JP5384856B2 - 有機金属錯体、発光素子、発光装置、照明装置、及び電子機器 - Google Patents

有機金属錯体、発光素子、発光装置、照明装置、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明は、有機金属錯体に関する。特に、三重項励起状態を発光に変換できる有機金属錯体に関する。また本発明は、前記有機金属錯体を用いた発光素子、発光装置、並びに電子機器に関する。
有機化合物は、光を吸収することで励起状態となる。そして、この励起状態を経由することにより、種々の反応(光化学反応)を起こす場合や発光(ルミネッセンス)を生じる場合があり、様々な応用がなされている。
光化学反応の一例として、一重項酸素の不飽和有機分子との反応(酸素付加)がある(例えば、非特許文献1参照)。酸素分子は基底状態が三重項状態であるため、一重項状態の酸素(一重項酸素)は直接の光励起では生成しない。しかしながら、他の三重項励起分子の存在下においては一重項酸素が生成し、酸素付加反応に至ることができる。この時、三重項励起分子を形成できる化合物は、光増感剤と呼ばれる。
このように、一重項酸素を生成するためには、三重項励起分子を光励起により形成できる光増感剤が必要である。しかしながら、通常の有機化合物は基底状態が一重項状態であるため、三重項励起状態への光励起は禁制遷移となり、三重項励起分子は生じにくい。したがって、このような光増感剤としては、一重項励起状態から三重項励起状態への項間交差を起こしやすい化合物(あるいは、直接三重項励起状態へ光励起されるという禁制遷移を許容する化合物)が求められている。言い換えれば、そのような化合物は光増感剤としての利用が可能であり、有益と言える。
また、そのような化合物は、しばしば燐光を放出することがある。燐光とは多重度の異なるエネルギー間の遷移によって生じる発光のことであり、通常の有機化合物では三重項励起状態から一重項基底状態へ戻る際に生じる発光のことをさす(これに対し、一重項励起状態から一重項基底状態へ戻る際の発光は、蛍光と呼ばれる)。燐光を放出できる化合物、すなわち三重項励起状態を発光に変換できる化合物(以下、燐光性化合物と称す)の応用分野としては、有機化合物を発光物質とする発光素子が挙げられる。
この発光素子の構成は、電極間に発光物質である有機化合物を含む発光層を設けただけの単純な構造であり、薄型軽量・高速応答性・直流低電圧駆動などの特性から、次世代のフラットパネルディスプレイ素子として注目されている。また、この発光素子を用いたディスプレイは、コントラストや画質に優れ、視野角が広いという特徴も有している。
有機化合物を発光物質とする発光素子の発光機構は、キャリア注入型である。すなわち、電極間に発光層を挟んで電圧を印加することにより、電極から注入された電子およびホールが再結合して発光物質が励起状態となり、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。そして、励起状態の種類としては、先に述べた光励起の場合と同様、一重項励起状態(S)と三重項励起状態(T)が可能である。また、発光素子におけるその統計的な生成比率は、S:T=1:3であると考えられている。
一重項励起状態を発光に変換する化合物(以下、蛍光性化合物と称す)は室温において、三重項励起状態からの発光(燐光)は観測されず、一重項励起状態からの発光(蛍光)のみが観測される。したがって、蛍光性化合物を用いた発光素子における内部量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は、S:T=1:3であることを根拠に25%とされている。
一方、上述した燐光性化合物を用いれば、内部量子効率は75〜100%にまで理論上は可能となる。つまり、蛍光性化合物に比べて3〜4倍の発光効率が可能となる。このような理由から、高効率な発光素子を実現するために、燐光性化合物を用いた発光素子の開発が近年盛んに行われている(例えば、非特許文献2参照)。特に、燐光性化合物としては、その燐光量子収率の高さゆえに、イリジウム等を中心金属とする有機金属錯体が注目されている。
井上晴夫、外3名、基礎化学コース 光化学I(丸善株式会社)、106−110 Zhang、Guo−Lin、外5名、Gaodeng Xuexiao Huaxue Xuebao(2004)、vol.25、No.3、397−400
非特許文献2で開示されているような有機金属錯体は、項間交差を起こしやすいため光増感剤としての利用などが期待できる。また、三重項励起状態からの発光(燐光)を生じやすいため、発光素子へ応用することにより、高効率な発光素子が期待される。しかしながら、このような有機金属錯体の種類はまだ少ないのが現状である。
例えば、非特許文献2で開示されている有機金属錯体の配位子として用いているピラジン誘導体は、エチレンジアミンとα−ジケトン(ベンジル)との脱水縮合反応、およびそれに続く脱水素反応により合成されるが、原料として用いることのできるエチレンジアミン誘導体やα−ジケトンの種類が限られているため、ピラジン誘導体の種類は限られてしまう。したがって、該ピラジン誘導体を配位子とする有機金属錯体の種類も、自ずと限定されてしまう。
また、非特許文献2で開示されている有機金属錯体は、発光スペクトルがブロードであるという問題点もある。このことは色純度の低下を招くため、フルカラーディスプレイなどへの応用を考慮した場合、色再現性の観点で不利な要素となる。また、この有機金属錯体は赤橙色の発光であるが、発光スペクトルがブロードだとスペクトルが深赤色〜赤外の領域まで広がってしまい、発光効率(視感効率(cd/A))を低下させる要因ともなる。
以上のことから、本発明では、種々の誘導体を容易に合成できる有機化合物を配位子として適用することで、燐光発光できる有機金属錯体のバリエーションを豊富にすることを課題とし、特に、発光スペクトルがシャープな発光素子を作製することが可能な有機金属錯体を提供することを課題とする。また、発光効率の高い有機金属錯体を提供することを課題とする。
さらに、このような有機金属錯体を用いて発光素子を作製することで、緑色〜赤色に至るまで、発光色のバリエーションに富んだ発光素子を提供すること課題とする。また、色純度の高い発光素子を提供することを課題とする。また、発光効率の高い発光素子を提供することを課題とする。また、消費電力の低減された発光装置および電子機器を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、下記一般式(G0)で表されるピラジン誘導体が、第9族または第10族の金属イオンに対してオルトメタル化することにより、有機金属錯体を形成でき、当該有機金属錯体が項間交差を起こしやすく、また燐光発光できることを見出した。また、一般式(G0)がオルトメタル化した構造を有する有機金属錯体を用いて作製した発光素子の発する発光のスペクトルが、とりわけシャープであることも見いだした。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリール基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、RおよびRは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。)
したがって本発明の構成は、下記一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、RおよびRは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
また、上述の一般式(G0)におけるRが水素の場合、一般式(G0)で表されるピラジン誘導体は立体障害が小さくなるため金属イオンにオルトメタル化しやすく、合成の収率の観点で好ましい。したがって、本発明の好ましい構成は、下記一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
また、上述の一般式(G0)におけるRが水素、かつRがアルキル基の場合、有機金属錯体の合成の収率の観点で好ましい。したがって、本発明の好ましい構成は、下記一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
また、上述の一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体において、アリーレン基(Ar)としてはフェニレン基が好ましい。フェニレン基に置換基を導入することにより、緑色から赤色に至るまで幅広い領域の発光色を実現できるためである。したがって、本発明の好ましい構成は、下記一般式(G3)で表される構造を有する有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、R〜Rは、それぞれ、水素、またはアルキル基、またはアルコキシ基、またはハロゲン基、またはハロアルキル基、またはアリール基、またはジアルキルアミノ基、またはジアリールアミノ基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
また、上述の一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体において、アリーレン基(Ar)の共役を拡張することにより、赤色の発光を得ることができ、有用である。したがって、本発明の他の好ましい構成は、下記一般式(G4)で表される構造を有する有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
また、上述の一般式(G3)で表される構造を有する有機金属錯体において、より具体的には、下記一般式(G5)で表される構造を有する有機金属錯体が合成の収率の観点で好ましい。
Figure 0005384856
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素、またはアルキル基、またはアルコキシ基、またはハロゲン基、またはハロアルキル基、またはアリール基、またはジアルキルアミノ基、またはジアリールアミノ基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
また、上述の一般式(G4)で表される構造を有する有機金属錯体において、より具体的には、下記一般式(G6)で表される構造を有する有機金属錯体が合成の収率の観点で好ましい。
Figure 0005384856
(式中、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
ここで、上述の一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体として、より具体的には、下記一般式(G7)で表される有機金属錯体が合成が容易なため好ましい。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、RおよびRは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
また、上述の一般式(G2)で表される構造を有する有機金属錯体として、より具体的には下記一般式(G8)で表される有機金属錯体が合成が容易なため好ましい。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
また、上述の一般式(G7)において、Rが水素、かつRがアルキル基の場合、有機金属錯体の合成の収率の観点で好ましい。従って、本発明の好ましい構成は下記一般式(G8)で表される有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
また、上述の一般式(G8)で表される有機金属錯体において、アリーレン基(Ar)としてはフェニレン基が好ましい。フェニレン基に置換基を導入することにより、緑色から赤色に至るまで幅広い領域の発光色を実現できるためである。したがって、本発明の好ましい構成は、下記一般式(G9)で表される有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、R〜Rは、それぞれ、水素、またはアルキル基、またはアルコキシ基、またはハロゲン基、またはハロアルキル基、またはアリール基、またはジアルキルアミノ基、またはジアリールアミノ基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
