JP5388194B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents

発泡性ポリスチレン系樹脂粒子およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、環境適合性及び難燃性に優れ、さらには有機添加剤である難燃剤の含有量の少ない発泡性ポリスチレン系樹脂粒子および製造法に関する。
従来から、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は非常に安価で、また機械特性なども優れていることから、家電製品(家庭用電化製品)、OA機器を始め、建材や車両に至る広範囲な分野で使用されている。特に、建材土木分野において、使用されるポリスチレン系発泡体は断熱性のみならず火災等の発生防止、火災時の延焼による火災の拡大防止等の観点から、通常、一定レベル以上の難燃性能が要求されている。これらの要望を満たすために、ポリスチレン系樹脂粒子に難燃剤を添加して使用される。
また、この様な分野において、近年増加傾向にあるシックハウス症候群に対する対策のため、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、スチレン等の易揮発性有機化合物の放散量を低減することが求められている。上記の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への難燃剤としては、臭素含有炭化水素が−般的である。このような難燃剤を使用する時には、その難燃性を十分なものにするために、ジクミルパーオキサイド等のような難燃助剤を併用しなければならないことが多い。
一方,アリル構造を有する臭素含有炭化水素等の難燃剤は、難燃性能が非常に高く難燃剤の添加量が少なくて済み、難燃助剤も必要としない。
ところが、スチレンモノマーにアリル構造を有する臭素含有炭化水素を溶解させて重合を行うと、得られるスチレン系樹脂の分子量が小さくなったり、未反応のスチレンモノマーが多く残留した発泡性スチレン系樹脂粒子しか得られない場合がある。そして、このような発泡性スチレン系樹脂粒子を成形して成形体を作製した場合には、得られる成形体の強度が低くなってしまうという問題があった。また、残留したスチレンモノマー等の有害な芳香族炭化水素類が成形体から飛散してしまうおそれがあった。
そこで、このような問題を回避する方法として、あらかじめ重合させたスチレン系樹脂粒子を、密閉容器中、水性媒体に分散させ、アリル構造を有する臭素含有炭化水素を難燃剤として添加し、トルエンのような有機溶剤及び発泡剤とともに含浸させる方法がある。
また、難燃剤をスチレン系単量体と共に重合時に添加する方法が採用されている。前者の方法としては特許第4006745(特許文献1)があり、後者の方法としては特許第4236994号公報(特許文献2)、特開2007−9018号報(特許文献3)に記載された方法がある。
特許第4006745号公報 特許第4236994号公報 特開2007−9018号公報 特開平11−255946号公報
前者の方法においては、トルエンのような有機溶剤を用いて難燃剤を含浸させているため、得られる樹脂粒子中に含まれる有機溶剤の含有量が多くなってしまうという問題があった。その結果、このような樹脂粒子を成形して得られる成形体においても多くの有機溶剤が含まれるため、特に住宅用断熱材等の用途に適したものを得ることはできなかった。
また、難燃剤を発泡剤と共に水相中で樹脂粒子に含浸させる後含浸法では、難燃剤が含浸しにくいことにより、難燃剤が樹脂粒子表面付近に偏在し、自己消火性能が発現しにくくなり、難燃剤の添加量の増加に繋がる問題があった。そこで、特許文献1及び特許文献2に記載の通り、難燃剤の粒子径を小さくして粒子に難燃剤を含浸しやすくすることで、使用する難燃剤量を減らす方法が提示されている。しかし、この方法では難燃剤の粒子径を小さくして樹脂粒子に含浸させるために予め難燃剤をガラスビーズなどを用いて粉砕する必要があり、製造工程において特殊な操作をする必要がある。そのため、製造容易とは言えなかった。
本発明は従来の問題に鑑みてなされたもので、製造工程において難燃剤を可塑剤に溶解することによって樹脂粒子中に難燃剤を均一に含浸させることができ、発泡させた時に気泡の粗密がなく、成形時に粒子同士の熱融着性に優れていると共に、優れた難燃性を有する発泡成形品を得ることができる発泡性ポリスチレン樹脂粒子を提供できることを見出し発明に至った。
本発明は、水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる前又は含浸中に、可塑剤100重量部に臭素系難燃剤として2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパン40〜300重量部を可塑剤に溶解させてなる難燃剤溶解液を、上記水性懸濁液中に供給して、上記ポリスチレン系樹脂粒子中に上記難燃剤を含浸させることを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子である。
本発明の発泡性ポリスチレン系粒子は、発泡性ポリスチレン系粒子に難燃剤が均一に吸収されていることを特徴とする。添加する難燃剤は、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンが用いられ、これによって当該難燃剤は難燃性能が非常に高い。従って難燃剤の添加量が少なく済む。
本発明で使用する可塑剤は液状であって水性懸濁液中に均一に分散することから、可塑剤中に均一に分散されている難燃剤も水性懸濁液中に均一に分散していると考えられることから、ポリスチレン系樹脂粒子に均一に且つ中心部まで充分に効率よく吸収させることが可能であり、成形時の熱融着性が良好な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供できる。
