JP5378215B2 - 単結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、単結晶の製造方法に関する。
従来、半導体材料の製造にはシリコン等の基材の単結晶が必要となる。単結晶を製造する方法として、チョクラルスキー法(CZ法)が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。また、チョクラルスキー法で利用される既存のシリコン融液に対し、砒素、赤燐、アンチモンなどの揮発性ドーパントを添加したシリコン融液を利用して、単結晶の抵抗率を制御する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献1に記載のものは、坩堝に収容されたシリコン融液の上方に、ガス整流内筒部材を配置している。また、ガス整流内筒部材の下端部に、断熱リングを、半径方向外向きに張り出す形で一体化させている。さらに、ガス整流外筒部材を、断熱リングの外周縁に対し自身の外周面が石英製坩堝の内周面と対向し、上方に延出する形で一体化させている。
そして、単結晶の育成時に、不活性ガスを流入させ、ガス整流内筒部材内へ流下させ、原料融液面上に吹き出させる。さらに、この不活性ガスを、原料融液面上を伝わせ、ガス整流内筒部材の下縁および断熱リングの下面を経て上方へ回り込ませる。そして、不活性ガスを、石英坩堝の内壁面に沿って上昇させつつ、坩堝外へ流出させる構成が採られている。
特許文献2に記載のものは、坩堝に収容されたシリコン融液の上方に、ガス整流筒を配置している。また、ガス整流筒の下端部に、熱遮蔽リングを取り付けている。
そして、単結晶の育成時に、不活性ガスを流入させ、ガス整流筒内へ流下させ、原料融液面上に吹き出させる。さらに、この不活性ガスを、原料融液面上を伝わせ、ガス整流筒の下縁を経て上方へ回り込ませる。そして、不活性ガスを、熱遮蔽リングと坩堝の内壁との隙間を経て、育成炉本体内へ流出させる。具体的には、熱遮蔽リングと坩堝の内壁との隙間を流す不活性ガスの流速を、6.5cm/secに調整する構成が採られている。
特許文献3に記載のものは、坩堝の中心軸の周りに90度ごとに配置された4つのパージガスノズルを備えている。
そして、単結晶シリコンロッドを成長させる際、このパージガスノズルにより、高速ガスを送り、砒素などの添加物を含んだシリコン融液物上を所定の雰囲気に保つ、すなわち略円筒状のガスカーテンを坩堝の中心軸周りに形成する。具体的には、結晶成長室内において坩堝の開放上部から半径方向外側に低圧領域を形成する速度で、坩堝の開放上部周囲の外側を下方に流れる第1のガスカーテンと、第1のガスカーテンの半径方向内側で坩堝の開放上部周囲の半径方向内側に位置する第2のガスカーテンと、を形成する構成が採られている。
特開2002−321997号公報 特開2002−97098号公報 特開平10−182289号公報
ところで、前述した特許文献3に記載のようなドーパント添加したシリコン融液を利用して単結晶の抵抗率を制御する構成に、特許文献1,2に記載のような構成を適用することが考えられる。
しかしながら、ドーパント添加したシリコン融液においては、シリコン融液にドーパントを添加してから単結晶の円柱状の直胴部を成長させるまでの間(詳しくは整流筒内部に単結晶の直胴部が入るまで。以下、添加後成長前期間と称す)に、シリコン融液の表面から、添加された揮発性ドーパントやシリコン酸化物が蒸発することがある。
特許文献1,2のような構成では、ガス整流筒の外側における不活性ガスの流れ状態を制御するため、前述のような揮発性ドーパントやシリコン酸化物の蒸発があると、これらの蒸発成分がアモルファスとしてガス整流筒の内側に付着してしまうおそれがある。
また、特許文献3のような構成では、単結晶が入る引き上げ室に、積極的に不活性ガスを流入させていないため、添加後成長前期間に、前述した揮発性ドーパントやシリコン酸化物の蒸発成分がアモルファスとして引き上げ室の内側に付着してしまうおそれがある。
このため、整流筒内や引き上げ室内に付着したアモルファスが結晶成長中に融液に落下して、単結晶化率を悪化させたり、揮発性ドーパントが付着して固化した場合、付着物の除去が困難になったりするおそれがある。
また、一般的に、上述したような添加後成長前期間における揮発性ドーパントの蒸発を抑制する方法として、炉内を高圧力化する方法が採られている。
しかしながら、このように高圧化する場合、通常の低圧引き上げの場合と同じ不活性ガスの流量では、その流れが悪くなり、整流筒におけるドーパント添加融液表面近傍が高温になるおそれがある。そのため、蒸発したアモルファスも不活性ガスと一緒に逆流し、整流筒内に付着する。この付着したアモルファスが結晶成長中に融液に落下して、単結晶化率を悪化させたり、揮発性ドーパントが固着した場合、付着物の除去が困難になったりするおそれがある。
本発明の主な目的は、シリコン融液に揮発性ドーパントを添加したドーパント添加融液から発生するアモルファスの整流筒内への付着を抑制する単結晶の製造方法を提供することにある。
