JP4235524B2 - プリント被覆膜、積層体及び被覆膜印刷方法 - Google Patents

プリント被覆膜、積層体及び被覆膜印刷方法 Download PDF

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Description

本発明は、防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜の面に印刷を施したプリント被覆膜、積層体、及び、前記樹脂系被覆膜への印刷方法に関するものである。
近年、透湿性及び防水性を備えた樹脂製の薄膜(以下「樹脂系被覆膜」という)が衣料品の生地の一部として利用されている。例えば、このような樹脂系被覆膜は、織物や編物などの表地(基材)に湿式製法又は乾式製法により直接に積層形成されたり、或いは、表地にフィルムラミネーションにより貼着されて積層形成される。織物や編物などの表地は、元来より通気性や透湿性は備えるが防水特性の薄弱な素材であり、上記した樹脂系被覆膜が積層されることにより防水性が更に付与される。しかも、樹脂系被覆膜は、防水性に加えて透湿性をも兼ね備えるので、表地の透湿性の低下も抑制される。
図6は、従来の衣料品20に使用される生地の断面図である。図6(a)に示すように衣料品20の生地は、表地21の一面(図6下側)に上記の樹脂系被覆膜22が積層され、その樹脂系被覆膜22における表地21の非積層面側(図6下側)に断熱材としての綿23が積層され、その綿23における樹脂系被覆膜22の非積層面側(図6下側)に裏生地24が積層されている。ここで、衣料品20の裏生地24は、織物や編物などで形成されており、その表面に必要に応じて各種の多色模様が印刷され、衣料品20のデザイン性や美的価値を付与する役目を果たしている。
これに対して、衣料品20に薄手の生地を使用する場合には、図6(b)に示すように、表地21の一面に樹脂系被覆膜22が積層され、その樹脂系被覆膜22の他面側(図6下側)に直接に裏生地24が積層される。ところが、このように樹脂系被覆膜22に裏生地24を直接に積層すると、裏生地24を樹脂系被覆膜22に積層させない場合に比べて、衣料品20の生地全体としての厚み、衣料品20の重量、及び、衣料品20自体の製造価格が、それぞれ増加してしまう。一方で、裏生地24に印刷される各種の多色模様は衣料品20のデザイン性や美的価値を付与する意味で衣料品20に不可欠なものである。
そこで、本願出願人は、表地21に積層された樹脂系被覆膜22に直接に印刷模様を施すことを考えた。ここで、透湿性及び防水性を備えた多孔性フィルムへの印刷技術に関する先行公知文献として、特開平7−278329号公報(以下「引用例1」という)がある。この引用例1によれば、主として鮮明な印刷が可能な多孔性フィルムに関する技術内容が記載されており、その一部に当該多孔性フィルムへの印刷技術が記載されている。
ところが、引用例1の具体的な実施形態や実施例に記載される多孔性フィルムへの印刷は、当該フィルムへの単色印刷に関するものであり、透湿性及び防水性を有する多孔性フィルムへの印刷技術については記載されていない。しかも、印刷対象となる樹脂系被覆膜は、引用例1に開示される多孔性フィルムに限定されるため、透湿性及び防水性を有するその他の樹脂系被覆膜へ多色印刷についても開示されていない。これに対して、特開2000−153596号公報(以下「引用例2」という)には、主としてグラビア印刷機による基材フィルムへの印刷技術が開示されている。
特開平7−278329号公報 特開2000−153596号公報
しかしながら、引用例2記載のグラビア印刷機による多色印刷が樹脂系被覆膜に施された場合に、当該樹脂系被覆膜の透湿性が阻害される虞がある。例えば、引用例1記載の多孔性フィルムに対して、引用例2記載のグラビア印刷機による多色印刷をなした場合、多孔性フィルム面には多色分の複数の塗工膜が積層形成されるが、これらの複数の塗工膜により多孔性フィルムの微孔が閉塞され、多孔性フィルムの透湿性が低下又は滅失してしまう問題点がある。
また、グラビア印刷方式で使用される刷版(以下「グラビア刷版」という)は、例えば、スクリーン印刷方式で使用される刷版(以下「スクリーン刷版」という)に比べて製造コストが高額である。例えば、グラビア刷版は1個当たり約30万円程度する場合があるの対して、スクリーン刷版は1個当たり約2万円弱の価格に抑制される。しかも、樹脂系被覆膜へ多色印刷を施す場合には、各色毎に高価なグラビア刷版がそれぞれ必要となるので、印刷模様の色数が増加する毎に多額の設備投資が必要となるという問題点がある。
また、衣料品20に用いられる生地は商品単価が極めて低廉であり、その製造コストの削減や抑制が必須要件である。更に、衣料品20の生地は、その色や模様などによって販売量が大きく左右されるので、流行に応じて市場で要求される色や模様に短期的に変更する必要がある。このため、衣料品20の生地は、予めの見込みで大量生産することができず、主に少量生産でかつ受注生産による場合が多く、その上でも多額の設備投資を抑制する必要がある。
