JP5377076B2 - 周波数同期装置、受信機および周波数同期方法 - Google Patents

周波数同期装置、受信機および周波数同期方法 Download PDF

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Description

本発明は、受信した信号に対する周波数同期を行う周波数同期装置、受信機および周波数同期方法に関する。
近年、無線通信技術を用いるデータ通信に対する需要が益々増加している。例えば、これまで有線を用いて行われていた工場での機器間通信などは、無線化することによって、配線の敷設や機器のレイアウト変更の際のコストを抑えることができるため、無線技術の採用が検討されるようになってきた。また、壁などの遮蔽の影響を受けない通信システムを構築するために、電力線通信を採用する動向がある。電力線通信では、無線通信の技術を用いている。
上述のような工場での通信や電力線通信では、各種機器の発生するインパルス状の雑音や瞬時的なインピーダンス変動(以降、これらの雑音やインピーダンス変動のことを外乱という)が発生することがあり、通信性能に影響を与える。無線通信技術は、これまで、衛星通信や携帯電話などを対象として実用化されてきたが、衛星通信や携帯電話のシステムには、このような外乱は存在しなかった。
一方、無線通信と電力線通信の場合も、受信機は、データを正常に受信するために自機のクロックや搬送波の周波数を受信信号に正確に同期させる必要がある。携帯電話などの移動体通信では、フェージングやシャドーイングと呼ばれる伝送路の変動があるため、これらに対応して搬送波周波数の同期精度を良好に保とうとする先例もある(たとえば、下記特許文献1)。
特開2003−229744号公報
しかしながら、上記従来の無線通信の周波数同期方法では、フェージングやシャドーイングなどの変動の対策は行われているが、各種機器の発生するインパルス状の外乱は考慮されていない。そのため、無線通信と電力線通信の場合のようにインパルス上の外乱が生じる環境では、これまでのフェージング変動やシャドーイング変動への対策技術では、精度の良い周波数同期を確立することができない、という問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、インパルス状の外乱が生じる環境でも、精度の良い周波数同期を確立することのできる周波数同期装置、受信機および周波数同期方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、受信信号に基づいて、自装置が再生する再生周波数を受信信号に同期させるための周波数同期制御を行う周波数同期装置であって、受信信号に基づいて、前記再生周波数と受信信号との周波数偏差を求める周波数偏差検出手段と、前記周波数偏差の時間変化量を算出する差分手段と、前記時間変化量に基づいて、前記周波数偏差を、周波数同期制御を行うための制御値である周波数制御値として用いるか否かを示す制御値選択信号を生成する観測手段と、前記制御値選択信号が周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として選択し、一方、前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、過去の周波数制御値に基づいてその時点での周波数制御値の推定値である推定制御値を求め、求めた推定制御値を周波数制御値として選択する制御値選択手段と、前記時間変化量の絶対値を求める絶対値手段と、前記絶対値を所定のしきい値と比較し、比較結果に基づいて、前記絶対値が所定のしきい値未満である場合に0の値をとり、前記絶対値が所定のしきい値以上である場合に1の値をとる2値信号を生成する比較手段と、を備え、前記観測手段は、前記2値信号を保持し、最新の2値信号と保持している1つ前の2値信号とを加算し、前記加算結果を前記制御値選択信号とし、前記制御値選択信号が0の値の場合に前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いることを示すこととし、前記制御値選択信号が0以外の値の場合に前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示すこととし、前記制御値選択手段が選択した周波数制御値に基づいて、前記周波数同期制御を行うことを特徴とする。
本発明によれば、差分手段が周波数偏差の差を求め、絶対値手段がその差の絶対値を求め、さらに比較手段が、絶対値としきい値を比較し、絶対値がしきい値より小さい場合を0とする2値信号を生成し、観測手段が、連続する2つの2値信号を加算して、加算結果を制御値選択信号とし、ホールド手段が、制御値選択信号が0以外の値の場合に、格納されている1つ前の制御値を周波数同期制御に用いるようにしたので、インパルス状の外乱が生じる環境でも、精度の良い周波数同期を確立することのできる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態1の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。 図2は、実施の形態1の周波数同期装置の動作を説明するための図である。 図3は、周波数偏差が大きい場合の実施の形態1の周波数同期装置の動作を説明するための図である。 図4は、インパルス状の外乱の一例を示す図である。 図5は、インパルス状の外乱が存在する場合のクロック周波数の周波数同期精度をシミュレーションにより求めた結果を示す図である。 図6は、BPSKの場合のBER特性のシミュレーション結果を示す図である。 図7は、1024QAMの場合のBER特性のシミュレーション結果を示す図である。 図8は、実施の形態2の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。 図9は、実施の形態2の近似動作を説明するための図である。 図10は、実施の形態3の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。 図11は、実施の形態3の効果を説明するための図である。 図12は、実施の形態4の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。 図13は、ループフィルタ通過後の制御値の一例を示す図である。 図14は、検出結果とセレクタが選択する制御値との対応を示す図である。 図15は、検出結果とセレクタが選択する制御値との対応を示す図である。 図16は、検出結果とセレクタが選択する制御値との対応を示す図である。 図17は、検出結果とセレクタが選択する制御値との対応を示す図である。 図18は、実施の形態5の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。 図19は、実施の形態6の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。 図20は、実施の形態7の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。 図21は、実施の形態8の周波数同期装置の機能構成例を示す図である。
