JP5379579B2 - 固形粉末成型体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固形粉末成型体の製造方法に関する。
固形粉末成型体の中で、例えば固形粉末化粧料に意匠性を付与して高級感等を高める目的で、その表面を立体形状にする技術が知られている。例えば特許文献1には、固形粉末化粧料の表面をドーム状、半球状、円錐状、角錐状、ダイヤカット状等の多種多様な立体形状に成型するための方法が提案されている。また、表面に花弁状の凸部を有する固形粉末化粧料も提案されている(特許文献2参照)。
上述した形状を有する固形粉末化粧料の製造において、立体性の高い凸部の形状を油圧や電動サーボプレスなどの高圧力で成型しようとすると、凸部内のエア抜けが悪いため凸部の密度が低くなって強度が不足する傾向にある。強度を上げようとしてプレス圧を高くすると、成型体のスプリングバック現象によって成型体にひびや割れが発生してしまう。これらの現象は凸型形状だけではなく、成型体の縦断面が三角形や半円形の場合でも同様である。このため、凸部の高さや形状を自由にデザインすることができず、意匠性の高い立体形状の固形粉末化粧料を製造することは容易ではなかった。
固形粉末化粧料の製造において、上述した油圧や電動サーボプレスの装置を用いる場合に、超音波を併用することが提案されている(特許文献3及び4参照)。特に、特許文献4に記載の方法では、粒径5〜500μmの熱可塑性材料を5〜80重量%含有する粉体の混合物を、加圧室の底に置きピストンで加圧する際に、一方向から超音波力を加えている。これらの方法によれば、従来の高圧プレス成型に比べ、低圧での圧縮成型が可能になるとされている。また、断面が凸型の形状であってもよいとされているが、全体にわたって均一な硬度を有するとともに、使用時の粉の取れ性に優れたものを得ることは容易ではない。
特開平5−201829号公報 特開2001−213721号公報 特開昭63−275511号公報 特開平5−70325号公報
本発明は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る固形粉末成型体の製造方法を提供するものである。
本発明は、15質量%以下の液状成分を含む原料粉末を杵によって加圧成型する工程を含む固形粉末成型体の製造方法であって、
杵を用いた加圧成型によって上昇した粉体原料の密度が、タッピング固め密度に相当する密度となった時点から、加圧荷重が設定値の50%となるまでの間に、該杵による該粉体原料への超音波振動の印加を開始する固形粉末成型体の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、立体性の高い凸部を有する固形粉末成型体や厚みのある固形粉末成型体であっても、その全体にわたって均一な圧密化を行うことができ、均一かつ高硬度の固形粉末成型体を得ることができる。
図1は、本発明の製造方法を実施するために用いられる好ましい装置を示す模式図である。 図2は、図1示す装置を用いた固形粉末成型体の製造工程を示す図である。 図3は、本発明の製造方法に従い得られた固形粉末成型体の一例を示す斜視図である。 図4(a)は、図3に示す固形粉末成型体の平面図であり、図4(b)及び(c)は図4(a)におけるb−b線断面図及びc−c線断面図である。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の製造方法を実施するために用いられる好ましい装置の模式図が示されている。装置10は枠体11を備えている。枠体11の高さ方向の中央部には、打錠テーブル12が水平方向に取り付けられている。打錠テーブル12の中央部には貫通孔が設けられており、その貫通孔に成型用の金型13が嵌合されている。金型13はその上下が開口した筒状の形状をしており、筒状の内部がキャビティを構成する。金型13はその上部に側方へ張り出すフランジ13aを有している。フランジ13aは打錠テーブル12へボルト締め(図示せず)されている。
