JP2004104321A - 自動利得制御回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビット誤り率が少なくなるようにAGCアンプの利得を制御するAGC回路、または2つのAGCアンプを別個に制御するAGC回路を提供する。
【解決手段】AGCOUTAは、AGCアンプ(A)を制御し、AGCOUTBは、AGCアンプ(B)を制御する。入力信号のパワーと(可変調整量SWEEP+パワー参照値AGCR)の差分値が算出される。AGCARAIL>AGCATOBになると、AGCARAIL=AGCATOBに固定され、差分値に基づきAGCBRAILが調整される。AGCBRAIL<AGCBTOAになると、AGCBRAIL=AGCBTOAに固定され、差分値に基づきAGCARAILが調整される。制御回路201は、ビット誤り率を取得し、ビット誤り率が最小となるSWEEPの値を特定し、SWEEPの値を特定した値に固定する。
【選択図】 図7
【解決手段】AGCOUTAは、AGCアンプ(A)を制御し、AGCOUTBは、AGCアンプ(B)を制御する。入力信号のパワーと(可変調整量SWEEP+パワー参照値AGCR)の差分値が算出される。AGCARAIL>AGCATOBになると、AGCARAIL=AGCATOBに固定され、差分値に基づきAGCBRAILが調整される。AGCBRAIL<AGCBTOAになると、AGCBRAIL=AGCBTOAに固定され、差分値に基づきAGCARAILが調整される。制御回路201は、ビット誤り率を取得し、ビット誤り率が最小となるSWEEPの値を特定し、SWEEPの値を特定した値に固定する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動利得制御回路に関し、特に、2つの自動利得制御アンプを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル復調を行なう受信機などは、自動利得制御アンプ(以下、AGCアンプと記す。)とAGCアンプの利得を制御する自動利得制御回路(以下、AGC回路と記す。)を備えている。
【0003】
図23は、このような受信機の構成を示す。この受信機は、アンテナ123と、チューナ101と、バンドパスフィルタ102と、AGCアンプ(A)120と、周波数変換器103と、発振器104と、A/Dコンバータ105と、復調回路514と、誤り訂正回路199とを含む。
【0004】
アンテナ123は、地上波、衛星波、またはケーブルなどの伝送路より伝わってきた高周波の無線周波数(RF)信号を受信する。チューナ101は、AGCアンプ(B)130を含み、AGCアンプ(B)130は、アンテナ123より出力される無線周波数(RF)信号を増幅する。また、チューナ101は、増幅された無線周波数(RF)信号から希望するチャネルの信号を選択し、その信号を30MHz〜50MHzの中間周波数(IF)信号に変換する。
【0005】
バンドパスフィルタ102は、中間周波数(IF)の成分のみを通過させる。AGCアンプ(A)120は、中間周波数(IF)信号を増幅する。発振器104は、一定の周波数信号を出力する。周波数変換器103は、発振器104より出力される一定の周波数信号と、AGCアンプ(B)130で増幅された中間周波数(IF)信号とを混合して、ベースバンド信号を出力する。
【0006】
A/Dコンバータ105は、アナログのベースバンド信号をデジタルのベースバンド信号に変換して復調回路514に送る。A/Dコンバータ105は、その変換精度を一定に保つために、入力振幅が一定となることが要求される。
【0007】
誤り訂正回路199は、順方向誤り訂正方式(以下、FECと略す。)によって、ビット列の誤りを訂正する。誤り訂正回路199は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となったときに、誤り訂正の動作を開始する。
【0008】
復調回路514は、乗算器115と、乗算器116と、LPF106と、LPF107と、デロデータ108と、デコーダ109と、NCO111と、ループフィルタ112と、位相比較器113と、AGG回路99と、制御回路98とを含む。
【0009】
乗算器115は、ベースバンド信号を固定周波数の局部発振器から出力された正弦波の波形をもつ信号を乗算することで、入力信号のI軸成分のシンボルを抽出する。乗算器116は、ベースバンド信号を固定周波数の局部発振器から出力された余弦波の波形をもつ信号を乗算することで、入力信号のQ軸成分のシンボルを抽出する。
【0010】
LPF106およびLPF107とは、同一周波数特性のローパスフィルタで、スペクトル整形する。位相比較器113は、入力されたシンボルについて理想的なシンボルを予測し、これらのシンボルの間の位相誤差を検出する。
【0011】
ループフィルタ112は、検出された位相誤差を平滑化して、NCO111に送る。NCO111は、数値制御発振器であり、入力された平滑化された位相誤差に比例する周波数をもつ正弦波の信号と余弦波の信号をデロデータ108に送る。デロデータ108は、複素乗算器であり、NCO111から送られた正弦波の信号と余弦波の信号を受けて、シンボルの位相ずれおよび周波数ずれを調節する。デコーダ109は、シンボル情報をビット列に変換する。
【0012】
AGC回路99は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となるように、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得を制御する制御信号AGCOUTを送る。
【0013】
図24は、AGC回路99の構成を示す。同図を参照して、AGC回路99は、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器6と、乗算器57と、加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60と、デジタル/アナログ変換器(DAC)61と、制御回路98とを含む。
【0014】
制御回路98は、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCRとAGCGの値を設定する。AGCRは、変調方式ごとに規定される入力信号の理想的なパワー値である。AGCGは、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に送る制御信号AGCOUTの大きさの絶対値を調整するための値である。制御回路98は、電源投入後、リセット実行のためリセット信号RST=「0」とし、その後、リセット解除のためリセット信号RST=「1」とする。
【0015】
二乗和演算回路3は、LPF106およびLPF107から出力されるAGCIN(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、AGCINの二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワーPと(AGCR)との減算を行って、(P−AGCR)を出力する。乗算器57は、(P−AGCR)とAGCGとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCG}を出力する。
【0016】
加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、RST=「0」のときには、「0」を出力し、RST=「1」のときには、乗算器57の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCG}の値を平均化して出力する。
【0017】
デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0018】
ループフィルタの出力信号が最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となる。ループフィルタの出力信号が最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。
【0019】
以上のように、AGC回路によって、入力信号のパワーPと、変調方式ごとに規定される入力信号の理想的なパワー値AGCRとの差分(P−AGCR)が小さくなるように、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得が制御される。これによって、A/Dコンバータ105の入力振幅を一定にすることができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、伝送路内で入力信号の反射信号の重畳や、スペリアスなどの不要輻射などによって、入力信号には多量のノイズが含まれている。したがって、上述のAGC回路において、算出した入力信号のパワーの値はそれほど信頼できるものではない。そのようなパワー値に基づいて、AGCアンプの利得が制御されるると、復調回路から出力されるビット列のビット誤り率が極端に悪くなる。
【0021】
また、2つのAGCアンプは、それぞれ固有の特性をもつ。たとえば、RF信号を増幅するAGCアンプ(B)130は、受信した入力信号のレベルが低い場合でも入力信号を後段での処理が可能な大きさに増幅するため、できるだけ最大利得付近で使用するほうがよいなどの特性がある。
【0022】
しかしながら、上述のAGC回路では、ループフィルタの出力信号が最小値のときに2つのAGCアンプの利得はともに最大値となるように制御され、ループフィルタの出力信号が最大値のときに、2つのAGCアンプの利得はともに最小値となるように制御され、2つのAGCアンプをそれぞれ別個に制御することができない。
【0023】
それゆえ、この発明の目的は、ビット誤り率が少なくなるようにAGCアンプの利得を制御するAGC回路を提供することである。
【0024】
また、この発明の他の目的は、2つのAGCアンプを別個に制御するAGC回路を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、所定の範囲内で可変調整される調整信号の値と、受信機に入力される入力信号のパワーの参照値とを加算し、加算結果と受信機に入力される入力信号のパワーとの差分値を算出する演算回路と、前記差分値に基づいて、前記第1自動利得制御アンプの利得および前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する制御信号の値を調整する制御信号調整回路とを備える。
【0026】
好ましくは、前記自動利得制御回路は、前記調整信号の値を可変調整する回路と、受信機に入力される入力信号の復調後のビット誤り率を取得する回路と、前記調整信号の値と、その調整信号の値により前記第1自動利得制御アンプおよび前記第2自動利得制御アンプの利得が制御された結果変化したビット誤り率とを対応させて記憶する回路と、前記記憶した対応の中で、ビット誤り率が最小となる調整信号の値を特定し、前記演算回路に入力する調整信号の値を前記特定した値に固定する回路とを含む制御回路を備える。
【0027】
好ましくは、前記制御信号調整回路は、第1自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値を調整し、第2自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値を調整するものであって、前記第1の制御信号または前記第2の制御信号のいずれか一方の値を固定し、他方の値を調整する。
【0028】
また、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。
【0029】
好ましくは、前記第1制御値は、前記第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が最小利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とし、前記第2制御値は、前記第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプが最大利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする。
【0030】
好ましくは、前記制御信号調整回路は、第1の制御信号によって前記第1自動利得制御アンプの利得を制御し、第2の制御信号によって前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する。
【0031】
好ましくは、前記制御信号調整回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1自動利得制御アンプの利得が最大値に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする。
【0032】
好ましくは、前記調整指示回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を調整するように指示する。
【0033】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を前記制御信号調整回路に指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を減算する第2の演算回路と、前記指示信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記指示信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。
【0034】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整を促すか、または前記第2の制御信号の値の調整を促すかを示す判定信号を生成する判定信号生成回路と、前記判定信号生成回路が、前記第1の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第1の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成し、前記判定信号生成回路が、前記第2の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第2の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を演算する第2の演算回路と、前記判定信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記判定信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。
【0035】
また、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値よりも前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が大きくなる第3制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値よりも前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が小さくなる第4制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。
【0036】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1制御値とし、最大値を越えたときには、前記第3制御値を前記第1制御値とするセレクタを含む。
【0037】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1の制御値とし、最大値を越えているときには、前記最大値を前記第1制御値とするセレクタを含む。
【0038】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記第4制御値を前記第2制御値とするセレクタを含む。
【0039】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記最小値を前記第2制御値とするセレクタを含む。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0041】
<第1の実施形態>
本実施の形態は、ビット誤り率に基づいて、利得を調整することのできるAGCに関する。
【0042】
(構成)
図1は、本実施の形態に関する受信機の構成を示す。本実施の形態に係わる受信機は、アンテナ123と、チューナ101と、バンドパスフィルタ102と、AGCアンプ(A)120と、周波数変換器103と、発振器104と、A/Dコンバータ105と、復調回路114と、誤り訂正回路198と、BER算出回路121とを含む。
【0043】
アンテナ123は、地上波、衛星波、またはケーブルなどの伝送路より伝わってきた高周波の無線周波数(RF)信号を受信する。チューナ101は、AGCアンプ(B)130を含み、AGCアンプ(B)130は、アンテナ123より出力される無線周波数(RF)信号を増幅する。また、チューナ101は、増幅された無線周波数(RF)信号から希望するチャネルの信号を選択し、その信号を30MHz〜50MHzの中間周波数(IF)信号に変換する。
【0044】
バンドパスフィルタ102は、中間周波数(IF)の成分のみを通過させる。AGCアンプ(A)120は、中間周波数(IF)信号を増幅する。発振器104は、一定の周波数信号を出力する。周波数変換器103は、発振器104より出力される一定の周波数信号と、AGCアンプ(B)130で増幅された中間周波数(IF)信号とを混合して、ベースバンド信号を出力する。
【0045】
A/Dコンバータ105は、アナログのベースバンド信号をデジタルのベースバンド信号に変換して復調回路114に送る。
【0046】
誤り訂正回路198は、順方向誤り訂正方式(以下、FECと略す。)によって、ビット列の誤りを訂正するとともに、伝送ビット数と誤りビット数とからなる誤り情報をBER算出回路121に伝える。誤り訂正回路198は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となったときに、誤り訂正の動作を開始する。また、誤り訂正回路198は、誤り訂正の動作を開始したときには、所定の演算を施し、誤り訂正が可能な状態かどうかを調べ、誤り訂正が可能な状態となったとき(この状態をFECが収束したときという。)、BER算出部121と制御回路122にその旨を通知する。
【0047】
BER算出部121は、誤り訂正回路198においてFECが収束後、誤り訂正回路198からの誤り情報を受けて、誤りビット数/伝送ビット数を計算することで、BER(ビット誤り率)を得て、制御回路122に出力する。
【0048】
復調回路114は、乗算器115と、乗算器116と、LPF106、LPF107と、デロデータ108と、デコーダ109と、NCO111と、ループフィルタ112と、位相比較器113と、AGG回路110と、制御回路122とを含む。AGC回路110と制御回路122以外の構成要素は、図23に示す従来の復調回路と同様なので、説明は省略する。
【0049】
AGG回路110は、LPF106およびLPF107からの出力を受ける。AGC回路110は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となるように、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に、それらの利得を制御する制御信号AGCOUTを送る。
【0050】
図2は、AGC回路の構成を示す。同図を参照して、AGC回路110は、AND回路1と、セレクタ2と、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器5と、加算器6と、乗算器57と、加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60と、デジタル/アナログ変換器(DAC)61と、制御回路122とを含む。
【0051】
制御回路122は、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCRとAGCGの値を設定する。AGCRは、変調方式ごとに規定される入力信号の理想的なパワー値である。AGCGは、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に送る制御信号AGCOUT(後述する)の大きさの絶対値を調整するための値である。
【0052】
また、制御回路122は、リセット信号RST、スイープイネーブル信号SWEEPEN、およびスイープ信号SWEEPの値を制御する。
【0053】
制御回路122は、電源投入後、リセット実行のためリセット信号RST=「0」とし、その後、リセット解除のためリセット信号RST=「1」とする。
【0054】
制御回路122は、誤り訂正回路198においてFECが収束後、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とする。
【0055】
制御回路122は、誤り訂正回路198においてFECが収束後、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限から上限まで、徐々に増加させる。スイープ信号SWEEPは、可変調整される調整信号である。スイープ信号SWEEPの値が変化することによって、AGC回路110から出力される制御信号AGCOUTが変化し、それによって、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得が変化する。そして、このAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得の変化が、ビット誤り率(BER)の変化をもたらす。制御回路122は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、そのスイープ信号SWEEPの値によって得られるBERとを対応させて記憶する。制御回路122は、スイープ信号SWEEPの値が定められた範囲内の上限に達したら、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する。制御回路122は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する。
【0056】
AND回路1は、リセット信号RST=「1」かつスイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」のときに、「1」を出力し、それ以外のときに、「0」を出力する。
【0057】
セレクタ2は、AND回路の出力が「1」であれば、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」を出力し、AND回路の出力が「0」であれば、「0」を出力する。
【0058】
二乗和演算回路3は、AGCIN(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、AGCINの二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。
【0059】
加算器5は、「AGCR」と、「0」または「SEEEP」との加算を行なって、(ACCR)または(AGCR+SWEEP)を出力する。
【0060】
加算器6は、入力信号のパワーPと(AGCR)または(AGCR+SWEEP)との減算を行って、(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。
【0061】
乗算器57は、(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCG}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCG}を出力する。
【0062】
加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、RST=「0」のときには、「0」を出力し、RST=「1」のときには、乗算器57の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCG}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCG}の値を平均化して出力する。
【0063】
デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する。図3(a)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、図3(b)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号が最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となる。ループフィルタの出力信号が最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。
【0064】
(動作)
図4は、AGC処理手順を示すフローチャートである。また、図5は、ループフィルタの出力信号と、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。これらの図を参照して、AGCの動作を説明する。
【0065】
電源投入後、制御回路122によって、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行される。これにより、セレクタ2の選択信号は、「0」となる(ステップS801)。
【0066】
加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とからなるループフィルタは、RST=「0」より、「0」を出力する(図5の(1)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号「0」をアナログ値に変換したAGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する(ステップS802)。
【0067】
AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTにより、利得がループフィルタの出力信号「0」に対応する値、つまり最大値「MAXGAIN」となるように調整される(図5の(2)に示す。)(ステップS803)。
【0068】
次に、制御回路122によって、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されるが、スイープイネーブル信号SWEEPEN=0なので、セレクタ2の選択信号は、「0」である(ステップS804)。
【0069】
加算器5は、「0」とAGCRを加算し、AGCRを出力する。二乗和演算回路3は、AGCIN(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、算出された二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワーPとAGCRとの減算を行って、(P−AGCR)を出力する。乗算器57は、(P−AGCR)とAGCGとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCG}を出力する。加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とからなるループフィルタは、RST=「1」より、{(P−AGCR)×AGCG}の値を平均化して出力する。ここでは、ループフィルタの出力信号の値は増加するものとする(図5の(3)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号である平均化された{(P−AGCR)×AGCG}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する(ステップS805)。
【0070】
AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTにより、ループフィルタの出力信号の値の増加に対応して、利得が「MAXGAIN」から減少する方向に調整される(図5の(4)に示す。)(ステップS806)。
【0071】
ステップS805およびS806の処理が繰返された結果、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となる(図5の(5)に示す。)(ステップS807)。
【0072】
A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となると、誤り訂正回路198が誤り訂正の動作を開始する。誤り訂正回路198は、FECが収束して、BERが測定できる段階になると、BER算出部121と制御回路122にその旨を通知する(ステップS808)。
【0073】
制御回路122は、BERが測定できる段階になると、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とし、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限に設定する(図5の(6)に示す。)。
【0074】
スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」より、セレクタ2の選択信号は、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」となる。加算器5は、「SWEEP」と「AGCR」とを加算し、(SWEEP+AGCR)を出力する。加算器6は、入力信号のパワーPと(SWEEP+AGCR)との減算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。乗算器57は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGとの乗算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGを出力する。加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とからなるループフィルタは、RST=「1」より、{P−(AGCR+SWEEP)}×AGCGの値を平均化して出力する。ここでは、ループフィルタの出力信号の値は減少するものとする(図5の(7)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に出力する(ステップS810)。
【0075】
AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTにより、ループフィルタの出力信号の値の減少に対応して、利得が増加する方向に調整される(図5の(8)に示す。)(ステップS811)。
【0076】
AGGアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得変化により、A/Dコンバータ105の入力振幅が変化し、それによって変化したビット誤り率(BER)がBER算出部121によって、算出される。そして、制御回路122は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、それによって得られたBERの値を対応させて記憶する(ステップS812)。
【0077】
制御回路122は、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内で徐々に増加させて、ステップS810〜S812の処理を繰返し、スイープ信号SWEEPの値が定められた範囲内の上限に達したら、ステップS810〜S812の処理を終了する(ステップS813)。
【0078】
制御回路122は、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し(図5の(9)に示す。)、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する(図5の(10)に示す。)。制御回路122は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する(図5の(11)に示す。)(ステップS814)。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係わる自動利得制御回路では、スイープ信号SWEEPの値を変化させることで、ビット誤り率が最小となるようにAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得を調整することができる。
【0080】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下の変形例も当然ながら包含する。
【0081】
(1)ループフィルタの出力値とAGCアンプの利得との関係
本実施の形態では、ループフィルタの出力値が増加すると、AGCアンプの利得が減少するものとしたが、これに限定するものではない。ループフィルタの出力値が増加すると、AGCアンプの利得が増加するものとしてもよい。以下の実施形態についても同様である。
【0082】
(2)制御回路、BER算出部