本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる前又は含浸中に、可塑剤100重量部に2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンを40〜300重量部を溶解させてなる難燃剤溶解液を上記水性懸濁液中に供給して、上記ポリスチレン系樹脂粒子中に上記難燃剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることを特徴とする。
本発明におけるポリスチレン系樹脂粒子は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、(1)水性媒体、スチレン系単量体及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を懸濁重合させてポリスチレン系樹脂粒子を製造する懸濁重合法、(2)水性媒体及びポリスチレン系樹脂種粒子をオートクレーブ内に供給し、ポリスチレン系樹脂種粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を連続的に或いは断続的に供給して、ポリスチレン系樹樹脂種粒子にスチレン系単量体を吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させてポリスチレン系樹脂粒子を製造するシード重合法などが挙げられる。なお、ポリスチレン系樹脂種粒子は、上記(1)の懸濁重合法により製造し分級すればよい。
ここで、本発明におけるポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどのスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体などが挙げられる。
更に、上記ポリスチレン系樹脂としては、上記スチレン系単量体を主成分とする、上記スチレン系単量体と、このスチレン系単量体と共重合可能なビニル単量体との共重合体であってもよく、このようなビニル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルフマレート、エチルフマレートの他、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの二官能性単量体などが挙げられる。
そして、ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて型内発泡成形を行う場合に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子のキャビティ内への充填性の観点から、0.3〜2.0mmが好ましく、0.6〜1.4mmがより好ましい。
更に、ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂のスチレン換算重量平均分子量は、小さいと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体の機械的強度が低下することがある一方、大きいと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性が低下し、高発泡倍率のポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができない虞れがあるので、20万〜50万が好ましく、24万〜40万がより好ましい。
なお、上記懸濁重合法及びシード重合法において用いられる重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシ−3、3,5トリメチルヘキサノエート、ジーt−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレートなどの有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などが挙げられ、これらは単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、水性媒体中にポリスチレン系樹脂粒子を分散させてなる水性懸濁液は、上記懸濁重合法又はシード重合法による重合後の反応液を水性懸濁液として用いても、或いは、上記懸濁重合法又はシード重合法によって得られたポリスチレン系樹脂粒子を反応液から分離し、このポリスチレン系樹脂粒子を別途用意した水性媒体に懸濁させて水性懸濁液を形成してもよい。なお、水性媒体としては、特に限定されず、例えば、水、アルコールなどが挙げられ、水が好ましい。
又、上記懸濁重合法又はシード重合法において、スチレン系単量体を重合させる際に、スチレン系単量体の液滴又はポリスチレン系樹脂の種粒子の分散性を安定させるために懸濁安定剤を用いてもよく、このような懸濁安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子や、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩などが挙げられ、難水溶性無機塩を用いる場合には、アニオン界面活性剤が通常、併用される。
上記アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩、β−テトラヒドロキシナフタレンスルホン酸塩などが挙げられ、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
そして、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法では、上記水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤を公知の要領で含浸させる。このような発泡剤としては、沸点がポリスチレン系樹脂の軟化点以下であって、常圧でガス状もしくは液状の有機化合物が適しておリ、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−へキサン、石油エーテルなどの炭化水素、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテルなどの低沸点のエーテル化合物、炭酸ガス、窒素、アンモニアなどの無機ガスなどが挙げられ、沸点が−45〜40℃の炭化水素が好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタンがより好ましい。なお、発泡剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
