JP4912704B2 - 有機金属錯体およびそれを用いた発光素子、発光装置、電子機器 - Google Patents

有機金属錯体およびそれを用いた発光素子、発光装置、電子機器 Download PDF

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Description

本発明は電流励起によって発光することのできる物質に関し、特に電流励起によって発光する有機金属錯体に関する。また、その物質を用いた発光素子、発光装置に関する。
一対の電極間に発光物質を含む層を有する発光素子は、画素または光源等として用いられ、表示装置または照明装置等の発光装置に設けられている。発光素子において一対の電極間に電流が流されると、励起した発光物質から蛍光または燐光が発光される。
蛍光と燐光とを比較すると、電流励起の場合、理論的には、燐光の内部量子効率は蛍光の内部量子効率の約3倍である。その為、蛍光よりも燐光を発光する発光物質を用いた方が発光効率が高くなると考えられ、これまでに、燐光を発光する物質の開発が行われている。
例えば、非特許文献1では、イリジウムを中心金属とする金属錯体について記載されている。非特許文献1によれば、この金属錯体は、発光素子の材料として用いることができる。
ところで、電流励起によって発光する発光素子の場合、単に電流が流れればよいと言う訳ではなく、電子と正孔との再結合が上手く行われるようにする必要がある。電子と正孔との再結合効率を高めることによって、励起エネルギーの生成が効率良く行われ、その結果、発光効率が向上する。
これまで、上述したような内部量子効率の高い物質を用いることで発光効率を高めることは広く知られ、開発されてきたが、再結合効率を高められるような物質については、未だ開発が進んでいなかった。
"New Iridium Complexes as Highly Efficient Orange−Red Emitters in Organic Light−Emitting Diodes",Jiun−Pey Duan et al.,Advanced Materials 2003 15 No.3, February5,224−228
本発明は、電子と正孔の再結合効率を高められるような有機金属錯体を提供することを課題とする。また、本発明は、燐光を発光できる有機金属錯体を提供することを課題とする。また、本発明は、発光効率の良い発光素子を提供することを課題とする。
本発明の一は、一般式(1)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(1)において、R、Rは、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R、Rは、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。また、第9族元素の中でも特にイリジウムが好ましく、第10属元素の中でも特に白金が好ましい。
本発明の一は、一般式(2)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(2)において、R、Rは、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R、Rは、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。nは、Mが第9族元素であるときn=2であり、Mが第10族元素であるときn=1である。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。また、第9族元素の中でも特にイリジウムが好ましく、第10属元素の中でも特に白金が好ましい。
本発明の一は、一般式(3)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(3)において、R、R10は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R11、R12は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(4)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(4)において、R13、R14は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R15、R16は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(5)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(5)において、R17、R18は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R19は、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(6)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(6)において、R20、R21は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R22は、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
一般式(2)、(4)、(6)で表される有機金属錯体において、Lは、具体的には、下記構造式(1)〜構造式(7)で表される配位子の中から選ばれるいずれかの配位子であることが好ましい。構造式(1)〜(7)で表される配位子はいずれもモノアニオン性の配位子である。
Figure 0004912704
本発明の一は、一般式(7)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(7)において、R23〜R26は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R27、R28は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、第9族元素の中でも特にイリジウムが好ましく、第10属元素の中でも特に白金が好ましい。
本発明の一は、一般式(8)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(8)において、R29〜R32は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R33、R34は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。nは、Mが第9族元素であるときn=2であり、Mが第10族元素であるときn=1である。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、第9族元素の中でも特にイリジウムが好ましく、第10属元素の中でも特に白金が好ましい。
本発明の一は、一般式(9)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(9)において、R35〜R38は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R39、R40は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。
本発明の一は、一般式(10)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(10)において、R41〜R44は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R45、R46は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。
本発明の一は、一般式(11)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(11)において、R47〜R50は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R51は、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(12)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(12)において、R52〜R55は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R56は、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
一般式(8)、(10)、(12)で表される有機金属錯体において、Lは、下記構造式(1)〜構造式(7)で表される配位子の中から選ばれるいずれかの配位子であることが好ましい。構造式(1)〜(7)で表される配位子はいずれもモノアニオン性の配位子である。
Figure 0004912704
本発明の一は、一般式(13)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(13)において、R57〜R62は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R63、R64は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基または−CF基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、第9族元素の中でも特にイリジウムが好ましく、第10属元素の中でも特に白金が好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(14)で表される有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(14)において、R65〜R70は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R71、R72は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。nは、Mが第9族元素であるときn=2であり、Mが第10族元素であるときn=1である。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基または−CF基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、第9族元素の中でも特にイリジウムが好ましく、第10属元素の中でも特に白金が好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(15)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(15)において、R73〜R78は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R79、R80は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基または−CF基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(16)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(16)において、R81〜R86は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R87、R88は、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基または−CF基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(17)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(17)において、R89〜R94は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R95は、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基または−CF基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
本発明の一は、一般式(18)で表される構造を含む有機金属錯体である。
Figure 0004912704
一般式(18)において、R96〜R101は、それぞれ、電子吸引性の置換基を表す。また、R102は、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Lは、ベータジケトン構造を有するモノアニオン性の配位子、またはカルボキシル基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、またはフェノール性水酸基を有するモノアニオン性の二座キレート配位子、のいずれかを表す。ここで、電子吸引性の置換基としては、ハロゲン基または−CF基であることが好ましい。なお、化学的安定性が良くなる為、ハロゲン基の中でも特にフルオロ基を用いることが好ましい。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、sec−ブチル基の中から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。
一般式(14)、(16)、(18)、で表される有機金属錯体において、Lは、下記構造式(1)〜構造式(7)で表される配位子の中から選ばれるいずれかの配位子であることが好ましい。構造式(1)〜(7)で表される配位子はいずれもモノアニオン性の配位子である。
Figure 0004912704
本発明の一は、一般式(1)〜一般式(18)のいずれかで表される有機金属錯体を含む発光素子である。発光素子は、電極間に、一般式(1)〜一般式(18)のいずれか一で表される有機金属錯体を含む層を有し、電極間に電流が流れたときに一般式(1)〜一般式(18)のいずれか一で表される有機金属錯体が発光するように構成されていることが好ましい。このように、本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子は、再結合効率が良く、効率良く発光する。
本発明の一は、一般式(1)〜一般式(18)のいずれか一で表される有機金属錯体を含む発光素子からの発光を画素もしくは光源として利用した発光装置である。このように、本発明の発光素子は効率良く発光する為、本発明の発光素子を用いることによって低消費電力で駆動する発光装置を得ることができる。
本発明を実施することによって、再結合効率の良い発光素子を作製するのに用いることができる有機金属錯体を得ることができる。また、本発明を実施することによって、燐光を発光でき、効率良く発光する発光する発光素子を作製するのに用いることができる有機金属錯体を得ることができる。
本発明の一は、一般式(1)で表される有機金属錯体の中で、特にR、Rはフルオロ基、Rは水素又はメチル基、Rは水素、Mがイリジウム(Ir)、n=2であることを特徴とする有機金属錯体である。配位子としては、アセチルアセトナート配位子、テトラキス(1−ピラゾリル)ボラート配位子、またはピコリナート配位子のいずれか一つであることが望ましい。
本発明を実施することによって、再結合効率が良く、効率良く発光する発光素子を得ることができる。また、本発明を実施することによって、燐光を発光でき、特に内部量子効率の高い発光素子を得ることができる。また、本発明を実施することによって、高輝度の領域でも、励起と発光の繰り返しを効率良く行うことができる発光素子を得ることができる。
本発明を実施することによって、効率良く発光し、低消費電力で駆動できる発光装置を得ることができる。
以下、本発明の一態様について説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の一態様としては、構造式(8)〜構造式(55)で表される有機金属錯体が挙げられる。但し、本発明は、ここに記載したものに限定されるものではない。
Figure 0004912704
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以上に示した本発明の有機金属錯体は、電子を捕獲し易い。これは、本発明によって、配位子に電子吸引性の置換基を導入することができた為、と考えられる。
