JP4809048B2 - 防水透湿性布帛 - Google Patents

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Description

本発明は、布帛の透湿性を損うことなく防水性が付与された防水透湿性布帛に関するものである。
従来、防水性及び透湿性を有する防水透湿性布帛は、防水性及び透湿性を有する防水透湿性樹脂の薄膜(以下「防水透湿性薄膜」という。)を、織物や編物などの布帛の片面に積層形成したものであり、例えば、衣料品の生地の一部として利用されている。
この防水透湿性薄膜を布帛に積層形成する方法については現時点でも種々のものが提案されており、例えば、湿式製法又は乾式製法によって布帛片面に防水透湿性薄膜を直接に積層形成するものや、又は、フィルムラミネーションによって布帛片面に防水透湿性薄膜フィルムを貼着して積層形成するものがある。
このように防水透湿性薄膜が積層形成された布帛、即ち、防水透湿性布帛によれば、布帛自体が元来より有する通気性及び透湿性に加えて、防水透湿性薄膜の防水性が更に付与される。しかも、防水透湿性薄膜の透湿性によって布帛の透湿性の低下も抑制されるのである。
また、下記特許文献1に記載するように、防水透湿性薄膜は、透湿メカニズムから分類した場合、微多孔質樹脂で形成される防水透湿性薄膜と、親水性無孔質樹脂で形成される防水透湿性薄膜とに分けられる。
ここで、微多孔質樹脂製の防水透湿性薄膜は、自らの微細孔より小さな水蒸気となった湿気に対して透過を許容するという透湿機能を有する一方で、自らの微細孔より大きさな雨粒やその他の水分に対しては透過を阻止するという防水機能を発揮するものである。
これに対して、親水性無孔質樹脂製の防水透湿性薄膜については、その親水性を有する官能基(親水基)の介在によって汗などの水蒸気を内部へ取り込んで水蒸気濃度の低い外部へ水分を放出させるという透湿機能を発揮する一方で、無孔質であることによって雨粒やその他の水分に対しては浸透を阻止する防水機能を発揮するものである。
特開2005−105168号公報
しかしながら、上記した防水透湿性薄膜は、一般に略10μm〜略50μmの厚みしかないために引張強度や耐摩耗性などの機械的強度において脆弱なものであり、なおかつ、防水透湿性薄膜が布帛裏面全体に露出した状態で使用されるために防水透湿性薄膜が摩擦や引張を直接的に受けて損傷し易く、防水透湿性布帛が漏水し易くなるという問題点があった。
特に、親水性無孔質樹脂製の防水透湿性薄膜にあっては、その厚みが略10μm〜略25μmしかないものもあり、なおかつ、透湿機能を発揮する場合に内部に水蒸気を取り込むことで膨潤して機械的強度が低下することもあるため、より一層外部からの摩擦力や引張力によって損傷し易いものとなってしまうという問題点があった。
そこで、これらの問題点を解決すべく、本願出願人は、上記特許文献1において、表地用布帛の片面に積層形成される防水透湿性薄膜のもう片面に薄手のトリコットなどの補強用布帛を貼着することで、防水透湿性薄膜を保護することを提案した。
しかしながら、特許文献1記載のように防水透湿性布帛の防水透湿性薄膜にトリコットなどの補強用布帛を貼着すると、今度は、その補強用布帛によって防水透湿性薄膜の伸縮性が阻害されてしまい、激しく且つ頻繁に摩擦や伸縮が繰り返される運動用衣料品などの生地としては必要な伸縮性を確保することが逆に困難となってしまうという問題点を招来してしまった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、防水透湿層に関する耐摩耗性や引張強度などの機械的強度を高めることができ、特に、親水性無孔質樹脂製の防水透湿層を使用する場合には膨潤による機械的強度低下を抑制でき、なおかつ、用途に応じて伸縮率を調整することもできる防水透湿性布帛を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