本発明の単結晶の製造方法は、チャンバと、このチャンバの上部に設けられ、前記チャンバ内部に不活性ガスを導入する導入部と、前記チャンバ内に配置され、シリコン融液に揮発性ドーパントを添加したドーパント添加融液を収納可能な坩堝と、前記チャンバの前記導入部から前記ドーパント添加融液の表面近傍に至る筒状に形成され、前記不活性ガスを前記ドーパント添加融液上に導く整流筒と、種子結晶を前記ドーパント添加融液に接触させた後に前記整流筒内を通過させる状態で引き上げる引き上げ部と、を備えた単結晶引き上げ装置を利用した単結晶の製造方法であって、前記坩堝に収容されたシリコン融液に揮発性ドーパントを添加してから前記引き上げ部の引き上げにより単結晶の直胴部が前記整流筒内に入り始めるまでの期間(以下、添加後成長前期間と称す)における前記整流筒内の圧力を33331Pa(250Torr)〜79993Pa(600Torr)、前記整流筒で最小内径となる位置での前記不活性ガス(アルゴンガス)の流量を150SL/min〜300SL/min(流速:0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2))に制御することを特徴とする。
本発明において、ガス流速はマスフローで計測された不活性ガス流量を、前記整流筒内の最小断面積で除し、表現したものである(1気圧20℃で0.005〜0.056SL/min・cm2)が、実際の炉内温度は1000℃を越えているため、不活性ガスの温度も大幅に上昇し、実際の不活性ガス粒子の整流筒長さ方向の平均流速は前記流速より数10倍程度以上はあると考えられる。
この発明によれば、単結晶引き上げ装置を利用して、単結晶を製造する製造方法において、坩堝に収容されたシリコン融液にドーパント添加してから、引き上げにより単結晶の直胴部が整流筒内に入り始めるまでの期間、つまり結晶育成初期段階におけるネッキング、徐々に拡径するテーパ部を形成する肩広げをして、所定の径に到達後に形成される円柱状の直胴部が整流筒内に入り始めるまでの添加後成長前期間における整流筒内の圧力を、33331Pa(250Torr)〜79993Pa(600Torr)、整流筒内の最小内径となる位置での不活性ガスの流速を0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)に制御する。
ここで、整流筒内の圧力(以下、筒内圧力と称す)を33331Pa〜79993Paに設定すると、ドーパント添加融液中の揮発性ドーパントの蒸発を適切に抑制できることが確認されている。
また、不活性ガスの流速を0.06m/sec〜0.31m/secに制御すると、筒内圧力を比較的高圧力の33331Pa〜79993Paに設定した条件であっても、不活性ガスの流れがスムーズになり、整流筒内へのアモルファス付着を抑えることができることが確認されている。また、不活性ガスの流速を0.31m/secを超える値にすると、不活性ガスの使用量が増えてしまい低コスト化が容易に図れないことや、ドーパント添加したシリコン融液中の揮発性ドーパントの蒸発が促進されてしまうことが確認されている。さらに、不活性ガスの流速を0.06m/secに満たない値にすると、不活性ガスの流れが悪くなり、下方から上方へ流れてしまうことが確認されている。ここで、ガス流速定義を式1に示す。断面積は整流筒内径で最小となる位置の断面積である。流速は、不活性ガス流量以外に、断面積を変更する方法で変更できる。
Figure 0005378215
このため、添加後成長前期間における不活性ガスの流速を0.06m/sec〜0.31m/secに制御することにより、筒内圧力を比較的高圧力の33331Pa〜79993Paに設定した条件であっても、不活性ガスの流れをスムーズにでき、不活性ガスの逆流に伴うアモルファスの上昇を抑制できる。したがって、アモルファスが整流筒内に付着して結晶成長中に落下したり、揮発性ドーパントが固着したりすることを抑制でき、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる。
本発明の整流筒は、チャンバと、このチャンバの上部に設けられ、前記チャンバ内部に不活性ガスを導入する導入部と、前記チャンバ内に配置されシリコン融液に揮発性ドーパントを添加したドーパント添加融液を収納可能な坩堝と、を備えた単結晶引き上げ装置に設けられ、前記チャンバの前記導入部から前記ドーパント添加融液の表面近傍に至る筒状に形成されて前記不活性ガスを前記ドーパント添加融液上に導くとともに、前記筒状の内部において引き上げられる単結晶を通過させる整流筒であって、前記導入部側に設けられ、最大内径寸法が第1寸法の略筒状に形成された第1筒部と、この第1筒部における前記ドーパント添加融液の表面側の端部に接続され、最大内径寸法が前記第1寸法よりも小さい第2寸法の略筒状に形成されかつ前記第2寸法の部分の長さが結晶直径の2〜3倍とされた第2筒部とを備え、前記第2筒部の下端部は逆円錐状の熱遮蔽板の下端部と接合していることを特徴とする。
この発明によれば、単結晶引き上げ装置に設ける整流筒として、導入部側に設けられ、最大内径寸法が第1寸法の略筒状に形成された第1筒部と、この第1筒部におけるドーパント添加融液側の端部に接続され、最大内径寸法が第1寸法よりも小さい第2寸法で、第2寸法部は前記長さがある略筒状に形成された第2筒部と、を備えた構成を適用している。
