JP5385047B2 - 透湿防水性布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、透湿防水性に優れ、防水衣料等に用いられる透湿防水性布帛に関する。
スポーツやアウトドアなど発汗量が比較的多い用途で用いられる防水衣料において、水蒸気を衣服外へ放出する機能と雨水が衣服内へ浸入するのを防ぐ機能を有した透湿防水性布帛が好適に用いられている。
従来の透湿防水性布帛としては、ポリウレタンの多孔膜を布帛にコーティングしてなるもの(特許文献1)や延伸多孔質のPTFE層をラミネートしたもの、無孔質の親水性ポリウレタンのフィルムをラミネートしたもの等が知られている。これらの透湿防水性布帛は、一般に磨耗・摩擦に弱いことや、結露したときに、べとついて不快感が生じる問題がある。
上記のような問題を解消するためには、透湿防水皮膜面にニット等の布帛を接着したり裏地を使用する方法が従来一般的であったが、衣服の軽量化や製造コストの低減の要望が年々高まってくる中、裏地がなくても一枚物としての使用に耐える、透湿性・防水性・耐磨耗性・快適性・意匠性に優れた素材の開発が待望されている。
このような要求に対し、従来、透湿防水層に球状粒子を固着させたもの(特許文献2)や、磨耗抵抗性のあるドット層を複合したもの(特許文献3)、起伏のあるパターン層を積層したもの(特許文献4)などが開発・提案されている。
特開昭55−80583号公報 特開2002−61009号公報 特開2005−238648号公報 特開2007−239154号公報
特許文献2に記載の透湿防水性布帛は、軽量で耐磨耗性にも優れた性能を有するものの、洗濯を繰り返すことによって球状粒子が脱落し、徐々に耐磨耗性が低下したり、発汗結露時のべとつき感が増すという問題がある。
また、布帛の意匠性を高めるためには、ユーザーの要望に応じて柄を複雑化する必要があるが、そのためには柄のドットを緻密化したり、柄全体の被覆面積を大きくしたりする必要がある。ところが特許文献3および4に記載の透湿防水性布帛は、磨耗抵抗層で柄を表現するため、ドットを緻密化すると磨耗抵抗層が耐磨耗性を得るのに十分な高さが得られなかったり、ドット同士がくっついて柄がつぶれたりする欠点がある。なお、グラビア法でもスクリーン法でも、緻密で鮮明な柄を印刷するためには、インクの塗布厚みが薄いほうが良いことが一般的に知られている。また、柄(磨耗抵抗層)の被覆面積を多くすると磨耗抵抗層の透湿性が低いために快適性が低下したり、風合いが硬くなったり、重量が重くなるなどの問題がある。また、逆にユーザーの要望により柄の被覆面積を極端に小さくした場合には耐磨耗性が充分に得られなかったりする問題がある。
このように、意匠性(図柄)と耐磨耗性を含む機能性が相関関係にあるため、ユーザーの要求に応えられるような高いレベルでの意匠性と機能性とを両立させることは難しい。そこで、本発明が解決しようとする課題は、優れた意匠性と優れた機能性を兼ね備えた、防水衣料の素材として用いられる透湿防水性布帛を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る透湿防水性布帛は、片面側に、図柄が付された透湿防水層を有し、前記片面側の最表面に突起群が透明に形成され、前記片面側の最表面の平滑度が40秒以下であり、前記図柄が、親水性ポリウレタンからなる着色剤で描かれていることを特徴とするものからなる。突起群を透湿防水性布帛の片面側の最表面に形成する方法としては、グラビア法、スクリーン法など各種の公知の方法が採用可能であるが、連続加工に適したグラビア法を採用するのが好ましい。このように本発明の透湿防水性布帛においては、透湿防水層に模様等の図柄が付され、最表面に突起群が形成されることにより、図柄から意匠性が発揮されるとともに、サラサラとした使用感を呈するように最表面の肌触りが向上される。