の防水透湿性布帛は、防水性及び透湿性を有する樹脂で形成される防水透湿層と、その防水透湿層の一面に一体的に積層形成される基材であって透湿性を有している布帛とを備えており、前記防水透湿層の他面に複数のセル状に区画形成され、その各セル状の区画内から前記防水透湿層が露出されている複数の透湿セルと、その複数の透湿セルが形成されている前記防水透湿層の前記他面に合着され、その防水透湿層から隆起して前記各透湿セル間を仕切り、前記防水透湿層に比べて100%モジュラスが大きい伸縮性樹脂材料で形成される補強部材とを備えている。
この請求項1記載の防水透湿性布帛によれば、補強部材により仕切られた各透湿セルから露出する防水透湿層を通じて透湿性が発揮される。また一方で、防水透湿層よりも引張強度(100%モジュラス。以下同じ。)の大きな補強部材が防水透湿層に合着され、しかも補強部材は伸縮性のある伸縮性材料で形成されるので、防水透湿層の伸縮性が確保されながらも、防水透湿層の引張強度も補強される。更に、防水透湿層の他面には補強部材が隆起した状態で合着されているので、この防水透湿性布帛を利用した衣料品の使用時に、使用者の身体が裏地側となる防水透湿層に直接擦れることが補強部材の介在によって防止される。
請求項2記載の防水透湿性布帛は、請求項1記載の防水透湿性布帛において、前記補強部材は、前記防水透湿層に対して接着性を有する前記伸縮性樹脂材料を、前記防水透湿層の前記他面にプリントして硬化させたものである。
この請求項2記載の防水透湿性布帛によれば、請求項1記載の防水透湿性布帛と同様の作用及び効果を奏することに加え、補強部材は、プリント手段によって防水透湿層の他面に印刷(プリント)されるので、補強部材の形成を簡易的な既存の印刷設備を用いて行うことができ、補強部材の加工コストを抑制できるという効果がある。
請求項3記載の防水透湿性布帛は、請求項1又は2に記載の防水透湿性布帛において、前記補強部材を形成する前記伸縮性樹脂材料は疎水性を備えている。
この請求項3記載の防水透湿性布帛によれば、請求項1又は2に記載の防水透湿性布帛と同様の作用及び効果を奏することに加え、補強部材を形成する伸縮性樹脂材料は疎水性を有するものなので、かかる補強部材が吸水することを抑制して、補強部材の引張強度や耐摩耗性が低下することが防止される。
請求項4記載の防水透湿性布帛は、請求項1から3のいずれかに記載の防水透湿性布帛において、前記補強部材を形成する前記伸縮性樹脂材料は、無孔質樹脂の独立気泡体である。
この請求項4記載の防水透湿性布帛によれば、請求項1から3のいずれかに記載の防水透湿性布帛と同様の作用及び効果を奏することに加え、補強部材を形成する伸縮性樹脂材料は、無孔質樹脂であって単独気泡体であることから吸水膨潤して強度低下することが防止される。しかも、無孔樹脂が単独気泡体化されているので、少量の無孔質樹脂でも広範な範囲に補強部材を形成でき、防水透湿層との接触面積も極力低減させて透湿性の低下が抑制される。
請求項5記載の防水透湿性布帛は、請求項1から4のいずれかに記載の防水透湿性布帛において、前記補強部材は編物の編目パターンを象った平面形状である。
この請求項5記載の防水透湿性布帛によれば、請求項1から4のいずれかに記載の防水透湿性布帛と同様の作用及び効果を奏することに加え、補強部材の平面形状は、編物の編目パターン、例えば、トリコットなどの編目パターンを象ったものであるので、一見して、あたかも防水透湿層の他面にトリコットなどの編物を接着したかのようになる。
このため、防水透湿層に装飾模様などを印刷した場合には、その印刷模様を補強部材越しに透かし見せることができ、なおかつ、その印刷模様をも保護することができる。しかも、編物の編目のように細かな透湿セルを防水透湿層の他面に多数形成することができるので、各透湿セルの透湿性を確保しつつ防水透湿層への摩擦接触を補強部材によってきめ細かく防護することができる。
