JP5387418B2 - 燃料電池用触媒層及び燃料電池用触媒層の製造方法並びに膜電極接合体 - Google Patents

燃料電池用触媒層及び燃料電池用触媒層の製造方法並びに膜電極接合体 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用触媒層と、燃料電池用触媒層の製造方法と、膜電極接合体に関する。
燃料電池のカソード極やアノード極といった電極は、カーボンクロス、カーボンペーパー、カーボンフェルト等のガス透過性のある基材と、この基材の一面に形成された触媒層とからなる。触媒層以外の部分は基材によって構成されており、ここは非電解質層側で触媒層に空気や燃料を拡散する拡散層とされている。また、各電極においては、空気や燃料の拡散及び生成水の排水等を制御するために、触媒層と拡散層との間に細孔を有する中間層を設けることも一般的に良く行われている。触媒層は、触媒と高分子電解質とを含有している。触媒は、カーボン担体に白金(Pt)等の触媒微粒子を担持させてなる。
燃料電池の性能を向上させるためには、反応の活性点における密度の向上が必要と考え、カーボン担体の比表面積を大きくするとともに、このカーボン担体へより多くの触媒微粒子を高い分散率で担持させることを目指してきた。
例えば、比表面積が800m2/g以上のカーボン担体を採用し、これにPt微粒子を50wt%以上担持させた場合、Pt微粒子の比表面積は100m2/g−Pt以上とすることができる。このようなカーボン担体としては、ケッチェンブラックEC(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製の商品名(以下、同様))、ケッチェンブラックEC−600JD(以下、KB600JDと省略する。)等を挙げることができる。
このように触媒微粒子の担持量を多くすることで触媒層の薄膜化が可能となり、高活性でかつ濃度過電圧の低い膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を提供できる。なお、本件に関連する技術を開示する文献としては非特許文献1がある。この非特許文献1には、40nm及び100nm径の細孔を有するカーボン担体が開示されている。
J. Electrochem. Soc., Vol. 142, No. 12, December 1995, P4146, right column.
しかし、白金等の触媒微粒子は高価であるので、これを高濃度かつ高分散させると、燃料電池用触媒層、ひいてはMEAの製造コストを増大させることとなる。このため、発明者らは触媒微粒子の使用量を削減すべく鋭意検討を重ねてきた。その結果、下記の知見を見出した。
図1にカーボン担体91としてのKB600JDにPt微粒子92を担持密度60wt%で担持した触媒の3D−TEM観察結果を示す。図(A)は2D−TEM画像を示し、図(B)は3方向スライス像を示す。右図より、触媒の内部にPt微粒子92が存在することが確認される。また、この触媒で触媒層を製造し、この触媒層をもつMEAの一部を図2に拡大して模式的に示す。図2中、Pt微粒子92aを黒丸で示す。図1及び図2に示すように、観察対象の触媒90では、Pt微粒子92の約6割がカーボン担体91内に存在し、その結果、活性点となるPt微粒子92の表面の約5割の面積がカーボン担体91内にあることとなる。
このカーボン担体91内に存在しているPt微粒子92が発電に寄与していないのであれば、担持したPt微粒子92のうちのかなりの割合が無駄に存在していることになる。Pt微粒子92の担持量が十分に多ければ、カーボン担体91の外表面に存在するPt微粒子92のみで充分な高性能を得られるが、Pt微粒子92の使用量の低減のためにPt微粒子92の担持量を減らして、かつ性能を維持するためには、Pt微粒子92がカーボン担体91内に存在する比率をできるだけ少なくし、Pt微粒子92の利用率を上げる必要がある。
図3は触媒層におけるN2吸着の測定結果である。触媒層は、アイオノマーとして機能する高分子電解質と、カーボン担体との重量比(N/C比)を変えて作製されている。
図3によれば、N/C比を大きくしたときに減少するカーボン担体の細孔容積は、主に細孔径4nm以上の細孔によるものである。カーボン担体内の細孔径約4nm未満の細孔による細孔容積は、N/C比を大きくしても、ほとんど変化しない。このことから、カーボン担体内の細孔は高分子電解質によって殆どふさがれていないことが分かる。
図4は、図3の結果に基づき、N/C比とカーボン担体の細孔容積との関係をグラフ化したものである。図4より、N/C比を大きくしたときに減少する細孔容積は主に細孔径4nm以上のものであり、細孔径4nm未満の細孔による細孔容積はほとんど変化しないことが分かる。