このため、第2筒部通過時における不活性ガスの流速を、第1筒部通過時と比べて速くすることができ、或る長さの間、その速度を保っている。つまり、添加後成長前期間における筒内圧力を33331Pa〜79993Paに設定した条件で、従来と同様に遅い流速で不活性ガスを導入したとしても、その流速を従来よりも速い0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)にすることができる。したがって、上述したような作用により、揮発性ドーパントやシリコン酸化物がアモルファスとして整流筒内に付着して落下したり、固着したりすることを抑制でき、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる。
さらに、整流筒より上部に位置するチャンバ部での不活性ガスの流速を0.06m/secに満たない値にしても、その流速を整流筒内で0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)にすることができるので、導入部から導入する不活性ガスの流量を最小限に抑えることができる。したがって、不活性ガスの使用量を最小限に抑えることができ、低コスト化を容易に図ることができる。
本発明の整流筒では、前記第1筒部は、前記導入部側の端部の内径寸法が前記第1寸法であり、かつ、前記第2筒部側の端部の内径寸法が前記第2寸法の略錐台筒状に形成され、前記第2筒部は、前記第1筒部側の端部の内径寸法が前記第2寸法の略筒状に形成されたことが好ましい。
この発明によれば、第1筒部を、導入部側の端部の内径寸法が第1寸法であり、かつ、第2筒部側の端部の内径寸法が第2寸法の略錐台筒状に形成している。さらに、第2筒部を、第1筒部側の端部の内径寸法が第2寸法の略筒状に形成している。
このため、第1筒部および第2筒部の接続部分の内径寸法を第2寸法としているため、第1筒部に導入された不活性ガスを、その流れの阻害を最小限に抑えた状態で、第2筒部に案内することができる。したがって、不活性ガスの流速を効率よく速くすることができる。
本発明の整流筒では、内径寸法が第1寸法であり、かつ、長さ寸法が前記チャンバの前記導入部から前記ドーパント添加融液の表面近傍にかけての寸法である筒状に形成された第1筒状部材と、この第1筒状部材の内部空間に嵌挿された第2筒状部材と、を備え、
前記第2筒状部材は、中間に前記第2筒部を有し、端部に前記第1筒部を有することが好ましい。
この発明によれば、整流筒を、内径寸法が第1寸法であり、かつ、長さ寸法がチャンバの導入部からドーパント添加融液の表面近傍にかけての寸法である筒状に形成された第1筒状部材と、この第1筒状部材の内部空間に嵌挿された第2筒状部材と、で構成している。そして、前記第2筒状部材は、中間に前記第2筒部を有し、端部に前記第1筒部を有するものとしている。
このため、第1筒状部材に第2筒状部材を嵌挿するだけの簡単な方法で前記第1筒部および第2筒部を有する整流筒を製造でき、量産化や低コスト化を容易に図ることができる。また、従来、第1筒状部材のみから構成される整流筒を利用している場合、第2筒状部材を嵌挿するだけで前記第1筒部および第2筒部を設置することができ、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる整流筒にすることができ、従来の整流筒の有効活用を図ることができる。
本発明の整流筒では、前記単結晶の直胴部の直径寸法をRc、前記第2寸法をR2、前記第2寸法R2となる長さをR3、として、前記R2は1.15<R2/Rc<1.25、前記R3は2<R3/Rc<3を満たす形状に形成されたことが好ましい。
この発明によれば、整流筒を、上述した関係式を満たす形状に形成している。
ここで、前記R2が1.15>R2/Rcの場合、引き上げ中に、単結晶が第2筒部の内面に接触してしまうおそれがある。一方、前記R2がR2/Rc>1.25の場合、つまり単結晶と第2筒部との隙間が大きくなると、不活性ガスの流速を速めることが困難になるおそれがある。
また、前記R3が短くなると、前記より下方側でガス流れが乱流化し、単結晶化を阻害することが懸念される。
このため、整流筒を上述した関係式を満たす形状に形成することにより、単結晶が整流筒に接触するのを防止しつつ、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる。
本発明の単結晶引き上げ装置は、チャンバと、このチャンバの上部に設けられ、前記チャンバ内部に不活性ガスを導入する導入部と、前記チャンバ内に配置されシリコン融液に揮発性ドーパントを添加したドーパント添加融液を収納可能な坩堝と、前記チャンバの前記導入部から前記ドーパント添加融液の表面近傍に至る筒状に形成されて前記不活性ガスを前記ドーパント添加融液上に導くとともに、前記筒状の内部において引き上げられる単結晶を通過させる前述した本発明の整流筒と、整流筒下端部と接合した逆円錐状の熱遮蔽部と、種子結晶を前記ドーパント添加融液に接触させた後に前記整流筒内を通過させる状態で引き上げる引き上げ部と、を備えたことを特徴とする。
この発明によれば、単結晶引き上げ装置に、上述したような本発明の整流筒を設けている。
このため、本発明の上述した整流筒と同様の作用を奏した状態で、適切に単結晶を製造可能な単結晶引き上げ装置を提供できる。
本発明の第1実施形態に係る単結晶引き上げ装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の比較例および第3実施形態に係る単結晶引き上げ装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の第2実施形態に係る単結晶引き上げ装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る単結晶引き上げ装置の概略構成を示す模式図である。
