JP5558038B2 - 発泡性ポリスチレン系樹脂粒子およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子への難燃化の方法としては、難燃剤をスチレン系単量体と共に重合時に添加する方法、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させる際に難燃剤を添加する方法等が採用されている。前者の方法としては、特開2003−335891号公報(特許文献1)及び特開2002−194130号公報(特許文献2)に記載された方法があり、後者の方法としては特開2007−246606号公報(特許文献3)に記載された方法がある。
また前者の方法では主としてヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)を難燃剤として使用している。HBCDは生体内への蓄積性が懸念される物質であり、その使用を無くすことが望まれている。
さらには、難燃剤を粉体状態で投入することにより、反応器中でポリスチレン系樹脂粒子と難燃剤テトラブロモシクロオクタンが凝集し反応器の底部に固まりが発生し、ポリスチレン系樹脂粒子に難燃剤が均一に吸収されないという課題があった。
また、難燃剤のポリスチレン系樹脂粒子への吸収が不均一となり、難燃剤を多く含有した粒子が存在することによって、予備発泡粒子内に形成される気泡が一部微細化する。その結果、発泡成形品の外観に悪影響を及ぼすことがあった。さらには、発泡成形体の一部の気泡が微細化することによって断熱性に悪影響を及ぼすことがあった。
さらには可塑剤100重量部に対して1時間半減期温度が100℃〜250℃である難燃助剤20〜200重量部を可塑剤に溶解させてなる難燃剤溶解液を上記水性懸濁液中に供給して、上記ポリスチレン系樹脂粒子中に上記難燃剤及び難燃助剤を含浸させる
ことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子である。
なお、添加する難燃剤は、テトラブロモシクロオクタンにシリカの微粉末を入れており、シリカ微粉末を入れることによりテトラブロモシクロオクタンの分散性が著しく向上する。従って、製造上でのハンドリング性が非常に良く、可塑剤に難燃剤を添加する際、可塑剤中に均一に分散させることが可能である。さらには可塑剤は液状であって水性懸濁液中に均一に分散することから、可塑剤中に均一に分散されている難燃剤も水性懸濁液中に均一に分散していると考えられることから、ポリスチレン系樹脂粒子に均一に且つ中心部まで充分に効率よく吸収させることが可能であり、成形時の熱融着性が良好な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を提供できる。
更に、テトラブロモシクロオクタンは、シリカ微粉末により均一に且つ安定的に分散しているので、テトラブロモシクロオクタンが二次凝集や沈降を生じるようなことはなく、テトラブロモシクロオクタンによって配管ラインが閉塞するなどの問題は発生しない。
また、粉末状難燃剤は可塑剤中に完全に溶解しているので、発泡性ポリスチレンの製造工程中において粉末状難燃剤が凝集し反応器中の底部に沈降するなどの問題は発生しない。
また、難燃剤HBCDを含有していない発泡性ポリスチレン系樹脂から得られる発泡体であるために生体内への蓄積性がなく、かつ断熱性と難燃性に優れた成形体となりえる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得ることができる。
ここで、難燃剤テトラブロモシクロオクタンを粉末状で添加すると、製造工程中の反応器の底部に難燃剤の凝集物が発生する課題があった。
ここで、本発明におけるポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどのスチレン系単量体の単独重合体又はこれらの共重合体などが挙げられる。
そして、ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を用いて型内発泡成形を行う場合に、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させて得られる予備発泡粒子のキャビティ内への充填性の観点から、0.3〜2.0mmが好ましく、0.6〜1.4mmがより好ましい。
更に、ポリスチレン系樹脂粒子を構成するポリスチレン系樹脂のスチレン換算重量平均分子量は、小さいと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を発泡させて得られるポリスチレン系樹脂発泡成形体の機械的強度が低下することがある一方、大きいと、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性が低下し、高発泡倍率のポリスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができない虞れがあるので、15万〜50万が好ましく、20万〜40万がより好ましい。
そして、水性媒体中にポリスチレン系樹脂粒子を分散させてなる水性懸濁液は、上記懸濁重合法又はシード重合法による重合後の反応液を水性懸濁液として用いても、或いは、上記懸濁重合法又はシード重合法によって得られたポリスチレン系樹脂粒子を反応液から分離し、このポリスチレン系樹脂粒子を別途用意した水性媒体に懸濁させて水性懸濁液を形成してもよい。なお、水性媒体としては、特に限定されず、例えば、水、アルコールなどが挙げられ、水が好ましい。