以上の結果から、高分子電解質はカーボン担体の4nm未満の細孔には入らず、4nm未満の細孔に存在する触媒微粒子は電解質に接することができないことが分かる。このような触媒微粒子の周囲には三相界面が形成されず、発電に寄与することができないことも分かる。
かかる触媒微粒子に対して電解質を接触させる方策として、高分子電解質を微細化、あるいは低分子化して、細孔径が4nm未満の細孔内まで高分子電解質が入り込めるようにすることが考えられるが、プロトン伝導性の確保のためには高分子電解質の連続性が必要であり、細孔内での高分子電解質の構造制御は難しい。また、4nm未満のような極めて小径な細孔内において、そもそも触媒微粒子に酸素を十分供給し、かつ生成水を排出するといった物質移動が円滑に実行されるか否か疑問でもある。
発明者らは、上記の知見に基づき、燃料電池用の触媒として、細孔径が4nm以上の細孔のみを有するカーボン担体に触媒微粒子を担持させてなるものが好適であるとの特許出願を行った(特願2009−013219号)。この触媒によれば、高分子電解質が入り込めない細孔に触媒微粒子が入ることを防ぐことができる。このため、このカーボン担体を用いることで触媒微粒子の利用率を高めることができ、結果として白金の使用量の削減が可能となる。
そして、発明者らは、更なる出力の向上を目指し、この細孔径が4nm未満の細孔を持たないカーボン担体を用いた触媒層について検討した。そして、このような触媒層を有する燃料電池について、更なる高出力化(高電流密度化)を達成するためには、触媒層におけるフラッディングを解消させる必要があることが判明した。
すなわち、触媒と混合される高分子電解質は、触媒層において一時的に水を保持する保水材としての機能を有する。そして、この高分子電解質の保水機能は、過加湿環境及び低加湿環境下での電気化学反応時に、触媒層中の水の量の増減を緩衝させる効果があるとも考えられる。
しかし、触媒微粒子の使用量削減を目的として低比表面積カーボン担体を用いた場合、Pt微粒子92に酸素を充分に供給するためには、KB600JDのような、一般的に良く用いられる、細孔を多く有する比表面積の大きなカーボン担体91の場合と比較して、触媒層中の高分子電解質量を少なくする必要があり、高分子電解質による上記の保水機能が低減する。この結果、高電流領域でこの触媒層にはフラッディングが生じ易くなり、電気化学反応の円滑な進行が妨げられている。
また同じく、触媒層中の高分子電解質が少なくなれば、低加湿環境下での電気化学反応時にこの触媒層が乾き易くなる。このため、この触媒層では、低加湿環境下での電気化学反応の円滑な進行も妨げられていると考えられる。
上記の知見に基づき、発明者らは、低比表面積カーボン担体を有する触媒層中に、水を保水する機能を持たせることで燃料電池の触媒微粒子の使用量低減と高出力化との両立が可能であると考えた。そして、水を保持可能な保水材を含有する燃料電池用触媒層について特許出願を行った(特願2009−253436号)。
この触媒層によれば、上記の高電流領域でのフラッディングや低加湿環境下での触媒層の乾燥という問題を解消することができ、燃料電池の高出力化を達成することができた。
しかしながら、発明者らが出願した上記燃料電池用触媒層をもってしても、低電流領域での電気化学反応の円滑な進行は未だ十分とはいえず、更なる出力の向上が求められる。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、触媒中の触媒微粒子の使用量低減と高出力化との両立が可能な燃料電池用触媒層とその製造方法を提供することを解決すべき課題としている。また、この燃料電池用触媒層を備えた膜電極接合体を提供することも解決すべき課題としている。
上記の触媒層において、低電流領域での電気化学反応の円滑な進行が不十分となる問題について、発明者らは以下のように推察した。すなわち、この触媒層は、図5に示すように、触媒ペースト50と保水材ペースト51とが混合された混合ペースト52からなる。触媒ペースト50は、触媒90と水とアイオノマー溶液(高分子電解質溶液)とを有する。保水材ペースト51は、親水化カーボン(カーボンブラック)95と高分子電解質溶液とを有する。そして、この混合ペースト52では、保水材ペースト51の方が触媒ペースト50よりも多くの高分子電解質溶液を含む関係にある。このため、混合ペースト52中では、保水材ペースト51の高分子電解質93が溶化するため、その高分子電解質93の一部が触媒90側に移動する。このため、触媒90の周りに形成される高分子電解質93の層が厚くなってしまう。このように触媒90の周りに厚い高分子電解質93の層が形成されると、この触媒層では、電気化学反応の際に、酸素ガスの供給が阻害され易くなる。このため、低電流領域から電気化学反応が円滑に進行され難くなり、結果として、燃料電池の出力の更なる向上が見込めなくなる。