更に、本発明の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法では、水性懸濁液申に分散させたポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる前に或いは含浸中に、可塑剤に2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンを溶解させてなる難燃剤溶解液を上記水性懸濁液中に供給して、ポリスチレン系樹脂粒子に難燃剤を加圧下にて含浸させる。なお、水性媒体は、ポリスチレン系樹脂粒子を分散させている水性懸濁液と相溶性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、水、アルコールなどが挙げられ、水が好ましい。
更に上記難燃剤に難燃助剤を併用することによって発泡性樹脂粒子に更に優れた難燃性を付与することができる。このような難燃助剤としては特に限定されず、例えば、ジクミルパーオキサイドなどが挙げられ、1時間半減期温度が100℃〜250℃であるものが好ましい。そして発泡性樹脂粒子中における難燃助剤の含有量は、少ないと、発泡性樹脂粒子の難燃性が低下することがある一方、多くても、発泡性樹脂粒子の難燃性に変化がないことが多いので、可塑剤100重量部に対して20〜200重量部、すなわち発泡性ポリスチレン系樹脂100重量部に対して0.2〜2.0重量部が好ましく、0.2〜1.5重量部がより好ましい。
上記難燃剤溶解液は、可塑剤に粉末状難燃剤を溶解させてなる。このような可塑剤としては、難燃剤を溶解させることができれば、特に限定されず、例えば、アジピン酸エステル類ではアジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソノニル、フタル酸エステル類ではフタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、セバシン酸エステル類ではセバシン酸ジブチル、などの1種又は2種以上が挙げられ、特にアジピン酸ジイソブチルが好ましい。
また上記可塑剤としては、SP値(Solubility parameter)が8.3以上9.4以下の有機物、好ましくはSP値が8.5以上9.2以下である、アジピン酸エステル類が挙げられ、特に好ましくはアジピン酸ジイソブチル(DIBA)(SP値=8.9)、アジピン酸イソノニル(DINA)が好ましい。本発明のSP値は1分子の単位体積あたりの蒸発エネルギーΔEおよびモル容積Vを次式に代入することにより算出される。
(SP)=ΔE/V
そして、上記難燃剤としては、ポリスチレン系樹脂粒子中に含浸させる条件において他の媒体に溶解させない状態で存在した場合に粉末状であればよく、臭素系フェノール誘導体の中でも2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンが挙げられ、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンがもっとも好ましい。
そして、難燃剤溶解液中における粉末状難燃剤の含有量は、少ないと使用しなければならない難燃剤溶解液の量が多くなり、ポリスチレン系樹脂粒子中への難燃剤の含浸が低下する一方、多いと、難燃剤が可塑剤に溶解し難くなるので、可塑剤100重量部に対して40〜300重量部に限定され、50〜270重量部が好ましい。
特に、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンは、可塑剤100重量部に対して40〜300重量部含有していることが好ましい。
更に、水性懸濁液中に難燃剤溶解液を供給するにあたって、得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における難燃剤の含有量が、難燃剤を含浸させるポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.4〜2.5重量部となるように、より好ましくは0.5〜2.0重量部となるように調整することが好ましい。これは、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子における難燃剤の含有量が少ないと、得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体の外観が低下することがあるからである。
可塑剤中に含有される2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンを持つ難燃剤は可塑剤中に均一に分散されている。さらに可塑剤は液状であって水性懸濁液中に均一に且つ安定的に分散することから、この可塑剤中に均一に分散している粉末状難燃剤も水性懸濁液中に均一に且つ安定的に分散させることができ、よって、水性懸濁液中に分散させた各ポリスチレン系樹脂粒子中に難燃剤を均一に且つ優れた含浸効率にて含浸させることが可能である。
粉末状難燃剤を可塑剤に溶解させる要領としては、特に限定されず、例えば、可塑剤を所定温度に加熱した上で、この可塑剤を攪拌しながら可塑剤中に粉末状難燃剤を添加する方法などが挙げられる。
なお、水性媒体は、ポリスチレン系樹脂粒子を分散させている水性懸濁液と相溶性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、水、アルコールなどが挙げられるが、ポリスチレン系樹脂粒子を分散させてなる水性懸濁液の水性媒体と同一のものが好ましい。
