JP5375011B2 - 一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、貯蔵安定性に優れ、ガラス転移温度が高い硬化物となることができる一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
1. エポキシ樹脂(A)と、分子内にメルカプト基を2個以上有するメルカプト基含有シリコーン(B)と、下記式(I)で表されるホスフィン化合物(C)とを含む一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
(式中、R1、R2はそれぞれ水素原子、アルキル基を示す。)
2. さらに、ホウ酸エステルおよび/またはイミダゾール塩を含む上記1に記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
3. 前記メルカプト基含有シリコーン(B)が、下記式(1)で表される上記1または2に記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
(式中、R1はアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、R2はアルキル基またはアルコキシ基であり、R3はアルキル基であり、nは2以上の整数である。)
4. 前記ホウ酸エステルが、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリフェニルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレートおよびトリペンチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記2または3に記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
5. 前記エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基に対する前記メルカプト基の比(前記メルカプト基のモル数/前記エポキシ基のモル数)が、0.5〜1.2であり、前記ホスフィン化合物(C)の量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、1〜30質量部であり、前記ホウ酸エステルおよび/またはイミダゾール塩の量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部である上記2〜4のいずれかに記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、
エポキシ樹脂(A)と、分子内にメルカプト基を2個以上有するメルカプト基含有シリコーン(B)と、下記式(I)で表されるホスフィン化合物(C)とを含む一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物である。
(式中、R1、R2はそれぞれ水素原子、アルキル基を示す。)
本発明の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物を以下「本発明の組成物」ということがある。
本発明の組成物に含まれるエポキシ樹脂(A)は、1分子中平均してエポキシ基を2個以上有する化合物であれば特に制限されない。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、カテコール、レゾルシノール等の多価フェノール、グリセリンやポリエチレングリコール等の多価アルコールとエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエーテル;p−ヒドロキシ安息香酸、β−ヒドロキシナフトエ酸のようなヒドロキシカルボン酸と、エピクロロヒドリンを反応させて得られるグリシジルエーテルエステル;フタル酸、テレフタル酸のようなポリカルボン酸とエピクロロヒドリンを反応させて得られるポリグリシジルエステル;エポキシ化フェノールノボラック樹脂、エポキシ化クレゾールノボラック樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、環式脂肪族エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、4,4ジアミノジフェニルメタンやm−アミノフェノールなどから得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、等が挙げられる。
エポキシ樹脂(A)は、貯蔵安定性により優れ、より高いガラス転移温度を有する硬化物となることができ、速硬化性に優れるという観点から、ビスフェノールA、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂(A)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物に含まれるメルカプト基含有シリコーン(B)は、分子内にメルカプト基(−SH)を2個以上有し、主鎖がシリコーン骨格である化合物である。
本発明においてメルカプト基含有シリコーン(B)はエポキシ樹脂(A)の硬化剤として使用される。
メルカプト基は、メルカプト基含有シリコーン(B)の主鎖に直接結合することができる。また、メルカプト基は、メルカプト基含有シリコーン(B)の主鎖に有機基を介して結合することができる。
式中、R1はアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、R2はアルキル基またはアルコキシ基であり、R3はアルキル基であり、nは2以上の整数である。
アルキレン基としては、炭素原子数2〜6のものが挙げられ、具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が挙げられる。
R2であるアルキル基またはアルコキシ基としては、例えば、メチル基またはメトキシ基が挙げられる。R3であるアルキル基としては、例えば、メチル基が挙げられる。