請求項6記載の防水透湿性布帛は、請求項1から5のいずれかに記載の防水透湿性布帛において、前記複数の透湿セルから露出される前記防水透湿層の表面積は、前記防水透湿層の前記他面における表面積全体の略30%から略90%の範囲内である。
この請求項6記載の防水透湿性布帛によれば、請求項1から5のいずれかに記載の防水透湿性布帛と同様の作用及び効果を奏することに加え、防水透湿層の他面全体のうち略30%から90%の部分を複数の透湿セルから露出させるように補強部材を形成することで、防水透湿層の防水性及び透湿性が確保されつつ、更に、防水透湿層の引張強度の向上が図られる。
請求項7記載の防水透湿性布帛は、請求項1から6のいずれかに記載の防水透湿性布帛において、前記補強部材には、粒子径が略30μm以下のシリカが固形分比で略5%から略30%の範囲で添加されている。
請求項7記載の防水透湿性布帛によれば、請求項1から6のいずれかに記載の防水透湿性布帛と同様の作用及び効果を奏することに加え、補強部材は粒子径が略30μm以下のシリカが固形分比で略5%から略30%の範囲で添加されるので、かかるシリカ粒子によって補強部材の摩耗が軽減されて、補強部材の摩耗に伴う防水透湿層の強度低下が防止される。
請求項8記載の防水透湿性布帛は、請求項1から7のいずれかに記載の防水透湿性布帛において、前記防水透湿層は、前記布帛の一面に防水性及び透湿性を有する防水透湿性フィルムをフィルムラミネーションにより接着したものである。
本発明の防水透湿性布帛によれば、例えば、防水透湿層が薄いために引張強度や耐摩耗性などの機械的強度において脆弱なものであっても、補強部材によって、防水透湿層の引張強度を高め、且つ、防水透湿層を摩擦接触から保護して、防水透湿層の損傷及び漏水を抑制できるという効果がある。また、防水透湿層が親水性無孔質樹脂で形成される場合にあっては、水膨潤により機械的強度が低下することもあるが、補強部材を防水透湿層に施すことによって、膨潤した防水透湿層に対しても優れた耐摩耗性及び引張強度を付与できるという効果がある。
更に、防水透湿層にトリコットなどの補強用布帛を貼着する場合に比べれば、補強部材自体にも伸縮性が付与されていることから、防水透湿層の伸縮性を阻害することなく、運動用衣料品などの使用環境が厳しい生地としても充分な伸縮性を確保することができるという効果がある。しかも、補強部材に使用される伸縮性樹脂の引張強度を加減することで、防水透湿性布帛に用途に応じた適度な伸縮率を付与できるという効果もある。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態である防水透湿性布帛1の拡大縦断面図である。図1に示すように、防水透湿性布帛1は、例えば、各種の衣料用生地として使用される場合に、表地となる基材2と、裏地となる防水透湿層3とを備えており、その防水透湿層3の一面(図1の上側面)に基材2が当接するように一体的に積層形成され、防水透湿層3の他面(図1の下側面)に補強部材4が合着されている。
基材2は、元来より通気性及び透湿性を有しており、主として、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、綿、羊毛(ウール)等からなる各種繊維の織物又は編物である。また、防水透湿層3は、防水性及び透湿性を有する樹脂材料製の薄膜であり、主として、ウレタン系樹脂又はポリエステル系樹脂等を主成分とする樹脂材料で形成可能であり、その他にもアクリル系樹脂又はPTFE系樹脂等を主成分とする樹脂材料でも形成可能である。
このように防水透湿層3には上記のように種々の素材を使用可能であるが、その透湿メカニズムに基づいて分類した場合に、微多孔質樹脂薄膜製のものと、親水性無孔質樹脂薄膜製のものとに分けられる。以下、防水透湿層3となる微多孔質樹脂薄膜と、親水性無孔質樹脂薄膜とについて、順番に説明する。
