はじめに、本発明の実施形態に係る無線通信装置の比較対象となる比較例に係る無線通信装置について説明する。なお、以下の説明では、特定小電力無線システムで採用されているFSK(Frequency Shit Keying)変調方式で変調された変調信号を受信する無線通信装置(受信機)を例に説明する。
図1は、本発明の比較例に係る無線通信装置500の構成を示すブロック図である。図示しない送信機から送信されたFSK変調信号は、アンテナ10により受信され、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)11に供給される。
低雑音増幅器11は、受信したFSK変調信号を増幅して増幅信号S11を生成し、これをミキサ12に供給する。
ミキサ12は、低雑音増幅器11から供給される増幅信号S11とPLL回路23から供給されるローカル信号S23との周波数混合により増幅信号S11の周波数変換を行い、増幅信号S11の周波数よりも低周波の中間周波数信号S12を生成する。中間周波数信号S12は、バンドパスフィルタ13に供給される。
バンドパスフィルタ13は、中間周波数信号S12から不要な周波数成分を除去した信号S13を生成し、これをリミッタ14に供給する。
リミッタ14は、振幅成分を持つ信号S13から振幅一定の信号(方形波)S14を生成し、一定振幅となった信号S14を周波数検波部15に供給する。
周波数検波部15は、周波数変調されている信号S14における周波数変化を電圧変化に変換した周波数検波信号(復調信号)S15を生成する。すなわち、周波数検波部15は、入力信号が所定の基準周波数f1よりも高周波の区間ではハイレベルの信号を出力し、入力信号が基準周波数f1よりも低周波の区間ではローレベルの信号を出力する。周波数検波信号S15は、DCオフセット検出部16およびDCオフセット除去部17にそれぞれ供給される。
DCオフセット検出部16は、周波数検波信号S15に重畳しているDCオフセットのレベル(以下DCオフセット量という)を検出し、検出したDCオフセット量をオフセット補正量S16として出力する。周波数検波信号S15に生じるDCオフセットは、中間周波数信号S12の周波数の基準周波数f1からのずれに起因するものである。
ここで、図2は、DCオフセット検出部16の構成を示すブロック図である。DCオフセット検出部16は、変曲点検出回路161と、平均化回路162とを含んで構成されている。変曲点検出回路161は、周波数検波信号S15の各変曲点(ハイレベル点とローレベル点の中間点)を抽出する。平均化回路162は、抽出された各変曲点の電圧レベルを平均化することにより周波数検波信号S15のDCオフセット量を検出し、その検出した値をオフセット補正量S16として出力する。また、平均化回路162は、AFCコントローラ20から供給される自動周波数制御(AFC)の開始時点を示すAFCタイミング信号(制御信号)S20Aの立ち上がりのタイミングで、その出力値であるオフセット補正量S16をゼロにリセットする。なお、DCオフセット検出部16は、周波数検波信号S15の各ハイレベルのピーク点と各ローレベルのピーク点を抽出し、抽出した各点の電圧レベルを平均化することによりDCオフセット量を検出してもよい。オフセット補正量S16は、DCオフセット除去部17およびAFCコントローラ20にそれぞれ供給される。
DCオフセット除去部17は、DCオフセット検出部16から出力されるオフセット補正量S16に基づいて周波数検波信号S15に生じているDCオフセットを除去する。すなわち、DCオフセット除去部17は、周波数検波信号S15に生じているDCオフセットレベルを、オフセット補正量S16分シフトさせる処理を行うことによりDCオフセットが除去された周波数検波信号S17を生成する。DCオフセットが除去された周波数検波信号S17は、プリアンブル再生部18に供給される。
プリアンブル再生部18は、DCオフセットが除去された周波数検波信号S17から適切なシンボルタイミングを抽出し、そのシンボルタイミングで受信データのプリアンブルのデータ判定を行い、プリアンブル再生信号S18を生成する。
ここで、図3は、無線通信装置500において受信される受信データ300の概略のフレーム構成を示す図である。受信データ300は、プリアンブル301、ユニークワード302およびユーザデータ303により構成される。プリアンブル301は、無線通信装置500が同期検出を行うための同期用信号(例えば“1”と“0”の繰り返し信号)を含んでいる。ユニークワード302は、プリアンブル301とユーザデータ303との間に挿入されている。ユニークワード302は、予め定められたビットパターンを有しており、ユーザデータ303の先頭(開始)を検出するために設けられている。ユーザデータ303は、音声データ、画像データ、テキストデータ等のユーザの利用に供されるデータを格納する部分である。
プリアンブル再生部18は、例えば、“1”と“0”の繰り返し信号により構成されるプリアンブル301の再生を行って、プリアンブル再生信号S18を生成し、これを同期検出部19およびデータ再生部24に供給する。
同期検出部19は、プリアンブル再生信号S18を用いて同期検出を行い、無線通信装置500の動作を受信データに同期させるための同期検出信号S19を生成する。同期検出信号S19は、AFCコントローラ20およびデータ再生部24に供給される。
データ再生部24は、同期検出信号S19に応答して受信データに含まれるユニークワード302の検出を行う。ユニークワード302の検出は、データ再生部24が予め保持しているビットパターンとのパターンマッチングにより行われる。データ再生部24は、ユニークワード302を検出することによりユーザデータ303の先頭(開始)を検出し、ユーザデータ303の先頭部からデータ再生処理を行い、再生データS24を図示しない後段のブロックに供給する。