そこで、発明者らは、鋭意研究を行い、以下に示す燃料電池用触媒層を発明するに至った。すなわち、本発明の燃料電池用触媒層は、少なくとも一部は細孔径が4nm以上である低比表面積カーボン担体に触媒微粒子が担持されてなる無数の触媒と、高分子電解質と、水を保持可能な保水材とを含有し、電解質層の一面に接合される燃料電池用触媒層であって、
前記保水材は、核となる物質と、該物質に対して固定された前記高分子電解質とからなることを特徴とする(請求項1)。
本発明の触媒層を構成する触媒には、図7に示すように、低比表面積カーボン担体91が少なくとも一部に採用されている。低比表面積カーボン担体91とは、細孔径が4nm以上のカーボン担体である。このため、この触媒90を用いた触媒層では、高分子電解質93が入り込めない細孔に触媒微粒子92が入ることを防ぐことができる。このため、この触媒層では、電気化学反応時において触媒微粒子92の利用率を高めることができるとともに、白金等からなる触媒微粒子92の使用量の削減が可能となる。なお、低比表面積カーボン担体91としては、BLACKPEARL880(CABOT社製の商品名、以下、BP880と省略する。)等を挙げることができる。また、触媒90に細孔径が4nm未満のカーボン担体を採用することも可能である。
さらに、この触媒層では、水を保持可能な保水材を含有している。このため、この触媒層は、高電流領域においてフラッディングが生じ難く、電気化学反応の円滑な進行が妨げられ難くなる。また、保水材を含有することで、この触媒層は、低加湿環境下での電気化学反応時に触媒層が乾き難くなり、低加湿環境下においても電気化学反応の円滑な進行が妨げられ難い。
そして、この保水材では、高分子電解質93が核となる物質に対して固定された状態、すなわち高分子電解質が不溶化されているため、図6に示すように、保水材が有する高分子電解質93が触媒90側へ移動し難くなる。このため、この触媒層では、薄く形成された高分子電解質93の層が厚くなり難い。このため、この触媒層では、電気化学反応時に酸素が充分に供給され、かつ上記のように触媒微粒子92の利用率が高いため、低電流領域から電気化学反応が円滑に進行されて燃料電池の性能が高くなる。
したがって、本発明の燃料電池用触媒層によれば、触媒中の触媒微粒子の使用量低減と高出力化との両立が可能である。
保水材としては、保水能力の他に、燃料電池が動作する環境において、保水材が溶出または変性等をすることがない物質であることが求められる。また、保水材は、燃料電池の動作に悪影響を与えず、触媒層を製造する際に粉砕等の加工が容易な物質であることも好ましい。さらに、上記の触媒層における電気化学反応の効率を向上させる観点から、保水材は、保水性とともに、電子伝導性及びプロトン伝導性を有していることが好ましい。
これらに基づき、保水材の核となる物質としては、カーボンブラック等のカーボン材料全般、導電性樹脂、導電性セラミックス、導電性を付与した金属酸化物等を採用することができる。また、この核となる物質に対して固定される高分子電解質としては、ナフィオン(登録商標、Nafion(Du Pont社製))を挙げることができる。
本発明の燃料電池用触媒層の製造方法は、少なくとも一部は細孔径が4nm以上である低比表面積カーボン担体に触媒微粒子が担持されてなる無数の触媒と、高分子電解質と、水を保持可能な保水材とを含有し、電解質層の一面に接合される燃料電池用触媒層の製造方法であって、
前記触媒と前記高分子電解質とを溶媒とともに混合して触媒ペーストを得る触媒ペースト調製工程と、
核となる物質と該高分子電解質とを溶媒とともに混合して保水材プレペーストを得る保水材プレペースト調製工程と、
該保水材プレペーストに固定化処理を行い、該高分子電解質が該物質に対して固定された固形保水材を得る固定化工程と、
該固形保水材を粉砕して前記保水材とする粉砕工程と、
該触媒ペーストと該保水材とを混合して混合ペーストを得る混合ペースト調製工程とを備えていることを特徴とする(請求項2)。
本発明の製造方法における固定化工程により、保水材が有する高分子電解質93が核となる物質に固定化、すなわち高分子電解質93の不溶化処理がされる。このため、この製造方法によって触媒層を製造することで、上記請求項1の触媒層の特徴を備えた触媒層を得ることができる。さらに、この製造方法では、粉砕工程において、固形保水材を粉砕することで保水材を得ている。このため、混合ペースト調製工程で調製された混合ペーストでは、保水材が満遍なく分散された状態となる。このため、この触媒層では、上記の保水材による効果を高くすることができ、触媒層における電気化学反応を均質に生じさせ易くなる。なお、この混合ペースト調製工程では、保水材を溶媒に分散させて保水材ペーストとし、この保水材ペーストと触媒ペーストとを混合して混合ペーストを調製することもできる。
したがって、本発明の燃料電池用触媒層の製造方法によれば、触媒中の触媒微粒子の使用量低減と高出力化との両立が可能な燃料電池用触媒層を得ることができる。