また、上述の一般式(G8)で表される有機金属錯体において、アリーレン基(Ar)の共役を拡張することにより、赤色の発光を得ることができ、有用である。したがって、本発明の他の好ましい構成は、下記一般式(G10)で表される有機金属錯体である。
Figure 0005384856
(式中、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、RおよびRはアルキル基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
また、上述の一般式(G9)で表される有機金属錯体において、より具体的には、下記一般式(G11)で表される有機金属錯体が合成の収率の観点で好ましい。
Figure 0005384856
(式中、R〜Rは、それぞれ、水素、またはアルキル基、またはアルコキシ基、またはハロゲン基、またはハロアルキル基、またはアリール基、またはジアルキルアミノ基、またはジアリールアミノ基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
また、上述の一般式(G10)で表される有機金属錯体において、より具体的には、下記一般式(G12)で表される有機金属錯体が合成の収率の観点で好ましい。
Figure 0005384856
(式中、RおよびRは炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
なお、上述のモノアニオン性の配位子Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、または2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかが好ましい。特に好ましくは、下記の構造式(L1)〜(L8)に示すモノアニオン性の配位子である。これらの配位子は、配位能力が高く、また、安価に入手することができるため有効である。
Figure 0005384856
また、より効率よく燐光発光させるためには、重原子効果の観点から、中心金属としては重い金属の方が好ましい。したがって本発明では、上述した本発明の有機金属錯体において、中心金属Mがイリジウムまたは白金であることを特徴とする。
ところで、上述の一般式(G1)〜(G6)で表される構造を有する有機金属錯体(すなわち、上述の一般式(G7)〜(G12)で表される有機金属錯体も含む)は、一般式(G0)で表されるピラジン誘導体が金属イオンにオルトメタル化しているという配位構造が、燐光発光という機能に大きく寄与し、発光材料として好適に用いることができる。また、当該有機金属錯体を用いて作製した発光素子は発光のスペクトルがシャープであるため、色純度が良く、本発明の有機金属錯体は発光材料として有用である。したがって、本発明の他の構成は、以上で述べたような有機金属錯体を含む発光材料である。
また、本発明の有機金属錯体は燐光発光できる、すなわち三重項励起エネルギーを発光に変換することが可能であるため、発光素子に適用することにより高効率化が可能となり、非常に有効である。また、本発明の有機金属錯体は、発光素子に用いることによって発光スペクトルがシャープな発光素子を作製することが可能であるため、色純度の良い発光を呈する発光素子を作製することができる。したがって本発明は、本発明の有機金属錯体を用いた発光素子も含むものとする。
この時、本発明の有機金属錯体は、発光物質としての利用法が発光効率の面で効果的である。したがって本発明は、本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子を特徴とする。
また、このようにして得られた本発明の発光素子は高い発光効率を実現できるため、これを発光素子として用いた発光装置(画像表示デバイスや発光デバイス)は、低消費電力を実現できる。また、当該発光素子は色純度が良好であるため、これを発光素子として用いた発光装置(画像表示デバイスや発光デバイス)は高品質な映像を提供することが可能な発光装置となる。したがって本発明は、本発明の発光素子を用いた発光装置や電子機器も含むものとする。
なお、本明細書中における発光装置とは、発光素子を用いた画像表示デバイスもしくは発光デバイスを指す。また、発光素子にコネクター、例えば異方導電性フィルムもしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または発光素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て発光装置に含むものとする。さらに、照明器具等に用いられる発光装置も含むものとする。
本発明を実施することで、燐光発光できる有機金属錯体のバリエーション、特に発光スペクトルがシャープな発光素子を作製することが可能な有機金属錯体のバリエーションを豊富にすることができる。また、発光効率の高い有機金属錯体を提供することができる。
さらに、本発明の有機金属錯体を用いて発光素子を作製することで、色純度の高い発光素子を提供することができる。また、緑色〜赤色に至るまで、発光色のバリエーションに富んだ発光素子を提供することができる。また、発光効率の高い発光素子を提供することができる。
また、本発明の有機金属錯体を用いることにより、高品質な映像を提供することが可能な発光装置及び電子機器を提供することができる。また、消費電力の低減された発光装置および電子機器を提供することができる。
以下では、本発明の実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施形態1)
本実施形態1では、本発明の有機金属錯体について説明する。
≪一般式(G0)で表されるアルコキシピラジン誘導体の合成法≫本発明の有機金属錯体は、下記一般式(G0)で表される2−アルコキシ−3−アリールピラジン誘導体が、第9族または第10族の金属イオンに対してオルトメタル化することにより、有機金属錯体を形成している。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリール基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、RおよびRは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。)
一般式(G0)で表される2−アルコキシ−3−アリールピラジン誘導体は、以下のような簡便な合成スキームにより合成できる。例えば、下記スキーム(a)に示すように、クロロピラジン誘導体(A1)をアルコキシド(A2)と反応させることにより得られる。あるいはまた、下記スキーム(a’)に示すように、アレーンのハロゲン化物(A1’)をアルキルリチウム等でリチオ化し、アルコキシピラジン誘導体(A2’)と反応させることによっても得ることができる。あるいはまた、下記スキーム(a’’)に示すように、2−アルコキシ−3−アリールピラジン(A1’’)とRおよびRのリチオ体(A2’’−1)および(A2’’−2)を反応させることによっても得ることができる。なお、式中Xはハロゲン元素を表す。
Figure 0005384856
Figure 0005384856
Figure 0005384856
上述の化合物(A1)、(A2)、(A1’)、(A2’)、(A1’’)、 (A2’’−1)および(A2’’−2)は、様々な種類が市販されているか、あるいは合成可能であるため、一般式(G0)で表されるアルコキシピラジン誘導体は数多くの種類を合成することができる。したがって、本発明の有機金属錯体は、その配位子のバリエーションが豊富であるという特徴がある。
≪一般式(G1)で表される構造を有する本発明の有機金属錯体の合成法≫次に、一般式(G0)で表される2−アルコキシ−3−アリールピラジン誘導体をオルトメタル化して形成される本発明の有機金属錯体、すなわち下記一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体について説明する。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、RおよびRは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。)
まず、下記合成スキーム(b)に示すように、一般式(G0)で表される2−アルコキシ−3−アリールピラジン誘導体と、ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物(金属ハロゲン化物や金属錯体)とをアルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノールなど)単独、あるいはアルコール系溶媒1種類以上と水との混合溶媒と加熱することにより、一般式(G1)で表される構造を有する本発明の有機金属錯体の一種である複核錯体(B)を得ることができる。ハロゲンを含む第9族または第10族の金属化合物としては、塩化ロジウム水和物、塩化パラジウム、塩化イリジウム水和物、塩化イリジウム水和物塩酸塩、テトラクロロ白金(II)酸カリウム等が挙げられるが、これらに限定されることはない。なお、スキーム(b)では、Mは第9族元素または第10族元素、Xはハロゲン元素を表す。また、Mが第9族元素の時はn=2、Mが第10族元素の時はn=1である。
Figure 0005384856
さらに、下記合成スキーム(c’)に示すように、複核錯体(B)と一般式(G0)で表される2−アルコキシ−3−アリールピラジン誘導体を、グリセロール等の高沸点溶媒中で200℃程度の高温で加熱することにより、一般式(G1)で表される構造を含む本発明の有機金属錯体の一種(C’)を得ることができる。また、下記合成スキーム(c’’)に示すように、複核錯体(B)と、フェニルピリジンのようなオルトメタル化可能な化合物(より一般的には、シクロメタル化可能な化合物)とを、グリセロール等の高沸点溶媒中で200℃程度の高温で加熱することにより、一般式(G1)で表される構造を含む本発明の有機金属錯体の一種(C’’)を得ることができる。なお、スキーム(c’)および(c’’)では、Mは第9族元素または第10族元素、Xはハロゲン元素を表す。また、Mが第9族元素の時はn=2、Mが第10族元素の時はn=1である。
Figure 0005384856
Figure 0005384856
≪一般式(G7)で表される本発明の有機金属錯体の合成法≫ここで、上述した一般式(G1)で表される構造を有する有機金属錯体の中でも、好ましい具体例である下記一般式(G7)で表される有機金属錯体について説明する。
Figure 0005384856
(式中、Arはアリーレン基を表す。また、Rは炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。また、RおよびRは水素、または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素、または第10族元素のいずれかを表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
上記一般式(G7)で表される本発明の有機金属錯体は、下記スキーム(c)により合成することができる。すなわち、上述のスキーム(b)で得られる複核錯体(B)と、モノアニオン性の配位子の原料HLとを反応させることにより、HLのプロトンが脱離して中心金属Mに配位し、一般式(G7)で表される本発明の有機金属錯体が得られる。なお、スキーム(c)では、Mは第9族元素または第10族元素、Xはハロゲン元素を表す。また、Mが第9族元素の時はn=2、Mが第10族元素の時はn=1である。
Figure 0005384856
≪一般式(G1)で表される構造を有する本発明の有機金属錯体、および一般式(G7)で表される本発明の有機金属錯体の具体的な構造式≫次に、上述した一般式(G1)で表される構造を有する本発明の有機金属錯体、および一般式(G7)で表される本発明の有機金属錯体の具体的な構造式を開示する。
まず、中心金属であるMは、第9族元素および第10族元素から選ばれるが、発光効率の観点からはイリジウム(III)および白金(II)が好ましい。特に、イリジウム(III)を用いると熱的に安定であるため好適である。
また、一般式(G1)や(G7)におけるRの具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基等のアルキル基が挙げられる。Rにこれらの置換基を導入することにより、Rが水素の場合に比べ、有機金属錯体の合成の収率を向上させることができる。また、Rに共役基(フェニル基等)を導入したものに比べ、当該有機金属錯体を用いて作製した発光素子の発光スペクトルをシャープにすることができ、色純度の向上に寄与する。