図4は、AFCコントローラ20の構成を示すブロック図である。AFCコントローラ20は、周波数換算部201と、AFCタイミング信号生成部202とを含んで構成されている。AFCタイミング信号生成部202は、同期検出部19から供給される同期検出信号S19に応答して自動周波数制御(AFC)の開始時点を定めるAFCタイミング信号(制御信号)S20Aを生成し、これを周波数換算部201に供給するとともに、PLL周波数設定部22およびDCオフセット検出部16に供給する。周波数換算部201は、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなると、DCオフセット検出部16から供給されるオフセット補正量S16を周波数補正量に換算した周波数補正量S20Bを出力する。すなわち、周波数補正量S20Bは、中間周波数信号S12の基準周波数f1に対する周波数ずれを解消するための周波数補正量を示している。周波数補正量S20Bは、PLL周波数設定部22に供給される。
周波数保持部21は、ローカル信号S23の周波数の基準値(すなわち、自動周波数制御(AFC)の開始時点におけるPLL回路23の周波数設定値)を保持するレジスタである。周波数保持部21に保持されている周波数は、周波数情報S21としてPLL周波数設定部22に供給される。
PLL周波数設定部22は、AFCコントローラ20から供給されるAFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなる区間において、周波数情報S21によって示される周波数と周波数補正量S20Bとの和を算出し、算出した値を周波数設定値S22として出力する。周波数設定値S22は、PLL回路23に供給される。
PLL回路23は、位相検出器、ループフィルタ、電圧制御発振器、分周器などを含んで構成されており、周波数設定値S22に相当する周波数のローカル信号S23を生成し、これをミキサ12に供給する。
このように、無線通信装置500では、ミキサ2、周波数検波部15、DCオフセット検出部16、AFCコントローラ20、PLL周波数設定部22およびPLL回路23を含む周波数制御ループが構成され、周波数検波信号S15に重畳するDCオフセットが解消するようにローカル信号S23の周波数が制御され、これによって中間周波数信号S12の周波数が基準周波数f1と一致するように制御される。
次に、上述した構成を有する無線通信装置500の動作について説明する。図5は、無線通信装置500の動作を例示するタイムチャートである。
アンテナ10で受信されたFSK変調信号は、低雑音増幅器11によって増幅され、ミキサ12に入力される。ミキサ12は、低雑音増幅器11から供給される増幅信号S11とPLL回路23から供給されるローカル信号S23との周波数混合により増幅信号S11の周波数変換を行い、中間周波数信号S12を生成する。この時点では、自動周波数制御(AFC)が開始されていないので、ローカル信号S23は、初期値(図5の例では、920MHz)に設定されている。従って、中間周波数信号S12には、周波数検波部15において設定されている基準周波数f1に対する周波数ずれを生じている。なお、以下の説明は、中間周波数信号S12は、基準周波数f1に対して+50kHzの周波数ずれが生じているものとして説明する。
中間周波数信号S12は、バンドパスフィルタ13およびリミッタ14により所定の処理が施され、周波数検波部15に入力される。
周波数検波部15は、周波数変調されている信号S14における周波数変化を電圧変化に変換した周波数検波信号S15を生成する。図5に例示すように、周波数検波信号S15は、データ“1”に対応するハイレベル部分とデータ“0”に対応するローレベル部分を含む。また、周波数検波信号S15は、自動周波数制御(AFC)が開始される前の期間において、中間周波数信号S12の周波数ずれ量(+50kHz)に相当するDCオフセットを生じている。
DCオフセット検出部16は、周波数検波信号S15に生じている+50kHzに相当するDCオフセット量を検出し、検出したDCオフセット量をオフセット補正量S16として出力する。なお、図5においては、理解を容易にするために、オフセット補正量S16は、周波数に換算した値が示されている。
DCオフセット除去部17は、周波数検波信号S15のDCオフセットレベルを、オフセット補正量S16分シフトさせる処理を行うことにより、DCオフセットが除去された周波数検波信号S17を生成する。DCオフセット除去部17の作用により、自動周波数制御(AFC)が開始される前においてもゼロレベルを中心とした周波数検波信号S17が生成され、後段のプリアンブル再生部18においてデータ再生が可能となる。仮にDCオフセット除去前の周波数検波信号S15を後段のプリアンブル再生部18に供給した場合、プリアンブル再生部18は、適正にデータを再生することができず、ビットエラーとなる。その結果、同期検出部19による同期検出が不可となる。
プリアンブル再生部18において、受信データ300のプリアンブル301が再生されると、同期検出信号S19がハイレベルとなり、これに伴って、AFCタイミング信号S20Aもハイレベルとなる。AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなると、自動周波数制御(AFC)が開始されるとともに、DCオフセット検出部16は、オフセット補正量S16をリセットしてゼロにする。すなわち、自動周波数制御(AFC)が開始された後は、周波数ずれが解消され、これに伴ってDCオフセットが解消されることとなるので、DCオフセット除去部17によるオフセット除去処理は不要となる。従って、無線通信装置500では、自動周波数制御(AFC)の開始と同時にオフセット補正量S16をリセットする。