しかしながら、樹脂系被覆膜への多色印刷方式にグラビア印刷方式を採用する場合には、デザイン変更が短期の頻繁に行われると、高価なグラビア刷版を短期間に何度も且つ何個も交換する必要が生じ、それだけでも多額の設備投資が必要となるという問題点がある。そこで、本願出願人は、透湿性及び防水性を有する樹脂系被覆膜に対してスクリーン印刷方式による多色印刷を採用することで、印刷設備に対する設備投資の削減を試みること提案した。
ところが、スクリーン印刷方式によって、透湿性及び防水性を有する樹脂系被覆膜への多色印刷(捺染)を実際に試みたところ、当該樹脂系被覆膜が防水性を有するがため、従来の印刷剤(印刷糊)用バインダに顔料を調合した印刷糊は、当該樹脂系被覆膜内へ浸透せず、当該樹脂系被覆膜上に残存してしまうという問題点が生じた。このため、1色目のスクリーン刷版による印刷後、2色目以降のスクリーン刷版により樹脂系被覆膜上へ印刷を施すと、2色目以降のスクリーン刷版の印面が印刷済みの印像を圧潰して、印刷模様を汚損させてしまうという問題点があった。
しかも、印刷済みの印像が圧潰されると、2色目以降のスクリーン刷版の印面に印刷糊が大量に付着することともなる。このようにスクリーン刷版の印面に付着する印刷糊が大量に蓄積されると、樹脂系被覆膜の印刷品質が低下する虞があるので、かかる印刷品質を維持するためにスクリーン刷版を洗浄して余分な印刷糊を頻繁に除去する必要がある。しかし、このような洗浄が頻繁に行われたのでは、印刷工程を含めた衣料品20の生地の生産作業が繁雑となることに加えて、生産ラインを頻繁に停止させる必要もあり衣料品20の生地の生産性の低下も招来し、製造コストの上昇を招くという問題点もある。
そこで、上記引用例2記載のグラビア印刷機のように、各色の印刷工程の間にオーブンを設置することによって、当該オーブンの熱風により印刷糊を乾燥させることも可能とは考えられる。しかしながら、この様なオーブンの設置は、印刷設備に対する設備投資を別途招来してしまうので、結果として、衣料品20の生地の製造コストの上昇を招いてしまうという問題点を内包している。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜の面に多色印刷を施すために用いられる浸透性が優れた印刷剤用バインダを添加した印刷剤を用いて印刷されたプリント被覆膜、そのプリント被覆膜を用いた積層体、及び、被覆膜印刷方法を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載のプリント被腹膜は、防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜と、その樹脂系被覆膜の少なくとも一面に塗布される吸水剤と、その吸水剤の塗布された前記樹脂系被覆膜の一面に印像を印刷することで形成される印刷面とを備えており、その印刷面に印像を印刷する印刷剤として、前記樹脂系被覆膜に塗料を定着させるために樹脂固形分として水溶性樹脂を有し、水分中に微細油滴が分散された希釈剤により希釈され、且つ、界面活性剤が添加されている印刷剤用バインダと、その印刷剤用バインダに塗料として調合される顔料とを有する印刷剤が用いられるものである。
請求項2記載のプリント被覆膜は、請求項1記載のプリント被覆膜において、前記印刷面は、前記印刷剤がスクリーン印刷により前記樹脂系被覆膜に捺染されることによって、前記印像が形成されるものである
請求項3記載の積層体は、請求項1又は2に記載のプリント被覆膜と、そのプリント被覆膜の一面に一体的に取着され透湿性を有したシート状に形成される基材と、その基材の取着面とは反対面であって前記印刷剤による印刷が施された前記印刷面に貼着されると共に、目が粗く且つ糸材が細く形成され一面側から他面側を透視可能なシート状に形成される保護材とを備えている。
請求項4記載の被覆膜印刷方法は、防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜の一面に吸水剤を塗布する吸水化工程と、その吸水化工程により吸水剤が塗布された前記樹脂系被覆膜の一面に印刷剤を捺染する印刷工程とを備えており、その印刷工程によって捺染される印刷剤として、前記樹脂系被覆膜に塗料を定着させるための樹脂固形分として水溶性樹脂を有し、水分中に微細油滴が分散された希釈剤により希釈され、且つ、界面活性剤が添加されている印刷剤用バインダと、その印刷剤用バインダに塗料として調合される顔料とを有する印刷剤が用いられる。
請求項5記載の被覆膜印刷方法は、請求項4記載の被覆膜印刷方法において、前記印刷工程は、前記印刷剤をスクリーン印刷により前記樹脂系被覆膜へ捺染するものである。
本発明プリント被覆膜、積層体、又は被覆膜印刷方法によれば、印刷剤用バインダ希釈剤により希釈されているので、印刷剤用バインダ全体に占める樹脂固形分の割合が減少されると共に、印刷剤用バインダの曳糸性が減少されている。従って、この印刷剤用バインダを用いた印刷剤によれば、透湿性を有する樹脂系被覆膜に塗布される場合に、その樹脂系被覆膜の表面が樹脂固形分で塞がれる割合を減少させて、印刷に伴う樹脂系被覆膜の透湿度の低下を抑制できるという効果がある。