nは2以上の整数であり、硬化物のガラス転移温度(ガラス転移点)がより高く、速硬化性、貯蔵安定性に優れるという観点から、5〜10であるのが好ましく、6〜8であるのがより好ましい。
式中、R1はアルキル基であり、R2はアルキル基またはアルコキシ基であり、R3はアルキル基であり、nは2以上の整数である。R1、R2、R3、nは、それぞれ上記と同義である。
メルカプト基含有シリコーン(B)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
メルカプト基含有アルコキシシラン化合物は、少なくとも1個のメルカプト基と少なくとも2個のアルコキシ基とを有するシラン化合物である。メルカプト基含有アルコキシシラン化合物は、メルカプト基およびアルコキシ基以外に、例えばメチル基、エチル基のようなアルキル基を有することができる。
メルカプト基は、有機基を介してケイ素原子に結合することができる。有機基は上記と同義である。
式中、R1、R4はそれぞれ独立にアルキル基であり、Rはアルキレン基であり、mは2または3であり、nは1または2であり、m+nは3または4である。
R1、Rは、それぞれ上記と同義である。R4としてのアルキル基は例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。
メルカプト基含有アルコキシシラン化合物を少なくとも含む組成物は、メルカプト基含有アルコキシシラン以外のアルコキシシランを含むことができる。メルカプト基含有アルコキシシラン以外のアルコキシシランは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明の組成物に含まれるホスフィン化合物(C)は、下記式(I)で表される化合物である。
式中、R1、R2はそれぞれ水素原子、アルキル基を示す。
R1は水素原子、アルキル基を示す。R2は水素原子、アルキル基を示す。
R1、R2は同じでも異なっていてもよい。複数のR1は同じでも異なっていてもよい。複数のR2は同じでも異なっていてもよい。
本発明において、ホスフィン化合物(C)は硬化促進剤として使用される。
また、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。
アルキル基は、貯蔵安定性により優れ、より高いガラス転移温度を有する硬化物になることができるという観点から、ベンゼン環のパラ位に結合しているのが好ましい。
ホスフィン化合物(C)は、貯蔵安定性により優れ、速硬化性に優れるという観点から、トリフェニルホスフィントリフェニルボレートおよび/またはトリパラメチルフェニルホスフィントリフェニルボレートであるのが好ましい。
ホスフィン化合物(C)は、貯蔵安定性により優れ、低温硬化性に優れるという観点から、トリフェニルホスフィントリフェニルボレートが好ましい。
トリパラメチルフェニルホスフィントリフェニルボレートは下記式(III)で表される化合物である。トリパラメチルフェニルホスフィントリフェニルボレートの市販品としては、例えば、商品名TPTP−S(北興化学工業株式会社社製)が挙げられる。
ホスフィン化合物(C)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物において、ホウ酸エステルおよび/またはイミダゾール塩は、メルカプト基含有シリコーン、ホスフィン化合物に対する保存安定剤として使用される。
ホウ酸エステルはそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
式中、R1、R2はそれぞれ独立に炭素原子数1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては例えば、メチル基、エチル基が挙げられる。
アニオン種であるX-は特に制限されない。例えば、BPh4 -(Phはフェニル基を示す。)、ハロゲン原子のイオン、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、PF6 -、SbF6 -が挙げられる。
式(5)で表される化合物の市販品として、商品名EMZ−K(北興化学工業株式会社社製)が挙げられる。
イミダゾール塩はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、本発明の組成物は上記のような温度で硬化することができるので低温硬化性に優れる。
本発明の組成物を適用することができる被着体としては、例えば、金属、ガラス、プラスチック、モルタル、コンクリート、ゴム、木材、皮、布、紙が挙げられる。
1.評価
下記のようにして得られた組成物について、貯蔵安定性、硬化性、ガラス転移温度を以下に示す方法で評価した。結果を第1表に示す。
下記のようにして得られた組成物を25℃の恒温槽に保存し、組成物に流動性がなくなるまでの日数を測定した。
(2)硬化性
JIS C2161:1997の熱板法に準じて、100℃および150℃でのゲルタイムをホットプレート上で測定した。
下記のようにして得られた組成物を150℃のオーブンにて1時間硬化させ、硬化物について動的粘弾性測定(Dynamic Mechanical Analysis)を歪み0.01%、周波数10Hz、昇温速度5℃/minの条件で、室温から200℃までの温度領域において、強制伸長加振を行って貯蔵弾性率(G′)を測定した。
第1表に示す成分を同表に示す量(質量部)で使用し撹拌機で撹拌して均一に混合し組成物を製造した。
なお、メルカプト基含有シリコーン(B)のかっこ内の数値は、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基に対する、メルカプト基含有シリコーン(B)が有するSH基(メルカプト基)の当量比である。
・エポキシ樹脂(A)1商品名EP4100E、ADEKA社製エポキシ樹脂、エポキシ当量188g/mol
・エポキシ樹脂(A)2:HP7200(DIC社製) ジシクロペンタジエン型固形エポキシ樹脂 エポキシ当量258g/mol