そして、難燃剤溶解液を分散させる水性媒体の量は、少ないと、難燃剤溶解液を水性媒体中に安定的に分散させることができないことがある一方、多いと、ポリスチレン系樹脂中への難燃剤の含浸効率が低下することがあるので、難燃剤溶解液中の可塑剤100重量部に対して100〜3000重量部に限定され、200〜2000重量部が好ましい。
又、難燃剤溶解液を水性媒体中に分散させる場合、水性媒体中に、難燃剤溶解液と水性媒体との間における界面エネルギーを低下させて、難燃剤溶解液を難燃剤溶解液中により安定的に分散させるために界面活性剤を含有させてもよい。
このような界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩、β−テトラヒドロキシナフタレンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤;アルキルアンモニウム酢酸塩類、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類、オキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類などのカチオン界面活性剤;脂肪酸ジエタノールアミド類、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール類、ポリエーテル変性シリコーン類などのノニオン界面活性剤などが挙げられ、アニオン界面活性剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。
なお、界面活性剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、界面活性剤の使用量は、少ないと、水性媒体中における難燃剤溶解液の分散性が向上しない一方、多いと、界面活性剤に起因した泡立ちが過剰になり、生産上のトラブルが発生する虞れがあるので、難燃剤溶解液中の可塑剤100重量部に対して0.005〜10重量部が好ましく、更には0.05〜5重量部が好ましい。
又、難燃剤溶解液を水性媒体中に分散させる場合、水性媒体中に難水溶性無機塩を含有させることが好ましく、このような難水溶性無機塩としては、例えば、第三リン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられ、ピロリン酸マグネシウムが好ましい。
そして、難水溶性無機塩の使用量は、少ないと、水性媒体中における難燃剤溶解液の分散性が低下することがある一方、多いと、難燃剤溶解液を分散させてなる分散液の粘性が上昇して、難燃剤溶解液が水性媒体中に均一に分散させることができないので、難燃剤溶解液中の可塑剤100重量部に対して10〜500重量部が好ましく、更には20〜200重量部が好ましい。
難燃剤溶解液を水性媒体中に分散させる要領としては、粉末状難燃剤が全て可塑剤に溶解した状態で、可塑剤が水性媒体中に分散しておればよく、例えば、水性媒体中に必要に応じて界面活性剤や難水溶性無機塩を添加して所定温度に加熱した上で、粉末状難燃剤及び可塑剤を添加して攪拌し、粉末状難燃剤を可塑剤に溶解させて難燃剤溶解液を形成させると同時に難燃剤溶解液を水性媒体中に分散させる方法、水性媒体中に必要に応じて界面活性剤や難水溶性無機塩を添加して所定温度に加熱する一方、粉末状難燃剤を可塑剤に溶解させて難燃剤溶解液を作製し、この難燃剤溶解液を上記水性媒体中に供給して攪拌して分散させる方法などが挙げられる。
この難燃剤溶解液又は該難燃剤溶解液を水性媒体に分散させてなる難燃剤溶解液の分散体を、ポリスチレン系樹脂粒子を分散させている水性懸濁液中に添加する時期は、発泡剤の含浸前あるいは含浸途中のいずれであってもよく、又、難燃剤溶解液若しくは該難燃剤溶解液の分散体の水性懸濁液への添加は、難燃剤溶解液又は該難燃剤溶解液の分散体を全量、一度に添加してもよいし、難燃剤溶解液又は該難燃剤溶解液の分散体を複数回に分けて添加してもよいし、或いは、難燃剤溶解液又は該難燃剤溶解液の分散体を少量づつ連続的に添加してもよい。
そして、水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤及び難燃剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を水性懸濁液中から取り出して、必要に応じて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に洗浄処理、乾燥処理を施せばよい。
なお、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、難燃剤以外に、物性を損なわない範囲内において、気泡調整剤、充填剤、滑剤、着色剤、溶剤などの添加剤を必要に応じて添加することができ、これら添加剤を発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に添加する場合には、ポリスチレン系樹脂粒子を分散させた水性懸濁液中に添加剤を添加するか、又は、難燃剤溶解液若しくは該難燃剤溶解液の分散体中に添加剤を添加すればよい。
次に、上記発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いてポリスチレン系樹脂発泡成形体の製造要領について説明する。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いてポリスチレン系樹脂発泡成形体を製造する要領としては、公知の方法を採用することができ、具体的には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させて、嵩密度0.01〜0.05g/cm程度のポリスチレン系樹脂予備発泡粒子とし、このポリスチレン系樹脂予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填して加熱、発泡させることによってポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができる。