AFCコントローラ20は、自動周波数制御(AFC)が開始されるとその時点におけるオフセット補正量S16(+50kHz相当)を取り込み、取り込んだオフセット補正量S16から周波数補正量S20Bを導出する。図5に示す例では、AFCコントローラ20は、周波数補正量S20Bとして−50kHzを導出することとなる。
PLL周波数設定部22は、周波数保持部21から供給される周波数情報S21によって示される周波数(図5に示す例では920MHz)と、周波数補正量S20B(図5に示す例では−50kHz)とを加算して得た周波数919.950MHzをローカル信号S23の周波数設定値S22として出力する。これにより、ローカル信号S23の周波数は、初期値の920MHzから919.950MHzに変化する。これにより、中間周波数信号S12と基準周波数f1との周波数ずれが解消され、周波数検波信号S15におけるDCオフセットが解消される。
なお、自動周波数制御(AFC)は、受信データ300のプリアンブル301の領域で行われ、ユニークワード302の再生時点までに完了しておく必要がある。
ここで、図5に示すように、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなって自動周波数制御(AFC)が開始されてから、ローカル信号S23の周波数が周波数設定値S22に安定するまでにある程度の時間を要する(以下、この時間を安定化期間と称する)。特に周波数補正量が大きい場合には、より長い安定化期間を要する。一方、DCオフセット検出回路16では、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなるタイミングでオフセット補正量S16をリセットする。
図6には、自動周波数制御(AFC)開始直後における周波数検波信号S15のDCオフセットの推移(実線)と、オフセット補正量S16の推移(破線)が示されている。図6に示すように、安定化期間Tにおいては、周波数検波信号S15にDCオフセットが残存している。一方、オフセット補正量S16は、自動周波数制御(AFC)の開始と同時にリセットされてゼロとなる。オフセット補正量S16がゼロとなると、DCオフセット除去部17によるDCオフセットの除去処理が実質的に無効となる。すなわち、自動周波数制御(AFC)の開始直後の安定化期間では、周波数検波信号S15に残存しているDCオフセットは、DCオフセット除去部17において除去されない。従って、安定化期間では、周波数検波信号S17はゼロレベルを中心とする波形ではなくなり(図5参照)、安定化期間に対してシンボル時間が短い場合には、ビットエラーを引き起こす。周波数検波信号S17においてDCオフセットが除去されない場合、プリアンブル再生部18は、 例えば“0101・・・”と再生すべきプリアンブルを例えば“1111・・・”と誤って再生することとなる。
一方、データ再生部24では、受信した熱雑音がユニークワード302と偶然一致した場合、当該熱雑音を誤ってユニークワードとして検出してしまう場合がある。このようなユニークワードの誤検出を回避するために、ユニークワード302に連続するプリアンブル301の後半部分とユニークワード302との同時監視が行われている。すなわち、監視領域を拡張することで、ユニークワードの誤検出の確率を低減しようというものである。この場合において、熱雑音等により同期検出部19による同期検出が遅れ、これによって自動周波数制御(AFC)の開始時点がプリアンブル301の後半にずれ込むと、ユニークワード302と同時監視されるプリアンブル領域に上述のビットエラーが生じることとなる。このビットエラーにより、プリアンブル301の後半部分とユニークワード302からなる一連のビットパターンを検出ことができなくなるので、結果としてユニークワード302の検出が不可となり、これに伴ってユーザデータ303の再生も不可となる。これを回避するためには、送信側において、より長いプリアンブルを付与してデータ送信を行う必要がある。しかしながら、プリアンブル長の増加は送信時間の増大に繋がり、結果として、消費電力の増大を招く。このように、比較例に係る無線通信装置500では、自動周波数制御(AFC)の開始直後に生じるビットエラーに起因して送信装置も含む無線通信システムにおける低消費電力化の実現が困難である。
以下に示す本発明の実施形態に係る無線通信装置では、上述の比較例に係る無線通信装置500における自動周波数制御(AFC)の開始時点におけるビットエラーを解消することにより、プリアンブル長の増加を不要とするものである。
[第1の実施形態]
図7は、本発明の第1の実施形態に係る無線通信装置100の構成を示すブロック図である。なお、図7において、上述した比較例に係る無線通信装置500と同一のブロックおよび信号等には、同一の参照符号を付与している。また、以下の説明では、本実施形態に係る無線通信装置100が比較例に係る無線通信装置500と共通する部分については、それらの説明を省略する。
本実施形態に係る無線通信装置100では、比較例に係る無線通信装置500と同様、ミキサ2、周波数検波部15、DCオフセット検出部16a、AFCコントローラ20、PLL周波数設定部22およびPLL回路23を含む周波数制御ループが構成され、周波数検波信号S15に重畳するDCオフセットが解消するようにローカル信号S23の周波数が制御され、これによって中間周波数信号S12の周波数が基準周波数f1と一致するように制御される。なお、ミキサ12は、本発明の周波数混合器に対応し、周波数検波部15は、本発明の復調部に対応し、PLL回路23は、本発明のローカル信号信号生成部に対応し、AFCコントローラ20は、本発明の制御部および周波数補正部に対応し、PLL周波数設定部22は、本発明の周波数補正部に対応する。