・エポキシ樹脂(A)3:MY721(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製) ジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂 エポキシ当量112g/mol
・エポキシ樹脂(A)4:MY0510(ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ社製) アミノフェノール型エポキシ樹脂 エポキシ当量101g/mol
・エポキシ樹脂(A)5:HP4032D(DIC社製) ナフタレン型エポキシ樹脂 エポキシ当量135-165g/mol
・エポキシ樹脂(A)6:Ep152(JER社製) フェノールノボラック型エポキシ樹脂 エポキシ当量176g/mol
・エポキシ樹脂(A)7:Ep154(JER社製) フェノールノボラック型固形エポキシ樹脂 エポキシ当量176g/mol
・エポキシ樹脂(A)8:YX4000(JER社製) ビフェニル型固形エポキシ樹脂 エポキシ当量180-192g/mol
・エポキシ樹脂(A)9:YL6800(JER社製) 水添ビフェ二ル型エポキシ樹脂 エポキシ当量193g/mol
・エポキシ樹脂(A)10:NC3000L(日本化薬社製) ビフェニル型固形エポキシ樹脂 エポキシ当量269g/mol
・メルカプト基含有シリコーン(B):商品名Z6062H、東レダウコーニング社製、下記式で表される、メルカプト基含有シラン化合物の縮合物、SH当量139g/mol
式中、nは6〜8である。
・チオール化合物:下記式で表されるトリメチロールプロパントリスチオグリコレート(TMTG)、淀化学社製
・フェノール樹脂:MEH-7851SS、明和化成株式会社社製
・ホスフィン化合物(C)1:TPP−S、北興化学工業株式会社社製
・ホスフィン化合物(C)2:TPTP−S、北興化学工業株式会社社製
・TPP:トリフェニルホスフィン、東京化成工業株式会社社製
・アミン:商品名DMP-30、東京化成工業株式会社社製
・ホウ酸エステル:B(OEt)3、東京化成工業株式会社社製
・イミダゾール塩:商品名EMZ−K、北興化学工業株式会社社製
メルカプト基含有シリコーン(B)を含まず代わりにフェノール樹脂を含み、ホスフィン化合物(C)を含まず代わりにTPPを含む比較例4、5はゲルタイムが長く硬化性に劣った。
ホスフィン化合物(C)を含まず代わりにTPPを含む比較例6はゲルタイムが長く硬化性、貯蔵安定性に劣った。
これに対して、実施例1〜21は、貯蔵安定性に優れ、得られる硬化物のガラス転移温度が高く、ガラス転移温度はいずれも69℃以上であった。
また、実施例1〜21は従来と同等またはそれより優れる低温硬化性を有する。
Claims (7)
- エポキシ樹脂(A)と、分子内にメルカプト基を2個以上有するメルカプト基含有シリコーン(B)と、下記式(I)で表されるホスフィン化合物(C)とを含み、
前記エポキシ樹脂(A)が、ポリグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエステル型エポキシ樹脂、ポリグリシジルエステル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリオレフィン、環式脂肪族エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及び水添ビフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
前記メルカプト基含有シリコーン(B)が、下記式(1)で表される化合物であり、
前記エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基に対する前記メルカプト基の比(前記メルカプト基のモル数/前記エポキシ基のモル数)が、0.5〜1.2である、一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 前記ホスフィン化合物(C)が、トリフェニルホスフィントリフェニルボレートおよび/またはトリパラメチルフェニルホスフィントリフェニルボレートである請求項1に記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 前記ホスフィン化合物(C)の量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、1〜30質量部である請求項1又は2に記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- さらに、ホウ酸エステルおよび/またはイミダゾール塩を含む請求項1〜3のいずれかに記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 前記ホウ酸エステルが、トリメチルボレート、トリエチルボレート、トリフェニルボレート、トリイソプロピルボレート、トリ−n−ブチルボレートおよびトリペンチルボレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項4に記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 前記イミダゾール塩は、下記式(4)で表される化合物である請求項4又は5に記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
- 前記ホスフィン化合物(C)の量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、1〜30質量部であり、前記ホウ酸エステルおよび/またはイミダゾール塩の量が、前記エポキシ樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部である請求項4〜6のいずれかに記載の一液型熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
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