また、RおよびRの具体例としては、水素の他、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基等に代表されるアルキル基を用いることができる。
また、Arの具体例としては、フェニレン基、メチル基等のアルキル基で水素が置換されたフェニレン基、メトキシ基等のアルコキシ基で水素が置換されたフェニレン基、フルオロ基等のハロゲン基で水素が置換されたフェニレン基、トリフルオロメチル基で水素が置換されたフェニレン基、フェニル基で水素が置換されたフェニレン基、ジメチルアミノ基等のジアルキルアミノ基で水素が置換されたフェニレン基、ジフェニルアミノ基等のジアリールアミノ基で水素が置換されたフェニレン基が挙げられる。特に、Arをハロゲン基やトリフルオロメチル基で水素が置換されたフェニレン基とすることで、Arが無置換のフェニレン基の場合に比べ、発光波長を短波長側にシフトすることができる。また、Arをジアルキルアミノ基やジアリールアミノ基で水素が置換されたフェニレン基とすることで、Arが無置換のフェニレン基の場合に比べ、発光波長を長波長側にシフトすることができる。さらに、Arとして、9,9−ジメチルフルオレン−ジイル基のような9,9−ジアルキルフルオレン−ジイル基を適用することもできる。その場合、Arが無置換のフェニレン基の場合に比べ、発光波長を長波長側にシフトすることができる。
次に、上述の一般式(G7)におけるモノアニオン性の配位子Lについて説明する。モノアニオン性の配位子Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、または2つの配位元素がいずれも窒素であるモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかが配位能力が高く好ましい。より具体的には、以下の構造式(L1)〜(L8)に示すモノアニオン性の配位子が挙げられるが、これらに限定されることはない。
Figure 0005384856
以上で述べたような中心金属M、置換基R、R、R及びAr、モノアニオン性の配位子Lを適宜組み合わせることにより、本発明の有機金属錯体は構成されるが、以下では、本発明の有機金属錯体の具体的な構造式を列挙する(下記構造式(1)〜(47))。ただし、本発明はこれらに限定されることはない。
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なお、上記構造式(1)〜(47)で表される有機金属錯体には、配位子の種類によっては幾何異性体と立体異性体が存在しうるが、本発明の有機金属錯体にはこれらの異性体も全て含まれる。
また、構造式(10)、(21)、(32)で示される有機金属錯体は、facial体とmeridional体の2つの幾何異性体が存在する。本発明の有機金属錯体にはいずれの異性体も含まれる。
以上で説明した本発明の有機金属錯体は、項間交差が可能なため光増感剤として利用できる。また、燐光発光が可能であるため、発光材料や発光素子の発光物質として利用できる。
(実施形態2)
本実施形態2では、実施形態1で述べた本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子の態様について、図1を用いて説明する。
図1は、第1の電極101と第2の電極102との間に発光層113を有する発光素子を示した図である。そして、発光層113には、先の実施形態1で述べたような本発明の有機金属錯体が含まれている。
このような発光素子に対して電圧を印加することにより、第1の電極101側から注入された正孔と第2の電極102側から注入された電子とが、発光層113において再結合し、本発明の有機金属錯体を励起状態にする。そして、励起状態の該有機金属錯体が基底状態に戻る際に発光する。このように、本発明の有機金属錯体は発光素子の発光物質として機能する。なお、本実施形態2の発光素子において、第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極102は陰極として機能する。
ここで、発光層113は、本発明の有機金属錯体を含んでいる。発光層113の構成は、本発明の有機金属錯体よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質をホストとして用い、本発明の有機金属錯体をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。これによって、本発明の有機金属錯体からの発光が、濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
本発明の有機金属錯体を分散状態にするために用いる物質(すなわちホスト)について特に限定はないが、具体的には4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(9−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:PPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:m−MTDATA)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、1,1−ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(略称:TPAC)、9,9−ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フルオレン(略称:TPAF)、4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGAO11)、N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2−アミン(略称:YGAF)などの芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、1,3,5−トリス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:TCzB)などのカルバゾール誘導体を用いることができる。芳香族アミン化合物としては、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)などの高分子化合物を用いることもできる。また、カルバゾール誘導体としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)などの高分子化合物を用いることもできる。なおホストとなる物質の三重項励起エネルギーは、本発明の有機金属錯体の三重項励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
なお、本発明の有機金属錯体を用いて作製した発光素子は、発光スペクトルがシャープであるため、色純度の高い発光素子が得られる。また、本発明の有機金属錯体は緑色〜赤色に至るまで発光色のバリエーションに富んでいるので、緑色〜赤色に至るまで様々な発光色を呈する発光素子が得られる。また、本発明の有機金属錯体は燐光発光の効率が高いため、発光効率の高い発光素子が得られる。
また、第1の電極101について特に限定はないが、本実施形態2のように、陽極として機能する際は仕事関数の大きい物質で形成されていることが好ましい。具体的には、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、2〜20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム(IZO)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。なお、第1の電極101は、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。
また、第2の電極102について特に限定はないが、本実施形態2のように、陰極として機能する際は仕事関数の小さい物質で形成されていることが好ましい。具体的には、アルミニウム(Al)やインジウム(In)の他、リチウム(Li)やセシウム(Cs)等のアルカリ金属、マグネシウム(Mg)やカルシウム(Ca)等のアルカリ土類金属、エルビウム(Er)やイッテルビウム(Yb)等の希土類金属を用いることができる。また、アルミニウムリチウム合金(AlLi)やマグネシウム銀合金(MgAg)のような合金を用いることもできる。なお、第2の電極102は、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。
なお、第1の電極101または第2の電極102として導電性高分子(導電性ポリマーともいう)含む導電性組成物を用いることもできる。導電性組成物は、第1の電極101または第2の電極102として形成する場合、薄膜におけるシート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン及びまたはその誘導体、ポリピロール及びまたはその誘導体、ポリチオフェン及びまたはその誘導体、これらの2種以上の共重合体などがあげられる。
共役導電性高分子の具体例としては、ポリピロール、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−オクトキシピロール)、ポリ(3−カルボキシルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルピロール)、ポリN−メチルピロール、ポリチオフェン、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−デシルチオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−オクトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシルチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(2−オクチルアニリン)、ポリ(2−イソブチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
上記導電性高分子は、単独で第1の電極101または第2の電極102に使用してもよいし、膜特性を調整するために有機樹脂を添加して導電性組成物として使用することができる。
有機樹脂としては、導電性高分子と相溶または混合分散可能であれば熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよく、光硬化性樹脂であってもよい。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系樹脂、ポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド12、ポリアミド11等のポリアミド樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリウレア系樹脂、メラミン樹脂、フェノール系樹脂、ポリエーテル、アクリル系樹脂及びこれらの共重合体等が挙げられる。
さらに、上記導電性高分子又は導電性組成物の電気伝導度を調整するために、アクセプタ性またはドナー性ドーパントをドーピングすることにより、導電性高分子又は導電性組成物の共役電子の酸化還元電位を変化させてもよい。
アクセプタ性ドーパントとしては、ハロゲン化合物、有機シアノ化合物、有機金属化合物等を使用することができる。ハロゲン化合物としては、塩素、臭素、ヨウ素、塩化ヨウ素、臭化ヨウ素、フッ化ヨウ素等が挙げられる。五フッ化燐、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、三フッ化硼素、三塩化硼素、三臭化硼素等のルイス酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸と、有機カルボン酸、有機スルホン酸等の有機酸等のプロトン酸も用いることができる。有機カルボン酸及び有機スルホン酸としては、前記カルボン酸化合物及びスルホン酸化合物を使用することができる。有機シアノ化合物としては、共役結合に二つ以上のシアノ基を含む化合物が使用できる。例えば、テトラシアノエチレン、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノアザナフタレン等を挙げられる。