固定化工程は、保水材プレペーストを乾燥させて乾燥保水材を得る乾燥工程と、高分子電解質のガラス転移温度以上の温度で乾燥保水材を加熱する加熱工程とからなることが好ましい(請求項3)。この場合、乾燥工程と加熱工程とによって高分子電解質93の不溶化処理を行う。この際、加熱工程において、高分子電解質がガラス転移温度以上で加熱されることで、高分子電解質93の不溶化の度合いが大きくなると考えられる。このため、高分子電解質93が核となる物質に対してより好適に固定化され、高分子電解質93の不溶化処理が十分な状態となると考えられる。このため、より好適な燃料電池用触媒層を得ることが可能となる。
粉砕工程では、保水材が触媒の凝集体と略同径となるように固形保水材を粉砕することが好ましい(請求項4)。この場合、保水材と凝集体となっている触媒とが略同径となるため、混合ペースト52中で保水材がより満遍なく混合された状態とすることができる。このため、触媒層における電気化学反応をより均質に生じさせ易くなる。
本発明の膜電極接合体は、電解質層と、該電解質層の一面に接合されたカソード触媒層と、該電解質層の他面に接合されたアノード触媒層とを有する膜電極接合体であって、
少なくとも前記カソード触媒層は、無数の触媒と、高分子電解質と、水を保持可能な保水材とを含有し、
各該触媒の少なくとも一部は、細孔径が4nm以上である低比表面積カーボン担体に触媒微粒子が担持されてなるものであり、
該保水材は、核となる物質と、該物質に対して固定された前記高分子電解質とからなることを特徴とする(請求項5)。
本発明の膜電極接合体において、少なくともカソード触媒層は、上記請求項1の燃料電池用触媒層の特徴を備えている。このため、この膜電極接合体では、高電流領域においてフラッディングが生じ難く、また、低加湿環境下での電気化学反応時に触媒層が乾き難くなる。
この膜電極接合体において、カソード触媒層側に設けられる触媒層は、低電流領域から電圧を高く確保するため、触媒ペーストにおいて、上記のN/C比が0.5以下であることが好ましい。これにより、上記の図7に示したとおり、触媒90の周囲に形成される高分子電解質93による層が薄くなると考えられる。また、保水材が有する高分子電解質93が不溶化されているため、上記の図6に示したように、この高分子電解質93の一部が触媒90側に移動し難く、触媒90の周囲に形成される高分子電解質93による層が厚くなり難い。このため、電気化学反応時に酸素が充分に供給され、かつ触媒微粒子の利用率が高いため、低電流領域から電気化学反応がより円滑に進行されて燃料電池の性能が高くなる。
したがって、本発明の膜電極接合体は、触媒中の触媒微粒子の使用量低減と高出力化との両立が可能である。
この膜電極接合体において、電解質層とカソード触媒層との間には、高分子電解質からなるバインダ層が設けられていてもよい(請求項6)。上記のように、低比表面積カーボン担体を使用した触媒層では、触媒層中の高分子電解質93の量が少なくなることから、高分子電解質93のバインダとしての効果も低下してしまうと考えられる。このため、本発明の膜電極接合体のように、上記の触媒層でカソード触媒層を形成した場合、電解質層とカソード触媒層とが剥がれ易くなるという可能性が生じる。その際、電解質層とカソード触媒層との間にバインダ層を設けることにより、この問題を解消することができると考えられる。
約3.5nmの細孔を有するカーボン担体におけるPt微粒子の分布を示す3D−TEM像である。図(A)が2D−TEM画像を示し、図(B)が3方向スライス像を示す。 約3.5nmの細孔を有するカーボン担体を有する触媒層における電気化学反応を示す拡大模式図である。 約3.5nmの細孔を有するカーボン担体を有する触媒を有する触媒層において、N/C比を変化させたときの触媒層の細孔の分布を示すグラフである。 N/C比と触媒層の細孔容積との関係を示すグラフである。 不溶化されていない高分子電解質を有する混合ペーストの状態を示す摸式図である。 不溶化された高分子電解質を有する混合ペーストの状態を示す摸式図である。 約4nm以上の細孔を有するカーボン担体を有する触媒層における電気化学反応を示す拡大模式図である。 実施例1のMEAの一部を示す部分拡大模式図である。 BP880及びKB600JDの比表面積を示すグラフである。 実施例1に係り、フル加湿状態におけるセル電流とセル電圧との変化予測を示すグラフである。 実施例1に係り、低加湿状態におけるセル電流とセル電圧との変化予測を示すグラフである。 変形例のMEAの一部を示す部分拡大模式図である。
以下、本発明を具体化した実施例1〜3及び変形例を図面を参照しつつ説明する。
(実施例1)
図8に示すように、実施例1のMEA1は、ナフィオンからなる電解質膜11と、この電解質膜11の一面に接合されて空気が供給されるカソード極3と、電解質膜11の他面に接合されて水素等の燃料が供給されるアノード極5とを有している。