本実施の形態では、AGC回路が制御回路を含むものとしたが、AGC回路外に制御回路を設けるものとしてもよい。また、本実施の形態では、BER算出部をAGC回路外に設けたが、AGC回路内に設けてもよい。これは、以下の実施形態についても同様である。
【0083】
(3)SWEEP信号の調整
本実施の形態では、制御回路122は、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限から上限まで、徐々に増加するように設定し、設定したスイープ信号SWEEPの値と、そのスイープ信号SWEEPの値によって得られるBERとを対応させて記憶する。そして、制御回路122は、最も小さな値のBERを検索し、そのBERに対応するSWEEPの値を特定するものとしたが、これに限定するものではなく、次のように、ユーザ操作に関わらしめるものであってもよい。つまり、ユーザが、スイープ信号SWEEPの値を任意の値に設定し、そのスイープ信号SWEEPの値によって得られるBERを表示する。ユーザは、スイープ信号SWEEPの値を変化させ、それによって得られたBERの値を見ながら、BERが小さくなるようなSWEEPの値を特定する。そして、ユーザは、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する。
【0084】
<第2の実施形態>
本実施の形態は、2つのAGCアンプそれぞれを別個に制御するための制御信号を生成するAGCに関する。
【0085】
(構成)
図6は、本実施の形態に係わる受信機の構成を示す。同図の受信機が、図1に示す第1の実施形態に係わる受信機と相違する点は、AGC回路が、AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130に、それぞれ別個の制御信号を出力している点である。
【0086】
図7は、AGC回路の構成を示す。AGC回路200は、AGCアンプ(A)120に制御信号AGCOUTAを出力し、AGCアンプ(B)130に制御信号AGCOUTBを出力する。AGC回路200は、AGCアンプ(A)120の利得を制御する制御信号AGCOUTAの生成に関与する部分であるAレール回路203と、AGCアンプ(B)130の利得を制御する制御信号AGCOUTBの生成に関与する部分であるBレール回路204と、両方の制御信号の生成に関与する部分である両レール共通回路202と、いずれの制御信号の値を調整するかを選択する部分であるレール選択回路210と、制御回路201とから構成される。
【0087】
制御回路201は、第1の実施形態の制御回路122と概ね共通するが、制御回路201は、さらに、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCGA、AGCGB、AGCATOB、AGCBTOAの設定を行なう。AGCGAは、AGCアンプ(A)120に送る制御信号AGCOUTAの大きさの絶対値を調整するための値である。AGCGBは、AGCアンプ(B)130に送る制御信号AGCOUTBの大きさの絶対値を調整するための値である。
【0088】
AGCATOBは、制御信号AGCOUTAの値の調整から制御信号AGCOUTBの値の調整に切り替えるポイントを表わす。AGCBTOAは、制御信号AGCOUTBの値の調整から、制御信号AGCOUTAの値の調整に切り替えるポイントを表わす。AGCATOBおよびAGCBTOAについて、詳しくは後述する。なお、制御信号AGCOUTAの値の調整を行なうときには、Aレール回路を選択するといい、制御信号AGCOUTBの値の調整を行なうときには、Bレール回路を選択するという。
【0089】
両レール共通回路202は、AND回路1と、セレクタ2と、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器5と、乗算器6とを含む。これらの各構成要素は、それぞれ、第1の実施形態の構成要素と同一である。
【0090】
Aレール回路203は、乗算器7と、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11と、デジタル/アナログ変換器(DAC)17と、インバータ16とを含む。
【0091】
乗算器7は、加算器6が出力する(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGAとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCGA}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGA}を出力する。
【0092】
加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、リセット信号RST=「0」のときには「0」を出力し、レール選択信号SELOUT=「1」のときには「AGCATOB」を出力し、リセット信号RST=「1」かつレール選択信号SELOUT=「0」のときには乗算器7の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCGA}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGA}の値を平均化して出力する。このループフィルタの出力信号をAGCARAILと記す。ここで、リセット信号RSTは、リセットが実行されるときに「1」となり、リセットが解除されるときに「0」となる。レール選択信号SELOUTは、Aレール回路が選択されるときに「0」となり、Bレール回路が選択されるときに「1」となる。
【0093】
デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力信号AGCARAILをアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0094】
図8(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCARAILがレール回路の選択切り替えポイントである「AGCATOB」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」となる。「TOBGAIN」は、「MINGAINA」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。ここで、ひずみが多いとは、たとえば、AGCアンプの入出力間の関係が飽和により非直線性を示していることをいう。
【0095】
Bレール回路204は、乗算器12と、加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15と、デジタルアナログ変換器(DAC)18とを含む。
【0096】
乗算器12は、加算器6が出力する(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGBとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCGB}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGB}を出力する。
【0097】
加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、レール選択信号SELOUT=「0」のときには「AGCBTOA」を出力し、レール選択信号SELOUT=「1」のときには乗算器12の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCGB}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGB}の値を平均化して出力する。このループフィルタの出力信号をAGCBRAILと記す。
【0098】
ここで、レール選択信号SELOUTは、Aレール回路が選択されるときに「0」となり、Bレール回路が選択されるときに「1」となる。
【0099】
デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILをアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0100】
図8(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCBRAILがレール回路の選択切り替えポイントである「AGCBTOA」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」となる。「TOAGAIN」は、「MAXGAINB」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。
【0101】
図9は、レール選択回路210の構成を示す。レール選択回路210は、加算器19と、加算器20と、加算器21と、制御方向判定回路22と、D型フリップフロップ23と、制御方向決定回路24とを含む。
【0102】
加算器19は、AGCATOBと、Aレール回路のループフィルタの出力信号AGCARAILとの減算を行なって、(AGCATOB−AGCARAIL)を出力する。
【0103】
加算器21は、AGCBTOAと、Bレール回路のループフィルタの出力信号AGCBRAILとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCBRAIL)を出力する。
【0104】
加算器20は、(AGCBTOA−AGCBRAIL)とXとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCBRAIL−X)を出力する。Xの値は、最下位ビット(以下、LSB)のビット値のみが1である値、つまり、最小の正の値である。この加算器20は、AGCBRAIL=AGCBTOAのときに、負の値を出力するために設けられている。
【0105】
加算器19、20および21は、2の補数形式で演算を行なう。したがって、演算結果が0または正の値の場合には、最上位ビット(以下、MSB)のビット値は0となり、演算結果が負の値の場合には、MSBのビット値は1となる。
【0106】
制御方向判定回路22は、A、B、およびCが入力され、判定信号Yを出力する。入力Aは、加算器20の出力のMSBである。入力Bは、加算器21の出力のMSBである。入力Cは、D型フリップフロップの出力、すなわち、1サイクル前の判定信号Yである。判定信号Yが「0」のときには、制御方向決定回路24にAレール回路の選択を促し、判定信号Yが「1」のときには、制御方向決定回路24にBレール回路の選択を促す。
【0107】
図10は、入力(A、B、C)と出力Yとの関係を示す入出力対応表である。同図に示すように、(A、B、C)=(0、1、0)は、AGCARAIL≦AGCATOB、AGCBRAIL>(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL≧AGCBTOA)、1サイクル前にAレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」を越えておらず、Bレール回路では、AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定されている状態を示している。したがって、AGGアンプ(A)の利得を調整するため、Aレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「0」とする。
【0108】
(A、B、C)=(1、1、0)は、AGCARAIL>AGCATOB、AGCBRAIL>(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL≧AGCBTOA)、1サイクル前にAレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」を越えており、Bレール回路では、AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定されている状態を示している。したがって、AGGアンプ(B)の利得を調整するため、Bレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「1」とする。
【0109】
(A、B、C)=(0、1、1)は、AGCARAIL≦AGCATOB、AGCBRAIL>(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL≧AGCBTOA)、1サイクル前にBレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」に固定され、Bレール回路では、AGCBRAILは、「AGCBTOA」を越えていない状態を示している。したがって、AGCアンプ(B)130の利得を調整するため、Bレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「1」とする。
【0110】
(A、B、C)=(0、0、1)は、AGCARAIL≦AGCATOB、AGCBRAIL≦(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL<AGCBTOA)、1サイクル前にBレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」に固定され、Bレール回路では、AGCBRAILは「AGCBTOA」を越えている状態を示している、したがって、AGCアンプ(A)120の利得を調整するため、Aレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「0」とする。
【0111】
制御方向決定回路24は、A、B、およびCが入力され、レール選択信号SELOUTを出力する。入力Aは、制御方向判定回路22から出力される判定信号Yである。入力Bは、D型フリップフロップの出力値、すなわち、1サイクル前の判定信号Yである。入力Cは、リセット信号RSTである。
【0112】
レール選択信号SELOUTが「0」のときには、Aレール回路が選択される。つまり、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値が{(P−AGCR)×AGCGA}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGA}に基づき調整される。Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「AGCBTOA」に固定される。
【0113】
レール選択信号SELOUTが「1」のときには、Bレール回路が選択される。つまり、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」に固定される。Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、{(P−AGCR)×AGCGB}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGB}に基づき調整される。
【0114】
図11は、入力(A、B、C)と出力SELOUTとの関係を示す入出力対応表である。同図に示すように、C=「0」は、リセットが実行された状態を示す。この状態では、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号SELOUTは「0」となる。
【0115】
(A、B、C)=(0、1、1)は、判定信号Yは、Aレール回路の選択を促すが、1サイクル前の判定信号Yは、Bレール回路の選択を促していたという状態を示す。この状態は、Bレール回路からAレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値が安定するまで待つことにし、1サイクル前の判定信号にしたがって、Bレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「1」となる。
【0116】
(A、B、C)=(1、0、1)は、判定信号Yは、Bレール回路の選択を促すが、1サイクル前の判定信号Yは、Aレール回路の選択を促していたという状態を示す。この状態は、Aレール回路からBレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値が安定するまで待つことにし、1サイクル前の判定信号にしたがって、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「0」となる。
【0117】
(A、B、C)=(0+、0、1)は、Aレール回路の選択を促す判定信号YがNサイクル以上に渡って連続して入力されている状態を示す。この状態は、Bレール回路からAレール回路への切り替えポイントに至り、かつ判定信号Yの値が十分に安定しているので、判定信号Yにしたがって、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「0」となる。
【0118】
(A、B、C)=(0−、0、1)は、Aレール回路の選択を促す判定信号YがXサイクル(<Nサイクル)連続して入力されている状態を示す。この状態は、Bレール回路からAレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値がNサイクル以上連続して同一の値になるまで待つことにし、Xサイクル前の判定信号Yにしたがって、Bレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「1」となる。
【0119】
(A、B、C)=(1+、1、1)は、Bレール回路の選択を促す判定信号YがNサイクル以上に渡って連続して入力されている状態を示す。この状態は、Aレール回路からBレール回路への切り替えポイントに至り、かつ判定信号Yの値が十分に安定しているので、判定信号Yにしたがって、Bレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「1」となる。
【0120】
(A、B、C)=(1−、1、1)は、Bレール回路の選択を促す判定信号YがXサイクル(<Nサイクル)連続して入力されている状態を示す。この状態は、Aレール回路からBレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値がNサイクル以上連続して同一の値になるまで待つことにし、Xサイクル前の判定信号Yにしたがって、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「0」となる。
【0121】
(利得調整)
図7に示すAGC回路200によって、全体の利得がどのように変化するかについて説明する。図12(a)は、全体の利得が減少する過程を示す。
【0122】
はじめにリセットが実行された状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「0」となる。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」となる。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「MAXGAINA」となる。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」となる。その結果、全体の利得は、(MAXGAINA+TOGAIN)となる。
【0123】
この状態では、Aレール回路を選択される。そして、Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは増加する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は減少する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0124】
ループフィルタの出力信号AGCARAILがさらに増加して、「AGCATOB」を越えた値になると、Bレール回路が選択される。そして、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは、増加する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、減少する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0125】
図12(b)は、全体の利得が増加する過程を示す。はじめに、Bレール回路が選択されている状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは減少する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、増加する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0126】
ループフィルタの出力信号AGCBRAILがさらに減少して、「AGCBTOA」未満の値になると、Aレール回路が選択される。Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは、減少する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、増加する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0127】
上述のようなAGC回路の利得調整の特徴について以下に説明する。
(1)AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130とは、別個のループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCBRAILにより制御される(実際には、これらのループフィルタの出力信号をアナログ値に変換したAGCOUTAとAGCOUTBにより制御される。)。これにより、AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130を別個に制御することができる。
【0128】
(2)ループフィルタの出力信号AGCARAILの値が変化するときは、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は一定であり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値が変化するときは、ループフィルタの出力信号AGCARAILは一定となる。これにより、AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130の両方を同時に利得変化させない。したがって、利得の制御が複雑化するのをさけることができる。
【0129】
(3)利得を下げるときには、まず、AGCアンプ(A)120を優先して調整し、利得を上げるときには、まず、AGCアンプ(B)130を優先して調整する。これにより、全体の利得がRF信号を増幅するAGCアンプ(B)130の方に優先して割り振られる。したがって、受信機に入力される入力信号が微弱な場合でも、チューナは、後段の処理に支障のない大きさのIF信号を出力することができる。
【0130】
(4)AGCアンプでは、制御信号に対する利得の関係は、いわゆるヒステリシス特性となる。すなわち、利得が増加するときの、制御信号の値に対する利得の値と、利得を減少させるときの、制御信号の値に対する利得の値が異なる。
【0131】
AGCアンプ(A)120では、利得を減少させるときは、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」の値よりも大きく「1」以下の値を終了点として増加し、利得を増加させるときには、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」の値を開始点として減少する。つまり、利得を減少させるときのループフィルタの出力信号AGCARAILの値の終了点が、利得を増加させるときのループフィルタの出力信号AGCARAILの値の開始点よりも大きい。AGCアンプ(A)120がヒステリシス特性を有することによって、このようにループフィルタの出力信号(これがアナログ値に変換された制御信号)の開始点と終了点の相違するときの方が一致するときよりも、利得を減少させるときのAGCアンプ(A)120の終了利得と、利得を増加させるときのAGCアンプ(A)120の開始利得をより近い値にすることができる。
【0132】
同様に、AGCアンプ(B)130では、利得を増加させるときには、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「0」以上「AGCBTOA」未満の値を終了点として減少し、利得を減少させるときには、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「AGCBTOA」の値を開始点として増加する。つまり、利得を増加させるときのループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の終了点が、利得を減少させるときのループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の開始点よりも小さい。AGCアンプ(B)130がヒステリシス特性を有することによって、このようにループフィルタの出力信号(つまり、制御信号)の開始点と終了点の相違するときの方が一致するときよりも、利得を増加させるときのAGCアンプ(B)130の終了利得と、利得を減少させるときのAGCアンプ(B)130の開始利得をより近い値にすることができる。
【0133】
以上のように、各AGCアンプの利得を下げるときと利得を上げるときとで、開始利得と終了利得が近似した値となることによって、安定した制御が可能となる。
【0134】
(動作)
図13は、AGC制御の処理手順を示すフローチャートである。また、図14は、AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。これらの図を参照して、AGCの動作を説明する。
【0135】
まず、電源投入後、制御回路201によって、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行される。これにより、セレクタ2の選択信号は、「0」となる。また、レール選択回路210の制御方向決定回路24が出力するレール選択信号SELOUT=「0」となる(ステップS901)。
【0136】
Aレール回路では、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、RST=「0」およびSELOUT=「0」より、AGCARAIL=「0」を出力する(図14の(1)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、AGCARAIL=「0」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0137】
一方、Bレール回路では、加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15とで構成されるループフィルタは、SELOUT=「0」より、AGCARAIL=「AGCBTOA」を出力する(図14の(2)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、AGCBRAIL=「AGCBTOA」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0138】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がAGCARAIL=「0」に対応する値、つまり、「MAXGAINA」となるように調整される(図14の(3)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」となるように調整される(図14の(4)に示す。)(ステップS902)。
【0139】
レール選択回路210には、AGCARAIL=「0」およびAGCBRAIL=「AGCBTOA」が入力される。
【0140】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0141】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0142】
また、制御方向判定回路22の入力Cは、デフォルトの値「0」である。
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0143】
制御方向決定回路24は、リセット信号RST=「0」よりC=「0」となり、C=「0」に対応する出力を図11に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS903)。
【0144】
次に、制御回路201によって、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されるが、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「0」なので、セレクタ2の選択信号は、「0」である(ステップS904)。
【0145】
加算器5は、「0」と「AGCR」を加算し、「AGCR」を出力する。二乗和演算回路3は、「AGCIN」(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、算出された二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワー「P」と「AGCR」との減算を行なう。
【0146】
Aレール回路では、乗算器7は、(P−AGCR)とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{(P−AGCR)×AGCGA}の値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、増加するものとする(図14の(5)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGA}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0147】
Bレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「0」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図14の(6)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0148】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図14の(7)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」を維持する(図14の(8)に示す。)(ステップS905)。
【0149】
上述のステップS905の処理が繰返され、AGCアンプ(A)120の利得は、徐々に減少していく。そして、AGCARAILの値が「AGCATOB」を越えると(図14の(9)に示す。)(ステップS906)、以下の処理が行なわれる。
【0150】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0151】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0152】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでAレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力したので、入力Cとして「0」が入力される。
【0153】
制御方向判定回路22は、A=「1」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。判定信号Y=「1」は、制御方向決定回路24に入力Aとして入力される。
【0154】
また、制御方向決定回路24では、D型フリップフロップ23に保持されている前回のサイクルでのAレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」が入力Bとして入力される。
【0155】
制御方向決定回路24は、A=「1」、B=「0」に対応する制御方向を図11に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS907)。
【0156】
そして、ステップS905〜S907がNサイクル繰返され、制御方向判定回路22は、Y=「1」をNサイクルに渡り連続して出力すると(ステップS908)、制御方向決定回路24は、Nサイクルに渡り、連続して入力A=「1」が入力される。その結果、制御方向決定回路24は、図11に示す入出力対応表より、制御方向を変更し、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS909)。
【0157】
加算器5と、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器6とは、入力信号のパワーPとAGCRとの減算を行なう。
【0158】
Aレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、「AGCATOB」となる(図14の(10)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値「AGCATOB」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0159】
一方、Bレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、AGCBRAILの値は、{(P−AGCR)×AGCGB}の値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、増加するものとする(図14の(11)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGB}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0160】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応する値、つまり「TOBGAIN」の値に維持される(図14の(12)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図14の(13)に示す。)。
【0161】
AGCアンプ(B)130の利得が減少していく際には、以下のようにしてBレール回路が常に選択される。
【0162】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、「0」の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0163】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0164】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0165】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。判定信号Y=「1」は、制御方向決定回路24に入力Aとして入力される。
【0166】
また、制御方向決定回路24では、D型フリップフロップ23に保持されている前回のサイクルでのAレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」が入力Bとして入力される。
【0167】
制御方向決定回路24は、A=「1」(Nサイクル以上連続)、B=「1」に対応する制御方向を図11に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS910)。
【0168】
上述の処理が繰返された結果、全体利得が一定値に達し、A/Dコンバータの入力振幅が一定値に達する(図14の(14)に示す。)(ステップS911)。
【0169】
A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となった時点で、誤り訂正回路198が誤り訂正の動作を開始する。誤り訂正回路198は、FECが収束して、BERが測定できる段階になると、BER算出部121と制御回路201にその旨を通知する。
【0170】
制御回路201は、BERが測定できる段階になると、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とし、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限に設定し(図14の(15)に示す。)、徐々に増加させていく。スイープ信号SWEEPの値を変化させると、AGCアンプ(A)120またはAGCアンプ(B)130の利得が変化し、それによって、A/Dコンバータ105の入力振幅の変化し、BER算出部121で算出されるビット誤り率(BER)の変化をもたらす。制御回路201は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、それによって得られたBERの値を対応させて記憶する(ステップS912)。
【0171】
スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」より、セレクタ2の選択信号は、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」となる。加算器5は、「SWEEP」と「AGCR」とを加算し、(SWEEP+AGCR)を出力する。加算器6は、入力信号のパワーPと(SWEEP+AGCR)との減算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。
【0172】
Aレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、AGCATOBを維持する(図14の(16)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値AGCATOBの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0173】
一方、Bレール回路では、乗算器12は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGBとの乗算を行なう。そして、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGBの値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、SWEEPが負の値なので、増加するものとする。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)」×AGCGBの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0174】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応した値、つまり、「TOBGAIN」に維持される(図14の(18)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図14の(19)に示す。)。(ステップS913)。
【0175】
スイープ信号「SWEEP」の値が増加する(図14の(20)に示す。)につれて、AGCBRAILの値は減少していき(図14の(21)に示す。)、AGCアンプ(B)130の利得は増加する方向に調整される(図14の(22)に示す。)(ステップS914)。そして、AGCBRAILの値が「AGCBTOA」を越えて小さくなると(図14の(23)に示す。)(ステップS915)、以下の処理が行なわれる。
【0176】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0177】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、0または正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0178】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0179】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「0」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。判定信号Y=「0」は、制御方向決定回路24に入力Aとして入力される。
【0180】
また、制御方向決定回路24では、D型フリップフロップ23に保持されている前回のサイクルでのBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」が入力Bとして入力される。
【0181】
制御方向決定回路24は、A=「0」、B=「1」に対応する制御方向を図11に示す入出力対応表より検索し、SELOUT=「1」を出力する(ステップS916)。
【0182】
そして、ステップS914〜S916がNサイクル繰返され、制御方向判定回路22は、Y=「0」をNサイクルに渡り連続して出力すると(ステップS917)、制御方向決定回路24には、Nサイクルに渡り連続して入力A=「0」が入力される。その結果、制御方向決定回路24は、図11に示す入出力対応表より制御方向を変更し、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS918)。
【0183】
Aレール回路では、乗算器7は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、減少するものとする(図14の(24)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0184】
Bレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図14の(25)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0185】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の減少に対応して、利得が増加する方向に調整される(図14の(26)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBによって、利得が、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応した値、つまり、「TOAGAIN」の値を維持する(図14の(27)に示す。)(ステップS919)。
【0186】
スイープ信号「SWEEP」の値が定められた範囲内の上限に達したら(図14の(28)に示す。)(ステップS920)、制御回路201は、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し(図14の(29)に示す。)、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する(図14の(30)に示す。)。制御回路201は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路200に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する(図14の(31)に示す。)(ステップS921)。
【0187】
以上のように本実施の形態に係わるAGC回路によれば、AGCアンプ(A)120の利得を制御するAレール回路と、AGCアンプ(B)130の利得を制御するBレール回路とを備えるので、各AGCアンプを別個に制御することができる。
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下の変形例も当然ながら包含する。
【0188】
(1)AGC回路
図15は、AGC回路の変形例を示す。同図のAGC回路300が、図7に示すAGC回路200と相違する点は、Aレール回路303と、Bレール回路304と、制御回路305である。
【0189】
制御回路305は、図7に示す制御回路201と概ね共通するが、制御回路305は、さらに、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCRSTAの設定を行なう。AGCRSATは、後述するようにリセットが実行されたときのAGCアンプ(A)120の利得に関係する値であり、ユーザが使用状況に応じて決める。
【0190】
Aレール回路303は、図7に示すAレール回路203に含まれるAND回路9の代わりに、セレクタ25を含む。セレクタ25は、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行されたときには、「AGCRSTA」を出力する。したがって、リセットが実行されたときには、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCRSTA」となる。
【0191】
これによって、リセットが実行されたときに、AGCアンプ(A)120の利得を、図7に示すAGC回路200のように最大値「MAXGAINA」ではなく、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCRSTA」に対応する値にすることができる。
【0192】
Bレール回路304は、図7に示すBレール回路204に含まれるセレクタ14の代わりに、AND回路26を含む。AND回路26は、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行されたときには、「0」を出力する。また、AND回路26は、レール選択信号SELOUT=「0」となり、Aレール回路が選択されたときには、「0」を出力する。したがって、リセットが実行されたとき、またはAレール回路が選択されたときには、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「0」となる。
【0193】
これによって、リセットが実行されたとき、またはAレール回路が選択されたときには、AGCアンプ(B)130の利得を、図7に示すAGC回路200のように、「TOAGAIN」でなく、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「0」に対応する値、つまり、最大値「MAXGAINB」にすることができる。
【0194】
(2)BER
本実施の形態では、第1の実施形態と同様に、ビット誤り率BERを小さくするため、スイープ信号SWEEPを入力して調整を行なったが、特に、ビット誤り率BERが問題とならないような場合には、スイープ信号SWEEPを入力して調整する必要がないので、スイープ信号SWEEPの入力に関連する回路とそれによる処理を省いてもよい。以下の実施例について同様である。
【0195】
(3)AGCアンプと制御信号との関係
本実施の形態では、Aレール回路で生成される制御信号AGCOUTAが、AGCアンプ(A)120を制御し、Bレール回路で生成される制御信号AGCOUTBがAGCアンプ(B)130を制御するものとしたが、これに限定するものではない。
【0196】
制御信号AGCOUTAが、AGCアンプ(B)130を制御し、制御信号AGCOUTBがAGCアンプ(A)120を制御するものとしてもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0197】
<第3の実施形態>
本実施の形態は、レール切り替えに際してオフセットを設けたAGC回路に関する。本実施の形態の受信機は、図6に示す第2の実施形態と同一の構成を示す。図16は、本実施の形態に係わるAGC回路の構成を示す。本実施の形態に係わるAGC回路400が、図7に示す第2の実施形態に係わるAGC回路と相違するのは、レール選択回路と制御回路である。
【0198】
制御回路401は、図7に示す制御回路201と概ね共通するが、制御回路401は、さらに、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCOFSA、AGCOFSBの設定を行なう。AGCOFSAは、Bレール回路の選択へ切り替わった際に固定されるAGCARAILの値と、Bレール回路へ選択を切り替えるか否かを決める閾値(AGCATOB)との間のオフセット量である。また、AGCOFSBは、Aレール回路の選択へ切り替わった際に固定されるAGCBRAILの値と、Aレール回路へ選択を切り替えるか否かを決める閾値(AGCBTOA)との間のオフセット量である。
【0199】
図17(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCARAILが「AGCATOB」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」となり、ループフィルタの出力信号AGCARAILが「AGCATOB+AGCOFSA」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、「OFSAGAIN」となる。「TOBGAIN」および「OFSAGAIN」は、「MINGAINA」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。
【0200】
図17(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが「AGCBTOA」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」となり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが「AGCBTOA−AGCOFSB」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、「OFSBGAIN」となる。「TOAGAIN」および「OFSBGAIN」は、「MAXGAINB」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。
【0201】
図18は、本実施の形態に係わるレール選択回路の構成を示す。レール選択回路410は、加算器30と、O/F判定回路31と、インバータ32と、セレクタ33と、加算器34と、U/F判定回路35と、インバータ36と、セレクタ37と、加算器19と、加算器20と、加算器21と、制御方向判定回路22と、D型フリップフロップ23と、AND回路38とを含む。
【0202】
加算器30は、「AGCATOB」と「AGCOFSA」の加算を行なって、(AGCATOB+AGCOFSA)を出力する。O/F判定回路31は、(AGCATOB+AGCOFSA)>1のときに、オーバーフローしたと判定し、「1」を出力する。インバータ32は、O/F判定回路31の出力を反転する。セレクタ33は、インバータ32の出力が「0」のとき、すなわち、オーバーフローしたときに、「AGCATOB」を出力し、インバータ32の出力が「1」のとき、すなわち、オーバーフローしていないときに、(AGCATOB+AGCOFSA)を出力する。
【0203】
加算器34は、「AGCBTOA」と「AGCOFSB」との減算を行なって、(AGCBTOA−AGCOFSB)を出力する。U/F判定回路35は、(AGCBTOA−AGCOFSB)<0のときに、アンダーフローしたと判定し、「1」を出力する。インバータ36は、U/F判定回路35の出力を反転する。セレクタ37は、インバータ36の出力が「0」のとき、すなわち、アンダーフローしたときに、「AGCBTOA」を出力し、インバータ36の出力が「1」のとき、すなわち、アンダーフローしていないときに、(AGCBTOA−AGCOFSB)を出力する。
【0204】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA)と、Aレール回路のループフィルタの出力信号AGCARAILとの減算を行なって、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)を出力する。
【0205】
加算器21は、(AGCBTOA−AGCOFSB)と、Bレール回路のループフィルタの出力信号AGCBRAILとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCOFSB−AGCBRAIL)を出力する。
【0206】
加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−AGCBRAIL)とXとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCOFSB−AGCBRAIL−X)を出力する。Xの値は、最下位ビット(以下、LSB)のビット値のみが1である値、つまり、最小の正の値である。この加算器20は、AGCBRAIL=AGCBTOA−AGCOFSBのときに、負の値を出力するために設けられている。
【0207】
加算器19、20および21は、2の補数形式で演算を行なう。したがって、演算結果が0または正の値の場合には、最上位ビット(以下、MSB)のビット値は「0」となり、演算結果が負の値の場合には、MSBのビット値は「1」となる。
【0208】
制御方向判定回路22は、A、B、およびCが入力され、判定信号Yを出力する。入力Aは、加算器20の出力のMSBである。入力Bは、加算器21の出力のMSBである。入力Cは、D型フリップフロップの出力、すなわち、1サイクル前の判定信号Yである。
【0209】
判定信号Yが「0」のときには、AND回路38にAレール回路の選択が促され、判定信号Yが「1」のときには、AND回路38にBレール回路の選択が促される。入力(A、B、C)と出力Yとの関係は、第2の実施形態と同様に、図10に示す入出力対応表にしたがう。
【0210】
AND回路38は、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行されたときには、レール選択信号SELOUT=「0」を出力する。また、AND回路38は、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されたときには、レール選択信号SELOUT=Yを出力する。つまり、制御方向判定回路22が出力した判定信号Yをそのまま出力する。
【0211】
(利得の調整)
図16に示すAGC回路400によって、全体の利得がどのように変化するかについて説明する。図19(a)は、全体の利得が減少する過程を示す。
【0212】
はじめにリセットが実行された状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「0」となる。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」となる。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「MAXGAINA」となる。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」となる。その結果、全体の利得は、(MAXGAINA+TOGAIN)となる。
【0213】
この状態では、Aレール回路を選択される。そして、Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは増加する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は減少する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0214】
ループフィルタの出力信号AGCARAILがさらに増加して、「AGCATOB+AGCOFSA」を越えた値になると、Bレール回路が選択される。そして、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILは「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは、増加する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、減少する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0215】
図19(b)は、全体の利得が増加する過程を示す。はじめに、Bレール回路が選択されている状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILは「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは減少する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、増加する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0216】
ループフィルタの出力信号AGCBRAILがさらに減少して、「AGCBTOA−AGCOFSB」未満の値になると、Aレール回路が選択される。Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは、減少する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、増加する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0217】
上述のようなAGC回路の利得調整の特徴は、第2の実施形態で説明した(1)〜(4)に加えて、さらに以下の特徴がある。
【0218】
(5)Bレール回路の選択からAレール回路の選択へ切り替わった際に、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」である。このとき、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値が微小変動した場合、「AGCATOB」を越えたとしても、「AGCATOB+AGCOFSA」を越えないようにすることができる。これにより、Aレール回路の選択からBレール回路の選択へもどる事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。
【0219】
同様に、Aレール回路の選択からBレール回路の選択へ切り替わった際に、制御信号AGCBRALの値は、「AGCBTOA」である。このとき、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値が微小変動した場合、「AGCBTOA」未満になったとしても、「AGCBTOA−AGCOFSB」未満にはならないようにすることができる。これにより、Bレール回路の選択からAレール回路の選択へもどる事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。
【0220】
(動作)
図20は、AGC制御の処理手順を示すフローチャートである。また、図21は、AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。これらの図を参照して、AGCの動作を説明する。
【0221】
まず、電源投入後、制御回路401によって、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行される。これにより、セレクタ2の選択信号は、「0」となる。また、リセット信号RST=「0」より、レール選択回路410が出力するレール選択信号SELOUT=「0」となる(ステップS1001)。
【0222】
Aレール回路では、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、RST=「0」およびSELOUT=「0」より、AGCARAIL=「0」を出力する(図21の(1)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、AGCARAIL=「0」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0223】
一方、Bレール回路では、加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15とで構成されるループフィルタは、SELOUT=「0」より、AGCARAIL=「AGCBTOA」を出力する(図21の(2)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、AGCBRAIL=「AGCBTOA」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0224】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がAGCARAIL=「0」に対応する値、つまり、「MAXGAINA」となるように調整される(図21の(3)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」となるように調整される(図21の(4)に示す。)(ステップS1002)。
【0225】
レール選択回路210には、AGCARAIL=「0」およびAGCBRAIL=「AGCBTOA」が入力される。
【0226】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0227】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。また、制御方向判定回路22の入力Cは、デフォルトの値「0」である。
【0228】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0229】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0230】
AND回路38は、リセット信号RST=「0」と判定信号Y=「0」より、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS1003)。
【0231】
次に、制御回路401によって、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されるが、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「0」なので、セレクタ2の選択信号は、「0」である(ステップS1004)。
【0232】
加算器5は、「0」と「AGCR」を加算し、「AGCR」を出力する。二乗和演算回路3は、「AGCIN」(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、算出された二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワー「P」と「AGCR」との減算を行なう。
【0233】
Aレール回路では、乗算器7は、(P−AGCR)とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{(P−AGCR)×AGCGA}の値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、増加するものとする(図21の(5)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGA}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0234】
Bレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「0」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図21の(6)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0235】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図21の(7)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」を維持する(図21の(8)に示す。)(ステップS1005)。
【0236】
上述のステップS1005の処理が繰返され、AGCアンプ(A)120の利得は、徐々に減少していく。そして、AGCARAILの値が「AGCATOB+AGCOFSA」を越えると(図21の(9)に示す。)(ステップS1006)、以下の処理が行なわれる。
【0237】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0238】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0239】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでAレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力したので、入力Cとして「0」が入力される。
【0240】
制御方向判定回路22は、A=「1」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。
【0241】
AND回路38は、判定信号Y=「1」およびリセット信号RST=「1」より、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS1007)。
【0242】
加算器5、二乗和演算回路3は、平方根演算回路4、加算器6は、入力信号のパワーPとAGCRとの減算を行なう。
【0243】
Aレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、「AGCATOB」となる(図21の(10)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値「AGCATOB」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0244】