ドナー性ドーパントとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、4級アミン化合物等を挙げることができる。
上記導電性高分子又は導電性組成物を、水または有機溶剤(アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤など)に溶解させて、湿式法により第1の電極101または第2の電極102となる薄膜を形成することができる。
上記導電性高分子又は導電性組成物を溶解する溶媒としては、特に限定することはなく、上記した導電性高分子及び有機樹脂などの高分子樹脂化合物を溶解するものを用いればよく、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピレンカーボネート、N‐メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエンなどの単独もしくは混合溶剤に溶解すればよい。
導電性高分子又は導電性組成物を溶媒に溶解した溶液の成膜は、塗布法、コーティング法、液滴吐出法(インクジェット法ともいう)、印刷法等の湿式法を用いて成膜することができる。溶媒の乾燥は、熱処理を行ってもよいし、減圧下で行ってもよい。また、有機樹脂が熱硬化性の場合は、さらに加熱処理を行い、光硬化性の場合は、光照射処理を行えばよい。
なお、発光した光を外部に取り出すために、第1の電極101と第2の電極102のいずれか一または両方は、ITO等の可視光を透過する導電膜から成る電極、または可視光を透過出来るように数〜数十nmの厚さで形成された電極であることが好ましい。
また、第1の電極101と発光層113との間には、図1に示すように正孔輸送層112を設けてもよい。ここで、正孔輸送層とは、第1の電極101から注入された正孔を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層112を設け、第1の電極101と発光層113とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。ただし、正孔輸送層112は必ずしも必要ではない。
正孔輸送層112を構成する物質について特に限定はないが、具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(9−フェナントリル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:PPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’−ビス[N−(9,9−ジメチルフルオレン−2−イル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DFLDPBi)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:m−MTDATA)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、1,1−ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(略称:TPAC)、9,9−ビス[4−(ジフェニルアミノ)フェニル]フルオレン(略称:TPAF)、4−(9−カルバゾリル)−4’−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGAO11)、N−[4−(9−カルバゾリル)フェニル]−N−フェニル−9,9−ジメチルフルオレン−2−アミン(略称:YGAF)などの芳香族アミン化合物や、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、1,3−ビス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:mCP)、1,3,5−トリス(N−カルバゾリル)ベンゼン(略称:TCzB)などのカルバゾール誘導体を用いることができる。芳香族アミン化合物としては、ポリ(4−ビニルトリフェニルアミン)(略称:PVTPA)などの高分子化合物を用いることもできる。また、カルバゾール誘導体としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(略称:PVK)などの高分子化合物を用いることもできる。なお、正孔輸送層112を構成する物質の三重項励起エネルギーは、ピラジン系有機金属錯体の三重項励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
なお、正孔輸送層112は、二層以上の層を積層して形成された多層構造であってもよい。また、二種類以上の物質を混合して形成してもよい。
また、第2の電極102と発光層113との間には、図1に示すように電子輸送層114を設けてもよい。ここで、電子輸送層とは、第2の電極102から注入された電子を発光層113へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層114を設け、第2の電極102と発光層113とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。ただし、電子輸送層114は必ずしも必要ではない。
電子輸送層114を構成する物質について特に限定はないが、具体的には、9−[4−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェニル]カルバゾール(略称:CO11)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(1−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール)(略称:TPBI)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、9,9’,9’’−[1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイル]トリカルバゾール(略称:TCzTRZ)、2,2’,2’’−(1,3,5−ベンゼントリイル)トリス(6,7−ジメチル−3−フェニルキノキサリン)(略称:TriMeQn)、9,9’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ジ(9H−カルバゾール)(略称:CzQn)、3,3’,6,6’−テトラフェニル−9,9’−(キノキサリン−2,3−ジイルジ−4,1−フェニレン)ジ(9H−カルバゾール)(略称:DCzPQ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)などの複素芳香族化合物や、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(III)(略称:BAlq)、トリス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾラト]アルミニウム(III)(略称:Al(OXD))、トリス(2−ヒドロキシフェニル−1−フェニル−1H−ベンズイミダゾラト)アルミニウム(III)(略称:Al(BIZ))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(II)(略称:Zn(BTZ))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(II)(略称:Zn(PBO))などの金属錯体を用いることができる。複素芳香族化合物としては、ポリ(2,5−ピリジン−ジイル)(略称:PPy)のような高分子化合物を用いることもできる。また、金属錯体としては、下記参考文献で開示されているような金属錯体高分子化合物を用いることもできる(参考文献; X.T.Tao、外5名、アプライド フィジクス レターズ、Vol.70(12)、1503−1505(1997))。なお、上述した電子輸送層114を構成する物質の三重項励起エネルギーは、ピラジン系有機金属錯体の三重項励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
なお、電子輸送層114は、二層以上の層を積層して形成された多層構造であってもよい。また、二種類以上の物質を混合して形成してもよい。
さらに、第1の電極101と正孔輸送層112との間には、図1に示すように正孔注入層111を設けてもよい。ここで、正孔注入層とは、陽極として機能する電極から正孔輸送層112へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。ただし、正孔注入層111は必ずしも必要ではない。
正孔注入層111を構成する物質について特に限定はないが、バナジウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物等の金属酸化物を用いることができる。また、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン化合物を用いることができる。また、上述した正孔輸送層112を構成する物質を用いることもできる。また、ポリ(エチレンジオキシチオフェン)とポリ(スチレンスルホン酸)の混合物(略称:PEDOT/PSS)のような高分子化合物を用いることもできる。
あるいは、正孔注入層111に、有機化合物と電子受容体とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子受容体によって有機化合物に正孔が発生するため、正孔注入性および正孔輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した正孔の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した正孔輸送層112を構成する物質(芳香族アミン化合物等)を用いることができる。電子受容体としては、有機化合物に対し電子受容性を示す物質であればよい。具体的には、遷移金属酸化物であることが好ましく、例えば、バナジウム酸化物、ニオブ酸化物、タンタル酸化物、クロム酸化物、モリブデン酸化物、タングステン酸化物、マンガン酸化物、レニウム酸化物、ルテニウム酸化物等が挙げられる。また、塩化鉄(III)、塩化アルミニウム(III)のようなルイス酸を用いることもできる。また、7,7,8,8−テトラシアノ−2,3,5,6−テトラフルオロキノジメタン(略称:F4−TCNQ)等の有機化合物を用いることもできる。
なお、正孔注入層111は、二層以上の層を積層して形成された多層構造であってもよい。また、二種類以上の物質を混合して形成してもよい。
また、第2の電極102と電子輸送層114との間には、図1に示すように電子注入層115を設けてもよい。ここで、電子注入層とは、陰極として機能する電極から電子輸送層114へ電子の注入を補助する機能を有する層である。ただし、電子注入層115は必ずしも必要ではない。
電子注入層115を構成する物質について特に限定はないが、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウム、リチウム酸化物のようなアルカリ金属化合物またはアルカリ土類金属化合物を用いることができる。また、フッ化エルビウムのような希土類金属化合物を用いることができる。また、上述した電子輸送層114を構成する物質を用いることもできる。
あるいは、電子注入層115に、有機化合物と電子供与体とを混合してなる複合材料を用いてもよい。このような複合材料は、電子供与体によって有機化合物に電子が発生するため、電子注入性および電子輸送性に優れている。この場合、有機化合物としては、発生した電子の輸送に優れた材料であることが好ましく、具体的には、例えば上述した電子輸送層114を構成する物質(金属錯体や複素芳香族化合物等)を用いることができる。電子供与体としては、有機化合物に対し電子供与性を示す物質であればよい。具体的には、アルカリ金属やアルカリ土類金属や希土類金属が好ましく、リチウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、エルビウム、イッテルビウム等が挙げられる。また、アルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物が好ましく、リチウム酸化物、カルシウム酸化物、バリウム酸化物等が挙げられる。また、酸化マグネシウムのようなルイス塩基を用いることもできる。また、テトラチアフルバレン(略称:TTF)等の有機化合物を用いることもできる。