以下に、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態1の機能構成例を示す図である。図1に示すように本実施の形態の周波数同期装置は、リサンプラ1と、周波数偏差検出部2と、差分部3と、絶対値(abs)部4と、比較部5と、観測部6と、ホールド部7と、ループフィルタ(LF)8と、で構成される。本実施の形態の周波数同期装置は、たとえば、無線信号を受信する受信機などに内蔵され、受信信号と周波数同期を行うために用いられる装置である。
リサンプラ1は、入力された受信信号に対して、ループフィルタ8から入力される制御値に基づいてサンプル位置を調整し、調整後の信号を出力する。すなわち、リサンプラ1は、ループフィルタ8の制御値に基づいてクロック周波数を制御する。
周波数偏差検出部2は、リサンプラ1の出力信号の周波数偏差を検出し、周波数偏差を差分部3とホールド部7へ出力する。具体的には、周波数偏差は、受信信号に含まれる既知データを抽出し、その位相の時間変化量を測定することにより検出できる。
差分部3は、メモリ(D)31と減算器32とで構成される。差分部3では、メモリ31は、周波数偏差検出部2から入力された周波数偏差を格納するための記憶手段である。減算器32は、メモリ31に格納されている1つ前の周波数偏差を、周波数偏差検出部2から入力された最新の周波数偏差から減算し、減算結果を絶対値部4へ出力する。すなわち、時間的に連続する2つの周波数偏差の差を計算して出力する。
絶対値部4は、差分部3から出力された減算結果の絶対値を計算し、計算結果を比較部5へ出力する。すなわち、絶対値部4の出力は、2つの時間的に連続する周波数偏差の差の大きさを求める。
比較部5は、絶対値部4からの出力される絶対値を、所定のしきい値と比較し、比較結果を2値信号として出力する。たとえば、絶対値部4から出力された絶対値がしきい値より小さい場合には“0”を出力し、逆に絶対値がしきい値以上である場合には“1”を出力する。
観測部6は、メモリ(D)61と加算部62で構成される。メモリ61は、比較部5から出力される2値信号を格納するための記憶手段である。観測部6は、比較部5から出力される2値信号に基づいて制御値選択信号を生成し、制御値選択信号をホールド部7へ出力する。具体的には、比較部5から出力される信号はメモリ61に格納され、加算部62は、比較部5から出力される最新の2値信号と、メモリ61に格納されている1つ前の2値信号と、を加算し、加算結果を制御値選択信号としてホールド部7へ出力する。
ホールド部7は、スイッチ71と、メモリ(D)72と、セレクタ73と、で構成される。スイッチ71は、観測部6から出力される制御値選択信号に基づいて、スイッチング動作を行うことにより、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差をメモリ72へ出力するか否かを制御する。また、セレクタ73は、観測部6から出力される制御値選択信号に基づいて、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差と、メモリ72から読み出した値と、のどちらをループフィルタ8へ出力するかを選択する。このように、ホールド部7は周波数同期制御に用いる制御値(ループフィルタ8へ出力する制御値)を選択する制御値選択手段としての機能を有する。
具体的には、たとえば、観測部6から出力される制御値選択信号が“0”の場合、スイッチ71はONの状態となり周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差をメモリ72へ出力することにより、周波数偏差をメモリ72へ格納する。また、その場合、セレクタ73は、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差を選択してループフィルタ8へ出力する。また、観測部6から出力される制御値選択信号が“0”以外の場合、スイッチ71は、OFFの状態となり、周波数偏差はメモリ72へ出力されない。そして、セレクタ73は、メモリ72に格納されている値を選択し、メモリ72に格納されている値を読み出してループフィルタ8へ出力する。このような構成とすることにより、メモリ72には、過去に制御に用いられた(ループフィルタ8へ出力された)正常な周波数偏差(周波数同期用の制御値)が保存されることになる。
ループフィルタ8は、自身に入力される信号に含まれる雑音成分を低減し、雑音成分を低減した後の信号を制御値としてリサンプラ1に出力する。そして、リサンプラ1は、ル−プフィルタ8から出力される制御値に基づいてサンプル位置を調整することにより、クロック周波数を変更する。具体的には、周波数偏差が“0”となるように、クロック周波数を変更することにより、周波数同期を確立する。
図2は、本実施の形態の周波数同期装置の動作を説明するための図である。図2では、上段(a)に周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差の一例を示し、中段(b)に差分部3の出力である周波数偏差の差の一例を示し、下段(c)に絶対値部4から出力される周波数偏差の差の絶対値を示し、さらにその下に比較部5の出力と制御値選択信号を示している。なお、図2では、横軸方向は時間を表している。
図2の例では、インパルス状の外乱F1によって、周波数偏差が時刻t2,t11,t12でそれぞれインパルス状に大きくなる場合を示している。このような場合、図2の上段(a)に示した周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差も、t2,t11,t12でそれぞれインパルス状に大きくなる。このような、大きな値の周波数偏差を制御値として用いて周波数同期を確立すると、周波数同期精度が悪くなってしまう。これに対し、本実施の形態では、以下に説明するように、このようなインパルス状の外乱が発生した場合にも、高い精度で周波数同期を確立することができる。
中段(b)に示した差分部3の出力は、上段(a)で周波数偏差がインパルス状に大きくなる時刻付近のt2,t3,t11,t13で大きな値となる。また、下段(c)に示したように、絶対値部4から出力される値は、正の値となる。そして、比較部5は、絶対値部4から出力される値が点線で示したしきい値Sより小さい場合に“0”、しきい値S以上である場合に“1”、とする2値信号を生成する。なお、比較部5が用いるしきい値Sは、予め想定される周波数偏差の差分値の最大値よりも若干大き目の値などに設定すれば良い。図2の例の場合、比較部5から出力される2値信号は、t2,t3,t11,t13でそれぞれ“1”となり、それ以外の時刻では“0”となる。
観測部6では、比較部5から出力される2値信号を連続する2つの信号を加算するため、加算結果は、周波数偏差が大きくなる時刻t2,t11,t12付近、すなわち時間帯T(時刻t2〜t4,時刻t11〜t14)では、“0”以外の値となる。本実施の形態では、観測部6の加算結果を制御値選択信号とし、制御値選択信号が“0”以外の値の場合には、メモリ72に格納されている1つ前の制御値を用いるため、時刻t2,t11,t12付近(時間帯T)でインパルス状の外乱の影響を受けた制御値を用いることを避け、高い精度で周波数同期を確立することができる。
