JP4912618B2 - 発光素子、発光装置および照明器具 - Google Patents

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本発明は、励起三重項状態を発光に変換できる有機金属錯体、その有機金属錯体を用いた発光素子およびその発光素子を用いた発光装置に関する。
有機化合物を用いた発光素子は、電界を加えることで有機化合物を含む層または有機化合物膜が発光する素子である。その発光機構は、電極間に有機化合物膜を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入されたホールが有機化合物膜中で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光すると言われている。
このような発光素子において、通常、有機化合物膜は1μmを下回るほどの薄膜で形成される。また、このような発光素子は、有機化合物膜そのものが光を放出する自発光型の素子であるため、従来の液晶ディスプレイに用いられているようなバックライトも必要ない。従って、このような発光素子は極めて薄型、軽量に作製できることが大きな利点である。また、例えば100〜200nm程度の有機化合物膜において、キャリアを注入してから再結合に至るまでの時間は、有機化合物膜のキャリア移動度を考えると数十ナノ秒程度であり、キャリアの再結合から発光までの過程を含めてもマイクロ秒以内のオーダーで発光に至る。従って、非常に応答速度が速いことも特長の1つである。さらに、このような発光素子はキャリア注入型の発光素子であるため、直流電圧での駆動が可能であり、ノイズが生じにくい。駆動電圧に関しては、まず有機化合物膜の厚みを100nm程度の均一な超薄膜とし、また、有機化合物膜に対するキャリア注入障壁を小さくするような電極材料を選択し、さらにはヘテロ構造(ここでは2層構造)を導入することによって、5.5Vで100cd/m2の十分な輝度が達成されている(例えば、非特許文献1参照)。
有機化合物を用いた発光素子は、そういった薄型、軽量、高速応答性、直流低電圧駆動などの素子特性に加え、その発光色のバリエーションに富んでいることも大きな利点の1つと言える。その要因は、有機化合物自体の多様性である。すなわち、分子設計(例えば置換基の導入)等により様々な発光色の材料を開発できるという柔軟性が色彩の豊かさを生んでいる。この色彩の豊かさを活かした発光素子の最も大きな応用分野は、フルカラーのフラットパネルディスプレイであると言える。なぜなら、赤色、緑色、青色という光の三原色を発光できる有機化合物は多数存在するため、それらをパターニングすることによって、容易にフルカラー化が達成できるからである。
シー. ダブリュー. タン、外1名、アプライド フィジックス レターズ(Applied Physics Letters)、vol.51、No.12、913−915(1987)
前述したような、薄型、軽量、高速応答性、直流低電圧駆動といった素子特性も、フラットパネルディスプレイにふさわしい特性と言える。しかし、近年、さらなる発光効率を上げる試みとして、蛍光材料ではなく燐光材料を用いることが挙げられている。有機化合物を用いた発光素子においては、分子励起子が基底状態に戻る際に発光するが、その発光には励起一重項状態(S*)からの発光(蛍光)と励起三重項状態(T*)からの発光(燐光)が可能であり、蛍光材料を用いた場合はS*からの発光(蛍光)のみが寄与する。
しかしながら、発光素子におけるS*とT*の統計的な生成比率は、S*:T*=1:3であると考えられている(例えば、非特許文献2参照)。従って、蛍光材料を用いた発光素子における内部量子効率(注入したキャリアに対して発生するフォトンの割合)の理論的限界は、S*:T*=1:3であることを根拠に25%とされている。言い換えれば、蛍光材料を用いた発光素子の場合、注入したキャリアのうち少なくとも75%は無駄に浪費されるのである。逆に言えば、T*からの発光、すなわち燐光を利用できれば発光効率は向上する(単純には3〜4倍)と考えられるが、一般的な有機化合物は室温において、T*からの発光(燐光)は観測されず、通常はS*からの発光(蛍光)のみが観測される。有機化合物の基底状態は、通常、一重項基底状態(S0)であるため、T*→S0遷移は禁制遷移となり、S*→S0遷移は許容遷移となるからである。ところが、近年、T*から基底状態に戻る際に放出されるエネルギー(以下、「三重項励起エネルギー」と言う。)を発光に変換できる発光素子が相次いで発表され、その発光効率の高さが注目されている(例えば、非特許文献3参照)。
筒井哲夫、「応用物理学会 有機分子・バイオエレクトロニクス分科会・第3回講習会テキスト」、P.31(1993) テツオ ツツイ、外8名、ジャパニーズ ジャーナル オブ アプライド フィジックス(Japanese Journal of Applied Physics)、vol.38、L1502−L1504(1999)
上記文献3では、発光物質としてイリジウムを中心金属とする金属錯体(以下、「イリジウム錯体」と記す。)を用いており、第3遷移系列元素を中心金属として導入していることが特徴であると言える。これらは、室温で励起三重項状態を発光に変換できる材料(以下、「三重項発光材料」と言う。)である。上記文献3に示されるとおり、三重項励起エネルギーを発光に変換できる有機化合物を用いた発光素子は、従来よりも高い内部量子効率を達成できる。そして、内部量子効率が高くなれば、発光効率(lm/W)も向上する。
しかしながら、上記文献3での報告によると、初期輝度を500cd/m2に設定した定電流駆動時の輝度の半減期は170時間程度であり、三重項発光材料を用いた発光素子は素子寿命に問題がある。一方、一重項発光材料を用いた発光素子の場合、初期輝度を500cd/m2に設定した定電流駆動時の輝度の半減期は数千時間から一万時間にも及び、素子寿命の点では実用的な域に達していると言ってもよい。
以上のことから、三重項発光材料を用いた発光素子においては、長時間駆動可能な素子が望まれている。これにより、発光効率が高い上に、素子寿命の長い発光素子が得られるためである。
本発明は、発光素子に関する以上のような技術的背景から、従来技術における問題点を解決することを課題とする。本発明は、燐光を発光することのできる物質を提供することを課題とする。本発明は、励起三重項状態を発光に変換できる有機金属錯体を用いた発光素子において、長時間の駆動が可能な、すなわち発光効率が高く且つ素子寿命の長い発光素子を提供することを課題とする。また、前記発光素子を用いてなる長時間の駆動が可能で且つ消費電力の低い発光装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意実験、研究をすすめた結果、以下に述べる一般式(1)、(2)、(3)、(4)のいずれかで表される構造を含む有機金属錯体が燐光を発光できることを見い出し、また、以下に述べる一般式(5)、(6)、(7)、(8)のいずれかで表される有機金属錯体が燐光を発光できることを見し出し、本発明を完成するに至ったものである。
また、本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意実験、研究をすすめた結果、陽極と陰極とからなる一対の電極と、該一対の電極間に1つまたは複数の有機化合物を含む層を設けてなる発光素子において、前記有機化合物を含む層のうち少なくとも1層が特定の化合物を含有することにより、長時間の駆動が可能な、すなわち発光効率が高く素子寿命の長い発光素子が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
また、本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意実験、研究をすすめた結果、前記発光素子を用いてなる長時間の駆動が可能で且つ消費電力の低い発光装置を完成するに至ったものである。
以下、本発明の有機金属錯体、発光素子および発光装置について順次説明する。
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(1)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(1)中、R1〜R5は、それぞれ、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基のいずれかを表す。また、Arはアリール基または複素環基を表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。Arは、特に電子吸引性置換基を有するアリール基または電子吸引性置換基を有する複素環基であることが好ましい。Arが、電子吸引性置換基を有するアリール基または電子吸引性の置換基を有する複素環基であることによって発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
そして、本発明の第1の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(1)で表される部分構造を有する有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(2)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(2)中、R1〜R9は、それぞれ、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基のいずれかを表す。ただし、R6〜R9のいずれか1つは、電子吸引性の置換基を表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。R6〜R9のいずれかが電子吸引性の置換基を有する基であることによって、発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
そして、本発明の第2の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(2)で表される部分構造を有する有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(3)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(3)中、R2〜R14は、それぞれ、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。R6〜R9の少なくとも1つは電子吸引性置換基であることが好ましい。これによって、発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
そして、本発明の第3の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(3)で表される部分構造を有する有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(4)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(4)中、R15およびR16は、それぞれ、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。R16は電子吸引性置換基であることが好ましい。これによって、発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
そして、本発明の第4の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(4)で表される部分構造を有する有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(5)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(5)中、R1〜R5は、それぞれ、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基のいずれかを表す。また、Arは電子吸引性の置換基を有するアリール基または電子吸引性置換基を有する複素環基を表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表し、前記Mが第9族元素の場合はn=2、第10族元素の場合はn=1となる。Lはモノアニオン性の配位子を表す。Arが、電子吸引性置換基であることによって、発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
そして、本発明の第5の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(5)で表される有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(6)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(6)中、R1〜R5は、それぞれ、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基のいずれかを表す。また、R6〜R9は、それぞれ、水素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表し、少なくとも1つは電子吸引性置換基であることが好ましい。また、Mは第9族元素または第10族元素を表し、前記Mが第9族元素の場合はn=2、第10族元素の場合はn=1となる。またLは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、のいずれかを表す。R6〜R9の少なくとも1つが電子吸引性置換基であることによって、発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
ただし、上記一般式(6)で表される有機金属錯体のうち、R1〜R9が水素で且つアニオン性の配位子Lがアセチルアセトンアニオンである場合、またはR6〜R9の少なくとも1つが電子吸引性置換基を有しない場合は除く。
そして、本発明の第6の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(6)で表される有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
なお、特開2001−247859号公報の0086段落には“(1−70)”として、上記一般式(6)のR1〜R9がすべて水素で、Mがイリジウム、nが2、アニオン性の配位子Lがアセチルアセトンアニオンに相当する化合物が示されている。しかし、当該化合物のR6〜R9はすべて、電子吸引性置換基ではない、水素であり、また同公報には当該化合物の合成方法、特性などについても一切開示されていない。
これに対して、本発明の上記一般式(6)で表される有機金属錯体には当該化合物は含まれず、上記一般式(6)で表される有機金属錯体において、R1〜R9が水素且つアニオン性の配位子Lがアセチルアセトンアニオンである化合物、またはR6〜R9が、すべて水素で、電子吸引性置換基を有しない化合物は含まない。
特開2001−247859号公報
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(7)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(7)中、R2〜R14は水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表し、前記Mが第9族元素の場合はn=2、第10族元素の場合はn=1となる。Lはアニオン性の配位子を表す。ここで、R6〜R9の少なくとも1つが電子吸引性置換基であることが好ましい。これによって、発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
そして、本発明の第7の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(7)で表される有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
本発明の有機金属錯体の1つは、下記一般式(8)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912618
式(8)中、R15およびR16は水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表し、前記Mが第9族元素の場合はn=2、第10族元素の場合はn=1となる。Lはアニオン性の配位子を表す。ここで、R16が電子吸引性置換基であることが好ましい。これによって、発光強度のより大きな燐光を発光することができる。
そして、本発明の第8の発光素子は、一対の電極間に、上記一般式(8)で表される有機金属錯体と、該有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物または該有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく且つ電子親和力が小さい化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子である。
ここで、前記一般式(3)若しくは前記一般式(4)で表される構造を含む有機金属錯体、また前記一般式(7)若しくは前記一般式(8)で表される有機金属錯体において、電子吸引性置換基は、ハロゲン基、ハロアルキル基、シアノ基のいずれかであることが好ましい。これにより、それらの有機金属錯体の色度及び量子効率が向上する。また、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基が好ましく、ハロアルキル基の中でも特にトリフルオロメチル基が好ましい。これにより、電子のトラップ効率もよくなる。
一般式(7)若しくは一般式(8)で表される有機金属錯体において、中心金属Mは、重い金属が好ましく、特にイリジウムまたは白金であることが好ましい。これによって、重原子効果を得ることができる。
本発明の第9の発光素子は、前記第1〜第8のいずれかの発光素子において、有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物が4,4’−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニルまたはトリス(8−キノリノラト)アルミニウムであることを特徴とする発光素子である。
本発明の第10の発光素子は、前記第5〜第8のいずれかの発光素子において、アニオン性の配位子がベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座配位子またはフェノ−ル性水酸基を有するモノアニオン性の二座配位子であることを特徴とする発光素子である。
本発明の第11の発明の発光素子は、前記第1〜第8のいずれかの発光素子において、有機金属錯体と共に、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する第1の化合物、および/または、有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10-6cm2/Vs以上のホール移動度を有する第2の化合物を含むことを特徴とする発光素子である。
本発明の第12の発光素子は、第1〜第8のいずれかの発光素子において、有機金属錯体と共に、有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく電子親和力が小さく且つ10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する第1の化合物、および/または、前記有機金属錯体よりもイオン化ポテンシャルが大きく電子親和力が小さく且つ10-6cm2/Vs以上のホール移動度を有する第2の化合物のいずれかを含むことを特徴とする発光素子である。
本発明の第13の発光素子は、第11または第12の発光素子において、ホール輸送性の化合物が芳香族アミン化合物で、電子輸送性の化合物が金属錯体であることを特徴とする発光素子である。
本発明の第14の発光素子は、第1〜第13のいずれかの発光素子において、ホール注入層、ホール輸送層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層の中の少なくとも1つの層をさらに有することを特徴とする発光素子である。
また、本発明の発光装置は、第1〜第14のいずれかの発光素子を用いて作製した発光装置である。
本発明により、燐光を発光することができる有機金属錯体を得ることができる。また、本発明における、前記有機金属錯体とその有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい化合物とを含む発光層を有する発光素子は、長時間駆動が可能であり、発光効率が高く長寿命である。本発明における、前記有機金属錯体を発光物質として用いることによって、色度のよい赤色系の発光を呈することのできる発光素子を得ることができる。
また、本発明における、前記有機金属錯体を増感剤として用いることによって、効率よく発光することのできる発光素子を得ることができる。また、本発明における、前記有機金属錯体の中でも特に電子吸引性置換基を導入した有機金属錯体を用いることによって、再結合効率のよい発光素子を作製することができる。
そして、本発明の発光装置は、前記発光素子を使用したことにより発光装置として優れた性能を有する。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。まず、本発明の有機金属錯体について説明する。本発明は、新規な有機金属錯体を提供すると共に、それを用いた発光素子を提供し、またその発光素子を用いた発光装置を提供するものである。
前述置換基R1〜R16の具体例を挙げると以下のとおりである。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、、メタクリロイル基等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基,iso−プロピル基、tert−ブチル基、オクチル基等が挙げられる。アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基等が挙げられる。複素環基としては、ピリジル基、ビピリジル基、メチルピリジル基等が挙げられる。電子吸引性の置換基としては、フルオロ基、トリフルオロメチル基、シアノ基等が挙げられる。
また、第9族元素または第10族元素の具体例としては、イリジウム、白金などが挙げられる。ただし、これら例示の元素に限定されるものではない。
次に、配位子Lはベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、カルボキシル基を有するモノアニオン性の二座配位子、フェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座配位子のいずれかである。その具体例としては下記式(9)〜(15)で表されるアニオンが挙げられる。これら配位子は、配位能力が高く、また安価に入手することができるため、有効である。
Figure 0004912618