本実施形態に係る無線通信装置100は、比較例に係る無線通信装置500のDCオフセット検出部16とは異なる構成のDCオフセット検出部16aを有する。図8は、本実施形態に係るDCオフセット検出部16aの構成を示すブロック図である。
カウンタ制御部163には、AFCコントローラ200からAFCタイミング信号(制御信号)S20Aが入力される。カウンタ制御部163は、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなってから、カウンタ164が8カウントするまでの期間においてハイレベルを呈するカウンタイネーブル信号S163を生成し、これをカウンタ164に供給するとともにセレクタ168の制御端子に供給する。
カウンタ164は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する間、図示しないクロックパルス生成器によって生成される基準クロックパルスのパルス数をカウントアップする。本実施形態では、カウンタは、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する間0〜8までカウントする。カウンタ164のカウント値S164は、乗算器167およびカウンタ制御部163に供給される。
レジスタ165は、自動周波数制御(AFC)の開始時点を示すAFCタイミング信号S20Aの立ち上がりのタイミングでオフセット補正量S16を取り込んで保持し、その保持値S165を1/8乗算器166に供給する。なおレジスタ165は、RAMなどのメモリで構成されていてもよい。
1/8乗算器166は、レジスタ165に保持されたオフセット補正量の保持値S165の1/8倍に相当する値S166を生成し、これを乗算器167に供給する。
乗算器167は、1/8乗算器166から出力される値S166と、カウンタ164のカウント値S164とを乗算して得た乗算値S167をセレクタ168の第1の入力端子に供給する。
セレクタ168は、カウンタ制御部163からのカウンタイネーブル信号S163が入力される制御端子と、乗算器167からの乗算値S167が入力される第1の入力端子と、オフセット補正量としてゼロレベルが入力される第2の入力端子を有する。セレクタ168は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間においては、第1の入力端子に入力される乗算値S167を選択する一方、カウンタイネーブル信号S163がローレベルを呈する期間においては、第2の入力端子に入力されるゼロレベルを選択し、選択値S168を減算器169に供給する。
変曲点検出回路161は、周波数検波信号S15の各変曲点(ハイレベル点とローレベル点の中間点)を抽出する。平均化回路162は、抽出された各変曲点の電圧レベルを平均化し、これによって得た値をオフセット量検出値S162として出力する。平均化回路162は、カウンタイネーブル信号S163の立ち上がり時点のオフセット検出値S162を保持し、カウンタイネーブル信号S163の立ち下がりのタイミングでオフセット量検出値S162をリセットする。平均化回路162より出力されるオフセット量検出値S162は、減算器169に供給される。
減算器169は、オフセット量検出値S162からセレクタ168の選択値S168を差し引く減算処理を行い、これによって得られた値をオフセット補正量S16として出力する。
次に、上述した構成を有する本実施形態に係る無線通信装置100の動作について説明する。図9は、本実施形態に係る無線通信装置100の動作を例示するタイムチャートである。
データ受信時点から自動周波数制御(AFC)が開始されるまでの期間(すなわち、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなるまでの期間)における動作は、上述した比較例に係る無線通信装置500と同様である。図9では、この期間においてDCオフセット検出部16aが、周波数検波信号S15に生じている+50kHz相当のDCオフセットを検出し、+50kHz相当のオフセット補正量S16を出力している場合が例示されている。
AFC制御信号S20Aがハイレベルとなるタイミングで、カウンタ制御部163から出力されるカウンタイネーブル信号S163はハイレベルとなる。カウンタ164は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルとなると、図示しない基準クロックパルスのパルス数のカウントアップを開始する。カウンタ164のカウント値S164が8となったとき、カウンタイネーブル信号S163はローベルとなり、これに伴い、カウンタ164はカウントアップ動作を停止する。
レジスタ165は、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなるタイミングで、オフセット補正量S16を取り込み、取り込んだ値を保持する。図9に示す例では、レジスタ165は、+50kHz相当のオフセット補正量を保持する。なお、図9においては
、理解を容易にするために、オフセット補正量S16、レジスタ保持値S165、1/8乗算器出力S166および乗算器出力S167は、周波数に換算した値が示されている。
1/8乗算器166は、レジスタ165の保持値S165を1/8倍することにより得た値(すなわち+6.25kHz相当)を出力値S166として出力する。