本発明の透湿防水性布帛において、前記片面側の最表面の平滑度が40秒以下であるここで平滑度とは、JIS規格(P8119ベック法)に規定された平滑度の測定方法による測定値をいう。この平滑度が低いほど、布帛と肌の間の空間が多く通気性が高くなるので、布帛と肌との密着性が低く快適であるといえるが、平滑度が40秒以下、より好ましくは20秒以下であることにより、十分な快適性が得られる。なお、平滑度は、単に突起群の占める面積を大きくすれば低くなるものではなく、ある程度の高さを持った突起をまばらに配置した方が、平滑度は低くなりやすい。各突起の高さとしては10μm以上が好ましく、あまり突起の高さが大きくなり過ぎると肌触りが悪くなるため、20μm〜200μmであることがより好ましい。突起群の被覆面積率は3〜40面積%が好ましく、5〜15面積%の被覆面積率でまんべんなく突起が配置されることがより好ましい。被覆面積率が小さ過ぎると透湿防水層と肌の密着面積が増え、快適性が損なわれる場合がある。被覆面積率が大き過ぎると布帛の風合いが硬くなり、透湿性が低下し、さらに布帛の重量が重くなるため、着心地が悪化しやすい。また、突起の形状としては、角がなく滑らかな表面構造をなす形状であることが好ましい。
本発明の透湿防水性布帛において、前記透湿防水層は、ポリエステル共重合系、ポリエーテル共重合系、あるいはポリカーボネート共重合系のポリウレタン、ひまし油由来原料を共重合したポリウレタン、シリコーン、フッ素、アミノ酸等を共重合したポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の高分子化合物で形成可能であり、これらを単独もしくは混合して用いることができる。製造コストや透湿防水性能等の観点からは、前記透湿防水層はポリウレタンからなることが好ましい。
また、本発明の透湿防水性布帛において、前記図柄が、透湿性を有する合成樹脂をベースとした着色剤、すなわち親水性ポリウレタンからなる着色剤で描かれている。また、着色剤にシルクプロテインなどの親水性材料を配合することにより、さらに親水性を向上することもできる。図柄の意匠性を高めるためには、無機顔料や有機顔料等の着色成分を有する着色剤を使用するのが好ましい。さらに、必要に応じてパール顔料や金属顔料等を配合することによって、図柄の意匠性をより高めることもできる。
また、図柄の印刷性を低下させない程度に、球状シリカや球状アクリルビーズ等の粒子を着色剤に配合することにより、布帛の肌触りを改善することができる。透湿防水層に図柄を付する方法としては、グラビア法、スクリーン法、オフセット法、インクジェット法など各種の公知のプリント方式を実施できるが、図柄の緻密性が表現しやすく、製造コストにも優れたグラビア法を採用するのが好ましい。
本発明の透湿防水性布帛において、前記突起群が透明に形成されている突起群が透明に形成されることによって、図柄が突起群によって隠蔽されず、図柄の意匠性が損なわれにくくなる。
突起群を形成する樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーンゴム、合成ゴム、ポリ塩化ビニル樹脂の如きビニル系樹脂などが挙げられ、これらを単独もしくは混合して用いることができるが、中でも、ポリ塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂のパウダーを可塑剤に分散させたゾル状のペースト(プラスチゾル)を用いることが好ましい。プラスチゾルは、揮発成分が少なくても流動性を得ることができるため、グラビア法で突起群を形成させたとき、少ない塗布量でも高さのある突起が容易に得られるため、前記突起群を形成する素材として好適である。