また、上記粉末難燃剤テトラブロモシクロオクタンに添加されるシリカ微粉末としては、比表面積が170〜330m2/gであれば親水性又は疎水性のどちらでもよく、比表面積は200m2/gが最も好ましい。なお、比表面積が170m2/g未満であると、テトラブロモシクロオクタンの分散性の向上をすることができず、結果としてテトラブロモシクロオクタンが二次凝集した。また、比表面積が330m2/gより大きいと、シリカ微粉末の飛散量が多くなり、製造上のハンドリング性が悪化する問題があった。
また、テトラブロモシクロオクタンへのシリカ微粉末の添加量は、テトラブロモシクロオクタン98.5〜99.7重量部に対して、シリカ微粉末を0.3〜1.5重量部が好ましく、更には0.5重量部が最も好ましい。0.3重量部未満であると、テトラブロモシクロオクタンの分散性を向上することができず、結果としてテトラブロモシクロオクタンが二次凝集した。また、1.5重量部より多いと、シリカ微粉末の飛散量が多くなり、製造上のハンドリング性が悪化する問題があった。
そして、難燃剤溶解液中における粉末状難燃剤の含有量は、少ないと使用しなければならない難燃剤溶解液の量が多くなり、ポリスチレン系樹脂粒子中への難燃剤の含浸が低下する一方、多いと、難燃剤が可塑剤に溶解し難くなるので、可塑剤100重量部に対して33〜1000重量部に限定され、100〜550重量部が好ましい。
更に、水性懸濁液中に難燃剤溶解液を供給するにあたって、得られる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における難燃剤の含有量が、難燃剤を含浸させるポリスチレン系樹脂粒子100重量部に対して、好ましくは0.3〜2.0重量部となるように、より好ましくは0.5〜1.5重量部となるように調整することが好ましい。これは、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子における難燃剤の含有量が少ないと、得られる熱可塑性ポリスチレン系樹脂発泡成形体の自消性が悪化することがあるからである。
可塑剤中に含有される粉末状難燃剤テトラブロモシクロオクタンはシリカ微粉末により安定的に分散されていることから、可塑剤中に均一に分散されている。さらに可塑剤は液状であって水性懸濁液中に均一に且つ安定的に分散することから、この可塑剤中に均一に分散している粉末状難燃剤も水性懸濁液中に均一に且つ安定的に分散させることができ、よって、水性懸濁液中に分散させた各ポリスチレン系樹脂粒子中に難燃剤を均一に且つ優れた含浸効率にて含浸させることが可能である。
そして、難燃剤溶解液を分散させる水性媒体の量は、少ないと、難燃剤溶解液を水性媒体中に安定的に分散させることができないことがある一方、多いと、ポリスチレン系樹脂中への難燃剤の含浸効率が低下することがあるので、難燃剤溶解液中の可塑剤100重量部に対して100〜3000重量部に限定され、200〜2000重量部が好ましい。
このような界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩、β−テトラヒドロキシナフタレンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤;アルキルアンモニウム酢酸塩類、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類、アルキルトリメチルアンモニウム塩類、ジアルキルジメチルアンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩類、オキシアルキレンアルキルアミン類、ポリオキシアルキレンアルキルアミン類などのカチオン界面活性剤;脂肪酸ジエタノールアミド類、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレングリコール類、ポリエーテル変性シリコーン類などのノニオン界面活性剤などが挙げられ、アニオン界面活性剤が好ましく、アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。なお、界面活性剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
そして、界面活性剤の使用量は、少ないと、水性媒体中における難燃剤溶解液の分散性が向上しない一方、多いと、界面活性剤に起因した泡立ちが過剰になり、生産上のトラブルが発生する虞れがあるので、難燃剤溶解液中の可塑剤100重量部に対して0.005〜10重量部が好ましく、更には0.05〜5重量部が好ましい。
そして、難水溶性無機塩の使用量は、少ないと、水性媒体中における難燃剤溶解液の分散性が低下することがある一方、多いと、難燃剤溶解液を分散させてなる分散液の粘性が上昇して、難燃剤溶解液が水性媒体中に均一に分散させることができないので、難燃剤溶解液中の可塑剤100重量部に対して10〜500重量部が好ましく、更には20〜200重量部が好ましい。
そして、水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子中に発泡剤、難燃剤及び難燃助剤を含浸させて発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を製造した後、この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を水性懸濁液中から取り出して、必要に応じて、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に洗浄処理、乾燥処理を施せばよい。