また、本発明の有機金属錯体は電子を捕獲し易い為、本発明の有機金属錯体を用いることによって、キャリアの再結合効率を高め、効率よく発光する発光素子を作製することができる。
また、本発明の有機金属錯体を用いることによって、高輝度で発光させたときでも、励起と発光の繰り返しを効率良く行うことができる発光素子を作製することができる。これは本発明の有機金属錯体を用いることによって、励起三重項状態の励起寿命等に起因する非発光遷移の増加が起こり難くなる為と考えられる。
また、構造式(8)〜構造式(31)のいずれかで表される本発明の有機金属錯体は、以下の合成スキーム(a−1)〜合成スキーム(a−3)で表されるような合成方法によって得られる。合成スキーム(a−1)のようにして電子吸引性の置換基を含む配位子を合成する。そして、合成された電子吸引性の置換基を含む配位子を、合成スキーム(a−2)で表されるように、塩化イリジウム塩酸塩水和物と混合して、イリジウムに配位させる。さらに、合成スキーム(a−3)で表されるように、モノアニオン性の配位子をイリジウムに配位させる。
Figure 0004912704
Figure 0004912704
Figure 0004912704
ここで、合成スキーム(a−1)〜合成スキーム(a−3)において、R103、R104は、それぞれ、フルオロ基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基のいずれかを表す。また、R105、R106は、それぞれ、水素またはメチル基を表す。また、Lは、アセチルアセトンまたはピコリン酸を表す。
なお、本発明の有機金属錯体の合成方法は、合成スキーム(a−1)〜合成スキーム(a−3)で表されるものには限定されない。例えば、(a−1)で得られる配位子において、R105とR106の両方がアルキル置換された配位子に関しては、まず、フェニル基のパラ位が電子吸引基で置換された2,3−ジフェニル−1,4−ジヒドロピラジン−5,6−ジオンを原料とし、POCl等を用いて5,6位がクロロ化したジクロロ体を形成し、得られたジクロロ体とアルキル金属とをカップリングすることにより得られる。また、塩化イリジウム塩酸塩水和物に換えてテトラクロロ白金酸カリウム等の白金を含む塩を用いることによって、白金を中心金属として含む本発明の有機金属錯体を得ることもできる。また、アセチルアセトンまたはピコリン酸に換えて、マロン酸ジメチル、サリチルアルデヒド、サリチリデンアミン、テトラピラゾラトボロナート等の配位子を用いることによって、構造式(2)、(4)〜(7)で表されるような配位子を含む、本発明の有機金属錯体を得ることもできる。
また、構造式(32)〜構造式(55)のいずれかで表される本発明の有機金属錯体は、以下の合成スキーム(b−1)〜合成スキーム(b−3)で表されるような合成方法によって得られる。合成スキーム(b−1)のようにして電子吸引性の置換基を含む配位子を合成する。そして、合成された電子吸引性の置換基を含む配位子を、合成スキーム(b−2)で表されるように、塩化イリジウム塩酸塩水和物と混合して、イリジウムに配位させる。さらに、合成スキーム(b−3)で表されるように、モノアニオン性の配位子をイリジウムに配位させる。
Figure 0004912704
Figure 0004912704
Figure 0004912704
ここで、合成スキーム(b−1)〜合成スキーム(b−3)において、R107〜R110は、それぞれ、フルオロ基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基のいずれかを表す。また、R111、R112は、それぞれ、水素またはメチル基を表す。また、Lは、アセチルアセトンまたはピコリン酸を表す。合成スキーム(b−1)の反応において用いられているジケトンは、3位および5位がフルオロ基、−CF等の電子吸引性の置換基で置換されたベンゼンのグリニャール試薬と1,4−ジメチルピペラジン−2,3−ジオンとを反応させることによって得ることができる。
なお、本発明の有機金属錯体の合成方法は、合成スキーム(b−1)〜合成スキーム(b−3)で表されるものには限定されない。また、塩化イリジウム塩酸塩水和物に換えてテトラクロロ白金酸カリウム等の白金を含む塩を用いることによって、白金を中心金属として含む本発明の有機金属錯体を得ることもできる。また、アセチルアセトンまたはピコリン酸に換えて、マロン酸ジメチル、サリチルアルデヒド、サリチリデンアミン、テトラピラゾラトボロナート等の配位子を用いることによって、構造式(2)、(4)〜(7)で表されるような配位子を含む、本発明の有機金属錯体を得ることもできる。
(実施の形態2)
本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた発光素子の態様について、図1を用いて説明する。
図1には、第1の電極151と第2の電極152との間に発光層163を有する発光素子が表されている。そして、発光層163には、一般式(1)、(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)、(17)のいずれかで表される構造を含む本発明の有機金属錯体、または一般式(2)、(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)、(16)、(18)のいずれかで表される本発明の有機金属錯体が含まれている。
第1の電極151と第2の電極152との間には、発光層163の他、正孔注入層161、正孔輸送層162、電子輸送層164、電子注入層165等も設けられている。これらの層は、第1の電極151の電位が第2の電極152の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに、第1の電極151側から正孔が注入され第2の電極152側から電子が注入されるように積層されている。
このような発光素子において、第1の電極151側から注入された正孔と、第2の電極152側から注入された電子とは、発光層163において再結合し、有機金属錯体を励起状態にする。そして、励起状態の本発明の有機金属錯体は基底状態に戻るときに発光する。このように、本発明の有機金属錯体は発光物質として機能する。ここで、本発明の有機金属錯体は、電子を捕獲しやすいという性質を有している為、効率良くキャリアの再結合が行われる。その結果、本発明の有機金属錯体を含んでいる本発明の発光素子は、効率良く発光する。
ここで、発光層163は本発明の有機金属錯体を含む層である。発光層163は本発明の有機金属錯体のみから形成された層であってもよいが、濃度消光を生じる場合は、発光物質の有するエネルギーギャップよりも大きいエネルギーギャップを有する物質からなる層中に、発光物質が分散するように混合された層であることが好ましい。発光層163に本発明の有機金属錯体を分散して含ませることで、発光が濃度に起因して消光してしまうことを防ぐことができる。ここで、エネルギーギャップとはLUMO準位とHOMO準位との間のエネルギーギャップをいう。
本発明の有機金属錯体を分散状態にするために用いる物質について特に限定はないが、2,3−ビス(4−ジフェニルアミノフェニル)キノキサリン(略称:TPAQn)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)のようなアリールアミン骨格を有する化合物の他、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)等のカルバゾール誘導体や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))等の金属錯体等が好ましい。これらの物質の中から一または二以上の物質を選択して本発明の有機金属錯体が分散状態となるように混合すればよい。このように複数の化合物を含む層は、共蒸着法を用いることで形成できる。ここで、共蒸着とは、一つの処理室内に設けられた複数の蒸着源からそれぞれ原料を気化させ、気化した原料を気相状態で混合し、被処理物上に堆積させる蒸着法をいう。
また、第1の電極151と第2の電極152とについて特に限定はなく、インジウム錫酸化物(ITO)、または酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウムの他、金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)等を用いて形成することができる。また、アルミニウムの他、マグネシウムと銀との合金、アルミニウムとリチウムとの合金等も第1の電極151を形成するのに用いることができる。なお、第1の電極151及び第2の電極152の形成方法について特に限定はなく、例えばスパッタ法や蒸着法等を用いて形成することができる。なお、発光した光を外部に取り出すために、インジウム錫酸化物等を用いて、若しくは銀、アルミニウム等を数nm〜数十nmの厚さとなるように成膜して、第1の電極151と第2の電極のいずれか一または両方を形成することが好ましい。
また、第1の電極151と発光層163との間には、図1に示すように、正孔輸送層162を設けてもよい。ここで、正孔輸送層とは、第1の電極151側から注入された正孔を発光層163へ輸送する機能を有する層である。このように、正孔輸送層162を設けることによって、第1の電極151と発光層163との距離を離すことができ、その結果、第1の電極151に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。正孔輸送層は、正孔輸送性の高い物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、正孔輸送性の高い物質とは、電子よりも正孔の移動度が高く、好ましくは電子の移動度に対する正孔の移動度の比の値(=正孔移動度/電子移動度)が100よりも大きい物質である。正孔輸送層162を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:TPD)、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)、4,4’−ビス{N−[4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ}ビフェニル(略称:DNTPD)、1,3,5−トリス[N,N−ジ(m−トリル)アミノ]ベンゼン(略称:m−MTDAB)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(略称:TCTA)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等が挙げられる。また、正孔輸送層162は、以上に述べた物質を用いて形成された層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
また、第2の電極152と発光層163との間には、図1に示すように、電子輸送層164を有していてもよい。ここで、電子輸送層とは、第2の電極152から注入された電子を発光層163へ輸送する機能を有する層である。このように、電子輸送層164を設けることによって、第2の電極152と発光層163との距離を離すことができ、その結果、第2の電極152に含まれている金属に起因して発光が消光することを防ぐことができる。電子輸送層は、電子輸送性の高い物質を用いて形成することが好ましく、特に1×10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質を用いて形成することが好ましい。なお、電子輸送性の高い物質とは、正孔よりも電子の移動度が高く、好ましくは正孔の移動度に対する電子の移動度の比の値(=電子移動度/正孔移動度)が100よりも大きい物質である。電子輸送層164を形成するのに用いることができる物質の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))等の金属錯体の他、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)、4,4−ビス(5−メチルベンズオキサゾル−2−イル)スチルベン(略称:BzOs)等が挙げられる。また、電子輸送層164は、以上に述べた物質を用いて形成された層を二以上組み合わせて形成した多層構造の層であってもよい。
なお、正孔輸送層162と電子輸送層164とは、それぞれ、先に記載した物質の他、バイポーラ性の物質を用いて形成してもよい。バイポーラ性の物質とは、電子または正孔のいずれか一方のキャリアの移動度と他方のキャリアの移動度とを比較したときに、一方のキャリアの移動度に対する他方のキャリアの移動度の比の値が100以下、好ましくは10以下である物質である。バイポーラ性の物質として、例えば、TPAQn、2,3−ビス{4−[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]フェニル}−ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:NPADiBzQn)等が挙げられる。バイポーラ性の物質の中でも特に、正孔及び電子の移動度が1×10−6cm/Vs以上の物質を用いることが好ましい。また同一のバイポーラ性の物質を用いて、正孔輸送層162と電子輸送層164とを形成しても構わない。
さらに、第1の電極151と正孔輸送層162との間には、図1に示すように、正孔注入層161を有していてもよい。正孔注入層161は、第1の電極151から正孔輸送層162へ正孔の注入を補助する機能を有する層である。正孔注入層161を設けることによって、第1の電極151と正孔輸送層162との間のイオン化ポテンシャルの差が緩和され、正孔が注入され易くなる。正孔注入層161は、正孔輸送層162を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが小さく、第1の電極151を形成している物質よりもイオン化ポテンシャルが大きい物質、または正孔輸送層162と第1の電極151との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。正孔注入層161を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、フタロシアニン(略称:HPc)や銅フタロシアニン(CuPC)等のフタロシアニン系の化合物、或いはポリ(エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(スチレンスルホン酸)水溶液(PEDOT/PSS)等の高分子等が挙げられる。つまり、正孔注入層161におけるイオン化ポテンシャルが正孔輸送層162におけるイオン化ポテンシャルよりも相対的に小さくなるような物質を選択することによって、正孔注入層161を形成することができる。なお、正孔注入層161を設ける場合、第1の電極151は、インジウム錫酸化物等の仕事関数の高い物質を用いて形成することが好ましい。
また、第2の電極152と電子輸送層164との間には、図1に示すように、電子注入層165を有していてもよい。ここで、電子注入層165は、第2の電極152から電子輸送層164へ電子の注入を補助する機能を有する層である。電子注入層165を設けることによって、第2の電極152と電子輸送層164との間の電子親和力の差が緩和され、電子が注入され易くなる。電子注入層165は、電子輸送層164を形成している物質よりも電子親和力が大きく第2の電極152を形成している物質よりも電子親和力が小さい物質、または電子輸送層164と第2の電極152との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドが曲がるような物質を用いて形成することが好ましい。電子注入層165を形成するのに用いることのできる物質の具体例として、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、アルカリ金属のフッ化物、アルカリ土類金属のフッ化物、アルカリ金属の酸化物、アルカリ土類金属の酸化物等の無機物が挙げられる。また、無機物の他、BPhen、BCP、p−EtTAZ、TAZ、BzOs等の電子輸送層164を形成するのに用いることのできる物質も、これらの物質の中から、電子輸送層164の形成に用いる物質よりも電子親和力が大きい物質を選択することによって、電子注入層165を形成する物質として用いることができる。つまり、電子注入層165における電子親和力が電子輸送層164における電子親和力よりも相対的に大きくなるような物質を選択することによって、電子注入層165を形成することができる。なお、電子注入層165を設ける場合、第1の電極151は、アルミニウム等の仕事関数の低い物質を用いて形成することが好ましい。