乗算器167は、カウンタ164のカウント値S164と、1/8乗算器166の出力値S166とを乗算し、乗算値S167を出力する。すなわち、乗算器167は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間内において、カウンタ164のインクリメント動作に連動して、0[kHz]、+6.25[kHz]、+12.5[kHz]、+18.75[kHz]、+25[kHz]、+31.25[kHz]、+37.5[kHz]、+43.75[kHz]、+50[kHz]に相当する値を乗算値S167として順次出力する。
セレクタ168は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間において、上述のように順次変化する乗算器167からの乗算値S167を選択値S168として出力する。
平均化回路162は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルとなるタイミングにおけるオフセット量検出値(+50kHz相当)を保持し、その保持しているオフセット量検出値S162を出力する。
減算器169は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間において、平均化回路162から出力されるオフセット量検出値S162からセレクタ168によって選択された乗算値S167を減算する。すなわち、減算器169は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間において、カウンタ164のインクリメント動作に連動して、50[kHz]、+43.75[kHz]、+37.5[kHz]、+31.25[kHz]、+25[kHz]、+18.75[kHz]、+12.5[kHz]、+6.25[kHz]、0[kHz]に相当するDCオフセット量をオフセット補正量S16として順次出力する。
一方、PLL周波数設定部22は、比較例に係る無線通信装置500と同様、+50kHzの周波数ずれを補正するべく、AFCタイミング信号S20Aの立ち上がりのタイミングで、ローカル信号S23の周波数を919.950MHzに設定するべく周波数設定値S22を出力する。これにより、自動周波数制御(AFC)開始前において920MHzに設定されていたローカル信号S23の周波数は、AFCタイミング信号S20Aの立ち上がり時点から、919.950MHzに向けて徐々に低下する。
なお、カウンタイネーブル信号S163がローレベルとなった後は、セレクタ168は、第2の入力端子に入力されたゼロレベルを選択し、また平均化回路162から出力されるオフセット量検出値S162がリセットされるので、オフセット補正量S16となる。
図10は、本実施形態に係る無線通信装置100における、自動周波数制御(AFC)開始直後の周波数検波信号S15のDCオフセットの推移(実線)と、オフセット補正量S16の推移(破線)を示す図である。図10に示すように、自動周波数制御(AFC)開始直後の安定化期間Tにおいては、周波数検波信号S15にDCオフセットが残存している。一方、オフセット補正量S16は、自動周波数制御(AFC)の開始後の所定期間内(本実施形態ではカウンタ164が8カウントするまでの期間)において、自動周波数制御(AFC)開始時点のオフセット補正量から徐々にゼロに近づくように段階的に変化する。このようにオフセット補正量S16を自動周波数制御(AFC)の開始時点からゼロに向けて段階的に小さくすることで、DCオフセット除去部17によるDCオフセット除去処理は自動周波数制御(AFC)が開始された後でも有効に実施される。すなわち、オフセット補正量S16が段階的に変化する期間は、ローカル信号S23の周波数が安定化するまでの安定化期間と重なっているので、DCオフセット除去部17は、安定化期間において、周波数検波信号S15に残存するDCオフセットを除去することが可能となる。これにより、図9に示すように、安定化期間では、DCオフセット除去部17から出力される周波数検波信号S17はゼロレベルを中心とする波形となり、上述の比較例に係る無線通信装置500において生じていたビットエラーが解消される。その結果、かかるビットエラーを回避するために必要であった長いプリアンブル領域を短縮することができ、送信側において、送信時間の短縮を図ることが可能となる。これにより、送信側と受信側との間でより少ない電力で無線通信を行うことが可能となり、無線通信システムにおける低消費電力化に寄与することできる。
[第2の実施形態]
図11は、本発明の第2の実施形態に係る無線通信装置101の構成を示すブロック図である。なお、図11において、上述した比較例に係る無線通信装置500および第1の実施形態に係る無線通信装置100と同一のブロックおよび信号等には、同一の参照符号を付与している。また、以下の説明では、本実施形態に係る無線通信装置101が比較例に係る無線通信装置500および第1の実施形態に係る無線通信装置100と共通する部分については、それらの説明を省略する。
本実施形態に係る無線通信装置101は、第1の実施形態に係るDCオフセット検出部16aと同様の構成および機能を有するDCオフセット検出部16bを有する。本実施形態に係るDCオフセット検出部16bは、カウンタ制御部163からのカウンタイネーブル信号S163とカウンタ164からのカウント値S164が、AFCコントローラ20aに供給されるように構成されている点において第1の実施形態に係るDCオフセット検出部16aと異なる。また、本実施形態に係る無線通信装置101は、比較例および第1の実施形態に係るAFCコントローラ20とは異なる構成および機能を有するAFCコントローラ20bを有する。