内容積100リットルの攪拌機付オートクレーブに、第三リン酸カルシウム(大平化学社製)120g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.4g、ベンゾイルパーオキサイド(純度75重量%)160g、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート30g、イオン交換水40kg及びスチレン単量体40kgを供給して攪拌羽を100rpmの回転速度にて回転させて撹拌して水性懸濁液を形成した。
次に、攪拌羽を100rpmの回転速度で回転させて水性懸濁液を攪拌しながら、オートクレーブ内の温度を90℃まで昇温して90℃にて6時間に亘って保持し、更に、オートクレーブ内の温度を120℃まで昇温し、120℃で2時間に亘って保持することによって、スチレン単量体を懸濁重合した。
しかる後、オートクレーブ内の温度を25℃まで冷却してオートクレーブ内からポリスチレン粒子を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、ポリスチレン粒子を分級して、粒子径が0.2〜0.8mmで且つ重量平均分子量が24万のポリスチレン粒子を得た。
上記とは別に、イオン交換水5kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3gを溶解させてなる分散剤を作成する一方、スチレン1994g、α―メチルスチレン500g及びジビニルベンゼン6gに、重合開始剤である2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン(10時間半減期温度:100℃)100g及びジクミルパーオキサイド(10時間半減期温度:116℃)100gを溶解させてスチレン系単量体溶液を作成し、このスチレン系単量体溶液を上記分散液に添加してホモミキサーを用いて攪拌して乳濁化させて乳濁液を得た。
そして、オートクレーブ内を80℃に加熱、保持した上でオートクレーブ内に上記乳濁液を添加し、ポリスチレン種粒子中にスチレン、α―メチルスチレン、ジビニルベンゼン及び重合開始剤が円滑に吸収されるように30分間に亘って保持し、しかる後、オートクレーブ内を80℃から118℃まで1℃/分の昇温速度で昇温した。118℃に到達した時点よりオートクレーブ内にスチレン22000g及びα―メチルスチレン7500gを480分かけて連続的に滴下し、次に、スチレン単量体の滴下が終了してから60分後に、1℃/分の昇温速度で140℃まで昇温して120分間に亘って保持してシード重合によりポリスチレン粒子を得た。又、スチレン、α―メチルスチレン及びジビニルベンゼンは全て重合に用いられていた。
さらに可塑剤であるスチレン240gを50℃に加熱し、スチレンにこれを攪拌しながら、難燃剤Aを440g、難燃助剤としてジクミルパーオキサイド(1時間半減期温度:136℃を)を140g供給し、難燃剤Aがスチレンに完全に溶解して透明になるまで攪拌して難燃剤溶解液を作成した。
次にオートクレーブ内を1℃/分の降温速度にて50℃まで冷却した上で、上記難燃剤溶液をオートクレーブ内に供給した。
そして、オートクレーブ内に難燃剤溶液を供給してから30分経過後にオートクレーブを密閉し、しかる後、発泡剤としてブタン(イソブタン/ノルマルブタン(重量比)=30/70)3600gと、ペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン(重量比)=20/80) 1600gとを窒素加圧によってオートクレーブ内に30分間で圧入し、オートクレーブ内を表1の「発泡剤含浸温度」に示した温度まで昇温させその温度で4時間保持した。
しかる後、オートクレーブ内を25℃まで冷却し、オートクレーブ内から発泡性ポリスチレン粒子を取り出して洗浄、脱水を複数回に亘って繰り返し行い、乾燥工程を経た後、難燃性発泡性ポリスチレン粒子を分級して粒子径が0.30〜1.2mm、平均粒子径が0.75mmの熱可塑性発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、難燃剤溶解液は全てポリスチレン粒子に含浸されていた。
イオン交換水2kgにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6g及び複分解法で得られたピロリン酸マグネシウム112gを供給して攪拌した上で50℃に加熱、保持しつつ、上記イオン交換水中にスチレン240g、難燃剤A440g及び難燃助剤ジクミルパーオキサイド140gを加え、ホモミキサー(特殊機化工業社製 T.K.ホモミクサーMARKII fmodel)を用いて7000rpmで30分間に亘って攪拌して、難燃剤A及び難燃助剤を中に全て溶解させて難燃剤溶解液を形成すると同時に、この難燃剤溶解液をイオン交換水中に分散させて難燃剤溶解液の分散体を形成した。そして、得られた難燃剤溶解液の分散体を難燃剤溶解液の代わりにオートクレーブ内に供給したこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
難燃剤Aを440gの代わりに360gとしたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
難燃剤Aを440gの代わりに560gとしたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
難燃剤Aを440gの代わりに680gとしたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
スチレン量を240gの代わりに80gとしたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
スチレン量を240gの代わりに400gとしたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