一方、Bレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、AGCBRAILの値は、{(P−AGCR)×AGCGB}の値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、増加するものとする(図21の(11)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGB}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0245】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応する値、つまり「TOBGAIN」の値に維持される(図21の(12)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図21の(13)に示す。)。
【0246】
AGCアンプ(B)130の利得が減少していく際には、以下のようにしてBレール回路が常に選択される。
【0247】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0248】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0249】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0250】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。
【0251】
AND回路38は、判定信号Y=「1」およびリセット信号RST=「1」より、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS1008)。
【0252】
上述の処理が繰返された結果、全体利得が一定値に達し、A/Dコンバータの入力振幅が一定値に達する(図21の(14)に示す。)(ステップS1009)。
【0253】
A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となった時点で、誤り訂正回路198が誤り訂正の動作を開始する。誤り訂正回路198は、FECが収束して、BERが測定できる段階になると、BER算出部121と制御回路401にその旨を通知する。
【0254】
制御回路401は、BERが測定できる段階になると、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とし、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限に設定し(図21の(15)に示す。)、徐々に増加させていく。スイープ信号SWEEPの値を変化させると、AGCアンプ(A)120またはAGCアンプ(B)130の利得が変化し、それによって、A/Dコンバータ105の入力振幅の変化し、BER算出部121で算出されるビット誤り率(BER)の変化をもたらす。制御回路401は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、それによって得られたBERの値を対応させて記憶する(ステップS1010)。
【0255】
スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」より、セレクタ2の選択信号は、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」となる。加算器5は、「SWEEP」と「AGCR」とを加算し、(SWEEP+AGCR)を出力する。加算器6は、入力信号のパワーPと(SWEEP+AGCR)との減算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。
【0256】
Aレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、AGCATOBを維持する(図21の(16)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値「AGCATOB」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0257】
一方、Bレール回路では、乗算器12は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGBとの乗算を行なう。そして、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGBの値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、SWEEPが負の値なので、増加するものとする。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)」×AGCGBの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0258】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応した値、つまり、「TOBGAIN」に維持される(図21の(18)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図21の(19)に示す。)(ステップS1011)。
【0259】
スイープ信号「SWEEP」の値が増加する(図21の(20)に示す。)につれて、AGCBRAILの値は減少していき(図21の(21)に示す。)、AGCアンプ(B)130の利得は増加する方向に調整される(図21の(22)に示す。)(ステップS1012)。そして、AGCBRAILの値が「AGCBTOA−AGCOFSB」を越えて小さくなると(図21の(23)に示す。)(ステップS1013)、以下の処理が行なわれる。
【0260】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0261】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、0または正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0262】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0263】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「0」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0264】
AND回路38は、判定信号Y=「0」およびリセット信号RST=「1」より、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS1014)。
【0265】
Aレール回路では、乗算器7は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、減少するものとする(図21の(24)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0266】
Bレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図21の(25)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0267】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の減少に対応して、利得が増加する方向に調整される(図21の(26)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBによって、利得が、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応した値、つまり、「TOAGAIN」の値を維持する(図21の(27)に示す。)(ステップS1015)。
【0268】
スイープ信号「SWEEP」の値が定められた範囲内の上限に達したら(図21の(28)に示す。)(ステップS1016)、制御回路401は、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し(図21の(29)に示す。)、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する(図21の(30)に示す。)。制御回路401は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する(図21の(31)に示す。)(ステップS1017)。
【0269】
以上のように本実施形態に係わるAGC回路は、第2の形態に係わるAGC回路と同様に、各AGCアンプを別個に制御することができる。また、他のレール回路の選択へ切り替わった際に固定されるループフィルタの出力信号の値からオフセット量ずらした値を他のレール回路へ選択を切り替えるか否かを決める閾値とするので、レール回路の安定した切り替えができる。
【0270】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下の変形例も当然ながら包含する。
【0271】
(1)レール選択回路
図22は、レール選択回路の変形例を示す。同図のレール選択回路510が、図18に示すレール選択回路410と相違する点は、セレクタである。図22のレール選択回路510では、セレクタ40は、O/F判定回路31で、(AGCATOB+AGCOFSA)>1と判定されたときに、最大値「1」を出力する。また、セレクタ41は、U/F判定回路31で、(AGCBTOA−AGCOFSB)<0と判定されたときに、最小値「0」を出力する。
【0272】
(2)AGC回路
本実施の形態では、AGC回路に含まれるAレール回路とBレール回路は、図7に示す第2の実施形態と同様にしたが、図15に示す第2の実施形態の変形例と同様にしてもよい。すなわち、図16に示すAレール回路203とBレール回路204を、図15に示すAレール回路303とBレール回路304に代えてもよい。
【0273】
(3)オフセット
本実施の形態では、Aレール回路からBレール回路の切り替え、Bレール回路からAレール回路への切り替えの双方において、オフセットを設けるものとしたが、いずれか一方の切り替えにおいてのみ、オフセットを設けるものとしてもよい。
【0274】
(4)D型フリップフロップ
本実施の形態のレール選択回路410では、AND回路38からレール選択信号SELOUTが出力されるものとしたが、AND回路38の後段にD型フリップフロップを設けて、D型フリップフロップからレール選択信号SELOUTが出力されるものとしてよい。これによって、制御方向判定回路22からの出力Yの値が切り替わった後、レール選択信号SELOUTの値が切り替わるまでに一定時間要するようにすることができ、切り替えの際に、ノイズなどの影響によって両方向への切り替えが頻繁に行なわれるのを回避し、切り替えが安定して行なわれるようにすることができる。
【0275】
(5)OFSAGAIN、OFSBGAIN
本実施の形態では、OFSAGAINは、MINGAINAに近く、かつ利得特性の安定した値としたが、OFSAGAINとTOBGAINとの差をより多くとることや、TOBGAINの値をできるだけMINGAINに近い値とすることを優先する場合には、OFSAGAINの値は、利得特性が多少安定していなくても、よりMINGAINAに近い値とするものとしてもよい。
【0276】
同様に、OFSBGAINは、MAXGAINAに近く、かつ利得特性の安定した値としたが、OFSBGAINとTOAGAINとの差をより多くとることや、TOAGAINの値をできるだけMAXGAINAに近い値とすることを優先する場合には、OFSBGAINの値は、利得特性が多少安定していなくても、よりMAXGAINAに近い値とするものとしてもよい。
【0277】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0278】
【発明の効果】
この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、所定の範囲内で可変調整される調整信号の値と、受信機に入力される入力信号のパワーの参照値とを加算し、加算結果と受信機に入力される入力信号のパワーとの差分値を算出する演算回路と、前記差分値に基づいて、前記第1自動利得制御アンプの利得および前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する制御信号の値を調整する制御信号調整回路とを備える。これにより、調整信号の値を変化させることで、ビット誤り率を少なくするように第1および第2自動利得制御アンプの利得を調整することができる。
【0279】
ここで、前記自動利得制御回路は、前記調整信号の値を可変調整する回路と、受信機に入力される入力信号の復調後のビット誤り率を取得する回路と、前記調整信号の値と、その調整信号の値により前記第1自動利得制御アンプおよび前記第2自動利得制御アンプの利得が制御された結果変化したビット誤り率とを対応させて記憶する回路と、前記記憶した対応の中で、ビット誤り率が最小となる調整信号の値を特定し、前記演算回路に入力する調整信号の値を前記特定した値に固定する回路とを含む制御回路を備える。これにより、調整信号の値を変化させることで、ビット誤り率が最小となるように第1および第2自動利得制御アンプの利得を自動的に調整することができる。
【0280】
ここで、前記制御信号調整回路は、第1自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値を調整し、第2自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値を調整するものであって、前記第1の制御信号または前記第2の制御信号のいずれか一方の値を固定し、他方の値を調整する。これにより、第1および第2自動利得制御アンプの利得を別個に調整することができる。
【0281】
この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。
【0282】
これにより、第1および第2自動利得制御アンプの利得を別個に調整することができる。また、利得を下げるときに第1の制御信号の値の終了点は第1制御値を越えた値となり、利得を上げるときに第1の制御信号の値の開始点は、第1制御値となり、利得を上げるときに第2の制御信号の値の終了点は第2制御値を越えた値となり、利得を上げるときに第2の制御信号の値の開始点は第2制御値となる。したがって、自動利得制御アンプにおける制御信号に対する利得のヒステリシス特性に適合した制御が可能となる。
【0283】
ここで、前記第1制御値は、前記第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が最小利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とし、前記第2制御値は、前記第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプが最大利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする。これにより、第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が調整されている間、第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得を最大利得に近い値で保ち、第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が調整されている間、第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプを最小利得に近い値で保つので、受信機全体のとり得る利得の範囲を広くすることができる。
【0284】
ここで、前記制御信号調整回路は、第1の制御信号によって前記第1自動利得制御アンプの利得を制御し、第2の制御信号によって前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する。これにより、第1自動利得制御アンプの利得が調整されている間、RF信号を増幅する第2自動利得制御アンプを最大利得付近で使用することができ、受信機に入力される入力信号が微弱な場合でも、チューナは、後段の処理に支障のない大きさのIF信号を出力することができる。
【0285】
ここで、前記制御信号調整回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1自動利得制御アンプの利得が最大値に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とするので、リセット後、第1自動利得制御アンプの利得を大きく、かつひずみやノイズなどの影響が少ない安定した利得に設定することができる。
【0286】
ここで、前記調整指示回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を調整するように指示するので、リセット後、第1自動利得制御アンプにより利得が調整され、第2自動利得制御アンプの利得を最大利得に近い値に保つことができる。
【0287】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を前記制御信号調整回路に指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を減算する第2の演算回路と、前記指示信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記指示信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。これにより、簡易な構成で、第1の制御信号の調整と第2の制御信号の調整の切り替えを行なうことができる。
【0288】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整を促すか、または前記第2の制御信号の値の調整を促すかを示す判定信号を生成する判定信号生成回路と、前記判定信号生成回路が、前記第1の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第1の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成し、前記判定信号生成回路が、前記第2の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第2の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を演算する第2の演算回路と、前記判定信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記判定信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。これにより、第1の制御信号の調整と第2の制御信号の調整を切り替える際に、ノイズなどの影響によって両方向への切り替えが頻繁に行なわれるのを回避し、切り替えが安定して行なわれるようにすることができる。
【0289】
また、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値よりも前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が大きくなる第3制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値よりも前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が小さくなる第4制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。これにより、第2の制御信号の値の調整から第1の制御信号の値の調整へ切り替わった際の、第1の制御信号の調整開始値は、第3の制御値(<第1の制御値)である。第1の制御信号の値が変動して、第3の制御値を越えた場合でも、第1の制御値を越えないようにすることができ、再び第2の制御信号の調整へ切り替われるような事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。また、第1の制御信号の値の調整から第2の制御信号の値の調整へ切り替わった際の、第2の制御信号の調整開始値は、第4の制御値(>第2の制御値)である。第2の制御信号の値が変動して、第4の制御値を越えた場合でも、第2の制御値を越えないようにすることができ、再び第1の制御信号の調整へ切り替われるような事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。
【0290】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1制御値とし、最大値を越えたときには、前記第3制御値を前記第1制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第1のオフセット値が大きいため、前記第3制御値と第1のオフセット値との加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えている場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【0291】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1の制御値とし、最大値を越えているときには、前記最大値を前記第1制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第1のオフセット値が大きいため、前記第3制御値と第1のオフセット値との加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えている場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【0292】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記第4制御値を前記第2制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第2のオフセット値が大きいため、前記第4制御値と第2のオフセット値との減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満の場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【0293】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記最小値を前記第2制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第2のオフセット値が大きいため、前記第4制御値と第2のオフセット値との減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満の場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】受信機の構成を示す図である。
【図2】AGC回路の構成を示す図である。
【図3】(a)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、(b)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す図である。
【図4】AGC処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図5】ループフィルタの出力信号と、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。
【図6】受信機の構成を示す図である。
【図7】AGC回路の構成を示す図である。
【図8】(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す図である。
【図9】レール選択回路の構成を示す図である。
【図10】入力(A、B、C)と出力Yとの関係を示す入出力対応表を示す図である。
【図11】入力(A、B、C)と出力SELOUTとの関係を示す入出力対応表を示す図である。
【図12】(a)は、全体の利得が減少する過程を示し、(b)は、全体の利得が増加する過程を示す図である。
【図13】AGC制御の処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図14】AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。
【図15】AGC回路の変形例を示す図である。
【図16】AGC回路の構成を示す図である。
【図17】(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す図である。
【図18】レール選択回路の構成を示す図である。
【図19】(a)は、全体の利得が減少する過程を示し、(b)は、全体の利得が増加する過程を示す図である。
【図20】AGC制御の処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図21】AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。
【図22】レール選択回路の変形例を示す図である。
【図23】従来の受信機の構成を示す図である。
【図24】従来のAGC回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,9,26,38,59 AND回路、2,10,14,25,33,37,40,41 セレクタ、3 二乗和演算回路、4 平方根演算回路、5,6,8,13,19,20,21,30,34,58 加算器、7,12,57,115,116 乗算器、10,15,23,60 D型フリップフロップ、16,32,36 インバータ、17、18,61 デジタル/アナログ変換器(DAC)、22 制御方向判定回路、24 制御方向決定回路、31 O/F判定回路、35 U/F判定回路、98,122,201,305,401 制御回路、99、110,300,400 AGC回路、101 チューナ、102 バンドパスフィルタ、103 周波数変換器、104 発振器、105 A/Dコンバータ、106,107 LPF、108 デロデータ、109 デコーダ、111 NCO、112 ループフィルタ、113 位相比較器、114,514,614 復調回路、120 AGCアンプ(A)、121 BER算出回路、123 アンテナ、130 AGCアンプ(B)、198,199 誤り訂正回路、202 両レール共通回路、203,303 Aレール回路、204,304 Bレール回路、210、410,510 レール選択回路。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動利得制御回路に関し、特に、2つの自動利得制御アンプを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル復調を行なう受信機などは、自動利得制御アンプ(以下、AGCアンプと記す。)とAGCアンプの利得を制御する自動利得制御回路(以下、AGC回路と記す。)を備えている。
【0003】
図23は、このような受信機の構成を示す。この受信機は、アンテナ123と、チューナ101と、バンドパスフィルタ102と、AGCアンプ(A)120と、周波数変換器103と、発振器104と、A/Dコンバータ105と、復調回路514と、誤り訂正回路199とを含む。
【0004】
アンテナ123は、地上波、衛星波、またはケーブルなどの伝送路より伝わってきた高周波の無線周波数(RF)信号を受信する。チューナ101は、AGCアンプ(B)130を含み、AGCアンプ(B)130は、アンテナ123より出力される無線周波数(RF)信号を増幅する。また、チューナ101は、増幅された無線周波数(RF)信号から希望するチャネルの信号を選択し、その信号を30MHz〜50MHzの中間周波数(IF)信号に変換する。
【0005】
バンドパスフィルタ102は、中間周波数(IF)の成分のみを通過させる。AGCアンプ(A)120は、中間周波数(IF)信号を増幅する。発振器104は、一定の周波数信号を出力する。周波数変換器103は、発振器104より出力される一定の周波数信号と、AGCアンプ(B)130で増幅された中間周波数(IF)信号とを混合して、ベースバンド信号を出力する。
【0006】
A/Dコンバータ105は、アナログのベースバンド信号をデジタルのベースバンド信号に変換して復調回路514に送る。A/Dコンバータ105は、その変換精度を一定に保つために、入力振幅が一定となることが要求される。
【0007】
誤り訂正回路199は、順方向誤り訂正方式(以下、FECと略す。)によって、ビット列の誤りを訂正する。誤り訂正回路199は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となったときに、誤り訂正の動作を開始する。
【0008】
復調回路514は、乗算器115と、乗算器116と、LPF106と、LPF107と、デロデータ108と、デコーダ109と、NCO111と、ループフィルタ112と、位相比較器113と、AGG回路99と、制御回路98とを含む。
【0009】
乗算器115は、ベースバンド信号を固定周波数の局部発振器から出力された正弦波の波形をもつ信号を乗算することで、入力信号のI軸成分のシンボルを抽出する。乗算器116は、ベースバンド信号を固定周波数の局部発振器から出力された余弦波の波形をもつ信号を乗算することで、入力信号のQ軸成分のシンボルを抽出する。
【0010】
LPF106およびLPF107とは、同一周波数特性のローパスフィルタで、スペクトル整形する。位相比較器113は、入力されたシンボルについて理想的なシンボルを予測し、これらのシンボルの間の位相誤差を検出する。
【0011】
ループフィルタ112は、検出された位相誤差を平滑化して、NCO111に送る。NCO111は、数値制御発振器であり、入力された平滑化された位相誤差に比例する周波数をもつ正弦波の信号と余弦波の信号をデロデータ108に送る。デロデータ108は、複素乗算器であり、NCO111から送られた正弦波の信号と余弦波の信号を受けて、シンボルの位相ずれおよび周波数ずれを調節する。デコーダ109は、シンボル情報をビット列に変換する。
【0012】
AGC回路99は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となるように、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得を制御する制御信号AGCOUTを送る。
【0013】
図24は、AGC回路99の構成を示す。同図を参照して、AGC回路99は、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器6と、乗算器57と、加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60と、デジタル/アナログ変換器(DAC)61と、制御回路98とを含む。
【0014】
制御回路98は、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCRとAGCGの値を設定する。AGCRは、変調方式ごとに規定される入力信号の理想的なパワー値である。AGCGは、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に送る制御信号AGCOUTの大きさの絶対値を調整するための値である。制御回路98は、電源投入後、リセット実行のためリセット信号RST=「0」とし、その後、リセット解除のためリセット信号RST=「1」とする。
【0015】
二乗和演算回路3は、LPF106およびLPF107から出力されるAGCIN(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、AGCINの二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワーPと(AGCR)との減算を行って、(P−AGCR)を出力する。乗算器57は、(P−AGCR)とAGCGとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCG}を出力する。
【0016】
加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、RST=「0」のときには、「0」を出力し、RST=「1」のときには、乗算器57の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCG}の値を平均化して出力する。
【0017】
デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0018】
ループフィルタの出力信号が最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となる。ループフィルタの出力信号が最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。
【0019】