まず、微多孔質樹脂薄膜は、湿式製法により製造される樹脂製の薄膜であって、その厚みが略10μm〜略50μmの範囲にあり、より好適には略30μm〜略35μmに形成されている。微多孔質樹脂薄膜は、その内部に超微細で且つ均一に分散する多数の気孔が相互に連通した状態で形成されている連続気泡体である。この多数の気孔は、微多孔質樹脂薄膜内に単位面積(1平方インチ)当たり略50万個ほど形成されており、その孔幅が略0.3μm〜略3μmとされている。
ところで、水蒸気の粒径は略0.4nm(=0.0004μm)程度であり、雨粒にあっては最も細かな霧雨から最も大きな雷雨までの粒径が略100μmから略3mm(=3,000μm)程度の範囲となる。すなわち、微多孔質樹脂薄膜は、その多数の気孔の孔幅が水蒸気の粒径より大きく且つ雨粒の粒径より小さいので、かかる多数の気孔を通じて水蒸気粒子を通過させる透湿性を備えると共に、これとは相反する雨粒の浸透を阻止する防水性とを備えるのである。
特に、微多孔質樹脂薄膜の一面の気孔は、他面の気孔に比べて孔幅全体的に小さく形成されており、この気孔の孔幅が小さな方の面に基材2を積層することによって、雨粒が防水透湿層3内へより浸透し難くすることができる。
また、防水透湿層3となる微多孔質樹脂薄膜は、基材2に積層された状態でも透湿度が略10,000g/m・24h〜略15,000g/m・24hとされている。例えば、人体からの発汗量は、個人差は存在するものの、休憩時に略350g/m・24h、時速5.5kmの歩行時に略1,300g/m・24h、ジョギング時に略2,500g/m・24hであり、これらは微多孔質樹脂薄膜製の防水透湿層3の透湿度を大きく下回るものであって、当該防水透湿層3には充分な透湿性が確保されている。
なお、上記した透湿度とは、24時間当たりに1mの防水透湿層3を通過する水蒸気の質量に相当する。
また、微多孔質樹脂薄膜は、図1に示すように防水透湿層3として基材2に積層される場合に、防水性を表す物性値である耐水圧が平均略20,000mmHO(水柱)(=2kgf/cm≒1.96Mpa)以上とされている。ここで、レインコートの耐水圧は一般に略500〜1,000mmHOを確保できれば充分とされており、これに対してアウトドア用のレインコートの耐水圧はその略20倍以上確保されており、当該微多孔質樹脂薄膜はこれに匹敵する耐水性が確保されている。
例えば、体重が略75kgfの人間の場合、その者が着座すると臀部に略0.2kgf/cm、又は跪くときに膝部に略1.1kgf/cmの圧力が加わり、これらを耐水圧に換算すると略2,000mmHO、又は略11,000mmHOとなり、これらの値は当該防水透湿層3の耐水圧を下回るものである。すなわち、当該防水透湿層3を形成する微多孔質樹脂薄膜には充分な防水性も確保されている。
次に、親水性無孔質樹脂薄膜は、乾式製法により製造される樹脂製の薄膜であって、その厚みがその厚みが略10μm〜略50μmの範囲にあり、より好適には略10μm〜略25μmに形成されている。親水性無孔質樹脂薄膜は、上記した微多孔質樹脂薄膜における透湿機能とは異なり、当該薄膜に内包される親水性を有した官能基(以下「親水基」という)により透湿機能が確保されている。
この親水性無孔質樹脂薄膜は、上記した微多孔質樹脂薄膜とは異なり連続気泡状の多数の気孔を有しておらず、親水性無孔質樹脂薄膜の一面側の水蒸気濃度が上昇すると、当該薄膜内部の親水基により当該薄膜内へ水蒸気(水分)が取り込まれ、かかる水分を当該薄膜における水蒸気濃度の低い他面側へ移行させて、当該薄膜の他面側から水蒸気として放散させるものである。このように親水性無孔質樹脂薄膜は、自己の親水基により水蒸気を通過させる透湿性を備えると共に、それとは相反する雨粒の浸透を阻止する防水性とを備えている。
