の外形状を整えるための外形粗加工を行う。さらに、基板部11の第1表面111において、貫通穴12の周囲にディンプル部121を形成するディンプル加工を行い、基板部11の第1表面111及び第2表面112において、貫通穴12の周囲に面取り部122を形成する面取り加工を行う。これにより、第2中間体102を得る。
次いで、スプライン基点面形成工程を行う。
本工程は、図7、図8に示すごとく、スプライン基点面形成装置5を用いて行った。スプライン基点面形成装置5は、同図に示すごとく、第2中間体102にスプライン基点面22を形成するためのスプライン基点面形成用カウンターパンチ51及びスプライン基点面形成用パンチ52と、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51の外周側に設けられたスプライン基点面形成用ダイス53と、スプライン基点面形成用パンチ52の外周側に設けられたスプライン基点面形成用板押え54と、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51とスプライン基点面形成用ダイス53との間に設けられたノックアウト部材55とを有する。
また、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51、スプライン基点面形成用パンチ52、スプライン基点面形成用ダイス53、スプライン基点面形成用板押え54及びノックアウト部材55は、同軸上に配置されている。また、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51は、スプライン基点面形成用パンチ52、スプライン基点面形成用ダイス53及びスプライン基点面形成用板押え54に対して相対的に軸方向に移動可能に設けられている。また、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51は、スプライン基点面22に対応する形状を有するスプライン基点面形成部511を有する。
上記スプライン基点面形成装置5を用いてスプライン基点面22を形成するに当たっては、図7に示すごとく、第2中間体102における基板部11の第1表面111及びボス部2の外周面202をスプライン基点面形成用ダイス53によって支持する。また、基板部11の第2表面112及びボス部2の後端面29をスプライン基点面形成用板押え54及びスプライン基点面形成用パンチ52によって支持する。これにより、第2中間体102をスプライン基点面形成用ダイス53とスプライン基点面形成用パンチ52及びスプライン基点面形成用板押え54とによって挟持する。
そして、図8に示すごとく、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51を相対的に前進させ、ボス部2の先端面21のうちの内周側部分をスプライン基点面形成用カウンターパンチ51のスプライン基点面形成部511によって軸方向に押圧し、スプライン基点面22を形成する。
このとき、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51の相対的な移動距離を機械的に制御しておくことにより、形成しようとするスプライン部3の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面22を形成する。本例では、基板部11からスプライン基点面22までの距離を形成するスプライン部3の長さに合わせて調整する。また、スプライン基点面形成部511の形状を傾斜させておくことにより、スプライン基点面22をその内径がボス部2の先端に向かって徐々に拡径するように傾斜させる。
その後、図示を省略したが、スプライン基点面形成用カウンターパンチ51を後退させ、スプライン基点面形成用パンチ52及びスプライン基点面形成用板押え54の支持を解除し、ノックアウト部材55をスプライン基点面形成用カウンターパンチ51の前進方向に前進させる。そして、スプライン基点面形成装置5から第3中間体103(図8)を取り出す。
これにより、図9(a)〜(c)に示すごとく、ボス部2の先端面21の内周側にスプライン基点面22を形成した第3中間体103を得る。
なお、本例では、図9(b)に示すごとく、基板部11の第1表面111からスプライン基点面22の内周端221までの距離が一定となるように調整しており、その距離dは12.2mmである。また、スプライン基点面22の最大内径aは、スプライン基点面22の外周端222の内径であり、36.2mmである。
また、図9(c)に示すごとく、スプライン基点面22の軸方向に対する傾斜角αは60°であり、スプライン基点面22の径方向の幅bは1.3mmである。
次いで、スプライン形成工程を行う。
本工程は、図10、図11に示すごとく、スプライン形成装置6を用いて行った。スプライン形成装置6は、同図に示すごとく、第3中間体103における基板部11の外周部に切り欠き部13を形成するためのシェービングパンチ61及びシェービングダイス62と、ボス部2の内周面201に挿入してスプライン部3を形成するためのスプラインパンチ63と、基板部11の第1表面111及びボス部2の外周面202を支持するストリッパー64と、ストリッパー64の後退を規制する受圧部材65と、スプラインパンチ63とストリッパー64との間に設けられたノックアウト部材66とを有する。
また、シェービングパンチ61、シェービングダイス62、スプラインパンチ63、ストリッパー64、受圧部材65及びノックアウト部材66は、同軸上に配置されている。また、スプラインパンチ63の外周側にストリッパー64が配置され、ストリッパー64の外周側にシェービングダイス62が配置されている。また、軸方向においてストリッパー64に対向するようにスプラインパンチ63が配置されている。また、シェービングダイス62及びスプラインパンチ63に対してシェービングパンチ61が相対的に軸方向に移動可能に設けられていると共に、ストリッパー64がシェービングパンチ61の押圧力によって相対的に後退するよう設けられている。