又、発泡体の平均弦長は、20〜380μmが好ましく、30〜330μmがより好ましい。これは、発泡成形体の気泡の平均弦長が小さいと、発泡成形体中における気泡壁の数、即ち、気泡壁の表面積が多くなり過ぎて各気泡壁の厚さが薄くなり、気泡壁の数は多くなって熱の遮断回数は多くなるものの、気泡壁による熱の遮断効果の低下度合いの方が大きくなってしまい、結果として、発泡成形体の収縮が大きくなってしまう。一方、発泡成形体の平均弦長が大きいと、発泡成形体の厚み方向における全体の気泡数が減少し、その結果、発泡成形体の強度が低下してしまうからである。
上記ポリスチレン系樹脂発泡成形体の密度は、低いと、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の断熱性や機械的強度が低下することがある一方、高いと、型内発泡成形における一サイクルに要する時間が長くなり、ポリスチレン系樹脂発泡成形体の生産効率が低下することがあるので、0.01〜0.05g/cmが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
内容積100リットルの攪拌機付オートクレーブに、第三リン酸カルシウム(大平化学社製)120g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.4g、ペンゾイルパーオキサイド(純度75重量%)160g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート30g、イオン交換水40kg及びスチレン単量体40kgを供給して攪拌羽を100rpmの回転速度にて回転させて攪拌して水性懸濁液を形成した。
次に.攪拌羽を100rpmの回転速度で回転させて水性懸濁液を攪拌しながら、オートクレーブ内の温度を90℃まで昇温して90℃にて6時間に亘って保持し、更に、オートクレーブ内の温度を120℃まで昇温し、120℃で2時間に亘って保持することによって、スチレン単量体を懸濁重合した。
しかる後、オートクレーブ内の温度を25℃まで冷却してオートクレーブ内からポリスチレン粒子を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、ポリスチレン粒子を分級して、粒子径が0.6〜0.85mmで且つ重量平均分子量が30万のポリスチレン粒子を得た。
次に、別の100リットルの攪拌機付オートクレーブにイオン交換水30kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4g、ピロリン酸マグネシウム100gを供給した後、オートクレーブ内に上記ポリスチレン粒子11kgを種粒子として供給して攪拌して水中に均一に分散させた。
又、イオン交換水6kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g及びピロリン酸マグネシウム20gを分散させてなる分散液を作製する一方、スチレン単量体5kgに重合開始剤のベンゾイルパーオキサイド(純度75%)132g及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート50gを溶解させてなるスチレン単量体溶液を作製し、このスチレン単量体溶液を上記分散液に添加してホモミキサーを用いて攪拌して乳濁化させて乳濁液を得た。
そして、オートクレーブ内を75℃に加熱、保持した上でオートクレーブ内に上記乳濁液を添加し、ポリスチレン種粒子中にスチレン単量体及びベンゾイルパーオキサイドが円滑に吸収されるように30分間に亘って保持し、しかる後、オートクレーブ内を75℃から108℃まで0.2℃/分の昇温速度で昇温しながら、オートクレーブ内にスチレン単量体28kgを160分かけて連続的に滴下し、次に、スチレン単量体の滴下が終了してから20分後に、1℃/分の昇温速度で120℃まで昇温して90分間に亘って保持してシード重合によりポリスチレン粒子を得た。又、スチレン単量体は全て重合に用いられていた。
イオン交換水2kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6g及び複分解法で得られたピロリン酸マグネシウム112gを供給して攪拌した上で50℃に加熱、保持しつつ、上記イオン交換水中に可塑剤としてアジピン酸ジイソブチル(DIBA)(SP値=8.9)(田岡化学工業社製 商品名「DI4A」350g、難燃剤2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパン(第一工業製薬社製)480g及び難燃助剤ジクミルパーオキサイド130gを加え、ホモミキサー(特殊機化工業社製 T.K.ホモミクサーMARK II fmodel)を用いて7000rpmで30分間に旦って攪拌して、難燃剤及び難燃助剤を中に全て溶解させて難燃剤溶解液を形成すると同時に、この難燃剤溶解液をイオン交換水中に分散させて難燃剤溶解液の分散体を形成した。次にオートクレーブ内を1℃/分の降温速度にて50℃まで冷却した上で、上記難燃剤溶液をオートクレーブ内に供給した。
そして、オートクレーブ内に難燃剤溶液を供給してから30分経過後にオートクレーブを密閉し、しかる後、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン(重量比)=30/70)3300gを窒素加圧によってオートクレーブ内に30分間で圧入し、オートクレーブ内を100℃まで昇温させその温度で2時間30分保持した。
しかる後、オートクレーブ内を25℃まで冷却し.オートクレーブ内から発泡性ポリスチレン粒子を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、難燃性発泡性ポリスチレン粒子を分級して粒子径が0.9〜1.4mm、平均粒子径が1.1mmの熱可塑性発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、難燃剤溶解液は全てポリスチレン粒子に含浸されていた。
(実施例2)