なお、図2では、上段の(a)に示すように周波数偏差が“0”付近となる例を示している。これは、初期の周波数偏差は引込んだ(初期の周波数偏差は補正された)後の様子を示したものである。たとえば、周波数同期装置の電源ON時などでは、大きな周波数偏差がある場合もある。図3は、周波数偏差が大きい場合の本実施の形態の周波数同期装置の動作を説明するための図である。図3でも、上段(a)に周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差の一例を示し、中段(b)に差分部3の出力である周波数偏差の差の一例を示し、下段(c)に絶対値部4から出力される周波数偏差の差の絶対値を示し、さらにその下に比較部5の出力と制御値選択信号を示している。
図3の場合、上段(a)は、引き込み過程周波数変化Aとして示すように、周波数偏差の引き込み過程で徐々に周波数偏差の大きさは小さくなり“0”に収束する形となる。本実施の形態1では、差分部3が、周波数偏差の差分をとるようにしているので、差分部3の出力以降は、周波数の引込み過程であっても、図2の場合と同様に、インパルス状の外乱の影響を回避できる。
図4〜7は、本実施の形態の周波数同期装置の動作を実施した場合の効果を説明するための図である。図4は、インパルス状の外乱の一例を示す図であり、電力線通信での瞬時的なインピーダンス変動により、受信信号が、10ms毎に700μsの期間だけ20dBの減衰と50°の位相変移を受ける様子を示している。図5は、図4で示したようなインパルス状の外乱が存在する場合のクロック周波数の周波数同期精度をシミュレーションにより求めた結果を示す図である。点線で示した従来の方式では大きな周波数偏差が生じるのに対し、実線で示した本発明の本実施の形態の方式(本実施の形態の周波数同期装置の動作)では周波数偏差が小さく、従来に比べ精度の高い周波数同期を確立できることを示している。
図6,図7は、それぞれ変調方式がBPSK(Binary Phase Shift Keying),1024QAM(Quadrature Amplitude Modulation)の場合のBER(Bit Error Rate:ビット誤り率)特性のシミュレーション結果を示す図である。精度の高い周波数同期が得られることにより、黒丸で示した本発明の本実施の形態の動作により得られる結果は、白丸で示した従来の方式の結果に比べ、BER特性も良好で品質の良い通信を実現できることを示している。
以上のように、本実施の形態では、差分部3が周波数偏差の差を求め、絶対値部4が、その差の絶対値を求め、さらに比較部5が、絶対値としきい値を比較し、絶対値がしきい値より大きい場合には“0”、しきい値以上である場合に“1”、とする2値信号を生成する。そして、観測部6が、連続する2つの2値信号を加算して、加算結果を制御値選択信号とし、ホールド部7が、制御値選択信号が“0”以外の値の場合には、メモリ72に格納されている1つ前の制御値をループフィルタ8へ出力するようにした。そのため、
インパルス状の外乱がある場合にも、影響を受けた制御値を用いることを避け、高い精度で周波数同期を実施することができる。
実施の形態2.
図8は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態2の機能構成例を示す図である。本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態1の周波数同期装置のホールド部7を近似部9に替える以外は実施の形態1の周波数同期装置と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
近似部9は、スイッチ91と、複数のメモリ(D)で構成されるメモリ部92と、セレクタ93と、近似演算部94と、で構成される。スイッチ91は、観測部6から出力される制御値選択信号に基づいて、スイッチング動作を行うことにより、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差をメモリ部92へ出力するか否かを制御する。セレクタ93は、観測部6から出力される制御値選択信号に基づいて、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差と、近似演算部94の出力と、のうちいずれ1つを選択しル−プフィルタ8へ出力する。
たとえば、観測部6から出力される制御値選択信号が“0”の場合には、スイッチ91はONの状態となり、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差をメモリ部92へ出力する。また、その場合、セレクタ93は、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差を選択してループフィルタ8へ出力する。観測部6から出力される制御値選択信号が“0”以外の場合には、スイッチ91はOFFの状態となり、セレクタ93は近似演算部94の出力を選択してループフィルタ8へ出力する。
メモリ部92は、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差を各メモリに順次格納することにより、過去の複数の周波数偏差を保持する。近似演算部94は、メモリ92に格納されている過去の複数の周波数偏差に基づいて近似した制御値を求め、求めた制御値をセレクタ93へ出力する。近似した制御値の求め方としては、たとえば、線形近似(直線近似)、最小2乗近似(曲線近似)、多項式近似など、どのような方法を用いてもよい。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
図9は、本実施の形態の近似動作を説明するための図である。図9の例では、時刻t3で、時刻t0,t1,t2の3つの過去の制御値(周波数偏差)B1を用いて、制御値を近似している例である。図中の周波数偏差B2は、周波数偏差検出部2が求めた周波数偏差であり、この場合、1つ前の周波数偏差との差が大きいことから、観測部6から出力される制御値選択信号は“0”以外の値となる。そして、近似部9は、過去の制御値B1を用いて、近似値B3を求める。図9では、線形近似(直線近似)を行った例を示している。
なお、ここでは、セレクタ93は、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差と、近似演算部94の出力と、のうちいずれ1つを選択してル−プフィルタ8へ出力するようにしたが、図8に示したように、セレクタ93は、さらにメモリ部92に格納されている制御値を選択してループフィルタ8へ出力できるようにしてもよい。たとえば、観測部6から出力される制御値選択信号が“0”以外の場合には、近似を行うか、メモリ部92の値を用いるか、を設定できるようにしておき、セレクタ93は、設定に基づいて選択を行うようにする。
本実施の形態では、観測部6から出力される制御値選択信号が“0”以外の場合には、近似部9が、過去の制御値を用いて制御値を近似し、近似した制御値をループフィルタ8へ出力するようにした。実施の形態1では、インパルス上の外乱が続けて生じた場合などには、格納されている同じ制御値を続けて用いることになるため、誤差が生じる可能性が高くなるが、本実施の形態では、過去の複数の値を用いて近似しているため、実施の形態1に比べ誤差を軽減することができ、周波数同期の精度がさらに向上する。また、周波数の引込み過程では、引込み時間が設計値に近い値となり、引込み時間がインパルス状の外乱に影響され難いという効果がある。
実施の形態3.