以上に述べた本発明の発光素子において、正孔注入層161、正孔輸送層162、発光層163、電子輸送層164、電子注入層165は、それぞれ、蒸着法、またはインクジェット法、または塗布法等、いずれの方法で形成しても構わない。また、第1の電極151または第2の電極152についても、スパッタリング法または蒸着法等、いずれの方法を用いて形成しても構わない。
また、正孔注入層161に換えて正孔発生層を設けてもよいし、または電子注入層165に換えて電子発生層を設けてもよい。
ここで、正孔発生層とは、正孔を発生する層である。電子よりも正孔の移動度が高い物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、電子よりも正孔の移動度が高い物質に対して電子受容性を示す物質とを混合することによって、または、バイポーラ性の物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、バイポーラ性の物質に対して電子受容性を示す物質とを混合することによって正孔発生層を形成することができる。ここで、電子よりも正孔の移動度が高い物質としては、正孔輸送層162を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、バイポーラ性の物質についても、TPAQn等の先に記載したバイポーラ性の物質を用いることができる。また、電子よりも正孔の移動度が高い物質及びバイポーラ性の物質の中でも特にトリフェニルアミンを骨格に含む物質を用いることが好ましい。トリフェニルアミンを骨格に含む物質を用いることによって、正孔をより発生し易くなる。また、電子受容性を示す物質としては、モリブデン酸化物、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、レニウム酸化物等の金属酸化物を用いることが好ましい。
また、電子発生層とは、電子を発生する層である。正孔よりも電子の移動度が高い物質と、正孔よりも電子の移動度が高い物質に対して電子供与性を示す物質とを混合することによって、または、バイポーラ性の物質の中から選ばれた少なくとも一の物質と、バイポーラ性の物質に対して電子供与性を示す物質とを混合することによって電子発生層を形成することができる。ここで、正孔よりも電子の移動度が高い物質としては電子輸送層164を形成するのに用いることのできる物質と同様の物質を用いることができる。また、バイポーラ性の物質についても、TPAQn等の先に記載したバイポーラ性の物質を用いることができる。また、電子供与性を示す物質としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の中から選ばれた物質、具体的にはリチウム酸化物(LiO)、カルシウム酸化物(CaO)、ナトリウム酸化物(NaO)、カリウム酸化物(KO)、マグネシウム酸化物(MgO)等から選ばれる少なくとも一の物質も電子供与性を示す物質として用いることができる。また、アルカリ金属フッ化物、アルカリ土類金属フッ化物、具体的には、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化カルシウム(CaF)等から選ばれる少なくとも一の物質も電子供与性を示す物質として用いることができる。また、アルカリ金属窒化物、アルカリ土類金属窒化物等、具体的には、窒化カルシウム、窒化マグネシウム等から選ばれる少なくとも一の物質も電子供与性を示す物質として用いることができる。
なお、以上に述べたような本発明の発光素子において、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を設けるか否かについては任意であり、発明の実施者が適宜選択すればよい。但し、正孔輸送層、電子輸送層を設けた場合には、電極あるいは正孔注入層、あるいは電子注入層等に含まれる金属に起因して消光が生じてしまうことを低減する効果を得られる。また、電子注入層、正孔注入層等を設けることによって、電極からの電子または正孔の注入を効率良く行うことができるという効果を得られる。
(実施の形態3)
本発明の有機金属錯体を発光物質として用いた本発明の発光素子は、効率良く発光するため、本発明の発光素子を画素として用いることによって、低消費電力で動作する発光装置を得ることができる。
本形態では、表示機能を有する発光装置の回路構成および駆動方法について図2〜5を用いて説明する。
図2は本発明を適用した発光装置を上面からみた模式図である。図2において、基板6500上には、画素部6511と、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とが設けられている。ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、配線群を介して、外部入力端子であるFPC(フレキシブルプリントサーキット)6503と接続している。そして、ソース信号線駆動回路6512と、書込用ゲート信号線駆動回路6513と、消去用ゲート信号線駆動回路6514とは、それぞれ、FPC6503からビデオ信号、クロック信号、スタート信号、リセット信号等を受け取る。またFPC6503にはプリント配線基盤(PWB)6504が取り付けられている。なお、駆動回路部は、上記のように必ずしも画素部6511と同一基板上に設けられている必要はなく、例えば、配線パターンが形成されたFPC上にICチップを実装したもの(TCP)等を利用し、基板外部に設けられていてもよい。
画素部6511には、列方向に延びた複数のソース信号線が行方向に並んで配列している。また、電流供給線が行方向に並んで配列している。また、画素部6511には、行方向に延びた複数のゲート信号線が列方向に並んで配列している。また画素部6511には、発光素子を含む一組の回路が複数配列している。
図3は、一画素を動作するための回路を表した図である。図3に示す回路には、第1のトランジスタ901と第2のトランジスタ902と発光素子903とが含まれている。
第1のトランジスタ901と、第2のトランジスタ902とは、それぞれ、ゲート電極と、ドレイン領域と、ソース領域とを含む三端子の素子であり、ドレイン領域とソース領域の間にチャネル領域を有する。ここで、ソース領域とドレイン領域とは、トランジスタの構造や動作条件等によって変わるため、いずれがソース領域またはドレイン領域であるかを限定することが困難である。そこで、本形態においては、ソースまたはドレインとして機能する領域を、それぞれトランジスタの第1電極、トランジスタの第2電極と表記する。
ゲート信号線911と、書込用ゲート信号線駆動回路913とはスイッチ918によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ゲート信号線911と、消去用ゲート信号線駆動回路914とはスイッチ919によって電気的に接続または非接続の状態になるように設けられている。また、ソース信号線912は、スイッチ920によってソース信号線駆動回路915または電源916のいずれかに電気的に接続するように設けられている。そして、第1のトランジスタ901のゲートはゲート信号線911に電気的に接続している。また、第1のトランジスタの第1電極はソース信号線912に電気的に接続し、第2電極は第2のトランジスタ902のゲート電極と電気的に接続している。第2のトランジスタ902の第1電極は電流供給線917と電気的に接続し、第2電極は発光素子903に含まれる一の電極と電気的に接続している。なお、スイッチ918は、書込用ゲート信号線駆動回路913に含まれていてもよい。またスイッチ919についても消去用ゲート信号線駆動回路914の中に含まれていてもよい。また、スイッチ920についてもソース信号線駆動回路915の中に含まれていてもよい。
また画素部におけるトランジスタや発光素子等の配置について特に限定はないが、例えば図4の上面図に表すように配置することができる。図4において、第1のトランジスタ1001の第1電極はソース信号線1004に接続し、第2の電極は第2のトランジスタ1002のゲート電極に接続している。また第2トランジスタの第1電極は電流供給線1005に接続し、第2電極は発光素子の電極1006に接続している。ゲート信号線1003の一部は第1のトランジスタ1001のゲート電極として機能する。
次に、駆動方法について説明する。図5は時間経過に伴ったフレームの動作について説明する図である。図5において、横方向は時間経過を表し、縦方向はゲート信号線の走査段数を表している。
本発明の発光装置を用いて画像表示を行うとき、表示期間においては、画面の書き換え動作が繰り返し行われる。この書き換え回数について特に限定はないが、画像をみる人がちらつき(フリッカ)を感じないように少なくとも1秒間に60回程度とすることが好ましい。ここで、一画面(1フレーム)の書き換え動作を行う期間を1フレーム期間という。
1フレームは、図5に示すように、書き込み期間501a、502a、503a、504aと保持期間501b、502b、503b、504bとを含む4つのサブフレーム501、502、503、504に時分割されている。発光するための信号を与えられた発光素子は、保持期間において発光状態となっている。各々のサブフレームにおける保持期間の長さの比は、第1のサブフレーム501:第2のサブフレーム502:第3のサブフレーム503:第4のサブフレーム504=2:2:2:2=8:4:2:1となっている。これによって4ビット階調を表現することができる。但し、ビット数及び階調数はここに記すものに限定されず、例えば8つのサブフレームを設け8ビット階調を行えるようにしてもよい。
1フレームにおける動作について説明する。まず、サブフレーム501において、1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。従って、行によって書き込み期間の開始時間が異なる。書き込み期間501aが終了した行から順に保持期間501bへと移る。当該保持期間において、発光するための信号を与えられている発光素子は発光状態となっている。また、保持期間501bが終了した行から順に次のサブフレーム502へ移り、サブフレーム501の場合と同様に1行目から最終行まで順に書き込み動作が行われる。サブフレーム504の保持期間504b迄以上のような動作を繰り返し、サブフレーム504における動作を終了する。サブフレーム504における動作を終了したら次のフレームへ移る。このように、各サブフレームにおいて発光した時間の積算時間が、1フレームにおける各々の発光素子の発光時間となる。この発光時間を発光素子ごとに変えて一画素内で様々に組み合わせることによって、明度および色度の異なる様々な表示色を形成することができる。
サブフレーム504のように、最終行目までの書込が終了する前に、既に書込を終え、保持期間に移行した行における保持期間を強制的に終了させたいときは、保持期間504bの後に消去期間504cを設け、強制的に非発光の状態となるように制御することが好ましい。そして、強制的に非発光状態にした行については、一定期間、非発光の状態を保つ(この期間を非発光期間504dとする。)。そして、最終行目の書込期間が終了したら直ちに、一行目から順に次のサブフレーム(またはフレーム)の書込期間に移行する。これによって、サブフレーム504の書き込み期間と、その次のサブフレームの書き込み期間とが重畳することを防ぐことができる。
なお、本形態では、サブフレーム501乃至504は保持期間の長いものから順に並んでいるが、必ずしも本実施例のような並びにする必要はなく、例えば保持期間の短いものから順に並べられていてもよいし、または保持期間の長いものと短いものとがランダムに並んでいてもよい。また、サブフレームは、さらに複数のフレームに分割されていてもよい。つまり、同じ映像信号を与えている期間、ゲート信号線の走査を複数回行ってもよい。
ここで、書込期間および消去期間における、図3で示す回路の動作について説明する。
まず書込期間における動作について説明する。書込期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ918を介して書込用ゲート信号線駆動回路913と電気的に接続し、消去用ゲート信号線駆動回路914とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介してソース信号線駆動回路と電気的に接続している。ここで、n行目(nは自然数)のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に映像信号が入力される。なお、各列のソース信号線912から入力される映像信号は互いに独立したものである。ソース信号線912から入力された映像信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって発光素子903は発光または非発光が決まる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903が発光する。
次に消去期間における動作について説明する。消去期間において、n行目(nは自然数)のゲート信号線911は、スイッチ919を介して消去用ゲート信号線駆動回路914と電気的に接続し、書込用ゲート信号線駆動回路913とは非接続である。また、ソース信号線912はスイッチ920を介して電源916と電気的に接続している。ここで、n行目のゲート信号線911に接続した第1のトランジスタ901のゲートに信号が入力され、第1のトランジスタ901はオンとなる。そして、この時、1列目から最終列目迄のソース信号線に同時に消去信号が入力される。ソース信号線912から入力された消去信号は、各々のソース信号線に接続した第1のトランジスタ901を介して第2のトランジスタ902のゲート電極に入力される。この時第2のトランジスタ902に入力された信号によって、電流供給線917から発光素子903への電流の供給が阻止される。そして、発光素子903は強制的に非発光となる。例えば、第2のトランジスタ902がPチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にHigh Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。一方、第2のトランジスタ902がNチャネル型である場合は、第2のトランジスタ902のゲート電極にLow Levelの信号が入力されることによって発光素子903は非発光となる。
なお、消去期間では、n行目(nは自然数)については、以上に説明したような動作によって消去する為の信号を入力する。しかし、前述のように、n行目が消去期間であると共に、他の行(m行目(mは自然数)とする。)については書込期間となる場合がある。このような場合、同じ列のソース信号線を利用してn行目には消去の為の信号を、m行目には書込の為の信号を入力する必要があるため、以下に説明するような動作させることが好ましい。
先に説明した消去期間における動作によって、n行目の発光素子903が非発光となった後、直ちに、ゲート信号線911と消去用ゲート信号線駆動回路914とを非接続の状態とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線912とソース信号線駆動回路915と接続させる。そして、ソース信号線とソース信号線駆動回路915とを接続させる共に、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913とを接続させる。そして、書込用ゲート信号線駆動回路913からm行目の信号線に選択的に信号が入力され、第1のトランジスタがオンすると共に、ソース信号線駆動回路915からは、1列目から最終列目迄のソース信号線に書込の為の信号が入力される。この信号によって、m行目の発光素子は、発光または非発光となる。
以上のようにしてm行目について書込期間を終えたら、直ちに、n+1行目の消去期間に移行する。その為に、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、スイッチ920を切り替えてソース信号線を電源916と接続する。また、ゲート信号線911と書込用ゲート信号線駆動回路913を非接続とすると共に、ゲート信号線911については、消去用ゲート信号線駆動回路914と接続状態にする。そして、消去用ゲート信号線駆動回路914からn+1行目のゲート信号線に選択的に信号を入力して第1のトランジスタに信号をオンすると共に、電源916から消去信号が入力される。このようにして、n+1行目の消去期間を終えたら、直ちに、m+1行目の書込期間に移行する。以下、同様に、消去期間と書込期間とを繰り返し、最終行目の消去期間まで動作させればよい。
なお、本形態では、n行目の消去期間とn+1行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設ける態様について説明したが、これに限らず、n−1行目の消去期間とn行目の消去期間との間にm行目の書込期間を設けてもよい。