以上で述べた本発明の発光素子において、正孔注入層111、正孔輸送層112、発光層113、電子輸送層114、電子注入層115は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成しても構わない。また、第1の電極101または第2の電極102についても、スパッタリング法、蒸着法等、インクジェット法、または塗布法等、いずれの方法を用いて形成しても構わない。
(実施形態3)
本発明の発光素子は、複数の発光層を有するものであってもよい。複数の発光層を設け、それぞれの発光層から発光させることで、複数の発光が混合された発光を得ることができる。したがって、例えば白色光を得ることができる。本実施形態3では、複数の発光層を有する発光素子の態様について図2を用いて説明する。
図2において、第1の電極201と第2の電極202との間には、第1の発光層213と第2の発光層215が設けられており、第1の発光層213における発光と第2の発光層215における発光が混合された発光を得ることができる。第1の発光層213と第2の発光層215との間には、分離層214を有することが好ましい。
第1の電極201の電位が第2の電極202の電位よりも高くなるように電圧を印加すると、第1の電極201と第2の電極202との間に電流が流れ、第1の発光層213または第2の発光層215または分離層214において正孔と電子とが再結合する。生じた励起エネルギーは、第1の発光層213と第2の発光層215の両方に分配され、第1の発光層213に含まれた第1の発光物質と第2の発光層215に含まれた第2の発光物質を励起状態にする。そして、励起状態になった第1の発光物質と第2の発光物質とは、それぞれ基底状態に戻るときに発光する。
第1の発光層213には、ペリレン、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(略称:DPVBi)、4,4’−ビス[2−(N−エチルカルバゾール−3−イル)ビニル]ビフェニル(略称:BCzVBi)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)ガリウムクロリド(GamqCl)などの蛍光性化合物や、ビス{2−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ピリジナト−N,C2’}イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CFppy)(pic))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIrpic)、ビス[2−(4,6−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2’]イリジウム(III)テトラ(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)などの燐光性化合物に代表される第1の発光物質が含まれており、450〜510nmに発光スペクトルのピークを有する発光(すなわち、青色〜青緑色)が得られる。また、第1の発光層213の構成は、第1の発光物質が蛍光性化合物の場合、第1の発光物質よりも大きい一重項励起エネルギーを有する物質を第1のホストとして用い、第1の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。また、第1の発光物質が燐光性化合物の場合、第1の発光物質よりも大きい三重項励起エネルギーを有する物質を第1のホストとして用い、第1の発光物質をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。第1のホストとしては、先に述べたNPB、CBP、TCTA等の他、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2−tert−ブチル−9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:t−BuDNA)等を用いることができる。なお、一重項励起エネルギーとは、基底状態と一重項励起状態とのエネルギー差である。また、三重項励起エネルギーとは、基底状態と三重項励起状態とのエネルギー差である。
一方、第2の発光層215は、本発明の有機金属錯体を含んでおり、緑色〜赤色の発光が得られる。第2の発光層215の構成は、実施形態2で述べた発光層113と同様の構成とすればよい。
また、分離層214は、具体的には、上述したTPAQn、NPB、CBP、TCTA、Znpp、ZnBOX等を用いて形成することができる。このように、分離層214を設けることで、第1の発光層213と第2の発光層215のいずれか一方のみの発光強度が強くなってしまうという不具合を防ぐことができる。ただし、分離層214は必ずしも必要ではなく、第1の発光層213の発光強度と第2の発光層215の発光強度との割合を調節するため、適宜設ければよい。
なお、本実施形態3では、第2の発光層215に本発明の有機金属錯体を用い、第1の発光層213に他の発光物質を適用したが、逆に第1の発光層213に本発明の有機金属錯体を用い、第2の発光層215に他の発光物質を適用してもよい。
また、本実施形態3では、図2のように2つの発光層が設けられた発光素子について記載しているが、発光層の層数は2つに限定されるものでは無く、例えば3つあってもよい。そして、それぞれの発光層からの発光が混合されればよい。その結果、例えば白色光が得られる。
なお、第1の電極201は、先の実施形態2で述べた第1の電極101と同様の構成とすればよい。また、第2の電極202も、先の実施形態2で述べた第2の電極102と同様の構成とすればよい。
また、本実施形態3では、図2に示すように、正孔注入層211、正孔輸送層212、電子輸送層216、電子注入層217を設けているが、これらの層の構成に関しても、先に実施形態2で述べた各層の構成を適用すればよい。ただし、これらの層は必ずしも必要ではなく、素子の特性に応じて適宜設ければよい。
(実施形態4)
本実施形態4では、複数の発光層を設け、かつ実施形態3とは異なる素子構造でそれぞれの発光層から発光させる発光素子を例示する。したがって、本実施形態4においても、複数の発光が混合された発光を得ることができる。すなわち、例えば白色光を得ることができる。以下、図3を用いて説明する。
図3の発光素子は、第1の電極301と第2の電極302との間に、第1の発光層313と第2の発光層323を設けている。また、第1の発光層313と第2の発光層323との間には、電荷発生層としてN層315およびP層321とを設けている。
N層315は電子を発生する層であり、P層321は正孔を発生する層である。第1の電極301の電位が第2の電極302の電位よりも高くなるように電圧を印加したとき、第1の電極301から注入された正孔とN層315から注入された電子が、第1の発光層313において再結合し、第1の発光層313に含まれた第1の発光物質が発光する。さらに、第2の電極302から注入された電子とP層321から注入された正孔が、第2の発光層323において再結合し、第2の発光層323に含まれた第2の発光物質が発光する。
第1の発光層313は、先の実施形態3における第1の発光層213と同様の構成でよく、450〜510nmに発光スペクトルのピークを有する発光(すなわち青色〜青緑色)が得られる。また、第2の発光層323は、先の実施形態3における第2の発光層215と同様の構成でよく、本発明の有機金属錯体を含んでおり、緑色〜赤色の発光が得られる。
N層315は電子を発生させる層であるため、実施形態2で述べた有機化合物と電子供与体とを混合してなる複合材料を用いて形成すればよい。このような構成とすることで、電子を第1の発光層313側へ注入することができる。
P層321は正孔を発生させる層であるため、実施形態2で述べた有機化合物と電子受容体とを混合してなる複合材料を用いて形成すればよい。このような構成とすることで、正孔を第2の発光層323側へ注入することができる。また、P層321には、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ITO、ITSOといったような正孔注入性に優れた金属酸化物を用いることもできる。
また、本実施形態4では、図3のように2つの発光層が設けられた発光素子について記載しているが、発光層の層数は2つに限定されるものでは無く、例えば3つあってもよい。そして、それぞれの発光層からの発光が混合されればよい。その結果、例えば白色光が得られる。
なお、第1の電極301は、先の実施形態2で述べた第1の電極101と同様の構成とすればよい。また、第2の電極302も、先の実施形態2で述べた第2の電極102と同様の構成とすればよい。
また、本実施形態4では、図3に示すように、正孔注入層311、正孔輸送層312および322、電子輸送層314および324、電子注入層325を設けているが、これらの層の構成に関しても、先に実施形態2で述べた各層の構成を適用すればよい。ただし、これらの層は必ずしも必要ではなく、素子の特性に応じて適宜設ければよい。
(実施形態5)
本実施形態5では、本発明の有機金属錯体を増感剤として用いた発光素子の態様について、図1を用いて説明する。
図1には、第1の電極101と第2の電極102との間に発光層113を有する発光素子が表されている。そして、発光層113には、先の実施形態1で述べたような本発明の有機金属錯体と、本発明の有機金属錯体よりも長波長の発光を呈することのできる蛍光性化合物とが含まれている。
このような発光素子において、第1の電極101から注入された正孔と第2の電極102側から注入された電子とが、発光層113において再結合し、蛍光性化合物を励起状態にする。そして、励起状態の蛍光性化合物は基底状態に戻るときに発光する。この時、本発明の有機金属錯体は、蛍光性化合物に対して増感剤として作用し、蛍光性化合物の一重項励起状態にある分子の数を増幅する。このように、本発明の有機金属錯体を増感剤として用いることによって発光効率の良い発光素子を得ることができる。なお、本実施形態5の発光素子において、第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極102は陰極として機能する。
発光層113は、本発明の有機金属錯体と、本発明の有機金属錯体よりも長波長の発光を呈することのできる蛍光性化合物とを含んでいる。その構成は、本発明の有機金属錯体よりも大きい三重項励起エネルギーを有すると同時に該蛍光性化合物よりも大きい一重項励起エネルギーを有する物質をホストとして用い、本発明の有機金属錯体および該蛍光性化合物をゲストとして分散してなる層であることが好ましい。
本発明の有機金属錯体と蛍光性化合物とを分散状態にするために用いる物質(すなわちホスト)については特に限定はなく、先の実施形態2においてホストとして挙げた物質等を用いることができる。
また、蛍光性化合物についても特に限定はないが、4−ジシアノメチレン−2−イソプロピル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJTI)、マグネシウムフタロシアニン、マグネシウムポルフィリン、フタロシアニン等の赤色〜赤外の発光を示す化合物が好ましい。
なお、第1の電極101、第2の電極102共に、先の実施形態2で述べた第1の電極、第2の電極と同様の構成とすればよい。
また、本実施形態5では、図1に示すように、正孔注入層111、正孔輸送層112、電子輸送層114、電子注入層115を設けているが、これらの層の構成に関しても、先に実施形態2で述べた各層の構成を適用すればよい。ただし、これらの層は必ずしも必要ではなく、素子の特性に応じて適宜設ければよい。
以上に述べた発光素子は、本発明の有機金属錯体を増感剤として用いることによって、高効率の発光が得られるものである。
(実施形態6)
本実施形態6では、本発明の発光素子を含む発光装置の一態様について、図4を用いて説明する。図4は、該発光装置の断面図である。
図4において、四角の点線で囲まれているのは、本発明の発光素子12を駆動するために設けられているトランジスタ11である。発光素子12は、第1の電極13と第2の電極14との間に発光層を含む層15を有する本発明の発光素子であり、該発光層は本発明の有機金属錯体を含んでいる。具体的には、発光素子12は、実施形態2で示したような構成である。トランジスタ11のドレイン領域と第1の電極13とは、第1層間絶縁膜16(16a、16b、16c)を貫通している配線17によって電気的に接続されている。また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置は、本実施形態6において、基板10上に設けられている。