図10は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態3の機能構成例を示す図である。本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態1の周波数同期装置の観測部6を、FIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタとして機能する観測部10に替える以外は実施の形態1の周波数同期装置と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
観測部10は、複数のメモリ(D)で構成されるメモリ部101と、メモリ部101のメモリに格納されている値にそれぞれ係数を乗算する乗算器で構成される乗算部102と、乗算部102の乗算結果を加算する加算部103と、乗算部102の各々の乗算器が乗算する係数を設定する係数設定部104と、で構成される。
観測部10の動作を説明する。観測部10のタップ数をNとする。観測部10は、メモリ部101の各メモリに、比較部5から出力される2値信号を順次格納する。したがって、メモリ部101には、過去のN個の2値信号がそれぞれのメモリに格納されていることになる。乗算部102は、メモリ部101に格納されたN個の2値信号に対して、係数設定部104が設定した信号ごとの係数をそれぞれ乗算し、乗算結果を加算部103へ出力する。
そして、加算部103は、乗算部102から出力されたそれぞれの乗算結果を加算し、加算結果を制御値選択信号としてホールド部7へ出力する。N個の2値信号に対応する係数C0〜CN-1は、“0”または“1”の値をとる2値の値とする。たとえば、C0=1,C0=1,C2=1,C3=0,…,CN-1=0(Cj=0;j=3〜N−1)とすると、加算部103では、C0,C1,C2に対応する3つの乗算結果が加算されるこことになる。なお、係数設定部104は、外部から指定された係数を受付けてその係数を設定するようにしてもよいし、あらかじめ係数を保持するようにしてもよい。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
図11は、本実施の形態の効果を説明するための図である。この例では、インパルス状の外乱F2が3回(時刻t6,t7,t8)連続して生じるケースを示している。図11では、上段(a)に周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差の一例を示し、中段(b)に差分部3の出力である周波数偏差の差の一例を示し、下段(c)に絶対値部4から出力される周波数偏差の差の絶対値を示し、さらにその下に比較部5の出力と制御値選択信号を示している。
図11の例の場合、差分部3の出力と絶対値部4の出力は、時刻t6,t7,t8の周辺で大きな値となる。また、比較部5の出力は、時刻t6および時刻t9で“1”となり、観測部10の出力は、時刻t3〜t11で“1”となる。したがって、3つの時刻で連続したインパルス状の外乱が生じた場合にも、その周辺時刻t3〜t11で、外乱の影響を受けた値のかわりに、過去の制御値を用いることができる。
このように、インパルス上の外乱により同程度の大きさの周波数偏差が連続して生じた場合、連続する期間の開始点付近および終了点付近では、周波数偏差の差が大きくなるが、それ以外の期間は、周波数偏差の差が大きくならない場合がある。実施の形態1または実施の形態2では、周波数偏差の差の大きさに基づいて制御値選択信号を生成しているため、周波数偏差の差が大きくならないインパルス上の外乱を検出できない。これに対し、本実施の形態では、上述のように、連続してインパルス上の外乱が発生した場合も、制御値選択信号に反映することができる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1と同様にホールド部7を用いる例を説明したが、これに限らず、ホールド部7の替わりに実施の形態2と同様の近似部9を備えることとし、制御値の近似値を用いるようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、観測部10が、複数の比較部5の出力に係数を乗算し、乗算後の出力を加算して、加算結果を制御値選択信号とするようにした。そのため、インパルス状の外乱が連続するケースでも、高い精度の周波数同期を確立できる。また、係数を外部から設定できるように構成すると、インパルス状の外乱が連続する数が不明である場合、またはインパルス状の外乱が連続する数が変化するケースに対しても、状況に応じて係数を変更することができる。
実施の形態4.