また、防水透湿層3を形成する親水性無孔質樹脂薄膜は、基材2に積層された状態でも透湿度が略15,000g/m・24h〜略20,000g/m・24hとされており、上記した微多孔質樹脂薄膜の透湿度を更に上回る性能が確保されている。しかも、親水性無孔質樹脂薄膜の耐水圧は、基材2に積層された状態でも略15,000mmHO〜略20,000mmHOとされており、上記した微多孔質樹脂薄膜を上回る防水性も確保されている。
以上説明した防水透湿層3は、フィルムラミネーション方法、湿式コーティング方法、又は、乾式コーティング方法によって基材2の一面(裏面)に形成されるものである。
フィルムラミネーションは、上記した親水性無孔質樹脂薄膜フィルム又は微多孔質樹脂薄膜フィルムを基材2に接着することで基材2の表面上に防水透湿層3を形成するものである。ここで、フィルムラミネーションにより防水透湿層3を基材2へ接着する場合、防水透湿層3の表面が接着剤により覆われると、防水透湿層3の透湿度が低下する。そこで、基材2又は防水透湿層3のいずれか一方の面に接着剤を例えば点状若しくは線状に塗布することによって、防水透湿層3の表面において接着剤で覆われる面積が最小限に抑制されている。
また、湿式コーティング方法は、透湿性及び防水性を有する樹脂を、基材2の一面(裏面)に均一な薄膜状に直接塗布し、その塗布後に基材2ごと水中を通過させることで、基材2に塗布された樹脂中に含まれる水溶性の溶剤を水中へ溶出させて、基材2の表面上に上記した微多孔質樹脂薄膜から成る被覆膜を直接に形成するものである。なお、微多孔質樹脂薄膜では、基材2に塗布された樹脂中から溶剤が溶出した跡が多数の気孔となって、当該薄膜に透湿性が付与される。
更に、乾式コーティング方法は、透湿性及び防水性を有する樹脂(上記湿式コーティング方法のものとは異なる樹脂)を、基材2の一面(裏面)に均一な薄膜状に直接塗布し、その塗布後に即座に乾燥させて、基材2の表面上に上記した親水性無孔質樹脂薄膜から成る被覆膜を直接に形成するものである。
図2は、図1の補強部材4側から矢視した防水透湿性布帛1の裏面図である。図2に示すように、防水透湿性布帛1の裏面に相当する防水透湿層3の他面側(図2の手前側)には、補強部材4により間仕切りされて複数のセル状に区画されている透湿セル5が形成されており、その各透湿セル5の区画内からは防水透湿層3が露出されている。また、これら複数の透湿セル5から露出される防水透湿層3の表面積の総和は、防水透湿層3の他面(図2の手前面)における表面積全体の略30%から略90%の範囲内とされている。これを換言すれば、補強部材4は防水透湿層3の他面(図2の手前面)における表面積全体の略10%から略70%の範囲に形成されることとなる。
補強部材4の平面形状は、トリコットなどの各種編物の編目パターン、即ち、編目状の輪(ループ)が複数の連続的に繋がって構成される平面パターンを象ったものであり、防水透湿層3の他面(図2の手前面)全体に連続的なパターンとして形成されている。また、この補強部材4は、防水透湿層3に比べて引張強度が大きく且つ防水透湿層3に対して接着性のある伸縮性樹脂材料を、防水透湿層3の他面(図1の下側面)から隆起するようにプリントして硬化させたものである。
なお、補強部材4の平面形状は、各種編物の編目の寸法サイズと略等しくある必要性はなく、その寸法サイズを実際の各種編物の編目パターンと相似形としたものでも良い。また、補強部材4の平面形状は、必ずしもトリコットの編目パターンに限定されるものではなく、例えば、トリコットとは異なる各種の経編みの編物の編目パターンや、各種の緯編みの編物の編目パターンや、その他編物以外の平面パターンなどに適宜変更しても良く、更に、その平面パターンに意匠性の高いものを採用することで防水透湿性布帛1の裏地に意匠的機能を付与するようにしても良い。