金型13のキャビティの上下の位置には超音波振動素子14a,14bが配されている。各素子14a,14bはエアシリンダ15a,15bによって支持されている。上部エアシリンダ15aは、枠体11の天板11aに取り付けられ、それから垂下している。一方、下部エアシリンダ15bは、枠体11の底板11b上に取り付けられている。これによって、各超音波振動素子14a,14bはそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。なお、超音波振動素子の移動手段はエアシリンダに限定されず、他に油圧シリンダや、電動モータを用いたボールネジプレス等の機器を用いても良い。
各超音波振動素子14a,14bの先端にはホーン16a,16bが取り付けられている。各ホーン16a,16bの先端は成型用の金型13のキャビティと同一形状をなしている。これら三者は同一軸線上に位置している。各ホーン16a,16bは、粉体原料の混合物を圧縮成型する際に、該混合物に超音波振動を与える役割、及び該混合物を圧縮するための成型用杵としての役割を有している。したがって以下の説明では、これらのホーンをそれぞれ上杵16a、下杵16bと呼ぶことにする。
以上の構造を有する装置10を用いた固形粉末成型物の製造方法を、図2(a)ないし(c)を参照しながら説明すると、先ず図2(a)に示すように、下部エアシリンダ15bを動作させ、金型13のキャビティ内に予め挿入されている下杵16bを、粉体原料を充填するためにキャビティ内で下降させる。また上部エアシリンダ15aを動作させ、上杵16aを上昇させて打錠テーブル12上の空間に待避させる。これによって、金型13にはそのキャビティと下杵16bとで画成される凹部が形成される。この凹部に、粉体原料の混合物(以下、粉末混合物という)20を充填する。
なお、容器(例えば浅底の皿状の容器)内に原料粉末を充填して成型を行ってもよく、その場合には下杵16bを金型内で下降させる前に下杵16bの上に容器(図示せず)を載せ、その後に下杵16bを降下させる。あるいは下杵16bを降下させた後に容器(図示せず)を金型内の下杵16b上に置く。その後、容器内に粉末混合物20を充填して圧縮成型する工程は、容器を用いない場合と同様である。
粉末混合物20は、各種の粉体及び後述する液状成分、溶融可能な成分並びに必要に応じて配合される油性成分等の各種成分を含み、これらの成分が混合されたものからなる。
次に、エアシリンダ15aを動作させて、上杵16aを降下させ、粉末混合物20が充填されている前記の凹部内へ上杵16aを挿入する。これによって図2(b)に示すように粉末混合物20の圧縮成型を行う。本製造方法では、粉末混合物20を挟んで相対向してそれぞれ配された上下の杵16a,16bによって超音波振動を与えつつ圧縮成型を行う。詳細には、超音波振動は、上下の杵16a,16bを用いた加圧成型によって上昇した粉末混合物20の密度が、タッピング固め密度に相当する密度となった時点から、加圧荷重が設定値の50%となるまでの間に印加を開始する。
前記のタッピング固め密度は、ゆるみ見かけ密度の状態からタッピングすることにより、脱気され、粒子が再配列し、粉体がより密に充填されたときの見掛け密度である。ゆるみ見かけ密度とは粉体を自然落下させた状態の充填密度で、多量に空気を含んだ粉粒体の見掛け密度である。例えば23cmの高さから、粉体を自然落下させた状態の充填密度を、ゆるみ見かけ密度とすることができる。またタッピングとは、粉体を充填した容器を一定の高さから繰り返し落下させて容器の底部に軽い衝撃を与え、粉体を密充填にする操作をいう。
タッピング固め密度は、市販の装置によって測定することができ、例えばホソカワミクロン製のパウダテスタPT−Sを用いて測定することができる。パウダテスタPT−Sを用い、タッピングストローク18mm、速度50回/分、回数180回の条件でタッピングしたときの密度をタッピングめ密度とする。
粉体がタッピング固め密度以上の密度である場合、粒子が密な状態となっているので、この後に超音波振動の印加を開始することで、超音波振動が効率よく粉末混合物20の内部にまで伝達される。また、加圧荷重が設定値の50%以下であれば、粉末混合物20に大きなプレス荷重が加わっておらず、粉末混合物20中の粒子はまだ自由に振動できる状態にあるので、粒子の再配置及び粒子間の圧密が非常にスムーズに効率よく進行する。その結果、粉末混合物20をその全体にわたって均一に成型できる。また、粒子の再配置及び圧密が進行することによって成型体自体の硬度も向上する。