図12は、本実施形態に係るAFCコントローラ20bの構成を示す図である。AFCコントローラ20bは、比較例および第1の実施形態に係るAFCコントローラ20と同様、周波数換算部201と、AFCタイミング信号生成部202を含む。本実施形態に係るAFCコントローラ20bは、周波数補正量制御部203を更に含む。
AFCタイミング信号生成部202は、同期検出信号S19に応答して自動周波数制御(AFC)の開始時点を定めるAFCタイミング信号S20Aを生成し、これを周波数換算部201および周波数補正量制御部203に供給するとともに、PLL周波数設定部22およびDCオフセット検出部16bに供給する。周波数換算部201は、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなると、DCオフセット検出部16から供給されるオフセット補正量S16を周波数補正量に換算した暫定周波数補正量S201を導出し、これを周波数補正量制御部203に供給する。周波数補正量制御部203には、DCオフセット検出部16bからカウンタイネーブル信号S163およびカウント値S164が供給される。
図13は、周波数補正量制御部203の構成を示すブロック図である。1/8乗算器210は、周波数換算部201から供給される暫定周波数補正量S201の1/8倍に相当する値S210を生成し、これを乗算器211に供給する。
乗算器211は、1/8乗算器210の出力値S210と、カウンタ164のカウント値S164とを乗算して得た乗算値S211をセレクタ212の第1の入力端子に供給する。
セレクタ212は、カウンタイネーブル信号S163が入力される第1の制御端子と、AFCタイミング信号S20Aが入力される第2の制御端子と、乗算器211からの乗算値S211が入力される第1の入力端子と、暫定周波数補正量S201が入力される第2の入力端子と、周波数補正量として0[kHz]が入力される第3および第4の入力端子を有する。セレクタ212は、カウンタイネーブル信号S163およびAFCタイミング信号S20Aの双方がハイレベルを呈する期間においては、第1の入力端子に入力される乗算値S211を選択し、カウンタイネーブル信号S163がローレベルを呈し且つAFCタイミング信号S20Aがハイレベルを呈する期間においては第2の入力端子に入力される暫定周波数補正量S201を選択し、AFCタイミング信号S20Aがローレベルを呈する期間は、第3または第4の入力端子に入力される0[kHz]を選択する。セレクタ212は、選択した値を周波数補正量S20Bとして出力する。
次に、上述した構成を有する本実施形態に係る無線通信装置101の動作について説明する。図14は、本実施形態に係る無線通信装置101の動作を例示するタイムチャートである。
データ受信時点から自動周波数制御(AFC)が開始されるまでの期間(すなわち、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなるまでの期間)における動作は、上述した比較例および第1の実施形態に係る無線通信装置と同様である。図14では、この期間においてDCオフセット検出部16bが、周波数検波信号S15に生じている+50kHz相当のDCオフセットを検出し、+50kHz相当のオフセット補正量S16を出力している場合が例示されている。
DCオフセット検出部16bは、第1の実施形態の場合と同様、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間内において、オフセット補正量S16が徐々にゼロに近づくように段階的にオフセット補正量S16を変化させる。なお、図14においては、理解を容易にするために、オフセット補正量S16は、周波数に換算した値が示されている。
一方、AFCコントローラ20bを構成する周波数変換部201は、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなると、オフセット補正量S16(図14の例では+50kHz相当)を取り込み、取り込んだ値を周波数補正量に換算し、これを暫定周波数補正量S201として出力する。図14の例では、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなると、暫定周波数補正量S201として−50kHzが出力される。
1/8乗算器210は、暫定周波数補正量S201(−50kHz)を1/8倍することにより得た値(すなわち−6.25kHz)を出力値S210として出力する。
乗算器211は、カウンタ164のカウント値S164と、1/8乗算器211の出力値S211とを乗算し、乗算値S211を出力する。すなわち、乗算器211は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間内において、カウンタ164のインクリメント動作に連動して、0[kHz]、−6.25[kHz]、−12.5[kHz]、−18.75[kHz]、−25[kHz]、−31.25[kHz]、−37.5[kHz]、−43.75[kHz]、−50[kHz]に相当する値を乗算値S211として順次出力する。
セレクタ212は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間において、乗算器211から出力される上記の乗算値S211を選択し、これを周波数補正量S20Bとして出力する。