また、本形態では、サブフレーム504のように非発光期間504dを設けるときおいて、消去用ゲート信号線駆動回路914と或る一のゲート信号線とを非接続状態にすると共に、書込用ゲート信号線駆動回路913と他のゲート信号線とを接続状態にする動作を繰り返している。このような動作は、特に非発光期間を設けないフレームにおいて行っても構わない。
(実施の形態4)
本発明の発光素子を含む発光装置の断面図の一態様について、図6を用いて説明する。
図6において、点線で囲まれているのは、本発明の発光素子12を駆動するために設けられているトランジスタ11である。発光素子12は、第1の電極13と第2の電極14との間に正孔を発生する層と電子を発生する層と発光物質を含む層とが積層された層15を有する本発明の発光素子である。トランジスタ11のドレインと第1の電極13とは、第1層間絶縁膜16(16a、16b、16c)を貫通している配線17によって電気的に接続されている。また、発光素子12は、隔壁層18によって、隣接して設けられている別の発光素子と分離されている。このような構成を有する本発明の発光装置は、本形態において、基板10上に設けられている。
なお、図6に示されたトランジスタ11は、半導体層を中心として基板と逆側にゲート電極が設けられたトップゲート型のものである。但し、トランジスタ11の構造については、特に限定はなく、例えばボトムゲート型のものでもよい。またボトムゲートの場合には、チャネルを形成する半導体層の上に保護膜が形成されたもの(チャネル保護型)でもよいし、或いはチャネルを形成する半導体層の一部が凹状になったもの(チャネルエッチ型)でもよい。
また、トランジスタ11を構成する半導体層は、結晶性、非結晶性のいずれのものでもよい。また、セミアモルファス等でもよい。
なお、セミアモルファス半導体とは、次のようなものである。非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む)の中間的な構造を有し、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な領域を含んでいるものである。また少なくとも膜中の一部の領域には、0.5〜20nmの結晶粒を含んでいる。ラマンスペクトルが520cm−1よりも低波数側にシフトしている。X線回折ではSi結晶格子に由来するとされる(111)、(220)の回折ピークが観測される。未結合手(ダングリングボンド)を終端するために水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。所謂微結晶半導体(マイクロクリスタル半導体)とも言われており、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiCl、及びSiFのなかから選ばれるガスをグロー放電分解(プラズマCVD)して形成する。これらのガスをH、又は、HとHe、Ar、Kr、Neから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈しても良い。希釈率は2〜1000倍の範囲、 圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHz、基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃、膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020/cm以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019/cm以下、好ましくは1×1019/cm以下とする。なお、セミアモルファス半導体を用いたTFT(薄膜トランジスタ)の移動度はおよそ1〜10cm/Vsecとなる。
また、半導体層が結晶性のものの具体例としては、単結晶または多結晶性の珪素、或いはシリコンゲルマニウム等を用いて形成されたものが挙げられる。これらはレーザー結晶化によって形成されたものでもよいし、例えばニッケル等を用いた固相成長法による結晶化によって形成されたものでもよい。
なお、半導体層が非晶質の物質、例えばアモルファスシリコンで形成される場合には、トランジスタ11およびその他のトランジスタ(発光素子を駆動するための回路を構成するトランジスタ)は全てNチャネル型トランジスタで構成された回路を有する発光装置であることが好ましい。それ以外については、Nチャネル型またはPチャネル型のいずれか一のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよいし、両方のトランジスタで構成された回路を有する発光装置でもよい。
さらに、第1層間絶縁膜16は、図6(A)、(C)に示すように多層でもよいし、または単層でもよい。なお、16aは酸化珪素や窒化珪素のような無機物から成り、16bはアクリルやシロキサン(なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を主骨格として有する化合物である。また、水素、またはメチル基等のアルキル基を置換基として有する。)、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質を用いて形成する。さらに、16cはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜を用いて形成する。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質を用いて形成された層をさらに組み合わせてもよい。このように、第1層間絶縁膜16は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよい。
隔壁層18は、エッジ部において、曲率半径が連続的に変化する形状であることが好ましい。また隔壁層18は、アクリルやシロキサン、レジスト、酸化珪素等を用いて形成される。なお隔壁層18は、無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよいし、または両方を用いて形成されたものでもよい。
なお、図6(A)、(C)では、第1層間絶縁膜16のみがトランジスタ11と発光素子12の間に設けられた構成であるが、図6(B)のように、第1層間絶縁膜16(16a、16b)の他、第2層間絶縁膜19(19a、19b)が設けられた構成のものであってもよい。図6(B)に示す発光装置においては、第1の電極13は第2層間絶縁膜19を貫通し、配線17と接続している。
第2層間絶縁膜19は、第1層間絶縁膜16と同様に、多層でもよいし、または単層でもよい。19aはアクリルやシロキサン、塗布成膜可能な酸化珪素等の自己平坦性を有する物質を用いて形成する。さらに、19bはアルゴン(Ar)を含む窒化珪素膜を用いて形成する。なお、各層を構成する物質については、特に限定はなく、ここに述べたもの以外のものを用いてもよい。また、これら以外の物質層をさらに組み合わせてもよい。このように、第2層間絶縁膜19は、無機物または有機物の両方を用いて形成されたものでもよいし、または無機物と有機物のいずれか一で形成されたものでもよい。
発光素子12において、第1の電極および第2の電極がいずれも透光性を有する物質で構成されている場合、図6(A)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側と第2の電極14側の両方から発光を取り出すことができる。また、第2の電極14のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図6(B)の白抜きの矢印で表されるように、第2の電極14側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第1の電極13は反射率の高い材料で構成されているか、または反射率の高い材料を用いて形成された膜(反射膜)が第1の電極13の下方に設けられていることが好ましい。また、第1の電極13のみが透光性を有する物質で構成されている場合、図6(C)の白抜きの矢印で表されるように、第1の電極13側のみから発光を取り出すことができる。この場合、第2の電極14は反射率の高い材料で構成されているか、または反射膜が第2の電極14の上方に設けられていることが好ましい。
また、発光素子12は、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が高くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよいし、或いは、第1の電極13の電位よりも第2の電極14の電位が低くなるように電圧を印加したときに動作するように層15が積層されたものであってもよい。前者の場合、トランジスタ11はNチャネル型トランジスタであり、後者の場合、トランジスタ11はPチャネル型トランジスタである。
以上のように、本実施の形態では、トランジスタによって発光素子の駆動を制御するアクティブ型の発光装置について説明した。
但し、アクティブ型の発光装置に限らず、パッシブ型の発光装置に本発明を適用してもよい。特に、本発明の有機金属錯体を用いて作製され、高輝度の領域でも励起と発光の繰り返しを効率良く行うことができる発光素子は、瞬間的に高輝度の発光をさせる必要のあるパッシブ型の発光装置の画素として用いるのに適している。
図7には本発明を適用して作製したパッシブ型の発光装置の斜視図を示す。図7において、基板1901と基板1907との間には、電極1902と電極1906が設けられている。電極1902と電極1906とは交差するように設けられている。さらに、電極1902と電極1906との間には発光層1905(1902、1904等の配置が分かるように破線で示している。)が設けられている。なお、発光層1905と電極1902との間、若しくは発光層1905と電極1906との間には正孔輸送層、電子輸送層等が設けられていてもよい。電極1902の端部を覆うように隔壁層1904が設けられている。なお、図7において隔壁層1904は一部図示を省略されている。このように、隔壁層1904で覆われている。また、パッシブ型の発光装置においても、低駆動電圧で動作する本発明の発光素子を含むことによって、低消費電力で駆動させることができる。
(実施の形態5)
本発明の発光素子を含む発光装置は低駆動電圧で動作させることができるため、本発明の電子機器によって、消費電力が少なく経済的な電子機器を得ることができる。
本発明を適用した発光装置を実装した電子機器の一実施例を図8に示す。
図8(A)は、本発明を適用して作製したノート型のパーソナルコンピュータであり、本体5521、筐体5522、表示部5523、キーボード5524などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでパーソナルコンピュータを完成できる。
図8(B)は、本発明を適用して作製した電話機であり、本体5552には表示部5551と、音声出力部5554、音声入力部5555、操作スイッチ5556、5557、アンテナ5553等によって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことで電話機を完成できる。
図8(C)は、本発明を適用して作製したテレビ受像機であり、表示部5531、筐体5532、スピーカー5533などによって構成されている。本発明の発光素子を有する発光装置を表示部として組み込むことでテレビ受像機を完成できる。
以上のように本発明の発光装置は、各種電子機器の表示部として用いるのに非常に適している。
なお、本形態では、パーソナルコンピュータ、電話機等について述べているが、この他にナビゲイション装置、或いはカメラ等に本発明の発光素子を有する発光装置を実装しても構わない。
〔合成例1〕
構造式(8)で表される本発明の有機金属錯体(名称:(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピラジナト]イリジウム(III))の合成法について説明する。
〔ステップ1:配位子(略称:HFdppr)の合成〕
まず、脱水エタノール溶媒に、4,4’−ジフルオロベンジル[東京化成社製]16.8gとエチレンジアミン[関東化学社製]4.5gとを混合し、その混合物を105℃で6時間還流させた。反応後、エバポレーターを用いて反応溶液を濃縮し、得られた残渣をエタノールを用いて再結晶させることにより、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5,6−ジヒドロピラジンが得られた(赤褐色粉末、収率93%)。
次に、メカニカルスターラーを装備した三口フラスコ内で、上記で得られた2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5,6−ジヒドロピラジン16.1gと水酸化カリウム5.6gとを混合し、さらにグリセロール100mLを溶媒として加えた後、この混合物を190℃にて10時間加熱攪拌した。反応後、グリセロールの上層に析出した赤褐色のフィルムを水で洗浄した。洗浄したフィルムをヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒(体積比でヘキサン:酢酸エチル=2:1)を展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーによって精製した(R=0.57)。さらにエタノールによる再結晶をおこなうことによって、配位子2,3−ビス(4−フルオロフェニル)ピラジン(略称:HFdppr)2.8gが得られた(淡黄色結晶、収率17.5%)。ステップ1の合成に係る合成スキーム(c−1)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ2:複核錯体(略称:[Ir(Fdppr)Cl])の合成〕
次に、30mLの2−エトキシエタノールと10mLの水との混合溶媒に、上記で得られた5.01gの配位子HFdpprと1.01gの塩化イリジウム塩酸塩水和物(IrCl・HCl・HO)[アルドリッチ製]とを混合し、その混合物を窒素雰囲気下で16時間還流することにより、複核錯体[Ir(Fdppr)Cl]を得た(赤茶色粉末、収率31%)。ステップ2の合成に係る合成スキーム(c−2)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ3:本発明の有機金属錯体(略称:[Ir(Fdppr)(acac)])の合成〕
さらに、20mLの2−エトキシエタノール溶媒に、0.76gの[Ir(Fdppr)Cl] と0.15mLのアセチルアセトン(略称:Hacac)と0.53gの炭酸ナトリウムとを混合し、その混合物を窒素雰囲気にて17時間還流することで、黄橙色粉末を得た(収率16%)。ステップ3の合成に係る合成スキーム(c−3)を次に示す。
Figure 0004912704
得られた黄橙色粉末を核磁気共鳴分光法(H−NMR)によって分析したところ、下記のような結果が得られ、本発明の有機金属錯体のひとつであり、構造式(8)で表されるIr(Fdppr)(acac)であることが分かった。また、H−NMRのチャートを図9に示す。
H−NMR.δ(CDCl):8.38(dd,4H),7.69(dd,4H),7.23(m,4H),6.89(dd,2H),6.29(td,2H),5.95(dd,2H),5.31(s,1H),1.89(s,6H)
また、得られた本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr)(acac)の分解温度Tを示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製 TG/DTA 320型)により測定したところ、T=312℃であり、良好な耐熱性を示すことがわかった。
次に、ジクロロメタンにIr(Fdppr)(acac)を溶解させた状態で、室温におけるIr(Fdppr)(acac)の吸収スペクトル(紫外可視分光光度計 日本分光社製 V550型)および発光スペクトル(蛍光光度計 浜松ホトニクス株式会社製 FS920)の測定を行った。結果を図10に示す。なお、図10において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図10から分かるように、本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr)(acac)の吸収スペクトルは380nm、420nm、490nmおよび525nmにピークを有している。また、Ir(Fdppr)(acac)の発光スペクトルは570nmにピークを有しており、黄色発光であった。