しかも、希釈剤には微細油滴が分散状態で含まれるので、印刷剤用バインダを単に水分のみで希釈させる場合に比べて、希釈後の印刷剤用バインダの粘度が極端に低下することを抑制できるという効果もある。また、希釈剤が水分を主成分とすることによって、水溶性樹脂との混合を容易に為すことができるという効果もある。
更に、印刷剤用バインダは、界面活性剤の添加によって樹脂系被覆膜への浸透性が向上されている。従って、この印刷剤用バインダを用いた印刷剤は、防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜へ塗布されると、その印刷剤用バインダの樹脂固形分を除く成分が樹脂系被覆膜へ迅速に浸透されるので、樹脂系被覆膜の表面上における印刷剤の積層厚みを最小限に抑制できるという効果がある。
しかも、このプリント被覆膜によれば、印刷面には印刷以前に吸水剤が塗布されるので、印刷剤用バインダの樹脂固形分を除く成分が樹脂系被覆膜へ浸透する際の浸透速度を更に向上させることができるという効果がある。
このため、多色印刷する場合において、樹脂系被覆膜に印刷された印像が第2色目以降の刷版印面により潰されることを抑制でき、その印像を形成する印刷剤が第2色目以降の刷版印面に付着することも抑制できるという効果がある。よって、印刷剤の付着により刷版を頻繁に洗浄する必要もなく、生産作業性を向上できるという効果がある。
また、塗料として顔料が調合されている印刷剤によれば、特に、樹脂系被覆膜の種類に関わらず、防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜であれば、その防水性及び透湿性のうちいずれの性能も大きく損なうことなく当該樹脂系被覆膜へ印刷できる。すなわち、印刷に適した樹脂系被覆膜のみならず、従来は印刷に不適当とされてきた防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜へも印刷を施すことができるという効果がある。
上記した印刷剤を用いて樹脂系被覆膜の印刷面に印刷される印像は、上記した印刷剤用バインダを用いた印刷剤と吸水剤とを用いて印刷されるので、印刷剤の膜をごく薄く抑制できる。よって、例えば、多色印刷が樹脂系被覆膜に施される場合に、1色印刷する毎に樹脂系被覆膜上の印刷剤を乾燥工程により乾燥させずとも、印刷面上の印刷剤の潰れや、次の刷版印面への印刷剤の付着を抑制できる。よって、乾燥工程が不要となる分、印刷設備の設備コストの低減や、生産性を向上できるという効果がある。
請求項2記載のプリント被腹膜によれば、特に、スクリーン印刷により印刷面が印刷されるので、グラビア印刷などに比べて刷版の製造コストを低減できる。また、印刷面の印刷模様が短期サイクルで頻繁に変更されても、スクリーン印刷方式における刷版はグラビア印刷方式に比べて極めて低廉であるので、印刷模様の頻繁な変更に伴う設備投資を抑制できるという効果がある。
請求項3記載の積層体によれば、特に、保護材が樹脂系被覆膜に積層されても、樹脂系被覆膜の印刷済みの印刷面は、保護材の目を通して透視することができる。しかも、かかる保護材を通して樹脂系被覆膜の印刷模様を透かし見ることで、印刷模様の色合いを柔らかくでき、更に当該印刷模様に奥行き感をも付与できるという効果がある。
また、樹脂系被覆膜の印刷面は保護材により覆われるので、樹脂系被覆膜の印刷面から印刷剤が剥離することを防止でき、印刷模様の色落ちや色写りを防止できるという効果がある。更に、保護材は目が粗く糸材が細いので、積層体全体としての厚みや重量の大幅な増加も抑制できるという効果がある。
請求項4記載の被覆膜印刷方法によれば、特に、その印刷工程によって請求項1記載のプリント被覆膜と同様の効果を前記樹脂系被覆膜へ付与でき、その吸水化工程によって請求項1記載のプリント被覆膜と同様の効果を前記樹脂系被覆膜へ付与できる。また、請求項5記載の被覆膜印刷方法によれば、特に、その印刷工程によって請求項2記載のプリント被覆膜と同様の効果を前記樹脂系被覆膜へ付与できる。
以下、本発明の好ましい実施例について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例である多色印刷処理が施される樹脂系被覆膜積層体(以下「積層体」という)1の断面を拡大視した顕微鏡写真であって、図1(a)は、樹脂系被覆膜3が湿式製法フィルムで形成された積層体1のものであり、図1(b)は、樹脂系被覆膜3が乾式製法フィルムで形成された積層体1のものである。なお、図中では、基材2として織物が撮影されている。
図1(a),(b)に示すように、積層体1は、基材2と、樹脂系被覆膜3とを備えており、基材2の一面に樹脂系被覆膜3が当接するように積層されて一体的に形成されている。基材2は、ナイロン系樹脂、ポリエステル系樹脂、綿、羊毛(ウール)等からなる各種繊維の織物(又は編物)である。また、樹脂系被覆膜3は、透湿性及び防水性を有する樹脂製の被覆膜であり、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン樹系脂、PTFE系樹脂、ポリエステル系樹脂などの各種樹脂で形成可能である。