以上のように、AGC回路によって、入力信号のパワーPと、変調方式ごとに規定される入力信号の理想的なパワー値AGCRとの差分(P−AGCR)が小さくなるように、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得が制御される。これによって、A/Dコンバータ105の入力振幅を一定にすることができる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、伝送路内で入力信号の反射信号の重畳や、スペリアスなどの不要輻射などによって、入力信号には多量のノイズが含まれている。したがって、上述のAGC回路において、算出した入力信号のパワーの値はそれほど信頼できるものではない。そのようなパワー値に基づいて、AGCアンプの利得が制御されるると、復調回路から出力されるビット列のビット誤り率が極端に悪くなる。
【0021】
また、2つのAGCアンプは、それぞれ固有の特性をもつ。たとえば、RF信号を増幅するAGCアンプ(B)130は、受信した入力信号のレベルが低い場合でも入力信号を後段での処理が可能な大きさに増幅するため、できるだけ最大利得付近で使用するほうがよいなどの特性がある。
【0022】
しかしながら、上述のAGC回路では、ループフィルタの出力信号が最小値のときに2つのAGCアンプの利得はともに最大値となるように制御され、ループフィルタの出力信号が最大値のときに、2つのAGCアンプの利得はともに最小値となるように制御され、2つのAGCアンプをそれぞれ別個に制御することができない。
【0023】
それゆえ、この発明の目的は、ビット誤り率が少なくなるようにAGCアンプの利得を制御するAGC回路を提供することである。
【0024】
また、この発明の他の目的は、2つのAGCアンプを別個に制御するAGC回路を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、所定の範囲内で可変調整される調整信号の値と、受信機に入力される入力信号のパワーの参照値とを加算し、加算結果と受信機に入力される入力信号のパワーとの差分値を算出する演算回路と、前記差分値に基づいて、前記第1自動利得制御アンプの利得および前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する制御信号の値を調整する制御信号調整回路とを備える。
【0026】
好ましくは、前記自動利得制御回路は、前記調整信号の値を可変調整する回路と、受信機に入力される入力信号の復調後のビット誤り率を取得する回路と、前記調整信号の値と、その調整信号の値により前記第1自動利得制御アンプおよび前記第2自動利得制御アンプの利得が制御された結果変化したビット誤り率とを対応させて記憶する回路と、前記記憶した対応の中で、ビット誤り率が最小となる調整信号の値を特定し、前記演算回路に入力する調整信号の値を前記特定した値に固定する回路とを含む制御回路を備える。
【0027】
好ましくは、前記制御信号調整回路は、第1自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値を調整し、第2自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値を調整するものであって、前記第1の制御信号または前記第2の制御信号のいずれか一方の値を固定し、他方の値を調整する。
【0028】
また、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。
【0029】
好ましくは、前記第1制御値は、前記第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が最小利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とし、前記第2制御値は、前記第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプが最大利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする。
【0030】
好ましくは、前記制御信号調整回路は、第1の制御信号によって前記第1自動利得制御アンプの利得を制御し、第2の制御信号によって前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する。
【0031】
好ましくは、前記制御信号調整回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1自動利得制御アンプの利得が最大値に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする。
【0032】
好ましくは、前記調整指示回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を調整するように指示する。
【0033】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を前記制御信号調整回路に指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を減算する第2の演算回路と、前記指示信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記指示信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。
【0034】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整を促すか、または前記第2の制御信号の値の調整を促すかを示す判定信号を生成する判定信号生成回路と、前記判定信号生成回路が、前記第1の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第1の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成し、前記判定信号生成回路が、前記第2の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第2の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を演算する第2の演算回路と、前記判定信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記判定信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。
【0035】
また、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値よりも前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が大きくなる第3制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値よりも前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が小さくなる第4制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。
【0036】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1制御値とし、最大値を越えたときには、前記第3制御値を前記第1制御値とするセレクタを含む。
【0037】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1の制御値とし、最大値を越えているときには、前記最大値を前記第1制御値とするセレクタを含む。
【0038】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記第4制御値を前記第2制御値とするセレクタを含む。
【0039】
好ましくは、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記最小値を前記第2制御値とするセレクタを含む。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0041】
<第1の実施形態>
本実施の形態は、ビット誤り率に基づいて、利得を調整することのできるAGCに関する。
【0042】
(構成)
図1は、本実施の形態に関する受信機の構成を示す。本実施の形態に係わる受信機は、アンテナ123と、チューナ101と、バンドパスフィルタ102と、AGCアンプ(A)120と、周波数変換器103と、発振器104と、A/Dコンバータ105と、復調回路114と、誤り訂正回路198と、BER算出回路121とを含む。
【0043】
アンテナ123は、地上波、衛星波、またはケーブルなどの伝送路より伝わってきた高周波の無線周波数(RF)信号を受信する。チューナ101は、AGCアンプ(B)130を含み、AGCアンプ(B)130は、アンテナ123より出力される無線周波数(RF)信号を増幅する。また、チューナ101は、増幅された無線周波数(RF)信号から希望するチャネルの信号を選択し、その信号を30MHz〜50MHzの中間周波数(IF)信号に変換する。
【0044】
バンドパスフィルタ102は、中間周波数(IF)の成分のみを通過させる。AGCアンプ(A)120は、中間周波数(IF)信号を増幅する。発振器104は、一定の周波数信号を出力する。周波数変換器103は、発振器104より出力される一定の周波数信号と、AGCアンプ(B)130で増幅された中間周波数(IF)信号とを混合して、ベースバンド信号を出力する。
【0045】
A/Dコンバータ105は、アナログのベースバンド信号をデジタルのベースバンド信号に変換して復調回路114に送る。
【0046】
誤り訂正回路198は、順方向誤り訂正方式(以下、FECと略す。)によって、ビット列の誤りを訂正するとともに、伝送ビット数と誤りビット数とからなる誤り情報をBER算出回路121に伝える。誤り訂正回路198は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となったときに、誤り訂正の動作を開始する。また、誤り訂正回路198は、誤り訂正の動作を開始したときには、所定の演算を施し、誤り訂正が可能な状態かどうかを調べ、誤り訂正が可能な状態となったとき(この状態をFECが収束したときという。)、BER算出部121と制御回路122にその旨を通知する。
【0047】
BER算出部121は、誤り訂正回路198においてFECが収束後、誤り訂正回路198からの誤り情報を受けて、誤りビット数/伝送ビット数を計算することで、BER(ビット誤り率)を得て、制御回路122に出力する。
【0048】
復調回路114は、乗算器115と、乗算器116と、LPF106、LPF107と、デロデータ108と、デコーダ109と、NCO111と、ループフィルタ112と、位相比較器113と、AGG回路110と、制御回路122とを含む。AGC回路110と制御回路122以外の構成要素は、図23に示す従来の復調回路と同様なので、説明は省略する。
【0049】
AGG回路110は、LPF106およびLPF107からの出力を受ける。AGC回路110は、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となるように、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に、それらの利得を制御する制御信号AGCOUTを送る。
【0050】
図2は、AGC回路の構成を示す。同図を参照して、AGC回路110は、AND回路1と、セレクタ2と、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器5と、加算器6と、乗算器57と、加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60と、デジタル/アナログ変換器(DAC)61と、制御回路122とを含む。
【0051】
制御回路122は、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCRとAGCGの値を設定する。AGCRは、変調方式ごとに規定される入力信号の理想的なパワー値である。AGCGは、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に送る制御信号AGCOUT(後述する)の大きさの絶対値を調整するための値である。
【0052】
また、制御回路122は、リセット信号RST、スイープイネーブル信号SWEEPEN、およびスイープ信号SWEEPの値を制御する。
【0053】
制御回路122は、電源投入後、リセット実行のためリセット信号RST=「0」とし、その後、リセット解除のためリセット信号RST=「1」とする。
【0054】
制御回路122は、誤り訂正回路198においてFECが収束後、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とする。
【0055】
制御回路122は、誤り訂正回路198においてFECが収束後、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限から上限まで、徐々に増加させる。スイープ信号SWEEPは、可変調整される調整信号である。スイープ信号SWEEPの値が変化することによって、AGC回路110から出力される制御信号AGCOUTが変化し、それによって、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得が変化する。そして、このAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得の変化が、ビット誤り率(BER)の変化をもたらす。制御回路122は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、そのスイープ信号SWEEPの値によって得られるBERとを対応させて記憶する。制御回路122は、スイープ信号SWEEPの値が定められた範囲内の上限に達したら、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する。制御回路122は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する。
【0056】
AND回路1は、リセット信号RST=「1」かつスイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」のときに、「1」を出力し、それ以外のときに、「0」を出力する。
【0057】
セレクタ2は、AND回路の出力が「1」であれば、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」を出力し、AND回路の出力が「0」であれば、「0」を出力する。
【0058】
二乗和演算回路3は、AGCIN(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、AGCINの二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。
【0059】
加算器5は、「AGCR」と、「0」または「SEEEP」との加算を行なって、(ACCR)または(AGCR+SWEEP)を出力する。
【0060】
加算器6は、入力信号のパワーPと(AGCR)または(AGCR+SWEEP)との減算を行って、(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。
【0061】
乗算器57は、(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCG}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCG}を出力する。
【0062】
加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、RST=「0」のときには、「0」を出力し、RST=「1」のときには、乗算器57の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCG}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCG}の値を平均化して出力する。
【0063】
デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する。図3(a)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、図3(b)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号が最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となる。ループフィルタの出力信号が最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となり、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。
【0064】
(動作)
図4は、AGC処理手順を示すフローチャートである。また、図5は、ループフィルタの出力信号と、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。これらの図を参照して、AGCの動作を説明する。
【0065】
電源投入後、制御回路122によって、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行される。これにより、セレクタ2の選択信号は、「0」となる(ステップS801)。
【0066】
加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とからなるループフィルタは、RST=「0」より、「0」を出力する(図5の(1)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号「0」をアナログ値に変換したAGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する(ステップS802)。
【0067】
AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTにより、利得がループフィルタの出力信号「0」に対応する値、つまり最大値「MAXGAIN」となるように調整される(図5の(2)に示す。)(ステップS803)。
【0068】
次に、制御回路122によって、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されるが、スイープイネーブル信号SWEEPEN=0なので、セレクタ2の選択信号は、「0」である(ステップS804)。
【0069】
加算器5は、「0」とAGCRを加算し、AGCRを出力する。二乗和演算回路3は、AGCIN(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、算出された二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワーPとAGCRとの減算を行って、(P−AGCR)を出力する。乗算器57は、(P−AGCR)とAGCGとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCG}を出力する。加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とからなるループフィルタは、RST=「1」より、{(P−AGCR)×AGCG}の値を平均化して出力する。ここでは、ループフィルタの出力信号の値は増加するものとする(図5の(3)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号である平均化された{(P−AGCR)×AGCG}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130へ出力する(ステップS805)。
【0070】
AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTにより、ループフィルタの出力信号の値の増加に対応して、利得が「MAXGAIN」から減少する方向に調整される(図5の(4)に示す。)(ステップS806)。
【0071】
ステップS805およびS806の処理が繰返された結果、A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となる(図5の(5)に示す。)(ステップS807)。
【0072】
A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となると、誤り訂正回路198が誤り訂正の動作を開始する。誤り訂正回路198は、FECが収束して、BERが測定できる段階になると、BER算出部121と制御回路122にその旨を通知する(ステップS808)。
【0073】
制御回路122は、BERが測定できる段階になると、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とし、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限に設定する(図5の(6)に示す。)。
【0074】
スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」より、セレクタ2の選択信号は、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」となる。加算器5は、「SWEEP」と「AGCR」とを加算し、(SWEEP+AGCR)を出力する。加算器6は、入力信号のパワーPと(SWEEP+AGCR)との減算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。乗算器57は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGとの乗算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGを出力する。加算器58と、AND回路59と、D型フリップフロップ60とからなるループフィルタは、RST=「1」より、{P−(AGCR+SWEEP)}×AGCGの値を平均化して出力する。ここでは、ループフィルタの出力信号の値は減少するものとする(図5の(7)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)61は、ループフィルタの出力信号である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTをAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130に出力する(ステップS810)。
【0075】
AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTにより、ループフィルタの出力信号の値の減少に対応して、利得が増加する方向に調整される(図5の(8)に示す。)(ステップS811)。
【0076】
AGGアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得変化により、A/Dコンバータ105の入力振幅が変化し、それによって変化したビット誤り率(BER)がBER算出部121によって、算出される。そして、制御回路122は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、それによって得られたBERの値を対応させて記憶する(ステップS812)。
【0077】
制御回路122は、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内で徐々に増加させて、ステップS810〜S812の処理を繰返し、スイープ信号SWEEPの値が定められた範囲内の上限に達したら、ステップS810〜S812の処理を終了する(ステップS813)。
【0078】
制御回路122は、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し(図5の(9)に示す。)、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する(図5の(10)に示す。)。制御回路122は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する(図5の(11)に示す。)(ステップS814)。
【0079】
以上のように、本実施の形態に係わる自動利得制御回路では、スイープ信号SWEEPの値を変化させることで、ビット誤り率が最小となるようにAGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得を調整することができる。
【0080】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下の変形例も当然ながら包含する。
【0081】
(1)ループフィルタの出力値とAGCアンプの利得との関係
本実施の形態では、ループフィルタの出力値が増加すると、AGCアンプの利得が減少するものとしたが、これに限定するものではない。ループフィルタの出力値が増加すると、AGCアンプの利得が増加するものとしてもよい。以下の実施形態についても同様である。
【0082】
(2)制御回路、BER算出部
本実施の形態では、AGC回路が制御回路を含むものとしたが、AGC回路外に制御回路を設けるものとしてもよい。また、本実施の形態では、BER算出部をAGC回路外に設けたが、AGC回路内に設けてもよい。これは、以下の実施形態についても同様である。
【0083】
(3)SWEEP信号の調整
本実施の形態では、制御回路122は、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限から上限まで、徐々に増加するように設定し、設定したスイープ信号SWEEPの値と、そのスイープ信号SWEEPの値によって得られるBERとを対応させて記憶する。そして、制御回路122は、最も小さな値のBERを検索し、そのBERに対応するSWEEPの値を特定するものとしたが、これに限定するものではなく、次のように、ユーザ操作に関わらしめるものであってもよい。つまり、ユーザが、スイープ信号SWEEPの値を任意の値に設定し、そのスイープ信号SWEEPの値によって得られるBERを表示する。ユーザは、スイープ信号SWEEPの値を変化させ、それによって得られたBERの値を見ながら、BERが小さくなるようなSWEEPの値を特定する。そして、ユーザは、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する。
【0084】
<第2の実施形態>
本実施の形態は、2つのAGCアンプそれぞれを別個に制御するための制御信号を生成するAGCに関する。
【0085】
(構成)
図6は、本実施の形態に係わる受信機の構成を示す。同図の受信機が、図1に示す第1の実施形態に係わる受信機と相違する点は、AGC回路が、AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130に、それぞれ別個の制御信号を出力している点である。
【0086】
図7は、AGC回路の構成を示す。AGC回路200は、AGCアンプ(A)120に制御信号AGCOUTAを出力し、AGCアンプ(B)130に制御信号AGCOUTBを出力する。AGC回路200は、AGCアンプ(A)120の利得を制御する制御信号AGCOUTAの生成に関与する部分であるAレール回路203と、AGCアンプ(B)130の利得を制御する制御信号AGCOUTBの生成に関与する部分であるBレール回路204と、両方の制御信号の生成に関与する部分である両レール共通回路202と、いずれの制御信号の値を調整するかを選択する部分であるレール選択回路210と、制御回路201とから構成される。
【0087】
制御回路201は、第1の実施形態の制御回路122と概ね共通するが、制御回路201は、さらに、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCGA、AGCGB、AGCATOB、AGCBTOAの設定を行なう。AGCGAは、AGCアンプ(A)120に送る制御信号AGCOUTAの大きさの絶対値を調整するための値である。AGCGBは、AGCアンプ(B)130に送る制御信号AGCOUTBの大きさの絶対値を調整するための値である。
【0088】
AGCATOBは、制御信号AGCOUTAの値の調整から制御信号AGCOUTBの値の調整に切り替えるポイントを表わす。AGCBTOAは、制御信号AGCOUTBの値の調整から、制御信号AGCOUTAの値の調整に切り替えるポイントを表わす。AGCATOBおよびAGCBTOAについて、詳しくは後述する。なお、制御信号AGCOUTAの値の調整を行なうときには、Aレール回路を選択するといい、制御信号AGCOUTBの値の調整を行なうときには、Bレール回路を選択するという。
【0089】
両レール共通回路202は、AND回路1と、セレクタ2と、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器5と、乗算器6とを含む。これらの各構成要素は、それぞれ、第1の実施形態の構成要素と同一である。
【0090】
Aレール回路203は、乗算器7と、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11と、デジタル/アナログ変換器(DAC)17と、インバータ16とを含む。
【0091】
乗算器7は、加算器6が出力する(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGAとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCGA}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGA}を出力する。
【0092】
加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、リセット信号RST=「0」のときには「0」を出力し、レール選択信号SELOUT=「1」のときには「AGCATOB」を出力し、リセット信号RST=「1」かつレール選択信号SELOUT=「0」のときには乗算器7の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCGA}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGA}の値を平均化して出力する。このループフィルタの出力信号をAGCARAILと記す。ここで、リセット信号RSTは、リセットが実行されるときに「1」となり、リセットが解除されるときに「0」となる。レール選択信号SELOUTは、Aレール回路が選択されるときに「0」となり、Bレール回路が選択されるときに「1」となる。
【0093】
デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力信号AGCARAILをアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0094】
図8(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCARAILがレール回路の選択切り替えポイントである「AGCATOB」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」となる。「TOBGAIN」は、「MINGAINA」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。ここで、ひずみが多いとは、たとえば、AGCアンプの入出力間の関係が飽和により非直線性を示していることをいう。
【0095】
Bレール回路204は、乗算器12と、加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15と、デジタルアナログ変換器(DAC)18とを含む。
【0096】
乗算器12は、加算器6が出力する(P−AGCR)または{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGBとの乗算を行って、{(P−AGCR)×AGCGB}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGB}を出力する。
【0097】
加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15とは、ループフィルタを形成する。このループフィルタは、レール選択信号SELOUT=「0」のときには「AGCBTOA」を出力し、レール選択信号SELOUT=「1」のときには乗算器12の出力、すなわち、{(P−AGCR)×AGCGB}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGB}の値を平均化して出力する。このループフィルタの出力信号をAGCBRAILと記す。
【0098】
ここで、レール選択信号SELOUTは、Aレール回路が選択されるときに「0」となり、Bレール回路が選択されるときに「1」となる。
【0099】
デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILをアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0100】
図8(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCBRAILがレール回路の選択切り替えポイントである「AGCBTOA」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」となる。「TOAGAIN」は、「MAXGAINB」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。
【0101】
図9は、レール選択回路210の構成を示す。レール選択回路210は、加算器19と、加算器20と、加算器21と、制御方向判定回路22と、D型フリップフロップ23と、制御方向決定回路24とを含む。
【0102】
加算器19は、AGCATOBと、Aレール回路のループフィルタの出力信号AGCARAILとの減算を行なって、(AGCATOB−AGCARAIL)を出力する。
【0103】
加算器21は、AGCBTOAと、Bレール回路のループフィルタの出力信号AGCBRAILとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCBRAIL)を出力する。
【0104】
加算器20は、(AGCBTOA−AGCBRAIL)とXとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCBRAIL−X)を出力する。Xの値は、最下位ビット(以下、LSB)のビット値のみが1である値、つまり、最小の正の値である。この加算器20は、AGCBRAIL=AGCBTOAのときに、負の値を出力するために設けられている。
【0105】
加算器19、20および21は、2の補数形式で演算を行なう。したがって、演算結果が0または正の値の場合には、最上位ビット(以下、MSB)のビット値は0となり、演算結果が負の値の場合には、MSBのビット値は1となる。
【0106】
制御方向判定回路22は、A、B、およびCが入力され、判定信号Yを出力する。入力Aは、加算器20の出力のMSBである。入力Bは、加算器21の出力のMSBである。入力Cは、D型フリップフロップの出力、すなわち、1サイクル前の判定信号Yである。判定信号Yが「0」のときには、制御方向決定回路24にAレール回路の選択を促し、判定信号Yが「1」のときには、制御方向決定回路24にBレール回路の選択を促す。
【0107】
図10は、入力(A、B、C)と出力Yとの関係を示す入出力対応表である。同図に示すように、(A、B、C)=(0、1、0)は、AGCARAIL≦AGCATOB、AGCBRAIL>(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL≧AGCBTOA)、1サイクル前にAレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」を越えておらず、Bレール回路では、AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定されている状態を示している。したがって、AGGアンプ(A)の利得を調整するため、Aレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「0」とする。
【0108】
(A、B、C)=(1、1、0)は、AGCARAIL>AGCATOB、AGCBRAIL>(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL≧AGCBTOA)、1サイクル前にAレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」を越えており、Bレール回路では、AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定されている状態を示している。したがって、AGGアンプ(B)の利得を調整するため、Bレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「1」とする。
【0109】
(A、B、C)=(0、1、1)は、AGCARAIL≦AGCATOB、AGCBRAIL>(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL≧AGCBTOA)、1サイクル前にBレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」に固定され、Bレール回路では、AGCBRAILは、「AGCBTOA」を越えていない状態を示している。したがって、AGCアンプ(B)130の利得を調整するため、Bレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「1」とする。
【0110】
(A、B、C)=(0、0、1)は、AGCARAIL≦AGCATOB、AGCBRAIL≦(AGCBTOA−X)(すなわち、AGCBRAIL<AGCBTOA)、1サイクル前にBレール回路の選択を促す判定信号Yが出力されていたという状態を示す。この状態は、Aレール回路では、AGCARAILは「AGCATOB」に固定され、Bレール回路では、AGCBRAILは「AGCBTOA」を越えている状態を示している、したがって、AGCアンプ(A)120の利得を調整するため、Aレール回路の選択を指示するように判定信号Yを「0」とする。
【0111】
制御方向決定回路24は、A、B、およびCが入力され、レール選択信号SELOUTを出力する。入力Aは、制御方向判定回路22から出力される判定信号Yである。入力Bは、D型フリップフロップの出力値、すなわち、1サイクル前の判定信号Yである。入力Cは、リセット信号RSTである。
【0112】
レール選択信号SELOUTが「0」のときには、Aレール回路が選択される。つまり、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値が{(P−AGCR)×AGCGA}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGA}に基づき調整される。Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「AGCBTOA」に固定される。
【0113】
レール選択信号SELOUTが「1」のときには、Bレール回路が選択される。つまり、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」に固定される。Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、{(P−AGCR)×AGCGB}または{(P−(SWEEP+AGCR))×AGCGB}に基づき調整される。
【0114】
図11は、入力(A、B、C)と出力SELOUTとの関係を示す入出力対応表である。同図に示すように、C=「0」は、リセットが実行された状態を示す。この状態では、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号SELOUTは「0」となる。
【0115】
(A、B、C)=(0、1、1)は、判定信号Yは、Aレール回路の選択を促すが、1サイクル前の判定信号Yは、Bレール回路の選択を促していたという状態を示す。この状態は、Bレール回路からAレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値が安定するまで待つことにし、1サイクル前の判定信号にしたがって、Bレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「1」となる。
【0116】
(A、B、C)=(1、0、1)は、判定信号Yは、Bレール回路の選択を促すが、1サイクル前の判定信号Yは、Aレール回路の選択を促していたという状態を示す。この状態は、Aレール回路からBレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値が安定するまで待つことにし、1サイクル前の判定信号にしたがって、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「0」となる。
【0117】
(A、B、C)=(0+、0、1)は、Aレール回路の選択を促す判定信号YがNサイクル以上に渡って連続して入力されている状態を示す。この状態は、Bレール回路からAレール回路への切り替えポイントに至り、かつ判定信号Yの値が十分に安定しているので、判定信号Yにしたがって、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「0」となる。
【0118】
(A、B、C)=(0−、0、1)は、Aレール回路の選択を促す判定信号YがXサイクル(<Nサイクル)連続して入力されている状態を示す。この状態は、Bレール回路からAレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値がNサイクル以上連続して同一の値になるまで待つことにし、Xサイクル前の判定信号Yにしたがって、Bレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「1」となる。
【0119】
(A、B、C)=(1+、1、1)は、Bレール回路の選択を促す判定信号YがNサイクル以上に渡って連続して入力されている状態を示す。この状態は、Aレール回路からBレール回路への切り替えポイントに至り、かつ判定信号Yの値が十分に安定しているので、判定信号Yにしたがって、Bレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「1」となる。
【0120】
(A、B、C)=(1−、1、1)は、Bレール回路の選択を促す判定信号YがXサイクル(<Nサイクル)連続して入力されている状態を示す。この状態は、Aレール回路からBレール回路への切り替えポイントに至ったことを示しているが、Aレール回路とBレール回路の切り替えがノイズの混入などによって頻繁に起こり、全体の利得が不安定になるのを避けるため、判定信号Yの値がNサイクル以上連続して同一の値になるまで待つことにし、Xサイクル前の判定信号Yにしたがって、Aレール回路の選択を指示するようにレール選択信号は「0」となる。
【0121】
(利得調整)
図7に示すAGC回路200によって、全体の利得がどのように変化するかについて説明する。図12(a)は、全体の利得が減少する過程を示す。
【0122】
はじめにリセットが実行された状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「0」となる。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」となる。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「MAXGAINA」となる。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」となる。その結果、全体の利得は、(MAXGAINA+TOGAIN)となる。
【0123】
この状態では、Aレール回路を選択される。そして、Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは増加する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は減少する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0124】
ループフィルタの出力信号AGCARAILがさらに増加して、「AGCATOB」を越えた値になると、Bレール回路が選択される。そして、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは、増加する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、減少する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0125】
図12(b)は、全体の利得が増加する過程を示す。はじめに、Bレール回路が選択されている状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは減少する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、増加する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0126】
ループフィルタの出力信号AGCBRAILがさらに減少して、「AGCBTOA」未満の値になると、Aレール回路が選択される。Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは、減少する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、増加する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0127】
上述のようなAGC回路の利得調整の特徴について以下に説明する。
(1)AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130とは、別個のループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCBRAILにより制御される(実際には、これらのループフィルタの出力信号をアナログ値に変換したAGCOUTAとAGCOUTBにより制御される。)。これにより、AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130を別個に制御することができる。
【0128】
(2)ループフィルタの出力信号AGCARAILの値が変化するときは、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は一定であり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値が変化するときは、ループフィルタの出力信号AGCARAILは一定となる。これにより、AGCアンプ(A)120とAGCアンプ(B)130の両方を同時に利得変化させない。したがって、利得の制御が複雑化するのをさけることができる。
【0129】
(3)利得を下げるときには、まず、AGCアンプ(A)120を優先して調整し、利得を上げるときには、まず、AGCアンプ(B)130を優先して調整する。これにより、全体の利得がRF信号を増幅するAGCアンプ(B)130の方に優先して割り振られる。したがって、受信機に入力される入力信号が微弱な場合でも、チューナは、後段の処理に支障のない大きさのIF信号を出力することができる。
【0130】
(4)AGCアンプでは、制御信号に対する利得の関係は、いわゆるヒステリシス特性となる。すなわち、利得が増加するときの、制御信号の値に対する利得の値と、利得を減少させるときの、制御信号の値に対する利得の値が異なる。
【0131】
AGCアンプ(A)120では、利得を減少させるときは、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」の値よりも大きく「1」以下の値を終了点として増加し、利得を増加させるときには、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」の値を開始点として減少する。つまり、利得を減少させるときのループフィルタの出力信号AGCARAILの値の終了点が、利得を増加させるときのループフィルタの出力信号AGCARAILの値の開始点よりも大きい。AGCアンプ(A)120がヒステリシス特性を有することによって、このようにループフィルタの出力信号(これがアナログ値に変換された制御信号)の開始点と終了点の相違するときの方が一致するときよりも、利得を減少させるときのAGCアンプ(A)120の終了利得と、利得を増加させるときのAGCアンプ(A)120の開始利得をより近い値にすることができる。
【0132】
同様に、AGCアンプ(B)130では、利得を増加させるときには、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「0」以上「AGCBTOA」未満の値を終了点として減少し、利得を減少させるときには、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「AGCBTOA」の値を開始点として増加する。つまり、利得を増加させるときのループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の終了点が、利得を減少させるときのループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の開始点よりも小さい。AGCアンプ(B)130がヒステリシス特性を有することによって、このようにループフィルタの出力信号(つまり、制御信号)の開始点と終了点の相違するときの方が一致するときよりも、利得を増加させるときのAGCアンプ(B)130の終了利得と、利得を減少させるときのAGCアンプ(B)130の開始利得をより近い値にすることができる。
【0133】
以上のように、各AGCアンプの利得を下げるときと利得を上げるときとで、開始利得と終了利得が近似した値となることによって、安定した制御が可能となる。
【0134】
(動作)
図13は、AGC制御の処理手順を示すフローチャートである。また、図14は、AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。これらの図を参照して、AGCの動作を説明する。
【0135】
まず、電源投入後、制御回路201によって、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行される。これにより、セレクタ2の選択信号は、「0」となる。また、レール選択回路210の制御方向決定回路24が出力するレール選択信号SELOUT=「0」となる(ステップS901)。
【0136】
Aレール回路では、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、RST=「0」およびSELOUT=「0」より、AGCARAIL=「0」を出力する(図14の(1)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、AGCARAIL=「0」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0137】
一方、Bレール回路では、加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15とで構成されるループフィルタは、SELOUT=「0」より、AGCARAIL=「AGCBTOA」を出力する(図14の(2)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、AGCBRAIL=「AGCBTOA」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0138】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がAGCARAIL=「0」に対応する値、つまり、「MAXGAINA」となるように調整される(図14の(3)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」となるように調整される(図14の(4)に示す。)(ステップS902)。
【0139】
レール選択回路210には、AGCARAIL=「0」およびAGCBRAIL=「AGCBTOA」が入力される。
【0140】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0141】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0142】
また、制御方向判定回路22の入力Cは、デフォルトの値「0」である。
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0143】
制御方向決定回路24は、リセット信号RST=「0」よりC=「0」となり、C=「0」に対応する出力を図11に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS903)。
【0144】
次に、制御回路201によって、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されるが、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「0」なので、セレクタ2の選択信号は、「0」である(ステップS904)。
【0145】
加算器5は、「0」と「AGCR」を加算し、「AGCR」を出力する。二乗和演算回路3は、「AGCIN」(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、算出された二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワー「P」と「AGCR」との減算を行なう。
【0146】
Aレール回路では、乗算器7は、(P−AGCR)とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{(P−AGCR)×AGCGA}の値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、増加するものとする(図14の(5)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGA}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0147】
Bレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「0」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図14の(6)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0148】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図14の(7)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」を維持する(図14の(8)に示す。)(ステップS905)。
【0149】
上述のステップS905の処理が繰返され、AGCアンプ(A)120の利得は、徐々に減少していく。そして、AGCARAILの値が「AGCATOB」を越えると(図14の(9)に示す。)(ステップS906)、以下の処理が行なわれる。
【0150】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0151】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0152】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでAレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力したので、入力Cとして「0」が入力される。
【0153】
制御方向判定回路22は、A=「1」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。判定信号Y=「1」は、制御方向決定回路24に入力Aとして入力される。
【0154】
また、制御方向決定回路24では、D型フリップフロップ23に保持されている前回のサイクルでのAレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」が入力Bとして入力される。
【0155】
制御方向決定回路24は、A=「1」、B=「0」に対応する制御方向を図11に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS907)。
【0156】
そして、ステップS905〜S907がNサイクル繰返され、制御方向判定回路22は、Y=「1」をNサイクルに渡り連続して出力すると(ステップS908)、制御方向決定回路24は、Nサイクルに渡り、連続して入力A=「1」が入力される。その結果、制御方向決定回路24は、図11に示す入出力対応表より、制御方向を変更し、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS909)。
【0157】
加算器5と、二乗和演算回路3と、平方根演算回路4と、加算器6とは、入力信号のパワーPとAGCRとの減算を行なう。
【0158】
Aレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、「AGCATOB」となる(図14の(10)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値「AGCATOB」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0159】
一方、Bレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、AGCBRAILの値は、{(P−AGCR)×AGCGB}の値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、増加するものとする(図14の(11)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGB}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0160】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応する値、つまり「TOBGAIN」の値に維持される(図14の(12)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図14の(13)に示す。)。
【0161】
AGCアンプ(B)130の利得が減少していく際には、以下のようにしてBレール回路が常に選択される。
【0162】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、「0」の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0163】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0164】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0165】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。判定信号Y=「1」は、制御方向決定回路24に入力Aとして入力される。
【0166】
また、制御方向決定回路24では、D型フリップフロップ23に保持されている前回のサイクルでのAレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」が入力Bとして入力される。
【0167】
制御方向決定回路24は、A=「1」(Nサイクル以上連続)、B=「1」に対応する制御方向を図11に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS910)。
【0168】
上述の処理が繰返された結果、全体利得が一定値に達し、A/Dコンバータの入力振幅が一定値に達する(図14の(14)に示す。)(ステップS911)。
【0169】
A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となった時点で、誤り訂正回路198が誤り訂正の動作を開始する。誤り訂正回路198は、FECが収束して、BERが測定できる段階になると、BER算出部121と制御回路201にその旨を通知する。
【0170】
制御回路201は、BERが測定できる段階になると、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とし、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限に設定し(図14の(15)に示す。)、徐々に増加させていく。スイープ信号SWEEPの値を変化させると、AGCアンプ(A)120またはAGCアンプ(B)130の利得が変化し、それによって、A/Dコンバータ105の入力振幅の変化し、BER算出部121で算出されるビット誤り率(BER)の変化をもたらす。制御回路201は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、それによって得られたBERの値を対応させて記憶する(ステップS912)。
【0171】
スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」より、セレクタ2の選択信号は、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」となる。加算器5は、「SWEEP」と「AGCR」とを加算し、(SWEEP+AGCR)を出力する。加算器6は、入力信号のパワーPと(SWEEP+AGCR)との減算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。
【0172】
Aレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、AGCATOBを維持する(図14の(16)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値AGCATOBの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0173】
一方、Bレール回路では、乗算器12は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGBとの乗算を行なう。そして、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGBの値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、SWEEPが負の値なので、増加するものとする。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)」×AGCGBの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0174】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応した値、つまり、「TOBGAIN」に維持される(図14の(18)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図14の(19)に示す。)。(ステップS913)。
【0175】
スイープ信号「SWEEP」の値が増加する(図14の(20)に示す。)につれて、AGCBRAILの値は減少していき(図14の(21)に示す。)、AGCアンプ(B)130の利得は増加する方向に調整される(図14の(22)に示す。)(ステップS914)。そして、AGCBRAILの値が「AGCBTOA」を越えて小さくなると(図14の(23)に示す。)(ステップS915)、以下の処理が行なわれる。
【0176】
加算器19は、(AGCATOB−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0177】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−ACCBRAIL)−Xを計算し、0または正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0178】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0179】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「0」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。判定信号Y=「0」は、制御方向決定回路24に入力Aとして入力される。
【0180】
また、制御方向決定回路24では、D型フリップフロップ23に保持されている前回のサイクルでのBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」が入力Bとして入力される。
【0181】
制御方向決定回路24は、A=「0」、B=「1」に対応する制御方向を図11に示す入出力対応表より検索し、SELOUT=「1」を出力する(ステップS916)。
【0182】