これに対して、超音波振動を印加したとしても、その開始のタイミングが、設定荷重の50%超に相当する荷重を超えた場合には、粉末混合物20は圧縮されて密な状態となっているので、構成粒子の自由な振動が制限され、表面及びその近傍に位置する粒子のみが圧縮及び再配置されやすく、得られる固形粉末成型体の圧縮方向における硬度が均一になりにくい。
逆に、粉末混合物20の密度がタッピング固め密度に相当する密度となる前から超音波を印加しても、未だ空隙が多く粒子の接触が少ないので、振動が内部まで効率よく伝わりにくく、圧縮方向で硬度が不均一になりやすいなどの不都合が生じ、安定した成型が行いにくい。また、粉末混合物が振動によって液状化して噴出・飛散する恐れもある。
上述したタッピング固め密度の測定方法から明らかなように、タッピング固め密度は、実際に成型を行いながらその場で測定することはできない。そこで、本製造方法においては、成型の操作とは別に粉末混合物20のタッピング固め密度を測定しておく。また、装置10における凹部に粉末混合物20を充填して、上杵16aの挿入量と粉末混合物20の密度との関係を別途調べておく。更に、装置10に光電センサ17を取り付けるとともに、上杵16aの該センサ17の遮光板18を取り付ける。光電センサ17及び遮光板18の取り付け位置は、超音波の照射を開始すべき密度に上杵16aの挿入量が達したときに、遮光板18が光学センサ17を遮るような位置関係としておく。そして、遮光板18が光学センサ17を遮ることをトリガとして、超音波振動の印加を開始する。あるいは、粉末混合物20の厚みがタッピング固め密度に相当する厚みになったときのプレス荷重から、超音波振動印加の開始タイミングを決定し、それに基づいて光学センサ17及び遮光板18の位置を決めてもよい。なお、杵の位置を検知できるセンサであればどのようなものを使ってもよく、光電センサ以外にも、機械式、渦電流式、静電容量式、超音波式スイッチや、レーザーを用いた変位計などを用いることができる。
超音波振動の印加は、上杵16a及び下杵16bのうちのいずれか一方のみでもよいが、双方の杵によって超音波振動の照射を行う方が、粉末混合物20の均一な圧密化を達成し得る点から好ましい。超音波振動の印加によって、摩擦熱が発生する。粉末混合物20中に前記の溶融可能な成分が含まれている場合には、該溶融可能な成分が溶融し、粒子同士を結合する。なお、上杵16a及び下杵16bによる超音波振動の方向は、上杵16a及び下杵16bによる粉末混合物20の圧縮方向(加圧方向)と一致している。
上述のとおり、超音波振動の印加の開始時期は、粉末混合物20の密度が、タッピング固め密度に相当する密度となった時点から、加圧荷重が設定値の50%となるまでの間とし、好ましくは粉末混合物20の密度が、タッピング固め密度に相当する密度となった時点から、加圧荷重が設定値の40%となるまでの間とする。
粉末混合物20への超音波振動の印加は、所定の時間にわたって連続して行うことができる。又はパルス的にオンオフを繰り返して超音波振動を印加してもよい。超音波振動の印加の終了時期は、加圧(圧縮)による粉末混合物20への荷重が一定値に達した時点、すなわち粉末混合物20に加わる荷重が設定値に達した時点とすることが好ましい。粉末混合物20に加わる荷重が一定値に達した後も超音波振動の照射を継続すると成型物の表面のみが、中心域に比べて硬くなり、硬度に不均一が生じることがある。
杵16a,16bによる圧縮の荷重の設定値は、粉末混合物20の成分やその配合量、及び目的とする固形粉末成型体の具体的な用途等に応じ適切に設定することができる。一般に、荷重を0.3〜3MPa、特に0.3〜2MPaに設定することによって、満足すべき特性を有する固形粉末成型体を得ることができる。
粉末混合物20に加える超音波振動の条件は、粉末混合物20の成分やその配合量、及び目的とする固形粉末成型体の具体的な用途等に応じて適宜調整が可能である。一般に、超音波振動の周波数を10〜40kHz、特に15〜25kHzとすることで、媒質である粉末混合物20内での超音波の減衰の程度が小さくなり、粉末混合物20の深部にまで振動が伝達される。
超音波振動の振幅も、粉末混合物20の成分やその配合量、及び目的とする固形粉末成型体の具体的な用途等に応じて適宜調整が可能である。一般に振幅の程度を、5〜100μm、特に10〜50μmに設定することが好ましい。この範囲の振幅とすることで、粉体の振動が十分に大きくなり、それに起因して十分な摩擦熱が発生する。その結果、短時間での成型が可能になる。