符号の説明
1A,1B,1C,1D…単結晶引き上げ装置
4…半導体融液
6…単結晶
30…チャンバ
30A…導入部
31…坩堝
33…引き上げ部としての引き上げケーブル
35A,35B,35C…整流筒
35A1…第1筒部
35A2…第2筒部
35C1…第1筒状部材
35C2…第2筒状部材
39…ガス流調整装置
39A…傾斜部としての円錐筒状部
41…ドーパント添加融液
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係る単結晶の製造に利用される単結晶引き上げ装置の模式図である。
〔単結晶引き上げ装置の構成〕
まず、単結晶引き上げ装置の構成について説明する。
単結晶引き上げ装置1Aは、図1に示すように、単結晶引き上げ装置本体3と、図示しないドーピング装置と、図示しない制御部とを備える。
単結晶引き上げ装置本体3は、チャンバ30と、このチャンバ30内に配置された坩堝31と、この坩堝31に熱を放射して加熱する加熱部32と、引き上げ部としての引き上げケーブル(または、ロッド)33と、断熱筒34と、整流筒35Aと、シールド36と、を備える。
チャンバ30内には、制御部の制御により、チャンバ30の上部と、チャンバ30の上方に連結された引き上げ室との境界部に設けられた導入部30Aを介して、上方から下方に向かって不活性ガス、例えば、アルゴンガスが所定のガス流量で導入される。また、チャンバ30内の圧力(炉内圧力)は、制御部により制御可能となっている。
坩堝31は、多結晶のシリコンを融解し、シリコン融液4とするものである。坩堝31は、有底の円筒形状の石英製の第一坩堝311と、この第一坩堝311の外側に配置され、第一坩堝311を収納する黒鉛製の第二坩堝312とを備えている。坩堝31は、所定の速度で回転する支持軸37に支持されている。
加熱部32は、坩堝31の外側に配置されており、坩堝31を加熱して、坩堝31内のシリコンを融解する。
引き上げケーブル(または、ロッド)33は、例えば坩堝31上部に配置された図示しない引き上げ駆動部に、一端が接続されている。また、引き上げケーブル33は、他端に、種子結晶を保持するシードホルダ38、または、図示しないドーピング装置が適宜取り付けられる。引き上げケーブル33は、引き上げ駆動部の駆動により回転可能に構成されている。この引き上げケーブル33は、制御部による引き上げ駆動部の制御により、所定の引き上げ速度で上昇する。
断熱筒34は、坩堝31および加熱部32の周囲を取り囲むように配置されている。
整流筒35Aは、チャンバ30上方から導入される不活性ガスを整流するためのものである。この整流筒35Aは、チャンバ30の導入部30Aからシリコン融液4の表面近傍にかけて、引き上げケーブル33で引き上げられる単結晶6の周囲を取り巻く状態で設けられている。そして、整流筒35Aは、導入部30Aに接続された第1筒部35A1と、この第1筒部35A1の下端に接続された第2筒部35A2と、この第2筒部の下端に接続された第3筒部35A3と、を備えている。
第1筒部35A1は、上端部の内径寸法が第1寸法としてのR1であり、かつ、下端部の内径寸法がR1より小さい第2寸法であるR2の円錐台筒状に形成されている。
第2筒部35A2は、内径寸法がR2の円筒状で、かつ、円筒部の長さがR3に形成されている。
第3筒部35A3は、上端部の内径寸法がR2であり、かつ、下端部の内径寸法がR1の円錐台筒状に形成されている。
ここで、第2筒部35A2の内径寸法であるR2は、単結晶6における円柱状の図示しない直胴部の直径寸法をRcとして、1.15<R2/Rc<1.25の関係式を満たす値に設定されている。さらに、第2筒部35A2の円筒長さ寸法であるR3は、2<R3/Rc<3の関係式を満たす値に設定されている。また、第1,第3筒部35A1,35A3は、等しい形状に形成されている。
シールド36は、加熱部32から上方に向かって放射される輻射熱を遮断する熱遮蔽用シールドである。このシールド36は、整流筒35Aの上下方向略中央から下側の部分の周囲を取り巻き、整流筒35A3下端部とシールド36下端部が接合するように配置されており、シリコン融液4の表面を覆うように設置されている。このシールド36は、下端側の開口部が上端側の開口部より小さくなった円錐形状となっている。
ドーピング装置は、固体状態の揮発性ドーパントを揮発させて、坩堝31内のシリコン融液4にドープさせる、すなわち添加するためのものである。ここで、揮発性ドーパントとしては、例えば、赤燐、砒素などが挙げられる。なお、ドーピング装置としては、筒状部の下端部をシリコン融液4に浸漬させて、揮発性ドーパントをシリコン融液4に添加する構成や、筒状部の下端部を半導体融液4から離間させて、揮発した揮発性ドーパントをシリコン融液4に吹き付けることで、揮発性ドーパントをシリコン融液4に添加する構成を適用できる。
制御部は、作業者の設定入力に基づいて、チャンバ30内のガス流量、炉内圧力、引き上げケーブル33の引き上げ速度を適宜制御して、単結晶6製造時の制御をする。
〔単結晶の製造方法〕
次に、単結晶引き上げ装置1Aを用いて、単結晶6を製造する方法について説明する。