そして、ステップS914〜S916がNサイクル繰返され、制御方向判定回路22は、Y=「0」をNサイクルに渡り連続して出力すると(ステップS917)、制御方向決定回路24には、Nサイクルに渡り連続して入力A=「0」が入力される。その結果、制御方向決定回路24は、図11に示す入出力対応表より制御方向を変更し、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS918)。
【0183】
Aレール回路では、乗算器7は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、減少するものとする(図14の(24)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0184】
Bレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図14の(25)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0185】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の減少に対応して、利得が増加する方向に調整される(図14の(26)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBによって、利得が、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応した値、つまり、「TOAGAIN」の値を維持する(図14の(27)に示す。)(ステップS919)。
【0186】
スイープ信号「SWEEP」の値が定められた範囲内の上限に達したら(図14の(28)に示す。)(ステップS920)、制御回路201は、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し(図14の(29)に示す。)、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する(図14の(30)に示す。)。制御回路201は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路200に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する(図14の(31)に示す。)(ステップS921)。
【0187】
以上のように本実施の形態に係わるAGC回路によれば、AGCアンプ(A)120の利得を制御するAレール回路と、AGCアンプ(B)130の利得を制御するBレール回路とを備えるので、各AGCアンプを別個に制御することができる。
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下の変形例も当然ながら包含する。
【0188】
(1)AGC回路
図15は、AGC回路の変形例を示す。同図のAGC回路300が、図7に示すAGC回路200と相違する点は、Aレール回路303と、Bレール回路304と、制御回路305である。
【0189】
制御回路305は、図7に示す制御回路201と概ね共通するが、制御回路305は、さらに、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCRSTAの設定を行なう。AGCRSATは、後述するようにリセットが実行されたときのAGCアンプ(A)120の利得に関係する値であり、ユーザが使用状況に応じて決める。
【0190】
Aレール回路303は、図7に示すAレール回路203に含まれるAND回路9の代わりに、セレクタ25を含む。セレクタ25は、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行されたときには、「AGCRSTA」を出力する。したがって、リセットが実行されたときには、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCRSTA」となる。
【0191】
これによって、リセットが実行されたときに、AGCアンプ(A)120の利得を、図7に示すAGC回路200のように最大値「MAXGAINA」ではなく、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCRSTA」に対応する値にすることができる。
【0192】
Bレール回路304は、図7に示すBレール回路204に含まれるセレクタ14の代わりに、AND回路26を含む。AND回路26は、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行されたときには、「0」を出力する。また、AND回路26は、レール選択信号SELOUT=「0」となり、Aレール回路が選択されたときには、「0」を出力する。したがって、リセットが実行されたとき、またはAレール回路が選択されたときには、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、「0」となる。
【0193】
これによって、リセットが実行されたとき、またはAレール回路が選択されたときには、AGCアンプ(B)130の利得を、図7に示すAGC回路200のように、「TOAGAIN」でなく、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「0」に対応する値、つまり、最大値「MAXGAINB」にすることができる。
【0194】
(2)BER
本実施の形態では、第1の実施形態と同様に、ビット誤り率BERを小さくするため、スイープ信号SWEEPを入力して調整を行なったが、特に、ビット誤り率BERが問題とならないような場合には、スイープ信号SWEEPを入力して調整する必要がないので、スイープ信号SWEEPの入力に関連する回路とそれによる処理を省いてもよい。以下の実施例について同様である。
【0195】
(3)AGCアンプと制御信号との関係
本実施の形態では、Aレール回路で生成される制御信号AGCOUTAが、AGCアンプ(A)120を制御し、Bレール回路で生成される制御信号AGCOUTBがAGCアンプ(B)130を制御するものとしたが、これに限定するものではない。
【0196】
制御信号AGCOUTAが、AGCアンプ(B)130を制御し、制御信号AGCOUTBがAGCアンプ(A)120を制御するものとしてもよい。以下の実施形態でも同様である。
【0197】
<第3の実施形態>
本実施の形態は、レール切り替えに際してオフセットを設けたAGC回路に関する。本実施の形態の受信機は、図6に示す第2の実施形態と同一の構成を示す。図16は、本実施の形態に係わるAGC回路の構成を示す。本実施の形態に係わるAGC回路400が、図7に示す第2の実施形態に係わるAGC回路と相違するのは、レール選択回路と制御回路である。
【0198】
制御回路401は、図7に示す制御回路201と概ね共通するが、制御回路401は、さらに、ユーザによる設定入力に基づいて、AGCOFSA、AGCOFSBの設定を行なう。AGCOFSAは、Bレール回路の選択へ切り替わった際に固定されるAGCARAILの値と、Bレール回路へ選択を切り替えるか否かを決める閾値(AGCATOB)との間のオフセット量である。また、AGCOFSBは、Aレール回路の選択へ切り替わった際に固定されるAGCBRAILの値と、Aレール回路へ選択を切り替えるか否かを決める閾値(AGCBTOA)との間のオフセット量である。
【0199】
図17(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最大値「MAXGAINA」となり、ループフィルタの出力信号AGCARAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、最小値「MINGAINA」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCARAILが「AGCATOB」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」となり、ループフィルタの出力信号AGCARAILが「AGCATOB+AGCOFSA」のときに、AGCアンプ(A)120の利得は、「OFSAGAIN」となる。「TOBGAIN」および「OFSAGAIN」は、「MINGAINA」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。
【0200】
図17(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す。同図に示すように、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最小値「0」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最大値「MAXGAINB」となり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが最大値「1」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、最小値「MINGAINB」となる。また、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが「AGCBTOA」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」となり、ループフィルタの出力信号AGCBRAILが「AGCBTOA−AGCOFSB」のときに、AGCアンプ(B)130の利得は、「OFSBGAIN」となる。「TOAGAIN」および「OFSBGAIN」は、「MAXGAINB」に近く、かつ、ひずみが少なく、ノイズが乗りにくいといった利得特性(すなわち、安定した利得特性)を有する値とする。
【0201】
図18は、本実施の形態に係わるレール選択回路の構成を示す。レール選択回路410は、加算器30と、O/F判定回路31と、インバータ32と、セレクタ33と、加算器34と、U/F判定回路35と、インバータ36と、セレクタ37と、加算器19と、加算器20と、加算器21と、制御方向判定回路22と、D型フリップフロップ23と、AND回路38とを含む。
【0202】
加算器30は、「AGCATOB」と「AGCOFSA」の加算を行なって、(AGCATOB+AGCOFSA)を出力する。O/F判定回路31は、(AGCATOB+AGCOFSA)>1のときに、オーバーフローしたと判定し、「1」を出力する。インバータ32は、O/F判定回路31の出力を反転する。セレクタ33は、インバータ32の出力が「0」のとき、すなわち、オーバーフローしたときに、「AGCATOB」を出力し、インバータ32の出力が「1」のとき、すなわち、オーバーフローしていないときに、(AGCATOB+AGCOFSA)を出力する。
【0203】
加算器34は、「AGCBTOA」と「AGCOFSB」との減算を行なって、(AGCBTOA−AGCOFSB)を出力する。U/F判定回路35は、(AGCBTOA−AGCOFSB)<0のときに、アンダーフローしたと判定し、「1」を出力する。インバータ36は、U/F判定回路35の出力を反転する。セレクタ37は、インバータ36の出力が「0」のとき、すなわち、アンダーフローしたときに、「AGCBTOA」を出力し、インバータ36の出力が「1」のとき、すなわち、アンダーフローしていないときに、(AGCBTOA−AGCOFSB)を出力する。
【0204】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA)と、Aレール回路のループフィルタの出力信号AGCARAILとの減算を行なって、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)を出力する。
【0205】
加算器21は、(AGCBTOA−AGCOFSB)と、Bレール回路のループフィルタの出力信号AGCBRAILとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCOFSB−AGCBRAIL)を出力する。
【0206】
加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−AGCBRAIL)とXとの減算を行なって、(AGCBTOA−AGCOFSB−AGCBRAIL−X)を出力する。Xの値は、最下位ビット(以下、LSB)のビット値のみが1である値、つまり、最小の正の値である。この加算器20は、AGCBRAIL=AGCBTOA−AGCOFSBのときに、負の値を出力するために設けられている。
【0207】
加算器19、20および21は、2の補数形式で演算を行なう。したがって、演算結果が0または正の値の場合には、最上位ビット(以下、MSB)のビット値は「0」となり、演算結果が負の値の場合には、MSBのビット値は「1」となる。
【0208】
制御方向判定回路22は、A、B、およびCが入力され、判定信号Yを出力する。入力Aは、加算器20の出力のMSBである。入力Bは、加算器21の出力のMSBである。入力Cは、D型フリップフロップの出力、すなわち、1サイクル前の判定信号Yである。
【0209】
判定信号Yが「0」のときには、AND回路38にAレール回路の選択が促され、判定信号Yが「1」のときには、AND回路38にBレール回路の選択が促される。入力(A、B、C)と出力Yとの関係は、第2の実施形態と同様に、図10に示す入出力対応表にしたがう。
【0210】
AND回路38は、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行されたときには、レール選択信号SELOUT=「0」を出力する。また、AND回路38は、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されたときには、レール選択信号SELOUT=Yを出力する。つまり、制御方向判定回路22が出力した判定信号Yをそのまま出力する。
【0211】
(利得の調整)
図16に示すAGC回路400によって、全体の利得がどのように変化するかについて説明する。図19(a)は、全体の利得が減少する過程を示す。
【0212】
はじめにリセットが実行された状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAIL=「0」となる。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」となる。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「MAXGAINA」となる。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」となる。その結果、全体の利得は、(MAXGAINA+TOGAIN)となる。
【0213】
この状態では、Aレール回路を選択される。そして、Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは増加する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は減少する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0214】
ループフィルタの出力信号AGCARAILがさらに増加して、「AGCATOB+AGCOFSA」を越えた値になると、Bレール回路が選択される。そして、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILは「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも大きいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは、増加する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、減少する。その結果、全体の利得は、減少する。
【0215】
図19(b)は、全体の利得が増加する過程を示す。はじめに、Bレール回路が選択されている状態とする。この状態では、Aレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCARAILは「AGCATOB」に固定される。また、Bレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは減少する。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は「TOBGAIN」を維持する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、増加する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0216】
ループフィルタの出力信号AGCBRAILがさらに減少して、「AGCBTOA−AGCOFSB」未満の値になると、Aレール回路が選択される。Aレール回路では、入力信号のパワーPが理想的なパワーの参照値AGCRよりも小さいと、ループフィルタの出力信号AGCARAILは、減少する。また、Bレール回路では、ループフィルタの出力信号AGCBRAILは「AGCBTOA」に固定される。ループフィルタの出力信号AGCARAILによって、AGCアンプ(A)120の利得は、増加する。ループフィルタの出力信号AGCBRAILによって、AGCアンプ(B)130の利得は、「TOAGAIN」を維持する。その結果、全体の利得は、増加する。
【0217】
上述のようなAGC回路の利得調整の特徴は、第2の実施形態で説明した(1)〜(4)に加えて、さらに以下の特徴がある。
【0218】
(5)Bレール回路の選択からAレール回路の選択へ切り替わった際に、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、「AGCATOB」である。このとき、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値が微小変動した場合、「AGCATOB」を越えたとしても、「AGCATOB+AGCOFSA」を越えないようにすることができる。これにより、Aレール回路の選択からBレール回路の選択へもどる事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。
【0219】
同様に、Aレール回路の選択からBレール回路の選択へ切り替わった際に、制御信号AGCBRALの値は、「AGCBTOA」である。このとき、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値が微小変動した場合、「AGCBTOA」未満になったとしても、「AGCBTOA−AGCOFSB」未満にはならないようにすることができる。これにより、Bレール回路の選択からAレール回路の選択へもどる事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。
【0220】
(動作)
図20は、AGC制御の処理手順を示すフローチャートである。また、図21は、AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。これらの図を参照して、AGCの動作を説明する。
【0221】
まず、電源投入後、制御回路401によって、リセット信号RST=「0」となり、リセットが実行される。これにより、セレクタ2の選択信号は、「0」となる。また、リセット信号RST=「0」より、レール選択回路410が出力するレール選択信号SELOUT=「0」となる(ステップS1001)。
【0222】
Aレール回路では、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、RST=「0」およびSELOUT=「0」より、AGCARAIL=「0」を出力する(図21の(1)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、AGCARAIL=「0」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0223】
一方、Bレール回路では、加算器13と、セレクタ14と、D型フリップフロップ15とで構成されるループフィルタは、SELOUT=「0」より、AGCARAIL=「AGCBTOA」を出力する(図21の(2)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、AGCBRAIL=「AGCBTOA」をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0224】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がAGCARAIL=「0」に対応する値、つまり、「MAXGAINA」となるように調整される(図21の(3)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」となるように調整される(図21の(4)に示す。)(ステップS1002)。
【0225】
レール選択回路210には、AGCARAIL=「0」およびAGCBRAIL=「AGCBTOA」が入力される。
【0226】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0227】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。また、制御方向判定回路22の入力Cは、デフォルトの値「0」である。
【0228】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0229】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0230】
AND回路38は、リセット信号RST=「0」と判定信号Y=「0」より、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS1003)。
【0231】
次に、制御回路401によって、リセット信号RST=「1」となり、リセットが解除されるが、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「0」なので、セレクタ2の選択信号は、「0」である(ステップS1004)。
【0232】
加算器5は、「0」と「AGCR」を加算し、「AGCR」を出力する。二乗和演算回路3は、「AGCIN」(I軸およびQ軸のシンボル情報)の二乗和を計算する。平方根演算回路4は、算出された二乗和の平方根、つまり、入力信号のパワーPを算出する。加算器6は、入力信号のパワー「P」と「AGCR」との減算を行なう。
【0233】
Aレール回路では、乗算器7は、(P−AGCR)とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{(P−AGCR)×AGCGA}の値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、増加するものとする(図21の(5)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGA}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0234】
Bレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「0」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図21の(6)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0235】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図21の(7)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、利得がAGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応する値、つまり、「TOAGAIN」を維持する(図21の(8)に示す。)(ステップS1005)。
【0236】
上述のステップS1005の処理が繰返され、AGCアンプ(A)120の利得は、徐々に減少していく。そして、AGCARAILの値が「AGCATOB+AGCOFSA」を越えると(図21の(9)に示す。)(ステップS1006)、以下の処理が行なわれる。
【0237】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0238】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0239】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでAレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力したので、入力Cとして「0」が入力される。
【0240】
制御方向判定回路22は、A=「1」、B=「1」、およびC=「0」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。
【0241】
AND回路38は、判定信号Y=「1」およびリセット信号RST=「1」より、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS1007)。
【0242】
加算器5、二乗和演算回路3は、平方根演算回路4、加算器6は、入力信号のパワーPとAGCRとの減算を行なう。
【0243】
Aレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、「AGCATOB」となる(図21の(10)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値「AGCATOB」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0244】
一方、Bレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、AGCBRAILの値は、{(P−AGCR)×AGCGB}の値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、増加するものとする(図21の(11)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{(P−AGCR)×AGCGB}の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0245】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応する値、つまり「TOBGAIN」の値に維持される(図21の(12)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図21の(13)に示す。)。
【0246】
AGCアンプ(B)130の利得が減少していく際には、以下のようにしてBレール回路が常に選択される。
【0247】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0248】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、負の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「1」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0249】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0250】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「1」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Bレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力する。
【0251】
AND回路38は、判定信号Y=「1」およびリセット信号RST=「1」より、Bレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「1」を出力する(ステップS1008)。
【0252】
上述の処理が繰返された結果、全体利得が一定値に達し、A/Dコンバータの入力振幅が一定値に達する(図21の(14)に示す。)(ステップS1009)。
【0253】
A/Dコンバータ105の入力振幅が一定となった時点で、誤り訂正回路198が誤り訂正の動作を開始する。誤り訂正回路198は、FECが収束して、BERが測定できる段階になると、BER算出部121と制御回路401にその旨を通知する。
【0254】
制御回路401は、BERが測定できる段階になると、スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」とし、スイープ信号SWEEPの値を定められた範囲内の下限に設定し(図21の(15)に示す。)、徐々に増加させていく。スイープ信号SWEEPの値を変化させると、AGCアンプ(A)120またはAGCアンプ(B)130の利得が変化し、それによって、A/Dコンバータ105の入力振幅の変化し、BER算出部121で算出されるビット誤り率(BER)の変化をもたらす。制御回路401は、設定したスイープ信号SWEEPの値と、それによって得られたBERの値を対応させて記憶する(ステップS1010)。
【0255】
スイープイネーブル信号SWEEPEN=「1」より、セレクタ2の選択信号は、スイープ信号SWEEPの値「SWEEP」となる。加算器5は、「SWEEP」と「AGCR」とを加算し、(SWEEP+AGCR)を出力する。加算器6は、入力信号のパワーPと(SWEEP+AGCR)との減算を行って、{P−(SWEEP+AGCR)}を出力する。
【0256】
Aレール回路では、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ10は、「AGCATOB」を選択する。これにより、AGCARAILの値は、AGCATOBを維持する(図21の(16)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値「AGCATOB」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0257】
一方、Bレール回路では、乗算器12は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGBとの乗算を行なう。そして、レール選択回路210の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、加算器13の出力を選択する。これにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGBの値が平均化された値となる。ここで、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値は、SWEEPが負の値なので、増加するものとする。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)」×AGCGBの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0258】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAにより、利得がループフィルタの出力信号AGCARAIL=「AGCATOB」に対応した値、つまり、「TOBGAIN」に維持される(図21の(18)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBにより、ループフィルタの出力信号AGCBRAILの値の増加に対応して、利得が減少する方向に調整される(図21の(19)に示す。)(ステップS1011)。
【0259】
スイープ信号「SWEEP」の値が増加する(図21の(20)に示す。)につれて、AGCBRAILの値は減少していき(図21の(21)に示す。)、AGCアンプ(B)130の利得は増加する方向に調整される(図21の(22)に示す。)(ステップS1012)。そして、AGCBRAILの値が「AGCBTOA−AGCOFSB」を越えて小さくなると(図21の(23)に示す。)(ステップS1013)、以下の処理が行なわれる。
【0260】
加算器19は、(AGCATOB+AGCOFSA−AGCARAIL)の値を計算し、正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Aとして制御方向判定回路22に出力する。
【0261】
加算器21および加算器20は、(AGCBTOA−AGCOFSB−ACCBRAIL)−Xを計算し、0または正の計算結果を得て、その計算結果のMSBの値、つまり「0」を入力Bとして制御方向判定回路22に出力する。
【0262】
また、制御方向判定回路22は、前回のサイクルでBレール回路の選択を促す判定信号Y=「1」を出力したので、入力Cとして「1」が入力される。
【0263】
制御方向判定回路22は、A=「0」、B=「0」、およびC=「1」に対応する制御方向を図10に示す入出力対応表より検索し、Aレール回路の選択を促す判定信号Y=「0」を出力する。