超音波振動の照射時間は短時間でも十分なことが本発明者らの検討の結果判明した。この理由は、粉末混合物20を上杵16a及び下杵16bによって挟んで上下から超音波振動を与えることに起因している。照射時間は、好ましくは0.1〜5秒、更に好ましくは0.2〜2.0秒である。粉末混合物20の成分(例えば後述する高分子化合物、糖アルコール類、エステル類又はワックス類等)や、固形粉末成型体の厚み(圧縮方向の長さ)にもよるが、余りに長時間照射すると、表面が高温になることに起因して、原料の劣化、前記のワックス等の溶融固化が進むことに起因する固形粉末成型体の過剰硬度(例えば固形粉末成型体を化粧料として用いる場合、使用時に粉が取りづらい)、杵への付着増加、色焼け等が発生する場合がある。
上杵16a及び下杵16bによる圧縮は、超音波振動の印加を終了した後も引き続き行う。そして所定時間の圧縮が完了したら、図2(c)に示すように上部エアシリンダ15aを動作させ、上杵16aを上昇させて打錠テーブル12上の空間に待避させる。また下部エアシリンダ15bを動作させ、下杵16bも上昇させる。これによって金型13の筒状開口部から目的物である固形粉末成型体21を取り出す。
粉末混合物20は液状成分を含む。ここで液状成分には、例えば水、及び低級アルコール等の水溶性有機溶剤などの水性成分、並びに室温で液体である油性成分が包含される。液状成分は、固形粉末成型体21を例えば化粧料として用いる場合に、塗布具へのとれや肌へのつき、しっとり感等を向上させ、かつ輸送中や落下時などの耐衝撃性、保型性を向上させる目的で粉末混合物20に配合される。この観点から粉末混合物20中の液状成分の含有量は0.5質量%以上であることが好ましい。一方、液状成分の含有量の上限は15質量%以下とする。液状成分が15質量%超である原料粉末を用いた場合には液架橋力が高くなり、超音波による流動化の効果が得られにくくなってしまう。液状成分の好ましい含有量は0.5〜10質量%である。
粉末混合物20に含まれる粉体原料としては、固形粉末成型体21の具体的な用途に応じ適切なものが選択される。固形粉末成型体21を例えば固形粉末化粧料として用いる場合には、粉体原料としてタルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等の着色顔料、パール顔料などの光輝顔料などを用いることができる。粉末混合物20に含まれる粉体の割合は、好ましくは75〜98質量%、更に好ましくは85〜98質量%とする。
粉末混合物20に含まれる粉体の粒径は、固形粉末成型体21の具体的な用途に応じ、適宜選択できる。粉体は1種又は2種以上を用いることができるところ、粉体全体の体積平均粒子径が0.1〜200μm、特に1〜100μmの範囲であることが好ましい。また、粉体全体の体積平均粒子径がこの範囲内であることを条件として、各粉体の体積平均粒子径もこの範囲内であることが好ましい。平均粒子径は、レーザー回折粒子径測定装置(LA−920、ホリバ製作所)を用いて粉体をエタノールに分散させて測定したメジアン径の値である。
本製造方法のもたらす利点を顕著なものとするため、粉末混合物20中に超音波振動による摩擦熱で溶融可能な成分を含有させておくことが好ましい。これによって、立体性の高い凸部を有する固形粉末成型体であっても、その全体にわたって硬度を均一でかつ高くすることが容易となる。また、固形粉末成型体を化粧料として用いる場合には、使用時の取れ性を優れたものとすることができる。そのような成分として好ましく用いられるものとしては、融点が40〜150℃である固体の成分が挙げられる。その具体例としては、高分子化合物、糖アルコール類、エステル類及びワックス類等が挙げられる。これらの成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記の溶融可能な成分のうち、高分子化合物としては、例えばポリエチレングリコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチル化澱粉等が挙げられる。