このように樹脂系被覆膜3には上記のように種々の素材を使用可能であるが、以下では、ポリウレタン樹脂を素材として湿式製法(図1(a)参照)または乾式製法(図1(b)参照)により製造される樹脂系被覆膜3に限定して説明する。なお、当然のことながら、他の素材から成る透湿性及び防水性を有する樹脂製の被膜にも、本実施例を適用することは可能である。
図1(a)に示した樹脂系被覆膜3は、湿式製法により製造されるポリウレタン樹脂製の薄膜(以下「湿式製法フィルム」という)であり、その厚みが略30μm〜略35μmに形成されている。以下に図2(a)から図2(e)の顕微鏡写真を参照して、湿式製法フィルムについて説明する。
図2(a)は、湿式製法フィルムの断面を2,500倍に、図2(b)は、湿式製法フィルムの一面(図2(a)下側の面)を1,000倍に、図2(c)は、湿式製法フィルムの一面(図2(a)下側の面)を10,000倍に、図2(d)は、湿式製法フィルムの他面(図2(a)上側の面)を1,000倍に、図2(e)は、湿式製法フィルムの他面(図2(a)上側の面)を10,000倍に、拡大視した顕微鏡写真である。
湿式製法フィルムには、図2(a)に示すように、その内部に超微細で且つ均一に分散する多数の気孔が相互に連通した状態で形成されている。この多数の気孔は、湿式製法フィルム内に単位面積(1平方インチ)当たり略50万個ほど形成されており、その孔幅が略0.3μm〜略3μmとされている。
ところで、水蒸気の粒径は略0.4nm(=0.0004μm)程度であり、雨粒にあっては最も細かな霧雨から最も大きな雷雨までの粒径が略100μmから略3mm(=3,000μm)程度の範囲となる。すなわち、湿式製法フィルムは、その多数の気孔の孔幅が水蒸気の粒径より大きく且つ雨粒の粒径より小さいので、かかる多数の気孔を通じて水蒸気粒子を通過させる透湿性を備えると共に、これとは相反する雨粒の浸透を阻止する防水性とを備えるのである。
特に、湿式製法フィルムの一面の気孔(図2(b),(c)参照)は、他面の気孔(図2(d),(e)参照)に比べて孔幅全体的に小さく形成されており、この気孔の孔幅が小さな方の面に基材2を積層することによって、雨粒が樹脂系被覆膜3内へより浸透し難くすることができる。
また、樹脂系被覆膜3を形成する湿式製法フィルムは、基材2に積層された状態でも透湿度が略10,000g/m・24h〜略15,000g/m・24hとされている。例えば、人体からの発汗量は、個人差は存在するものの、休憩時に略350g/m・24h、時速5.5kmの歩行時に略1,300g/m・24h、ジョギング時に略2,500g/m・24hであり、これらは湿式製法フィルム製の樹脂系被覆膜3の透湿度を大きく下回るものであって、当該樹脂系被覆膜3には充分な透湿性が確保されている。
なお、上記した透湿度とは、24時間当たりに1mの樹脂系被覆膜3を通過する水蒸気の質量に相当する。
また、当該湿式製法フィルムは、図1(a)に示すように基材2に積層された状態において防水性を表す物性値である耐水圧が平均略20,000mmHO(水柱)(=2kgf/cm≒1.96Mpa)以上とされている。ここで、レインコートの耐水圧は一般に略500〜1,000mmHOを確保できれば充分とされており、これに対してアウトドア用のレインコートの耐水圧はその略20倍以上確保されており、当該湿式製法フィルムはこれに匹敵する耐水性が確保されている。
例えば、体重が略75kgfの人間の場合、その者が着座すると臀部に略0.2kgf/cm、又は跪くと膝部に略1.1kgf/cmの圧力が加わり、これらを耐水圧に換算すると略2,000mmHO、又は略11,000mmHOとなり、これらの値は当該樹脂系被覆膜3の耐水圧を下回るものである。すなわち、当該樹脂系被覆膜3を形成する湿式製法フィルムには充分な防水性も確保されている。
一方、図1(b)に示した樹脂系被覆膜3は、乾式製法により製造されるポリウレタン樹脂製の薄膜(以下「乾式製法フィルム」という)であり、その厚みが略10μm〜略25μmに形成されている。この乾式製法フィルムは、上記した湿式製法フィルムにおける透湿機能とは異なり、当該フィルムに内包される親水性を有した官能基(以下「親水基」という)により透湿機能が確保されている。
この乾式製法フィルムは、上記した湿式製法フィルムとは異なり多数の気孔を有しておらず、乾式製法フィルムの一面側の水蒸気濃度が上昇すると、当該フィルム内部の親水基により当該フィルム内へ水蒸気(水分)が取り込まれ、かかる水分を当該フィルムにおける水蒸気濃度の低い他面側へ移行させて、当該フィルムの他面側から水蒸気として放散させるものである。このように乾式製法フィルムは、自己の親水基により水蒸気を通過させる透湿性を備えると共に、これとは相反する雨粒の浸透を阻止する防水性とを備えるのである。