難燃剤を480gの代わりに400gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(実施例3)
難燃剤を480gの代わりに310gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(実施例4)
難燃剤を480gの代わりに220gとし、さらに可塑剤セバシン酸ジブチル(SP値=9.2)としたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(実施例5)
難燃剤を480gの代わりに880gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(比較例1)
難燃剤2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンの代わりにテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)としたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
(比較例2)
難燃剤を480gの代わりに130gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。そのため、難燃剤の不均一吸収が起こり、発泡成形体の発泡粒子同士の融着部分に凹凸が見られた。
(比較例3)
難燃剤を480gの代わりに1300gとしたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。得られた発泡成形体の平均弦長を測定したところ難燃剤の使用量が多いため気泡の密化が見られた。そのため、発泡成形体の発泡粒子同士の融着部分に凹凸が見られた。
(比較例4)
可塑剤をアジピン酸ジイソブチルの代わりにフタル酸ジメチル(SP値=10.7)としたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。しかし、得られた発泡性ポリスチレン粒子を予備発泡したところ、予備発泡機内の缶壁への付着物が多く、また発泡性粒子同士が合一したブロッキング量が多かったため、結果として発泡成形体を得ることが出来なかった。
(比較例5)
可塑剤をアジピン酸ジイソブチルの代わりに流動パラフィン(SP値=7.5)としたこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。しかし、得られた発泡性ポリスチレン粒子を予備発泡したところ、予備発泡機内の缶壁への付着物が多く、また発泡性粒子同士が合一したブロッキング量が多かったため、結果として発泡成形体を得ることが出来なかった。
得られた発泡性ポリスチレン粒子について、予備発泡性、発泡成形性、燃焼性、並びに、発泡成形体の気泡の平均弦長を下記の要領で測定し、その結果を表1及び表2に示した。
Figure 0005388194
Figure 0005388194
[予備発泡]
得られた発泡性ポリスチレン粒子40000g、並びに、表面処理剤としてポリエチレングリコール10g、ステアリン酸亜鉛40g、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド(川研ファインケミカル社製 商品名「K−3ワックス500」)16g及びステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製 商品名「リケマールS−100F」)20gをタンブラーミキサーに供給し、30分間に亘って攪拌して発泡性ポリスチレン粒子の表面に表面処理剤を被覆した。
次に、発泡性ポリスチレン粒子を15℃の保冷庫にて48時間に旦って保管した後、攪拌機付き予備発泡機に発泡性ポリスチレン粒子500gを供給して水蒸気を用いて加熱することによって予備発泡させ、嵩倍数50倍の予備発泡粒子を得た。
(発泡成形性)
上記ポリスチレン予備発泡粒子を発泡成形機(積水工機社製 商品名「ACE−3SP」)の金型内に充填し、水蒸気を用いて二次発泡させることによって、縦300mm×横400mm×高さ30mmの直方体形状の発泡成形体を得た。
(発泡成形体の外観評価)
発泡成形体の外観を目視観察し下記の基準に基づいて評価をした。
○・・・発泡粒子同士の融着部分が平滑であった。
×・・・発泡粒子同士の融着部分に凹凸が発生していた。
[燃焼性試験]
得られたポリスチレン発泡成形体から縦200mm×横25mm×高さ10mmの直方体形状の試験片5個をバーチカルカッターにて切り出し、60℃オーブンで1日間養生後、JIS A9511−2006の測定方法Aに準じて測定を行い、5個の試験片の平均値を求め、消炎時間とし、下記基準に基づいて総合的に評価し.その結果を自消性として表1、2に示した。なお、上記JIS規格では消炎時間が3秒以内である必要があり、2秒以内であれば好ましく、1秒以内であればより好ましい。
×・・・消炎時間が3秒を超えているか、又は、試験片の1個でも残じんがあるか若しくは燃焼限界指示線を超えて燃焼する。
○・・・消炎時間が3秒以内であり、5個のサンプル全てにおいて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しない。
◎・・・消炎時間が1秒以内であり、5個のサンプル全てにおいて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しない。
[平均弦長]
発泡成形体の平均弦長は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定されたものをいう。具体的には、発泡成形体を略二等分となるように切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製 商品名「S−3000N」)を用いて100倍に拡大して撮影する。撮影した画像をA4用紙に印刷し、任意の箇所に長さ60mmの直線を一本描く、この直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出する。