カソード極3は、カーボンペーパーからなる基材と、この基材の一面に形成されたカソード触媒層10とからなる。カソード極3におけるカソード触媒層10以外の部分は基材によって構成されており、ここは非電解質層側でカソード触媒層10に空気を拡散するカソード拡散層13とされている。アノード極5側はアソード拡散層14とされている。このMEA1のカソード触媒層10は触媒ペーストと、保水材としての保水材ペーストとによって形成されている。
触媒ペーストは以下の製造方法で製造されている。まず、図7に示す低比表面積カーボン担体91として、市販のBP880を用意した。このBP800は1次粒径が15nm程度である。
このBP800と、従来からカーボン担体として用いられているKB600JDとのN2の吸着測定結果を図9に示す。図9では、BJH法によって求めた細孔径1.7nm〜300nmのメソ細孔の比表面積と、細孔径4nm〜300nmの比表面積とをそれぞれ棒グラフによって示している。
図9が示すように、BP880では、細孔径1.7nm〜300nmのメソ細孔の比表面積と細孔径4nm〜300nmとの比表面積とがほぼ等しい。すなわち、4nm未満の細孔が殆ど存在しないことが分かる。一方、KB600JDでは、4nm未満の細孔が全比表面積の半分以上を占めていることが分かる。
このBP880に対し、触媒微粒子としてのPt微粒子92(図7参照)を担持密度20wt%で担持させ、触媒90とした。この触媒90に対して水を添加し、自転/公転式遠心攪拌機(キーエンス社製、商品名「ハイブリッドミキサーHM−500」)によって脱泡及び攪拌を行い、触媒90と水とをなじませたプレペーストを得た。
このプレペーストに対し、アイオノマー溶液(ナフィオン溶液(5質量%溶液))を添加した。この際、アイオノマー溶液中のナフィオン(高分子電解質93)の重量と、カーボン担体91の重量比(N/C比)が0.15となるように、触媒90に対してアイオノマー溶液を添加した。その後、これらを自転/公転式遠心攪拌機によってさらに攪拌し、触媒ペースト50を得た(図6参照)。
一方、保水材ペーストは以下に示す製造方法で製造されている。まず、核となる物質にカーボンブラック95として、Vulcan−XC72R(CABOT社製の商品名)を採用した。そして、このカーボンブラック95に溶媒としてのイソプロピルアルコール(IPA)を添加し、自転/公転式遠心攪拌機によって4分間の攪拌を行い、カーボンブラック95とIPAとをなじませたカーボンペーストを得た。なお、溶媒としては、IPAの他に、水、エタノール又はこれらの混合物を採用することもできる。
このカーボンペーストにナフィオン溶液を添加した。この際、ナフィオン溶液中のナフィオンの重量とカーボンブラック95との重量比(N/C比)が1.0となるようにナフィオン溶液を添加した。その後、これらを自転/公転式遠心攪拌機によって4分間攪拌し、保水材プレペーストを得た。
次に、この保水材プレペーストをシャーレに注ぎ、この保水材プレペースト中の溶媒が揮発するまで空気中に放置して自然乾燥させた。これにより、膜状となった保水材プレペーストである乾燥保水材を得た。そして、ガラス転移温度以上の温度で1時間以上この乾燥保水材を加熱した。こうして、乾燥保水材中の高分子電解質93をカーボンブラック95に固定させて、高分子電解質93を不溶化処理した固形保水材を得た。なお、実施例1では、ガラス転移温度以上の温度として約160°Cを設定している。
この固形保水材をボールミル粉砕用容器に投入し、さらに、粉砕用として直径5mmのジルコニアボールを適量加えつつ、窒素雰囲気中でボールミル粉砕用容器の蓋を密閉した。その後、このボールミル粉砕用容器を遊星回転ボールミル粉砕装置(伊藤製作所製、商品名「遊星回転ポットミル」)に設置し、回転数240rpmで2時間、自転及び公転させて乾式粉砕を行った。これにより、この固形保水材は、微細な粒子状となっている。
この粒子状の固形保水材とIPAとを混合し、自転/公転式遠心攪拌機によってさらに攪拌して保水材ペースト51を得た。なお、この際に界面活性剤を適量混合することもできる。
上記のようにして得られた触媒ペースト50及び保水材ペースト51を固形分重量比0.65:0.35の比率で混合し、混合ペースト52を得た。この比率でこれらを混合することにより、混合ペースト52全体でのN/C比は0.35となる。
この混合ペースト52を基材にスクリーン印刷をした後、乾燥させ、図8に示すカソード極3を得た。印刷した部分がカソード触媒層10である。なお、混合ペースト52を基材へ塗布する方法としては、スクリーン印刷の他に、スプレー法、インクジェット法等の手段によっても行い得る。また、アノード極5のアノード触媒層12は、上記の触媒ペースト50を基材にスクリーン印刷することで得ている。