また、樹脂系被覆膜3を形成する乾式製法フィルムは、基材2に積層された状態でも透湿度が略15,000g/m・24h〜略20,000g/m・24hとされており、上記した湿式製法フィルムの透湿度を更に上回る性能が確保されている。しかも、乾式製法フィルムの耐水圧は、基材2に積層された状態でも略15,000mmHO〜略20,000mmHOとされており、上記した湿式製法フィルムを上回る防水性も確保されている。
以上説明した樹脂系被覆膜3は、例えば、湿式コーティング方法、乾式コーティング方法、又はフィルムラミネーション方法によって基材2の一面に形成される。湿式コーティング方法とは、透湿性及び防水性を有する樹脂を、基材2の一面に均一な薄膜状に直接塗布し、その塗布後に基材2ごと水中を通過させることで、基材2に塗布された樹脂中に含まれる水溶性の溶剤を水中へ溶出させて、基材2の表面上に上記した湿式製法フィルムから成る被覆膜を直接に形成するものである。なお、湿式製法フィルムでは、基材2に塗布された樹脂中から溶剤が溶出した跡が多数の気孔となって、当該フィルムに透湿性が付与される。
また、乾式コーティング方法とは、透湿性及び防水性を有する樹脂(上記湿式コーティング方法のものとは異なる樹脂)を、基材2の一面に均一な薄膜状に直接塗布し、その塗布後に即座に乾燥させて、基材2の表面上に上記した乾式製法フィルムから成る被覆膜を直接に形成するものである。更に、フィルムラミネーションとは、上記乾式製法又は湿式製法フィルム材を基材2に接着することにより、基材2の表面上に樹脂系被覆膜3を形成するものである。
ここで、フィルムラミネーションにより樹脂系被覆膜3を基材2へ接着する場合、樹脂系被覆膜3の表面が接着剤により覆われると、樹脂系被覆膜3の透湿度が低下する。そこで、基材2又は樹脂系被覆膜3のいずれか一方の面に接着剤を例えば点状若しくは線上に塗布することによって、樹脂系被覆膜3の表面において接着剤で覆われる面積が最小限に抑制されている。
図3は、上記した樹脂系被覆膜3に対する多色印刷に使用される印刷糊4の製造工程の一例を示す概略図である。印刷糊4は、樹脂系被覆膜3の表面に模様を印刷するための印刷剤であって、塗料としての顔料5を樹脂系バインダ6に添加したものである。ここで、印刷糊4の顔料5には、例えば、有機系顔料、無機系顔料、天然系顔料、又はカーボンブラックなどの水溶性の各種顔料を使用可能である。
樹脂系バインダ6には、例えば、水溶性のアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、又はポリエステル系樹脂などが使用可能である。例えば、安価で且つ入手容易な水溶性アクリル樹脂を樹脂系バインダ6として使用する場合、この水溶性アクリル樹脂の樹脂固形分は、従来の水溶性アクリル樹脂製の印刷剤用バインダの樹脂固形分が略30重量%であるのに対して、略9.5%にまで低下されている。
このように樹脂系バインダ6の樹脂固形分を少なくすることによって、印刷糊4が樹脂系被覆膜3の表面に塗布された場合、その樹脂系被覆膜3の表面が樹脂固形分で塞がれる割合を減少させ、印刷に伴う樹脂系被覆膜3の透湿度の低下を抑制できる。また、塗布された印刷糊4の膜を薄くし、樹脂系被覆膜3への浸透速度を向上できるので、次の刷版へ付着する印刷糊4の量を抑制できる。
しかも、樹脂系バインダ6は、従来の印刷剤用バインダに比べて曳糸性が小さくされている。ここで、曳糸性とは、いわゆる造膜性のことであり、換言すれば粘性に類似する特性であって樹脂が糸を曳く特性である。このように樹脂系バインダ6自身の曳糸性を小さくすることによって、印刷糊4が樹脂系被覆膜3に塗布された場合、当該樹脂系バインダ6により形成される膜が途切れ易く且つ薄くなる。これによって、当該樹脂系バインダ6が成す膜で樹脂系被覆膜3の表面が塞がれる割合を更に減少でき、樹脂系被覆膜3の表面の透湿度の低下を抑制することができる。
ところで、印刷糊4には、刷版により樹脂系被覆膜3へ塗布される場合、次色の刷版による印刷時に印刷模様の潰れや、次色の刷版印面への印刷糊4の付着を防止するため、以下の処理が施されている。
具体的に、印刷糊4の樹脂系バインダ6は、水分中に微細な油滴が分散された混合物であるO/W型エマルジョン7によって希釈されている(図3のA1)。O/W型エマルジョン7は、一般に、染料による織物への印刷時に曳糸性を更に小さくすると共に発色性を改善するために使用される希釈剤であり、樹脂系バインダ6を希釈させて当該バインダ6の樹脂固形分の割合や曳糸性を減少させる目的に使用される。
しかも、当該エマルジョン7には油滴が分散状態で含まれるので、単に水分のみで希釈させる場合に比べて、希釈後の樹脂系バインダ6の粘度が極端に低下することを抑制できる。また、当該エマルジョン7は、水分が主成分であるので水溶性である樹脂系バインダ6との混合を容易に為すことができる。なお、本実施例の樹脂系バインダ6は、それと略等しい重量のO/W型エマルジョン7により希釈されており、樹脂系バインダ6とO/W型エマルジョン7との重量比は略1:1とされる。