また、Ir(Fdppr)(acac)を含むジクロロメタン溶液に酸素を含む気体を注入し、酸素を溶存させた状態でIr(Fdppr)(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。また、Ir(Fdppr)(acac)を含むジクロロメタン溶液にアルゴンを注入し、アルゴンを溶存させた状態でIr(Fdppr)(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。その結果、Ir(Fdppr)(acac)由来の発光は酸素を溶存させた状態における発光強度よりもアルゴンを溶存させた状態における発光強度の方が強いという、燐光を発光する物質と同様の傾向を示すことが分かった。このことから、Ir(Fdppr)(acac)由来の発光は燐光であると確認できた。
〔合成例2〕
構造式(16)で表される本発明の有機金属錯体(名称:(アセチルアセトナト)ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト]イリジウム(III))の合成法について説明する。
〔ステップ1:配位子(略称:HFdppr−Me)の合成〕
まず、エタノール溶媒に、5.31gの4,4’−ジフルオロベンジル[東京化成製]と1.60gの1,2−ジアミノプロパン[東京化成製]とを混合し、その混合物を3時間還流させた。反応後、反応溶液をエバポレーターで濃縮し、得られた残渣をエタノールを用いて再結晶させることにより、2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチル−5,6−ジヒドロピラジンが得られた(淡黄色粉末、収率86%)。
次に、エタノールを溶媒に、5.29gの2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチル−5,6−ジヒドロピラジンと6.04gの塩化鉄(III)とを混合し、その混合物を3時間おだやかに加熱攪拌した。反応後の溶液に水を加えることによって得られた固体を、ジクロロメタンを展開溶媒としたカラムクロマトグラフィーで精製し、配位子2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジン(HFdppr−Me)を得た(乳白色粉末、収率72%)。
ステップ1の合成に係る合成スキーム(d−1)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ2:複核錯体(略称:[Ir(Fdppr−Me)Cl])の合成〕
次に、30mLの2−エトキシエタノールと10mLの水との混合溶媒に、3.75gの配位子HFdppr−Meと1.59gの塩化イリジウム塩酸塩水和物(III)(IrCl・HCl・HO)[アルドリッチ製]とを混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて16時間還流させることにより、複核錯体[Ir(Fdppr−Me)Cl] を得た(赤茶色粉末、収率87%)。
ステップ2の合成に係る合成スキーム(d−2)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ3:本発明の有機金属錯体(略称:[Ir(Fdppr−Me)(acac)])の合成〕
さらに、30mLの2−エトキシエタノール溶媒に、1.91gの[Ir(Fdppr−Me)Cl] と0.37mLのアセチルアセトン(Hacac)と1.28gの炭酸ナトリウムとを混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて16時間還流させることによって、黄橙色粉末(収率34%)が得られた。
ステップ3の合成に係る合成スキーム(d−3)を次に示す。
Figure 0004912704
得られた黄橙色粉末を核磁気共鳴分光法(H−NMR)によって分析したところ、下記のような結果が得られ、本発明の有機金属錯体のひとつであり、構造式(16)で表されるIr(Fdppr−Me)(acac)であることが分かった。
H−NMR.δ(CDCl):8.27(s,2H),7.66(dd,4H),7.22(m,4H),6.78(dd,2H),6.26(td,2H),5.92(dd,2H),5.31(s,1H),2.70(s,6H),1.89(s,6H)
また、H−NMRのチャートを図11に示す。
また、得られた本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−Me)(acac)の分解温度Tを示差熱熱重量同時測定装置(セイコー電子株式会社製 TG/DTA 320型)により測定したところ、T=291℃であり、良好な耐熱性を示すことがわかった。
次に、ジクロロメタンにIr(Fdppr−Me)(acac)を溶解させた状態で、室温におけるIr(Fdppr−Me)(acac)の吸収スペクトル(紫外可視分光光度計 日本分光社製 V550型)および発光スペクトル(蛍光光度計 浜松ホトニクス株式会社製 FS920)の測定を行った。結果を図12に示す。なお、図12において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図12から分かるように、本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−Me)(acac)の吸収スペクトルは380nm、420nm、485nmおよび520nmにピークを有している。また、Ir(Fdppr−Me)(acac)の発光スペクトルは564nmにピークを有しており、黄色の発光であった。
また、Ir(Fdppr−Me)(acac)を含むジクロロメタン溶液に酸素を含む気体を注入し、酸素を溶存させた状態でIr(Fdppr−Me)(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。また、Ir(Fdppr−Me)(acac)を含むジクロロメタン溶液にアルゴンを注入し、アルゴンを溶存させた状態でIr(Fdppr−Me)(acac)を発光させたときの発光強度を調べた。その結果、Ir(Fdppr−Me)(acac)由来の発光は酸素を溶存させた状態における発光強度よりもアルゴンを溶存させた状態における発光強度の方が強いという、燐光を発光する物質と同様の傾向を示すことが分かった。このことから、Ir(Fdppr−Me)(acac)由来の発光は燐光であると確認できた。
〔合成例3〕
構造式(56)で表される本発明の有機金属錯体ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト][テトラキス(1−ピラゾリル)ボラト]イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)(bpz)の合成法について説明する。
Figure 0004912704
まず、40mLのジクロロメタンに合成例2のステップ2で得られた複核錯体[Ir(Fdppr−Me)Cl]を1.00g懸濁させた。その懸濁液に、40mLのメタノール溶媒にトリフルオロメタンスルホン酸銀を0.40g溶解させた溶液を滴下した。滴下後、懸濁液を室温にて2時間撹拌し、さらに遠心分離を行った。遠心分離によって得られた上澄み液をデカンテーションにて取り分け、濃縮乾固した。次に、アセトニトリル30mLの溶媒に、濃縮乾固して得られた固体とテトラキス(1−ピラゾリル)ボラートカリウム塩(Acros Organics社製)0.70gとを混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて18時間還流し、黄色粉末(収率50%)を得た。
本合成の合成スキーム(e)を次に示す。
Figure 0004912704
得られた黄色粉末を核磁気共鳴分光法(H−NMR)によって分析したところ、下記のような結果が得られ、本発明の有機金属錯体のひとつであり、構造式(56)で表されるIr(Fdppr−Me)(bpz)であることが分かった。
H−NMR.δ(CDCl):7.73(m,2H),7.53(m,4H),7.24−7.18(m,5H),7.03(s,2H),6.94(m,2H),6.81(dd,2H),6.41−6.26(m,7H),6.08(m,2H),5.88(dd,2H),2.43(s,6H).
H−NMRのチャートを図23に示す。
また、得られた本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−Me)(bpz)の分解温度T をTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置 セイコー電子株式会社製 TG/DTA 320型)により測定したところ、T=330℃であり、良好な耐熱性を示すことがわかった。
次に、Ir(Fdppr−Me)(bpz)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定を、脱気したジクロロメタン溶液を用いて室温で行った。なお、吸収スペクトルは紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V550型)を、発光スペクトルは蛍光光度計(浜松ホトニクス株式会社製 FS920)をそれぞれ用いて測定した。結果を図24に示す。なお、図24において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図24から分かるように、本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−Me)(bpz)は273nm、334nm、403nmおよび446nmに吸収ピークを有している。また、Ir(Fdppr−Me)(bpz)の発光スペクトルは553nmに発光ピークを有しており、黄緑色発光であった。
〔合成例4〕
構造式(28)で表される本発明の有機金属錯体ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−メチルピラジナト](ピコリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−Me)(pic)の合成法について説明する。
まず、40mLの2−エトキシエタノール溶媒に、合成例2のステップ2で得られた複核錯体[Ir(Fdppr−Me)Cl] を2.31g及びピコリン酸(東京化成工業株式会社製)を1.33g混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて20時間還流することで黄色粉末(収率91%)を得た。
本合成の合成スキーム(f)を次に示す。
Figure 0004912704
得られた黄色粉末を磁気共鳴分光法(H−NMR)によって分析したところ、下記のような結果が得られ、本発明の有機金属錯体のひとつであり、構造式(28)で表されるIr(Fdppr−Me)(pic)であることが分かった。
H−NMR.δ(CDCl):8.60(s,1H),8.44(d,1H),8.05(td,1H),7.74(d,1H),7.65−7.49(m,5H),7.31−7.15(m,5H),6.88−6.79(m,2H),6.39(td,1H),6.31(td,1H),6.08(dd,1H),5.83(dd,1H),2.65(s,3H),2.45(s,3H).
H−NMRのチャートを図25に示す。
また、得られた本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−Me)(pic)の分解温度T をTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置 セイコー電子株式会社製 TG/DTA 320型)により測定したところ、T=346℃であり、良好な耐熱性を示すことがわかった。
次に、Ir(Fdppr−Me)(pic)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定を、脱気したジクロロメタン溶液を用いて室温で行った。なお、吸収スペクトルは紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V550型)を、発光スペクトルは蛍光光度計(浜松ホトニクス株式会社製 FS920)をそれぞれ用いて測定した。結果を図26に示す。なお、図26において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図26から分かるように、本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−Me)(pic)は330nm、360nm、410nm、455nmおよび505nmに吸収ピークを有している。また、Ir(Fdppr−Me)(pic)の発光スペクトルは558nmに発光ピークを有しており、黄色発光であった。
〔合成例5〕
一般式(1)〜(18)のいずれか一で表され、より具体的には構造式(57)で表される有機金属錯体である本発明の有機金属錯体ビス[2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピラジナト](ピコリナト)イリジウム(III)(略称:Ir(Fdppr−iPr)(pic))の合成法について説明する。
Figure 0004912704
〔ステップ1:配位子(略称:HFdppr−iPr)の合成〕
まず、150mLの脱水エタノールに、5.36gの4,4’−ジフルオロベンジル[(株)東京化成工業製]と1.31gの無水エチレンジアミン[(株)東京化成工業製]とを混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて3時間還流した。反応溶液を室温まで放冷した後、1.60gのアセトンと1.47gの水酸化カリウムを添加し、さらにその溶液を窒素雰囲気下にて6時間還流した。反応後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルを用いて抽出を行った。抽出により得られた有機層を硫酸ナトリウムにて乾燥し、ろ過した後、ろ液の溶媒を留去した。得られた残渣をジクロロメタンを展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、配位子である2,3−ビス(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピルピラジン(HFdppr−iPr)4.00gを得た(淡黄色油状物、収率59%)。ステップ1の合成に係る合成スキーム(g−1)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ2:複核錯体(略称:[Ir(Fdppr−iPr)Cl])の合成〕
次に、30mLの2−エトキシエタノールと10mLの水とを混合した混合溶媒に、上記ステップ1で得た配位子HFdppr−iPrを4.00g、塩化イリジウム(III)水和物(IrCl・HO)[Aldrich社製]を1.61g混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて19時間還流することにより、複核錯体[Ir(fdppr−iPr)Cl] を得た(橙色粉末、収率72%)。ステップ2の合成に係る合成スキーム(g−2)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ3:本発明の有機金属錯体(略称:Ir(Fdppr−iPr)(pic))の合成〕
さらに、25mLのジクロロメタンに、上記ステップ2で得た複核錯体[Ir(Fdppr−iPr)Cl] を1.61g、ピコリン酸を0.94g混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて18時間還流することにより、山吹色粉末を得た(収率90%)。ステップ3の合成に係る合成スキーム(g−3)を次に示す。
Figure 0004912704
得られた山吹色粉末を核磁気共鳴分光法(H−NMR)によって分析したところ、下記のような結果が得られ、本発明の有機金属錯体のひとつであり、構造式(57)で表されるIr(Fdppr−iPr)(pic)であることが分かった。また、H−NMRのチャートを図32に示す。
H−NMR.δ(CDCl):1.15(d,6H),1.32(t,6H),2.93(quin,1H),3.16(quin,1H),5.82(dd,1H),6.07(dd,1H),6.31(td,1H),6.38(td,1H),6.85(dd,1H),6.92(dd,1H),7.11−7.32(m,5H),7.53(m,1H),7.59−7.69(m,4H),7.80(d,1H),8.05(td,1H),8.43(d,1H),8.60(s,1H).