以下に、一般式(1)〜(4)で表される部分構造を有する有機金属錯体、すなわち一般式(5)〜(8)で表される有機金属錯体の代表例を挙げる。ただし、これらの化合物に限定されるものでない。
Figure 0004912618
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以上に述べた本発明の有機金属錯体は、燐光を発光することができる。また、本発明の有機金属錯体は、発光材料として発光素子に適用することができる。また、本発明の有機金属錯体は、光増感剤として発光素子に適用することができる。
〈本発明の有機金属錯体の合成方法〉
次に、本発明の有機金属錯体の製造方法すなわち合成方法について説明する。本発明の有機金属錯体、すなわち前記一般式(1)〜(8)で表される有機金属錯体は、配位子をオルトメタル化させることによって得ることができる。例えば、下記一般式(56)で表される配位子を有する有機金属錯体、すなわち前記一般式(3)や(7)で表される有機金属錯体は、下記一般式(56)で表される配位子をオルトメタル化反応させることにより得られる。以下では、この一般式(56)で表される配位子を用い、前記一般式(7)で表される有機金属錯体を合成する手法を説明する。
Figure 0004912618
式(56)中、R2〜R14は水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。
なお、上記一般式(56)で表される配位子は、例えば、下記合成スキーム(57)で合成することができる。また、本発明の有機金属錯体における他の配位子についても同様の手法で合成できる。
Figure 0004912618
式(57)中、R2〜R14は、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。
このようにして得られた一般式(56)の配位子を用いて、本発明の有機金属錯体を合成する。この時の反応(オルトメタル化反応)としては、以下のような合成方法を用いればよい。
例えば、イリジウムを中心金属として本発明の有機金属錯体を合成する際は、中心金属原料として塩化イリジウムの水和物を用い、前記一般式(56)の配位子と混合して窒素雰囲気下にて環流することにより、まず塩素架橋の複核錯体を合成する。
その合成スキームを下記式(58)示す。
Figure 0004912618
式(58)中、R2〜R14は、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。
次に、得られた前記複核錯体と配位子Lとを混合して窒素雰囲気下にて環流することにより、塩素架橋を配位子Lで切断し、本発明の有機金属錯体を得る。
合成スキームを下記式(59)に示す。
Figure 0004912618
式(59)中、R2〜R14は、水素、ハロゲン元素、アシル基、アルキル基、アルコキシル基、アリール基、シアノ基、複素環基、電子吸引性置換基のいずれかを表す。
なお、本発明の有機金属錯体の合成方法は、上記に示す合成方法に限定されるものではない。
〈本発明の発光素子の実施形態〉
次に、本発明の発光素子の実施形態について図面に沿って説明する。
〈実施の形態1〉
本実施の形態1では、本発明の発光素子について図1を用いて説明する。
図1のとおり、基板100上に第1の電極101が形成され、第1の電極101上に発光物質を含む層102が形成され、その上に第2の電極103が形成された構造を有する。なお、ここで基板100に用いる材料としては、従来の発光素子に用いられているものであればよく、例えば、ガラス、石英、透明プラスチック、可撓性基板などからなるものを用いることができる。また、本実施例の形態1における第1の電極101は陽極として機能し、第2の電極103は陰極として機能する。
すなわち、第1の電極101は陽極材料で形成され、ここで用いることのできる陽極材料としては、仕事関数の大きい(仕事関数4.0eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。なお、陽極材料の具体例としては、ITO(indium tin oxide)、ITSO(indium tin silicon oxide)、酸化インジウムに2〜20〔%〕の酸化亜鉛(ZnO)を混合したIZO(indium zinc oxide)の他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、または金属材料の窒化物(TiN)等を用いることができる。
一方、第2の電極103の形成に用いられる陰極材料としては、仕事関数の小さい(仕事関数3.8eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物、およびこれらの混合物などを用いることが好ましい。なお、陰極材料の具体例としては、元素周期律の1族または2族に属する元素、すなわちLiやCs等のアルカリ金属、およびMg、Ca、Sr等のアルカリ土類金属、およびこれらを含む合金(Mg:Ag、Al:Li)や化合物(LiF、CsF、CaF2)の他、希土類金属を含む遷移金属を用いて形成することができるが、Al、Ag、ITO等の金属(合金を含む)との積層により形成することもできる。
なお、上述した陽極材料および陰極材料は、蒸着法、スパッタリング法等により薄膜を形成することにより、それぞれ第1の電極101および第2の電極103を形成する。膜厚は、10〜500nmとするのが好ましい。最後にSiN等の無機材料やテフロン(登録商標)、スチレンポリマー等の有機材料からなる保護層(バリア層)を形成する。バリア層は、透明であっても不透明であってもよく、上記無機材料または有機材料は、蒸着法、スパッタリング法等により形成する。
また、本発明の発光素子において、発光層におけるキャリアの再結合により生じる光は、第1の電極101または第2の電極103の一方、または両方から外部に出射される構成となる。すなわち、第1の電極101から光を出射させる場合には、第1の電極101を透光性の材料で形成することとし、第2の電極103側から光を出射させる場合には、第2の電極103を透光性の材料で形成することとする。また、発光物質を含む層102は複数の層を積層することにより形成されるが、本実施の形態1では、ホール注入層111、ホール輸送層112、発光層113、ホールブロッキング層114、および電子輸送層115を順に積層して形成される。
発光物質を含む層102において、ホール注入層111は、第1の電極101と接して設けられる。また、ホール注入層111は、第1の電極101からホールを受け取ることができる材料を用いて形成することが好ましい。さらに、ホール注入層111と接し、ホール注入層111よりも第2の電極103側に設けられている層へホールを注入できる材料を用いて形成することが好ましい。具体的には、フタロシアニン系の化合物を用いて形成することが好ましい。フタロシアニン系の化合物としては、例えば、フタロシアニン(略称:H2−Pcと示す)、銅フタロシアニン(略称:Cu−Pcと示す)などが挙げられる。
また、4,4'−ビス〔N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(略称:DNTPDと示す)や4,4',4''−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(略称:MTDATAと示す)等の芳香族アミン系の化合物を用いることもできる。また、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)等の導電性無機化合物(半導体を含む)を用いることができる。さらに、それら導電性無機化合物と上記または下記に示すような芳香族アミン系の化合物との混合物を用いることができる。この混合物は共蒸着などの手法により形成することができる。
ホール輸送層112は、ホールを輸送することのできる材料を用いて形成することが好ましい。具体的には、芳香族アミン系(すなわち、ベンゼン環ー窒素の結合を有するもの)の化合物を用いて形成することが好ましく、例えば、4,4'−ビス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ〕−ビフェニル(略称:TPDと示す)、4,4'−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ〕−ビフェニル(略称:α−NPDと示す)の他、上述したMTDATAや4,4',4''−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATAと示す)などのスターバースト型芳香族アミン化合物を用いて形成することが好ましい。また、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)等の導電性無機化合物(半導体を含む)と、上記のような芳香族アミン系の化合物との混合物を用いることができる。この混合物は共蒸着などの手法により形成することができる。
発光層113は、前記一般式(1)〜(4)で表される部分構造を有する有機金属錯体および前記一般式(5)〜(8)で表される有機金属錯体の中の少なくとも1つの有機金属錯体と、ホスト材料とを共蒸着することにより形成することが好ましい。ホスト材料としては、前記一般式(1)〜(4)で表される部分構造を有する有機金属錯体および前記一般式(5)〜(8)で表される有機金属錯体の中から選ばれる少なくとも1つの有機金属錯体よりも、エネルギーギャップ(Eg)が大きい物質を用いることが好ましい。
また、特に、ホスト材料としては、エネルギーギャップが大きく、さらに、前記一般式(1)〜(4)で表される部分構造を有する有機金属錯体および前記一般式(5)〜(8)で表される有機金属錯体の中から選ばれる少なくとも1つの有機金属錯体よりも、イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ電子親和力(EA)が小さい物質を用いることが好ましい。その例としては、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、1,3,5−トリス〔4−(N−カルバゾリル)フェニル〕ベンゼン(略称:TCPB)などが挙げられる。また、ホスト材料は、ホールまたは電子のいずれか一方または両方のキャリアを輸送することのできる物質、具体的には、10-6cm2/Vs以上のキャリア移動度を有する物質からなることが、より好ましい。これにより、駆動電圧を低減でき、また素子の信頼性を向上させることができる。
ホスト材料として用いることのできる物質の具体例としては、α−NPDやトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)が挙げられる。なお、α−NPDにおけるホールの移動度は10-4cm2/Vs程度であり、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)における電子の移動度は10-5cm2/Vs程度である。このように、ホールまたは電子のいずれか一方または両方のキャリアの移動度は10-6cm2/Vs以上であることが好ましい。但し、ホスト材料はα−NPDやAlq3に限定されるものではなく、上述したTPD等の芳香族アミン化合物や、トリス(8−キノリノラト)ガリウム(略称:Gaq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)等の金属錯体等もホスト材料として用いることができる。これらAlq3、Gaq3、Almq3は電子輸送性の金属錯体の具体例に相当している。
発光層113を以上のような構成とすることで、発光層113中においてホールや電子が容易に輸送されるのみならず、それらホールや電子は発光層を通過することなく前記の有機金属錯体に効率的にトラップされ、発光に至る。従って、発光層中をホールや電子が通り抜け難く、また励起子生成が効率的になり、発光効率の低下(すなわち輝度の劣化)が少ない安定なデバイスを構築することができる。
前掲式(16)〜(55)で表される有機金属錯体は、有機ー金属結合によってホールを受け取りやすくなっていることに加え、キノキサリン骨格によって電子をも受け取りやすくなっているため、効果的にキャリアをトラップできるという利点がある。
なお、式(16)〜(55)で表される有機金属錯体の中でも、特に(16)や(18)のように、フルオロ基やトリフルオロメチル基を有する有機金属錯体を用いて発光層113を形成することが好ましい。これによって、ホスト材料の選択性が広がる。また特に、電子に対する親和性が高くなり、さらに効果的に電子をトラップすることができるという利点がある。
ホールブロッキング層114は、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlqと示す)、1,3−ビス〔5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル〕ベンゼン(略称:OXD−7と示す)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZと示す)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZと示す)、バソフェナントロリン(略称:BPhenと示す)、バソキュプロイン(略称:BCPと示す)等のイオン化ポテンシャルの大きい材料を用いて形成することが好ましく、発光層113のイオン化ポテンシャルよりも0.3eV以上大きい材料を用いて形成することが、より好ましい。これによって、第1の電極101側から発光物質を含む層に注入されたホールが陰極として機能する電極側へ流れていくのを阻止できる。また、光のエネルギーが電子輸送層の方にエネルギー移動してしまうのを防ぐことができる。
電子輸送層115は、陰極として機能する電極側から発光物質を含む層に注入された電子を発光層の方へ輸送できる材料を用いて形成することが好ましい。また、発光層を形成している材料よりもイオン化ポテンシャルが大きい材料を用いて形成することが好ましいが、本形態のようにホールブロッキング層を設ける場合は、必ずしも発光層を形成している材料よりもイオン化ポテンシャルが大きい材料を用いなくてもよい。
このような材料の具体例としては、Alq3、Gaq3、Almq3、ビス(10−ヒドロキシベンゾ〔h〕−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2と示す)などのキノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体や、前述のBAlqが挙げられる。このほか、ビス〔2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト〕亜鉛(略称:ZnBOXと示す)、ビス〔2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト〕亜鉛(略称:Zn(BTZ)2と示す)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体等も電子輸送層115を形成する材料として用いることができる。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBDと示す)や、前述のOXD−7、TAZ、p−EtTAZ、BPhen、BCPの他、チタン酸化物等の無機物を用いてもよい。
以上に説明した本発明の発光素子は、発光時間の経過に伴った発光輝度の減少が少なく、良好な素子寿命を示すものである。
〈実施の形態2〉
本発明の発光素子の実施の形態2について図2を用いて説明する。
図2に示す発光素子は、基板200上に陰極として機能する第1の電極201を有し、第1の電極201上に発光物質を含む層202を有し、発光物質を含む層202上に陽極として機能する第2の電極203を有する。発光物質を含む層202は、図2に示すように、電子輸送層211、ホールブロッキング層212、発光層213、ホール輸送層214およびホール注入層215とが順に積層してなり、発光層213を中心として第1の電極201側に電子輸送層211が、第2の電極203側にホール輸送層214がそれぞれ設けられている。
電子輸送層211、ホールブロッキング層212、発光層213、ホール輸送層214およびホール注入層215とは、それぞれ実施の形態1で説明した 電子輸送層、ホールブロッキング層、発光層、ホール輸送層およびホール注入層と同様の材料を用い、蒸着法等を用いて形成すればよい。このように、陰極として機能する電極が基板側に設けられているような発光素子であってもよい。なお、本発明の発光素子において、発光物質を含む層202におけるキャリアの再結合により生じる光は、第1の電極201または第2の電極203の一方、または両方から外部に出射される。
以上に説明した本発明の発光素子は、発光時間の経過に伴った発光輝度の減少が少なく、良好な素子寿命を示すものである。
〈実施の形態3〉
本実施の形態3においては、ガラス、石英、金属、バルク半導体、透明プラスチック、可撓性基板などからなる基板300上に発光素子を作製している。一基板上にこのような発光素子を複数作製することで、パッシブ型の発光装置を作製することができる。また、ガラス、石英、透明プラスチック、可撓性基板などからなる基板以外に、例えば図3に示すように、薄膜トランジスタ(TFT)アレイと接する発光素子を作製してもよい。ここでは、311と312をTFTとし、本発明の発光素子313を作製する。
発光素子313のうち、第1の電極314、発光物質を含む層を315と、また第2の電極316を作製することができる。さらに配線317を第1の電極314に接して作製する。これにより、TFTによって発光素子の駆動を制御するアクティブマトリクス型の発光装置を作製できる。なお、TFTの構造は、特に限定されない。例えば、スタガ型でもよいし、逆スタガ型でもよい。また、TFTを構成している半導体層の結晶性についても特に限定されず、結晶質のものでもよいし非晶質のものでもよい。
〈実施の形態4〉
本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子の態様について、図4を用いて説明する。
図4には、第1の電極401と第2の電極402との間に発光層413を有する発光素子を示している。そして、発光層413には、前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)のいずれかで表される構造を含む本発明の有機金属錯体、または前記一般式(5)、(6)、(7)、(8)のいずれかで表される本発明の有機金属錯体が含まれている。
このような発光素子において、第1の電極401から注入された正孔と、第2の電極402から注入された電子とは、発光層413において再結合し、有機金属錯体を励起状態にする。そして、励起状態の本発明の有機金属錯体は基底状態に戻るときに発光する。このように、本発明の有機金属錯体は発光物質として機能する。なお、本形態の発光素子において、第1の電極401は陽極として機能し、第2の電極402は陰極として機能する。
ここで、発光層413について特に限定はないが、本発明の有機金属錯体が、本発明の有機金属錯体の有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有する物質からなる層中に、分散して含まれた層であることが好ましい。これによって、本発明の有機金属錯体からの発光が、濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップを言う。
本発明の有機金属錯体を分散状態にするために用いる物質について特に限定はないが、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)のようなアリールアミン骨格を有する化合物の他、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)等のカルバゾール誘導体や、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)等の金属錯体等が好ましい。
なお、有機金属錯体の中でも特にハロゲン基、ハロアルキル基、シアノ基等の電子吸引性置換基を有するものを発光物質として用いた発光素子とすることが好ましい。これによって色度および量子効率のよい発光素子を得ることができる。
また、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基、ハロアルキル基の中でも特にトリフルオロメチル基が好ましい。これらの置換基を有する有機金属錯体を発光物質として用いることによって、再結合効率の高い発光素子を得ることができる。
また、第1の電極401について特に限定はないが、本形態のように、陽極として機能するときは、仕事関数の大きい物質で形成されていることが好ましい。具体的には、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。なお、第1の電極401は、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。
また、第2の電極402について特に限定はないが、本形態のように、陰極として機能するときは、仕事関数の小さい物質で形成されていることが好ましい。具体的には、リチウム(Li)またはマグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属等を含んだアルミニウム等を用いることができる。なお、第2の電極402は、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。
なお、発光した光を外部に取り出すために、第1の電極401と第2の電極402のいずれか一方または両方は、インジウム錫酸化物等から成る電極、または可視光を透過出来るように数〜数十nmの厚さで形成された電極であることが好ましい。
また、第1の電極401と発光層413との間には、図4に示すように、正孔輸送層412を有していてもよい。ここで、正孔輸送層とは、第1の電極401から注入された正孔を発光層413へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層412を設け、第1の電極401と発光層413とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。
なお、正孔輸送層412については、特に限定はなく、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物等によって形成されたものを用いることができる。
また、正孔輸送層412は、以上に述べた物質から成る層を2つ以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
また、第2の電極402と発光層413との間には、図4に示すように、電子輸送層414を有していてもよい。ここで、電子輸送層とは、第2の電極402から注入された電子を発光層413へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層414を設け、第2の電極402と発光層413とを離すことによって、発光が金属に起因して消光することを防ぐことができる。