糖アルコール類としては、例えばキシリトール、エリスリトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、マルトース、トレハロース等が挙げられる。エステル類としては、例えばグリセリン脂肪酸エステル、シュガーエステル等が挙げられる。ワックス類としては、例えばミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ等の植物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物性ワックス;ポリエチレンワックス、硬化ひまし油、水素添加ホホバ油、ステアリン酸アミド、シリコンワックス等の合成ワックス等が挙げられる。
前記の溶融可能な成分は、粉末混合物中に好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%含有させる。これによって、本製造方法のもたらす利点が顕著なものとなる。詳細には、この成分の割合を前記の範囲内とすることで、該成分が過度に溶融して凝集物を作り、使用感が悪くなったり、硬度上昇に起因して使用時に取れ量が減少したりすることを防止しつつ、該成分を配合したことによる効果を十分に発揮させることができる。
粉末混合物20は粉体成分以外の成分を含んでいてもよい。そのような成分としては、例えば固形粉末成型物21を固形粉末化粧料として用いる場合には、通常の化粧料に用いられる成分、例えば界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、殺菌剤、消炎剤、皮膚賦活剤等が挙げられる。
以上の製造方法に従い得られた固形粉末成型物21は、例えばファンデーション、アイシャドウ、アイブロウ、固形白粉、チーク等の固形粉末圧縮化粧料として用いることができる。化粧料以外の用途としては、樹脂、セラミックス等があるが、本発明の製造方法は、これらの固形粉末成型物の成型に限定されない。
本製造方法に従い得られた固形粉末成型体21は、任意の形状であっても均一かつ高い硬度の成体が得られる。例えば、厚みのある成体や立体性の高い凸部を有する場合であっても、全体にわたって均一でかつ高い硬度を有するものである。したがって、該成型体21を例えば固形粉末化粧料として用いた場合には、該化粧料は使用時の粉の取れ性に優れたものとなる。
図3及び図4(a)ないし(c)には、本製造方法に従い製造された固形粉末成型体としての固形粉末化粧料1が示されている。図3及び図4(a)に示すように、化粧料1は、平面視して、角が丸みを帯びた矩形状をしている。この矩形は、図4(a)に示すように長辺L1と短辺L2とからなる。図4(b)及び図4(c)に示すように、化粧料1は、上面1aと、これに対向する下面1bとを有している。下面1bは平坦な水平面をなしている。一方、上面1aは、その周縁部に位置する平坦な水平面からなる基面部2と、基面部2と滑らかに連なる三次元状の立体面部3を有している。立体面部3は、斜面部3a及び下面1bと平行な天面部3bとを有している。そして、基面部2よりも上方の部位が立体形状の凸状部4となっている。
凸状部4は、図4(b)に示すようにb−b線断面でみると台形をなしている。また、図4(c)に示すようにc−c線断面でみても台形をなしている。そして、このような形状の凸状部4を有する化粧料1は、その全体としてみると、略扁平な形状をしている。
上述したとおり、化粧料1は、凸状部4の立体性が高いものである。凸状部4の立体性の尺度として、本実施形態においてはH1/D1を採用している。ここでH1は、上面1aの基準面である基面部2から凸状部4の最高位置までの高さで定義される。D1は、凸状部4の最高位置を通り、かつ化粧料1の平面視において化粧料1の横断長が最小となるように引かれた直線における該横断長で定義される。化粧料1は平面視において矩形をしているので、D1は矩形の短辺であるL2と一致する。
凸状部4に同じ高さの最高位置が2箇所以上存在するときは、D1の値が最も小さくなる位置を最高位置と定義する。また、凸状部4の形状によっては、化粧料1全体が凸状部4を構成し、水平な平坦部が存在しない場合がある。このような場合における基面部は凸状部4の最低位置と定義し、そこから最高位置までの高さをH1とする。