まず、作業者は、単結晶引き上げ装置1Aの引き上げケーブル33に、ドーピング装置を取り付ける。
次に、単結晶引き上げ装置1Aは、制御部の制御により、チャンバ30内のガス流量および炉内圧力を所定の状態にして、シリコン融液4に揮発性ドーパントを添加してドーパント添加融液41を生成する。
この後、作業者は、引き上げケーブル33からドーピング装置を取り外し、引き上げケーブル33に種子結晶を保持したシードホルダ38を取り付ける。
そして、単結晶引き上げ装置1Aの制御部は、作業者の設定入力に基づいて、種子結晶を所定の引き上げ速度で引き上げて、単結晶6を製造する。
ここで、添加後成長前期間、すなわちドーパント添加融液41が生成されてから引き上げにより単結晶6の直胴部が整流筒35A内に入り始めるまでの期間において、整流筒35Aの筒内圧力を33331Pa〜79993Paに制御する。また、不活性ガスの流速G1を、従来と同様の0.06m/secに満たない値に制御する。
不活性ガスは、整流筒35Aの第1筒部35A1から第2筒部35A2へ移動する際に、その流速G2が速くなり0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)に制御される。なお、図1において、流速G1,G2を表す矢印は、その長さが長いほど流速が速いことを表している。
そして、添加後成長前期間が経過すると、炉内圧力、不活性ガスなどを所定の状態に制御する。
〔第1実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第1実施形態では、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)単結晶引き上げ装置1Aを利用して、種子結晶をドーパント添加融液41に接触させた後に引き上げることにより単結晶6を製造する際に、添加後成長前期間における整流筒35Aの筒内圧力を33331Pa〜79993Pa、整流筒35A内の不活性ガスの流速を0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)となるように不活性ガス(アルゴンガス)を150SL/min〜300SL/minの範囲で制御する。
このため、添加後成長前期間における不活性ガスの流速を上述した値に制御することにより、筒内圧力を上述したような比較的高圧力に設定した条件であっても、不活性ガスの流れをスムーズにでき、不活性ガスの逆流に伴うドーパント添加融液41から蒸発して発生するアモルファス、すなわちシリコン酸化物やドーパント酸化物の上昇を抑制できる。したがって、揮発性ドーパントやシリコン酸化物がアモルファスとして整流筒35A内に付着して結晶成長中に落下したり、固着したりすることを抑制でき、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる。
(2)整流筒35Aとして、導入部30Aに接続され、最大内径寸法がR1の略筒状に形成された第1筒部35A1と、この第1筒部35A1の下端に接続され、最大内径寸法がR1よりも小さいR2の略筒状で、円筒長さ寸法がR3に形成された第2筒部35A2と、を備えた構成を適用している。
このため、第2筒部35A2通過時における不活性ガスの流速G2を、第1筒部35A1通過時と比べて速くすることができる。つまり、添加後成長前期間において、従来と同様に遅い流速G1で不活性ガスを導入したとしても、従来よりも速い0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)に速めることができる。したがって、導入する不活性ガスの流速G1を0.06m/secに満たない値にしても、整流筒35A内で0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)にすることができるので、導入部30Aから導入する不活性ガスの流量を最小限に抑えることができる。よって、不活性ガスの使用量を最小限に抑えることができ、低コスト化を容易に図ることができる。
(3)整流筒35Aの第1筒部35A1を、上端部の内径寸法がR1であり、かつ、下端部の内径寸法がR2の略錐台筒状に形成している。さらに、第2筒部35A2を、上端部の内径寸法がR2の円筒状に形成している。
このため、第1筒部35A1および第2筒部35A2の接続部分の内径寸法をR2としているため、第1筒部35A1に導入された不活性ガスを、その流れの阻害を最小限に抑えた状態で、第2筒部35A2に案内することができる。したがって、不活性ガスの流速を効率よく速くすることができる。
(4)整流筒35Aを、単結晶6の直胴部の直径寸法をRcとして、1.15<R2/Rc<1.25の関係式を満たす形状で、さらに、2<R3/Rc<3の関係式を満たす形状に形成している。
このため、単結晶6が整流筒35Aに接触するのを防止しつつ、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる。
(5)第1,第3筒部35A1,35A3は、等しい形状に形成している。
このため、上記第1実施形態と異なり、第3筒部35A3が上方に位置する状態で整流筒35Aを取り付けたとしても、第1筒部35A1が上方に位置する状態で取り付けた場合と同一の作用効果を奏することができる。したがって、整流筒35Aの取り付け状態を気にすることなく、単結晶引き上げ装置1Aを組み立てることができ、その作業性を向上できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を図面を参照して説明する。