なお、電子輸送層414について特に限定はなく、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)など、キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等によって形成されたものを用いることができる。この他、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)−ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体等によって形成されたものであってもよい。また、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)や、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等を用いて形成されたものであってもよい。
また、電子輸送層414は、以上に述べた物質から成る層を2つ以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
さらに、第1の電極401と正孔輸送層412との間には、図4に示すように、正孔注入層411を有していてもよい。ここで、正孔注入層とは、陽極として機能する電極から正孔輸送層412へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。なお、正孔輸送層を特に設けない場合は、陽極として機能する電極と発光層との間に正孔注入層を設け、発光層への正孔の注入を補助してもよい。
正孔注入層411について特に限定はなく、モリブデン酸化物(MoOx)やバナジウム酸化物(VOx)、ルテニウム酸化物(RuOx)、タングステン酸化物(WOx)、マンガン酸化物(MnOx)等の金属酸化物によって形成されたものを用いることができる。この他、フタロシアニン(略称:H2Pc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子等によっても正孔注入層411を形成することができる。
また、第2の電極402と電子輸送層414との間には、図4に示すように、電子注入層415を有していてもよい。ここで、電子注入層とは、陰極として機能する電極から電子輸送層414へ電子の注入を補助する機能を有する層である。なお、電子輸送層を特に設けない場合は、陰極として機能する電極と発光層との間に電子注入層を設け、発光層への電子の注入を補助してもよい。
電子注入層415について特に限定はなく、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF2)等のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の化合物を用いて形成されたものを用いることができる。この他、Alq3または4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(BzOS)等のように電子輸送性の高い物質と、マグネシウムまたはリチウム等のようにアルカリ金属またはアルカリ土類金属とを混合したものも、電子注入層415として用いることができる。
以上に述べた本発明の発光素子において、正孔注入層411、正孔輸送層412、発光層413、電子輸送層414、電子注入層415は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成しても構わない。また、第1の電極401または第2の電極402についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成しても構わない。
以上に述べたような本発明の発光素子は、本発明の有機金属錯体を用いているため、色度のよい赤色の発光を呈することができる。また、本発明の発光素子は、燐光を発光させることができるため、発光効率がよい。また、キノキサリン誘導体から成る層に本発明の有機金属錯体を分散させた層を含む発光素子は、特に効率よく発光する。
〈実施の形態5〉
本発明の発光素子は、複数の発光層を有するものであってもよい。複数の発光層を設け、それぞれの発光層からの発光を混合することで、例えば白色光の光を得ることができる。本形態では、複数の発光層を有する発光素子の態様について図5、図6を用いて説明する。
図5において、第1の電極501と第2の電極502との間には、第1の発光層513と第2の発光層515とを有する。第1の発光層513と第2の発光層515との間には、隔壁層514を有することが好ましい。
第1の電極501の電位よりも第2の電極502の電位が高くなるように電圧を印加すると、第1の電極501と第2の電極502との間に電流が流れ、第1の発光層513または第2の発光層515または隔壁層514において正孔と電子とが再結合する。生じた励起エネルギーは、隔壁層514を介して第1の発光層513と第2の発光層515の両方に移り、第1の発光層513に含まれた第1の発光物質と第2の発光層515に含まれた発光物質を励起状態にする。そして、励起状態になった第1の発光物質と第2の発光物質とは、それぞれ基底状態に戻るときに発光する。
第1の発光層513には、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)、4,4’−ビス[2,2−ジフェニルビニル]ビフェニル(DPVBi)、4,4’−ビス[2−(N−エチルカルバゾール−3−イル)ビニル]ビフェニル(BCzVBi)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(BAlq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−クロロガリウム(Gamq2Cl)などの蛍光物質や、ビス[2−(3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)ピコリナート(Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)アセチルアセトナート(FIr(acac))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)ピコリナート(FIr(pic))などの燐光物質に代表される発光物質が含まれており、450〜510nmに発光スペクトルのピークを有する発光が得られる。
また、第2の発光層515には、本発明の有機金属錯体が発光物質として機能するように含まれており、第2の発光層515からは、580〜680nmに発光スペクトルのピークを有する発光が得られる。そして、第1の発光層513からの発光の発光色と第2の発光層515からの発光の発光色とは、第1の電極501と第2の電極502とのいずれか一方若しくは両方を通って外部に射出する。外部に射出したそれぞれの発光は、視覚的に混合され、白色光として視認される。
第1の発光層513は、450〜510nmの発光を呈することのできる発光物質が、該発光物質のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーギャップを有する物質(第1のホスト)から成る層中に分散した状態で含まれているか、または、450〜510nmの発光を呈することのできる発光物質から成る層であることが好ましい。第1のホストとしては、先に述べたα−NPD、CBP、TCTA、Znpp2、ZnBOXの他、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等を用いることができる。また、第2の発光層515は、本発明の有機金属錯体が、本発明の有機金属錯体のエネルギーギャップよりも大きなエネルギーギャップを有する物質(第2のホスト)から成る層中に、分散した状態で含まれた層であることが好ましい。第2のホストとしては、TPAQn、α−NPD、CBP、TCTA、Znpp2、ZnBOX、Alq3等を用いることができる。また隔壁層514は、第1の発光層513または第2の発光層515または隔壁層514において発生したエネルギーが第1の発光層513と第2の発光層515の両方に移動でき、且つ第1の発光層513と第2の発光層515のいずれか一方のみにエネルギーが移動しないようにするための機能を有するように形成されていることが好ましい。具体的には、隔壁層514は、TPAQn、α−NPD、CBP、TCTA、Znpp2、ZnBOX等を用いて形成することができる。このように、隔壁層514を設けることで、第1の発光層513と第2の発光層515のいずれか一方のみの発光強度が強くなってしまい、白色発光が得られなくなるという不具合を防ぐことができる。
本形態では、第1の発光層513と第2の発光層515のいずれの層にどのような発光物質を含ませるかについて特に限定はないが、本形態のように、陽極として機能する電極(本形態では第2の電極502)に近い方の発光層(本形態では第2の発光層515)に、本発明の有機金属錯体を用いることによって、より効率よく各々の層に含まれる発光物質を発光させることができる。
また、本形態では、図5のように2層の発光層が設けられた発光素子について記載しているが、発光層の層数は2層に限定されるものでは無く、例えば3層であってもよい。そして、それぞれの発光層からの発光を組み合わせて、白色として視認されるようにすればよい。
また、第1の発光層513と第1の電極501との間には、図5に示すように電子輸送層512が設けられていてもよい。また、電子輸送層512の他、電子注入層511が電子輸送層512と第1の電極501との間に設けられていてもよい。また、第2の発光層515と第2の電極502との間には、図5に示すように正孔輸送層516が設けられていてもよい。また、正孔輸送層516と第2の電極502との間には正孔注入層517が設けられていてもよい。
また、図5を用いて説明したような発光素子の他、図6に表されるような、発光素子であってもよい。
図6の発光素子は、第1の電極601と第2の電極602との間には、第1の発光層613と第2の発光層618とを有する。第1の発光層613と第2の発光層618との間には、第1の層615と第2の層616とを有する。
第1の層615は正孔を発生する層であり、第2の層616は電子を発生する層である。第1の電極601の電位よりも第2の電極602の電位の方が高くなるように電圧を印加したとき、第1の電極601から注入された電子と、第1の層615から注入された正孔とは、第1の発光層613において再結合し、第1の発光層613に含まれた発光物質が発光する。さらに、第2の電極602から注入された正孔と第2の層616から注入された電子とは第2の発光層618において再結合し、第2の発光層618に含まれた発光物質が発光する。
第1の発光層613には、本発明の有機金属錯体が発光物質として機能するように含まれており、第1の発光層613からは、580〜680nmに発光スペクトルのピークを有する発光が得られる。また、第2の発光層618には、ペリレン、TBP、DPVBi、BCzVBi、BAlq、Gamq2Clなどの蛍光物質や、Ir(CF3ppy)2(pic)、FIr(acac)、FIr(pic)などの燐光物質に代表される発光物質が含まれており、450〜510nmに発光スペクトルのピークを有する発光が得られる。第1の発光層613からの発光と、第2の発光層618からの発光とは、第1の電極601または第2の電極602とのいずれか一方若しくは両方から射出する。そして、両発光層からの発光は視覚的に混合され、白色光として視認される。
第1の発光層613において、本発明の有機金属錯体は、前述のように第2のホストに分散して含まれていることが好ましい。第2の発光層618についても、前述の第1の発光層513と同様にして形成されたものであることが好ましい。
第1の層615は、電子よりも正孔の輸送性が高い物質の中に、その物質に対し電子受容性を示す物質とを含む層であることが好ましい。電子よりも正孔の輸送性が高い物質としては、正孔輸送層を形成するときに用いる物質と同様のものを用いればよい。また電子よりも正孔の輸送性が高い物質に対し電子受容性を示す物質としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:TCNQ)、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(略称:F4−TCNQ)等を用いることができる。
第2の層616は、正孔よりも電子の輸送性が高い物質の中に、その物質に対し電子供与性を示す物質とを含む層であることが好ましい。正孔よりも電子の輸送性が高い物質としては、電子輸送層を形成するときに用いる物質と同様のものを用いればよい。また正孔よりも電子の輸送性が高い物質に対し電子供与性を示す物質としては、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、エルビウム、イッテルビウム等の希土類金属等を用いることができる。
また、第1の発光層613と第1の電極601との間には、図6に示すように、電子輸送層612が設けられていてもよい。また、電子輸送層612と第1の電極601との間には電子注入層611が設けられていてもよい。また、第1の発光層613と第1の層615との間には、正孔輸送層614が設けられていてもよい。また、第2の発光層618と第2の電極602との間には、正孔輸送層619が設けられていてもよい。また、正孔輸送層619と第2の電極602との間には正孔注入層620が設けられていてもよい。また、第2の発光層618と第2の層616との間には電子輸送層617が設けられていてもよい。
また、本形態では、図6のように2層の発光層が設けられた発光素子について記載しているが、発光層の層数は2層に限定されるものでは無く、例えば3層であってもよい。そして、それぞれの発光層からの発光を組み合わせて、白色として視認されるようにすればよい。
〈実施の形態6〉
本発明の有機金属錯体を増感剤として用いた発光素子の態様について、図7を用いて説明する。
図7には、第1の電極701と第2の電極702との間に発光層713を有する発光素子が表されている。そして、発光層713には、前記一般式(1)、(2)、(3)、(4)のいずれかで表される構造を含む本発明の有機金属錯体、または前記一般式(5)、(6)、(7)、(8)のいずれかで表される本発明の有機金属錯体と、本発明の有機金属錯体よりも長波長の発光を呈することのできる蛍光性化合物とが含まれている。ここで、蛍光性化合物とは、励起状態から基底状態に戻るときに蛍光を発光する物質である。
このような発光素子において、第1の電極701から注入された正孔と、第2の電極702から注入された電子とは、発光層713において再結合し、蛍光性化合物を励起状態にする。そして、励起状態の蛍光性化合物は基底状態に戻るときに発光する。この時、本発明の有機金属錯体は、蛍光性化合物に対し増感剤として作用し、蛍光性化合物の一重項励起状態の数を増幅する。このように、本発明の有機金属錯体を増感剤として用いることによって発光効率のよい発光素子を得ることができる。なお、本形態の発光素子において、第1の電極701は陽極として機能し、第2の電極702は陰極として機能する。
ここで、発光層713について特に限定はないが、本発明の有機金属錯体と蛍光性化合物とが、本発明の有機金属錯体の有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有する物質からなる層中に、分散して含まれた層であることが好ましい。これによって、本発明の有機金属錯体からの発光が、濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。なお、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップを言う。
ここで、蛍光性化合物について特に限定はないが、マグネシウムフタロシアニン、フタロシアニン等の赤色〜赤外の発光を示す化合物が好ましい。
また、本発明の有機金属錯体と蛍光性化合物とを分散状態にするために用いる物質について特に限定はなく、実施の形態4において記載した、本発明の有機金属錯体を分散状態にするために用いることのできる物質等を用いることができる。
また、第1の電極と第2の電極とについても特に限定はなく、実施の形態4に記載の第1の電極401、第2の電極402と同様のものを用いることがきる。
また、第1の電極701と発光層713との間には、図7に表されるように、正孔注入層711、正孔輸送層712等を設けてもよい。また、第2の電極702と発光層713との間にも、電子輸送層714、電子注入層715等を設けてもよい。
正孔注入層711、正孔輸送層712、電子輸送層714、電子注入層715は、それぞれ、実施の形態4に記載の正孔注入層411、正孔輸送層412、電子輸送層414、電子注入層415と同様のものを用いることができる。また、正孔注入層711、正孔輸送層712、電子輸送層714、電子注入層715と異なった機能を有する他の機能層等を設けてもよい。
以上に述べた発光素子は、本発明の有機金属錯体を増感剤として用いることによって得られるものである。
〈実施の形態7〉
本発明の有機金属錯体を含む本発明の発光素子は、良好な発光色を呈するため、本発明の発光素子を画素として用いることによって、色彩の良好な画像を映す機能を有する発光装置を得ることができる。また、本発明の発光素子は効率よく発光することができるため、本発明の発光素子を画素などに用いることによって、消費電力の低い発光装置を得ることができる。
本形態では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図8、図9、図10、図11を用いて説明する。
図8は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図8において、基板800上には、画素部811と、ソース信号線駆動回路812と、書込用ゲート信号線駆動回路813と、消去用ゲート信号線駆動回路814とが設けられている。ソース信号線駆動回路812と、書込用ゲート信号線駆動回路813と、消去用ゲート信号線駆動回路814とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)801と接続している。そして、ソース信号線駆動回路812と、書込用ゲート信号線駆動回路813と、消去用ゲート信号線駆動回路814とは、それぞれ、FPC801からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC801にはプリント配線基盤(PWB)802が取り付けられている。なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部811と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
画素部811には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部811には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部811には、発光素子を含む1組の回路が複数配列している。
図9は、1画素を動作するための回路を示した図である。図9に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。
第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む3端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれ第1電極、第2電極と表記する。
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。また、第1のトランジスタの第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる1つの電極と電気的に接続している。なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
また、画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図10の上面図に表すように配置することができる。図10において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2トランジスタの第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の1部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
次に、駆動方法について説明する。図11は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図11において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作と表示動作とが繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、1画面(1フレーム)の書き換え動作と表示動作を行う期間を1フレーム期間という。
1フレームは、図11に示すように、書き込み期間1101a、1102a、1103a、1104aと保持期間1101b、1102b、1103b、1104bとを含む4つのサブフレーム1101、1102、1103、1104に分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム1101:第2のサブフレーム1102:第3のサブフレーム1103:第4のサブフレーム1104=23:22:21:20=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数および階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム1101において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間1101aが終了した行から順に保持期間1101bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間1101bが終了した行から順に次のサブフレーム1102へ移り、サブフレーム1101の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。以上のような動作を繰り返し、サブフレーム1104の保持期間1104b迄終了する。サブフレーム1104における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて1画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
サブフレーム1104のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間1104bの後に消去期間1104cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間1104dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、1行目から順に次の(またはフレーム)の書込期間に移行する。これによって、サブフレーム1104の書き込み期間と、その次のサブフレームの書き込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