本製造方法に従えば、化粧料1における凸状部4の立体性の尺度である上述のH1/D1を0.05〜0.4の範囲、好ましくは0.1〜0.3の範囲に設定することができる。H1/D1の値をこの範囲に設定することで、化粧料1に十分な立体感を付与することができ、意匠性の高い化粧料となすことができる。
H1及びD1それぞれの値それ自体は、化粧料1の具体的な用途に応じ、次のとおりであることが好ましい。化粧料1が例えばアイシャドウである場合、H1に関しては、この範囲を0.5〜5mm、特に1〜3mmとすることができる。D1に関しては、一般的に5〜30mmが用いられる。同様の観点から、化粧料1が例えばファンデーションである場合、H1に関しては、この範囲を1〜5mm、特に2〜5mmとすることでき、D1に関しては、一般的に30〜60mmが用いられる。なお、化粧料1の下面1bから基面部2までの高さH2は臨界的でなく、化粧料1の具体的な用途等に応じ適切に設定できる。
H1/D1の値が上述の範囲に設定されている化粧料は、これを従来の圧縮成型によって製造する場合、その立体形状に起因して、一般に平面視における各部位の加圧力を均一にすることが容易でないが、本製造方法に従えば、化粧料1の各部位における硬さを均一にすることが可能である。硬さの均一性に関する尺度として、マイクロゴム硬度計MD−1(高分子計器(株)製、触針φ0.16mm、長さ0.5mm)で測定された硬度(以下、「マイクロゴム硬度」と言う。)を採用した場合、化粧料1の高さ方向の硬度差を好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下とすることができる。化粧料1の高さ方向の硬度差は、化粧料1の上面1aでの硬度A1、及び化粧料1をその上面1aから下面1b側に向けて最低3等分となるように簡易フライス盤等(例えばローランド製MDX−40)で、下層を破壊及び圧密しないように底面と平行に順次削り取っていったときの、各層でのマイクロゴム硬度A2、A3、・・・、Anを測定し、測定されたマイクロゴム硬度の最大値AMaxと最小値AMinとの差を、最小値AMinで除して100を乗じた値、すなわち〔(AMax−AMin)/AMin〕×100で定義される。なお、各層のマイクロゴム硬度は数点測定してその平均値を用いても良い。
マイクロゴム硬度の測定においては、各層において、同じ場所か又は互いに近接する場所(例えば2mm以内の距離)の測定を行う場合には、硬度計の針の進入量(0.5mm)を考慮すると、化粧料1を削り取る厚みを1mm以上とすることが好ましい。一方、各層において、硬度測定の部位を離れた場所にすることができる場合には、化粧料1を削り取る厚みに特に制限はない。尤も、削り取る厚みを過度に小さくすることには特段の技術的な意味はなく、一般に0.5〜2mm程度の厚みで以て削り取ればよい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の実施形態においては、粉末混合物20が上杵16aに付着することを防止する目的で、これらの間にポリ四フッ化エチレン製のシート等の付着防止用介在物を介在させてもよく、あるいは不織布及び/又は織布を介在させて、固形粉末成型体21の表面に網目模様を施し、該成型物21に高級感を付与してもよい。また本発明は、立体感の高い凸部を有する固形粉末成型物や厚みのある固形粉末成型物の製造に特に好適であるが、それ以外の形状の固形粉末成型物の製造にも有効であることは言うまでもない。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り、「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1〕
図1に示す装置を用い、図2に示す方法で、図3及び図4に示す形状の凸部を有する固形粉末化粧料としてのチークを製造した。粉末混合物20としては、以下の表1に示す組成のものを混合して用いた。ホソカワミクロン製パウダテスタPT−S型を使用し、この粉体原料20のタッピング固め密度を測定した。タッピング動作はストローク18mm、速度50回/分、タッピング回数180回とした。その結果、タッピング固め密度は0.825g/cm3であった。