また、得られた本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−iPr)(pic)の分解温度T をTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置 セイコー電子株式会社製 TG/DTA 320型)により測定したところ、T =348℃であり、良好な耐熱性を示すことがわかった。
次に、Ir(Fdppr−iPr)(pic)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定を、脱気したジクロロメタン溶液を用いて室温にて行った。なお、吸収スペクトルは紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V550型)を、発光スペクトルは蛍光光度計(浜松ホトニクス株式会社製 FS920)をそれぞれ用いて測定した。結果を図33に示す。なお、図33において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図33からわかるように、本発明の有機金属錯体Ir(Fdppr−iPr)(pic)は328nm、410nm、453nmおよび509nmに吸収ピークを有している。また、発光スペクトルは559nmに発光ピークを有する黄色発光であった。
〔合成例6〕
構造式(29)で表される本発明の有機金属錯体Ir(CFdppr−Me)(pic)(名称:ビス[2,3−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ピラジナト](ピコリナト)イリジウム(III))の合成法について説明する。
〔ステップ1:配位子(CFDPPR−Me)の合成〕
まず、150mLの脱水エタノールに、5.07gの4,4’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジルと1.09gの1,2−ジアミノプロパンを混合し、その混合物を窒素雰囲気にて4時間還流した。反応後、反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をエタノールにて再結晶することにより、2−メチル−5,6−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)−2,3−ジヒドロピラジンを得た(淡黄色結晶、収率87%)。さらに、100mLの脱水エタノールに、上記で得られた2−メチル−5,6−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)−2,3−ジヒドロピラジンを5.05g、塩化鉄(III)を4.26g混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて2時間おだやかに加熱した。反応後、反応溶液に水を加えて希釈し、エーテルによる抽出を行った。抽出液を硫酸マグネシウムにて乾燥し、ろ過した後、溶媒を留去した。得られた残渣をエタノールにて再結晶することで、配位子である5−メチル−2,3−ビス(4−トリフルオロメチルフェニル)ピラジン(CFDPPR−Me)を得た(白色粉末、収率52%)。ステップ1の合成に係る合成スキーム(h−1)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ2:複核錯体([Ir(CFdppr−Me)Cl])の合成〕
次に、30mLの2−エトキシエタノールと10mLの水とを混合した混合溶媒に、上記ステップ1で得られた配位子CFDPPR−Meを1.89g、塩化イリジウム(III)水和物(IrCl・HO)[アルドリッチ製]を0.83g混合し、その混合物を窒素雰囲気下にて16時間還流することにより、複核錯体[Ir(CFdppr−Me)Cl] を得た(橙色粉末、収率47%)。ステップ2の合成に係る合成スキーム(h−2)を次に示す。
Figure 0004912704
〔ステップ3:本発明の有機金属錯体(Ir(CFdppr−Me)(pic))の合成〕
さらに、30mLのジクロロメタンに、上記ステップ2で得られた複核錯体[Ir(cfdppr−Me)Cl]を 1.29g、ピコリン酸を0.64g混合し、窒素雰囲気下にて17時間還流することにより、山吹色粉末を得た(収率47%)。ステップ3の合成に係る合成スキーム(h−3)を次に示す。
Figure 0004912704
得られた山吹色粉末を核磁気共鳴分光法(H−NMR)によって分析したところ、下記のような結果が得られ、本発明の有機金属錯体のひとつであり、構造式(29)で表されるIr(CFdppr−Me)(pic)であることが分かった。また、H−NMRのチャートを図43に示す。
H−NMR.δ(CDCl):2.53(s,1H),2.71(s,1H),6.34(s,1H),6.63(s,1H),6.82−6.96(m,4H),7.29(m,1H),7.55(m,1H),7.68−7.82(m,9H),8.10(td,1H),8.50(d,1H),8.73(s,1H).
また、得られた本発明の有機金属錯体Ir(CFdppr−Me)(pic)の分解温度T をTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置 セイコー電子株式会社製 TG/DTA 320型)により測定したところ、T =338℃であり、良好な耐熱性を示すことがわかった。
次に、Ir(CFdppr−Me)(pic)の吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定を、脱気したジクロロメタン溶液を用いて室温にて行った。なお、吸収スペクトルは紫外可視分光光度計(日本分光株式会社製 V550型)を、発光スペクトルは蛍光光度計(浜松ホトニクス株式会社製 FS920)をそれぞれ用いて測定した。結果を図44に示す。なお、図44において、横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図44からわかるように、本発明の有機金属錯体Ir(CFdppr−Me)(pic)は330nm、376nm、422nm、483nmおよび520nmに吸収ピークを有している。また、発光スペクトルは566nmに発光ピークを有する黄色発光であった。
本実施例では、合成例1に記載された方法によって合成されたIr(Fdppr)(acac)を発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。
図13に表すように、ガラス基板301上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極302を形成した。第1の電極302の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極302が形成されたガラス基板301を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極302上に、銅フタロシアニンからなる第1の層303を形成した。第1の層303の厚さは20nmとなるようにした。この第1の層303は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層303の上に、NPBを用いて第2の層304を蒸着法によって形成した。第2の層304の厚さは40nmとなるようにした。この第2の層304は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層304の上に、CBPとIr(Fdppr)(acac)とを含む第3の層305を共蒸着法によって形成した。第3の層305の厚さは40nmとなるようにし、CBPとIr(Fdppr)(acac)との質量比は1:0.05=CBP:Ir(Fdppr)(acac)となるようにした。これによって、Ir(Fdppr)(acac)はCBPを用いて形成された層に分散されたような状態となる。この第3の層305は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。
次に、第3の層305上に、BCPを用いて第4の層306を蒸着法によって形成した。第4の層306の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層306は、発光素子を動作させたときに、発光層として機能する第3の層305へ電子を輸送すると共に、第1の電極302側から注入された正孔が第3の層305を突き抜けてもう一方の電極側へ抜けていくことを抑制する機能、および第3の層305において生成された励起エネルギーが第3の層305から他の層へ移動してしまうことを抑制する機能を有する層である。このような機能を有する層は、正孔阻止層、あるいは単に阻止層とも呼ばれる。
次に、第4の層306上に、Alqを用いて第5の層307を蒸着法によって形成した。第5の層307の厚さは20nmとなるようにした。この第5の層307は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第5の層307上に、フッ化カルシウムを用いて第6の層308を蒸着法によって形成した。第6の層308の厚さは1nmとなるようにした。この第6の層308は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第6の層308の上に、アルミニウムを用いて第2の電極309を形成した。第2の電極309の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極302の電位が第2の電極309の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層305において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたIr(Fdppr)(acac)が基底状態に戻るときに発光するものである。なお、本実施例のように、阻止層として機能する層を設けてもよい。これにより、発光層からその他の層への励起エネルギーの移動や、発光層からその他の層へ正孔が突き抜けて行くことを抑制することができ、より効率よく発光する発光素子を得ることができる。
この発光素子を、グローブボックス(封止装置)内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図14〜図16に示す。図14は電流密度−輝度特性について、図15は電圧−輝度特性について、図16は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。なお、図14において横軸は電流密度(mA/cm)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また図15において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図16において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。これらの結果から、本実施例で作製した発光素子は、8.8Vの電圧を印加したときに0.887mA/cmの電流密度で電流が流れ、520cd/mの輝度で発光することが分かった。なお、520cd/mの輝度で発光したときの電流効率は58cd/Aであり、外部量子効率(=フォトンの数/エレクトロンの数)に換算すると17%であった。通常、ガラス基板上に作製した発光素子の外部量子効率の理論限界は20%程度と言われている。このことから、本実施例の発光素子が非常に効率よく発光していることが分かる。このように実施例2のような積層構造を適用することで、本発明の有機金属錯体を効率よく、また色純度良く発光させることができる。また、図16から、本実施例の発光素子は、100〜1000cd/mの高輝度領域において、輝度に対する電流効率の変化が非常に少なく、輝度の増加に伴った電流効率の減少が殆どみられない発光素子であることが分かる。このような現象は、本実施例の発光素子が、高輝度領域においても励起三重項状態の励起寿命等に起因する非発光遷移の増加が起こりにくく、励起と発光の繰り返しを効率良く行うことができるものであるということを表している。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図17に示す。図17において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図17より、本実施例の発光素子は561nmに発光スペクトルのピークを有し、黄色系の発光を呈することが分かった。また、発光スペクトルは、半値幅が60nmと非常にシャープなスペクトル形状であった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.48,0.52)であり、本実施例の発光素子は非常に色純度のよい黄色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例2に記載された方法によって合成されたIr(Fdppr−Me)(acac)を発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。
図18に表すように、ガラス基板401上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極402を形成した。第1の電極402の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極402が形成されたガラス基板401を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極402上に、DNTPDからなる第1の層403を形成した。第1の層403の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層403は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層403の上に、NPBを用いて第2の層404を蒸着法によって形成した。第2の層404の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層404は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層404の上に、CBPとIr(Fdppr−Me)(acac)とを含む第3の層405を共蒸着法によって形成した。第3の層405の厚さは30nmとなるようにし、CBPとIr(Fdppr−Me)(acac)との質量比は1:0.025=CBP:Ir(Fdppr−Me)(acac)となるようにした。これによって、Ir(Fdppr−Me)(acac)はCBPを用いて形成された層に分散されたような状態となる。この第3の層405は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。
次に、第3の層405上に、BCPを用いて第4の層406を蒸着法によって形成した。第4の層406の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層406は、阻止層として機能する。なお、阻止層については実施例2で述べた通りである。
次に、第4の層406上に、Alqを用いて第5の層407を蒸着法によって形成した。第5の層407の厚さは30nmとなるようにした。この第5の層407は、発光素子を動作させたときに、電子輸送層として機能する層である。