PLL周波数設定部22は、周波数保持部21から供給される周波数情報S21によって示される周波数(図14に示す例では920MHz)と、周波数補正量S20Bとを加算して得た周波数をローカル信号S23の周波数設定値S22として出力する。図14の例では、PLL周波数設定部22は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルを呈する期間において、周波数設定値S22をカウンタ164のインクリメント動作と連動して920MHzから919.950MHzに向けて6.25kHzずつ段階的に低下させる。
これにより、ローカル信号S23の周波数は、初期値の920MHzから919.950MHzに向けて6.25kHzずつ段階的に低下する。
このように、本実施形態に係る無線通信装置101によれば、自動周波数制御(AFC)が開始されると、周波数補正量S20Bがカウンタのインクリメント動作に連動して段階的に変化することにより、ローカル信号S23の周波数が段階的に変化する動作となる。
なお、カウンタイネーブル信号S163がローレベルとなった後は、セレクタ211は、暫定周波数補正量S201(図14に示す例では−50kHz)を選択することとなり、その結果、ローカル信号S23の周波数は919.950MHzに維持される。
図15は、第2の実施形態に係る無線通信装置101における、自動周波数制御(AFC)開始直後の周波数検波信号S15のDCオフセットの推移(実線)と、オフセット補正量S16の推移(破線)を示す図である。第2の実施形態に係る無線通信装置101によれば、自動周波数制御(AFC)の開始後の所定期間においては、カウンタ164のインクリメント動作に連動してローカル信号S23の周波数が段階的に変化する。従って、図15に示すように、周波数検波信号S15に生ずるDCオフセットも、オフセット補正量S16の段階的な変化に連動するように段階的に変化する。
ここで、上述の比較例および第1の実施形態に係る無線通信装置では、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなるタイミングでオフセット補正量S16に相当する周波数分(−50kHz)を一度に変化させる制御方法であった。しかし、周波数補正量が大きいほどローカル信号S23の周波数が安定するまでの安定化期間Tは長くなる。さらに温度変化等により送信側と受信側の水晶発振周波数がずれることにより、受信毎にDCオフセット検出部にて検出されるDCオフセット量は異なる場合があり、受信毎に異なる周波数補正量となる場合がある。結果として、自動周波数制御(AFC)を行う毎にローカル信号S23の周波数が安定するまでの安定化期間Tが変動することとなる。これに対し、第1の実施形態に係る無線通信装置100においては、自動周波数制御(AFC)開始直後におけるオフセット補正量S16を段階的に変化させるタイミングを固定としているため、自動周波数制御(AFC)により設定変更されたローカル信号S23の周波数とオフセット補正量S16とが整合しない場合がある。その結果、周波数検波信号S17において、DCオフセットが残存し、ビットエラーが生じる可能性がある。
一方、第2の実施形態に係る無線通信装置101においては、オフセット補正量S16をカウンタ164のインクリメント動作に連動して段階的に変化させることに加え、周波数補正量S20B(周波数設定値S22)も同様にカウンタ164のインクリメント動作に連動して段階的に変化させている。これにより、1回の周波数補正量S20Bを小さくすることができ、ローカル信号S23の周波数が安定するまでの安定化期間Tは短くなる。その結果、自動周波数制御(AFC)により設定変更されたローカル信号S23の周波数とオフセット補正量S16との間の不整合を軽減することができ、自動周波数制御(AFC)開始時におけるビットエラーの発生を更に抑制することがきる。すなわち、自動周波数補正(AFC)が開始直後にDCオフセット除去部17から出力される周波数検波信号S17はゼロレベルを中心とする波形となり、自動周波数制御(AFC)開始後におけるビットエラーの発生を防止することが可能となる。その結果、かかるビットエラーを回避するために必要であった長いプリアンブル領域を短縮することができ、送信側において、送信時間の短縮を図ることが可能となるので、送信側と受信側との間でより小さい電力で無線通信を行うことが可能となる。
[第3の実施形態]
図16は、本発明の第3の実施形態に係る無線通信装置102の構成を示すブロック図である。なお、図16において、上述した比較例に係る無線通信装置500、第1および第2の実施形態に係る無線通信装置100および101と同一のブロックおよび信号等には、同一の参照符号を付与している。また、以下の説明では、本実施形態に係る無線通信装置102が比較例に係る無線通信装置500、第1および第2の実施形態に係る無線通信装置100および101と共通する部分については、それらの説明を省略する。
本実施形態に係る無線通信装置102は、PLL回路23cがPLLロック検出信号S23Aを生成し、これをDCオフセット検出部16cに供給するように構成されている点およびDCオフセット検出部16cがPLLロック検出信号S23Aに同期して段階的に変化するオフセット補正量S16の変化タイミングを定める点が上述の第2の実施形態に係る無線通信装置101と異なる。
本実施形態に係るPLL回路23cは、ローカル信号S23を出力するのみならず、PLLロック検出信号S23Aを出力する。PLLロック検出信号S23Aは、ローカル信号S23の周波数が、周波数設定値S22に対する所定範囲内に収束し、安定状態になったときにハイレベルとなる信号である。PLLロック検出信号S23Aは、DCオフセット検出部16cに供給される。
図17は、本実施形態に係るDCオフセット検出部16cの構成を示すブロック図である。