プラスチゾルの素材として最も一般的に使用されるポリ塩化ビニル樹脂は、コストが安価で物性にも優れているが、一方で、焼却したときに塩化水素を発生するので、焼却炉を傷めたり、ダイオキシンを発生する可能性が指摘されている。そこで、前記突起群がアクリル系プラスチゾルからなることが好ましい。また、可塑剤としてはフタル酸エステル類やアジピン酸エステル類、クエン酸エステル類など公知の可塑剤を単独もしくは混合して用いることができるが、環境ホルモンに対する懸念からは、非フタル系の可塑剤を用いることが好ましい。さらに、プラスチゾルに炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、珪藻土等の充填剤、ミネラルターペンやミネラルスピリット等の希釈剤、顔料、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、レベリング剤等を、必要に応じて配合することが可能である。
さらに、少ない塗布量で高さのある突起群を得るためには、突起群を発泡体から形成することが好ましい。例えば、プラスチゾルで発泡体を得る方法としては、プラスチゾル中に、加熱分解型発泡剤や熱膨張型マイクロカプセル等を配合する方法が挙げられる。突起群を発泡体から形成することは、突起群の形成による重量増加を抑える意味でも有効である。
本発明によれば、図柄が付された透湿防水層と突起群を別個に形成することで、緻密で意匠性の高い図柄を高い自由度で表現できる。また、本発明によれば、突起群の多寡による機能性や風合いの低下を最低限に抑えることが可能となる。また、突起群の形成によって布帛表面の平滑度を小さくすることで、図柄付与面を含む透湿防水層の磨耗が抑えられるので、布帛の意匠性や機能性の低下が少なく、さらには、布帛の表面に結露が生じた際のべたつき感が抑制される。
本発明の布帛の生地としては、使用目的等に応じて適宜なものを用いることが可能であるが、例を挙げると、ナイロン繊維やポリエステル繊維、ポリアミド繊維の如き合成繊維、アセテート繊維の如き半合成繊維、綿や麻や羊毛の如き天然繊維を単独でまたは2種以上を混合して、織物や編物、不織布等特に限定することなく用いることが出来る。
透湿防水層を形成する樹脂としては、例を挙げると、ポリエステル共重合系、ポリエーテル共重合系、あるいはポリカーボネート共重合系のポリウレタン、ひまし油由来原料を共重合したポリウレタン、シリコーン、フッ素、アミノ酸等を共重合したポリウレタン、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などが挙げられ、これらを単独もしくは混合して用いることができる。
これらの樹脂を主成分とした層に透湿性を付与する形態としては、例えば、
(1)ポリウレタンを主成分とする微多孔質膜
(2)透湿性を有するポリウレタンを主成分とする無孔質膜
(3)ポリテトラフルオロエチレンを主成分とする延伸多孔膜
(4)前記樹脂をナノファイバー化して積層した不織布構造を持つ微多孔質膜
などが挙げられる。また、上記(1)のような微多孔質膜に、透湿性を有する無孔質膜をさらに積層することも好ましい。中でも、(1)(2)のようなポリウレタンを主成分として用いた透湿防水膜が製造コストと性能の面から特に好ましい。
透湿防水層の形成方法としては、布帛にダイレクトにコーティングしたり、離型基材上にコーティング等で形成した透湿防水層を接着剤を用いて、ドットもしくは全面接着で布帛に接合させた後に離型基材を剥離する方法等があるが、そのいずれかに限定されるものではない。なお、コーティング方式としては、ナイフコーティング、ナイフオーバーロールコーティング、リバースロールコーティングなど各種のコーティング法を採用できる。
本発明においては、主としてポリウレタン樹脂を水に可溶な溶剤に溶解させてなるポリウレタン溶液を布帛にコーティングし、これを湿式ゲル化させて微多孔質な透湿防水層を形成する方法や、透湿性を有するポリウレタンを主成分とする樹脂を布帛にコーティングし、これを乾燥させることにより無孔質な透湿防水層を形成する方法を採用するのが好ましい。該布帛を衣料として用いる際、透湿防水層には適度な耐水性と透湿性を持たせる必要がある。透湿防水層の耐水性としては、JIS規格L1092法により測定した耐水圧が20kPa以上であることが好ましい。また、透湿防水層の透湿性としては、JIS規格L1099B−1法により測定した透湿度が3000g/m・24h以上であることが好ましい。