次に、第5の層407上に、フッ化カルシウムを用いて第6の層408を蒸着法によって形成した。第6の層408の厚さは1nmとなるようにした。この第6の層408は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第6の層408の上に、アルミニウムを用いて第2の電極409を形成した。第2の電極409の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極402の電位が第2の電極409の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層405において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたIr(Fdppr−Me)(acac)が基底状態に戻るときに発光するものである。
この発光素子を、グローブボックス(封止装置)内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図19〜図21に示す。図19は電流密度−輝度特性について、図20は電圧−輝度特性について、図21は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。なお、図19において横軸は電流密度(mA/cm)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また図20において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図21において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。これらの結果から、本実施例で作製した発光素子は、8.2Vの電圧を印加したときに1.5mA/cmの電流密度で電流が流れ、920cd/mの輝度で発光することが分かった。なお、920cd/mの輝度で発光したときの電流効率は61cd/Aであり、外部量子効率(=フォトンの数/エレクトロンの数)に換算すると18%であった。このことから、本実施例の発光素子が非常に効率よく発光していることが分かる。このように実施例3のような積層構造を適用することで、本発明の有機金属錯体を効率よく、また色純度良く発光させることができる。また、図21から、本実施例の発光素子は、100〜1000cd/mの高輝度領域において、輝度に対する電流効率の変化が非常に少なく、輝度の増加に伴った電流効率の減少が殆どみられない発光素子であることが分かる。このような現象は、本実施例の発光素子が、高輝度領域においても励起三重項状態の励起寿命等に起因する非発光遷移の増加が起こりにくく、励起と発光の繰り返しを効率良く行うことができるものであるということを表している。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図22に示す。図22において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図22より、本実施例の発光素子は557nmに発光スペクトルのピークを有し、黄色系の発光を呈することが分かった。また、発光スペクトルは、半値幅が80nmでありシャープなスペクトル形状であった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.47,0.52)であり、本実施例の発光素子は非常に色純度のよい黄色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例3に記載された方法によって合成されたIr(Fdppr−Me)(bpz)を発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。
図27に表すように、ガラス基板601上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極602を形成した。第1の電極602の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極が形成された面が下方となるように、第1の電極602が形成されたガラス基板601を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、蒸着法によって第1の電極602上に、NPBとモリブデン酸化物とを含む第1の層603を形成した。第1の層603の厚さは50nmとなるようにし、NPBとモリブデン酸化物との質量比は4:1=NPB:モリブデン酸化物となるようにした。第1の層603の厚さは50nmとなるようにした。この第1の層603は、発光素子を動作させたときに正孔注入層として機能する層である。
次に、第1の層603の上に、NPBを用いて第2の層604を蒸着法によって形成した。第2の層604の厚さは10nmとなるようにした。この第2の層604は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層604の上に、CBPとIr(Fdppr−Me)(bpz)とを含む第3の層605を共蒸着法によって形成した。第3の層605の厚さは30nmとなるようにし、CBPとIr(Fdppr−Me)(bpz)との質量比は1:0.05=CBP:Ir(Fdppr−Me)(bpz)となるようにした。これによって、Ir(Fdppr−Me)(bpz)はCBPを用いた層に分散されたような状態となる。この第3の層605は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。
次に、第3の層605上に、BCPを用いて第4の層606を蒸着法によって形成した。第4の層606の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層606は、発光素子を動作させたときに、発光層として機能する第3の層605へ電子を輸送すると共に、第1の電極602側から注入された正孔が第3の層605を突き抜けてもう一方の電極側へ抜けていくことを抑制する機能、および第3の層605において生成された励起エネルギーが第3の層605から他の層へ移動してしまうことを抑制する機能を有する層である。このような機能を有する層は、正孔阻止層、あるいは単に阻止層とも呼ばれる。
次に、第4の層606上に、Alqとリチウム(Li)とを含む第5の層607を蒸着法によって形成した。第5の層607の厚さは20nmとなるようにし、Alqとリチウム(Li)との質量比は1:0.01=Alq:リチウム(Li)となるようにした。この第5の層607は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層607の上に、アルミニウムを用いた第2の電極608を形成した。第2の電極608の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極602の電位が第2の電極608の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層605において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたIr(Fdppr−Me)(bpz)が基底状態に戻るときに発光するものである。なお、本実施例のように、阻止層として機能する層を設けてもよい。これにより、発光層からその他の層への励起エネルギーの移動や、発光層からその他の層へ正孔が突き抜けて行くことを抑制することができ、より効率よく発光する発光素子を得ることができる。
この発光素子を、グローブボックス(封止装置)内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図28〜図31に示す。図28は電流密度−輝度特性について、図29は電圧−輝度特性について、図30は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。なお、図28において横軸は電流密度(mA/cm)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また図29において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図30において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。これらの結果から、本実施例で作製した発光素子は、7.0Vの電圧を印加したときに3.86mA/cmの電流密度で電流が流れ、1210cd/mの輝度で発光することが分かった。なお、1210cd/mの輝度で発光したときの電流効率は31.4cd/Aであり、外部量子効率(=フォトンの数/エレクトロンの数)に換算すると9.34%であった。また、7.78cd/mの輝度で発光させたときに外部量子効率の最大値11.8%を示した。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図31に示す。図31において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図31より、本実施例の発光素子は556nmに発光スペクトルのピークを有し、緑黄色の発光を呈することが分かった。さらに、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.42、0.57)であり、本実施例の発光素子は緑黄色を呈することが分かった。
本実施例では、合成例4で合成されたIr(Fdppr−Me)(pic)を発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例で作製した発光素子は、実施例4で作製した発光素子と同様に電極間に5層の層が設けられた構成となっている為、実施例4の説明に用いた図27を本実施例の説明でも用いる。
図27に表すように、ガラス基板601上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極602を形成した。第1の電極602の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極602が形成されたガラス基板601を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することによって、第1の電極602上にNPBとモリブデン酸化物とを含む第1の層603を形成した。第1の層603の厚さは40nmとなるようにし、共蒸着時におけるNPBと酸化モリブデン(VI)との質量比は4:1=NPB:酸化モリブデン(VI)となるようにした。この第1の層603は、発光素子を動作させたときに正孔発生層として機能する層である。
次に、第1の層603の上に、NPBを蒸着することにより第2の層604を形成した。第2の層604の厚さは20nmとなるようにした。この第2の層604は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層604の上に、CBPとIr(Fdppr−Me)(pic)とを含む第3の層605を共蒸着法によって形成した。第3の層605の厚さは30nmとなるようにし、CBPとIr(Fdppr−Me)(pic)との質量比は1:0.05=CBP:Ir(Fdppr−Me)(pic)となるようにした。これによって、Ir(Fdppr−Me)(pic)はCBPを基質(マトリックス)として含む層に分散されたような状態となる。この第3の層605は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。
次に、第3の層605上に、BCPを蒸着することにより第4の層606を形成した。第4の層606の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層606は、発光素子を動作させたときに、発光層として機能する第3の層605へ電子を輸送すると共に、第1の電極602側から注入された正孔が第3の層605を突き抜けてもう一方の電極側へ抜けていくことを抑制する機能、および第3の層605において生成された励起エネルギーが第3の層605から他の層へ移動してしまうことを抑制する機能を有する層である。このような機能を有する層は、正孔阻止層、あるいは単に阻止層とも呼ばれる。
次に、第4の層606上に、Alqとリチウム(Li)とを含む第5の層607を共蒸着法によって形成した。第5の層607の厚さは20nmとなるようにし、Alqとリチウム(Li)との質量比は1:0.01=Alq:リチウム(Li)となるようにした。この第5の層607は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層607の上に、アルミニウムを用いた第2の電極608を形成した。第2の電極608の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極602の電位が第2の電極608の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層605において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたIr(Fdppr−Me)(pic)が基底状態に戻るときに発光するものである。なお、本実施例のように、阻止層として機能する層を設けてもよい。これにより、発光層からその他の層への励起エネルギーの移動や、発光層からその他の層へ正孔が突き抜けて行くことを抑制することができ、より効率よく発光する発光素子を得ることができる。
この発光素子を、封止装置内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図34〜図36に示す。図34は電流密度−輝度特性について、図35は電圧−輝度特性について、図36は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。なお、図34において横軸は電流密度(mA/cm)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また図35において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図36において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。これらの結果から、本実施例で作製した発光素子は、6.6Vの電圧を印加したときに1.80mA/cmの電流密度で電流が流れ、1030cd/mの輝度で発光することが分かった。なお、1030cd/mの輝度で発光したときの電流効率は57.0cd/Aであり、外部量子効率(=フォトンの数/エレクトロンの数)に換算すると16.8%であった。また、604cd/mの輝度で発光させたときに外部量子効率の最大値16.9%を示した。また、図36から、本実施例の発光素子は、100〜1000cd/mの高輝度領域において、輝度に対する電流効率の変化が非常に少なく、輝度の増加に伴った電流効率の減少が殆どみられない発光素子であることが分かる。このような現象は、本実施例の発光素子が、高輝度領域においても励起三重項状態の励起寿命等に起因する非発光遷移の増加が起こりにくく、励起と発光の繰り返しを効率良く行うことができるものであるということを表している。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図37に示す。図37において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図37より、本実施例の発光素子は556nmに発光スペクトルのピークを有し、緑黄色の発光を呈することが分かった。また、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.45、0.55)であった。