1水平期間を、ある行に消去信号を入力するための選択期間と他の行に映像信号を入力するための選択期間との2つに分割し、それに合わせてソース信号線へ入力する信号も切り替える。このような動作方法により、非発光期間1104dを設けることで保持期間1104bを全行への書き込みに要する時間より短くすることが可能となる。
なお、本形態では、サブフレーム1101乃至1104は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施の形態のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
ここで、書込期間および消去期間における、図9に示す回路の動作について説明する。
まず、書込期間における動作について説明する。書込期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路と電気的に接続している。ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、第2のトランジスタ902のオンオフが制御される。そのため、第2のトランジスタ902のゲート電極に入力する信号によって、発光素子903の発光または非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
次に、消去期間における動作について説明する。消去期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、n行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
なお、消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去するための信号を入力する。しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行〔m行目(mは自然数)とする。〕については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してn行目には消去のための信号を、m行目には書込のための信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作させることが好ましい。
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線とソース信号線駆動回路915とを接続させると共に、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からm行目の信号線に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタがオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線に書込のための信号が入力される。この信号によって、m行目の発光素子は、発光または非発光となる。
以上のようにしてm行目について書込期間を終えたら、直ちに、n+1行目の消去期間に移行する。そのために、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線については、消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からn+1行目のゲート信号線に選択的に信号を入力して第1のトランジスタ901がオンする共に、電源916から消去信号が入力される。このようにして、n+1行目の消去期間を終えたら、直ちに、m+1行目の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
なお、本形態では、n行目の消去期間とn+1行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、n−1行目の消去期間とn行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設けてもよい。
また、本形態では、サブフレーム1104のように非発光期間1104dを設けるときにおいて、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る1つのゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。
〈実施の形態8〉
本発明の発光素子を含む発光装置の断面の態様例について、図12を用いて説明する。
図12において、点線で囲まれているのは、本発明の発光素子1212を駆動するために設けられているトランジスタ1211である。発光素子1212は、第1の電極1213と第2の電極1214との間に正孔を発生する層と電子を発生する層と発光物質を含む層とが積層された層1215を有する本発明の発光素子である。トランジスタ1211のドレインと第1の電極1213とは、第1層間絶縁膜1216(1216a、1216b、1216c)を貫通している配線1217によって電気的に接続されている。また、発光素子1212は、隔壁層1218によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置は、本形態において、基板1210上に設けられている。
なお、図12に示されたトランジスタ1211は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。但し、トランジスタ1211の構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の1部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
また、トランジスタ1211を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモルファス等でもよい。
なお、セミアモルファスな半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。また少なくとも膜中の1部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。ラマンスペクトルが520cm-1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端化させるために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われている。珪化物気体をグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。珪化物気体としては、SiH4、その他にもSi26、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。この珪化物気体をH2、または、H2とHe、Ar、Kr、Neから選ばれた1種または複数種の希ガス元素で希釈してもよい。希釈率は2〜1000倍の範囲、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzである。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃である。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下とする。なお、セミアモルファスなものを有する半導体を用いたTFT(薄膜トランジスタ)の移動度はおよそ1〜10m2/Vsecとなる。
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等から成るものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
なお、半導体非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ1211およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか1つのトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、第1層間絶縁膜1216は、図12(A)、図12(C)に示すように多層でもよいし、または単層でもよい。なお、1216aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、1216bはアクリルやシロキサン、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質からなる。なお、シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成されている。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素基)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。また置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。さらに、1216cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜からなる。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質から成る層をさらに組み合わせてもよい。このように、第1層間絶縁膜1216は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか1つで形成されたものでもよい。
隔壁層1218は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましい。また隔壁層1218は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層1218は、無機膜と有機膜のいずれか1つで形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
なお、図12(A)、図12(C)では、第1層間絶縁膜1216のみがトランジスタ1211と発光素子1212の間に設けられた構成であるが、図12(B)のように、第1層間絶縁膜1216(1216a、1216b)の他、第2層間絶縁膜1219(1219a、1219b)が設けられた構成のものであってもよい。図12(B)に示す発光装置においては、第1の電極1213は第2層間絶縁膜1219を貫通し、配線1217と接続している。
第2層間絶縁膜1219は、第1層間絶縁膜1216と同様に、多層でもよいし、または単層でもよい。1219aはアクリルやシロキサン、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質からなる。さらに、1219bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜から成る。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質からなる層をさらに組み合わせてもよい。このように、第2層間絶縁膜1219は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機膜と有機膜のいずれか1つで形成されたものでもよい。
発光素子1212において、第1の電極および第2の電極がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、図12(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極1213側と第2の電極1214側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極1214のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図12(B)の白抜きの矢印で表されるように、第2の電極1214側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極1213は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料から成る膜(反射膜)が第1の電極1213の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極1213のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図12(C)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極1213側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極1214は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極1214の上方に設けられていることが好ましい。
また、発光素子1212は、第1の電極1213の電位よりも第2の電極1214の電位が高くなるように電圧を印加したときに動作するように層1215が積層されたものであってもよいし、或いは、第1の電極1213の電位よりも第2の電極1214の電位が低くなるように電圧を印加したときに動作するように層1215が積層されたものであってもよい。前者の場合、トランジスタ1211はNチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ1211はPチャネル型トランジスタである。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明したが、この他、トランジスタ等の駆動用の素子を特に設けずに発光素子を駆動させるパッシブ型の発光装置であってもよい。パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。まず、本発明の発光素子の有機金属錯体の合成例、その特性を記載し、次いで、本発明の発光素子の素子構造、その作製方法および発光装置の実施例を記載している。
《実施例1:有機金属錯体の合成例およびその特性》
〈合成例1〉
本合成例は、前記式(16)で表されるビス{2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト}アセチルアセトナト イリジウム(III)〔略称:Ir(Fdpq)2(acac)〕の合成例である。
〈ステップ1:配位子(HFdpq)の合成〉
まず、4,4’−ジフルオロベンジル3.71gとo−フェニレンジアミン1.71gを溶媒クロロホルム200mL中で6時間、加熱攪拌した。反応溶液を室温に戻し、1NHClと飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去することにより、配位子HFdpq〔2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリン〕を得た(淡黄色粉末、収率99%)。
合成スキームおよび配位子HFdpqの構造式を下記式(60)に示す。
Figure 0004912618
〈ステップ2:複核錯体〔Ir(Fdpq)2Cl〕2の合成〉
まず、2−エトキシエタノール30mLと水10mLとの混合液を溶媒として、配位子HFdpq(2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリン)を3.61g、塩化イリジウム(IrCl3・HCl・H2O)を1.35g混合し、窒素雰囲気下17時間還流することにより、複核錯体〔Ir(Fdpq)2Cl〕2 を得た(褐色粉末、収率99%)。
合成スキームおよび複核錯体〔Ir(Fdpq)2Cl〕2の構造式を下記式(61)に示す。
Figure 0004912618
〈ステップ3:本発明の発光素子の有機金属錯体Ir(Fdpq)2(acac)の合成〉
さらに、2−エトキシエタノール30mLを溶媒として、上記ステップ2で得られた複核錯体〔Ir(Fdpq)2Cl〕2 を2.00g、アセチルアセトン(Hacac)を0.44mL、炭酸ナトリウムを1.23g混合し、窒素雰囲気下にて20時間還流することにより、前記式(16)で表される本発明の有機金属錯体Ir(Fdpq)2(acac)を得た(赤色粉末、収率44%)。
合成スキームを下記式(62)に示す。
Figure 0004912618
本有機金属錯体Ir(Fdpq)2(acac)の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果は下記のとおりである。
1H−NMR.δ(CDCl3):8.20(d,2H),8.11(d,2H),8.01(brs,4H),7.68(t,2H),7.52(t,2H),7.32(brm,4H),7.08(m,2H),6.39(td,2H),6.05(dd,2H),4.71(s,1H),1.62(s,6H)
また、得られたIr(Fdpq)2(acac)の分解温度Tdを示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)により測定したところ、Td=365℃であり、良好な耐熱性を示すことが分かった。
また、得られたIr(Fdpq)2(acac)のジクロロメタン中における吸収スペクトルおよび発光スペクトル(Photo Luminescence)を図13に示す。なお、発光スペクトルは、ハロゲンランプの光をスリットによって分光して取り出した469nmの波長の光を励起光として用いたときに得られたものである。図13において、横軸は波長(nm)を表し、左縦軸は吸光度(単位無し)を表し、右縦軸は発光強度〔任意単位:auxiliary unit(a.u.)〕を表す。図13からも分かるように、本発明の有機金属錯体Ir(Fdpq)2(acac)は232nm、284nm、371nmおよび472nmに吸収ピークを有している。また、発光スペクトルは644nmに発光ピークを有する発光であった。そしてこの発光は、赤色と視認された。
なお、得られたIr(Fdpq)2(acac)は、いくつもの吸収ピークが観測される。これは、オルトメタル錯体等によく見られる有機金属錯体特有の吸収であり、一重項MLCT遷移、三重項π−π*遷移、三重項MLCT(Metal to ligand charge transfer)遷移などに対応すると類推される。特に、最も長波長側の吸収ピークが可視領域においてブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移特有の吸収スペクトルであると考えられる。すなわち、Ir(Fdpq)2(acac)は三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが分かった。
また、得られたIr(Fdpq)2(acac)を含むジクロロメタン溶液に酸素を含む気体を注入し、酸素を溶存させた状態でIr(Fdpq)2(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。また、得られたIr(Fdpq)2(acac)を含むジクロロメタン溶液にアルゴンを注入し、アルゴンを溶存させた状態でIr(Fdpq)2(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。その結果、Ir(Fdpq)2(acac)由来の発光は酸素を溶存させた状態における発光強度よりもアルゴンを溶存させた状態における発光強度の方が強いという、燐光を発光する物質と同様の傾向を示すことが分かった。このことから、Ir(Fdpq)2(acac)由来の発光は燐光であると考えられる。
〈合成例2〉
本合成例は、前記式(17)で表されるビス(2,3−ジフェニルキノキサリナト)アセチルアセトナト イリジウム(III)〔略称:Ir(dpq)2(acac)〕の合成例である。
〈ステップ1:複核錯体〔Ir(dpq)2Cl〕2の合成〉
まず、2−エトキシエタノール30mLと水10mLとの混合液を溶媒として、配位子Hdpq(2,3−ジフェニルキノキサリン)の2.36gと、塩化イリジウム(IrCl3・HCl・H2O)の1.00gを混合し、窒素雰囲気下15時間還流することにより、複核錯体〔Ir(dpq)2Cl〕2 を得た(暗い褐色粉末、収率91%)。
合成スキームおよび複核錯体〔Ir(Fdpq)2Cl〕2の構造式を下記式(63)に示す。
Figure 0004912618
〈ステップ2:本発明の有機金属錯体Ir(dpq)2(acac)の合成〉
さらに、2−エトキシエタノール30mLを溶媒として、上記ステップ1で得られた〔Ir(dpq)2Cl〕2 を1.00g、アセチルアセトン(Hacac)を0.20mL、炭酸ナトリウムを0.67g混合し、窒素雰囲気下にて15時間還流した。これを濾過して得られた溶液を、ジクロロメタン溶媒にてカラム精製した。ジクロロメタン/メタノール溶媒より再結晶を行い、本発明の有機金属錯体Ir(dpq)2(acac)を得た(赤褐色粉末、収率40%)。
合成スキームを下記式(64)に示す。
Figure 0004912618
本有機金属錯体Ir(dpq)2(acac)の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果は下記の通りである。
1H−NMR.δ(CDCl3):8.15(t,4H),7.89(brs,4H),7.79(t,2H),7.69(m,8H),6.94(d,2H),6.57(t,2H),6.48(t,2H),6.33(d,2H),4.81(s,1H),1.64(s,6H)
また、得られたIr(dpq)2(acac)の分解温度Td を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)により測定したところ、Td=340℃であり、良好な耐熱性を示すことが分かった。
また、得られたIr(dpq)2(acac)のジクロロメタン中における吸収スペクトルおよび発光スペクトル(PL)を図14に示す。なお、発光スペクトルは、ハロゲンランプの光をスリットによって分光して取り出した469nmの波長の光を励起光として用いたときに得られたものである。図14において、横軸は波長(nm)を表し、左縦軸は吸光度(単位無し)を表し、右縦軸は発光強度(a.u.)を表す。図14からも分かるように、得られた有機金属錯体Ir(dpq)2(acac)は248nm、283nm、378nmおよび479nmに吸収ピークを有している。また、発光スペクトルは687nmに発光ピークを有する発光であった。そしてこの発光は、深い赤色と視認された。
なお、得られたIr(dpq)2(acac)は、いくつもの吸収ピークが観測される。これは、オルトメタル錯体等によく見られる有機金属錯体特有の吸収であり、一重項MLCT遷移、三重項π−π*遷移、三重項MLCT遷移などに対応すると類推される。特に、最も長波長側の吸収ピークが可視領域においてブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移特有の吸収スペクトルであると考えられる。すなわち、Ir(dpq)2(acac)は三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが分かった。