平均弦長t=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、更に、直線の両端部が気泡を貫通することもなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。更に、撮影した画像の任意の5箇所において上述と同様の要領で平均弦長を算出し、これらの平均弦長の相加平均値を発泡成形体の平均弦長とする。
(評価)
本実施例の発泡性ポリスチレン系粒子は、発泡剤を含浸させる前において、表1に示す様に、臭素系難燃剤として2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンが難燃剤溶解液として可塑剤に溶解されているから、これを水性懸濁液中に供給すると、ポリスチレン系樹脂粒子中に前記難燃剤を均一に含浸することができ、均一に吸収された発泡性ポリスチレン系粒子とすることができる。
特に、表1及び表2に示す様に、可塑剤100重量部に対して2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパン40〜300重量部を可塑剤に溶解させた難燃剤溶解液を上記水性懸濁液中に供給した本実施例は、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパン300重量部を超える比較例3と比べて、得られたポリスチレン発泡成形体は平均弦長が大きく発泡成形体の外観は良好であった。
また燃焼性試験においても、可塑剤100重量部に対してテトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3ジブロモプロピルエーテル)40〜300重量部を可塑剤に溶解させた難燃剤溶解液を上記水性懸濁液中に供給した比較例1及び2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパン40重量部未満の比較例2に対して、本実施例の2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンでは消炎時間は1.0秒以下であり、極めて良好であった。これによって当該難燃剤は難燃性能が非常に高い。従って難燃剤の添加量が少なく済む。
また可塑剤は、表1及び表2に示す様に、液状であって水性懸濁液中に均一に分散することから、可塑剤中に均一に分散されている難燃剤も水性懸濁液中に均一に分散していると考えられることから、ポリスチレン系樹脂粒子に均一に且つ中心部まで充分に効率よく吸収させることが可能であり、成形時の熱融着性が良好な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供できる。
特に、表1及び表2に示す様に、前記可塑剤として、アジピン酸エステル類、特にアジピン酸ジイソブチル(DIBA)を選ばれていることから、特に2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンとの相性が優れており、難燃剤溶解液として好ましい。
本発明は、各種の断熱材用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子として用いることができ、特に自動車用内装材用、屋根用下地材用、住宅の床下用、盛土に用いられ、ヒートポンプ式給湯器の貯湯タンクに用いられる断熱材用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子として好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる前又は含浸中に、
    可塑剤100重量部に対して臭素系難燃剤として2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパン40〜300重量部をSP値(Solubility parameter)が8.3以上9.4以下の有機物である液状の可塑剤に溶解させてなる難燃剤溶解液を水性媒体に分散させて難燃性溶解液の分散体を形成して上記水性懸濁液中に供給し
    上記ポリスチレン系樹脂粒子中に上記難燃剤を含浸させ、ポリスチレン系樹脂粒子の中心部まで吸収させた
    ことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記可塑剤は、アジピン酸エステル類、フタル酸エステル類又はセバシン酸エステル類である請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 前記可塑剤は、SP値が8.5以上9.2以下であるアジピン酸エステル類である請求項2記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 請求項1〜3の項のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とする予備発泡粒子。
  5. 水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる前又は含浸中に、可塑剤100重量部に対して粉末状の難燃剤40〜300重量部をSP値(Solubility parameter)が8.3以上9.4以下の有機物である液状の可塑剤に溶解させてなる難燃剤溶解液を水性媒体に分散させて難燃性溶解液の分散体を形成して上記水性懸濁液中に供給し、上記ポリスチレン系樹脂粒子中に上記難燃剤を含浸させ、ポリスチレン系樹脂粒子の中心部まで吸収させた発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、上記難燃剤は2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモアルコキシ)−3,5−ジブロモフェニル]−プロパンである発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。

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