図3は、第2実施形態に係る単結晶の製造に利用される単結晶引き上げ装置の模式図である。
〔単結晶引き上げ装置の構成〕
まず、単結晶引き上げ装置の構成について説明する。
なお、上述した単結晶引き上げ装置1A,1Bと同一の構成については、同一符号を付し説明を適宜省略する。
単結晶引き上げ装置1Cの単結晶引き上げ装置本体3は、図3に示すように、チャンバ30と、坩堝31と、加熱部32と、引き上げケーブル33と、断熱筒34と、整流筒35Bと、シールド36と、ガス流調整装置39と、を備える。
ガス流調整装置39は、シードホルダ38つまり種子結晶の上方を覆い、かつ、整流筒35Bとの間に隙間が設けられる形状に形成され、引き上げケーブル33に取り付けられている。また、ガス流調整装置39は、添加後成長前期間に整流筒35B内に位置する位置に設けられている。そして、ガス流調整装置39は、傾斜部としての円錐筒状部39Aと、この円錐筒状部39Aの底面に対応する部分に一体的に設けられた円筒状の円筒部39Bと、を備えている。
円錐筒状部39Aの頂点には、引き上げケーブル33が嵌挿可能な嵌挿孔39A1が設けられている。また、円筒部39Bは、その軸が円錐筒状部39Aの軸と一致する状態で設けられている。
そして、嵌挿孔39A1に引き上げケーブル33が嵌挿されることにより、ガス流調整装置39は、種子結晶の上方を覆い、かつ、整流筒35Bとの間に隙間が設けられる状態で、引き上げケーブル33に取り付けられる。また、ガス流調整装置39は、円錐筒状部39Aの外周面が、整流筒35Bの軸位置近傍から内周面近傍にかけて下方に傾斜する状態で取り付けられる。
〔単結晶の製造方法〕
次に、単結晶引き上げ装置1Cを用いて、単結晶6を製造する方法について説明する。なお、第1実施形態と同一の動作については、説明を省略する。
単結晶引き上げ装置1Cの制御部は、ドーパント添加融液41の生成後、作業者の設定入力に基づいて、種子結晶を所定の引き上げ速度で引き上げて、単結晶6を製造する。
ここで、添加後成長前期間において、整流筒35Bの筒内圧力を33331Pa〜79993Paに制御する。また、不活性ガスの流速G1を、従来と同様の0.06m/secに満たない値に制御する。
不活性ガスは、整流筒35Bとガス流調整装置39との隙間を通過する際に、その流速G3が速くなり0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)に制御される。
そして、添加後成長前期間が経過すると、炉内圧力、不活性ガスなどを所定の状態に制御する。
〔第2実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第2実施形態では、第1実施形態の(1)と同様の作用効果に加え、以下のような作用効果を奏することができる。
(6)単結晶引き上げ装置1Cに設けられるガス流調整装置39として、添加後成長前期間に整流筒35B内に位置する状態で設けられ、種子結晶の上方を覆いかつ整流筒35Bとの間に隙間が設けられる形状に形成された構成を適用している。
このため、ガス流調整装置39により、添加後成長前期間における不活性ガスの流路を、ガス流調整装置39を設けない場合と比べて小さくすることができ、添加後成長前期間の不活性ガスの流速G3を、ガス流調整装置39を設けない場合と比べて速くすることができる。つまり、添加後成長前期間における筒内圧力を33331Pa〜79993Paに設定した条件で、従来と同様に遅い流速G1で不活性ガスを導入したとしても、従来よりも速い0.06m/sec〜0.31m/secに速めることができる。したがって、導入する不活性ガスの流速G1を0.06m/secに満たない値にしても、整流筒35B内で0.06m/sec〜0.31m/secにすることができるので、導入部30Aから導入する不活性ガスの流量を最小限に抑えることができる。よって、不活性ガスの使用量を最小限に抑えることができ、低コスト化を容易に図ることができる。
(7)ガス流調整装置39を、引き上げケーブル33に取り付ける構成としている。
このため、上方向に移動可能な引き上げケーブル33にガス流調整装置39を取り付けるので、この取り付け位置を適宜選択することにより、不活性ガスの流速を制御するタイミングを適宜調整することができる。したがって、単結晶6の製造状態をより詳細に制御でき、さらに適切に単結晶6を製造できる。
(8)ガス流調整装置39を、円錐筒状部39Aの外周面が、整流筒35Bの軸位置近傍から内周面近傍にかけて下方に傾斜する状態で取り付けている。
このため、ガス流調整装置39の上端に到達した不活性ガスを、その流れの阻害を最小限に抑えた状態で、下方に案内することができる。したがって、不活性ガスの流速を効率よく速くすることができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
なお、この第3実施形態は、図2に示す単結晶引き上げ装置1Bを用い、上述した比較サンプル製造時と異なる状態で不活性ガスの流速を制御するもののため、単結晶引き上げ装置1Bの構成の説明を省略し、単結晶の製造方法のみについて説明する。