更に、樹脂系バインダ6には、脂肪族高級アルコール系浸透剤8が添加されている(図3のA2)。脂肪族高級アルコール系浸透剤8は、一般に染料による織物等への印刷時に染料の浸透性を向上させるためのものであり、界面活性剤の一種である。この脂肪族高級アルコール系浸透剤8が樹脂系バインダ6に添加されることで、当該バインダ6の樹脂系被覆膜3への浸透性が向上される。例えば、脂肪族高級アルコール系浸透剤8が添加された場合、樹脂系バインダ6及びO/W型エマルジョン7の混合物の割合を略99重量%とするのに対して、脂肪族高級アルコール系浸透剤8の割合は略1重量%とされる。
上記のようにA1及びA2の工程で得られた混合物に所定の色の顔料5が調合されると(A3)、所定の色に着色された印刷糊4が得られる。なお、顔料5の調合は、必ずしもO/W型エマルジョン7による希釈(A1)後、及び、脂肪族高級アルコール系浸透剤8の添加(A2)後に限定されるものではなく、例えば、工程A1前、又は、工程A1と工程A2との間、のいずれかであっても良い。
上記のように構成された印刷糊4によれば、樹脂系被覆膜3へ塗布されると樹脂系バインダ6の樹脂固形分を除く成分が樹脂系被覆膜3へ迅速に浸透されるので、樹脂系被覆膜3の表面上における印刷糊4の積層厚みを最小限に抑制でき、次色の刷版による印像の潰されや、印刷糊4が次色の刷版印面に付着することを防止できる。図4に、印刷糊4を使用した場合と、従来の印刷剤を使用した場合とを比較して、樹脂系被覆膜3の透湿度が示されている。
図4は、本実施例の印刷糊4により印刷した場合の樹脂系被覆膜3の透湿度の変化を示した図である。ここで、試料1及び2とは上記した乾式製法フィルムによる樹脂系被覆膜3の単体であり、試料3とは上記した湿式製法フィルムによる樹脂系被覆膜3の単体である。図4に示すように、印刷される以前の状態で、試料1の透湿度は22,000g/m・24h、試料2の透湿度は25,000g/m・24h、試料3の透湿度は16,000g/m・24hである。
ここで、従来の印刷剤用バインダ(水溶性アクリル樹脂を主成分として30%含むもの)を用いた印刷剤(印刷糊)により試料1〜3に印刷した場合、試料1の透湿度は2,300g/m・24h、試料2の透湿度は2,600g/m・24h、試料3の透湿度は2,600g/m・24hとなり、印刷以前の透湿度の略8%から略24%の値に低下している。
これに対して、本実施例の印刷糊4により試料1〜3に印刷した場合、試料1の透湿度は18,000g/m・24h、試料2の透湿度は20,000g/m・24h、試料3の透湿度は11,000g/m・24hとなっている。この結果、印刷糊4による印刷後の試料1〜3の透湿度は、それらの印刷以前の透湿度の略68%から略82%の範囲の値にまで低下はしているが、従来の印刷剤に比べて樹脂系被覆膜3の透湿度の低下が大幅に抑制されている。
図5は、スクリーン捺染機10の概念図であって、図5(a)は、積層体1が第2色目のスクリーン刷版11の下方まで搬送された状態を示し、図5(b)は、図5(a)に示す位置まで搬送された積層体1に対して第1及び第2色目のスクリーン刷版11,11による印刷が行われている状態を示している。尚、図5では、スクリーン印刷機として、フラット(平板型)スクリーン捺染機を例に説明するが、スクリーン印刷機の形態は必ずしもこれに限定されるものではなく、ロータリ(筒型)スクリーン捺染機であっても良い。
図5に示すように、スクリーン捺染機10は、少なくとも3つのスクリーン刷版11,11,11と、搬送ベルト12とを備えており、各スクリーン刷版11,11,11は、その幅Lと等しい長さ分ずつ間隔を隔てて搬送ベルト12の上方に配設されている。各スクリーン刷版11,11,11は、印刷糊供給装置(図示せず)によりそれぞれ異なる色の印刷糊4の供給を受けると共に、昇降装置(図示せず)によって図5(a)の実線で示す位置と2点鎖線で示す位置との間を昇降される。
また、各スクリーン刷版11の下面には積層体1へ印像を捺染するための印面11aが形成されており、昇降装置によりスクリーン刷版11が下降されると、この印面11aによって印刷糊4が樹脂系被覆膜3へ捺染されて塗着される。搬送ベルト12は、無端環状に形成されており、その内周両側に内接される一対のローラが駆動装置(図示せず)により時計方向へ回転されることによって、その上面に載せられた積層体1を第1色目のスクリーン刷版11側(図5左側)から第3色目のスクリーン刷版11側(図5右側)へと搬送するものである。
搬送ベルト12の上面に載置される積層体1は、その基材2が搬送ベルト12面に粘着剤を介して貼着された状態で搬送される。この粘着剤は、搬送ベルト12上に積層体1を一時的に固定させる一方、積層体1を搬送ベルト12から引き剥がすための一定以上の力が積層体1に作用すると、積層体1を搬送ベルト12から剥離させる。
また、搬送ベルト12は、積層体1の先端部(図5右側)が第1色目のスクリーン刷版11の下方に到達すると一時的に停止され、この停止状態を一定時間保持した後、積層体1を幅Lだけ移動させた後に再び停止され、この後、幅Lずつの間欠的な搬送移動を繰り返す。このように搬送ベルト12が停止されると、積層体1の樹脂系被覆膜3にスクリーン刷版11による捺染が行われるのである。