また、得られたIr(dpq)2(acac)を含むジクロロメタン溶液に酸素を含む気体を注入し、酸素を溶存させた状態でIr(dpq)2(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。また、得られたIr(dpq)2(acac)を含むジクロロメタン溶液にアルゴンを注入し、アルゴンを溶存させた状態でIr(dpq)2(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。その結果、Ir(dpq)2(acac)由来の発光は酸素を溶存させた状態における発光強度よりもアルゴンを溶存させた状態における発光強度の方が強いという、燐光を発光する物質と同様の傾向を示すことが分かった。このことから、Ir(dpq)2(acac)由来の発光は燐光であると考えられる。
〈合成例3〉
本合成例は、前記一般式(1)〜(8)に含まれるビス{2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト}ピコリナト イリジウム(III)〔略称:Ir(Fdpq)2(pic)〕の合成例である。
Ir(Fdpq)2(pic)の構造式を下記式(65)に示す。
Figure 0004912618
まず、原料としては、合成例1のステップ2で得られた複核錯体〔Ir(Fdpq)2Cl〕2を用いた。ジクロロメタン30mLを溶媒として、〔Ir(Fdpq)2Cl〕2 を2.87g、ピコリン酸(Hpic)を1.67g混合し、窒素雰囲気下にて16時間還流した。これを濾過して、本発明の有機金属錯体Ir(Fdpq)2(pic)を得た(赤色粉末、収率56%)。
合成スキームを下記式(66)に示す。
Figure 0004912618
本有機金属錯体Ir(Fdpq)2(pic)の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果は下記の通りである。
1H−NMR.δ(CDCl3):8.66(d,1H),8.45(d,1H),8.04(m,4H),7.95(d,1H),7.81(m,3H),7.69(m,2H),7.59(t,1H),7.53(t,1H),7.33(m,5H),7.18(t,1H),7.07(t,2H),6.51(td,1H),6.38(m,2H),5.78(dd,1H)
また、得られたIr(Fdpq)2(pic)の分解温度Td を示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)により測定したところ、Td=347℃であり、良好な耐熱性を示すことが分かった。
また、得られたIr(Fdpq)2(pic)のジクロロメタン中における吸収スペクトルおよび発光スペクトル(PL)を図15に示す。なお、発光スペクトルは、ハロゲンランプの光をスリットによって分光して取り出した468nmの波長の光を励起光として用いたときに得られたものである。図15において、横軸は波長(nm)を表し、左縦軸は吸光度(単位無し)を表し、右縦軸は発光強度(a.u.)を表す。図15からも分かるように、得られた有機金属錯体Ir(Fdpq)2(pic)は複数の吸収ピークを有している。また、発光スペクトルは625nmに発光ピークを有する発光であった。そしてこの発光は、赤色と視認された。
長波長側の吸収ピークが可視光領域においてブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移特有の吸収スペクトルであると考えられる。すなわち、Ir(Fdpq)2(pic)は三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが分かった。
〈合成例4〉
本合成例では、前記一般式(1)〜(8)に含まれるビス{2,3−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)キノキサリナト}アセチルアセトナト イリジウム(III)〔略称:Ir(3,5−Fdpq)2(acac)〕の合成について説明する。
Ir(3,5−Fdpq)2(acac)の構造式を(67)に示す。
Figure 0004912618
〈ステップ1:3,3’,5,5’−テトラフルオロベンジルの合成〉
配位子の原料である3,3’,5,5’−テトラフルオロベンジルを、以下の要領にて合成する。まず、マグネシウム3.16gとテトラヒドロフラン(略称:THF)3mLを懸濁させ、少量の1,2−ジブロモエタンを加えた。これに対し、1−ブロモ−3,5−ジフルオロベンゼン25.00gにTHF130mLを加えた溶液を滴下し、加熱還流下1時間半撹拌した。次に、室温に冷却した溶液に1,4−ジメチルピペラジン−2,3−ジオン9.24gを添加し、加熱還流下13時間撹拌した。
さらに、室温に冷却した溶液に10%塩酸200mLを加え、有機層をクロロホルムにて分取した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を濃縮した。最後にカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/ジクロロメタン系)で精製することにより、3,3’,5,5’−テトラフルオロベンジルを得た(黄色粉末、収率46%)。
合成スキームを下記式(68)に示す。
Figure 0004912618
〈ステップ2:配位子H(3,5−Fdpq)の合成〉
ステップ1にて合成した3,3’,5,5’−テトラフルオロベンジル8.32gと1,2−フェニレンジアミン3.19gに、クロロホルム300mLを加え、加熱還流下10時間撹拌した。室温に冷却した溶液を1N塩酸、次いで飽和食塩水にて洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を濃縮し、2,3−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)キノキサリン(配位子H(3,5−Fdpq))を得た(白色粉末、収率98%)。
合成スキームおよび配位子H(3,5−Fdpq)の構造式を下記式(69)に示す。
Figure 0004912618
〈ステップ3:複核錯体〔Ir(3,5−Fdpq)2Cl〕2の合成〉
2−エトキシエタノール30mLと水10mLとの混合液を溶媒として、ステップ2により合成した配位子H(3,5−Fdpq)を2.46g、塩化イリジウム(IrCl3・HCl・H2O)を0.83g混合し、窒素雰囲気下17時間還流することにより、複核錯体[Ir(3,5−Fdpq)2Cl]2を得た(赤褐色粉末、収率78%)。
合成スキームおよび複核錯体〔Ir(3,5−Fdpq)2Cl〕2の構造式を下記式(70)に示す。
Figure 0004912618
〈ステップ3:有機金属錯体Ir(3,5−Fdpq)2(acac)の合成〉
2−エトキシエタノール30mLを溶媒として、上記ステップ3で得られた複核錯体[Ir(3,5−Fdpq)2Cl]2を2.34g、アセチルアセトン(Hacac)を0.39mL、炭酸ナトリウムを1.32g混合し、窒素雰囲気下にて20時間還流することにより、上記式(67)で表される本発明の有機金属錯体Ir(3,5−Fdpq)2(acac)を得た(暗赤色粉末、収率22%)。
合成スキームを下記式(71)に示す。
Figure 0004912618
本有機金属錯体Ir(3,5−Fdpq)2(acac)の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果は下記のとおりであった。
1H−NMR.δ(CDCl3):8.10(t,4H),7.75(t,2H),7.61(m,4H),7.30(m,2H),7.09(tt,2H),6.77(dd,2H),6.20(td,2H),4.67(s,1H),1.61(s,6H)
また、得られたIr(3,5−Fdpq)2(acac)の分解温度Tdを示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)により測定したところ、Td=342℃であり、良好な耐熱性を示すことが分かった。
また、得られたIr(3,5−Fdpq)2(acac)のジクロロメタン中における吸収スペクトルおよび発光スペクトル(PL)を図16に示す。なお、発光スペクトルは、ハロゲンランプの光をスリットによって分光して取り出した468nmの波長の光を励起光として用いたときに得られたものである。図16において、横軸は波長(nm)を表し、左縦軸は吸光度(単位無し)を表し、右縦軸は発光強度(a.u.)を表す。図16からも分かるように、得られた有機金属錯体Ir(3,5−Fdpq)2(acac)は複数の吸収ピークを有している。また、発光スペクトルは666nmに発光ピークを有する発光であった。そしてこの発光は、深い赤色と視認された。
長波長側の吸収ピークが可視光領域においてブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移特有の吸収スペクトルであると考えられる。すなわち、Ir(3,5−Fdpq)2(acac)は三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが
分かった。
〈合成例5〉
本合成例では、前記一般式(1)〜(8)に含まれるビス{2,3−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)キノキサリナト}ピコリナト イリジウム(III)〔略称:Ir(3,5−Fdpq)2(pic)〕の合成について説明する。
Ir(3,5−Fdpq)2(pic)の構造式を下記式(72)に示す。
Figure 0004912618
ジクロロメタン30mLを溶媒として、合成例4ステップ3により合成した複核錯体〔Ir(3,5−Fdpq)2Cl〕2を2.54g、ピコリン酸(Hpic)を1.34g混合し、窒素雰囲気下にて16時間還流した。これを濾過して、本発明の有機金属錯体Ir(3,5−Fdpq)2(pic)を得た(赤色粉末、収率14%)。
合成スキームを下記式(73)に示す。
Figure 0004912618
本有機金属錯体Ir(3,5−Fdpq)2(pic)の核磁気共鳴分光法(1H−NMR)による分析結果は下記の通りであった。
1H−NMR.δ(CDCl3):8.65(d,1H),8.54(d,1H),8.06(m,2H),7.87−7.54(m,8H),7.32(m,3H),7.12(m,3H),6.85(d,1H),6.74(d,1H),6.37(t,1H),6.17(t,1H)
また、得られたIr(3,5−Fdpq)2(pic)の分解温度Tdを示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)により測定したところ、Td=347℃であり、良好な耐熱性を示すことが分かった。
また、得られたIr(3,5−Fdpq)2(pic)のジクロロメタン中における吸収スペクトルおよび発光スペクトル(PL)を図17に示す。なお、発光スペクトルは、ハロゲンランプの光をスリットによって分光して取り出した468nmの波長の光を励起光として用いたときに得られたものである。図17において、横軸は波長(nm)を表し、左縦軸は吸光度(単位無し)を表し、右縦軸は発光強度(a.u.)を表す。図17からも分かるように、得られた有機金属錯体Ir(3,5−Fdpq)2(pic)は複数の吸収ピークを有している。また、発光スペクトルは645nmに発光ピークを有する発光であった。そしてこの発光は、赤色と視認された。
長波長側の吸収ピークが可視光領域においてブロードな裾を引いており、三重項MLCT遷移特有の吸収スペクトルであると考えられる。すなわち、Ir(3,5−Fdpq)2(pic)は三重項励起状態への直接光励起や項間交差が可能な化合物であることが分かった。
合成例1〜合成例5に記載の本発明の有機金属錯体は、発光材料、または光増感剤として用いることができる。
次に、合成例1〜5で得られた本発明の有機金属錯体の吸収スペクトル、すなわち前記図13〜図17から、各有機金属錯体のエネルギーギャップを求めた。エネルギーギャップは、吸収スペクトルの吸収端の波長をエネルギーに換算することで算出した。その結果を表1に示す。
Figure 0004912618
なお、上述した本発明の有機金属錯体を発光素子の発光材料として用いる際には、これら有機金属錯体を適宜ホスト材料中に分散することが好ましい。表2に、前記と同様の測定手法により測定した代表的なホスト材料のエネルギーギャップを示す。
Figure 0004912618
表2を表1と比較するとわかるように、いずれのホスト材料のエネルギーギャップも本発明の有機金属錯体よりも大きく、本発明の有機金属錯体に対するホスト材料として使用できる。
さらに、エネルギーギャップだけでなく、上記合成例で得られた本発明の有機金属錯体の酸化・還元特性をサイクリックボルタンメトリ(CV)により測定し、イオン化ポテンシャルや電子親和力を見積もった。まず、合成例1の有機金属錯体〔Ir(Fdpq)2(acac)〕を例に、CV測定の手順を以下に示す。
測定装置は、電気化学アナライザー(ビー・エー・エス(株)製、型番:ALSモデル600A)を用いた。CV測定における溶液は、溶媒として脱水ジメチルホルムアミド(DMF)を用い、支持電解質である過塩素酸テトラ−n−ブチルアンモニウム(n−Bu4NClO4)を100mmolの濃度となるように溶解させ、さらに測定対象であるIr(Fdpq)2(acac)を1mmolの濃度となるように溶解させて調製した。また、作用電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、PTE白金電極)を、補助電極としては白金電極(ビー・エー・エス(株)製、VC−3用Ptカウンター電極(5cm))を、基準電極としてはAg/Ag+電極(ビー・エー・エス(株)製、RE5非水溶媒系参照電極)をそれぞれ用いた。
酸化特性については、まず基準電極に対する作用電極の電位を−0.4から1.2Vまで走査した後、続いて1.2Vから−0.4Vまで走査することにより測定した。また、還元特性については、まず基準電極に対する作用電極の電位を−0.4から−2.4Vまで走査した後、続いて−2.4Vから−0.4Vまで走査することにより測定した。なお、CV測定のスキャン速度は0.1V/sに設定した。
Ir(Fdpq)2(acac)の酸化特性について調べたCV曲線を図18(A)に、還元特性について調べたCV曲線を図18(B)に、それぞれ示す。図18(A)、図18(B)において、横軸は基準電極に対する作用電極の電位(V)を表し、縦軸は作用電極と補助電極との間に流れた電流値(1×10-5A)を表す。図18(A)から、酸化ピーク電位(Eox)は0.88V(vs.Ag/Ag+電極)であることが分かった。また、図18(B)から、還元ピーク電位(Ere)は−1.58V(vs.Ag/Ag+電極)であることが分かった。
同様の測定手法により、合成例2および合成例3で得られた本発明の各有機金属錯体に関しても、酸化ピーク電位(Eox)および還元ピーク電位(Ere)を測定した。CV測定の結果を表3にまとめる。なお、これらの有機金属錯体は、CV測定を100サイクル繰り返した場合であっても、酸化・還元のいずれについてもCV曲線のピーク位置やピーク強度にほとんど変化が見られず、酸化・還元反応に対して極めて安定であることも分かっている。
Figure 0004912618
ところで、上述した本発明の有機金属錯体を発光素子の発光材料として用いる際には、これら有機金属錯体を適宜ホスト材料中に分散することが好ましい。そこで、同様の測定手法により、代表的なホスト材料の酸化ピーク電位および還元ピーク電位を測定した。結果を下記表4に示す。
Figure 0004912618
表4を表3と比較すると、まず、本発明の有機金属錯体は、各ホスト材料に比べて特に還元電位が大きい(還元電位の絶対値が小さい)ことがわかる。このことはすなわち、本発明の有機金属錯体の方がホスト材料よりも電子親和力が大きい(より還元されやすい)ことを示す。したがって、本発明の有機金属錯体は、電子を受け取りやすい性質があり、上述したホスト材料に分散することで効果的にキャリアをトラップできることが示唆される。
また、組み合わせによっては、本発明の有機金属錯体の方がホスト材料よりも酸化電位が小さくなる(例えば、Ir(Fdpq)2(acac)とAlq3との組み合わせや、ホスト材料としてCBPを用いた場合など)。そのような組み合わせの場合は、本発明の有機金属錯体の方がホスト材料よりもイオン化ポテンシャルが小さい(より酸化されやすい)ことになる。したがって、このような組み合わせを発光素子に適用した場合、電子だけでなくホールも効果的にトラップできる。
ホスト材料としては、本発明の有機金属錯体が電子およびホールを効果的にトラップすることを可能とする酸化還元電位を有する材料を用いることが好ましいが、キャリアおよびホールの両方である必要はなく、いずれか一方でもよい。また、ホスト材料のエネルギーギャップが有機金属錯体のエネルギーギャップより大きければ、必ずしもそうでなくてもよい。
《実施例2》
本実施例では、本発明の発光素子の素子構造および作製方法について図19を用いて説明する。
まず、基板1300上に、110nmの膜厚となるようにインジウム錫酸化物を成膜し、第1の電極1301を形成した。なお、成膜にはスパッタ法を用いた。
次に、第1の電極1301上に、膜厚20nmとなるように銅フタロシアニンを成膜し、ホール注入層1311を形成した。なお、成膜は、第1の電極1301が形成された基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに第1の電極1301が形成された面を下方にして固定し、真空蒸着装置の内部に備えられた蒸発源に銅フタロシアニンを入れ、抵抗加熱法を用いた蒸着法によって行った。
次に、ホール注入層1311上に、膜厚40nmとなるようにα−NPDを成膜し、ホール輸送層1312を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1311の形成と同様に、蒸着法によって行った。
次に、α−NPD中に8質量%の割合で前記式(16)で表されるビス{2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト}アセチルアセトナト イリジウム(III)〔以下、Ir(Fdpq)2(acac)と記す。〕が含まれるようにα−NPDを成膜し、発光層1313を形成した。なお、成膜は、α−NPDとIr(Fdpq)2(acac)とをそれぞれ蒸発源として備えた共蒸着法を用いて行い、膜厚は30nmになるようにした。ここで、α−NPDは、ホスト材料として機能する。
次に、発光層1313上に、膜厚30nmとなるようにAlq3を成膜し、電子輸送層1314を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1311の形成と同様に、蒸着法によって行った。次に、電子輸送層1314上に、膜厚1nmとなるように弗化カルシウム(CaF2)を成膜し、電子注入層1315を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1311の形成と同様に、蒸着法によって行った。
以上のようにして、ホール注入層1311、ホール輸送層1312、発光層1313、電子輸送層1314、電子注入層1315を積層して形成される発光物質を含む層1302を形成した。
次に、電子注入層1315上に、膜厚150nmとなるようにアルミニウムを成膜し、第2の電極1303を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1311の形成と同様に、蒸着法によって行った。
また、作製した発光素子を窒素雰囲気下のグローブボックス内に移動し、同グローブボックスにてシール材を用いて封止を行った。発光素子を封止後グローブボックス外に取り出し、室温(約25℃)にて初期状態における電流密度−輝度特性、電圧−輝度特性、輝度−電流効率特性について調べた。また、定電流駆動による連続点灯試験を行い、素子寿命について調べた。
まず、作製した発光素子の初期特性を図20に示す。図20(A)は電流密度−輝度特性を、図20(B)は電圧−輝度特性を、図20(C)は輝度−電流効率特性を示している。電圧−輝度特性から、9.0Vの電圧を印加した時に、440cd/m2の輝度で発光し、その時の発光効率が1.0cd/Aであることが分かった。なお、発光スペクトルのピーク波長は647nmであった。また、CIE色度座標は(x、y)=(0.67、0.32)であり、Ir(Fdpq)2(acac)に由来する極めて色純度の高い赤色系の発光を示すことが分かった。
次に、一定時間、一定の電流値の電流を流す定電流駆動による連続点灯試験を行った。試験方法としては、初期状態において440cd/m2の輝度で発光するために必要な電流密度(44.3mA/cm2)の電流を一定時間流し続け、輝度の経時変化を調べた。その結果、3800時間経過時における輝度は、初期状態における輝度の68%を保っており、輝度の半減には至らなかった。このことから、本発明の発光素子は、発光時間に伴う輝度の減少が小さく、素子寿命が良好であることが分かった。
また、この連続点灯試験を継続して行った。得られた試験結果を図21に示す。横軸は時間、縦軸は初期状態における輝度に対する輝度の割合〔すなわち相対輝度(%)〕を表す。図21に示した結果を基にして、外挿法により輝度半減時間を予測したところ、8000時間と見積もられた。
《実施例3》
本実施例では、Alq3をホスト材料として用いた本発明の発光素子の素子構造およびその作製方法について図22を用いて説明する。
まず、基板1400上に、110nmの膜厚となるようにインジウム錫酸化物を成膜し、第1の電極1401を形成した。なお、成膜にはスパッタ法を用いた。
次に、第1の電極1401上に、膜厚20nmとなるようにDNTPDを成膜し、ホール注入層1411を形成した。なお、成膜は、第1の電極1401が形成された基板を市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに第1の電極1401が形成された面を下方にして固定し、真空蒸着装置の内部に備えられた蒸発源にDNTPDを入れ、抵抗加熱法を用いた蒸着法によって行った。
次に、ホール注入層1411上に、膜厚10nmとなるようにα−NPDを成膜し、ホール輸送層1412を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1411の形成と同様に、蒸着法によって行った。
次に、Alq3中に8質量%の割合で前記式(16)で表されるビス{2,3−ビス(4−フルオロフェニル)キノキサリナト}アセチルアセトナト イリジウム(III)(以下、Ir(Fdpq)2(acac)と記す。)が含まれるようにAlq3を成膜し、発光層1413を形成した。なお、成膜は、Alq3とIr(Fdpq)2(acac)とをそれぞれ蒸発源として備えた共蒸着法を用いて行い、膜厚は30nmになるようにした。ここで、Alq3は、ホスト材料として機能する。
次に、発光層1413上に、膜厚30nmとなるようにAlq3を成膜し、電子輸送層1414を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1411の形成と同様に、蒸着法によって行った。
次に、電子輸送層1414上に、膜厚1nmとなるように弗化カルシウム(CaF2)を成膜し、電子注入層1415を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1411の形成と同様に、蒸着法によって行った。
以上のようにして、ホール注入層1411、ホール輸送層1412、発光層1413、電子輸送層1414、電子注入層1415を積層して形成される発光物質を含む層1402を形成した。