本発明においては、上記の透湿防水層上に意匠性を持った図柄のプリントが施される。このプリントは、透湿防水層の耐磨耗性を改善する目的よりも、プリント被覆面積を大きくしても透湿防水層の透湿性や風合いを低下させないことや、鮮明な印刷性を有することを目的とすることに最大の特徴を有している。そのため、プリントに使用する着色剤としては、透湿性を有する合成樹脂をベースとした着色剤を用いるのが好ましい。さらに好ましくは親水性ポリウレタン系着色剤を用いるのが望ましい。
着色剤には、シルクプロテインなどの親水性材料を配合することにより、さらに親水性を向上することもできる。図柄の意匠性を高めるためには、樹脂を無機顔料や有機顔料等によって着色するのが好ましく、さらに、必要に応じてパール顔料や金属顔料等を配合することによってさらに意匠性を高めることもできる。
また、着色剤に、印刷性を低下させない程度に球状シリカや球状アクリルビーズ等の粒子を配合することにより、図柄付与面の肌触りを改善することができる。
このような着色剤によって透湿防水層に図柄を付する方法としては、グラビア法、スクリーン法、オフセット法、インクジェット法など各種の公知のプリント方式を用いることができるが、柄の緻密性が表現しやすく、製造コストにも優れたグラビア法を採用するのが好ましい。このときグラビアロールの彫刻を深くし過ぎると、柄がにじんだり版詰まりを起こしたりするおそれがある。
本発明においては、図柄を付与した面の側の最表面に、さらに突起群が形成されるが、この突起群は、透湿防水性布帛を衣料に用いたときに、透湿防水層や図柄付与面と、肌やインナーウェアとの間に空間を作ることで、発汗して結露したときにも、透湿防水層が肌と密着してべたついて不快感が増したり、汗の蒸散が妨げられたりするのを防ぐ働きをする。
ここで、該布帛と肌の密着度は、突起群が形成された面の平滑度(JIS規格P8119ベック法)を測定することによって表すことができる。平滑度が低いほど該布帛と肌の間の空間が多く通気性が高いことを示し、すなわち肌との密着性が低く快適であるといえる。本発明においては、突起群が形成された面の平滑度を40秒以下と、より好ましい平滑度は20秒以下である。平滑度は、単に突起群の占める面積を大きくすれば低くなるというものでは無く、むしろ、ある程度の高さを持った突起群をまばらに配置した方が好ましい。具体的には、各突起の高さとして10μm以上が好ましく、より好ましくは20μm〜200μmである。突起が高く形成され過ぎると、肌触りが悪くなりやすい。
突起群の被覆面積率は3〜40面積%が好ましく、より好ましくは、5〜15面積%で断続的にまんべんなく突起が配置されることが好ましい。突起群の被覆面積率が小さ過ぎると、透湿防水層と肌の密着面積が増えて快適性が損なわれる。被覆面積率が大き過ぎると、布帛の風合いが硬くなり、透湿性が低下し、布帛の重量が重くなり着心地が低下する。突起の形状としては、肌触りをよくするため、角がなく滑らかな断面を持つ構造がふさわしい。
また、図柄の意匠性を損なわないためには、図柄を隠蔽しないよう突起群が透明性を有していることが好ましい。突起群を形成する樹脂としては、例を挙げると、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーンゴム、合成ゴム、ポリ塩化ビニルの如きビニル系樹脂などが挙げられ、これらを単独もしくは混合して用いることができる。中でも、ポリ塩化ビニル樹脂やアクリル樹脂のパウダーを可塑剤に分散させたゾル状のペースト(プラスチゾル)を用いることが好ましい。プラスチゾルは揮発成分が少なくても流動性を得ることができるため、後述するグラビア法で樹脂を積層したとき、少ない塗布量でも高さのある突起群が容易に得られるので好適である。