こうして得られたカソード極3とアノード極5とを電解質層11に接合することで、MEA1が得られる。
このMEA1では、カソード極3を構成するカソード触媒層10が触媒ペースト50と保水材ペースト51とが混合された混合ペースト52によって形成されている。図7に示すように、触媒ペースト50において、触媒90には低比表面積カーボン担体91が採用されているため、カソード触媒層10では、アイオノマー溶液中の高分子電解質93であるナフィオンが入り込めない細孔にPt微粒子92が入ることを防ぐことができる。このため、このカソード触媒層10を有するカソード極3では、電気化学反応時においてPt微粒子92の利用率を高めることができるとともに、Pt微粒子92の使用量の削減が可能となる。
また、上記の触媒ペースト50によって得られたカソード極3では、触媒ペースト50のN/C比が0.15と小さい、すなわち高分子電解質93の量が少ないため、図2に示す従来のカソード極と比較し、このカソード極3(カソード触媒層10)では、触媒90の周囲に形成される高分子電解質93による層が薄くなる(図7参照)。
さらに、このカソード極3は、カソード触媒層10が保水材を含有しているため、高電流領域においてフラッディングが生じ難い。また、保水材ペーストは、上記のN/C比に基づいて、カーボンブラック95と高分子電解質93とが混合されているため、保水材の部分においてプロトンと電子とのパスのためのネットワークが確保されている。これらにより、電気化学反応の円滑な進行が妨げられ難い。また、カソード触媒層10は、保水材を含有しているため、低加湿環境下での電気化学反応時に乾き難く、電気化学反応の円滑な進行が妨げられ難い。さらに、このMEA1では、保水材を構成する保水材ペースト51において、粒子状の固形保水材が高分散された状態にある。このため、混合ペースト52中に満遍なく固形保水材が分散することで、カソード触媒層10中に保水材が満遍なく分散することとなる。このため、上記の保水材による効果が高くなっているとともに、カソード触媒層10における電気化学反応を均質に生じさせ易くなっている。
また、この保水材ペースト51は、保水材ペースト51中の高分子電解質93が不溶化処理されている。特に、この保水材ペースト51では、保水材ペースト51を製造する際、自然乾燥を行い、その後に加熱を行うことで、高分子電解質93がカーボンブラック95に対してより好適に固定化している。つまり、高分子電解質93の不溶化処理が十分な状態となっていると考えられる。このため、カソード触媒層10では、図6に示すように、保水材ペースト51中の高分子電解質93の一部が触媒90側に移動し難く、触媒90の周囲に形成される高分子電解質93による層が厚くなり難い。
このため、実施例のMEA1では、電気化学反応時に酸素が充分に供給され、低電流領域から電圧を高くすることができる。また、このMEA1では、上記のようにPt微粒子92の利用率が高いため、低電流領域から電気化学反応がより円滑に進行されて燃料電池の性能を高くできる。
したがって、実施例1のMEA1は、触媒90中のPt微粒子92の使用量低減と高出力化との両立が可能である。
次に、実施例1のMEA1を備えたセルを想定し、実施例1のMEA1の電圧特性について、想定実験に基づく考察を行った。なお、この検証では、比較例として、カソード触媒層が実施例1で得られた触媒ペースト50のみで形成され、他の構成は実施例1のMEA1と同様のMEAを備えたセルを想定した。なお、想定された各セルの構成及び製造方法は公知の方法と同様である。
(想定実験例1)
想定実験例1では、MEA1を備えたセル及び比較例のMEAを備えたセルのそれぞれのセル温度を50°Cに設定し、湿度が100%RHの測定環境(以下、フル加湿状態という。)の下、アノード極5に水素を、カソード極3に空気を流した場合の、各セルの電流及び電圧の変化を予測した。予測結果を図10に示す。
図10では、横軸にセル電流(A)を示し、縦軸にセル電圧(V)を示している。図10に示されるように、フル加湿状態において、比較例のMEAを備えたセルよりも、MEA1を備えたセルの方が高電流領域で高い電圧を発揮することが可能であると予測できる。また、MEA1を備えたセルは電流の変化に対する電圧の変化の度合いも小さくなると予測できる。
(想定実験例2)
想定実験例2では、MEA1を備えたセル及び比較例のMEAを備えたセルのそれぞれのセル温度を70°Cに設定し、湿度が40%RHの測定環境(以下、低加湿状態という。)の下、アノード極5に水素を、カソード極3に空気を流した場合の、各セルの電流及び電圧の変化を予測した。予測結果を図11に示す。
図11は、図9と同様、横軸にセル電流(A)を示し、縦軸にセル電圧(V)を示している。図11に示されるように、低加湿状態においても、比較例のMEAを備えたセルよりも、MEA1を備えたセルの方が高電流領域で高い電圧を発揮することが可能であると予測できる。また、この環境下でも、MEA1を備えたセルは、比較例のMEAを備えたセルと比べ、電流の変化に対する電圧の変化の度合いが小さくなると予測できる。