発泡剤含浸温度を100℃の代わりに98℃としたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
発泡剤含浸温度を100℃の代わりに95℃としたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
発泡剤含浸温度を100℃の代わりに105℃としたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。
難燃剤溶解液の代わりに、粉末状のテトラブロモシクロオクタン560gを直接オートクレーブ内に供給したこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、反応器中を目視観察したところ難燃剤凝集物が280g反応器の底部に発生しており、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に難燃剤が全量吸収されていなかった。そのため、難燃剤の不均一吸収が起こり、発泡性成形体の発泡粒子同士の融着部分に凸凹が見られた。
難燃剤溶解液の代わりに、粉末状のテトラブロモシクロオクタン440gを直接オートクレーブ内に供給したこと以外は実施例1と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、反応器中を目視観察したところ難燃剤凝集物が32g反応器の底部に発生しており、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に難燃剤が全量吸収されていなかった。そのため、難燃剤の不均一吸収が起こり、発泡性成形体の発泡粒子同士の融着部分に凸凹が見られた。
難燃剤Aの作製において、シリカを使用しなかったこと以外は実施例3と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。なお、反応器中を目視観察したところ難燃剤凝集物が30g反応器の底部に発生しており、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に難燃剤が全量吸収されていなかった。そのため、難燃剤の不均一吸収が起こり、発泡性成形体の発泡粒子同士の融着部分に凸凹が見られた。
難燃剤Aを440gの代わりに80gとしたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。そのため、難燃剤の不均一吸収が起こり、発泡性成形体の発泡粒子同士の融着部分に凸凹が見られた。
難燃剤Aを440gの代わりに1200gとしたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。得られた発泡成形体の平均弦長を測定したところ難燃剤の使用量が多いため気泡の密化が見られた。そのため、発泡性成形体の発泡粒子同士の融着部分に凸凹が見られた。
発泡剤含浸温度を100℃の代わりに85℃としたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。得られた発泡成形体の平均弦長を測定したところ450μmとなり断熱性能が悪かった。
発泡剤含浸温度を100℃の代わりに115℃としたこと以外は実施例2と同様にして発泡性ポリスチレン粒子を得た。得られた発泡成形体の平均弦長を測定したところ35μmとなり断熱性能が悪かった。
本発明に使用されるシリカ微粉末の比表面積の測定方法は全てBET法に基づく。
難燃剤100gをポリエチレン袋に入れて50mm直径円筒に詰め、1.1kgの錘を乗せ40℃オーブンに1ヶ月保管した後、取り出して状態を観察し評価した。
×・・・非常に硬い状態で難燃剤が固まっており、握っても崩れきらない。
△・・・硬い状態では難燃剤が固まってはいるが、手で握ると崩れる。
○・・・締まり感はあるが固まりはなく、さらさらの状態である。
得られた発泡性ポリスチレン粒子について、予備発泡性、発泡成形性、燃焼性、並びに、発泡成形体の気泡の平均弦長を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
得られた発泡性ポリスチレン粒子40000g、並びに、表面処理剤としてポリエチレングリコール20g、ステアリン酸亜鉛60g、12−ヒドロキシステアリン酸トリグリセライド(川研ファインケミカル社製 商品名「K−3ワックス500」)40g及びステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製 商品名「リケマールS−100P」)20gをタンブラーミキサーに供給し、30分間に亘って撹拌して発泡性ポリスチレン粒子の表面に表面処理剤を被覆した。
次に、発泡性ポリスチレン粒子を15℃の保冷庫にて48時間に亘って保管した後、攪拌機付き予備発泡機に発泡性ポリスチレン粒子500gを供給して水蒸気を用いて加熱することによって予備発泡させ、嵩倍数50倍の予備発泡粒子を得た。
上記ポリスチレン予備発泡粒子を発泡成形機(積水工機社製 商品名「ACE−3SP」)の金型内に充填し、水蒸気を用いて二次発泡させることによって、縦300mm×横400mm×高さ30mmの直方体形状の発泡成形体を得た。
発泡成形体の外観を目視観察し下記の基準に基づいて評価をした。
○・・・発泡粒子同士の融着部分が平滑であった。
×・・・発泡粒子同士の融着部分に凹凸が発生していた。
得られたポリスチレン発泡成形体から縦200mm×横25mm×高さ10mmの直方体形状の試験片5個をバーチカルカッターにて切り出し、60℃オーブンで1日間養生後、JIS A9511−2006の測定方法Aに準じて測定を行い、5個の試験片の平均値を求め、消炎時間とし、下記基準に基づいて総合的に評価し、その結果を自消性として表1、2に示した。なお、上記JIS規格では消炎時間が3秒以内である必要があり、2秒以内であれば好ましく、1秒以内であればより好ましい。