補強部材4の厚みは、略10μm〜略200μmの範囲で調整することができる。また、補強部材4及び防水透湿層3の引張強度を100%モジュラスを用いて比べた場合、防水透湿層3の100%モジュラスが略20kgf/cm〜略40kgf/cmの範囲にある場合に、補強部材4は、100%モジュラスが略25kgf/cm〜略60kgf/cmの範囲にあるものが用いられる。なお、防水透湿性布帛1の不必要な伸びを抑制するため、補強部材4の100%モジュラスの値を適宜調整することは当然可能である。
また、補強部材4を形成する伸縮性樹脂材料としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、又は、ポリエステル系樹脂などを主成分としたものが用いられており、補強部材4を防水透湿層3に形成するためのプリント方式としては、グラビアプリント方式を用いることができる。そして、補強部材4を形成する伸縮性樹脂材料には疎水性が付与されており、この疎水性は低膨潤性の伸縮性樹脂材料に撥水剤を添加することで得られる。
また、補強部材4を形成する伸縮性樹脂材料は、無孔質樹脂の独立気泡体で形成されており、その中に粒子径が略30μm以下のシリカが固形分比で略5%から略30%の範囲で添加されている。なお、補強部材4を形成する伸縮性樹脂材料は水性又は油性のいずれであっても良く、また、その伸縮性樹脂材料に顔料等を添加して補強部材4を着色することで補強部材4に意匠的機能を付与するようにしても良い。
この実施例1(以下「第1実施例」という。)の防水透湿性布帛1では、基材2として縦78デシテックス及び横100デシテックスのナイロンヤーンで構成されたナイロンタフタをフッ素系撥水剤で撥水処理したものを用いる。そして、この基材2の片面にポリウレタン系樹脂製の親水性無孔質樹脂フィルムをフィルムラミネーションにより接着して防水透湿層3を積層形成した後、その防水透湿層3のもう片面に下記組成の伸縮性樹脂材料をグラビアコーターによりグラビアプリントして、それを100℃で熱風乾燥した後、更に140℃で1分間熱処理して、防水透湿層3に補強部材4が形成された防水透湿性布帛1を得た。
[第1実施例における補強部材4を形成する伸縮性樹脂材料の組成]
・ポリウレタン樹脂 :100重量部
・架橋剤 : 2重量部
・撥水剤 : 2重量部
・顔料 : 10重量部
・トルエン : 40重量部
・MEK(メチルエチルケトン): 20重量部
また、第1実施例の防水透湿性布帛1は、補強部材4の印刷面積と全透湿セル5から露出される防水透湿層3の総面積とがいずれも略50%ずつとなるようにグラビアプリントを施して、防水透湿性布帛1を得た。そして、防水透湿層3の100%モジュラスは20kgf/cmとされ、補強部材4の100%モジュラスを略25kgf/cmとされた。更に、防水透湿層3の厚み範囲が略10μm〜略50μmの範囲にある場合に、補強部材4の厚みが略20μm〜略30μmの範囲内となるように調整した。
なお、上記組成の伸縮性樹脂材料に含まれるトルエン及びMEKはいずれも溶剤であり、なかでもMEKの溶解性が強くて伸縮性樹脂材料をプリントした場合に防水透湿層3が溶ける可能性があるため、かかるMEKにトルエンを混合調整してMEKによる溶解性を弱めて防水透湿層3の溶解を防止している。
この実施例2(以下「第2実施例」という。)の防水透湿性布帛1では、下記組成の伸縮性樹脂材料を用いて補強部材4をグラビアコーターによりグラビアプリントする以外は、上記第1実施例と同様の素材及び処理を行って、防水透湿層3に補強部材4が形成された防水透湿性布帛1を得た。
[第2実施例における補強部材4を形成する伸縮性樹脂材料の組成]
・ポリウレタン樹脂 :100重量部
・架橋剤 : 4重量部
・シリカ : 8重量部
・撥水剤 : 2重量部
・顔料 : 10重量部
・トルエン : 50重量部
・MEK(メチルエチルケトン): 20重量部
以上のようにして得られた第1及び第2実施例の防水透湿性布帛1について、乾燥状態における透湿度、耐水度、及び、ARTピリング試験機による摩耗後の耐水度をそれぞれ測定し、その測定結果を図3に示した。また、第1及び第2実施例の防水透湿性布帛1について、防水透湿層3が膨潤状態にある場合におけるARTピリング試験機による摩耗後の耐水度を測定し、その測定結果を図4に示した。