次に、積層体1の樹脂系被覆膜3への印刷処理について説明する。まずは、スクリーン捺染機10の第1色目のスクリーン刷版11により印刷がなされる以前に、印刷糊4が塗布(捺染)される樹脂系被覆膜3には、その印刷糊4の塗布面に吸水剤が塗布される。この吸水剤は、一般に疎水性の織物等に塗布することによって織物等の親水性を向上させて吸湿機能を付与させるものである。
本実施例では、吸水剤を樹脂系被覆膜3の表面に塗布させることによって、当該樹脂系被覆膜3の印刷面に親水性を付与し、印刷糊4(特に樹脂系バインダ6)の樹脂系被覆膜3への浸透を更に促すことができる。ここで、吸水剤は、それが塗布される疎水性繊維に応じて種々のものがあり、例えば、ポリエステル樹脂系のものや、ナイロン樹脂系のものがある。これは、疎水性繊維としてポリエステル系繊維やナイロン樹脂系繊維が代表的であることによる。
一般に、ポリエステル系繊維にはポリエステル系吸水剤が、ナイロン系繊維にはナイロン系吸水剤が使用されるが、樹脂系被覆膜3は上記した通りウレタン系樹脂で形成されるため、いずれの吸水剤が適するか不明であるため、試験を行い、その試験結果が良好であったポリエステル系吸水剤を本実施例では使用している。なお、吸水剤は、水分によって濃度が略5重量%とされた状態で、グラビア用の印刷ローラによって樹脂系被覆膜3の表面に全面塗布される。
上記した吸水剤の塗布後、積層体1は、その基材2が下方を向き、樹脂系被覆膜3が上方を向いた状態で、搬送ベルト12の始端側(図5左側)へ搬送され、積層体1の基材2が粘着剤を介して搬送ベルト12上に貼着される。貼着された積層体1は搬送ベルト12によって搬送され、積層体1の先端部分(図5右側)における樹脂系被覆膜3が第1色目のスクリーン刷版11と対向する位置に達すると、搬送ベルト12の搬送移動が一旦停止される。
搬送ベルト12が一旦停止されると、第1色目のスクリーン刷版11が昇降装置により下降され、当該刷版11に供給された印刷糊4が樹脂系被覆膜3へ塗着され捺染がなされ、第1色目のスクリーン刷版11が昇降装置により上昇される。この後、搬送ベルト12が幅Lだけ搬送移動される毎に、第1色目のスクリーン刷版11による捺染が繰り返し行われる。
また同様にして、積層体1の先端部分における樹脂系被覆膜3が第2色目以降のスクリーン刷版11と対向する位置に達すると、その対向する2色目以降のスクリーン刷版11によって、第1色目のスクリーン刷版11によるのと同様の捺染がなされ、搬送ベルト12により搬送される積層体1に全色の印刷がなされると、積層体1は搬送ベルト12から剥離され、次工程へ搬送される。
次に、上記実施例の変形例について説明する。第2実施例の積層体は、上記した第1実施例の積層体1に対して、その積層体1の樹脂系被覆膜3側の面に更に生地を積層させたものである。具体的には、積層体1の樹脂系被覆膜3に多色印刷を施した後、その樹脂系被覆膜3の上に更にトリコット生地を接着させている。ここで、トリコット生地は、基材2に比べて織目や編目が粗い織物や編物であって、その織物や編物を構成する糸材が基材2に比べて細く形成され、且つ、その織物や編物の一面側から他面側を透視可能なシート状に形成されている布地であり、例えば、ナイロントリコット等が使用可能である。
このようなトリコット生地が樹脂系被覆膜3に積層されても、樹脂系被覆膜3に印刷済みの模様は、トリコット生地の織目や編目を通してトリコット生地を透けて露呈される。しかも、トリコット生地を通して透かし見えることで、樹脂系被覆膜3に施された印刷模様の色合いは柔らかくなり、更に当該印刷模様に奥行き感も付与される。
また、樹脂系被覆膜3の印刷面はトリコット生地により覆われるので、かかるトリコット生地により樹脂系被覆膜3の印刷面からの顔料の剥離を防止して、印刷模様の色落ちや色写りを防ぐこともできるのである。しかも、例えば、このように基材2及びトリコット生地によって乾式製法フィルム製の樹脂系被覆膜3が挟み込まれた場合、かかる積層体は、略20,000mmHOの耐水圧と、略15,000g/m・24hの透湿度とを確保することができる。
なお、トリコット生地を積層体1の樹脂系被覆膜3へ積層させる場合には、一般的なラミネーション装置により容易に積層させることができる。この積層に際しては、樹脂系被覆膜3を基材2にフィルムラミネーションする場合と同様に、樹脂系被覆膜3又はトリコット生地のいずれか一方の面に接着剤を例えば点状若しくは線上に塗布しても良い。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、本実施例で説明した積層体1又はそれにトリコット生地を積層した積層体の用途は、必ずしも衣料品に限定されるものではなく、他の用途に転用しても良い。