さらに、少ない塗布量で高さのある突起群を得るためには、突起群を発泡構造にすることが好ましい。プラスチゾルで発泡構造体を得る方法として、ゾル中に加熱分解型発泡剤や、熱膨張型マイクロカプセルなどを配合する方法が挙げられる。具体的には、アゾジカルボンジアミドや4,4‘−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等を配合する方法が挙げられる。突起群を発泡構造にすることは、突起群の形成による重量増加を抑える意味でも有効である。
ポリ塩化ビニル樹脂は、コストが安価で物性にも優れるためプラスチゾルに最も一般的に使用されているが、一方で、焼却したときに塩化水素を発生し焼却炉を傷めたりダイオキシンを発生する可能性が指摘されていることから、さらに好ましくはアクリル系プラスチゾルが用いられる。また、可塑剤としてはフタル酸エステル類やアジピン酸エステル類、クエン酸エステル類など公知の可塑剤を単独もしくは混合して用いることができるが、環境ホルモンに対する懸念から、非フタル系の可塑剤を用いるのが好ましい。さらには、プラスチゾルに炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム、コロイダルシリカ、珪藻土等の充填剤、ミネラルターペンやミネラルスピリット等の希釈剤、顔料、消泡剤、防黴剤、防臭剤、抗菌剤、滑剤、紫外線吸収剤、香料、レベリング剤等を必要に応じて自由に配合することが可能である。突起群を図柄付与面上に形成する方法としては、グラビア法、スクリーン法など各種の公知の方式を実施できるが、連続生産に適したグラビア法を採用するのが好ましい。
以下、本発明を実施例で詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例における透湿防水性布帛の評価は、下記の方法に準じた。
(1)透湿度
JIS L−1099記載のB−1法による。
(2)平滑度
JIS P−8119記載のベック法による。
(3)意匠性
目視により3段階の官能評価をおこなった。
○:緻密で複雑な柄が抜けたり潰れたりする事無く鮮明に表現されている。
△:柄の緻密な部分に抜けや潰れが見られる。
×:柄の抜けや潰れが多く見られ、複雑な柄が表現できない。
(4)風合い
手触りにより2段階の官能評価をおこなった。
○:やわらかい ×:硬い
(5)磨耗方法
JIS L−0849記載の学振形摩擦試験機を用い、摩擦子に白綿布を取り付けて5Nの荷重で1000回の摩擦をおこなった。
(6)洗濯方法
JIS L−0217記載の(番号)103の方法に準じ、20回の洗濯をおこなった。
〔実施例1〕
50デニールのナイロンフィラメントヤーンで構成されたナイロンリップタフタを、ダイキン工業(株)製フッ素系撥水剤・“ユニダイン”TG−571:30g/Lの希釈液に浸漬し、絞り率40%でマングルで絞った後、120℃で乾燥し、160℃で30秒間熱処理し、撥水処理を行った。
次に、下記処方1に示すポリウレタン樹脂配合溶液を、先の撥水加工ナイロンリップタフタにナイフオーバーロールコーターで150g/mの塗布量でコーティングし、ジメチルホルムアミド(以下、DMFという。)を15重量%含有する水溶液をゲル化浴とする浴槽に30℃で2分間浸漬してポリウレタン樹脂配合塗布液を湿式凝固させ、ついで50℃の温湯で10分間水洗し、120℃にて3分間熱風乾燥し微多孔質の透湿防水層を形成した。
[処方1]
東レコーテックス(株)製ポリウレタン・U−5376:100重量部
富士シリシア化学(株)製シリカ微粉末・“サイリシア”350:6重量部
大日精化工業(株)製フッ素撥水剤・“ダイアロマー”FF−121D:1重量部
DIC(株)製顔料・DILAC WHITE L7551:3重量部
日本ポリウレタン(株)製架橋剤・“コロネート”HL:1重量部
DMF:50重量部
次に、下記処方2に示す親水性ポリウレタン着色剤を、透湿防水層の上にグラビアコーターにて下記グラビアパターン1で塗工し、120℃にて3分間熱風乾燥し、着色された図柄プリント層を形成した。
[処方2]
大日精化工業(株)製ポリウレタン・“ハイムレン”Y−262:100重量部