カウンタ制御部163´には、AFCタイミング信号S20AおよびPLLロック検出信号S23Aが入力される。カウンタ制御部163´は、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなってから、カウンタ164´が8カウントするまでの期間においてハイレベルを呈する第1のカウンタイネーブル信号S163を生成し、これをカウンタ164´に供給するとともにセレクタ168の制御端子に供給する。また、カウンタ制御部163´は、PLLロック検出信号S23Aの立ち上がりを検出したときにハイレベルとなる第2のカウンタイネーブル信号S163Aを生成し、これをカウンタ164´に供給する。
カウンタ164´は、第1のカウンタイネーブル信号S163がハイレベルとなるタイミングでカウントアップを開始し、カウント値1以降は、第2のカウンタイネーブル信号S163Aもハイレベルとなる条件にてカウントアップを行う。つまり、カウンタ164´は、カウント値1以降についてはローカル信号S23の周波数が安定化した後にカウントアップ動作を行う。本実施形態においては、カウンタ164´は、カウンタイネーブル信号S163に基づいて0〜8までカウントする。カウンタ164´のカウント値S164は、乗算器167およびカウンタ制御部163´に供給される。上記以外は、第2の実施形態に係るDCオフセット検出部16bと同様である。
次に、上述した構成を有する本実施形態に係る無線通信装置102の動作について説明する。図18は、本実施形態に係る無線通信装置102の動作を例示するタイムチャートである。
データ受信時点から自動周波数制御(AFC)が開始されるまでの期間(すなわち、AFCタイミング信号S20Aがハイレベルとなるまでの期間)における動作は、上述した比較例、第1および第2の実施形態に係る無線通信装置と同様である。図18では、この期間においてDCオフセット検出部16cが、周波数検波信号S15に生じている+50kHz相当のDCオフセットを検出し、+50kHz相当のオフセット補正量S16を出力している場合が例示されている。なお、図18においては、理解を容易にするために、オフセット補正量S16は、周波数に換算した値が示されている。
AFC制御信号S20Aがハイレベルとなるタイミングで、カウンタ制御部163´から出力される第1のカウンタイネーブル信号S163はハイレベルを呈する。カウンタ164´は、カウンタイネーブル信号S163がハイレベルとなる期間において、図示しない基準クロックパルスのパルス数のカウントアップを開始する。カウンタ164´のカウント値S164が8となったとき、カウンタイネーブル信号S163は、ローベルとなり、これに伴いカウンタ164´はカウントアップ動作を停止する。
カウンタ164´は、カウント値1以降については第1のカウンタイネーブル信号S163と第2のカウンタイネーブル信号S163Aがハイレベルとなる条件にてカウントアップを行う。
本実施形態に係る無線通信装置102では、上述の第2の実施形態に係る無線通信装置101と同様、カウンタ164´のインクリメント動作に連動してオフセット補正量S16および周波数補正量S20B(周波数設定値S22)を段階的に変化させる。PLLロック検出信号S23Aは、新たな周波数設定値S22が与えられ、ローカル信号S23の周波数が設定周波数に収束するとローレベルからハイレベルに遷移する。第2のカウンタイネーブル信号S163Aは、PLLロック検出信号S23Aのハイレベルを検出するとハイレベルとなる。従って、カウンタ164´は、ローカル信号S23の周波数が安定状態となった後にカウントアップを行う。つまり、ローカル信号S23の周波数が安定状態となった後に、オフセット補正量S16および周波数補正量S20B(周波数設定値S22)が更新される。
このように、本実施形態に係る無線通信装置102によれば、ローカル信号S23の周波数が安定化するまでの安定化期間Tと、オフセット補正量S16および周波数補正量S20B(周波数設定値S22)の変更タイミングとを完全に連動させることが可能となる。これにより、周波数検波信号S15に生ずるDCオフセットと、オフセット補正量S16との間の不整合をほぼ完全に解消することができる。その結果、自動周波数補正(AFC)が開始直後にDCオフセット除去部17から出力される周波数検波信号S17はゼロレベルを中心とする波形となり、自動周波数制御(AFC)開始後におけるビットエラーの発生を防止することが可能となる。従って、このビットエラーを回避するために必要であった長いプリアンブル領域を短縮することができ、送信側において、送信時間の短縮を図ることが可能となるので、送信側と受信側との間でより小さい電力で無線通信を行うことが可能となる。
なお、上記の各実施形態では、0〜8までカウントするカウンタ164、164´と、1/8乗算器166と、乗算器167とを組み合わせて、オフセット補正量S16を8段階で変化させる場合を例示したが、これに限定されるものではなく、オフセット補正量S16を任意のステップ数で変化させることが可能である。この場合、0〜nまでをカウントするカウンタと、1/n乗算器(nは任意の自然数)を用いればよい。また、この場合において、周波数補正量S20Bをオフセット補正量S16に連動して変化させる場合、1/8乗算器210を1/n乗算器に置き換えればよい。また、このような回路構成に限らず、他の回路構成によってオフセット補正量および周波数補正量を段階的に変化させるようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、FSK変調方式で変調された変調信号を受信する場合を例示したが、受信信号の変調方式は、FSK変調方式以外の他の変調方式であってもよい。