本実施例では、合成例5で合成されたIr(Fdppr−iPr)(pic)を発光物質として用いた発光素子の作製方法およびその発光素子の動作特性について説明する。なお、本実施例で作製した発光素子は、実施例4で作製した発光素子と同様に電極間に5層の層が設けられた構成となっている為、実施例4の説明に用いた図27を本実施例の説明でも用いる。
図27に表すように、ガラス基板601上に、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物をスパッタリング法によって成膜し、第1の電極602を形成した。第1の電極602の厚さは110nmとなるようにした。なお、電極は、2mm×2mmの大きさを有する正方形の形状となるように形成した。
次に、第1の電極602が形成されたガラス基板601を真空蒸着装置内に設けられたホルダーに固定した。
次に、真空装置内を排気し、1×10−4Paとなるように減圧した後、NPBと酸化モリブデン(VI)とを共蒸着することによって、第1の電極602上にNPBとモリブデン酸化物とを含む第1の層603を形成した。第1の層603の厚さは40nmとなるようにし、共蒸着時におけるNPBと酸化モリブデン(VI)との質量比は4:1=NPB:酸化モリブデン(VI)となるようにした。この第1の層603は、発光素子を動作させたときに正孔発生層として機能する層である。
次に、第1の層603の上に、NPBを蒸着することにより第2の層604を形成した。第2の層604の厚さは20nmとなるようにした。この第2の層604は、発光素子を動作させたときに正孔輸送層として機能する層である。
次に、第2の層604の上に、CBPとIr(Fdppr−iPr)(pic)とを含む第3の層605を共蒸着法によって形成した。第3の層605の厚さは30nmとなるようにし、CBPとIr(Fdppr−iPr)(pic)との質量比は1:0.01=CBP:Ir(Fdppr−iPr)(pic)となるようにした。これによって、Ir(Fdppr−iPr)(pic)はCBPを用いた層に分散されたような状態となる。この第3の層605は、発光素子を動作させたときに発光層として機能する層である。
次に、第3の層605上に、TAZを蒸着することにより第4の層606を形成した。第4の層606の厚さは20nmとなるようにした。この第4の層606は、発光素子を動作させたときに、発光層として機能する第3の層605へ電子を輸送すると共に、第1の電極602側から注入された正孔が第3の層605を突き抜けてもう一方の電極側へ抜けていくことを抑制する機能、および第3の層605において生成された励起エネルギーが第3の層605から他の層へ移動してしまうことを抑制する機能を有する層である。このような機能を有する層は、正孔阻止層、あるいは単に阻止層とも呼ばれる。
次に、第4の層606上に、TAZとリチウム(Li)とを含む第5の層607を共蒸着法によって形成した。第5の層607の厚さは30nmとなるようにし、TAZとリチウム(Li)との質量比は1:0.01=TAZ:リチウム(Li)となるようにした。この第5の層607は、発光素子を動作させたときに、電子注入層として機能する層である。
次に、第5の層607の上に、アルミニウムを用いた第2の電極608を形成した。第2の電極608の厚さは200nmとなるようにした。
以上のようにして作製した発光素子は、第1の電極602の電位が第2の電極608の電位よりも高くなるように電圧を印加したときに電流が流れ、発光層として機能する第3の層605において電子と正孔とが再結合して励起エネルギーが生成され、励起されたIr(Fdppr−iPr)(pic)が基底状態に戻るときに発光するものである。なお、本実施例のように、阻止層として機能する層を設けてもよい。これにより、発光層からその他の層への励起エネルギーの移動や、発光層からその他の層へ正孔が突き抜けて行くことを抑制することができ、より効率よく発光する発光素子を得ることができる。
この発光素子を、封止装置内において、窒素雰囲気下で、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。
測定結果を図38〜図40に示す。図38は電流密度−輝度特性について、図39は電圧−輝度特性について、図40は、輝度−電流効率特性について、それぞれ調べた結果である。なお、図38において横軸は電流密度(mA/cm)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また図39において横軸は電圧(V)、縦軸は輝度(cd/m)を表す。また、図40において横軸は輝度(cd/m)、縦軸は電流効率(cd/A)を表す。これらの結果から、本実施例で作製した発光素子は、7.2Vの電圧を印加したときに1.65mA/cmの電流密度で電流が流れ、959cd/mの輝度で発光することが分かった。なお、959cd/mの輝度で発光したときの電流効率は58.1cd/Aであり、外部量子効率(=フォトンの数/エレクトロンの数)に換算すると17.6%であった。また、81.5cd/mの輝度で発光させたときに外部量子効率の最大値18.7%を示した。
また、本実施例で作製した発光素子の発光スペクトルを図41(A)に示す。図41(A)において横軸は波長(nm)、縦軸は強度(任意単位)を表す。図41(A)より、本実施例の発光素子は545nmに発光スペクトルのピークを有し、緑黄色の発光を呈することが分かった。また、CIE表色系における色度座標は(x,y)=(0.43、0.55)であった。
本実施例では、第3の層605におけるCBPとIr(Fdppr−iPr)(pic)の質量比が、実施例6で作製した発光素子(以後、発光素子(6)と称する)と異なる二つの発光素子(発光素子(7−1)、発光素子(7−2)を作製し、発光層に含まれるIr(Fdppr−iPr)(pic)の濃度と発光効率との関係について調べた。
なお、発光素子(7−1)、(7−2)は、CBPとIr(Fdppr−iPr)(pic)の質量比が実施例6で作製した発光素子と異なるが、その他の点については実施例6の発光素子と同様である。従って、発光素子(7−1)、(7−2)の作製方法については実施例6の記載を引用すればよい。
発光素子(7−1)、(7−2)及び発光素子(6)におけるCBPとIr(Fdppr−iPr)(pic)の質量比を表1に示す。
Figure 0004912704
これらの発光素子を、窒素雰囲気の封止装置内において、発光素子が大気に曝されないように封止する作業を行った後、発光素子の動作特性について測定した。なお、測定は室温(25℃に保たれた雰囲気)で行った。測定結果は、実施例6のデータと共に図38〜40、41(B)、41(C)に示した。なお、図41(B)は発光素子(7−1)の発光スペクトルであり、図41(C)は発光素子(7−2)の発光スペクトルである。
発光素子(7−1)、(7−2)及び発光素子(6)を発光させ、1000cd/mの輝度で発光させたときの各々の発光素子の発光効率を調べ、第3の層605に含まれる(つまり発光層に含まれる)Ir(Fdppr−iPr)(pic)の濃度(横軸)に対し、発光効率(縦軸)を図42にプロットした。
図42から、およそ5質量%もの高い濃度でIr(Fdppr−iPr)(pic)が含まれている場合であってもIr(Fdppr−iPr)(pic)を発光物質として用いている発光素子は約50cd/Aの発光効率で発光しており、Ir(Fdppr−iPr)(pic)の濃度の高濃度化に伴った発光効率の低下が非常に少ないことが分かった。その結果、Ir(Fdppr−iPr)(pic)のように、本発明の有機金属錯体のなかでも特にピラジン骨格の5位にイソプロピル基が導入されているという特徴を有する有機金属錯体は、濃度消光(濃度消光とは、発光層に含まれる発光物質(ゲストとも呼ばれる)の濃度が高くなるに伴って発光効率が低下する現象である。)を引き起こし難いという効果を奏することが分かった。
本発明の発光装置の一態様について説明する図。 本発明を適用した発光装置について説明する図。 本発明を適用した発光装置に含まれる回路について説明する図。 本発明を適用した発光装置の上面図。 本発明を適用した発光装置のフレーム動作について説明する図。 本発明を適用した発光装置の断面図。 本発明を適用した発光装置について説明する図。 本発明を適用した電子機器の図。 合成例1で合成した本発明の有機金属錯体のH−NMRを表す図。 合成例1で合成した本発明の有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを表す図。 合成例2で合成した本発明の有機金属錯体のH−NMRを表す図。 合成例2で合成した本発明の有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを表す図。 合成例1で合成した有機金属錯体を含む発光素子の作製方法について説明する図。 実施例2の発光装置の電流密度−輝度特性を表す図。 実施例2の発光装置を動作させたときの電圧−輝度特性を表す図。 実施例2の発光装置を動作させたときの輝度−電流効率特性を表す図。 実施例2の発光装置を動作させたときに得られた発光スペクトルを表す図。 合成例2で合成した有機金属錯体を含む発光素子の作製方法について説明する図。 実施例3の発光装置の電流密度−輝度特性を表す図。 実施例3の発光装置を動作させたときの電圧−輝度特性を表す図。 実施例3の発光装置を動作させたときの輝度−電流効率特性を表す図。 実施例3の発光装置を動作させたときに得られた発光スペクトルを表す図。 合成例3で合成した本発明の有機金属錯体のH−NMRを表す図。 合成例3で合成した本発明の有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを表す図。 合成例4で合成した有機金属錯体のH−NMRを表す図。 合成例4で合成した有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを表す図。 実施例4〜7の発光素子の作製方法について説明する図。 実施例4の発光装置の電流密度−輝度特性を表す図。 実施例4の発光装置を動作させたときの電圧−輝度特性を表す図。 実施例4の発光装置を動作させたときの輝度−電流効率特性を表す図。 実施例4の発光装置を動作させたときに得られた発光スペクトルを表す図。 合成例5で合成した有機金属錯体のH−NMRを表す図。 合成例5で合成した有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを表す図。 実施例5の発光装置の電流密度−輝度特性を表す図。 実施例5の発光装置を動作させたときの電圧−輝度特性を表す図。 実施例5の発光装置を動作させたときの輝度−電流効率特性を表す図。 実施例5の発光装置を動作させたときに得られた発光スペクトルを表す図。 実施例6、7の発光装置の電流密度−輝度特性を表す図。 実施例6、7の発光装置を動作させたときの電圧−輝度特性を表す図。 実施例6、7の発光装置を動作させたときの輝度−電流効率特性を表す図。 実施例6、7の発光装置を動作させたときに得られた発光スペクトルを表す図。 Ir(Fdppr−iPr)(pic)の濃度と発光効率の関係を表す図。 合成例6で合成した有機金属錯体のH−NMRを表す図。 合成例6で合成した有機金属錯体の吸収スペクトルおよび発光スペクトルを表す図。
符号の説明
10 基板
11 トランジスタ
12 発光素子
13 第1の電極
14 第2の電極
15 層
16 層間絶縁膜
17 配線
18 隔壁層
19 層間絶縁膜
151 第1の電極
152 第2の電極
161 正孔注入層
162 正孔輸送層
163 発光層
164 電子輸送層
165 電子注入層
301 ガラス基板
302 第1の電極
303 第1の層
304 第2の層
305 第3の層
306 第4の層
307 第5の層
308 第6の層
309 第2の電極
401 ガラス基板
402 第1の電極
403 第1の層
404 第2の層
405 第3の層
406 第4の層
407 第5の層
408 第6の層
409 第2の電極
501 サブフレーム
502 サブフレーム
503 サブフレーム
504 サブフレーム
601 ガラス基板
602 第1の電極
603 第1の層
604 第2の層
605 第3の層
606 第4の層
607 第5の層
608 第2の電極
901 トランジスタ
902 トランジスタ
903 発光素子
911 ゲート信号線
912 ソース信号線
913 書込用ゲート信号線駆動回路
914 消去用ゲート信号線駆動回路
915 ソース信号線駆動回路
916 電源
917 電流供給線
918 スイッチ
919 スイッチ
920 スイッチ
1001 トランジスタ
1002 トランジスタ
1003 ゲート信号線
1004 ソース信号線
1005 電流供給線
1006 電極
1901 基板
1902 電極
1904 隔壁層
1905 発光層
1906 電極
1907 基板
501a 書き込み期間
501b 保持期間
502a 書き込み期間
502b 保持期間
503a 書き込み期間
503b 保持期間
504a 書き込み期間
504b 保持期間
504c 消去期間
504d 非発光期間
5521 本体
5522 筐体
5523 表示部
5524 キーボード
5531 表示部
5532 筐体
5533 スピーカー
5551 表示部
5552 本体
5553 アンテナ
5554 音声出力部
5555 音声入力部
5556 操作スイッチ
6500 基板
6503 FPC
6504 プリント配線基盤(PWB)
6511 画素部
6512 ソース信号線駆動回路
6513 書込用ゲート信号線駆動回路
6514 消去用ゲート信号線駆動回路

Claims (7)

  1. 一般式(2)で表される有機金属錯体。
    Figure 0004912704

    (式中、R、Rは、それぞれ、ハロゲン基、−CF基、シアノ基、アルコキシカルボニル基のいずれかを表す。また、R、Rは、それぞれ、水素または炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを表す。また、Mは第9族元素または第10族元素を表す。nは、Mが第9族元素であるときn=2であり、Mが第10族元素であるときn=1である。また、Lはモノアニオン性の配位子を表す。)
  2. 前記モノアニオン性の配位子は構造式(1)〜構造式(7)のいずれかで表される配位子であることを特徴とする請求項4に記載の有機金属錯体。
    Figure 0004912704
  3. 前記R、Rは、それぞれ、フルオロ基または−CF基であることを特徴とする請求項または請求項に記載の有機金属錯体。
  4. 前記R、Rは、それぞれ、メチル基またはイソプロピル基であることを特徴とする請求項乃至請求項のいずれか一項に記載の有機金属錯体。
  5. 請求項1乃至請求項のいずれか一項に記載の有機金属錯体を含む層を、一対の電極間に有することを特徴とする発光素子。
  6. 請求項に記載の発光素子を含む発光装置。
  7. 請求項に記載の発光装置を含む電子機器。
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