図12は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態4の機能構成例を示す図である。本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態1の周波数同期装置に、実施の形態2と同様の近似部9と、セレクタ11と、検出部12と、を追加する以外は実施の形態1の周波数同期装置と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態1の機能と実施の形態2の機能の両方の機能を有し、制御値として過去の制御値(ホールド値)と近似値とのいずれか一方を選択して使用する。検出部12は、自装置が、周波数の引込み過程の状態にあるのか、定常過程の状態(引込み後の状態)にあるのかを検出し、その検出結果を、セレクタ11に出力する。セレクタ11は、検出部12から出力される検出結果に基づいて、ホールド部7からの出力と近似部9からの出力とのどちらかを選択し、選択した信号をループフィルタ8へ出力する。
検出部12は、複数のメモリ(D)で構成されるメモリ部121と、減算部122と、判定部123と、で構成される。検出部12は、メモリ部121の各メモリに、ループフィルタ8通過後の制御値を順次格納する。減算部122は、ループフィルタ8通過後の現在の制御値から、メモリ部121に格納されている過去の制御値を減算し、減算結果を判定部123へ出力する。この減算結果は、制御値の変化量を示す値となる。なお、減算部122は、メモリ部121に格納されている過去の制御値として、各メモリに格納されている値のうちから選択した値を用いて、減算を行う。この選択方法としては、たとえば、制御値の変化量を検出するために適切な期間Δtを設定しておき、現在からΔtだけ過去の制御値を選択する。
判定部123は、減算部122から出力された減算結果の絶対値を計算し、その絶対値を所定のしきい値と比較して、絶対値がしきい値以上となった場合に自装置が周波数の引込み過程にあると検出し、絶対値がしきい値未満となった場合に自装置が定常過程であると検出し、検出結果をセレクタ11に出力する。また、減算部122から出力された減算結果の絶対値を計算した後に、複数の絶対を平均化して、平均化後の絶対値を用いてしきい値との比較を行うようにしてもよい。このように、平均化することにより、雑音の影響により引込み過程と定常過程の判断を誤る確率が小さくなる。
図13は、時刻t0〜t5でのループフィルタ8通過後の制御値の一例を示す図である。図13の例では、周波数同期装置が周波数の引き込み過程にある。図13の例の場合、時刻t3では、未だ周波数同期の引込み過程であるため、過去(時刻t0)の制御値との差分D1を求めると、大きな値となる。これに対し、周波数同期の定常過程にとなった時刻t5で、過去(時刻t2)の制御値との差分D2を求めると、小さな値となる。
セレクタ11は、検出部12から出力される検出結果に基づいてループフィルタ8に出力する制御値を選択する。図14および図15は、検出結果とセレクタ11が選択する制御値との対応を示す図である。セレクタ11は、図14、図15のどちらの対応を用いて選択してもよい。図14のように、引き込み過程でホールド値を用いるようにすると、引込み過程に要する時間が短くなるという効果がある。また、図15のように、引き込み過程で近似値を用いるようにすると、引込み時間が外乱に影響され難いという効果がある。
また、さらに、検出結果に関わらず、ホールド値か近似値を固定的に使用するようにしてもよい。図16および図17は、固定的な選択を行う場合の検出結果とセレクタ11が選択する制御値との対応を示す図である。図14〜図17のいずれかの対応を選択できるようにし、状況に応じて変更して用いるようにしてもよい。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1または実施の形態2と同様である。
なお、本実施の形態では、観測部6を用いるようにしたが、これに限らず、観測部6の替わりに実施の形態3と同様に観測部10を用いるようにしてもよい。
このように、本実施の形態では、ホールド部7と近似部9の両方を備え、検出部12が、ループフィルタ8通過後の制御値に基づいて、自装置が周波数引き込み過程にあるか否かを検出し、セレクタがその検出結果に基づいて、ホールド部7の出力と近似部9の出力とのいずれかを選択して、ループフィルタ8に出力するようにした。そのため、実施の形態1および実施の形態2と同様の効果が得られるとともに、さらに、引込み時間の要求などに対応して制御値を選択することができる。
実施の形態5.
図18は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態5の機能構成例を示す図である。本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態1の周波数同期装置から差分部3と、観測部6と、を削除する以外は、実施の形態1の周波数同期装置と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態1または実施の形態3を簡易化した構成をとる。具体的には、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差を、差分部3を通さずに絶対値部4に入力し、比較部5の出力を、観測部6(または観測部10)を通さずにホールド部7に入力するようにしている。すなわち、本実施の形態では、絶対値部4は、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差の絶対値を算出し、比較部5は、その絶対値を所定のしきい値と比較し、実施の形態1と同様に絶対値がしきい値より小さい場合に“0”、絶対値がしきい値以上の場合に“1”とする2値の信号を制御値選択信号としてホールド部7へ出力する。ホールド部7は、実施の形態1と同様に、制御値選択信号に基づいて、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差と、メモリ72から読み出した値と、のどちらかをループフィルタ8へ出力する。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。
本実施の形態では、周波数偏差の差分を用いていないことから、比較部5が行う1回の比較結果によりホールド部7に対する制御値選択信号を生成することができる。本実施の形態は、周波数の引き込み過程など初期の周波数偏差が大きい場合には適用できないが、送受信機に高精度な発振器を使用する場合や定常過程など大きなインパルス上の外乱以外の大きな周波数偏差が生じない場合に適用できる。
以上のように、本実施の形態では、絶対値部4が、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差の絶対値を求め、比較部5が、その絶対値をしきい値と比較し、絶対値がしきい値より小さい場合に“0”、絶対値がしきい値以上の場合に“1”とする、制御値選択信号をボールド部7へ出力するようにした。そのため、実施の形態1に比べ、回路規模を小さくできるという効果がある。また、観測部6を使用しないため、複数の比較結果を待たずに1回の比較結果で(すなわち1回の観測で)ホールド部7に対する制御値選択信号を生成することができるため、応答速度が速く、ホールド期間を少なくできるという効果がある。
実施の形態6.
図19は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態6の機能構成例を示す図である。本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態2の周波数同期装置から差分部3と、観測部6と、を削除する以外は、実施の形態2の周波数同期装置と同様である。実施の形態2と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態2と同様に近似部9を用いる場合に、実施の形態5と同様に構成を簡易化している。本実施の形態の動作は、ホールド部7を近似部9に替える以外は、実施の形態5と同様である。なお、実施の形態4の周波数同期装置から、差分部3と、観測部6と、を削除し、実施の形態5と同様の動作を行い、構成の簡素化を行ってもよい。
このように、本実施の形態では、近似部9を用いる場合に、実施の形態5と同様に、回路規模を小さくできるという効果がある。また、観測部6を使用しないため、複数の比較結果を待たずに1回の比較結果でホールド部7に対する制御値選択信号を生成することができるため、応答速度が速く、ホールド期間を少なくできるという効果がある。さらに、実施の形態5に比べ、近似値を用いているため、誤差を軽減することができ、周波数同期の精度がさらに向上する。
実施の形態7.