〔単結晶の製造方法〕
単結晶引き上げ装置1Bの制御部は、ドーパント添加融液41の生成後、作業者の設定入力に基づいて、種子結晶を所定の引き上げ速度で引き上げて、単結晶6を製造する。
ここで、添加後成長前期間において、整流筒35Bの筒内圧力を33331Pa〜79993Paに制御する。また、導入部30Aから、流速G2が比較サンプル製造時よりも速い0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)の流速となるように不活性ガスを導入する。
そして、添加後成長前期間が経過すると、炉内圧力、不活性ガスなどを所定の状態に制御する。
〔第3実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第3実施形態では、第1実施形態の(1)と同様の作用効果に加え、以下のような作用効果を奏することができる。
(9)添加後成長前期間における整流筒35B内の不活性ガスの流速を、0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)に制御する方法として、導入部30Aから流速G2が0.06m/sec〜0.31m/secの不活性ガスを導入する方法を適用している。
このため、第1,第2実施形態の構成と比べて、不活性ガスの利用量が多くなるが、従来の単結晶引き上げ装置1Bを改造することなく、導入する不活性ガスの流速を従来よりも多くするだけの簡単な構成で、アモルファスが整流筒35B内に付着して結晶成長中に落下したり、固着したりすることを抑制でき、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる。
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の改良ならびに設計の変更などが可能である。
すなわち、図4に示すような単結晶引き上げ装置1Dとしてもよい。具体的には、単結晶引き上げ装置1Dは、単結晶引き上げ装置1Aの整流筒35Aの代わりに整流筒35Cを設けた構成を有している。この整流筒35Cは、内径寸法がR1で一定の円筒状に形成された第1筒状部材35C1と、この第1筒状部材35C1の内部空間に嵌挿された第2筒状部材35C2と、を備えている。
第2筒状部材35C2は、中間部分の内周面形状が、整流筒35Aの第1筒部35A2と同様に、内径が第2寸法R2の略円筒状とされている。第2筒状部材35C2の両端部は、それぞれ内側が円錐面状とされ、両端開口へ向けて内径が第2寸法R2から第1寸法R1へと拡がっている。この円錐面状の部分により、前述した図1の第1筒部35A1と同様の形状が形成され、以上により第2筒状部材35C2の内周面には図1の整流筒35の内周面と同じ形状が形成される。
このような構成にすれば、第1実施形態と同様に、不活性ガスの流速を制御でき、第1実施形態の(1)、(4)、(5)と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、第1筒状部材35C1に第2筒状部材35C2を嵌挿するだけの簡単な方法で整流筒35Cを製造でき、量産化や低コスト化を容易に図ることができる。また、第1筒部35A1と同一形状の従来利用している整流筒35Bに、第2筒状部材35C2を嵌挿するだけで、単結晶化率の低下を抑制できるとともに、付着物の除去を容易にできる整流筒35Cにすることができ、従来の整流筒35Bの有効活用を図ることができる。
そして、第1実施形態において、整流筒35Aに第3筒部35A3を設けない構成としてもよい。
また、第1実施形態において、整流筒35Aの第1筒部35A3の上端に内径寸法がR1の円筒状の部材を連結して、円錐台筒状および円筒状を合わせた部分を本発明の第1筒部とする構成としてもよい。
さらに、整流筒35Aを、単結晶6の直胴部の直径寸法をRcとして、1.15<R2/Rc<1.25の関係式を満たさない形状に形成してもよい。
また、第2実施形態において、ガス流調整装置39を引き上げケーブル33に取り付けずに、ガス流調整装置39を単独で昇降させる部材を設ける構成としてもよい。
そして、ガス流調整装置39を、一端が略閉塞された円筒状の部材のみで構成し、整流筒35Bの軸位置近傍から内周面近傍にかけて下方に傾斜する部分を設けない構成としてもよい。さらに、ガス流調整装置39に、円筒部39Bを設けない構成としてもよい。
なお、シリコン融液4にドープするドーパントとして、揮発しないドーパントを使用した場合、ドーパントの蒸発ではなくシリコンの蒸発によりアモルファスが整流筒内に付着するおそれが残る。本発明を適用することにより、シリコンの蒸発によるアモルファスの付着を抑制できるが、単結晶の品質への影響を鑑みて、製造条件を適宜調整することが好ましい。
次に、本発明の第1実施形態の実施例として、添加後成長前期間における整流筒内の不活性ガスの流速と、整流筒へのアモルファスの付着量と、単結晶化率と、の関係について説明する。
〔実験方法〕
まず、比較サンプルおよび実施サンプルの単結晶製造に利用する単結晶引き上げ装置の構成について説明する。
実施サンプルの製造には、上記第1実施形態の単結晶引き上げ装置1Aを利用した。