次に、電子注入層1415上に、膜厚150nmとなるようにアルミニウムを成膜し、第2の電極1403を形成した。なお、成膜は、ホール注入層1411の形成と同様に、蒸着法によって行った。
また、作製した発光素子を窒素雰囲気下のグローブボックス内に移動し、同グローブボックスにてシール材を用いて封止を行った。発光素子を封止後グローブボックス外に取り出し、室温(約25℃)にて初期状態における電流密度−輝度特性、電圧−輝度特性、輝度−電流効率について調べた。また、定電流駆動による連続点灯試験を行い、素子寿命について調べた。
まず、作製した発光素子の初期特性を図23に示す。図23(A)が電流密度−輝度特性、図23(B)が電圧−輝度特性、図23(C)が輝度−電流効率を表す。電圧−輝度特性から、10.6Vの電圧を印加した時に、470cd/m2の輝度で発光し、その時の発光効率が1.1cd/Aであることが分かった。なお、発光スペクトルのピーク波長は659nmであった。また、CIE色度座標は(x、y)=(0.70、0.30)であり、Ir(Fdpq)2(acac)に由来する極めて色純度の高い赤色系の発光を示すことが分かった。
次に、定電流駆動による連続点灯試験を行った。試験方法としては、初期状態において470cd/m2の輝度で発光するために必要な電流密度(41.7mA/cm2)の電流を一定時間流し続け、輝度の経時変化を調べた。その結果、1400時間経過時における輝度は、初期状態における輝度の89%を保っており、輝度の半減には至らなかった。このことから、本発明の発光素子は、発光時間に伴う輝度の減少が小さく、素子寿命が良好であることが分かった。
また、この連続点灯試験を継続して行った。得られた試験結果を図24に示す。横軸は時間、縦軸は初期状態における輝度に対する輝度の割合〔すなわち相対輝度(%)〕を表す。図24に示した結果を基にして、外挿法により輝度半減時間を予測したところ、34000時間と見積もられた。
《実施例4》
本実施例では、α−NPDおよびAlq3の2種類の材料をホスト材料として用いた発光素子の例について説明する。本実施例の素子は、発光層1413を下記のとおりの構成とした以外は、実施例3と同様にして作製した。
発光層1413は、α−NPDの蒸着レートを0.4nm/sに設定し、また、Alq3の蒸着レートを0.1nm/sに設定した状態で、さらに前記式(16)で表されるIr(Fdpq)2(acac)を蒸発させる3元蒸着により形成した。この時、Ir(Fdpq)2(acac)の添加量がα−NPDに対して8質量%となるように設定した。また、膜厚は30nmになるようにした。ここで、α−NPDおよびAlq3は、ホスト材料として機能する。
また、作製した発光素子を窒素雰囲気下のグローブボックス内に移動し、同グローブボックスにてシール材を用いて封止を行った。発光素子を封止後、グローブボックス外に取り出し、室温(約25℃)にて初期状態における電流密度−輝度特性、電圧−輝度特性、輝度−電流効率特性について調べた。また、定電流駆動による連続点灯試験を行い、素子寿命について調べた。
まず、作製した発光素子の初期特性を図25に示す。図25(A)は電流密度−輝度特性を、図25(B)は電圧−輝度特性を、図25(C)は輝度−電流効率特性を表す。その結果、7.6Vの電圧を印加した時に、510cd/m2の輝度で発光し、その時の発光効率は1.3cd/Aであることが分かった。なお、発光スペクトルのピーク波長は640nmであった。また、CIE色度座標は(x、y)=(0.70、0.30)であり、Ir(Fdpq)2(acac)に由来する極めて色純度の高い赤色発光を示すことが分かった。
次に、定電流駆動による連続点灯試験を行った。試験方法としては、初期状態において510cd/m2の輝度で発光するために必要な電流密度(37.8mA/cm2)の電流を一定時間流し続け、輝度の経時変化を調べた。その結果、1200時間経過時における輝度は、初期状態における輝度の90%を保っており、輝度の半減に至らなかった。このことから、本発明の発光素子は、発光時間に伴う輝度の減少が小さく、素子寿命が良好であることが分かる。
また、この連続点灯試験を継続して行った。得られた試験結果を図26に示す。横軸は時間、縦軸は初期状態における輝度に対する輝度の割合〔すなわち相対輝度(%)〕を表す。図26に示した結果を基にして、外挿法により輝度半減時間を予測したところ、40000時間と見積もられた。
《実施例5》
本実施例では、本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子、およびその作製方法について図19を用いて説明する。本実施例は、発光層の構成は実施例2と同じであるが、他の層の膜厚や材料を最適化して発光効率をさらに向上させた実施例である。
基板1300上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜し、第1の電極1301を形成した。膜厚は110nmとなるようにした。
次に、第1の電極1301が形成された基板1300を、真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに、第1の電極1301が形成された面を下方となるように固定した。
次に、第1の電極1301上に、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)を、抵抗加熱法による蒸着法を用いて50nmの膜厚となるように成膜し、正孔注入層1311を形成した。
次に、正孔注入層1311上に、α−NPDを、抵抗加熱法による蒸着法を用いて10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1312を形成した。
次に、正孔輸送層1312上に、Ir(Fdpq)2(acac)とα−NPDとを共蒸着によって、30nmの膜厚となるように成膜し、発光層1313を形成した。ここで、α−NPDとIr(Fdpq)2(acac)との質量比は、1:0.08(=α−NPD:Ir(Fdpq)2(acac))となるようにした。これによって、Ir(Fdpq)2(acac)はα−NPDから成る層中に分散した状態となる。なお、共蒸着法とは、1つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、発光層1313上に、Alq3を抵抗加熱による蒸着法を用いて70nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層1314を形成した。
次に、電子輸送層1314上に、弗化カルシウムを、抵抗加熱による蒸着法を用いて1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層1315を形成した。
次に、電子注入層1315上に、アルミニウムを抵抗加熱による蒸着法を用いて200nmの膜厚となるように成膜し、第2の電極1303を形成した。
以上のようにして作製した発光素子を窒素雰囲下で封止した。その後、第2の電極1303の電位よりも第1の電極1301の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。この結果を図27に示す。図27(A)は電流密度−輝度特性について調べた結果であり、図27(B)は電圧−輝度特性について調べた結果であり、図27(C)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。図27(A)において、横軸は電流密度(mA/cm2)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図27(B)において、横軸は電圧(V)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図27(C)において、横軸は輝度(cd/m2)を表し、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
これらの結果から、7.2Vの電圧を印加したとき、520cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は3.8cd/Aであった。また、発光スペクトルは、644nmにピークを有するものであった。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.66,0.33)であり、Ir(Fdpq)2(acac)に由来する色純度の高い赤色系の発光を示すことが分かった。
次に、連続点灯試験によって輝度の経時変化について調べた。連続点灯試験は、初期状態において520cd/m2の輝度で発光するのに必要な電流密度(本実施例の発光素子においては13.9mA/cm2)の電流を一定時間流し続け、各経過時間における輝度を測定することによって行った。なお、試験は室温(25℃)になるように保った状態で行った。
連続点灯試験の結果を図28に示す。図28において、横軸は時間(h)、縦軸は初期状態における輝度に対する輝度の割合〔すなわち相対輝度(%)〕を表す。図28から、1400時間経過時における相対輝度は95%、すなわち初期輝度からの劣化率は5%であり、半減値には至っていないことが分かった。つまり、本発明の発光素子は素子寿命が良好な素子であることが分かった。また、図28に示した結果を基にして、外挿法により輝度半減時間を予測したところ、19000時間と見積もられた。
《実施例6》
本実施例では、本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子、およびその作製方法について図22を用いて説明する。本実施例6は、発光層の構成は実施例3と同じであるが、他の層の膜厚や材料を最適化して発光効率をさらに向上させた実施例である。
基板1400上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜し、第1の電極1401を形成した。膜厚は110nmとなるようにした。
次に、第1の電極1401が形成された基板1400を、真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに、第1の電極1401が形成された面を下方となるように固定した。
次に、第1の電極1401上に、DNTPDを抵抗加熱法による蒸着法を用いて50nmの膜厚となるように成膜し、正孔注入層1411を形成した。
次に、正孔注入層1411上に、α−NPDを抵抗加熱による蒸着法を用いて10nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層1412を形成した。
次に、正孔輸送層1412上に、Ir(Fdpq)2(acac)とAlq3とを共蒸着によって、30nmの膜厚となるように成膜し、発光層1413を形成した。ここで、Alq3とIr(Fdpq)2(acac)との質量比は、1:0.08〔=Alq3:Ir(Fdpq)2(acac)〕となるようにした。これによって、Ir(Fdpq)2(acac)はAlq3から成る層中に分散した状態となる。なお、共蒸着法とは、1つの処理室内で複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、発光層1413上に、Alq3を抵抗加熱による蒸着法を用いて70nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層1414を形成した。
次に、電子輸送層1414上に、弗化カルシウムを抵抗加熱による蒸着法を用いて1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層1415を形成した。
次に、電子注入層1415上に、アルミニウムを抵抗加熱による蒸着法を用いて200nmの膜厚となるように成膜し、第2の電極1403を形成した。
以上のようにして作製した発光素子を窒素雰囲下で封止した。その後、第2の電極1403の電位よりも第1の電極1401の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。結果を、図29に示す。図29(A)は電流密度−輝度特性について調べた結果であり、図29(B)は、電圧−輝度特性について調べた結果であり、図29(C)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。図29(A)において、横軸は電流密度(mA/cm2)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図29(B)において、横軸は電圧(V)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図29(C)において、横軸は輝度(cd/m2)を表し、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
これらの結果から、8.6Vの電圧を印加したとき、490cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は3.7cd/Aであった。また、発光スペクトルは、656nmにピークを有するものであった。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.64,0.34)であり、Ir(Fdpq)2(acac)に由来する色純度の高い赤色系の発光を示すことが分かった。
次に、連続点灯試験によって輝度の経時変化について調べた。連続点灯試験は、初期状態において490cd/m2の輝度で発光するのに必要な電流密度(本実施例の発光素子においては13.3mA/cm2)の電流を一定時間流し続け、各経過時間における輝度を測定することによって行った。なお、試験は室温(25℃)になるように保った状態で行った。
連続点灯試験の結果を図30に示す。図30において横軸は時間(h)、縦軸は初期状態における輝度に対する輝度の割合〔すなわち相対輝度(%)〕を表す。図30から、1800時間経過時における相対輝度は84%、すなわち初期輝度からの劣化率は16%であり、半減値には至っていないことが分かった。つまり、本発明の発光素子は素子寿命が良好な素子であることが分かった。なお、図30に示した結果を基にして、外挿法により輝度半減時間を予測したところ、33000時間と見積もられた。
《実施例7》
本実施例は、電子輸送層1414および電子注入層1415の構成を以下のように変えた以外は、実施例6と同様にして作製した発光素子の実施例である。図22を用いて説明する。
本実施例においては、電子輸送層1414の膜厚を30nmとした。また、電子注入層1415は、Alq3とLiとを共蒸着することによって、40nmの膜厚となるように成膜した。ここで、Alq3とLiとの質量比は、1:0.01(=Alq3:Li)となるようにした。
以上のようにして作製した発光素子を窒素雰囲下で封止した。その後、第2の電極1403の電位よりも第1の電極1401の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。この結果を図31に示す。図31(A)は電流密度−輝度特性について調べた結果であり、図31(B)は電圧−輝度特性について調べた結果であり、図31(C)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。図31(A)において、横軸は電流密度(mA/cm2)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図31(B)において、横軸は電圧(V)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図31(C)において、横軸は輝度(cd/m2)を表し、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
これらの結果から、7.6Vの電圧を印加したとき、480cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は3.5cd/Aであった。また、発光スペクトルは、656nmにピークを有するものであった。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.66,0.33)であり、Ir(Fdpq)2(acac)に由来する色純度の高い赤色系の発光を示すことが分かった。
次に、連続点灯試験によって輝度の経時変化について調べた。連続点灯試験は、初期状態において480cd/m2の輝度で発光するのに必要な電流密度(本実施例の発光素子においては13.7mA/cm2)の電流を一定時間流し続け、各経過時間における輝度を測定することによって行った。なお、試験は室温(25℃)になるように保った状態で行った。連続点灯試験の結果を図32に示す。図32において、横軸は時間(h)、縦軸は初期状態における輝度に対する輝度の割合〔すなわち相対輝度(%)〕を表す。図32から、740時間経過時における相対輝度は86%、すなわち初期輝度からの劣化率は14%であり、半減値には至っていないことが分かった。つまり、本発明の発光素子は素子寿命が良好な素子であることが分かった。なお、図32に示した結果を基にして、外挿法により輝度半減時間を予測したところ、36000時間と見積もられた。
《実施例8》
本実施例8は、発光層の構成は実施例4と同じであるが、他の層の膜厚や材料を最適化して発光効率をさらに向上させた実施例であり、電子輸送層1414および電子注入層1415の構成を以下のように変えた以外は、実施例6と同様にして作製した発光素子の実施例である。図22を用いて説明する。
本実施例においては、発光層1413は、α−NPD、Alq3、およびIr(Fdpq)2(acac)を同時に蒸発させる3元蒸着により形成した。この時、質量比でAlq3:α−NPD:Ir(Fdpq)2(acac)=1:1:0.08となるように成膜レートを設定した。また、膜厚は30nmになるようにした。ここで、α−NPDおよびAlq3は、ホスト材料として機能する。また、電子輸送層1414の膜厚を60nmとした。
以上のようにして作製した発光素子を窒素雰囲下で封止した。その後、第2の電極1403の電位よりも第1の電極1401の電位の方が高くなるように電圧を印加し、発光素子の動作特性について調べた。なお、測定は室温(25℃)になるように保った状態で行った。この結果を図33に示す。図33(A)は電流密度−輝度特性について調べた結果であり、図33(B)は電圧−輝度特性について調べた結果であり、図33(C)は輝度−電流効率特性について調べた結果である。図33(A)において、横軸は電流密度(mA/cm2)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図33(B)において、横軸は電圧(V)を表し、縦軸は輝度(cd/m2)を表す。図33(C)において、横軸は輝度(cd/m2)を表し、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。
これらの結果から、7.8Vの電圧を印加したとき、560cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は3.6cd/Aであった。また、発光スペクトルは、651nmにピークを有するものであった。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.68,0.31)であり、Ir(Fdpq)2(acac)に由来する色純度の高い赤色系の発光を示すことが分かった。
次に、連続点灯試験によって輝度の経時変化について調べた。連続点灯試験は、初期状態において560cd/m2の輝度で発光するのに必要な電流密度(本実施例の発光素子においては15.6mA/cm2)の電流を一定時間流し続け、各経過時間における輝度を測定することによって行った。なお、試験は室温(25℃)になるように保った状態で行った。
連続点灯試験の結果を図34に示す。図34において、横軸は時間(h)、縦軸は初期状態における輝度に対する輝度の割合〔すなわち相対輝度(%)〕を表す。図34から、640時間経過時における相対輝度は84%、すなわち初期輝度からの劣化率は16%であり、半減値には至っていないことが分かった。つまり、本発明の発光素子は素子寿命が良好な素子であることが分かった。また、図34に示した結果を基にして、外挿法により輝度半減時間を予測したところ、68000時間と見積もられた。
《実施例9》
本実施例では、画素部に本発明の発光素子を有する発光装置について図35を用いて説明する。なお、図35(A)は、発光装置を示す上面図、図35(B)は図35(A)中A−A’線断面図(A−A’で切断した断面図)である。点線で示された1501は駆動回路部(ソース側駆動回路)、1502は画素部、1503は駆動回路部(ゲート側駆動回路)である。また、1504は封止基板、1505はシール材であり、シール材1505で囲まれた内側1506は、空間になっている。
なお、1507は、ソース側駆動回路1501およびゲート側駆動回路1503に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)1508からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。なお、ここではFPCしか図示していないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていてもよい。本発明の発光装置には、発光装置本体だけの場合はもちろん、それにFPC若しくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
次に、断面構造について図35(B)を用いて説明する。基板1509上には駆動回路部および画素部が形成されているが、ここでは、駆動回路部であるソース側駆動回路1501と、画素部1502が示されている。
なお、ソース側駆動回路1501はnチャネル型TFT1517とpチャネル型TFT1518とを組み合わせたCMOS回路が形成される。また、駆動回路を形成するTFTは、公知のCMOS回路、PMOS回路若しくはNMOS回路で形成してもよい。また、本実施例では、基板上に駆動回路を形成したドライバー一体型を示しているが、必ずしもその必要はなく、基板上ではなく外部に形成することもできる。
また、画素部1502はスイッチング用TFT1510と、電流制御用TFT1511とそのドレインに電気的に接続された第1の電極1512とを含む複数の画素により形成される。なお、第1の電極1512の端部を覆って絶縁物1513が形成されている。ここでは、ポジ型の感光性アクリル樹脂膜を用いることにより形成する。
また、成膜性を良好なものとするため、絶縁物1513の上端部または下端部に曲率を有する曲面が形成されるようにする。例えば、絶縁物1513の材料としてポジ型の感光性アクリルを用いた場合、絶縁物1513の上端部のみに曲率半径(0.2μm〜3μm)を有する曲面を持たせることが好ましい。また、絶縁物1513として、感光性の光によってエッチャントに不溶解性となるネガ型、あるいは光によってエッチャントに溶解性となるポジ型のいずれも使用することができる。さらには、絶縁物1513の材料として有機物に限らず無機物を用いることができ、例えば酸化珪素、酸化窒化珪素等を用いることができる。