図20は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態7の機能構成例を示す図である。本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態4の周波数同期装置から差分部3と、観測部6と、近似部9と、を削除する以外は、実施の形態4の周波数同期装置と同様である。実施の形態4と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態では、実施の形態5と同様に、絶対値部4が、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差の絶対値を求め、比較部5が、その絶対値をしきい値と比較し、絶対値がしきい値より小さい場合に“0”、絶対値がしきい値以上の場合に“1”と出力する、制御値選択信号をボールド部7へ出力する。検出部12の動作は、実施の形態4の検出部12の動作と同様であり、セレクタ11は、検出部12の検出結果に基づいて、ホールド部7からの出力と周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差と、のどちらかを選択し、選択した信号をループフィルタ8へ出力する。セレクタ11は、検出部12の検出結果が、引込み過程の場合には、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差を選択し、定常過程の場合には、ホールド部7の出力を選択する。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態4と同様である。
なお、本実施の形態では、ホールド部7を備えることとしたが、ホールド部7の替わりに近似部9を備え、セレクタ11は、検出部12の検出結果に基づいて、近似部9からの出力と周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差と、のどちらを選択するようにしてもよい。また、本実施の形態では、ホールド部7とセレクタ11を別の構成要素としたが、これら2つの構成要素を1つの制御値選択手段と考えることもできる。
このように、本実施の形態では、セレクタ11は、検出部12の検出結果が、引込み過程の場合には、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差を選択し、定常過程の場合には、ホールド部7の出力を選択するようにした。そのため、引込み過程ではホールド部7を使用せず、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差を制御値として用いるため、引込み過程で大きな周波数偏差が存在する場合でも構成を簡易化することができる。
実施の形態8.
図21は、本発明にかかる周波数同期装置の実施の形態8の機能構成例を示す図である。本実施の形態の周波数同期装置は、実施の形態1の周波数同期装置からリサンプラ1を削除し、周波数変換器13と、発振器14と、を追加する以外は、実施の形態1の周波数同期装置と同様である。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は同一の符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の周波数同期装置は、受信機における搬送波の周波数同期に対して適用される。周波数変換器13は、発振器14から出力される搬送波(再生搬送波)に基づいて、受信信号の搬送波周波数を変換する。発振器14は、ループフィルタ8から出力される制御値に基づいた搬送波の周波数を補正し、補正した周波数の搬送波を生成して周波数変換器13に出力する。
受信信号は、アナログ信号でもディジタル信号でも良い。受信信号がアナログ信号の場合には、周波数変換器13はミキサのようなアナログ素子で構成され、発振器14はたとえばVCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)のようなアナログ素子で構成される。受信信号がディジタル信号の場合には、周波数変換器13は複素乗算を行うディジタル回路で構成され、発振器14は、正弦波発生回路のようなディジタル回路で構成される。以上述べた以外の本実施の形態の動作は実施の形態1と同様である。
なお、本実施の形態では、ホールド部7を備えるようにしたが、実施の形態2と同様に、ホールド部7の替わりに近似部9を備えるようにしてもよい。また、観測部6の替わりに観測部10を備えるようにしてもよい。また、本実施の形態の構成に、近似部9と、セレクタ11と、検出部12をさらに備え、実施の形態4と同様に、検出部12の検出結果に基づいて近似部9と、セレクタ11と、の出力のいずれか1つを選択するようにしてもよい。また、さらに、これらの構成から差分部3と、観測部6を削除し、実施の形態5と同様に構成を簡素化してもよい。
本実施の形態では、搬送波の周波数同期を行う場合に、周波数変換器13と、発振器14と、を備え、実施の形態1と同様にホールド部7が、制御値選択信号に基づいて、周波数偏差検出部2から出力される周波数偏差と、ホールド値と、のいずれかを選択してループフィルタ8に出力し、発振器14が、ループフィルタ8から出力される制御値に基づいて搬送波を生成するようにした。そのため、搬送波の周波数同期を行う場合にも、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
以上のように、本発明にかかる周波数同期装置は、受信した信号に対する周波数同期を行う周波数同期装置に有用であり、特に、インパルス状の外乱が生じる環境で用いられる周波数同期装置に適している。
1 リサンプラ
2 周波数偏差検出部
3 差分部
4 abs部
5 比較部
6,10 観測部
7 ホールド部
8 LF
9 近似部
11,73,93 セレクタ
12 検出部
13 周波数変換器
14 発振器
61,72 メモリ
62 加算部
71,91 スイッチ
94 近似演算部
92,101,121 メモリ部
102 乗算部
103 加算部
104 係数設定部
122 減算部
123 判定部

Claims (18)

  1. 受信信号に基づいて、自装置が再生する再生周波数を受信信号に同期させるための周波数同期制御を行う周波数同期装置であって、
    受信信号に基づいて、前記再生周波数と受信信号との周波数偏差を求める周波数偏差検出手段と、
    前記周波数偏差の時間変化量を算出する差分手段と、
    前記時間変化量に基づいて、前記周波数偏差を、周波数同期制御を行うための制御値である周波数制御値として用いるか否かを示す制御値選択信号を生成する観測手段と、
    前記制御値選択信号が周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として選択し、一方、前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、過去の周波数制御値に基づいてその時点での周波数制御値の推定値である推定制御値を求め、求めた推定制御値を周波数制御値として選択する制御値選択手段と、
    前記時間変化量の絶対値を求める絶対値手段と、
    前記絶対値を所定のしきい値と比較し、比較結果に基づいて、前記絶対値が所定のしきい値未満である場合に0の値をとり、前記絶対値が所定のしきい値以上である場合に1の値をとる2値信号を生成する比較手段と、
    を備え、
    前記観測手段は、前記2値信号を保持し、最新の2値信号と保持している1つ前の2値信号とを加算し、前記加算結果を前記制御値選択信号とし、前記制御値選択信号が0の値の場合に前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いることを示すこととし、前記制御値選択信号が0以外の値の場合に前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示すこととし、
    前記制御値選択手段が選択した周波数制御値に基づいて、前記周波数同期制御を行うことを特徴とする周波数同期装置。