また、比較サンプルを製造する単結晶引き上げ装置1Bは、図2に示すように、単結晶引き上げ装置1Aの整流筒35Aに代えて、内径寸法がR1の円筒状に形成された整流筒35Bを適用した構成を有している。つまり、単結晶引き上げ装置1Aが整流筒35A内で不活性ガスの流速を速めることが可能な構成に対し、単結晶引き上げ装置1Bは、整流筒35B内で流速を速めることが不可能な構成を有している。なお、R1を280mm、R2を250mmにそれぞれ設定した整流筒35A,35Bを用いた。
そして、単結晶引き上げ装置1A,1Bを用いて、以下の表1に示す各種条件で、比較サンプル、実施サンプルの単結晶を製造して、これらの製造時における整流筒35A,35Bへのアモルファスの付着量と、単結晶化率と、を調べた。なお、表1のArガス流量条件は、実施サンプル製造時の添加後成長前期間における整流筒35A内の流速を0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm2)にし、かつ、比較サンプル製造時の添加後成長前期間における整流筒35B内の流速を0.06m/secに満たない値にする条件である。
Figure 0005378215
〔実験結果〕
以下の表2に示すように、実施サンプル製造時におけるアモルファスの付着量は、比較サンプル製造時と比べて少ないことが確認された。また、実施サンプルの結晶化率は、比較サンプルと比べて高いことが確認された。
これは、不活性ガスの流速を0.06m/sec〜0.31m/secに制御すると、筒内圧力を比較的高い圧力に設定した条件であっても、不活性ガスの流れをスムーズにでき、整流筒35Aにおけるドーパント添加融液41表面近傍と、導入部30A近傍との温度差が最小限に抑えられ、揮発性ドーパントやシリコン酸化物によるアモルファスの上昇を抑制できたためと考えられる。また、不活性ガスの流速を0.06m/secに満たない値にすると、不活性ガスの流れが悪くなり逆流してしまうため、ドーパント添加融液41より上部にあるチャンバ30やチャンバ30内に存在する部材にアモルファスが多量に付着し、それが引き上げ実施中に落下して、単結晶に付着するために結晶化率が悪化したものと考えられる。
このことから、筒内圧力を比較的高い圧力に設定した条件で単結晶を製造する際に、不活性ガスの流速を0.06m/sec〜0.31m/secに制御することにより、アモルファスの付着量を少なくでき、単結晶化率低下の抑制や、付着物の除去を容易にできることを確認できた。
Figure 0005378215
本発明は、単結晶の製造方法に利用することができる。

Claims (4)

  1. チャンバと、
    このチャンバの上部に設けられ、前記チャンバ内部に不活性ガスを導入する導入部と、
    前記チャンバ内に配置されシリコン融液に揮発性ドーパントを添加したドーパント添加融液を収納可能な坩堝と、
    前記チャンバの前記導入部から前記ドーパント添加融液の表面近傍に至る筒状に形成され前記不活性ガスを前記ドーパント添加融液上に導く整流筒と、
    種子結晶を前記ドーパント添加融液に接触させた後に前記整流筒内を通過させる状態で引き上げる引き上げ部と、を備えた単結晶引き上げ装置を利用した単結晶の製造方法であって、
    前記導入部側に設けられ、最大内径寸法が第1寸法の略筒状に形成された第1筒部と、
    この第1筒部における前記ドーパント添加融液の表面側の端部に接続され、最大内径寸法が前記第1寸法よりも小さい第2寸法の略筒状に形成され、かつ前記第2寸法の部分の長さが結晶直径の2倍以上3倍以下とされた第2筒部と、を備え
    前記坩堝に収容されたシリコン融液に揮発性ドーパントを添加してから前記引き上げ部の引き上げにより単結晶の直胴部が前記整流筒内に入り始めるまでの期間における前記整流筒内の圧力を33331Pa(250Torr)〜79993Pa(600Torr)、前記整流筒内の前記不活性ガスの流速を0.06m/sec〜0.31m/sec(0.005〜0.056SL/min・cm 2 )の範囲に制御する
    ことを特徴とする単結晶の製造方法
  2. 請求項1に記載の単結晶の製造方法であって、
    前記第1筒部は、前記導入部側の端部の内径寸法が前記第1寸法であり、かつ、前記第2筒部側の端部の内径寸法が前記第2寸法の略錐台筒状に形成され、
    前記第2筒部は、前記第1筒部側の端部の内径寸法が前記第2寸法の略筒状に形成された
    ことを特徴とする単結晶の製造方法
  3. 請求項1に記載の単結晶の製造方法であって、
    内径寸法が第1寸法であり、かつ、長さ寸法が前記チャンバの前記導入部から前記ドーパント添加融液の表面近傍にかけての寸法である筒状に形成された第1筒状部材と、この第1筒状部材の内部空間に嵌挿された第2筒状部材と、を備え、
    前記第2筒状部材は、中間に前記第2筒部を有し、端部に前記第1筒部を有する
    ことを特徴とする単結晶の製造方法
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の単結晶の製造方法であって、
    前記単結晶の直胴部の直径寸法をRc、
    前記第2寸法をR2、第2寸法部の長さをR3
    として、
    前記R2は1.15<R2/Rc<1.25かつ
    前記R3は2<R3/Rc<3
    を満たす形状に形成された
    ことを特徴とする単結晶の製造方法
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