【0264】
AND回路38は、判定信号Y=「0」およびリセット信号RST=「1」より、Aレール回路の選択を指示するレール選択信号SELOUT=「0」を出力する(ステップS1014)。
【0265】
Aレール回路では、乗算器7は、{P−(SWEEP+AGCR)}とAGCGAとの乗算を行なう。RST=「1」およびSELOUT=「0」より、加算器8と、AND回路9と、セレクタ10と、D型フリップフロップ11とで構成されるループフィルタは、{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値を平均化して出力する。ここで、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値は、減少するものとする(図21の(24)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)17は、ループフィルタの出力値である平均化された{P−(SWEEP+AGCR)}×AGCGAの値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTAをAGCアンプ(A)120へ出力する。
【0266】
Bレール回路では、レール選択回路410の出力信号SELOUT=「1」より、セレクタ14は、「AGCBTOA」の選択を維持する。これにより、AGCBRAIL=「AGCBTOA」を維持する(図21の(25)に示す。)。デジタル/アナログ変換器(DAC)18は、ループフィルタの出力値である「AGCBTOA」の値をアナログ値に変換した制御信号AGCOUTBをAGCアンプ(B)130へ出力する。
【0267】
AGCアンプ(A)120では、制御信号AGCOUTAによって、ループフィルタの出力信号AGCARAILの値の減少に対応して、利得が増加する方向に調整される(図21の(26)に示す。)。AGCアンプ(B)130では、制御信号AGCOUTBによって、利得が、ループフィルタの出力信号AGCBRAIL=「AGCBTOA」に対応した値、つまり、「TOAGAIN」の値を維持する(図21の(27)に示す。)(ステップS1015)。
【0268】
スイープ信号「SWEEP」の値が定められた範囲内の上限に達したら(図21の(28)に示す。)(ステップS1016)、制御回路401は、記憶しているBERの中で、最も小さな値のBERを検索し(図21の(29)に示す。)、そのBERに対応するSWEEPの値を特定する(図21の(30)に示す。)。制御回路401は、その特定したスイープ信号SWEEPの値をAGC回路110に入力するスイープ信号SWEEPの値として固定する(図21の(31)に示す。)(ステップS1017)。
【0269】
以上のように本実施形態に係わるAGC回路は、第2の形態に係わるAGC回路と同様に、各AGCアンプを別個に制御することができる。また、他のレール回路の選択へ切り替わった際に固定されるループフィルタの出力信号の値からオフセット量ずらした値を他のレール回路へ選択を切り替えるか否かを決める閾値とするので、レール回路の安定した切り替えができる。
【0270】
(変形例)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、たとえば以下の変形例も当然ながら包含する。
【0271】
(1)レール選択回路
図22は、レール選択回路の変形例を示す。同図のレール選択回路510が、図18に示すレール選択回路410と相違する点は、セレクタである。図22のレール選択回路510では、セレクタ40は、O/F判定回路31で、(AGCATOB+AGCOFSA)>1と判定されたときに、最大値「1」を出力する。また、セレクタ41は、U/F判定回路31で、(AGCBTOA−AGCOFSB)<0と判定されたときに、最小値「0」を出力する。
【0272】
(2)AGC回路
本実施の形態では、AGC回路に含まれるAレール回路とBレール回路は、図7に示す第2の実施形態と同様にしたが、図15に示す第2の実施形態の変形例と同様にしてもよい。すなわち、図16に示すAレール回路203とBレール回路204を、図15に示すAレール回路303とBレール回路304に代えてもよい。
【0273】
(3)オフセット
本実施の形態では、Aレール回路からBレール回路の切り替え、Bレール回路からAレール回路への切り替えの双方において、オフセットを設けるものとしたが、いずれか一方の切り替えにおいてのみ、オフセットを設けるものとしてもよい。
【0274】
(4)D型フリップフロップ
本実施の形態のレール選択回路410では、AND回路38からレール選択信号SELOUTが出力されるものとしたが、AND回路38の後段にD型フリップフロップを設けて、D型フリップフロップからレール選択信号SELOUTが出力されるものとしてよい。これによって、制御方向判定回路22からの出力Yの値が切り替わった後、レール選択信号SELOUTの値が切り替わるまでに一定時間要するようにすることができ、切り替えの際に、ノイズなどの影響によって両方向への切り替えが頻繁に行なわれるのを回避し、切り替えが安定して行なわれるようにすることができる。
【0275】
(5)OFSAGAIN、OFSBGAIN
本実施の形態では、OFSAGAINは、MINGAINAに近く、かつ利得特性の安定した値としたが、OFSAGAINとTOBGAINとの差をより多くとることや、TOBGAINの値をできるだけMINGAINに近い値とすることを優先する場合には、OFSAGAINの値は、利得特性が多少安定していなくても、よりMINGAINAに近い値とするものとしてもよい。
【0276】
同様に、OFSBGAINは、MAXGAINAに近く、かつ利得特性の安定した値としたが、OFSBGAINとTOAGAINとの差をより多くとることや、TOAGAINの値をできるだけMAXGAINAに近い値とすることを優先する場合には、OFSBGAINの値は、利得特性が多少安定していなくても、よりMAXGAINAに近い値とするものとしてもよい。
【0277】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0278】
【発明の効果】
この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、所定の範囲内で可変調整される調整信号の値と、受信機に入力される入力信号のパワーの参照値とを加算し、加算結果と受信機に入力される入力信号のパワーとの差分値を算出する演算回路と、前記差分値に基づいて、前記第1自動利得制御アンプの利得および前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する制御信号の値を調整する制御信号調整回路とを備える。これにより、調整信号の値を変化させることで、ビット誤り率を少なくするように第1および第2自動利得制御アンプの利得を調整することができる。
【0279】
ここで、前記自動利得制御回路は、前記調整信号の値を可変調整する回路と、受信機に入力される入力信号の復調後のビット誤り率を取得する回路と、前記調整信号の値と、その調整信号の値により前記第1自動利得制御アンプおよび前記第2自動利得制御アンプの利得が制御された結果変化したビット誤り率とを対応させて記憶する回路と、前記記憶した対応の中で、ビット誤り率が最小となる調整信号の値を特定し、前記演算回路に入力する調整信号の値を前記特定した値に固定する回路とを含む制御回路を備える。これにより、調整信号の値を変化させることで、ビット誤り率が最小となるように第1および第2自動利得制御アンプの利得を自動的に調整することができる。
【0280】
ここで、前記制御信号調整回路は、第1自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値を調整し、第2自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値を調整するものであって、前記第1の制御信号または前記第2の制御信号のいずれか一方の値を固定し、他方の値を調整する。これにより、第1および第2自動利得制御アンプの利得を別個に調整することができる。
【0281】
この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。
【0282】
これにより、第1および第2自動利得制御アンプの利得を別個に調整することができる。また、利得を下げるときに第1の制御信号の値の終了点は第1制御値を越えた値となり、利得を上げるときに第1の制御信号の値の開始点は、第1制御値となり、利得を上げるときに第2の制御信号の値の終了点は第2制御値を越えた値となり、利得を上げるときに第2の制御信号の値の開始点は第2制御値となる。したがって、自動利得制御アンプにおける制御信号に対する利得のヒステリシス特性に適合した制御が可能となる。
【0283】
ここで、前記第1制御値は、前記第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が最小利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とし、前記第2制御値は、前記第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプが最大利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする。これにより、第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が調整されている間、第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得を最大利得に近い値で保ち、第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が調整されている間、第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプを最小利得に近い値で保つので、受信機全体のとり得る利得の範囲を広くすることができる。
【0284】
ここで、前記制御信号調整回路は、第1の制御信号によって前記第1自動利得制御アンプの利得を制御し、第2の制御信号によって前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する。これにより、第1自動利得制御アンプの利得が調整されている間、RF信号を増幅する第2自動利得制御アンプを最大利得付近で使用することができ、受信機に入力される入力信号が微弱な場合でも、チューナは、後段の処理に支障のない大きさのIF信号を出力することができる。
【0285】
ここで、前記制御信号調整回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1自動利得制御アンプの利得が最大値に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とするので、リセット後、第1自動利得制御アンプの利得を大きく、かつひずみやノイズなどの影響が少ない安定した利得に設定することができる。
【0286】
ここで、前記調整指示回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を調整するように指示するので、リセット後、第1自動利得制御アンプにより利得が調整され、第2自動利得制御アンプの利得を最大利得に近い値に保つことができる。
【0287】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を前記制御信号調整回路に指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を減算する第2の演算回路と、前記指示信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記指示信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。これにより、簡易な構成で、第1の制御信号の調整と第2の制御信号の調整の切り替えを行なうことができる。
【0288】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第1の制御信号の値の調整を促すか、または前記第2の制御信号の値の調整を促すかを示す判定信号を生成する判定信号生成回路と、前記判定信号生成回路が、前記第1の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第1の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成し、前記判定信号生成回路が、前記第2の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第2の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を演算する第2の演算回路と、前記判定信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、前記判定信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう。これにより、第1の制御信号の調整と第2の制御信号の調整を切り替える際に、ノイズなどの影響によって両方向への切り替えが頻繁に行なわれるのを回避し、切り替えが安定して行なわれるようにすることができる。
【0289】
また、この発明に係わる自動利得制御回路は、RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値よりも前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が大きくなる第3制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値よりも前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が小さくなる第4制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する。これにより、第2の制御信号の値の調整から第1の制御信号の値の調整へ切り替わった際の、第1の制御信号の調整開始値は、第3の制御値(<第1の制御値)である。第1の制御信号の値が変動して、第3の制御値を越えた場合でも、第1の制御値を越えないようにすることができ、再び第2の制御信号の調整へ切り替われるような事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。また、第1の制御信号の値の調整から第2の制御信号の値の調整へ切り替わった際の、第2の制御信号の調整開始値は、第4の制御値(>第2の制御値)である。第2の制御信号の値が変動して、第4の制御値を越えた場合でも、第2の制御値を越えないようにすることができ、再び第1の制御信号の調整へ切り替われるような事態を回避し、安定した切り替えができるようにすることができる。
【0290】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1制御値とし、最大値を越えたときには、前記第3制御値を前記第1制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第1のオフセット値が大きいため、前記第3制御値と第1のオフセット値との加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えている場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【0291】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1の制御値とし、最大値を越えているときには、前記最大値を前記第1制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第1のオフセット値が大きいため、前記第3制御値と第1のオフセット値との加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えている場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【0292】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記第4制御値を前記第2制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第2のオフセット値が大きいため、前記第4制御値と第2のオフセット値との減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満の場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【0293】
ここで、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、前記調整指示回路は、前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記最小値を前記第2制御値とするセレクタを含む。これにより、設定された第2のオフセット値が大きいため、前記第4制御値と第2のオフセット値との減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満の場合にも、調整指示回路が正しく動作するようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】受信機の構成を示す図である。
【図2】AGC回路の構成を示す図である。
【図3】(a)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、(b)は、ループフィルタの出力信号とAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す図である。
【図4】AGC処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図5】ループフィルタの出力信号と、AGCアンプ(A)120およびAGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。
【図6】受信機の構成を示す図である。
【図7】AGC回路の構成を示す図である。
【図8】(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す図である。
【図9】レール選択回路の構成を示す図である。
【図10】入力(A、B、C)と出力Yとの関係を示す入出力対応表を示す図である。
【図11】入力(A、B、C)と出力SELOUTとの関係を示す入出力対応表を示す図である。
【図12】(a)は、全体の利得が減少する過程を示し、(b)は、全体の利得が増加する過程を示す図である。
【図13】AGC制御の処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図14】AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。
【図15】AGC回路の変形例を示す図である。
【図16】AGC回路の構成を示す図である。
【図17】(a)は、ループフィルタの出力信号AGCARAILとAGCアンプ(A)120の利得との関係を示し、(b)は、ループフィルタの出力信号AGCBRAILとAGCアンプ(B)130の利得との関係を示す図である。
【図18】レール選択回路の構成を示す図である。
【図19】(a)は、全体の利得が減少する過程を示し、(b)は、全体の利得が増加する過程を示す図である。
【図20】AGC制御の処理手順を示すフローチャートを示す図である。
【図21】AGCARAILと、AGCBRAILと、AGCアンプ(A)120の利得と、AGCアンプ(B)130の利得と、A/Dコンバータの入力振幅と、スイープ信号SWEEPの値と、BERの時間変化を示す図である。
【図22】レール選択回路の変形例を示す図である。
【図23】従来の受信機の構成を示す図である。
【図24】従来のAGC回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,9,26,38,59 AND回路、2,10,14,25,33,37,40,41 セレクタ、3 二乗和演算回路、4 平方根演算回路、5,6,8,13,19,20,21,30,34,58 加算器、7,12,57,115,116 乗算器、10,15,23,60 D型フリップフロップ、16,32,36 インバータ、17、18,61 デジタル/アナログ変換器(DAC)、22 制御方向判定回路、24 制御方向決定回路、31 O/F判定回路、35 U/F判定回路、98,122,201,305,401 制御回路、99、110,300,400 AGC回路、101 チューナ、102 バンドパスフィルタ、103 周波数変換器、104 発振器、105 A/Dコンバータ、106,107 LPF、108 デロデータ、109 デコーダ、111 NCO、112 ループフィルタ、113 位相比較器、114,514,614 復調回路、120 AGCアンプ(A)、121 BER算出回路、123 アンテナ、130 AGCアンプ(B)、198,199 誤り訂正回路、202 両レール共通回路、203,303 Aレール回路、204,304 Bレール回路、210、410,510 レール選択回路。
Claims (15)
- RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、
所定の範囲内で可変調整される調整信号の値と、受信機に入力される入力信号のパワーの参照値とを加算し、加算結果と受信機に入力される入力信号のパワーとの差分値を算出する演算回路と、
前記差分値に基づいて、前記第1自動利得制御アンプの利得および前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する制御信号の値を調整する制御信号調整回路とを備えた自動利得制御回路。 - 前記自動利得制御回路は、
前記調整信号の値を可変調整する回路と、
受信機に入力される入力信号の復調後のビット誤り率を取得する回路と、
前記調整信号の値と、その調整信号の値により前記第1自動利得制御アンプおよび前記第2自動利得制御アンプの利得が制御された結果変化したビット誤り率とを対応させて記憶する回路と、
前記記憶した対応の中で、ビット誤り率が最小となる調整信号の値を特定し、前記演算回路に入力する調整信号の値を前記特定した値に固定する回路とを含む制御回路を備えた、請求項1記載の自動利得制御回路。 - 前記制御信号調整回路は、
第1自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値を調整し、第2自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値を調整するものであって、
前記第1の制御信号または前記第2の制御信号のいずれか一方の値を固定し、他方の値を調整する、請求項2記載の自動利得制御回路。 - RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、
第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、
前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、
前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、
前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、
前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する、自動利得制御回路。 - 前記第1制御値は、前記第1の制御信号で制御される自動利得制御アンプの利得が最小利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とし、前記第2制御値は、前記第2の制御信号で制御される自動利得制御アンプが最大利得に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする、請求項4記載の自動利得制御回路。
- 前記制御信号調整回路は、第1の制御信号によって前記第1自動利得制御アンプの利得を制御し、第2の制御信号によって前記第2自動利得制御アンプの利得を制御する、請求項5記載の自動利得制御回路。
- 前記制御信号調整回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1自動利得制御アンプの利得が最大値に近く、かつ利得特性が安定した値となるような値とする、請求項6記載の自動利得制御回路。
- 前記調整指示回路は、リセット信号によりリセットが指示されたときには、前記第1の制御信号の値を調整するように指示する、請求項7記載の自動利得制御回路。
- 前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、
前記調整指示回路は、
前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を前記制御信号調整回路に指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、
前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、
前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を減算する第2の演算回路と、
前記指示信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、
前記指示信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、
前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、
前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、
前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を指示する指示信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を指示する指示信号を生成し、
前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう、請求項8記載の自動利得制御回路。 - 前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少し、前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、
前記調整指示回路は、
前記第1の制御信号の値の調整を促すか、または前記第2の制御信号の値の調整を促すかを示す判定信号を生成する判定信号生成回路と、
前記判定信号生成回路が前記第1の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第1の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成し、前記判定信号生成回路が前記第2の制御信号の値の調整を促す判定信号を所定回数以上連続して生成した場合に、前記第2の制御信号の値の調整を指示する指示信号を生成する指示信号生成回路と、
前記第1制御値から前記第1の制御信号の値を減算する第1の演算回路と、
前記第2制御値から前記第2の制御信号の値を演算する第2の演算回路と、
前記判定信号をラッチするD型フリップフロップとを含み、
前記判定信号生成回路は、前記第1の演算回路の演算結果が0または正の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、
前記第1の演算回路の演算結果が負の値であり、前記第2の演算回路の演算結果が0であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第1の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、
前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が0または負の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第2の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、
前記第1の演算回路の演算結果が0であり、前記第2の演算回路の演算結果が正の値であり、かつ前記D型フリップフロップが前記第2の制御信号の調整を促す判定信号をラッチしているときには、前記第1の制御信号の調整を促す判定信号を生成し、
前記制御信号調整回路は、前記指示信号に基づき、前記第1の制御信号の値の調整または前記第2の制御信号の値の調整を行なう、請求項8記載の自動利得制御回路。 - RF信号を増幅する第1自動利得制御アンプと、IF信号を増幅する第2自動利得制御アンプとを含む受信機の利得を制御する自動利得制御回路であって、
第1自動利得制御アンプまたは第2自動利得制御アンプのいずれかの自動利得制御アンプの利得を制御する第1の制御信号の値と、他方の自動利得制御アンプの利得を制御する第2の制御信号の値とを調整する制御信号調整回路と、
前記制御信号調整回路により前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が減少する方向に前記第1の制御信号の値が調整された結果、前記第1の制御信号の値が第1制御値を越えたときには、前記第2の制御信号の値の調整を指示し、
前記制御信号調整回路により前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が増加する方向に前記第2の制御信号の値が調整された結果、前記第2の制御信号の値が第2制御値を越えたときには、前記第1の制御信号の値の調整を指示する調整指示回路とを含み、
前記制御信号調整回路は、前記第2の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第1の制御信号の値を前記第1制御値よりも前記第1の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が大きくなる第3制御値に固定するとともに、前記第2の制御信号の値を調整し、
前記第1の制御信号の値の調整を指示されたときには、前記第2の制御信号の値を前記第2制御値よりも前記第2の制御信号で制御される自動利得アンプの利得が小さくなる第4制御値に固定するとともに、前記第1の制御信号の値を調整する、自動利得制御回路。 - 前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、
前記調整指示回路は、
前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、
加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、
最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1制御値とし、最大値を越えたときには、前記第3制御値を前記第1制御値とするセレクタを含む、請求項11記載の自動利得制御回路。 - 前記制御信号調整回路で制御される前記第1の制御信号は、その値が増加すると前記第1自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、
前記調整指示回路は、
前記第3制御値と第1のオフセット値とを加算する演算回路と、
加算結果が前記第1の制御信号の最大値を越えているか否かを判定する回路と、
最大値を越えていないときには、前記加算結果を前記第1の制御値とし、最大値を越えているときには、前記最大値を前記第1制御値とするセレクタを含む、請求項11記載の自動利得制御回路。 - 前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、
前記調整指示回路は、
前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、
減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、
最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記第4制御値を前記第2制御値とするセレクタを含む、請求項13記載の自動利得制御回路。 - 前記制御信号調整回路で制御される前記第2の制御信号は、その値が増加すると前記第2自動利得制御アンプの利得が減少するものであるときに、
前記調整指示回路は、
前記第4制御値から第2のオフセット値を減算する演算回路と、
減算結果が前記第2の制御信号の最小値未満か否かを判定する回路と、
最小値未満でないときには、前記減算結果を前記第2制御値とし、最小値未満のときには、前記最小値を前記第2制御値とするセレクタを含む、請求項11記載の自動利得制御回路。
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