第1の電極1512上には、発光物質を含む層1514、および第2の電極1515がそれぞれ形成されている。ここで、陽極として機能する第1の電極1512に用いる材料としては、仕事関数の大きい材料を用いることが望ましい。例えば、インジウム錫酸化物からなる膜、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物からなる膜、インジウム亜鉛酸化物からなる膜、窒化チタン膜、クロム膜、タングステン膜、Zn膜、Pt膜などの単層膜の他、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜との積層、窒化チタン膜とアルミニウムを主成分とする膜と窒化チタン膜との3層構造等を用いることができる。なお、積層構造とすると、配線としての抵抗も低く、良好なオーミックコンタクトがとれ、さらに陽極として機能させることができる。
また、発光物質を含む層1514は、蒸着マスクを用いた蒸着法、またはインクジェット法によって形成される。発光物質を含む層1514には、本発明の有機金属錯体が含まれる。また、これらの有機金属錯体に組み合わせて用いる材料としては、低分子系材料、中分子材料(オリゴマー、デンドリマーを含む)、または高分子系材料であってもよい。また、発光物質を含む層に用いる材料としては、通常、有機化合物を単層若しくは積層で用いる場合が多いが、本発明においては、有機化合物からなる膜の1部に無機化合物を用いる構成も含めることとする。
さらに、発光物質を含む層1514上に形成される第2の電極(陰極)1515に用いる材料としては、仕事関数の小さい材料、例えばAl、Ag、Li、Ca、またはこれらの合金であるMg:Ag、Mg:In、Al:Li、またはCaF2、CaN等の金属化合物を用いればよい。なお、発光物質を含む層1514で生じた光が第2の電極1515を透過させる場合には、第2の電極(陰極)1515として、膜厚を薄くした金属薄膜と、透明導電膜〔酸化インジウム酸化錫合金(ITO)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In23−ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等〕との積層を用いるのがよい。
さらに、シール材1505で封止基板1504を素子基板1509と貼り合わせることにより、素子基板1509、封止基板1504、およびシール材1505で囲まれた空間1506に発光素子1516が備えられた構造になっている。なお、空間1506には、不活性気体(窒素やアルゴン等)が充填される場合の他、シール材1505で充填される構成も含むものとする。
なお、シール材1505にはエポキシ系樹脂を用いるのが好ましい。また、これらの材料はできるだけ水分や酸素を透過しない材料であることが望ましい。また、封止基板1504に用いる材料としてガラス基板や石英基板の他、FRP(Fiberglass-Reinforced Plastics)、PVF(ポリビニルフロライド)、マイラー、ポリエステルまたはアクリル等からなるプラスチック基板を用いることができる。
以上のようにして、本発明の発光素子を有する発光装置を得ることができる。以上のような、本発明を用いた発光装置は、本発明の発光素子の発光効率がよく長時間駆動が可能であることから、低消費電力であり、長寿命なものである。
《実施例10》
本実施例10では、本発明で発光素子を有する発光装置を用いて完成させた様々な電気器具について説明する。本発明を適用した発光装置が低消費電力であり、長寿命なものであることから、当該発光装置を用いた電気器具においても、例えば表示部や照明部に係る電力を軽減し、長時間使用可能となる。
本発明を用いて形成される発光装置を用いて作製された電気器具として、テレビジョン、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話器、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置〔具体的にはデジタルビデオディスク(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうる表示装置を備えた装置〕、照明器具などが挙げられる。電気器具のいくつかの具体例を図36により説明する。本発明の発光装置を用いた電気器具はこれら例示の具体例に限定されない。
図36(A)は表示装置であり、筐体1600、支持台1601、表示部1602、スピーカー部1603、ビデオ入力端子1604等を含む。本発明を用いて形成される発光装置をその表示部1602に用いることにより作製される。なお、表示装置は、パーソナルコンピューター用、TV放送受信用、広告表示用などの全ての情報表示用装置が含まれる。
図36(B)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体1700、筐体1701、表示部1702、キーボード1703、外部接続ポート1704、ポインティングマウス1705等を含む。本発明の発光素子を有する発光装置をその表示部1702に用いることにより作製される。
図36(C)はビデオカメラであり、本体1800、表示部1801、筐体1802、外部接続ポート1803、リモコン受信部1804、受像部1805、バッテリー1806、音声入力部1807、操作キー1808、接眼部1809等を含む。本発明の発光素子を有する発光装置をその表示部1801に用いることにより作製される。
図36(D)は卓上照明器具であり、照明部1900、傘1901、可変アーム1902、支柱1903、台1904、電源1905を含む。本発明の発光素子を用いて形成される発光装置を照明部1900に用いることにより作製される。なお、照明器具には天井固定型の照明器具または壁掛け型の照明器具なども含まれる。
また、図36(E)は携帯電話器(機)であり、本体2000、筐体2001、表示部2002、音声入力部2003、音声出力部2004、操作キー2005、外部接続ポート2006、アンテナ2007等を含む。本発明の発光素子を有する発光装置をその表示部2002に用いることにより作製される。
以上のようにして、本発明の発光素子、発光装置を有する電気器具を得ることができる。また、以上のような本発明を用いた電気器具は、本発明の発光素子の発光効率がよく長時間駆動が可能であることから、低消費電力であり、長時間使用が可能であることから経済的でもある。
《実施例11》
本実施例では、本発明の発光材料と他の発光材料とを用いて白色の発光素子を構成する場合について説明する。
本発明の発光材料を用いて、白色の発光素子を構成するためには、第1の電極と第2の電極間に複数の発光領域を設け、全体として白色発光が得られるように各発光領域の発光色を調整する必要がある。なお、本発明の発光材料は赤色系燐光材料であり、他の発光材料と接するように発光領域を構成すると、発光材料間でエネルギー移動が起こってしまい、どちらかの発光材料の発光色のみが強く発光し、他方の発光材料の発光色が弱く発光してしまう現象が起こる可能性がある。この発光色のアンバランスを改善するため、発光領域の間に間隔層を設けてもよい。間隔層は透光性を有している必要があり、電子輸送性材料で構成しても、ホール輸送性材料で構成してもよい。具体的には、実施の形態で示した電子輸送性材料、ホール輸送性材料を用いればよい。
次に、2つの発光領域を設けた場合の白色発光素子の構成の1例を図37に示す。図37において、第1の電極2101と第2の電極2105との間に、第1の発光領域2102と第2の発光領域2104が存在し、第1の発光領域2102と第2の発光領域2104の間に、間隔層2103が存在する。2100は基板である。第1の発光領域2102に本発明の燐光材料を用い、第2の発光領域2104に青緑系の発光材料を用いることで、全体として白色発光を得ることが可能である。
第2の発光領域2104を構成する青緑系の発光材料としては、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、4,4’−ビス[2−ジフェニルビニル]ビフェニル(略称:DPVBi)、4,4’−ビス[2−(N−エチルカルバゾール−3−イル)ビニル]ビフェニル(略称:BCzVBi)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−クロロガリウム(略称:Gamq2Cl)、などの蛍光材料、ビス[2−(3’,5’−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)ピコリナート(略称:Ir(CF3ppy)2(pic))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)アセチルアセトナート(略称:FIr(acac))、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)ピコリナート(略称:FIr(pic))、などの燐光材料が挙げられる。
図37の具体的な構成について説明する。基板2100上に第1の電極2101であるITOを110nmの膜厚で形成する。
次に、第1の発光領域2102を形成する。具体的には、ホール注入性材料であるDNTPDを50nm、ホール輸送性材料であるα−NPDを30nm形成する。その後、本発明の赤色系燐光材料であるIr(Fdpq)2(acac)とα−NPDとを、Ir(Fdpq)2(acac)が8質量%となるように共蒸着法により30nmの膜厚で形成する。
次に、間隔層2103としてCBPを5nmの膜厚で形成する。その後、第2の発光領域2104を形成する。具体的には、青緑色燐光材料であるIr(CF3ppy)2(pic)と、CBPとを、Ir(CF3ppy)2(pic)が8質量%となるように25nmの膜厚で形成する。次に、ホールブロック材料(且つ電子輸送材料)であるBCPを10nm形成し、さらに、電子輸送層としてAlq3を20nm形成する。その後、電子注入層として、フッ化カルシウム(略称:CaF2)を1nmの膜厚で形成する。
その後、第2の電極2105としてAlを150nm成膜する。
これにより、本発明の燐光材料と青緑色燐光材料とを用いた白色光素子が得られる。図37の構成では、間隔層2103としてバイポーラ性の材料を用いたが、これに限らず、ホール輸送性材料、電子輸送材料、ホールブロック材料等を用いてもよい。また、本実施例では、発光領域が2つの場合の例を示したが、全体として白色発光を得るために、より多くの発光領域を設けてもよい。
また、青緑色蛍光材料を用いて白色発光素子を形成する場合には、第1の電極2101としてITOを110nm、ホール注入性材料であるDNTPDを50nm、ホール輸送性材料であるα−NPDを30nm形成し、第1の発光領域2102として、本発明の赤色系燐光材料であるIr(Fdpq)2(acac)とα−NPDとを、Ir(Fdpq)2(acac)が8質量%となるように共蒸着法により30nmの膜厚で形成する。その後、間隔層2103としてCBPを5nmの膜厚にし、第2の発光領域2104として青緑色蛍光材料であるペリレンと、BAlqとを、ペリレンが1質量%となるように25nmの膜厚で形成する。次に、電子輸送層としてAlq3を30nm形成する。その後、電子注入層として、CaF2を1nm蒸着し、最後に第2の電極2105としてAlを150nm成膜する。これにより、本発明の赤色系燐光材料と青緑色蛍光材料とを用いて白色発光素子を得ることができる。
《実施例12》
本実施例では、本発明の燐光材料を用いた白色発光素子の実施例11とは異なる構成について図38を用いて説明する。
図38において、第1の電極2201と第2の電極2207との間に、第1の発光領域2202、第2の発光領域2204、第3の発光領域2206が存在し、第1の発光領域2202と第2の発光領域2204の間にキャリアを発生する層2203が存在し、第2の発光領域2204と第3の発光領域2206の間にキャリアを発生する層2205が存在する。第1の発光領域2202、第2の発光領域2204、第3の発光領域2206に、本発明の燐光材料、緑系の発光材料、青系の発光材料を用いることで、全体として白色発光を得ることが可能である。
青色系の発光材料としては、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(略称:TBP)、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン(略称:TPB)、9,9’−ビアントリル(略称:BiAnt)、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)、などの蛍光材料、ビス[2−(4’,6’−ジフルオロフェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート(略称:FIr6)、などの燐光材料をが挙げられる。
緑色系の発光材料としては、クマリン6、クマリン545T、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、5,12−ジフェニルテトラセン(略称:DPT)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム、などの蛍光材料、トリス(2−フェニルピリジナト−N,C2')イリジウム(略称:Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジナト−N,C2')イリジウム(III)アセチルアセトネート(略称:Ir(ppy)2(acac))、ビス[2−(4−メチルフェニル)ピリジナト−N,C2']イリジウム(III)アセチルアセトネート(略称:Ir(tpy)2(acac))、などの燐光材料が挙げられる。
また、キャリアを発生する層としては、透明導電膜を用いることができ、具体的には、インジウム錫酸化物(略称:ITO)、または珪素を含有したインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム等が挙げられる。
図38の具体的な構成について説明する。基板2200上に第1の電極2201であるITOを110nmの膜厚で形成する。具体的には、ホール注入性材料としてα−NPDと酸化モリブデンとを質量比が1:0.25となるように共蒸着法により膜厚50nmで形成し、ホール輸送性材料であるα−NPDを10nm形成する。次に、第1の発光領域2202を形成する。具体的には、本発明の赤色系燐光材料であるIr(Fdpq)2(acac)とAlq3とを、共蒸着法により、Ir(Fdpq)2(acac)が8質量%となるように、37.5nmの膜厚で形成する。電子輸送性材料としてAlq3を27.5nm、電子注入性材料としてBCPとLiとを質量比が1:0.005となるよう共蒸着法により10nmの膜厚で形成する。次に、キャリアを発生する層2203である透明導電膜としてITOを20nmの膜厚で形成する。
透明導電膜2203上に、第2の発光領域2204を形成する。具体的には、正孔注入層としてα−NPDと酸化モリブデンとを質量比が1:0.25となるように共蒸着法により膜厚50nmで形成し、ホール輸送性材料であるα−NPDを10nm形成する。次に、第2の発光領域2204として緑色系発光材料として、クマリン6とAlq3とを、共蒸着法により、37.5nmの膜厚で形成する。次に、電子輸送層としてAlq3を27.5nm形成し、電子注入性材料としてBCPとLiとを質量比が1:0.005となるよう共蒸着法により10nmの膜厚で形成する。次に、透明導電膜2205としてITOを20nmの膜厚で形成する。
透明導電膜2205上に、同様に第3の発光領域2206を形成する。具体的には、正孔注入層としてα−NPDと酸化モリブデンとを質量比が1:0.25となるように共蒸着法により膜厚50nmで形成し、ホール輸送性材料であるα−NPDを10nm形成する。次に、第2の発光領域として青色系発光材料として、t−BuDNAを37.5nmの膜厚で形成する。次に、電子輸送層としてAlq3を27.5nm形成し、電子注入性材料としてBCPとLiとを質量比が1:0.005となるよう共蒸着法により10nmの膜厚で形成する。そして、第2の電極2207としてアルミニウムを200nmの膜厚で形成する。これにより、本発明の赤色系燐光材料を導入した白色発光素子を得ることができる。
本実施例では、発光領域が3つの場合の例を示したが、全体として白色発光を得るために、発光領域を2つ設けてもよいし、4つ以上を設けてもよい。
《実施例13》
本実施例では、本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子、およびその作製方法について図39を用いて説明する。
基板2300上に、インジウム錫酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜し、第1の電極2301を形成した。膜厚は110nmとなるようにした。
次に、第1の電極2301が形成された基板2300を、真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに、第1の電極2301が形成された面を下方となるように固定した。
次に、第1の電極2301上に、銅フタロシアニンを、抵抗加熱法を用いた蒸着法を用いて20nmの膜厚となるように成膜し、正孔注入層2302を形成した。
次に、正孔注入層2302上に、α−NPDを、抵抗加熱法を用いた蒸着法を用いて、40nmの膜厚となるように成膜し、正孔輸送層2303を形成した。
次に、正孔輸送層2303上に、Ir(Fdpq)2(acac)とTPAQnとを共蒸着によって、30nmの膜厚となるように成膜し、発光層2304を形成した。ここで、Ir(Fdpq)2(acac)とTPAQnとは、TPAQnから成る層中に、Ir(Fdpq)2(acac)が8質量%の割合で含まれるようにした。これによって、Ir(Fdpq)2(acac)はTPAQnから成る層中に分散した状態となる。なお、共蒸着法とは、複数の蒸発源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、発光層2304上に、Alq3を、抵抗加熱法を用いた蒸着法を用いて、30nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2305を形成した。
次に、電子輸送層2305上に、弗化カルシウムを、抵抗加熱法を用いた蒸着法を用いて、2nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2306を形成した。
次に、電子注入層2306上に、アルミニウムを、抵抗加熱法を用いた蒸着法を用いて、150nmの膜厚となるように成膜し、第2の電極2307を形成した。
以上のようにして作製した発光素子に、第2の電極2307の電位よりも第1の電極2301の電位の方が高くなるように電圧を印加した。そして、7.6Vの電圧を印加したとき、466cd/m2の輝度で発光した。このときの電流効率は1.56cd/Aであった。また、発光スペクトルは、652nmにピークを有していた。発光スペクトルを図40に示す。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.65,0.33)であった。
このように、本発明の有機金属錯体を用いることで、色度がよく、良好な赤色系の発光を呈することのできる発光素子を得ることができる。また、本実施例の発光素子のように本発明の有機金属錯体とキノキサリン誘導体とを組み合わせて発光層を形成することで、本発明の有機金属錯体をより効率よく発光させることができる。
なお、本発明の有機金属錯体として用いた本発明の発光素子を作製するために用いる物質は、上記に記載したものに限定されるものではなく、本実施例に記載した物質の他、実施の形態に記載した物質、その他の公知物質等を用いてもよい。また、発光素子の層構造についても、本実施例に記載したものには限定されず、適宜変更して構わない。また、発光素子の作製方法についても特に限定はなく、本実施例のように、陽極として機能する電極から順に作製する他、陰極として機能する電極から順に作製してもよい。
〈TPAQnの合成例〉
本実施例13で用いたTPAQnは下記構造式(74)で表される新規な物質である。ここで、下記式(74)で表されるキノキサリン誘導体の合成方法について説明する。
Figure 0004912618
〈2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンの合成〉
まず、10g(27.4mmol)の4−ブロモベンジルと3.5g(33.5mmol)のo−フェニレンジアミンを500mLのナス型フラスコに入れ、クロロフォルム中にて8時間還流を行った。次に、室温まで冷却後、カラムクロマトグラフィーにより残留したo−フェニレンジアミンを除去し、2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンを得た。
〈TPAQnの合成〉
さらに、上記で得られた2,3−ビス(4−ブロモフェニル)キノキサリンを4.40g(10.0mmol)秤量して3つ口フラスコに入れ、窒素気流下にて75mLのトルエンに溶解させた。次に、0.22g(0.2mmol)のPd(dba)2、2.88g(30mmol)のNaO−t−Bu、3.46g(20.4mmol)のジフェニルアミンを加え、さらにトリ(t−ブチルホスフィン)の10wt%ヘキサン溶液を1.8mL加え、80℃にて8時間加熱撹拌した。
次に、室温まで冷却後、水を加えて反応を終了させ、クロロフォルムで抽出を行った。さらに飽和食塩水で洗浄後、MgSO4で乾燥させた。その後、クロロフォルムから再結晶を行い、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)を得た〔黄緑色結晶、収量2.7g(収率:44%)〕。
以上に説明した合成の合成スキーム(75)を次に示す。
Figure 0004912618
図41に上記合成によって得られたTPAQnの1H−NMRチャートを示す。
なお、得られたTPAQnの分解温度は411℃であった。なお、測定は示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製,TG/DTA 320型)を用いて行った。
《実施例14》
本実施例は、合成例3で合成した有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子、およびその作製方法について図42を用いて説明する。
まず、基板2400上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜し、第1の電極2401を形成した。膜厚は110nmとなるようにした。
次に、真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに、第1の電極2401が形成された基板2400を第1の電極2401が形成された面が下方となるように固定した。
そして、第1の電極2401上に、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)を抵抗加熱による蒸着法を用いて50nmの膜厚となるように成膜し、ホール注入層2402を形成した。
次に、ホール注入層2402上に、α−NPDを抵抗加熱による蒸着法を用いて10nmの膜厚となるように成膜し、ホール輸送層2403を形成した。