また、本実施例では、印刷対象としてポリウレタン樹脂製の樹脂系被覆膜3についての印刷糊4の有効性について示したが、本実施例の印刷糊4は、必ずしもポリウレタン樹脂製の樹脂系被覆膜に対してのみ効果を奏するものではなく、上記した他の素材で形成される防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜についても当然に有効である。
また、本実施例では、印刷糊4の樹脂系バインダ6として主成分(樹脂固形分)が水溶性アクリル樹脂のものを例に説明したが、本実施例の印刷糊に使用されるバインダの主成分は必ずしもこれに限定されるものではなく、上記した他の素材を主成分とする樹脂系バインダによって本実施例の印刷糊を製造しても良い。ただし、かかる場合には樹脂系バインダの樹脂固形分を可能な限りで低減させる必要があり、且つ、O/W型エマルジョン7及び脂肪族高級アルコール系浸透剤8の配合割合を若干変更する必要性も発生しうることは当然に予測されることである。
また、本実施例では、印刷糊4による樹脂系被覆膜3への印刷処理において、スクリーン捺染機10によるスクリーン印刷方式を用いて説明したが、本実施例の印刷糊4による印刷処理は必ずしもスクリーン印刷方式に限定されるものではなく、例えば、グラビア印刷方式に適用しても良い。かかるグラビア印刷方式にて印刷糊4による印刷を適用すれば、印刷糊4を樹脂系被覆膜3へ迅速に浸透させることができるので、グラビア印刷工程における乾燥工程の削減や規模縮小を図ることもできる。
本発明の一実施例である多色印刷処理が施される樹脂系被覆膜積層体の断面図を拡大視した顕微鏡写真であって、(a)は、樹脂系被覆膜が湿式製法フィルムで形成された積層体のものであり、(b)は、樹脂系被覆膜が乾式製法フィルムで形成された積層体のものである。 (a)は、湿式製法フィルムの断面を2,500倍に、(b)は、湿式製法フィルムの一面を1,000倍に、(c)は、湿式製法フィルムの一面を10,000倍に、(d)は、湿式製法フィルムの他面を1,000倍に、(e)は、湿式製法フィルムの他面を10,000倍に、拡大視した顕微鏡写真である。 樹脂系被覆膜に対する多色印刷に使用される印刷糊の製造工程の一例を示す概略図である。 本実施例の印刷糊により印刷した場合の樹脂系被覆膜の透湿度を示した表である。 スクリーン捺染機の概念図であって、(a)は、積層体が第2色目のスクリーン刷版の下方まで搬送された状態を示し、(b)は、(a)に示す位置まで搬送された積層体に対して第1及び第2色目のスクリーン刷版による印刷が行われている状態を示している。 従来の衣料品に使用される生地の断面図である。
符号の説明
1 樹脂系被覆膜積層体
2 基材
3 樹脂系被覆膜
4 印刷糊(印刷剤)
5 顔料(塗料)
6 樹脂系バインダ(印刷剤用バインダ)
7 O/W型エマルジョン(希釈剤)
8 脂肪族高級アルコール系浸透剤(界面活性剤)
10 スクリーン捺染機
11 スクリーン刷版
12 搬送ベルト

Claims (5)

  1. 防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜と、
    その樹脂系被覆膜の少なくとも一面に塗布される吸水剤と、
    その吸水剤の塗布された前記樹脂系被覆膜の一面に印像を印刷することで形成される印刷面とを備えており、
    その印刷面に印像を印刷する印刷剤として、前記樹脂系被覆膜に塗料を定着させるために樹脂固形分として水溶性樹脂を有し、水分中に微細油滴が分散された希釈剤により希釈され、且つ、界面活性剤が添加されている印刷剤用バインダと、その印刷剤用バインダに塗料として調合される顔料とを有する印刷剤が用いられるものであることを特徴とするプリント被腹膜。
  2. 前記印刷面は、前記印刷剤がスクリーン印刷により前記樹脂系被覆膜に捺染されることによって、前記印像が形成されるものであることを特徴とする請求項1記載のプリント被覆膜。
  3. 請求項1又は2に記載のプリント被覆膜と、
    そのプリント被覆膜の一面に一体的に取着され透湿性を有したシート状に形成される基材と、
    その基材の取着面とは反対面であって前記印刷剤による印刷が施された前記印刷面に貼着されると共に、目が粗く且つ糸材が細く形成され一面側から他面側を透視可能なシート状に形成される保護材とを備えていることを特徴とする積層体。
  4. 防水性及び透湿性を有する樹脂系被覆膜の一面に吸水剤を塗布する吸水化工程と、
    その吸水化工程により吸水剤が塗布された前記樹脂系被覆膜の一面に印刷剤を捺染する印刷工程とを備えており、
    その印刷工程によって捺染される印刷剤として、前記樹脂系被覆膜に塗料を定着させるための樹脂固形分として水溶性樹脂を有し、水分中に微細油滴が分散された希釈剤により希釈され、且つ、界面活性剤が添加されている印刷剤用バインダと、その印刷剤用バインダに塗料として調合される顔料とを有する印刷剤が用いられることを特徴とする被覆膜印刷方法。
  5. 前記印刷工程は、前記印刷剤をスクリーン印刷により前記樹脂系被覆膜へ捺染するものであることを特徴とする請求項4記載の被覆膜印刷方法。
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