なお、図4に示されたトランジスタ11は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。但し、トランジスタ11の構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
また、トランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモルファス等でもよい。
なお、セミアモルファスな半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。L−Oフォノンに由来するラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端させるため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%含んでいる。いわゆる微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われている。珪素を含む気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪素を含む気体としては、SiH、その他にもSi、SiHCl、SiHCl、SiCl、SiFなどを用いることができる。この珪素を含む気体をH、又は、HとHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃である。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020atoms/cm以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019atoms/cm以下、好ましくは1×1019atoms/cm以下とする。なお、セミアモルファスなものを有する半導体を用いたTFT(薄膜トランジスタ)の移動度はおよそ1〜10cm/Vsecとなる。
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。単結晶の硅素は例えばスマートカット法などを用いることによってトランジスタ11の半導体層とすることができる。
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ11およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、第1層間絶縁膜16a〜16cは、図4(A)、(C)に示すように多層でもよいし、または単層でもよい。なお、16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、16bはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む有機基)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第1層間絶縁膜16a〜16cは、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましい。また隔壁層18は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層18は、無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
なお、図4(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16a〜16cのみがトランジスタ11と発光素子12の間に設けられた構成であるが、図4(B)のように、第1層間絶縁膜16(16a、16b)の他、第2層間絶縁膜19(19a、19b)が設けられた構成のものであってもよい。図4(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を貫通し、配線17と接続している。
第2層間絶縁膜19は、第1層間絶縁膜16と同様に、多層でもよいし、または単層でもよい。19aはアクリルやシロキサン(シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素を含む有機基)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質から成る。さらに、19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第2層間絶縁膜19は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか一で形成されたものでもよい。
発光素子12において、第1の電極および第2の電極がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、図4(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極14のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図4(B)の白抜きの矢印で表されるように、第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極13のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図4(C)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設けられていることが好ましい。
また、発光素子12は、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が高くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよいし、或いは、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が低くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよい。前者の場合、トランジスタ11はNチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はPチャネル型トランジスタである。
以上のように、本実施形態6では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を発光素子と同一基板上に設けずに、発光素子を駆動させるパッシブマトリクス型の発光装置であってもよい。
本実施形態6で示した発光装置は、本発明の発光素子を用いているため、色純度の高い発光色を実現できるという特徴がある。また、様々な発光色を実現できるという特徴がある。また、発光効率が高く、ひいては消費電力が低いという特徴がある。
(実施形態7)
発光スペクトルがシャープな本発明の発光素子を用いた発光装置は色純度が良く、良好な画像を表示することができるため、本発明の発光装置を電子機器の表示部に適用することによって、優れた映像を提供できる電子機器を得ることができる。また、本発明の発光素子を含む発光装置は発光効率が良いため、低消費電力で駆動できる。したがって、本発明の発光装置を電子機器の表示部に適用することによって、消費電力の少ない電子機器を得ることができ、例えば、待受時間等の長い電話機等を得ることができる。以下に、本発明の発光素子を適用した発光装置を実装した電子機器の一例を示す。
図5(A)は、本発明を適用して作製したコンピュータであり、本体511、筐体512、表示部513、キーボード514などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでコンピュータを完成できる。
図5(B)は、本発明を適用して作製した電話機であり、本体522には表示部521と、音声出力部524、音声入力部525、操作スイッチ526、527、アンテナ523等によって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで電話機を完成できる。
図5(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部531、筐体532、スピーカー533などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでテレビ受像機を完成できる。
以上のように本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに非常に適している。
なお、本実施形態7では、コンピュータ等について述べているが、この他に、ナビゲイション装置、或いは照明機器等に本発明の発光素子を有する発光装置を実装しても構わない。
また、本発明の発光装置として、照明装置を挙げることもできる。本発明の発光素子を照明装置に適用する一態様を、図18乃至図20を用いて説明する。
図18は、実施の形態1に記載の有機金属錯体を含む発光素子、すなわち実施の形態2に記載の発光素子をバックライトに適用した液晶表示装置の一例である。図18に示した液晶表示装置は、筐体901、液晶層902、バックライト903、筐体904を有し、液晶層902は、ドライバIC905と接続されている。また、バックライト903は、本発明の発光素子を用いて形成されており、端子906により、電流が供給されている。
ここで、液晶のバックライト903は白色光もしくは赤、緑、青の3色の光を与えることが必要である。本発明の発光素子において、白色光を得る方法としては、実施の形態3もしくは実施の形態4で説明したように、複数の発光層を設ければ良い。
また、赤、青、緑の発光色をそれぞれ呈する発光素子をマトリクス状に配列させ、同時に光らせることでバックライト903全体として白色光を得ることができる。この際、それぞれの発光色を呈する発光素子を液晶表示装置におけるそれぞれの色を担う画素に対応させて設けても良い。
なお、バックライト903は本発明の発光素子1つによって構成されていても良いし、複数の当該発光素子によって構成されていても良い。また、当該発光素子と異なる発光色を呈する発光素子の複数種の発光素子によって構成されていても良い。
このように、本発明の発光素子を液晶表示装置のバックライトに適用することができる。当該バックライトは大面積化も可能であるため、液晶表示装置の大面積化も可能になる。また、色純度の良い本発明の発光素子を用いているため、高品質な映像を提供することができる。また、発光効率の高い当該発光素子を用いて作製することにより、発光効率が高く、消費電力の低減されたバックライトが得られる。さらに、当該バックライトは薄型で低消費電力であるため、液晶表示装置の薄型化、低消費電力化も可能となる。
図19は、本発明の発光素子を、照明装置である電気スタンドに用いた例である。図19に示す電気スタンドは、筐体2001と、光源2002を有し、光源2002として、本発明の発光素子が形成されている。光源2002は当該発光素子1つで構成されていても良いし、複数の当該発光素子によって構成されていても良い。また、当該発光素子と異なる発光色を呈する発光素子の複数種の発光素子によって構成されていても良い。このように、本発明の発光素子を用いて光源2002を作製することができる。また、発光効率の高い当該発光素子を用いて作製された光源2002は、発光効率が高く、低消費電力であるため、これが備えられた電気スタンドも発光効率が高く、低消費電力である。
図20は、本発明の発光素子を、室内の照明装置3001に適用した例である。照明装置3001は当該発光素子1つで構成されていても良いし、複数の当該発光素子によって構成されていても良い。また、当該発光素子と異なる発光色を呈する発光素子の複数種の発光素子によって構成されていても良い。このように、本発明の発光素子を用いて照明装置3001を作製することができる。当該発光素子を適用して作製された照明装置3001は大面積化も可能であるため、大面積の照明装置として用いることができる。また、発光効率の良好な当該発光素子を用いて作製された照明装置3001は、薄型で低消費電力な照明装置とすることができる。