さらに、ホール輸送層2403上に、Ir(Fdpq)2(pic)とTPAQnとを共蒸着法によって30nmの膜厚となるように成膜し、発光層2404を形成した。ここで、TPAQnとIr(Fdpq)2(pic)との質量比は、1:0.05(=TPAQn:Ir(Fdpq)2(pic))となるようにした。これによって、Ir(Fdpq)2(pic)はTPAQnから成る層中に分散した状態となる。なお、共蒸着法とは、1つの処理室内で複数の蒸着源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、発光層2404上に、BAlqを抵抗加熱による蒸着法を用いて10nmの膜厚となるように成膜し、ホールブロック層2405を形成した。
次に、ホールブロック層2405上に、Alq3を抵抗加熱による蒸着法を用いて50nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2406を形成した。
次に、電子輸送層2406上に、弗化カルシウムを抵抗加熱による蒸着法を用いて1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2407を形成した。
次に、電子注入層2407上に、アルミニウムを抵抗加熱による蒸着法を用いて200nmの膜厚となるように成膜し、第2の電極2408を形成した。
以上のようにして作製した発光素子に対し、第2の電極2408の電位よりも第1の電極2401の電位の方が高くなるように電圧を印加したところ、11.0Vの電圧を印加したときに460cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は3.2cd/Aであった。また、発光スペクトルは、622nmにピークを有していた。発光スペクトルを43に示す。なお、図43において、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は発光強度(a.u.)を表す。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.68,0.32)であった。
このように、本発明の有機金属錯体を用いることで、色度がよく、良好な赤色系の発光を呈することのできる発光素子を得ることができる。
なお、本実施例の発光素子では、発光層2404と電子輸送層2406との間にホールブロック層2405が設けられている。ホールブロック層2405は、電子輸送性が良好であると共に、発光層2404において励起したIr(Fdpq)2(pic)の励起エネルギーが電子輸送層2406へ移動することを防ぐことができ、また発光層2404から電子輸送層2406へホールが移動するのを阻止するという機能を有する。そのため、ホールブロック層を設けることによって、発光効率がよくなる。ホールブロック層は、BAlqのような電子輸送層を形成するのに用いることができる物質の中でも特に、エネルギーギャップおよびイオン化ポテンシャルの大きい物質を用いることによって形成できる。このように、発光層と電極との間には、電子輸送層またはホール輸送層の他、様々な機能を有する層を設けてもよい。
《実施例15》
本実施例は、実施例14の発光層2404におけるTPAQnをCBPに換えた以外は実施例14と同様にして、発光素子を作製した例である。
この発光素子に対し、第2の電極2408の電位よりも第1の電極2401の電位の方が高くなるように電圧を印加したところ、12.4Vの電圧を印加したときに480cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は3.0cd/Aであった。また、発光スペクトルは、622nmにピークを有していた。発光スペクトルを図44に示す。なお、図44において、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は発光強度(a.u.)を表す。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.66,0.33)であった。
このように、本発明の有機金属錯体を用いることで、色度がよく、良好な赤色系の発光を呈することのできる発光素子を得ることができる。
《実施例16》
本実施例は、合成例4で合成した有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子、およびその作製方法について図42を用いて説明する。
まず、基板2400上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物を、スパッタリング法を用いて成膜し、第1の電極2401を形成した。膜厚は110nmとなるようにした。
次に、真空蒸着装置内に設けられた基板ホルダーに、第1の電極2401が形成された基板2400を第1の電極2401が形成された面が下方となるように固定した。
そして、第1の電極2401上に、4,4’−ビス[N−{4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル}−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:DNTPD)を抵抗加熱による蒸着法を用いて50nmの膜厚となるように成膜し、ホール注入層2402を形成した。
次に、ホール注入層2402上に、α−NPDを抵抗加熱による蒸着法を用いて10nmの膜厚となるように成膜し、ホール輸送層2403を形成した。
さらに、ホール輸送層2403上に、Ir(3,5−Fdpq)2(acac)とCBPとを共蒸着法によって30nmの膜厚となるように成膜し、発光層2404を形成した。ここで、CBPとIr(3,5−Fdpq)2(acac)との質量比は、1:0.025(=CBP:Ir(3,5−FFdpq)2(acac))となるようにした。これによって、Ir(3,5−Fdpq)2(acac)はCBPから成る層中に分散した状態となる。なお、共蒸着法とは、1つの処理室内で複数の蒸着源から同時に蒸着を行う蒸着法である。
次に、発光層2404上に、BCPを抵抗加熱による蒸着法を用いて10nmの膜厚となるように成膜し、ホールブロック層2405を形成した。
次に、ホールブロック層2405上に、Alq3を抵抗加熱による蒸着法を用いて20nmの膜厚となるように成膜し、電子輸送層2406を形成した。
次に、電子輸送層2406上に、弗化カルシウムを抵抗加熱による蒸着法を用いて1nmの膜厚となるように成膜し、電子注入層2407を形成した。
次に、電子注入層2407上に、アルミニウムを抵抗加熱による蒸着法を用いて200nmの膜厚となるように成膜し、第2の電極2408を形成した。
以上のようにして作製した発光素子に対し、第2の電極2408の電位よりも第1の電極2401の電位の方が高くなるように電圧を印加したところ、10.2Vの電圧を印加したときに520cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は0.98cd/Aであった。また、発光スペクトルは、664nmにピークを有していた。発光スペクトルを図45に示す。なお、図45において、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は発光強度(a.u.)を表す。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.71,0.28)であった。
このように、本発明の有機金属錯体を用いることで、色度がよく、良好な赤色系の発光を呈することのできる発光素子を得ることができる。
《実施例17》
本実施例は、実施例16の発光層2404におけるCBPをAlq3に換え、ホールブロック層におけるBCPをBAlqに換えた以外は実施例16と同様にして、発光素子を作製した。
この発光素子に対し、第2の電極2408の電位よりも第1の電極2401の電位の方が高くなるように電圧を印加したところ、10.0Vの電圧を印加したときに460cd/m2の輝度で発光することが分かった。このときの電流効率は1.2cd/Aであった。また、発光スペクトルは、665nmにピークを有していた。発光スペクトルを図46に示す。なお、図46において、横軸は波長(nm)を表し、縦軸は発光強度(a.u.)を表す。また、CIE色度座標は(X,Y)=(0.69,0.30)であった。
このように、本発明の有機金属錯体を用いることで、色度がよく、良好な赤色系の発光を呈することのできる発光素子を得ることができる。
本発明の発光素子の素子構造を説明する図 本発明の発光素子の素子構造を説明する図 発光装置について説明する図 本発明の実施の形態4を説明する図 本発明の実施の形態5を説明する図 本発明の実施の形態5を説明する図 本発明の実施の形態6を説明する図 本発明の実施の形態7を説明する図 本発明の実施の形態7を説明する図 本発明の実施の形態7を説明する図 本発明の実施の形態7を説明する図 本発明の実施の形態8を説明する図 実施例1の合成例1で得られた有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図 実施例1の合成例2で得られた有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図 実施例1の合成例3で得られた有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図 実施例1の合成例4で得られた有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図 実施例1の合成例5で得られた有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを示す図 合成例1の有機金属錯体〔Ir(Fdpq)2(acac)〕の酸化特性、還元特性について調べたCV曲線を示す図 実施例2における発光素子の素子構造および作製方法を説明する図 実施例2で作製した発光素子の初期特性を示す図 実施例2で作製した発光素子の連続点灯試験の結果を示す図 実施例3における発光素子の素子構造およびその作製方法を説明する図 実施例3で作製した発光素子の初期特性を示す図 実施例3で作製した発光素子の連続点灯試験の結果を示す図 実施例4で作製した発光素子の初期特性を示す図 実施例4で作製した発光素子の連続点灯試験の結果を示す図 実施例5で作製した発光素子の動作特性を示す図 実施例5で作製した発光素子の連続点灯試験の結果を示す図 実施例6で作製した発光素子の動作特性を示す図 実施例6で作製した発光素子の連続点灯試験の結果を示す図 実施例7で作製した発光素子の動作特性を示す図 実施例7で作製した発光素子の連続点灯試験の結果を示す図 実施例8で作製した発光素子の動作特性を示す図 実施例8で作製した発光素子の連続点灯試験の結果を示す図 画素部に本発明の発光素子を有する実施例9の発光装置を説明する図 本発明を適用した電子器具の具体例について説明する図(実施例10) 白色発光素子の構成例を示す図(実施例11) 燐光材料を用いた白色発光素子の実施例11とは異なる構成を説明する図(実施例12) 有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子、およびその作製方法について説明する図(実施例13) 実施例13の発光素子の発光スペクトルを示す図 実施例13で用いたTPAQnの1H−NMRチャートを示す図 合成例3で合成した有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子、およびその作製方法を説明する図(実施例14) 実施例14で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図 実施例15で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図 実施例16で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図 実施例17で作製した発光素子の発光スペクトルを示す図
符号の説明
100 基板
101 第1の電極
102 発光物質を含む層
103 第2の電極
111 ホール注入層
112 ホール輸送層
113 発光層
114 ホールブロッキング層
115 電子輸送層
200 基板
201 第1の電極
202 発光物質を含む層
203 第2の電極
211 電子輸送層
212 ホールブロッキング層
213 発光層
214 ホール輸送層
215 ホール注入層
300 基板
311、312 TFT
313 発光素子
314 第1の電極
315 発光物質を含む層
316 第2の電極
317 配線
401 第1の電極
402 第2の電極
411 正孔注入層
412 正孔輸送層
413 発光層
414 電子輸送層
415 電子注入層
501 第1の電極
502 第2の電極
511 電子注入層
512 電子輸送層
513 第1の発光層
514 隔壁層
515 第2の発光層
516 正孔輸送層
517 正孔注入層
601 第1の電極
602 第2の電極
611 電子注入層
612 電子輸送層
613 第1の発光層
614 正孔輸送層
615 第1の層(正孔を発生する層)
616 第2の層(電子を発生する層)
617 電子輸送層
618 第2の発光層
619 正孔輸送層
620 正孔注入層
701 第1の電極
702 第2の電極
711 正孔注入層
712 正孔輸送層
713 発光層
714 電子輸送層
715 電子注入層
800 基板
801 FPC(フレキシブルプリントサーキット)
811 画素部
812 ソース信号線駆動回路
813 書込用ゲート信号線駆動回路
814 消去用ゲート信号線駆動回路
901 第1のトランジスタ
902 第2のトランジスタ
903 発光素子
911 ゲート信号線
912 ソース信号線
913 書込用ゲート信号線駆動回路
914 消去用ゲート信号線駆動回路
915 ソース信号線駆動回路
916 電源
917 電流供給線
918〜920 スイッチ
1001 第1のトランジスタ
1002 第2のトランジスタ
1003 ゲート信号線
1004 ソース信号線
1005 電流供給線
1006 電極
1101a、1102a、1103a、1104a 書き込み期間
1101b、1102b、1103b、1104b 保持期間
1101 第1のサブフレーム
1102 第2のサブフレーム
1103 第3のサブフレーム
1104 第4のサブフレーム
1210 基板
1211 トランジスタ
1212 発光素子
1213 第1の電極
1214 第2の電極
1215 正孔を発生する層と電子を発生する層と発光物質を含む層とが積層された層
1216(1216a、1216b) 第1層間絶縁膜
1216c アルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜
1217 配線
1218 隔壁層
1219(1219a、1219b) 第2層間絶縁膜
1300、1400 基板
1301、1401 第1の電極(陽極)
1302、1402 発光物質を含む層
1303、1403 第2の電極(陰極)
1311、1411 ホール注入層
1312、1412 ホール輸送層
1313、1413 発光層
1314、1414 電子輸送層
1315、1415 電子注入層
1501 駆動回路部(ソース側駆動回路)
1502 画素部
1503 駆動回路部(ゲート側駆動回路)
1504 封止基板
1505 シール材
1506 シール材1505で囲まれた内側
1507 配線
1508 外部入力端子となるFPC
1509 基板
1510 スイッチング用TFT
1511 電流制御用TFT
1512 第1の電極
1513 絶縁物
1514 発光物質を含む層
1515 第2の電極
1516 発光素子
1517 nチャネル型TFT
1518 pチャネル型TFT
1600 筐体
1601 支持台
1602 表示部
1603 スピーカー部
1604 ビデオ入力端子
1700 本体
1701 筐体
1702 表示部
1703 キーボード
1704 外部接続ポート
1705 ポインティングマウス
1800 ビデオカメラ本体
1801 表示部
1802 筐体
1803 外部接続ポート
1804 リモコン受信部
1805 受像部
1806 バッテリー
1807 音声入力部
1808 操作キー
1809 接眼部
1900 卓上照明器具の照明部
1901 傘
1902 可変アーム
1903 支柱
1904 台
1905 電源
2000 携帯電話器の本体
2001 筐体
2002 表示部
2003 音声入力部
2004 音声出力部
2005 操作キー
2006 外部接続ポート
2007 アンテナ
2100 基板
2101 第1の電極
2102 第1の発光領域
2103 間隔層
2104 第2の発光領域
2105 第2の電極
2200 基板
2201 第1の電極
2202 第1の発光領域
2203 キャリアを発生する層
2204 第2の発光領域
2205 キャリアを発生する層
2206 第3の発光領域
2207 第2の電極
2300 基板
2301 第1の電極
2302 正孔注入層
2303 正孔輸送層
2304 発光層
2305 電子輸送層
2306 電子注入層
2307 第2の電極
2400 基板
2401 第1の電極
2402 ホール注入層
2403 ホール輸送層
2404 発光層
2405 ホールブロック層
2406 電子輸送層
2407 電子注入層
2408 第2の電極

Claims (15)

  1. 一対の電極間に、下記一般式(8−1)で表される有機金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい芳香族アミンとを含む発光層を有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
    (式中、R15およびR16は水素またはハロゲンを表す。また、Mは第9族元素を表し、n=2である。Lはアニオン性の配位子であり、下記式(9)〜(15)のいずれかで表される。
    Figure 0004912618
  2. 一対の電極間に、下記一般式(7)で表される有機金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい芳香族アミンとを含む発光層を有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
    (式中、 2 〜R 5 、R 7 、R 9 、R 10 、R 12 、R 14 は水素を表す。また、R 6 、R 8 、R 11 、R 13 ハロゲンを表す。また、Mは第9族元素を表し、n=2である。Lはアニオン性の配位子であり、下記式(9)〜(15)のいずれかで表される。
    Figure 0004912618
  3. 請求項1または請求項2において、
    前記アニオン性の配位子Lが、下記式(9)または下記式(11)で表される配位子であることを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、
    前記Mがイリジウムであることを特徴とする発光素子。
  5. 一対の電極間に、下記構造式(16)で表される有機金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きい芳香族アミンとを含む発光層を有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
  6. 請求項1乃至請求項のいずれか1項において、
    前記金属錯体はトリス(8−キノリノラト)アルミニウムであり、
    前記芳香族アミンは4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルであることを特徴とする発光素子。
  7. 一対の電極間に、下記一般式(8−1)で表される有機金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10 -6 cm 2 /Vs以上の電子移動度を有する第1の化合物と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10 -6 cm 2 /Vs以上のホール移動度を有する第2の化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
    (式中、R 15 およびR 16 は水素またはハロゲンを表す。また、Mは第9族元素を表し、n=2である。Lはアニオン性の配位子であり、下記式(9)〜(15)のいずれかで表される。)
    Figure 0004912618
  8. 一対の電極間に、下記一般式(7)で表される有機金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10 -6 cm 2 /Vs以上の電子移動度を有する第1の化合物と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10 -6 cm 2 /Vs以上のホール移動度を有する第2の化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
    (式中、R 2 〜R 5 、R 7 、R 9 、R 10 、R 12 、R 14 は水素を表す。また、R 6 、R 8 、R 11 、R 13 はハロゲンを表す。また、Mは第9族元素を表し、n=2である。Lはアニオン性の配位子であり、下記式(9)〜(15)のいずれかで表される。)
    Figure 0004912618
  9. 請求項7または請求項8において、
    前記アニオン性の配位子Lが、下記式(9)または下記式(11)で表される配位子であることを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
  10. 請求項7乃至請求項9のいずれか1項において、
    前記Mがイリジウムであることを特徴とする発光素子。
  11. 一対の電極間に、下記構造式(16)で表される有機金属錯体と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10 -6 cm 2 /Vs以上の電子移動度を有する第1の化合物と、前記有機金属錯体よりもエネルギーギャップが大きく10 -6 cm 2 /Vs以上のホール移動度を有する第2の化合物とを含む発光層を有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
  12. 請求項7乃至請求項10のいずれか1項において、
    前記第1の化合物はトリス(8−キノリノラト)アルミニウムであり、
    前記第2の化合物は4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルであることを特徴とする発光素子。
  13. 一対の電極間に、下記構造式(16)で表される有機金属錯体と、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムと、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニルとを含む発光層を有することを特徴とする発光素子。
    Figure 0004912618
  14. 請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の発光素子を用いた発光装置。
  15. 請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載の発光素子を用いた照明器具。
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