  2. 受信信号に基づいて、自装置が再生する再生周波数を受信信号に同期させるための周波数同期制御を行う周波数同期装置であって、
    受信信号に基づいて、前記再生周波数と受信信号との周波数偏差を求める周波数偏差検出手段と、
    前記周波数偏差の時間変化量を算出する差分手段と、
    前記時間変化量に基づいて、前記周波数偏差を、周波数同期制御を行うための制御値である周波数制御値として用いるか否かを示す制御値選択信号を生成する観測手段と、
    前記制御値選択信号が周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として選択し、一方、前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、過去の周波数制御値に基づいてその時点での周波数制御値の推定値である推定制御値を求め、求めた推定制御値を周波数制御値として選択する制御値選択手段と、
    前記時間変化量の絶対値を求める絶対値手段と、
    前記絶対値所定のしきい値と比較し、比較結果に基づいて、前記絶対値が所定のしきい値未満である場合に0の値をとり、前記絶対値が所定のしきい値以上である場合に1の値をとる2値信号を生成する比較手段と、
    を備え、
    前記観測手段は、前記2値信号を保持し、保持している2つ以上の2値信号を用いてFIRフィルタによる平均化を行い、平均化後の2値信号を前記制御値選択信号とし、前記制御値選択信号が0の値の場合に前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いることを示すこととし、前記制御値選択信号が0以外の値の場合に前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示すことと
    前記制御値選択手段が選択した周波数制御値に基づいて、前記周波数同期制御を行うことを特徴とする周波数同期装置。
  3. 前記FIRフィルタのタップ数を変更可能とすることを特徴とする請求項に記載の周波数同期装置。
  4. 前記制御値選択手段は、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を保持し、前記周波数偏差を周波数制御値とした場合に、その周波数制御値を保持し、一方、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、前記推定制御値を保持している最新の周波数制御値とすることを特徴とする請求項1、2または3に記載の周波数同期装置。
  5. 前記制御値選択手段は、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を保持し、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、保持している複数の周波数偏差と所定の近似式とに基づいて前記推定制御値を求めることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の周波数同期装置。
  6. 前記制御値選択手段が選択した制御値に基づいて、前記周波数同期制御の収束過程であるか否かを検出する検出手段と、
    をさらに備え、
    前記制御値選択手段は、
    前記制御値選択信号が、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差を周波数制御値候補として選択するとともに、その周波数制御値を保持し、一方、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、保持している最新の周波数制御値を前記推定制御値とし、前記推定制御値を、周波数制御値候補として選択する第1の制御値算出手段と、
    前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を保持し、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差を周波数制御値候補として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差を周波数制御値候補として選択し、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差を周波数制御値候補として用いないことを示す値であった場合には、保持している複数の周波数偏差と所定の近似式とに基づいて前記推定制御値を求め、前記推定制御値を周波数制御値候補として選択する第2の制御値算出手段と、
    前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第1の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補と、前記第2の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補と、のいずれか一方を周波数制御値として選択する選択手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の周波数同期装置。
  7. 受信信号に基づいて、自装置が再生する再生周波数を受信信号に同期させるための周波数同期制御を行う周波数同期装置であって、
    受信信号に基づいて、前記再生周波数と受信信号との周波数偏差を求める周波数偏差検出手段と、
    前記周波数偏差の時間変化量を算出する差分手段と、
    前記時間変化量に基づいて、前記周波数偏差を、周波数同期制御を行うための制御値である周波数制御値として用いるか否かを示す制御値選択信号を生成する観測手段と、
    前記制御値選択信号が周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として選択し、一方、前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、過去の周波数制御値に基づいてその時点での周波数制御値の推定値である推定制御値を求め、求めた推定制御値を周波数制御値として選択する制御値選択手段と、
    を備え、
    前記制御値選択手段が選択した周波数制御値に基づいて、前記周波数同期制御を行い、
    前記制御値選択手段は、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を保持し、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、保持している複数の周波数偏差と所定の近似式とに基づいて前記推定制御値を求めることを特徴とする周波数同期装置。
  8. 受信信号に基づいて、自装置が再生する再生周波数を受信信号に同期させるための周波数同期制御を行う周波数同期装置であって、
    受信信号に基づいて、前記再生周波数と受信信号との周波数偏差を求める周波数偏差検出手段と、
    前記周波数偏差の時間変化量を算出する差分手段と、
    前記時間変化量に基づいて、前記周波数偏差を、周波数同期制御を行うための制御値である周波数制御値として用いるか否かを示す制御値選択信号を生成する観測手段と、
    前記制御値選択信号が周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として選択し、一方、前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、過去の周波数制御値に基づいてその時点での周波数制御値の推定値である推定制御値を求め、求めた推定制御値を周波数制御値として選択する制御値選択手段と、
    前記制御値選択手段が選択した制御値に基づいて、前記周波数同期制御の収束過程であるか否かを検出する検出手段と、
    を備え、
    前記制御値選択手段は、
    前記制御値選択信号が、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差を周波数制御値候補として選択するとともに、その周波数制御値を保持し、一方、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、保持している最新の周波数制御値を前記推定制御値とし、前記推定制御値を、周波数制御値候補として選択する第1の制御値算出手段と、