これらの想定実験により、MEA1を備えたセルは、比較例のMEAを備えたセルと比較して、フル加湿状態及び低加湿状態のいずれにおいても電流に対する高い電圧特性を示すことが予測できる。つまり、MEA1は比較例のMEAより、環境や電流の変化に対する発電の安定性、すなわち、ロバスト性が高いことが予測される。
この理由は、カソード触媒層10が有する保水材による効果と考えられる。すなわち、保水材により、高電流領域でのフラッディングや低加湿時におけるドライアップに対するMEA1の耐性が向上したことよるものであると考えられる。
(実施例2)
実施例2のMEAは、実施例1のMEA1で用いた保水材ペースト51に替えて、以下の工程で製造された保水材ペーストを採用している。
この保水材ペーストは以下に示す製造方法で製造されている。まず、実施例1と同様に、核となる物質にカーボンブラック95(Vulcan−XC72R)を採用した。そして、このカーボンブラック95に溶媒としての水を添加し、自転/公転式遠心攪拌機によって4分間の攪拌を行い、カーボンブラック95と水とをなじませたカーボンペーストを得た。この際に添加される水の量は、後述の過程において、保水材プレペーストがマイナス30°C〜マイナス40°C程度で凍結し、さらに、保水材プレペースト中に水が50%以上存在させることが可能な量である。なお、水の他に、IPA、エタノール又はこれらの混合物を採用した場合も同様である。
このカーボンペーストに対し、実施例1と同じN/C比となる量のナフィオン溶液を添加した後、これらを自転/公転式遠心攪拌機によって4分間攪拌して、保水材プレペーストを得た。
次に、この保水材プレペーストをシャーレに注ぎ、マイナス30°C〜マイナス40°Cに設定した恒温漕内に配置し、保水材プレペーストを凍結させた。その後、真空ポンプを用いて恒温漕内を減圧し、保水材プレペーストを凍結乾燥させて乾燥保水材を得た。そして、実施例1と同じ条件でこの乾燥保水材を加熱した。こうして、乾燥保水材中の高分子電解質93を不溶化処理した固形保水材を得た。
次に、この固形保水材をブレードミルによって粉砕した。この際、必要に応じて、濾過法によって所定値より大きい粒径の固形保水材を取り除く分級を行なう。そして、この固形保水材とIPAとを混合し、自転/公転式遠心攪拌機によってさらに攪拌して保水材ペーストを得た。なお、実施例1と同様、この際に界面活性剤を適量混合することもできる。実施例2のMEAの製造における他の工程は実施例1と同様である。
(実施例3)
実施例3のMEAは、実施例1のMEA1で用いた保水材ペーストに替えて、以下の工程で製造された保水材ペーストを採用している。
この保水材ペーストは以下に示す製造方法で製造されている。まず、実施例1と同じ構成のカーボンペーストを用意し、このカーボンペーストに対し、実施例1と同じN/C比となる量のナフィオン溶液を添加した。その後、これらを自転/公転式遠心攪拌機によって4分間攪拌して、保水材プレペーストを得た。
次に、実施例1と同じく、この保水材プレペーストをシャーレに注ぎ、空気中に放置して自然乾燥させて乾燥保水材を得た。そして、実施例1と同じ条件でこの乾燥保水材を加熱した。こうして乾燥保水材中の高分子電解質93を不溶化処理した固形保水材を得た。その後、この固形保水材を冷凍粉砕器内に配置し、液体窒素温度で冷却して凍結粉砕を行った。この際、実施例2と同様、必要に応じて濾過法によって所定値より大きい粒径の固形保水材を取り除く分級を行なう。そして、この固形保水材とIPAとを混合し、自転/公転式遠心攪拌機によってさらに攪拌して保水材ペーストを得た。なお、実施例1と同様、この際に界面活性剤を適量混合することもできる。実施例3のMEAの製造における他の工程は実施例1と同様である。
これら実施例2、3のMEAの製造において採用される保水材ペーストも、実施例1における保水材ペースト52と同様に、高分子電解質93の不溶化処理がされている。このため、実施例2、3のMEAも実施例1のMEA1と同様の効果を得ることができると考えられる。
(変形例)
図12に示す変形例のMEA20は、実施例1のMEA1の構成に加えて、電解質膜11とカソード極3との間及び電解質膜11とアノード極5との間に、それぞれバインダ層15a、15bが設けられている。
バインダ層15aは、混合ペースト52を基材にスクリーン印刷をしてカソード触媒層10を得た後、このカソード触媒層10の表面側に、ナフィオン溶液をさらに塗布して乾燥させることで設けられている。また、バインダ層15bは、触媒ペースト50を基材にスクリーン印刷をしてアノード触媒層12を得た後、このアノード触媒層12の表面側に、ナフィオン溶液をさらに塗布して乾燥させることで設けられている。なお、ナフィオン溶液をカソード触媒層10及びアノード触媒層12へ塗布する方法としては、スクリーン印刷の他に、スプレー法、インクジェット法等の手段によっても行い得る。他の構成及び製造方法は実施例1のMEAと同様である。