なお、図3及び図4中の比較例は、補強部材4を形成する点を除いて、第1及び第2実施例と共通する防水透湿性布帛1であり、具体的には、基材2として縦78デシテックス及び横100デシテックスのナイロンヤーンで構成されたナイロンタフタをフッ素系撥水剤で撥水処理し、その基材2の片面にポリウレタン系樹脂製の親水性無孔質樹脂フィルムをフィルムラミネーションにより接着して、基材2の片面に防水透湿層3を積層形成したものである。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、各種寸法、形状、素材等について種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
本発明の一実施形態である防水透湿性布帛の拡大縦断面図である。 図1に示す防水透湿性布帛の裏面図である。 防水透湿層が乾燥状態にある各実施例の防水透湿性布帛について行われた各種測定結果を表形式で示した図である。 防水透湿層が膨潤状態にある各実施例の防水透湿性布帛について行われた各種測定結果を表形式で示した図である。
符号の説明
1 防水透湿性布帛
2 基材
3 防水透湿層
4 補強部材
5 透湿セル

Claims (8)

  1. 防水性及び透湿性を有する樹脂で形成される防水透湿層と、その防水透湿層の一面に一体的に積層形成される基材であって透湿性を有している布帛とを備えている防水透湿性布帛において、
    前記防水透湿層の他面に複数のセル状に区画形成され、その各セル状の区画内から前記防水透湿層が露出されている複数の透湿セルと、
    その複数の透湿セルが形成されている前記防水透湿層の前記他面に合着され、その防水透湿層から隆起して前記各透湿セル間を仕切り、前記防水透湿層に比べて100%モジュラスが大きい伸縮性樹脂材料で形成される補強部材とを備えていることを特徴とする防水透湿性布帛。
  2. 前記補強部材は、前記防水透湿層に対して接着性を有する前記伸縮性樹脂材料を、前記防水透湿層の前記他面にプリントして硬化させたものであることを特徴とする請求項1記載の防水透湿性布帛。
  3. 前記補強部材を形成する前記伸縮性樹脂材料は疎水性を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の防水透湿性布帛。
  4. 前記補強部材を形成する前記伸縮性樹脂材料は、無孔質樹脂の独立気泡体であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の防水透湿性布帛。
  5. 前記補強部材は、編物の編目パターンを象った平面形状であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の防水透湿性布帛。
  6. 前記複数の透湿セルから露出される前記防水透湿層の表面積は、前記防水透湿層の前記他面における表面積全体の略30%から略90%の範囲内であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の防水透湿性布帛。
  7. 前記補強部材には、粒子径が略30μm以下のシリカが固形分比で略5%から略30%の範囲で添加されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の防水透湿性布帛。
  8. 前記防水透湿層は、前記布帛の一面に防水性及び透湿性を有する防水透湿性フィルムをフィルムラミネーションにより接着したものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の防水透湿性布帛。
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