    前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を保持し、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差を周波数制御値候補として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差を周波数制御値候補として選択し、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差を周波数制御値候補として用いないことを示す値であった場合には、保持している複数の周波数偏差と所定の近似式とに基づいて前記推定制御値を求め、前記推定制御値を周波数制御値候補として選択する第2の制御値算出手段と、
    前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第1の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補と、前記第2の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補と、のいずれか一方を周波数制御値として選択する選択手段と、
    を備え、
    前記制御値選択手段が選択した周波数制御値に基づいて、前記周波数同期制御を行うことを特徴とする周波数同期装置。
  9. 前記選択手段は、前記検出結果が前記周波数同期制御の収束過程であるという検出結果であった場合、前記第1の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補を周波数制御値として選択し、前記検出結果が前記周波数同期制御の収束過程でないという検出結果であった場合、前記第2の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補を周波数制御値として選択することを特徴とする請求項6または8に記載の周波数同期装置。
  10. 前記選択手段は、前記検出結果が前記周波数同期制御の収束過程であるという検出結果であった場合、前記第2の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補を、周波数制御値として選択し、前記検出結果が前記周波数同期制御の収束過程でないという検出結果であった場合、前記第1の制御値算出手段が選択した周波数制御値候補を、周波数制御値として選択することを特徴とする請求項6または8に記載の周波数同期装置。
  11. 前記制御値選択手段が選択した制御値に基づいて、前記周波数同期制御の収束過程であるか否かを検出する検出手段と、
    をさらに備え、
    前記制御値選択手段は、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記選択した周波数制御値と、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差と、のいずれか一方をさらに周波数制御値として選択する、
    ことを特徴とする請求項4、5または7に記載の周波数同期装置。
  12. 受信信号に基づいて、自装置が再生する再生周波数を受信信号に同期させる周波数同期制御を行う周波数同期装置であって、
    受信信号に基づいて、前記再生周波数と受信信号との周波数偏差を求める周波数偏差検出手段と、
    前記周波数偏差に基づいて、前記周波数偏差を、周波数同期制御を行うための制御値である周波数制御値として用いるか否かを示す制御値選択信号を生成する比較手段と、
    前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を、周波数制御値として選択し、一方、前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、過去の周波数制御値に基づいてその時点で予測される周波数制御値である推定制御値を求め、求めた推定制御値を、周波数制御値として選択する制御値選択手段と、
    前記制御値選択手段が選択した制御値に基づいて、前記周波数同期制御の収束過程であるか否かを検出する検出手段と、
    を備え、
    前記制御値選択手段は、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を保持し、前記周波数偏差を周波数制御値とした場合に、その周波数制御値を保持し、一方、前記制御値選択信号が、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、前記推定制御値を保持している最新の周波数制御値とし、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記選択した周波数制御値と、前記周波数偏差検出手段が求めた周波数偏差と、のいずれか一方をさらに周波数制御値として選択することを特徴とする周波数同期装置。
  13. 前記検出手段は、前記制御値選択手段が選択した周波数制御値の時間変化量に基づいて前記周波数同期制御の収束過程であるか否かを検出することを特徴とする請求項6、8〜12のいずれか1つに記載の周波数同期装置。
  14. 前記検出手段は、複数の前記時間変化量に対する平均値を求め、その平均値に基づいて前記周波数同期制御の収束過程であるか否かを検出することを特徴とする請求項1に記載の周波数同期装置。
  15. 前記再生周波数を、クロック周波数とすることを特徴とする請求項1〜1のいずれか1つに記載の周波数同期装置。
  16. 前記再生周波数を、搬送波周波数とすることを特徴とする請求項1〜1のいずれか1つに記載の周波数同期装置。
  17. 請求項1〜1のいずれか1つに記載の周波数同期装置を備えることを特徴とする受信機。
  18. 受信信号に基づいて、自装置が再生する再生周波数を受信信号に同期させるための周波数同期制御を行う周波数同期装置における周波数同期方法であって、
    受信信号に基づいて、前記再生周波数と受信信号との周波数偏差を求める周波数偏差検出ステップと、
    前記周波数偏差の時間変化量を算出する差分ステップと、
    前記時間変化量に基づいて、前記周波数偏差を、周波数同期制御を行うための制御値である周波数制御値として用いるか否かを示す制御値選択信号を生成する観測ステップと、
    前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いることを示す値であった場合に、前記周波数偏差を周波数制御値として選択し、一方、前記制御値選択信号が前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示す値であった場合には、過去の周波数制御値に基づいてその時点での周波数制御値の推定値である推定制御値を求め、求めた推定制御値を、周波数制御値として選択する制御値選択ステップと、
    前記時間変化量の絶対値を求める絶対値算出ステップと、
    前記絶対値を所定のしきい値と比較し、比較結果に基づいて、前記絶対値が所定のしきい値未満である場合に0の値をとり、前記絶対値が所定のしきい値以上である場合に1の値をとる2値信号を生成する比較ステップと、
    を含み、
    前記観測ステップでは、前記2値信号を保持し、最新の2値信号と保持している1つ前の2値信号とを加算し、前記加算結果を前記制御値選択信号とし、前記制御値選択信号が0の値の場合に前記周波数偏差検出ステップで求めた周波数偏差を周波数制御値として用いることを示すこととし、前記制御値選択信号が0以外の値の場合に前記周波数偏差を周波数制御値として用いないことを示すこととし、
    前記制御選択ステップで選択した周波数制御値に基づいて前記周波数同期制御を行うことを特徴とする周波数同期方法。
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