タッピング固め密度の測定とは別に、粉体原料を図1に示す装置10の凹部に5g充填し、加圧成型を行った。先ず、装置10の凹部内に、内寸が幅23.9mm×長さ26.9mm×高さ3.5mmの浅底の容器を載置し、その後に凹部内に粉体原料を充填した。この状態での粉体原料の高さは15.3mmであった。容器の断面積と粉体原料の充填量及びタッピング固め密度とに基づいて、タッピング固め密度相当の粉体原料の高さを計算すると5.3mmとなる。そこで光学センサ17の位置を、この高さ(5.3mm)よりも1mm低い位置、すなわち粉体原料高さが4.3mmとなった時点で超音波振動を印加するように設定した。このときの粉体原料の密度は、タッピング固め密度の109%であった。超音波振動の印加は、粉体原料に加わる荷重が0.53MPaで一定となった時点で終了した。超音波振動の印加時間は1秒であった。超音波振動の印加後、1秒にわたって前記の荷重を一定して加え続けた後に、上杵16aを上昇させて加圧成型を終了した。装置10における超音波振動素子14a,14bとしては、精電舎電子工業製のランジュバン素子(発振周波数19kHz、最大出力1200W、最大振幅26μm)を用いた。印加した超音波振動の周波数は19kHz、振幅は16.9μmであった。
〔比較例1〕
実施例1において、上杵16aの位置が、タッピング固め密度相当の粉体原料の高さ5.3mmよりも8.7mm高い位置となった時点で超音波振動を印加するように、光学センサ17を上方に移動して、超音波印加のタイミングを早くした。これ以外は実施例1と同様にして固形粉末化粧料としてのアイシャドウを得た。
〔比較例2〕
実施例1において、加圧荷重の設定値である0.53MPaの75%の荷重、すなわち加圧荷重が0.4MPaとなった時点で光学センサが作動するように、光学センサの位置を下方に移動した。これ以外は実施例1と同様にして固形粉末化粧料を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた固形粉末化粧料について、上述した方法で高さ方向(圧縮方向)の硬度差を測定した。また、測定した各層の硬度を全て平均した硬度を固形粉末化粧料の平均強度とし、評価を行った。また、化粧料の表面及び高さ方向の中間付近での粉の取れ性を10人の専門パネラーに官能評価させ、以下の基準によって判定した。これらの結果を以下の表1に示す。
〔粉の取れ性の評価〕
A:7人以上が良いと評価した。
B:4〜6人が良いと評価した。
C:2〜3人が良いと評価した。
D:1人以下が良いと評価した。
Figure 0005379579
表1に示す結果から明らかなように、実施例1で得られた固形粉末化粧料は、比較例1及び2の固形粉末化粧料に比べ、全体として均一な硬度を有していることが判る。また、硬度が高いにもかかわらず、粉の取れ性に優れており、表面と中間付近での粉の取れ性が均一であることも判る。これに対し、比較例1及び2とも表面付近では硬度が高いため粉が取れにくく、中間付近では硬度が低いため粉が取れすぎてしまい、粉の取れ性は満足できるものではなかった。各層の硬度を全て平均した硬度に関しても、実施例1が最も硬度が高く、効率的に圧縮できていることが判る。
10 製造装置
12 打錠テーブル
13 成型用金型
14a,14b 超音波振動素子
15a,15b エアシリンダ
16a,16b 成型用杵
20 粉末混合物
21 固形粉末成型体

Claims (4)

  1. 0.5質量%以上15質量%以下の液状成分を含む原料粉末を杵によって加圧成型する工程を含む固形粉末成型体の製造方法であって、
    杵を用いた加圧成型によって上昇した粉体原料の密度が、タッピング固め密度に相当する密度となった時点から、加圧荷重が設定値の50%となるまでの間に、該杵による該粉体原料への超音波振動の印加を開始し、
    前記超音波振動の印加を、前記加圧荷重が前記設定値に達した時点で終了する
    固形粉末成型体の製造方法。
  2. 融点が40〜150℃で、かつ振動による摩擦熱で溶融可能な成分を0.5〜10質量%含有する粉体原料を用いる請求項1記載の固形粉末成型体の製造方法。
  3. 成型時における粉体原料への加圧荷重を0.3〜3MPaに設定する請求項1又は2記載の固形粉末成型体の製造方法。
  4. 前記の溶融可能な成分が、高分子化合物、糖アルコール類、エステル類又はワックス類である請求項2記載の固形粉末成型体の製造方法。
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