変形例のMEA20は、実施例1のMEA1の効果に加えて、バインダ層15a、15bが設けられていることから、以下の効果も得られると考えられる。すなわち、低比表面積カーボン担体91を使用したカソード触媒層10及びアノード触媒層12では、触媒層中の高分子電解質93の量が少なくなることから、高分子電解質93のバインダとしての効果も低下すると考えられる。このため、電解質膜11とカソード触媒層10及びアノード触媒層12とが剥がれ易くなるという可能性が生じる。その際、これらのバインダ層15a、15bにより、電解質層11とカソード触媒層10及びアノード触媒層12とが剥がれ難くすることができると考えられる。
以上において、本発明を実施例1〜3及び変形例に即して説明したが、本発明は上記実施例1〜3及び変形例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例2、3のMEAにバインダ層15a、15bを設けることもできる。
また、変形例は本発明の他に以下の発明を内在させている。
電解質層と、該電解質層の一面に接合されたカソード触媒層と、該電解質層の他面に接合されたアノード触媒層とを有する膜電極接合体であって、
少なくとも前記カソード触媒層は、無数の触媒と、高分子電解質と、水を保持可能な保水材とを含有し、
各該触媒の少なくとも一部は、細孔径が4nm以上である低比表面積カーボン担体に触媒微粒子が担持されてなるものであり、
前記電解質層と該カソード触媒層との間には、前記高分子電解質からなるバインダ層が設けられていることを特徴とする膜電極接合体。
本発明は、電気自動車等の移動用電源、屋外据え置き用電源、ポータブル電源等の燃料電池システムに利用可能である。
91…カーボン担体(低比表面積カーボン担体)
92…Pt微粒子(触媒微粒子)
90…触媒
51…保水材ペースト(保水材)
50…触媒ペースト
52…混合ペースト
11…ナフィオン膜(電解質層)
10…カソード触媒層
12…アノード触媒層
1…MEA(膜電極接合体)
15a、15b…バインダ層

Claims (6)

  1. 少なくとも一部は細孔径が4nm以上である低比表面積カーボン担体に触媒微粒子が担持されてなる無数の触媒と、高分子電解質と、水を保持可能な保水材とを含有し、電解質層の一面に接合される燃料電池用触媒層であって、
    前記保水材は、核となる物質と、該物質に対して固定された前記高分子電解質とからなることを特徴とする燃料電池用触媒層。
  2. 少なくとも一部は細孔径が4nm以上である低比表面積カーボン担体に触媒微粒子が担持されてなる無数の触媒と、高分子電解質と、水を保持可能な保水材とを含有し、電解質層の一面に接合される燃料電池用触媒層の製造方法であって、
    前記触媒と前記高分子電解質とを溶媒とともに混合して触媒ペーストを得る触媒ペースト調製工程と、
    核となる物質と該高分子電解質とを溶媒とともに混合して保水材プレペーストを得る保水材プレペースト調製工程と、
    該保水材プレペーストに固定化処理を行い、該高分子電解質が該物質に対して固定された固形保水材を得る固定化工程と、
    該固形保水材を粉砕して前記保水材とする粉砕工程と、
    該触媒ペーストと該保水材とを混合して混合ペーストを得る混合ペースト調製工程とを備えていることを特徴とする燃料電池用触媒層の製造方法。
  3. 前記固定化工程は、前記保水材プレペーストを乾燥させて乾燥保水材を得る乾燥工程と、
    前記高分子電解質のガラス化温度以上の温度で該乾燥保水材を加熱する加熱工程とからなる請求項2記載の燃料電池用触媒層の製造方法。
  4. 前記粉砕工程では、前記保水材が前記触媒の凝集体と略同径となるように前記固形保水材を粉砕する請求項2又は3記載の燃料電池用触媒層の製造方法。
  5. 電解質層と、該電解質層の一面に接合されたカソード触媒層と、該電解質層の他面に接合されたアノード触媒層とを有する膜電極接合体であって、
    少なくとも前記カソード触媒層は、無数の触媒と、高分子電解質と、水を保持可能な保水材とを含有し、
    各該触媒の少なくとも一部は、細孔径が4nm以上である低比表面積カーボン担体に触媒微粒子が担持されてなるものであり、
    該保水材は、核となる物質と、該物質に対して固定された前記高分子電解質とからなることを特徴とする膜電極接合体。
  6. 前記電解質層と前記カソード触媒層との間には、前記高分子電解質からなるバインダ層が設けられている請求項5記載の膜電極接合体。
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