大日精化工業(株)製顔料・“セイカセブン”DUT4093ホワイト:4重量部
大日精化工業(株)製顔料・“セイカセブン”DUT4794ブラック:4重量部
富士シリシア化学(株)製シリカ微粉末・“サイリシア”350:5重量部
メチルエチルケトン(以下、MEKという。):120重量部
DMF:20重量部
[グラビアパターン1]
150メッシュのドットがタテヨコ15mmピッチで深度が0.025mmと0.035mmと交互に変化することで濃淡を表現した基本柄の上に、さらにタテヨコ5mmピッチで深度0.080mmの70メッシュのドットが「=」文字状に配置された開口面積率75%のグラビア彫刻パターン
次に、下記処方3に示す塩化ビニルゾルを、プリント図柄の上にグラビアコーターにて下記グラビアパターン2で塗工し、120℃で1分間熱風乾燥した後170℃で3分間熱処理し、透明性を有する突起群を形成した。得られた布帛について、平滑度、透湿度を測定し、意匠性と風合いを官能試験により評価した。その結果を表1に示す。また、磨耗後、洗濯後の平滑度と意匠性の評価結果を表2に示す。
[処方3]
ヴイテック(株)製塩化ビニルペーストレジン・P410:100重量部
(株)ADEKA製可塑剤・“アデカサイザー”PN−6810:60重量部
(株)ADEKA製安定剤・“アデカスタブ”FL−21:2重量部
白石カルシウム(株)製炭酸カルシウム・“白艶華”DD:10重量部
永和化成工業(株)製発泡剤・“ネオセルボン”N5000:8重量部
[グラビアパターン2]
深度が0.150mmで1辺が1mmの菱形のドットが3mmピッチで配された開口面積率11%のグラビアパターン
〔実施例2〕
実施例1と同様に作製した透湿防水層の上に、処方2に示す親水性ポリウレタン着色剤をグラビアコーターにてグラビアパターン3で塗工し、120℃にて3分間熱風乾燥し図柄プリント層を形成した。次に、処方3に示す塩化ビニルゾルを、プリント図柄の上にグラビアコーターにてグラビアパターン2で塗工し、120℃で1分間熱風乾燥した後170℃で3分間熱処理し、透明性を有する突起群を形成した。得られた布帛について、平滑度、透湿度を測定し、意匠性と風合いを官能試験により評価した。その結果を表1に示す。
[グラビアパターン3]
深度0.030mmの60メッシュのドットが花柄になるように配された開口面積率23%のグラビアパターン
〔実施例3〕
実施例1と同様に透湿防水層の上に図柄プリント層を形成し、次に、処方4に示すアクリルゾルを、プリント図柄の上にグラビアコーターにてグラビアパターン2で塗工し、120℃で1分間熱風乾燥した後170℃で3分間熱処理し、透明性を有する突起群を形成した。得られた布帛について、透湿度を測定し、意匠性と風合いを官能試験により評価した。その結果を表1に示す。
[処方4]
三菱レイヨン(株)製アクリルパウダー・LP−3109:100重量部
(株)ADEKA製可塑剤・“アデカサイザー”PN−6810:100重量部
永和化成工業(株)製発泡剤・“ネオセルボン”N5000:8重量部
〔比較例1〕
実施例1と同様に作製した透湿防水層の上に、処方2に示す親水性ポリウレタン着色剤をグラビアコーターにてグラビアパターン1で塗工し、120℃にて3分間熱風乾燥し図柄プリント層を形成した。得られた布帛について、透湿度を測定し、意匠性と風合いを官能試験により評価した。その結果を表1に示す。また、磨耗後、洗濯後の平滑度と意匠性の評価結果を表2に示す。
〔比較例2〕
実施例1と同様に作製した透湿防水層の上に、処方5に示す球状粒子を分散したポリウレタン系着色剤を、グラビアコーターにてグラビアパターン1で塗工し、120℃にて3分間熱風乾燥した後、170℃で3分間熱処理し、すべり性の良好な着色された図柄プリント層を形成し、特許文献2に開示の透湿防水布帛と同等の布帛を得た。得られた布帛について、平滑度、透湿度、重量を測定し、意匠性と風合いを官能試験により評価した。その結果を表1〜2に示す。また、磨耗後、洗濯後の平滑度と意匠性の評価結果を表2に示す。