≪合成例1≫本合成例1では、実施形態1の構造式(1)で表される本発明の有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス[2−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシ−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(MOFppr−Me)(acac)])の合成例を具体的に例示する。
Figure 0005384856
<ステップ1; 2−クロロ−3−(4−フルオロフェニル)ピラジンの合成>まず、還流管を付けた三つ口フラスコに2,3−ジクロロピラジン5.06gと4−フルオロフェニルボロン酸5.23g、炭酸セシウム22.16g、ジオキサン200mLを入れ、窒素雰囲気下にて撹拌しながらトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(略称:Pd(dba))0.467gとトリシクロヘキシルホスフィン(略称:CyP)を2.5mLを添加し、85℃にて11時間反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで放冷し、ろ過した。得られたろ液の溶媒を留去し、得られた残渣をジクロロメタンを展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−クロロ−3−(4−フルオロフェニル)ピラジンを得た(淡い黄色粉末、収率55%)。ステップ1の合成スキームを下記(a1−1)に示す。
Figure 0005384856
<ステップ2; 2−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシピラジンの合成>次に、還流管を付けた三つ口フラスコに上記ステップ1で得た2−クロロ−3−(4−フルオロフェニル)ピラジン3.87gとナトリウムメトキシド2.01g、メタノール30mLを入れ、窒素雰囲気下にて3時間の加熱還流により反応させた。反応終了後、反応溶液を室温まで放冷し、水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を飽和食塩水、次いで水で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ過により除去し、溶媒を留去することで2−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシピラジンを得た(乳白色粉末、収率96%)。ステップ2の合成スキームを下記(a1−2)に示す。
Figure 0005384856
<ステップ3; 2−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシ−5−メチルピラジン(略称:HMOFppr−Me)の合成>さらに、三つ口フラスコに上記ステップ2で得た2−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシピラジン3.24gとジエチルエーテル80mLを入れ、窒素雰囲気下にて撹拌しながらメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(1.20mol/L)20mLを滴下し、1週間撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ過により除去し、溶媒を留去した。これにより得られた残渣をジクロロメタンを展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のピラジン誘導体HMOFppr−Meを得た(乳白色粉末、収率15%)。ステップ3の合成スキームを下記(a1−3)に示す。
Figure 0005384856
<ステップ4; ジ−μ−クロロ−ビス{ビス[2−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシ−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)}(略称:[Ir(MOFppr−Me)Cl])の合成>次に、2−エトキシエタノール24mLと水8mL、上記ステップ3で得たピラジン誘導体HMOFppr−Me0.52g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)(Sigma−Aldrich社製)0.36gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。そして、この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 150W)を1時間照射して加熱し、反応させた。反応溶液より析出してきた橙色粉末をろ過し、エタノールにて洗浄することにより、複核錯体[Ir(MOFppr−Me)Cl] を得た(収率45%)。ステップ4の合成スキームを下記(b1)に示す。
Figure 0005384856
<ステップ5; (アセチルアセトナト)ビス[2−(4−フルオロフェニル)−3−メトキシ−5−メチルピラジナト]イリジウム(III)(略称:[Ir(MOFppr−Me)(acac)]の合成>さらに、2−エトキシエタノール30mL、上記ステップ4で得た複核錯体[Ir(MOFppr−Me)Cl] 0.36g、アセチルアセトン0.083mL、炭酸ナトリウム0.29gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。そして、この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 150W)を30分間照射して加熱し、反応させた。反応溶液を室温まで放冷し、ろ過した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、ジクロロメタン−メタノールにて再結晶することにより、本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を得た(橙色微結晶、収率33%)。ステップ5の合成スキームを下記(c1)に示す。
Figure 0005384856
なお、上記ステップ5で得られた橙色微結晶の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図6に示す。図6より、本合成例1において、上述の構造式(1)で表される本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.82(s,6H),2.56(s,6H),4.21(s,6H),5.24(s,1H),5.82(d,2H),6.56(t,2H),7.89(s,2H),8.30(m,2H).
次に、[Ir(MOFppr−Me)(acac)]の吸収スペクトルおよび発光スペクトル(励起波長:468nm)を測定した。吸収スペクトルの測定は紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.14mmol/L)を用いて、室温で測定した。発光スペクトルの測定は蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.48mmol/L)を用いて、室温で測定した。測定結果を図7に示す。横軸は波長、縦軸はモル吸光係数および発光強度を表す。
また、発光スペクトルは570nmにピークを有しており、橙色発光であった。
なお、本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]は、可視光領域にいくつもの吸収ピークが観測される。これは、オルトメタル錯体のようないくつかの有機金属錯体に見られる独特の吸収であり、一重項MLCT遷移、三重項π−π遷移、三重項MLCT遷移などに対応すると類推される。特に、最も長波長側の吸収ピークが可視光領域においてブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移であると考えられる。すなわち、本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]は、三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが分かった。したがって、得られた発光も三重項励起状態からの発光、すなわち燐光であると考えられる。
本実施例2では、実施例1の合成例1にて合成した本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を、発光物質として用いた発光素子の例を具体的に例示する。素子構造を図1に示す。
まず、110nmの膜厚で酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)が成膜されたガラス基板を用意する。ITSO表面は、2mm角の大きさで表面が露出するよう周辺を絶縁膜で覆った。なお、ITSOは発光素子の陽極として機能する第1の電極101である。この基板上に発光素子を形成するための前処理として、多孔質樹脂のブラシを用いて基板表面を洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。
次に、ITSOが形成された面が下方となるように、基板を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
真空装置内を10−4Paに減圧した後、下記構造式(i)で表されるNPBと酸化モリブデン(VI)とを、NPB:酸化モリブデン(VI)=4:1(質量比)となるように共蒸着することにより、正孔注入層111を形成した。膜厚は50nmとした。なお、共蒸着とは、異なる複数の物質をそれぞれ異なる蒸発源から同時に蒸発させる蒸着法である。次に、NPBを10nm蒸着することにより、正孔輸送層112を形成した。さらに正孔輸送層112上に、下記構造式(ii)で表される4−(9H−カルバゾール−9−イル)−4’−(5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)トリフェニルアミン(略称:YGAO11)と合成例1で合成した[Ir(MOFppr−Me)(acac)]とを、YGAO11:[Ir(MOFppr−Me)(acac)]=1:0.05(質量比)となるように共蒸着することにより、発光層113を形成した。膜厚は30nmとした。次に、下記構造式(iii)で表されるBAlqを10nm蒸着することにより、電子輸送層114を形成した。さらに電子輸送層114上に、下記構造式(iv)で表されるAlqとリチウム(Li)とを、Alq:Li=1:0.01(質量比)となるように共蒸着することにより、電子注入層115を形成した。膜厚は40nmとした。最後に、陰極として機能する第2の電極102としてアルミニウムを200nm成膜し、本発明の発光素子を得た。なお、上述した蒸着過程において、蒸着は全て抵抗加熱法を用いた。
Figure 0005384856
この発光素子を、窒素雰囲気のグローブボックス内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
この発光素子の輝度−電流効率特性を図8に示す。この発光素子は、5.46mA/cmの電流密度で電流を流すと、1170cd/mの輝度で発光した。この時の電流効率は21.4cd/Aであり、高い発光効率を示した。この電流効率を外部量子効率に変換すると6.31%であった。また、この時のCIE色度座標を図9に示す。色度座標は(x,y)=(0.47,0.52)であり、黄橙色発光であった。また、本実施例の発光素子の色度座標は、図9に示す通り、NTSC規格による色再現領域(図中の三角形の内側)の外側に位置しており、色純度が高いことがわかる。
また、この発光素子に0.5mA/cmの電流密度で電流を流した際の発光スペクトルを、図10に示す。図10に示す通り、発光スペクトルは558nmにピークを有しており、本発明の有機金属錯体である[Ir(MOFppr−Me)(acac)]の発光に由来していることが示唆される。また、発光スペクトルの半値幅は58nmであり、シャープなスペクトル形状であった。
作製した発光素子の電流密度−輝度特性を図11、電圧−輝度特性を図12に、電圧−電流特性を図13に、輝度−パワー効率特性を図14に、輝度−外部量子効率特性を図15に示す。
≪合成例2≫本合成例2では、実施形態1の構造式(12)で表される本発明の有機金属錯体、(アセチルアセトナト)ビス(2−フェニル−3−メトキシ−5−メチルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(MOppr−Me)(acac)])の合成例を具体的に例示する。