上記スプライン形成装置6を用いてスプライン部3を形成するに当たっては、図10に示すごとく、第3中間体103における基板部11の第1表面111及びボス部2の外周面202をストリッパー64によって支持する。
そして、図11(a)に示すごとく、シェービングパンチ61を相対的にストリッパー64に向けて前進させ、基板部11の第2表面112及びボス部2の後端面29に当接させる。これにより、第3中間体103をシェービングパンチ61及びストリッパー64によって挟持する。
さらに、第3中間体103及びストリッパー64を押圧しながらシェービングパンチ61を相対的に前進させ、シェービングパンチ61及びシェービングダイス62によって第3中間体103にせん断力を加える。これにより、第3中間体103のシェービング領域130(図12(a))をシェービングし、基板部11の外周部に4つの切り欠き部13を形成する。
次いで、図11(b)に示すごとく、基板部11の外周面をシェービングダイス62によって拘束しながらシェービングパンチ61を相対的に前進させ、ボス部2の内周面201にスプラインパンチ63を挿入してスプライン部3を形成する。これにより、ボス部2の内周面201を塑性変形させ、スプライン基点面22から軸方向に沿って山部31と谷部32とを交互に設けたスプライン部3(12(b))を形成する。
次いで、図11(c)に示すごとく、さらにシェービングパンチ61を相対的に前進させ、ストリッパー64を受圧部材65に当接させてストリッパー64の後退を停止させる。そして、シェービングパンチ61の押圧力によって基板部11の第2表面112におけるコイニング加工領域140(図12(a))に対してコイニング加工を行う。これにより、基板部11の第2表面112にコイニング加工部14(図12(a))を形成する。
その後、図示を省略したが、シェービングパンチ61を後退させ、ノックアウト部材66をシェービングパンチ61の後退方向に前進させる。そして、スプライン形成装置6から第4中間体104(図12)を取り出す。
これにより、図12(a)、(b)に示すごとく、ボス部2の内周面201に山部31と谷部32とを交互に設けたスプライン部3を形成した第4中間体104を得る。第4中間体104において、基板部11の外周部には、4つの切り欠き部13が形成されており、基板部11の第2表面112には、コイニング加工部14が形成されている。なお、スプライン部3の最大内径bは、スプライン部3の谷部32の内径であり、36.2mmである。
次いで、図13(a)、(b)に示すごとく、第4中間体104の基板部11に2つの第2貫通穴15を形成するための仕上げ穴抜き加工を行う。
次いで、切削工程を行う。
本工程では、図13(a)、(b)に示すごとく、自由形状となっているボス部2の先端面21を研削し、第4中間体104のボス部2の先端面21の形状を整える。このとき、ボス部2のスプライン形成領域30を切削しないように、ボス部2のスプライン形成領域30よりも先端側の不要部200を切削する。
以上により、スプライン部材1(図1)を得る。
次に、本例のスプライン部材1の製造方法における作用効果について説明する。
本発明のスプライン部材の製造方法は、スプライン形成工程の前に、スプライン基点面形成工程を行う。すなわち、ボス部2にスプライン部3を形成する前に、スプライン部3を形成する基点となるスプライン基点面22をボス部2の先端面21に予め設けておく。そして、スプライン形成工程において、ボス部2のスプライン基点面22を基点として、スプライン基点面22がそのままスプライン部3の軸方向端面となるように、スプライン部3を形成する。
そのため、形成するスプライン部3の始点をスプライン部3の軸方向端面であるスプライン基点面22に揃えることができる。これにより、その後の切削工程において、自由形状のボス部2の先端面21を切削する際に、スプライン部3の軸方向端面であるスプライン基点面22よりも先端側、つまりスプライン形成領域30よりも先端側の不要部200のみを切削し、ボス部2の先端面21の形状を整えればよい。それ故、切削工程において、スプライン部3を切削しなくて済む。そして、従来のように、スプライン部3を切削することにより発生したバリを取るバリ取り工程が不要となり、生産性の向上を図ることができる。
また、スプライン基点面形成工程では、形成しようとするスプライン部3の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面を設けておく。そのため、スプライン形成工程において、スプライン部3の始点をスプライン基点面22に揃えることができることに加えて、スプライン部3をスプライン基点面22から所望の長さで所望の位置に精度良く形成することができる。これにより、得られるスプライン部材1の品質向上を図ることができる。
また、本例において、ボス形成工程では、スプライン基点面22をその内径がボス部2の先端に向かって徐々に拡径するように傾斜させる。また、スプライン基点面22の軸方向に対する傾斜角αは60°である。そのため、その後のスプライン形成工程において、ボス部2の内周面201に、スプライン基点面22から軸方向に沿ってスプライン部3を容易に形成することができる。
このように、本発明の製造方法によれば、バリ取り工程が不要であり、生産性の向上を図ることができるスプライン部材を得ることができる。
なお、本例において、ボス形成工程では、図3、図4に示すごとく、貫通穴19を設けた板状の素材100を準備し、素材100の貫通穴19近傍における貫通穴19の周囲を円筒状に塑性変形させるバーリング加工を行うことによりボス部2を形成したが、例えば、前方押出し工法、後方押出し工法、又はこれらを同時に行う複合押出し工法等の加工方法を用いてボス部2を形成することもできる。
また、この場合には、単なる塊状の素材を用いて加工を行ってもよいし、本例のバーリング加工のように貫通穴を設けた素材を用いて加工を行ってもよい。また、貫通穴を設けた素材を用いた場合には、所定の位置に金型(マンドレル)を差し込むことで実施することができる。
(実施例2)
本例は、実施例1のスプライン部材1をプラネタリギア8に組み込んだ例である。