[処方5]
大日精化工業(株)製ポリウレタン・“ハイムレン”Y−262:100重量部
大日精化工業(株)製顔料・“セイカセブン”DUT4093ホワイト:4重量部
大日精化工業(株)製顔料・“セイカセブン”DUT4794ブラック:4重量部
富士シリシア化学(株)製シリカ微粉末・“サイリシア”350:5重量部
ガンツ化成(株)製アクリル粒子・“ガンツパール”GM−2801:15重量部
ガンツ化成(株)製アクリル粒子・“ガンツパール”GM−4003:15重量部
MEK:75重量部
DMF:75重量部
〔比較例3〕
実施例1と同様に作製した透湿防水層の上に処方6に示すポリウレタン系樹脂液をグラビアコーターにてグラビアパターン4で塗工し、120℃にて3分間熱風乾燥した後170℃で3分間熱処理し磨耗耐久性に優れ着色されたドット層を形成し、特許文献4に開示の透湿防水布帛と同等の布帛を得た。得られた布帛について、平滑度、透湿度を測定し、意匠性と風合いを官能試験により評価した。その結果を表1に示す。
[処方6]
大日精化工業(株)製ポリウレタン・“ハイムレン”NPU−5:30重量部
大日精化工業(株)製ポリウレタン・“ハイムレン”NPU−6:70重量部
大日精化工業(株)製顔料・“セイカセブン”DUT4093ホワイト:4重量部
大日精化工業(株)製顔料・“セイカセブン”DUT4794ブラック:4重量部
[グラビアパターン4]
150メッシュのドットがタテヨコ15mmピッチで深度が0.025mmと0.035mmと交互に変化することで濃淡を表現した基本柄の上に、深度が0.400mmで1辺が1mmの菱形のドットが3mmピッチで配置された開口面積率70%のグラビア彫刻パターン
比較例2〜3は公知の特許文献の実施例に基づいているが、いずれも実施例の中では図柄プリント層に着色はされていない。着色されていない透明のプリント図柄の意匠性を判定するのは困難であるため、本実施例では比較例におけるプリント図柄を着色することとした。公知の技術を単に着色したものと本発明を比較したときに、意匠性の差異をより明確化するためである。
表1において比較例2、比較例3を見ると、突起群で図柄を表現する場合、図柄の面積を多くして意匠性を高めると風合いや透湿性が悪化することがわかる。それに対し、実施例1〜3を見ると、意匠性を高めるために図柄プリント面の面積を増やしても、突起群の占める面積は少なく保てるので、透湿度や風合いの低下はほとんど見られないことがわかる。
また、表2において比較例2を見ると、洗濯後や磨耗後に著しく平滑度が低下しているのに対し、実施例1では洗濯後・磨耗後も高い平滑度を維持していることがわかる。
以上の結果から、本発明によれば、従来の透湿防水性布帛よりも一枚物に適した、意匠性の高いプリント図柄を有する上に、軽量で、風合いが柔らかくて、結露時のべたつき感が少ない透湿防水性布帛を提供することができる。また、そのような物性は、洗濯や着用における磨耗によって低下し難いことが明らかとなった。
Figure 0005385047
Figure 0005385047
本発明の透湿防水性布帛は、スポーツやアウトドア等において用いられる防水衣料の素材として好適に用いられる。

Claims (5)

  1. 片面側に、図柄が付された透湿防水層を有し、前記片面側の最表面に突起群が透明に形成され、前記片面側の最表面の平滑度が40秒以下であり、前記図柄が、親水性ポリウレタンからなる着色剤で描かれていることを特徴とする透湿防水性布帛。
  2. 前記透湿防水層がポリウレタンからなる、請求項1に記載の透湿防水性布帛。
  3. 前記突起群がプラスチゾルからなる、請求項1または2に記載の透湿防水性布帛。
  4. 前記突起群がアクリル系プラスチゾルからなる、請求項に記載の透湿防水性布帛。
  5. 前記突起群が発泡体からなる、請求項1〜のいずれかに記載の透湿防水性布帛。
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