Figure 0005384856
<ステップ1; 2−フェニル−3−メトキシピラジンの合成>まず、三つ口フラスコに2−メトキシピラジン11.30gとジエチルエーテル200mLを入れ、窒素雰囲気下にて氷冷、撹拌しながらフェニルリチウムのジブチルエーテル溶液(2.1mol/L)を滴下し、20時間撹拌し反応させた。反応終了後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルにて有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ過により除去し、溶媒を留去した。これにより得られた残渣をジクロロメタンを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーにて精製し、2−フェニル−3−メトキシピラジンを得た(淡い黄色粉末、収率12%)。ステップ1の合成スキームを下記(a2−1)に示す。
Figure 0005384856
<ステップ2; 2−フェニル−3−メトキシ−5−メチルピラジン(略称:HMOppr−Me)の合成>さらに、三つ口フラスコに上記ステップ1で得た2−フェニル−3−メトキシピラジン2.16gとジエチルエーテル30mLを入れ、窒素雰囲気下にて撹拌しながらメチルリチウムのジエチルエーテル溶液(1.20mol/L)14.5mLを滴下し、20時間撹拌して反応させた。反応終了後、反応溶液に水を加え、ジクロロメタンにて有機層を抽出した。得られた有機層を水で洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥した後、硫酸マグネシウムをろ過により除去し、溶媒を留去した。これにより得られた残渣をジクロロメタンを展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーにて精製し、目的のアルコキシピラジン誘導体HMOppr−Meを得た(乳白色粉末、収率20%)。ステップ2の合成スキームを下記(a2−2)に示す。
Figure 0005384856
<ステップ3; ジ−μ−クロロ−ビス[ビス(2−フェニル−3−メトキシ−5−メチルピラジナト)イリジウム(III)](略称:[Ir(MOppr−Me)Cl])の合成>次に、2−エトキシエタノール15mLと水5mL、上記ステップ2で得たピラジン誘導体HMOppr−Me0.47g、塩化イリジウム水和物(IrCl・HO)(Sigma−Aldrich社製)0.35gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。そして、この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 120W)を30分間照射して加熱し、反応させた。反応溶液より析出してきた赤色粉末をろ過し、エタノールにて洗浄することにより、複核錯体[Ir(MOppr−Me)Cl] を得た(収率33%)。ステップ3の合成スキームを下記(c2)に示す。
Figure 0005384856
<ステップ4; (アセチルアセトナト)ビス(2−フェニル−3−メトキシ−5−メチルピラジナト)イリジウム(III)(略称:[Ir(MOppr−Me)(acac)]の合成>さらに、2−エトキシエタノール10mL、上記ステップ3で得た複核錯体[Ir(MOppr−Me)Cl] 0.25g、アセチルアセトン0.06mL、炭酸ナトリウム0.21gを、還流管を付けたナスフラスコに入れ、内部をアルゴン置換した。そして、この反応容器にマイクロ波(2.45GHz 100W)を30分間照射して加熱し、反応させた。反応溶液を室温まで放冷し、ろ過した後、溶媒を留去した。得られた残渣を、ジクロロメタンを展開溶媒とするカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、本発明の有機金属錯体[Ir(MOppr−Me)(acac)]を得た(橙色粉末、収率10%)。ステップ4の合成スキームを下記(d2)に示す。
Figure 0005384856
なお、上記ステップ4で得られた橙色粉末の核磁気共鳴分光法(H−NMR)による分析結果を下記に示す。また、H−NMRチャートを図16に示す。図16より、本合成例1において、上述の構造式(12)で表される本発明の有機金属錯体[Ir(MOppr−Me)(acac)]が得られたことがわかった。
H−NMR.δ(CDCl):1.80(s,6H),2.56(s,6H),4.20(s,6H),5.21(s,1H),6.22(dd,2H),6.68(dt,2H),6.82(dt,2H),7.98(s,2H),8.29(dd,2H).
次に、[Ir(MOppr−Me)(acac)]の吸収スペクトルおよび発光スペクトル(励起波長:468nm)を測定した。吸収スペクトルの測定は紫外可視分光光度計((株)日本分光製 V550型)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.12mmol/L)を用いて、室温で測定した。発光スペクトルの測定は蛍光光度計((株)浜松ホトニクス製 FS920)を用い、脱気したジクロロメタン溶液(0.42mmol/L)を用いて、室温で測定した。測定結果を図17に示す。横軸は波長、縦軸はモル吸光係数および発光強度を表す。
また、発光スペクトルは592nmにピークを有しており、橙色発光であった。
なお、本発明の有機金属錯体[Ir(MOppr−Me)(acac)]は、可視光領域にいくつもの吸収ピークが観測される。これは、オルトメタル錯体のようないくつかの有機金属錯体に見られる独特の吸収であり、一重項MLCT遷移、三重項π−π遷移、三重項MLCT遷移などに対応すると類推される。特に、最も長波長側の吸収ピークが可視光領域においてブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移であると考えられる。すなわち、本発明の有機金属錯体[Ir(MOppr−Me)(acac)]は、三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが分かった。したがって、得られた発光も三重項励起状態からの発光、すなわち燐光であると考えられる。
本発明の有機金属錯体を用いた発光素子の素子構造を説明する図。 本発明の有機金属錯体を用いた発光素子の素子構造を説明する図。 本発明の有機金属錯体を用いた発光素子の素子構造を説明する図。 本発明の発光素子を用いた発光装置について説明する図。 本発明の発光装置を用いた電子機器について説明する図。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]のH−NMRチャートを示す図。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]の紫外・可視吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子の発光効率を示す図。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子のNTSC色度座標を示す図。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子の発光スペクトルを示す図。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子の電流密度―輝度特性を表すグラフ。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子の電圧―輝度特性を表すグラフ。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子の電圧―電流特性を表すグラフ。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子の輝度―パワー効率特性を表すグラフ。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOFppr−Me)(acac)]を用いた発光素子の輝度―外部量子効率特性を表すグラフ。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOppr−Me)(acac)]のH−NMRチャートを示す図。 本発明の有機金属錯体[Ir(MOppr−Me)(acac)]の紫外・可視吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図。 本発明の電子機器を表す図。 本発明の電子機器を表す図。 本発明の電子機器を表す図。
符号の説明
10 基板
11 トランジスタ
12 発光素子
13 第1の電極
14 第2の電極
15 層
16 層間絶縁膜
17 配線
18 隔壁層
19 層間絶縁膜
101 第1の電極
102 第2の電極
111 正孔注入層
112 正孔輸送層
113 発光層
114 電子輸送層
115 電子注入層
16a 層間絶縁膜
201 第1の電極
202 第2の電極
211 正孔注入層
212 正孔輸送層
213 発光層
214 分離層
215 発光層
216 電子輸送層
217 電子注入層
301 第1の電極
302 第2の電極
311 正孔注入層
312 正孔輸送層
313 発光層
314 電子輸送層
315 N層
321 P層
323 発光層
325 電子注入層
511 本体
512 筐体
513 表示部
514 キーボード
521 表示部
522 本体
523 アンテナ
524 音声出力部
525 音声入力部
526 操作スイッチ
531 表示部
532 筐体
533 スピーカー
901 筐体
902 液晶層
903 バックライト
904 筐体
905 ドライバIC
906 端子
2001 筐体
2002 光源
3001 照明装置
3002 テレビ装置

Claims (10)

  1. 構造式(1)で表される有機金属錯体。
    Figure 0005384856
  2. 一般式(G11)で表される有機金属錯体。
    Figure 0005384856

    (式中、R 、R 、R は、それぞれ、水素を表す。また、R は水素またはハロゲン基を表す。また、Lは、構造式(L1)で表される配位子を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素を表す。また、n=2である。)
    Figure 0005384856
  3. 一般式(G11)で表される有機金属錯体。
    Figure 0005384856

    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ハロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、またはジアリールアミノ基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素または第10族元素を表す。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。また、前記Mが第9族元素の場合n=2であり、前記Mが第10族元素の場合n=1である。)
  4. 請求項において、前記モノアニオン性の配位子は、構造式(L1)乃至(L8)のいずれかで表される有機金属錯体。
    Figure 0005384856
  5. 一般式(G5)で表される構造を有する有機金属錯体。
    Figure 0005384856

    (式中、R〜Rは、それぞれ、水素、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、ハロアルキル基、アリール基、ジアルキルアミノ基、またはジアリールアミノ基を表す。また、Mは中心金属であり、第9族元素または第10族元素を表す。)
  6. 請求項乃至のいずれかにおいて、前記Mは、イリジウムまたは白金である有機金属錯体。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載の有機金属錯体を含む発光素子。
  8. 請求項に記載の発光素子を有する発光装置。
  9. 請求項7に記載の発光素子を有する照明装置。
  10. 請求項に記載の発光素子を有する電子機器。
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