×・・・消炎時間が3秒を超えているか、又は、試験片の1個でも残じんがあるか若しくは燃焼限界指示線を超えて燃焼する。
○・・・消炎時間が3秒以内であり、5個のサンプル全てにおいて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しない。
◎・・・消炎時間が1秒以内であり、5個のサンプル全てにおいて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しない。
発泡成形体の平均弦長は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定されたものをいう。具体的には、発泡成形体を略二等分となるように切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所社製 商品名「S−3000N」)を用いて100倍に拡大して撮影する。撮影した画像をA4用紙に印刷し、任意の箇所に長さ60mmの直線を一本描く。この直線上に存在する気泡数から気泡の平均弦長(t)を下記式により算出する。
平均弦長t=60/(気泡数×写真の倍率)
なお、直線を描くにあたっては、できるだけ直線が気泡に点接触してしまう場合には、この気泡も気泡数に含め、更に、直線の両端部が気泡を貫通することもなく、気泡内に位置した状態となる場合には、直線の両端部が位置している気泡も気泡数に含める。更に、撮影した画像の任意の5箇所において上述と同様の要領で平均弦長を算出し、これらの平均弦長の相加平均値を発泡成形体の平均弦長とする。
発泡成形体から、縦200mm×横200mm×高さ10〜25mmの直方体形状の試験片を切り出した。
英弘精機産業社から商品名「HC−074/200」にて市販されている測定装置を用い、測定装置の低音板を試験片の平均温度より15℃低く且つ高温板を試験片の平均温度よりも15℃高く設定した上で、試験片の熱伝導率をJIS A 1412−2:1999「熱絶縁材の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法−第2部:熱流計法(HFM法)」記載の方法に準拠して測定した。なお、試験片の平均温度は0、20、30℃の3点とした。得られた熱伝導率に基づいて、横軸を温度、縦軸を熱伝導率とした回帰直線を描き、試験片の23℃における熱伝導率を算出した。
なお、米国標準規格技術研究所の押出法ポリスチレン標準板(NIST−SRM1453)の熱伝導率を上記と同等の要領で測定した。そして、押出法ポリスチレン標準板の熱伝導率及び公称値(23℃算出値)を用いて測定装置の補正を下記式によって行い、補正後の値を試験片の熱伝導率とした。
熱伝導率λ(W/m・K)
=試験片23℃での熱伝導率×押出法ポリスチレン標準板の公称値(23℃算出値)
/押出法ポリスチレン標準板の23℃での熱伝導率
Claims (6)
- 水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤含浸温度95〜105℃で発泡剤を含浸させる前又は含浸中に、可塑剤100重量部に対して粉末状の難燃剤33〜1000重量部、
さらには可塑剤100重量部に対して1時間半減期温度が100℃〜250℃である難燃助剤20〜200重量部を可塑剤に溶解させてなる難燃剤溶解液を
上記水性懸濁液中に供給して、上記ポリスチレン系樹脂粒子中に上記難燃剤及び難燃助剤を含浸させ、
上記粉末状難燃剤はシリカ微粉末によって予備分散されているテトラブロモシクロオクタンである
ことを特徴とする発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。 - 上記テトラブロモシクロオクタン98.5〜99.7重量部に対して、シリカ微粉末0.3〜1.5重量部を含有している、請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 難燃剤溶解液が可塑剤100重量部に対して100〜3000重量部の水性媒体中に分散されており、上記水性媒体中に界面活性剤0.005〜10重量部が含有されている、請求項1に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 水性媒体中に難水溶性無機塩を含有している、請求項3に記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子。
- 水性懸濁液中に分散させたポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を発泡剤含浸温度95〜105℃で含浸させる前又は含浸中に、可塑剤100重量部に対して粉末状の難燃剤33〜1000重量部、可塑剤100重量部に対して1時間半減期温度が100℃〜250℃である難燃助剤20〜200重量部を可塑剤に溶解させてなる難燃剤溶解液を上記水性懸濁液中に供給して、上記ポリスチレン系樹脂粒子中に上記難燃剤及び難燃助剤を含浸させる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
上記粉末状難燃剤はシリカ微粉末によって予備分散されているテトラブロモシクロオクタンである発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなることを特徴とする予備発泡粒子。
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