プラネタリギア8は、図14に示すごとく、中空軸81の外周にインプットフランジ85を介してスプライン部材1であるキャリアカバーが配設されている。そして、スプライン部材1のボス部2の後端側には、ベアリング82が配設されている。
また、スプライン部材1には、他の部材であるピニオンシャフト83、キャリア84等が接合されている。そして、スプライン部材1のコイニング加工部14は、ピニオンシャフト83のワッシャーの座面として機能している。また、切り欠き部13は、キャリア84との溶接部分として機能している。
また、スプライン部材1とインプットフランジ85とは、互いのスプラインによって係合している。すなわち、インプットフランジ85には、その外周面にスプライン部850が形成されており、これがスプライン部材1のボス部2の内周面201におけるスプライン部3と係合している。
そして、本例のプラネタリギア8においては、上記のごとく、スプライン部3を形成する前にスプライン基点面22を設けることによって、バリ取り工程が不要であり、生産性の向上を図ることができるスプライン部材1を用いることにより、プラネタリギア8全体の加工コスト低減を進めることができる。
実施例1における、スプライン部材の全体を示す説明図。 実施例1における、(a)素材を示す平面図、(b)(a)のA−A線断面図。 実施例1における、ボス部を形成する前の状態を示す説明図。 実施例1における、ボス部を形成した直後の状態を示す説明図。 実施例1における、(a)第1中間体を示す平面図、(b)(a)のB−B線断面図。 実施例1における、(a)第2中間体を示す平面図、(b)(a)のC−C線断面図、(c)ボス部の先端面の拡大図。 実施例1における、スプライン基点面を形成する前の状態を示す説明図。 実施例1における、スプライン基点面を形成した直後の状態を示す説明図。 実施例1における、(a)第3中間体を示す平面図、(b)(a)のD−D線断面図。 実施例1における、スプライン部を形成する前の状態を示す説明図。 実施例1における、スプライン部を形成する工程を示す説明図。 実施例1における、(a)第4中間体を示す平面図、(b)(a)のE−E線断面図。 実施例1における、(a)スプライン部材を示す平面図、(b)(a)のF−F線断面図。 実施例2における、スプライン部材を組み込んだ状態のプラネタリギアの構造を示す説明図。
符号の説明
1 スプライン部材
11 基板部
2 ボス部
201 内周面(ボス部の内周面)
21 先端面(ボス部の先端面)
22 スプライン基点面
3 スプライン部
30 スプライン形成領域

Claims (10)

  1. 素材を塑性変形させる塑性加工を行い、先端面を拘束することなく自由状態で延伸させてなる円筒状のボス部を形成するボス形成工程と、
    上記ボス部の先端面のうちの内周側部分又は外周側部分を軸方向に押圧して、形成しようとするスプライン部の軸方向端面位置に相当する位置にスプライン基点面を形成するスプライン基点面形成工程と、
    上記ボス部の内周面又は外周面に、上記スプライン基点面から軸方向に沿って形成された山部と該山部の間に形成された谷部とを交互に設けたスプライン部を形成するスプライン形成工程と、
    上記ボス部のスプライン形成領域を切削しないように、上記ボス部における上記スプライン形成領域よりも先端側の不要部を切削する切削工程とを有することを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  2. 請求項1において、上記ボス形成工程では、上記ボス部の先端面のうちの内周側部分に上記スプライン基点面を形成する場合には、該スプライン基点面をその内径が上記ボス部の先端に向かって徐々に拡径するように傾斜させることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  3. 請求項2において、上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角は、45°〜60°であることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  4. 請求項2又は3において、上記スプライン基点面の最大内径は、上記スプライン部の上記谷部の内径と同じ又はそれより大きいことを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  5. 請求項1において、上記ボス形成工程では、上記ボス部の先端面のうちの外周側部分に上記スプライン基点面を形成する場合には、該スプライン基点面をその外径が上記ボス部の先端に向かって徐々に縮径するように傾斜させることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  6. 請求項5において、上記スプライン基点面の軸方向に対する傾斜角は、45°〜60°であることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  7. 請求項5又は6において、上記スプライン基点面の最小外径は、上記スプライン部の上記谷部の外径と同じ又はそれより小さいことを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、上記スプライン基点面の径方向の幅は、1〜3mmであることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において、上記ボス形成工程では、貫通穴を設けた板状の上記素材を準備し、該素材の上記貫通穴近傍における該貫通穴の周囲を円筒状に塑性変形させるバーリング加工を行い、上記ボス部を板状の基板部から突出するように形成することを特徴とするスプライン部材の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項において、上記スプライン部材は、自動変速機のプラネタリギア用のキャリアカバーであることを特徴とするスプライン部材の製造方法。
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